よしなしことを、日々徒然に……
※ 2017年以前の記事は こちら になります ※



 追放悪役令嬢の旦那様 3巻
2023年10月12日(Thr) 
読書記録:


前世ではブラック企業で病んだあげくに社長から自殺を強要された悪役令嬢(冤罪かつ婚約破棄時点で記憶を取り戻し)と、阿呆すぎる王太子他高位貴族連中に搾取されまくっていた無気力系無自覚有能なモブキャラ(彼女の保護を親世代から依頼されてる元伯爵令息)との、追放&形だけ結婚から始まるあれやこれやの3巻目。
2巻で王太子側とはある程度の決着をつけたので、今回はあまり故国は関わってきてません。
……いや、逃げてきた難民を保護したり、暗殺(と言うにはお粗末すぎ)部隊を送り込まれたりはしていますが(苦笑)
基本的には、新しい面子(赤竜三島ヘルディオスの子供達とか)を加えて、いろいろ生活環境を整えようと、わちゃわちゃしている感じです。
ここにいたってもまだ、牧場カフェも竜石職人学校もスタートしてませんけど^^;;
今回は作中時間が数日しか経っていないので、そこまで物事が進んでいないのはしょうがないと思います。
二人の関係は、ようやくお互い気持ちを確かめあって、「とととと、とりあえず恋人からお願いしますっっっ!?」というところまではたどり着きました。でも両者(特にユーフラン側)に経験値がなさすぎるせいで、初々しい通り越してもはやギャグ。読んでてにまにまが止まりません。いいぞもっとやれww

収録は第三部始めの「面倒な来客」から、同じく終盤の『竜の爪』【後編】まで。
ついに竜の爪が登場しましたよ。爪が出てる挿絵2枚もあります。やっぱりここぞというところで格好良いよねユーフラン。
そして今回もラストの「 side アレファルド」は省略……というか後書きによると、どうもここらへんって、いろいろプラスしてQRコード特典になっていたようですね。期間限定だったからもう読めないんですが(´・ω・`)

書き足され部分としては、冒頭からいきなりウォッシュレット開発してて楽しいことになってたり、温泉まわりやミケの子供であるタロウやファイターラビットといった、竜虎・竜兎関係、あとはお米関係でまるまる一章書き下ろされてるのが印象に残った部分でしょうか。
そして竜シリーズは、これ十二支でも目指すんでしょうかww<WEB版では確か竜馬しか出てこなかった
他に違いとしては、ユーフランが緑竜セルジジオスの竜爪使いの家がどこか知らない点で、あれ?って思いました。確かWEB版では当たり前のように知っていて、話の流れでさらーーーっと「だから養子に望まれてた」的なことが書かれていたような。
なお、6巻で完結してるというレビューを見て買い始めたのに、しれっと7巻が発売された罠。
WEBで読んでた内容は6巻までで終わるっぽくて、むしろ5巻とかもほぼ描き下ろしみたいなんですよねえ。
WEB版ラストで新たな能力を得たユーフランが、それを活用する話は確かに読んでみたかったんですが……むむむ……(悩)
No.3708 (読書)


 無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す〜今代の聖女は姉ではなく、妹の私だったみたいです〜
2023年10月08日(Sun) 
読書記録:
■【Web版】無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す〜今代の聖女は姉ではなく、妹の私だったみたいです〜
 https://ncode.syosetu.com/n9034gj/

