2011年09月29日の読書
2011年09月29日(Thr)
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本日の初読図書: 国子テイデスを堕落させると共に、その姉イセーレとの政略結婚を試みる宰相一派。もはや宰相の弟ドンドとの婚姻が翌日に迫ったとき、カザリルは最終手段として自らの命を贄とする「死の儀式」をもってドンドを殺そうとした。結果ドンドは死亡したが、何故かカザリルは死ななかった。腹に腫瘍を生じ下血に苦しみながらも生きている彼の姿に、宰相一派は死の儀式を行った者は国姫一行ではないと結論する。 イセーレ達は宰相側が次の手を打ってくる前に、身の安全を図ることにした。それはより「まし」な相手との婚姻を先に結んでしまうこと。内密の協議の結果、選ばれたのは、内戦が終わったばかりの隣国イブラの国子だった。 しかし実際に手続きを始める前に、テイデスが感染症により死亡。また彼が行った暴挙により王家に伝わる呪いが活性化し、国主オルコは病に倒れた。いまや新たな国子となったイセーレの婚姻は、うかつに行えば隣国へ故国を売り渡す反逆行為となる。チャリオンの権利をなにひとつ損なわぬまま、隣国の国子をあがなってくること。その重大な任務をこなせるだけの能力と忠節を兼ね備えたのは、もはやカザリルしかいなかった。死の儀式で弱った身体に鞭打ち、イブラへと旅立つカザリル。宰相ジロナルの妨害や、狡猾な国主と伝えられるイブラの古狐との交渉など、困難は数えあげればきりがない。 それでも使命を果たすべく、イブラへとたどり着いたカザリルを出迎えたのは、何故か彼を「カズ」と呼ぶ国子ベルゴンで ――
なんかもう、全編通じて主役がよれよれです(哀) イセーレの祈りに応えた姫神の加護によって、かろうじて死こそ免れたものの、腹中には外から見てそうと判るほどの大きな腫瘍を生じ、そこに封じられたドンドの魂と死の儀式を行使する魔によって、毎晩毎夜苛まれる始末。そんな状態で馬に乗って、八百マイルの過酷な旅へ出発し、行った先では威厳を失わぬように交渉を行う。途中には宰相からの襲撃も受けるし、倒れるわ吐くわ下血するわ。 視点がほぼカザリルに固定されているので、自己評価の低い彼の目から見たその姿は、不様で哀れなひどいものです。 でも、ひるがえって第三者の目から見た彼は、有能で高潔で忠誠心の篤い、とても立派な人物なのです。本人は最後まで自覚ありませんが。
それにしてもいざ下巻を読んでみて、上巻でさりげなく語られていたガレー船でのエピソードが、こう関わってくるとは思いもしませんでした。まったくもって見事。 イセーレの旦那に半端な人物は許せん! とか思っていたのですけれど、そのあたりを読んで唸らされました。うむ、これなら許せます。 ……旦那とイセーレの二人ともカザリル好きすぎで、ちょっと笑えますがvv
まあ、なにはともあれハッピーエンドでなによりでした。面白かったです。
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No.3393
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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