モノカキさんに30のお題より】
 ― Makoto.Kanzaki Original Novel ―
(2002/12/16 22:44)
神崎 真


 ―― ねえ、あなたは思わない?


 ―― 何をだ。


 ―― 雨って素敵だってことを。


 ―― 思わないね。


 ―― 優しいじゃない。


 ―― 冷たいだけだろう。


 ―― さあさあいう音が、耳にとっても気持ちが良いわ。


 ―― うるさくって耳障りだね。


 ―― ほら、濡れた地面から、土や草の匂いが立ちのぼってる。


 ―― じめついてうっとおしいだけさ。


 ―― あ、稲光。とても綺麗。


 ―― どっかに落ちなきゃいいけどな。ロウソクどこにしまってたっけ。


 ―― ……あなたは、雨が、嫌い?


 ―― さあ、な。いい加減にその口を閉じて、濡れた身体を拭いたらどうだ?


 ―― わたしはやっぱり、雨が好きだわ。


 ―― そうかい。


 ―― だってあなたが、こうしてタオルを渡してくれるもの。


 ―― …………。


(2002/12/16 22:54)


雷の鳴る冬の夜、布団の中で思いついて、わざわざ起き出して書いた代物。


モノカキさんに30のお題

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