よしなしことを、日々徒然に……
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 ヤバイ
2008年03月14日(Fri) 
いま無性にこれが欲しくて仕方ないんですが、どうしましょう。
4899840675巖窟王〈上巻〉 (世界名作名訳シリーズ)
黒岩 涙香
はる書房 2006-09

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ちょっと待て、お前すでに著作権切れテキスト無料で入手してるだろう。というか、こないだ岩波文庫の完訳版全7巻入手して、今まさに読んでる途中だろうがよ!

……いえね、なんというか。
けして山内義雄訳が悪いという訳ではないのですが。むしろがっつり面白く、非常に楽しくページをめくっているのですが。
けれどそれでも ―― 私は人に勧めるのであれば、ぜひ涙香版をお勧めしたいのですよ。

もちろん旧字旧仮名はかなり取っつきにくいでしょうし、登場人物みなが日本名になっているという、かなり癖のある書かれ方ではあるのですが。
しかしその文章の美しさは、なんというか、ほんとに素晴らしいと思うのですよ。
それに原作モンテ・クリスト伯よりも、伯爵を含めた各自の心情が深く描写されており、それぞれのキャラクターがとても生き生きとしています。
内面を描写することによって、伯爵の神秘性というか、謎めいたところが失われてしまうと感じる方もいらっしゃるでしょう。しかし私はこの伯爵の感情の豊かさ、情けの深さ、誰よりも他人を愛することを知り、そしてそれ故にこそ裏切られた際の憎しみもまた強く深い ―― そんな有り様に魅せられてしまったものですから、ちょっと完訳版の書かれ方が物足りないというかもどかしいというか。

……ある意味、涙香の巖窟王は、原作に対する壮大なパロディ小説と言えるのかもしれません(笑)

あと涙香版をお勧めするもう一つの理由としては、文章の書かれ方にあったりします。
以前に読んだ幽霊塔もそうだったんですが、この作品、雑誌連載という発表形態をとったためでしょうか。久しぶりに出てくるキャラクターに、その都度説明が入っているのですね。「かつての恋敵であった野西次郎は」とか、「檢事總長として名高い蛭峰が」といった感じに。
これ、長編小説を読んでいる場合には、ものすごーく有り難いことなんですよね。おかげさまで、途中「あれ、これ誰だっけ?」と首を傾げることがほとんどなく。
正直、この涙香版で人間関係を頭に入れていたからこそ、いまモンテ・クリスト伯を読んでいても戸惑わずにすむという感じだったり。

……ううう、紙書籍版買って永久保存版にしたい……そして母に読ませて感想を語りたい〜〜
No.1857 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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