よしなしことを、日々徒然に……
※ 2018年以降の記事は、別ブログの方へUPしています ※
新しいブログへは こちら からどうぞ。



 2011年07月25日の読書
2011年07月25日(Mon) 
本日の初読図書:
4840139784ゴーストハント5 鮮血の迷宮 (幽BOOKS)
小野不由美 いなだ詩穂
メディアファクトリー 2011-07-13

by G-Tools
元首相からもたらされた大がかりな依頼。
それは山奥の洋館で起きる、不思議な失踪事件を解明することだった。
増改築を繰り返され、迷路のようになった巨大な屋敷の中で、人が消えるというのである。消えた人物を捜しに入った捜索の人間まで行方不明になるに至り、洋館の持ち主である元首相は多数の霊能者達を集め、失踪の原因といなくなった人物の行方を探すことにしたのだった。
集められた霊能者達は、一癖も二癖もある者達ばかり。そんな中で、今回ばかりは最初から協力体制を取った渋谷サイキックリサーチの面々とぼーさん達いつものメンバー、そして何故か所長代理として雇われ同行した安原少年。
例の如く機材をセッティングし、複雑な屋敷内の平面図を作成し始めた彼らをよそに、他の霊能者達もそれぞれの方法で除霊をすすめていっていた。
しかしその霊能者達の間からも、行方不明者が出るに及び ――

個人的に、シリーズ中で一番好きなお話。
怖さも倍率ドンで、夜に読んだりすると暗い廊下が歩けなくなるほどの代物なんですが。
……う〜〜〜〜ん(悩)
今回は辛口評価なので、記事をたたんでおきます。

なんと言うかですね、このところ毎回書いている気がしますけれど、どうにもこのリライト版、裏目に出ている気がしてならないのですよ。
書き足されたエピソードは、あんまり役に立っているとは思えず、逆に好きだったシーンは削られているのが残念無念。
確かに、屋敷や持ち主の家系の背景、モブだった霊能者達の描写などが細かくなったところは、実に良いと思います。それで話にだいぶ深みが出たんじゃないでしょうか。超常現象についてのうんちくが増やされていたのも然りです。
けれどたとえば、麻衣がボールペンに遊ばれて床の傾斜を発見するところとか面白かったのに、なんで削っちゃったのかなあ、とか。
屋敷を管理していた老人の異常行動から行方不明エピソードなんかは、どうしてわざわざ追加したのか、どうにも謎に感じられます。モブ霊能者がやたら「ネズミ」を気にしていたのも「??」だし、ライトの向こうにちらちらかすめる人影なんて、起こる必然性がない、単に読者の恐怖感をあおるための演出にしか思えなかったり。

あと旧版ではしっくりきていた麻衣の女子高生らしさが薄まって、難しい言葉とかを普通に理解しちゃってるのが、なんとも浮いているというか。ぼーさんが論文(これもまた難解な文章に書き直してあったんだ)を暗唱したあと、判りやすく噛み砕くくだりとかも、必要だったと思うんだけどなあ。難しいよ、あの論文の一節。あれ女子高生どころか、読者にさえ理解しづらい文章だと思うんです。
リンさんと麻衣の和解の会話も、いまひとつ書き直し部分や麻衣の台詞量減らしたあたりのバランスが悪いというか…… たったあれだけの麻衣の言葉で、リンさん声あげて笑える程度にその葛藤は少ないものなのか? みたいな。

……そして今の時代にリライトするなら、多少なりと触れて欲しかったのは、携帯電話の存在。
今までの話ではともかく、今回のように二手に分かれて一方は軟禁状態。「報告は電話(※監視つき固定電話)で。あるいは昼間(に直接足を運ぶ)、書面を届けさせるのでもいい」というような台詞が出るシチュエーションならば、せめて「山奥で携帯は電波が届かないから」ぐらいの一言が欲しかったです。もしくは携帯がまだ普及していない時代だと、どこかではっきりと示すとか。
麻衣が「ナルの連絡先を教えてもらえない」と愚痴るシーンでも、「住所を知られたくないなら、携帯番号だけ教えればいいじゃん」と思ってしまうので、そこはやはり一昔前が舞台であることをはっきりさせるべきなんじゃないでしょうか(※旧版が発表されたのは 1990 年前後)。もしくは麻衣は苦学生だから携帯なぞ持つ余裕がないとかなんとか。そのあたりはどうとでも理由がつけられると思うんです。
だって最新機器やパソコンを駆使して調査を行っている人達なのに、今どき携帯のひとつも持っていないのか、と読んでいて違和感ありありなのですもの。映像とかの記憶媒体を「メディア」とわざわざ書き替えたりして時代を誤魔化しているのだから、そのあたりにも留意してほしいなあ……「明治三十三年が百年近く前」という表現だけじゃあ、ちょっと不親切すぎやしませんか、というのは高望みしすぎなのか。

むう……このリライト版は、もちろん出たら買って読むけれど、最後まで揃えたところで図書館に寄付しちゃいそうな気がします。だって旧版の方がおもしろいし、両方取っておくには場所ふさぎなんですもの……
No.3285 (読書)

 この記事へのコメントは以下のフォームからどうぞ
Name
E-Mail
URL
感想
2560文字まで

Pass

 
 この記事のトラックバックURL
https://plant.mints.ne.jp/sfs6_diary/sfs6_diary_tb.cgi/201107253285


No. PASS

<< 2011年07月 >>
Sun Mon Tue Wed Thr Fri Sat
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

サーチ :


 最新の記事
 2011年07月25日の読書

 リンク
 神崎へメール
 私立杜守図書館
 蔵書リスト

 

   

 ブログ内記事検索:
 
 AND OR  


Back to Home...

[管理用] [TOP]
shiromuku(fs6)DIARY version 2.41