書籍化・コミカライズ、本編完結削除済で、現在は番外編3作のみ公開中。
代々優秀な人材を排出するサンチェス公爵家の、唯一の落ちこぼれと呼ばれ蔑まれていた地味令嬢が、生贄も同然に他国へ嫁がされた途端、無自覚に発揮されていたその能力に支えられていた聖女候補の姉&豊かな故郷は一気に問題が続出。嫁いだ先の帝国はというと、戦狂いとか物騒な噂のある第二皇子を含め、皇室一家全員ものすごく暖かく受け入れてくれた結果、様々な問題が解決してうっはうは系。
コミカライズが面白くて大本のWEB版の方を読み始めたのですが……ぶっちゃけこちらのほうがもっと私好みでした。
コミカライズも良いんですよ? 絵はきれいだしストーリーや描写、人間関係もよりドラマチックになっている感じですし。
特に主役カップルに関しては、「自己評価最底辺で落ち込みやすい薄幸系美少女と、言葉が足りなすぎる鉄面皮で脳筋気味なヘタレ朴念仁との、切ない系すれ違い両片想い」ならコミカライズがオススメ。
そして「自分は確かにこの家にふさわしいほどではないけれど、普通の令嬢としてならそこそこ優秀なのでは……? という自覚を持ち、実際に嫁いだ先で皇子妃としてしっかりやれている聡明で気丈な娘と、朴訥だけど言うべきことはちゃんと口にして支えになってくれる、ちょっと抜けてても頼りがいのある旦那との、政略から始まるほのぼの馬鹿ップル」を読みたいならWEB版。
そんな感じの印象でした<商業書籍がどっちよりなのかは不明
つまりWEB版のほうが、ヒロインもヒーローも芯が強いし、変なところで言葉を飲み込んですれ違ったりしないぶん、ストレス少なく読めたと言うか。
ほぼ最初から「政略でもこの人のそばに立つのが誇り」と、かなりいい関係を築いていたのが、ちょうど半分あたりでちゃんと気持ちが通じあって、その後は初々しいらぶらぶいちゃいちゃになってますし。
あとほとんどのキャラの頭の回転が早く、余計なところでぐだぐだしないのも好印象でした。
主役がちゃんと貴族や皇室の義務・権威を理解していて、変に罪人を庇ったりしないのがまた良いんですよ。それでいてザマアは行きすぎず、故国との関係も政治的に則って、ほどほどなところに落とし込んでいます。
姉に対しても、状況がそれを許すと確認し、さらに自分のエゴだと自覚したそのうえで処遇を決めていますし。
周囲の侍女や護衛騎士も家庭に問題を抱えていましたが、それぞれがそれぞれの形で過去に向き合い、型にはまった一辺倒な解決ではなく、許したり許さなかったりとさまざまな道を選ぶのが面白く。
ただまあ気になりどころは、コミカライズでは「忙しすぎて姉が妹をいじめていたのを知らなかった」「社交界で落ちこぼれと噂されているのも知らなかった」という描写のあった父親が、WEB版ではそのあたりまったく触れないまま和解して、親馬鹿に近い勢いで主人公を気にかけ始めるのが、ちょっとひっかかりを覚えたりとか。
……というかこの父親が仕事仕事言って、妻亡きあと幼い姉妹を放置してたのが全ての元凶ですよね……母親はあんなに先を見越していたんだから、せめて使用人ぐらいはしっかりした者をつけておけば……(ぼそ)
あと聖女試験の際に、主人公の存在は他の候補者達の能力を増幅しないの? という疑問がですね……これまでずっと無自覚に、そこに存在するだけで大嫌いな姉は愚か国中に影響を及ぼしていて、しかも膨大過ぎる力を意識して止めることはできないと説明があったのに。
聖女信仰協議会も……なんかいろいろ取り決めて発足してますけど、主人公と副騎士団長の存在ありきで決まったことが多くて、二人がいなくなったあと……次世代以降ちゃんと運営していけるのかが疑問だったり。
なにげに副騎士団長がめっちゃチートというか、この人の存在とか振る舞いも、けっこういろいろ反則だと思うんですよねえ(苦笑)
No.3706 (読書)


 偏愛の代償
2023年10月04日(Wed) 
読書記録:
■偏愛の代償
 https://ncode.syosetu.com/n7680hl/

美しい異母妹をいじめているという婚約者へ、もう何度目となるかもしれぬ注意をしていた王太子。
いつもは俯いて黙っている彼女だったが、その日は様子が異なった。
突如顔を上げた彼女は、こう叫んだのだ。
「でしたら、貴方が……! 貴方が代わってくださいっ!」
初めて見る泣き顔に衝撃を受けている間に、彼女は走り去っていった。
ただ呆然と見送った彼は、それを激しく後悔することとなる。なぜなら翌朝目が覚めた時には、彼の精神と婚約者のそれが入れ替わっていたのだ ――

