―― かなうものなら、永遠に、と。
そんな言葉が交わされたのは、そう遠い以前ではなかったはずだった。
それは、代々のセイヴァン国王が、心の奥底に深く秘め続けてきた想い。
己の責務を誇りと思い、そのために命すら削ることを、いとおうとは思わないけれど。
それでも、願わずにはいられない想いがそこにはある。
せめて、己で最後にならないものかと。
自らの、息子に、孫に、同じ労苦を味わわせたくはないからと。
故に彼らは、願わずにはいられない。
かなうものなら、永遠に。
この在位の年を、永遠にでも自身が引き受けるから、だから愛しい子らは何も知らずに時を過ごせれば、と。
けれどそれは、けしてかなわぬ願い。かなえてはならぬ、想い。
ならば、せめて。
一年でも長く、一日でも多く。
それはけして、ひとときでも長く、権力の座にありたいからと、
そう望むが故の、欲望などでは断じてありえなかった。
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