And that's all ...?
 モノカキさんに30のお題より】
 ― Makoto.Kanzaki Original Novel ―
(2003/1/12 11:17)
神崎 真


「『いるはずもないのだった ―― 』、と」
 最後のキーを操作し終えると、ひとつため息をついて、作業していたファイルの保存を命じた。
 そうして、いま書き上げたばかりの文章へと目を走らせ、もう一度息を吐く。
「よっしゃ、完成」
 にんまりと満足げな笑みを浮かべてディスプレイを眺めた。
 丸半年以上をかけた連作をついに仕上げたことで、その達成感を心ゆくまで味わう。
 ふとしたことで目にした、三十にものぼるテーマを元に、創作を行おうという企画。
 もともと掌編と呼ばれるような短い話や、テーマを決めた創作などは至極苦手としていた。それだけに、あらかじめ設定された題を元にした短編連作というその形態は、かなりの冒険ともいえる試みであった。
 それだけに、無事に終えられたということで、感慨もひとしおである。
「お疲れさま」
 さっそく発表するべくレイアウト作業を始めていると、そうねぎらいの言葉がかけられた。それに反応して顔を挙げると、笑みを浮かべて礼を言う。
「おかげさまで、なんとか無事に終わったよ」
 喜びを隠しもしないその口振りに、声をかけてきた相手もまた、嬉しそうに笑ってくれた。
 そうして持っていたコーヒーのカップを差し出しながら、問いかけてくる。
「……で?」
「ん?」
 首をかしげて聞き返すと、改めて言葉が足される。
「それでおしまい?」
 30本ものお話を書いて、それで満足?
 もう創作はおしまい?
 と。
 その質問には、思わず肩をすくめてしまった。
「 ―― まさか!」
 そうして湯気を上げるカップを掲げ、誇らしげに答える。
 これからも、自分が書くことを止めるなどあるはずがない。
 ひとつの課題を終えれば、また次の課題を始めればいい。
 書きたいものは、まだまだたくさんあるのだから、と。






And that's all ...?
(それでおしまい?)


No, it still continues!
(いいや、まだまだ続くさ!)


(2003/1/12 11:37)


実は半分も手をつけない内に書いてしまったネタ(笑)
無事にこれがUPできて、本当に良かったです。
長丁場になりましたが、ここまで達することができたのも、お読みくださった皆様のおかげです。長らくお付き合いありがとうございました<( _ _ )>


モノカキさんに30のお題

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