全3話完結済。
よくある家族に虐げられる姉と、真実を知って心を入れ替える婚約者のお話……かと思いきや、終わり方がえげつなかったです(苦笑)
王太子は事情を知って、改心。謝罪もしたんですけどね……でもそれで許せる範囲を越えてしまっていた、と。
まあある意味彼は、被害者でもあるんでしょう。婚約者の話を聞かないで、美人な妹の嘘をまるっと信じた愚か者ではありますが。
それでも未来の国王として、それではやっていけなかったが故に、こういう結果になってしまったのでしょう。
王族の義務と責任、怖いッス。
No.3703 (読書)


 追放悪役令嬢の旦那様 2巻
2023年09月21日(Thr) 
読書記録:
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

追放悪役令嬢の旦那様2 (ツギクルブックス) [ 古森きり ]
価格:1,320円(税込、送料無料) (2023/9/21時点)



婚約破棄時に前世の記憶を取り戻した悪役令嬢(ヤケクソ気味の超前向き破天荒)と、物語の中ではモブでしかなかった、リアルチートな規格外旦那(主君の婚約者に横恋慕しちゃってた、チャラ男系装った超奥手)との、追放&政略結婚から始まるスロー(?)ライフ&じれじれもだもだバカップルもの。2巻目です。
収録は三部の冒頭「嵐のあとで【後編】」まで。1巻で転生のことをカミングアウトしてちょっと親密になりましたが、今回はまだお互いすれ違ったままです。なんかすれ違ってるらしいことに二人してようやく気がつき、歩み寄ろうとはするけれど、それってどうすれば良いの??といった時点です。
そして今回も「 side 女子会」は入っていませんでした。
なのでエラーナが、ユーフランにあれやってこれ作ってと、かつての王太子達と変わらないんじゃね? ぐらいの無茶振りやわがままを言っている理由が明かされていません。ユーザーレビューで辛口な意見があるのも、これが理由のひとつじゃないかなあ。続刊で語られるんでしょうかここ?
気になる方は、WEB版二部ラストの「 side 女子会」を要チェックですΣG(`・ω・´)
その点含めて、ラナがけっこういろいろ考えて葛藤しているのが語られているこの話を、なんで削っちゃったんでしょうかねえ。
文章を整える以外の場面的な書き足しは、ラーメン作りくらいかな。ラーメンの麺ってかん水とか重曹とか必要だった気がするんですが、そのあたりは華麗にスルー(笑)
判ってやってるのか、ラナ曰くの「作者の知識の偏りがヤベえ」なのかは謎ですが。まあ、規格外リアルチートな旦那のお陰で、何をやってもうまくいくのがこの話のミソなので、そこはノリで流せばいいと思います。
WEB版ではほとんど出てこなかった南方2国のこともチラチラ触れられてきています。紫竜ディバルディオスはお箸を使う文化らしいので、和風っぽい国なのかな? 書籍版の続刊ではそっち方面に旅行したりもあるようなので、ちょっと楽しみだったり。

……ただなあ……本当に編集仕事しろという部分が随所にあって、ちょこちょこ「あれ?」と集中を削がれるのが残念でなりません。
1巻で普通に野生動物についていろいろ語ったり罠を仕掛けたと述懐していたユーフランが、家畜屋に話を聞いて「そ、そんな危険なやつがいるのか!」って驚いていたり、前の晩に「トレイもないのに大変だろう」って配膳手伝ってたのが、翌朝にはしれっーとトレイで運んでたりと、ちょこちょこしたところで引っかかる違和感が気になっちゃって……WEB版なら無料ですし下書きだと思って読み流すんですけど、仮にも商業作として対価を取るなら、もうちょっと全体の整合性を取ってほしいなあと切実に思うのでした。
No.3686 (読書)


 元暗殺者、転生して貴族の令嬢になりました。
2023年09月09日(Sat) 
読書記録:
■元暗殺者、転生して貴族の令嬢になりました。
 https://ncode.syosetu.com/n6845hg/

