よしなしことを、日々徒然に……
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 追放悪役令嬢の旦那様
2020年04月01日(Wed) 
読書記録:
■追放悪役令嬢の旦那様
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ユーフラン・ディタリエール・ベイリーは、法を司る法官長という職に就く父を持つ、伯爵家令息だった。6歳で青竜の国アルセジオス王太子アレファルドに引き合わされ、14歳の社交デビューからは『御学友』として共に学園へ通ってきた。
しかし学園生活が終わる頃、王太子は突如「婚約者を替える。あんな女はお前にやる」などと言い出した。冗談かと思われたそれだったが、卒業パーティーの席でアレファルドは、取り巻きである公爵家令息達三人とともに、婚約者で現宰相の娘エラーナ・ルースフェット・フォーサイス公爵令嬢へと高らかに婚約破棄を突きつけたのである。
「この毒婦め! リファナにしてきた度重なる無礼を、俺が知らないとでも思ったか! 貴様の顔を見るのも不快だ! 今日限りで貴様との婚約は破棄させてもらう! リファナへの度重なる悪質な虐めの数々も、しっかりと償わせるからな!」
そう宣言する彼の傍らには、金の髪と目をした、可憐な少女が寄り添っていた。
金色の瞳は、国の守護竜に愛される証。そんな彼女の意向は、全てに対して優先される。たとえ平民の出身であったとしても、王族との結婚すら許されるほどに、『守護竜の愛し子』とは重要な存在なのだ。そんな相手の機嫌を損ねたとあれば、守護竜の怒りによって、国そのものが滅ぼされることすらあるのだから。
その場の誰も彼女に手を差し伸べる事はなく、そこここから「悪役令嬢もおしまいね」といった呟きまで聞こえてくる。
孤立無援の中、やがて突き飛ばされたエラーナ嬢の表情が笑顔に変わり、よろよろと立ち上がった。そして彼女は見事なカーテシーを見せる。
「分かりましたわ。殿下がそこまで仰るなら、わたくしもこの婚約は白紙に戻して頂いて構いません。では、破棄の手続きがありますので本日は失礼致しますわ!」
そう告げて背筋を伸ばし、退場しようとする。しかし ―― その足元がよろめいた。どうやら転んだ際にどこか痛めたらしい。
危ない、と思った時には動いていた。
ユーフランはとっさに腕を差し伸べ、倒れそうになったその身体を支える。
「わ、わたくしに構うと貴方まで立場が悪くなるんじゃありませんの」
「あれ、俺の心配してくれんの〜。やーさしー」
「っ!」
「いいから、ほら。最後まで気張るんだろう?」
そうして彼は、エラーナ嬢を馬車に乗せ、屋敷まで送り届けた。
それから一夜明けて翌朝 ―― 父である伯爵から、ユーフランはとんでもないことを告げられる。
「エラーナ嬢と結婚しろ? 俺が彼女と? はあ?」
なんでも王太子により、エラーナは昨日のうちに学園を、そして今日中に国を出ろと命じられたらしい。すなわち国外追放である。あまりの無体ぶりに父である宰相はカンカンだし、国王陛下も頭を抱えているそうだ。なにしろただ一人の王子であるアレファルドに代わりはいないし、相手が『聖なる輝き』を持つ乙女では、公爵家といえども逆らうことはできない。しかもあの新しい婚約者であるリファナ嬢は、恐ろしいことに取り巻き達 ―― すなわち将来の国王の側近候補である、他の公爵家らの子息まで骨抜きにしているのである。当然彼らの婚約者達もリファナ嬢に対していい印象は持っていないし、そもそもユーフランが知る限りでは、エラーナ嬢がリファナ嬢に対していじめを行っていたという確たる証拠も存在しなかった。
そこで怒り心頭である宰相を宥めるためにも、事の真偽を調査するまでの間、追放処分を受けたエラーナを守る必要があった。しかしその結果いじめが事実であった場合は、守護竜の怒りに触れるためエラーナを庇う余地はなく、切り捨てるほかない。
そんな諸々を加味した結果、昨夜ただ一人エラーナの味方をしたユーフランへと、白羽の矢が立ったという訳である。
国王と宰相の意向とあれば、ベイリー家は逆らうことができない。それにユーフランは長男でこそあったが、能力的には弟であるクールガンに及ばないため、既に跡取りから外されている。そういう意味でも問題はなかった。
「いいよいいよオッケー。さーて、それじゃあ荷物まとめてくるわ〜」
ユーフランはちゃっちゃと準備をすると、おそらく二度と戻ることはないだろう実家を後にした。その足でフォーサイス公爵家へと向かい、カバンひとつだけを持ったエラーナ嬢と合流する。
