年越し
 ― CYBORG 009 FanFiction ―
(2004/01/01 14:16)
神崎 真


 麺類を啜る音が、うす暗い中で低く響いていた。
「あちっ」
「おい汁が飛んだぞ」
「気にすんなって」
「ごめん、そっちにネギないかい?」
「そらよ」
 ずるずるずる。
「この赤いのはなにかしら」
「あ、それ紅葉おろし。あんまり入れると辛くなっちゃうよ」
「鰹節も用意してあるネ」
「とろろが欲しいのだが」
「アイヤ、さすがにそれは用意できなかたあるヨ」
「……そうか」
 ずるずるずる。
「それにしてもこのヌードル、ちょっと食いにくくないか? やけにぶつぶつ切れやがる」
「それこそおソバの特徴ネ」
「そうだよ。だから年越しそばなんだ」
「へえ?」
“オ蕎麦トイウノハ切レヤスイカラネ。ソレニアヤカッテ、旧年中ノ苦労ヤ災厄ナンカヲスベテ切リ捨テヨウッテ。ソウイウ意味デ年末ニ食ベルンダッテサ”
「なるほどね」
 ずるるっ ずるっ ずっ
「……そんじゃあ、まあ」
「うまい夜食で腹もふくれたし」
「我々もうっとおしい災厄を、年内中に片付けるとしましょうや」
「うっしゃ」


「 ―― メインエンジン始動。ライト点灯と同時に岩陰から離脱する。各自持ち場についてくれ」
「ラジャー!」


「ドルフィン号、発進ッ!」


(2004/01/01 14:38)


2004年の書き初めは、今年も009で。
……新年ネタと言うより年末ネタだというつっこみは勘弁(苦笑)


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