スラムで生まれ育ち番号で呼ばれ、生にも死にもさほど興味がないまま、漫然と数十年間暗殺者を続けていた存在。最後に他人を命がけで守る騎士に相打ちで倒された『それ』は、よく似た別の世界へと公爵令嬢として転生した。かつては殺しのために潜入などもやっていたので、「普通の令嬢になりすます」を当面の目標と定めて生きようとするものの、根本的な価値観が相容れないため、どうにも周囲とうまくいかない。
使用人達は、襲ってきた野良犬を躊躇なくナイフで刺す子供を恐れ遠巻きにするし、優しいだけが取り柄のお花畑な母親は、庭に迷い込んできた孤児の少女をただ面倒見るだけならまだしも、正式な養女としてしまう。おかげでつけあがった元平民の義妹と、それを甘やかす母親のためにいろいろと面倒事が起きるが、巻き込まれる前にさていつ出奔しようかと計画を練っていたところで、義妹が素行の良くない第二王子の婚約者となる。しかし勢力争いその他の巻き添えになるのはごめんだと、家出を実行に移したそのタイミングで、第一王子が接触してきて……


異世界から異世界への転生もの。書籍化・コミカライズ済。本編完結済。
なんというか、主役も第一王子も、乙ゲー世界の外側の冷静な人たちという感じでした。
なお最後のSS2本は、内容が書籍に準じているようで、WEB版本編には登場していないキャラが普通に出てきています。
WEB版ではほぼ空気だった父公爵が、けっこう食わせ者だったと判明するのは面白いんですけどね。
……しかし義娘があれだけ問題を起こしたその同じ家に、別の王子ととはいえ王家がまたも婚約を持ち込むのは……いや逆にありなのか? 妹が駄目だったから姉をというのは、家重視の政略結婚的には普通なのか、も?
それよりも、妹があれなことになってるうえに血の繋がりがない義妹である以上、セレナ(主役)は唯一の実子であり跡取りなのだから、嫁に出すことはできない=この婚姻はありえないんじゃないかと思うんですが。
複数子供を作って、一人を養子に出すという形で公爵家を存続させる形にするつもりなのかなあ……
No.3679 (読書)


 追放悪役令嬢の旦那様 1巻
2023年08月30日(Wed) 
読書記録:
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

追放悪役令嬢の旦那様 (ツギクルブックス 1) [ 古森きり ]
価格:1,320円(税込、送料無料) (2023/8/30時点)



個人的に、この作者さんの作品で一番好きなお話。なろうから書籍化1冊目。6冊で完結……かと思いきや、今度7巻が出るらしいです。
内容に関しては、WEB版を読んだ時に書いているので省略。
1巻にはWEBでの第一部終盤、ラナが前世についてフランにカミングアウトして、これから改めてよろしくとなる「悪役令嬢」まで収録されていました。ラストの「 side アルセジオス」は入っていませんが。
……うーん、加筆修正がかなりあるのは嬉しいものの、ちょっと文章を整えすぎて、WEB版のノリと勢いが減っちゃった印象がしなくもないような?
特にユーフランのチャラさが、控えめになってる感じがするんですよねえ。あの独特のノリが良かったのに。同じ場面を長くかけて描いているせいで、「え、俺死ぬの」の出現度合いが減っちゃってるような気がですね。

場面の加筆としては、WEB版で途中からいきなり出てきたトラ達との出会いとか、エラーナの畑作りとか、主に二人のワクワクドキドキ新生活★ まわりが多かったかと。
あ、トラとの出会い関連が入ったことにより、密猟者との立ち回りというフランの見せ場が、前倒しで入っていました。WEB版では唐突感のあった竜の爪に関しても、ちらりとだけ匂わされています。
というか、ここのフランはめっさ格好良かった。ちょっとWEB版とはキャラ違う感じもするけど、これはこれでギャップ萌えvv

久々に気になった貨幣価値は、

 銅貨=100円
 銀貨=1万円
 金貨=100万円

といったところでしょうか。
一番少額の貨幣が銅貨で、髪飾り(シュシュ)が最初、銅貨5枚(推定500円)の値付け。以降、100枚ごとに銀貨 → 金貨と繰り上がっていくから、こんな感覚で良いはずですよね?
金貨5枚(推定500万円)で、ボロ小屋が小さい家に改築できるという話ですし。
……その場の流れで軽く頼んだ小型冷蔵庫に、金貨10枚=1千万円請求されたクーロウさん、さすがに可哀想かも(笑)