目指すは隣国、緑竜の国セルジジオス。国境までは馬車で送ってもらえたが、そこから先はユーフランの私物である馬一頭だけが頼りの、野宿の旅。食糧は干し肉、寝床は地面に敷いた毛布のみだ。
幸い、国境を越えてすぐの土地の領主は、ベイリー家の遠縁であった。そこである程度の援助を受けられれば御の字。駄目なら平民に頭を下げ、適当な住み込みの仕事を探して労働するしかない。
公爵令嬢に耐えられる生活だとは思えなかったが、エラーナは思ったほどワガママを言うこともなく、死んだような目をしながらも素直に今後の説明を聞いてくれた。
そしてユーフランはユーフランで……この状況を楽しんでいたりした。
いやぁ、困ったね、これ。人生どうなるか分からないな〜。一生叶わないと思ってた横恋慕が、まさか叶ってしまうとは〜♪ 最高かよ。
王太子とその取り巻き達からは馬車馬のようにこき使われ、ろくに授業すら出席できないほど酷使されまくっていた彼は、それらから開放された上に積年の思いが形だけでも叶ったことで、内心浮かれまくっていたのである ――


婚約破棄された瞬間に前世の記憶を取り戻し、今後の破滅エンド回避を目指す悪役令嬢と、彼女に思いを寄せていた社畜系有能モブキャラとの、結婚から始まるスローライフ(?)な青春物語。書籍化、本編完結済。コミカライズの計画も進行中。思い出したような番外編UPはまだ続くのかな?
ユーフランは、エラーナが記憶している『らのべ』には登場していない存在。エラーナいわく、「作者の御都合主義を成立させるための因子」だとかで、とにかく「こんな物が欲しい」と言われれば大抵のものは速攻で作り上げてくれる、チートにも程がある存在です(笑)
王太子やその取り巻きたちが「きみのために作ったんだ★」とヒロインへプレゼントしていた諸々を、実際に発明したのはすべて彼。まあね、偉い人たちは「こういう物が欲しい」って要望だけ告げて、あとは専門家に丸投げするのがデフォなんでしょうが……ただユーフランはけして専門家ではありません。ただの同級生で御学友……のはずなのに、奴等は身分が下の者など「使ってもらえて感謝しろ」的な認識なので、時間も材料費も全部ユーフラン持ちのタダ働きで、感謝すらされずに搾取されまくりなのがもうね(−ー;)
そして本人は、「自分はその『必要なもの』を思いつく発想がない凡人」と刷り込まれているので、隣国でエラーナその他が大発明だ天才だと大騒ぎするのが理解できず、キョトンとしています。まさに社畜。無自覚チート。
あとベイリー家にもいろいろと秘密があって、ユーフランの異様な高スペックぶりの理由や、『聖なる輝き』についても徐々に明らかにされていきます。
エラーナは、最初は王太子と同じようにユーフランを利用してるんじゃね? いくら何でもワガママや無茶ぶりがひどくね? とか思わなくもなかったんですが、その理由もちゃんと語られます。軽くネタバレると、いわゆる『試し』行為だったんですね。エラーナ側からすれば、一国の上層部によって直々に国外追放を言い渡されたあげく、ほぼ初対面かつ原作にも出てこない謎キャラと交際0日結婚させられた訳ですから、そうそう相手を信用できないのも無理はなく。しかもユーフラン、見た目と言動が胡散臭いチャラ男系なんですもん(苦笑)
ユーフラン自身も自覚していなかった『貴族モード』だったらしいそれは、共に暮らすうちにだんだん軽減されていきますが、無自覚に惚気けるのは変わりませんww
心内語での口癖は「え、俺死ぬの?」。
嫁(仮)が可愛すぎて死にそう。幸せすぎて死にそう。常にそんな感じ。
長年隠し通して拗らせた、主君の婚約者への恋心は伊達じゃないぜ! と言うか、ストーカーの域に達しつつ、本人も「これ引かれね? キモいよね!?」と自覚しているので、新婚さんなのに心臓バックバクさせて手すら握れない状態です。もうね、ようやくお互いに想いを告げあって、まずは恋人からと仕切り直してからも、甘酸っぺえと言うかもだもだするというか……もうお前ら結婚しろ……って、とっくにしてるじゃねえか!? みたいなww
あと、ザマアはあんまりないです。そういう意味での爽快感は少ないかもしれませんが、これからは苦労しろよ自業自得どもめ! 的な感じなので、どちらが大変かと言われれば……的な感じでした。
そして情報伝達の大事さがしみじみと身にしみる……これってヒロインもある程度は被害者なんじゃ……いや今は事情知ってるのに、それでもまだエラーナにあの態度とかはやっぱり引くけど。
つくづく王太子たちがクズだと思いましたです……
No.1902 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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