あとはこれ、個人的には非常に切実なのですが……WEB版と書籍版で、国の配置が違う〜〜・゜・(ノД`)・゜・
私は文章を読みながら地図や間取りを脳内に描いていくタイプなので、WEB版で想像していた地図とごっちゃになって混乱しております。
一縷の望みでコミカライズ版の試し読みを確認したら、ちょうど地図が描かれているコマが見つかったものの……それはそれで何故か書籍版の配置を180度回転させてるし_| ̄|○ノシ<単に地図が逆に置いてある訳ではなく、脇の吹き出し説明も「南に〜」が「北に〜」になり、「北西に〜」が「南東に〜」になっている
新居の室内間取り描写も……これはWEB版とおおむね同じ記述だったんですが、やっぱり脳内図面に起こせない……え、これ私の読解力が足りないの??
ちょっと切実に、書籍版の地図と間取り図が欲しかとです〜〜( T _ T )
No.3675 (読書)


 リスになってしまった婚約者が、毛嫌いしていたはずの私に助けを求めてきました。
2023年08月29日(Tue) 
読書記録:
■リスになってしまった婚約者が、毛嫌いしていたはずの私に助けを求めてきました。
 https://ncode.syosetu.com/n6001ic/

薬学の名門、パーシバル伯爵家の長女アメリアは、婚約者から酷く嫌われていた。
医者の家系であるセスティナ公爵家の長男であるセドリックは、将来王宮医になることが約束されている。つまりは親同士が決めた政略結婚という訳だ。
しかしアメリアは父が浮気してできた庶子であり、母親が死んでパーシバル家に引き取られこそしたものの、まともな扱いはしてもらえていなかった。住む場所は庭に建てられた粗末な離れで、許された食事は夜の一食のみ。義母からは雑用を押し付けられ、弟妹達には何かと嫌がらせをされる。それだけではなく薬学の研究成果まで次々と横取りされてしまった。そして父親といえば、アメリアをまるでいない者のように扱い、その母親のことを「少し優しくしてやったら勝手にのぼせ上がった」などと口にするの。
そうして、そんな家族らにあることないこと吹き込まれたセドリックは、アメリアを高飛車で我儘で人嫌いで、社交もしなければ洒落っ気のひとつもなく、婚約者である彼のことも馬鹿にしている、どうしようもない女だと信じ込んでいたのだ。
アメリアは特に、それを訂正しようとは思わなかった。継母や妹弟から意地悪されながら暮らすよりも、離れで暮らしていた方が気楽でいいし、どうせ優秀な次代を生むためにと決められた婚約だ。品種改良のようなものなのだから、勤めさえ果たせばそれでいいだろう。
そう思いながら数年が過ぎ、アメリアが十六歳になった今でも、結婚の具体的な話は全く進んでいない。
そんなある日の晩のこと、アメリアの自室を訪れる珍客があった。
それは小さな可愛らしい野リス。何やら必死の形相でキューキューと鳴き、しきりに前足を動かして、なにやらゼスチャーをしている。
「お腹がすいているの? ええと……確かどこかにひまわりの種があったような気がするのだけれど……」
「キューッ!」
リスは意志が通じないことに焦れて、アメリアの机に飛び乗った。そうして並べてあった本の背表紙を指さし始める。
「C、E、D、R、I、C? セドリック? セドリック様? えっ、セドリック様なんですか?」
試しに古代魔術を参考にした解毒薬を舐めさせてみると、リスはセドリックの声でしゃべりだして……


家族に酷い扱いを受けている天才少女(マイペース淡々系)と、事実を知って反省し、反動でいろいろ爆発させた元俺様系のラブコメディ。
もともと第一部で完結していたものが、好評につき続編を書かれたそうです。現在二部目まで完結済。
9月に書籍版刊行予定だそうです。
んー……俺様の方はまあ、情報を操作されていた事による被害者と言えなくもないですからね……素直に反省して、行動を改められるのは評価できるということで。
元家族の方は……うん、これ完全に自業自得。というかむしろこれだけ? という感じでザマアがぬるく感じてしまいました。まあ、姉の研究成果を横取りできなくなった弟妹は、今後ちゃんとやっていけるのか謎ですし、公爵家を敵に回した伯爵家が、貴族社会でどうなっていくのかは想像に難くないですが。
第二部の方は、ちょっと雰囲気が変わります。ラブコメ要素も強くなっていくのですが、王位継承に関わる陰謀とかも絡まってきます。
ケイ第一王子が、本当にすごい人で……正直途中、アメリアちゃんこっちに乗り換えない? と、かなり本気で思っちゃいました。
思っちゃっただけに……思っちゃっただけにぃぃぃいいい・゜・(ノД`)・゜・
No.3674 (読書)


 婚約破棄された悪役令嬢が辺境モブ貴族の俺の家に嫁いできたのだが、めちゃくちゃできる良い嫁なんだが?
2023年08月27日(Sun) 
読書記録:
■婚約破棄された悪役令嬢が辺境モブ貴族の俺の家に嫁いできたのだが、めちゃくちゃできる良い嫁なんだが? 〜105
 https://kakuyomu.jp/works/16817330654777423081

異世界にモブ転生した元日本人青年(記憶はおぼろで知識のみ)。
隣国と魔物が攻めて来まくる辺境の伯爵家しかも三男。家督を継げるでもなし、将来は冒険者にでもなろうと高をくくっていたところ、15の年に父と兄二人が相次いで戦死。家を継ぐことに。
さらには慣れない領地経営で頭を抱えているところへ、押し付けられた縁談相手が、訳アリ令嬢。
前世でプレイした乙ゲーで悪役令嬢であった彼女は、追放された辺境で悪魔と契約。王都のヒロイン達へ復讐を果たそうとし、そのまま破滅する。そしてこの領地はその際のとばっちりで壊滅してしまうのだ。
ああもう面倒くさい。いっそどこかで死んでもらうのが手っ取り早いかと思いつつ迎えた令嬢だったが、そんな彼女もまた、乙ゲー世界のご都合主義に振り回された被害者とも思えてきて……


乙ゲーモブキャラ転生で、悪役令嬢救済……からの、途中からなんか予想外な方向に二転三転する感じで、どういったものか(苦笑)
かなり重要そうな情報が語られ始めたところで、二ヶ月以上更新が止まってます(´・ω・`)
とにかく脳筋。すべてが「ブレイブ家」だからで片付けられてしまう、戦闘特化な家で英才教育を受けた、一見普通に見えて実は狂犬な主役と、元々は第一王子の婚約者ということでめっちゃ努力したハイスペック令嬢が、なんだかんだでお互いを認め受け入れ初々しいラブコメを繰り広げているその周りでは、いろいろ権謀術策ドロドロ渦巻いているのを、二人して力技で破壊していってます。
36話あたりで、推定転生者のヒロイン枠が、ただの脳みそお花畑ではなく、なにやら思惑と信念を持って動いていると判明したあたりから特に面白くなってきます。
さらにザマア……というか、第一王子が一度アレなことになってから一皮むけて(物理)、別の意味で面白くなってきたりww
本来なら、隣国や魔物から国を守る辺境伯という一目置かれるはずな家系の主役が、辺境の猿と呼ばれ、王都の貴族から差別されまくっているのも、後にちゃんと理由がでてきます。
乙ゲーという歪(いびつ)で狂った世界を成立させるために、舞台の外で皺寄せを食っていた者達のあれこれという感じで、かなりエグい内容も多く。
特に主役は、記憶を取り戻した理由が3歳で魔物退治中にオークに殴り殺されかけたからという、めっちゃ過酷な人生を生きてます。最初は普通の少年っぽいですが、じょじょに倫理観とか戦闘能力とかいろいろぶっ壊れていることが判明していくので、要注意。
ムカついた敵をオーバーキル気味にヤッちゃうのはまだともかくとして、ほぼ売り言葉に買い言葉で「命をかけて決闘を申し込む!」とやらかした学園編での同級生(※攻略対象者)を、「決闘は決闘なので」とさっくりヤッちゃったりとかですね。
自分が狂っていることに自覚と諦念を持ちつつも、認め合える強敵との戦いには心が躍るバトルジャンキーの面もあるしで、ほんとに読む人を選びそうです。
私は楽しく一気に読んじゃったんですけどね(笑)
No.3672 (読書)


 もふもふとむくむくと異世界漂流生活
2023年08月20日(Sun) 
読書記録:
■もふもふとむくむくと異世界漂流生活 〜1525過ぎる日々と旅立ちの予感
 https://ncode.syosetu.com/n2245fj/

書籍化・コミカライズ済、連載中。
超絶長いです。コミカライズ始まってしばらくしてから読み(聴き)始めて、最新話まで追いつくのに5ヶ月ぐらいかかりましたよ。現状、整形済みテキストファイルでも8MB超えてます<通常2〜300KBで文庫1冊分

内容としては、愛猫と愛犬と一緒に交通事故にあって、そのまま神さま転生。
神さまいわく、マナ不足で滅亡の危機にあった世界が、彼がやってきたことにより救われたので、あとはもう何もしなくて良い。自由に好きに生きてくれとのことで、肉体は元の世界を参考にこちらの世界向けに再構成。柴犬だったマックスはヘルハウンドの亜種に、長毛雑種三毛だったニニはリンクスという魔物のやはり亜種になっていて、これがもうトラやライオンどころか、小さめのアジア象ぐらいあるんじゃなかろうという大きさ<普通に立った状態で、180cmオーバーの主役と頭の位置が同じかむしろ高いぐらい




でも外見や性格は元のままかつ、主役にテイムされた状態になったことで、大幅に知能UP。
念話で言葉も通じるようになっていて、ご主人大好き! これからは私達が養いますね! といった具合。
その後もどんどん魔獣やモンスターをテイムしていく訳ですが、基本的にみな食料調達など自分の面倒は自分で見られるし、モンスターは身体のサイズをある程度変えられるため、何匹テイムしても普段は小さくなっていてもらえば、スペースに困ることもなし。
そしてみんな狩り大好きで、幻の高級肉になる獲物とか、超貴重な素材をガンガン獲ってきてくれるし、浄化と収納持ちのスライムのおかげで、衛生面でも経済面でも全く困らず破綻しない。

とまあ要するに、犬好き猫好き、動物好きの夢を具現化したお話です(笑)
主役は基本的に平穏を愛するごく普通の青年で、仲間たちと一緒にのんびり世界を見て回れたら良いなあと思っているタイプ。
なのに何故か行く先々で、トラブルを引き寄せる厄介体質ww
しかし料理好きな為か実直でお人好しなためか、チュートリアルとしてしばらくは面倒見てあげるよと、リス型になって同行していた創造主さまを皮切りに、世界を密かに支えている戦神の化身(壮年の筋肉男)とか、調停の神の化身(色違いの以下同文)とかをどんどん籠絡していき、さらには賢者の精霊ケンタウロス(男)までパーティーに入るわ、期間限定で助力に来た神様仲間連中(老若男女混成)まで根こそぎ鷲掴みにして、もはや人間の仲間のほうが少ないよww という状態。
あ、この世界の神様たちは、いわゆる全知全能系ではなく、ギリシャ神話や日本神話のそれのように、すごく人間臭くて好き嫌いがはっきりしていて、ポカもやるし強引だしできないことも多いタイプです。

そんな彼らに押し付けられた収納の中身は、既に国家予算を超えているレベル。途中からもう買い物時にまったく値段を確認しなくなっています。むしろ塩漬けにしてるといろいろ経済とかまずいだろうからと、なんとかして他人に寄付という名の押しつけをしようとしているような、とにかく鬱展開のほとんどないお話です。
……まあ、たまにトリケラトプスに突っ込まれて死にかけたり、危険な地下迷宮のセーフティーゾーンで何故か地面が崩落、地下水路に落ちて仲間からはぐれて危機一髪なんてことになってますが(苦笑)

要注意点としては、文章? 文体? に慣れるのにしばらくかかりました。なんというか、毎日のルーティーンを省略せずに、ほぼ毎回書かれてるんですよね。慣れてくると、微妙ーーーに少しずつ変化してきているのが判って、「お、今日はここが違う」とか楽しめるようになるんですが。
あと「分からないことは全部まとめてぶん投げておいた」とか「これって間違ってないよな?」といった言い回しが頻繁に出てくるんですけど、水戸黄門の印籠みたいに狙ってやっているのだと理解するまで、ちょっとうっとおしく感じちゃいました^^;;ゞ
そして話の進むスピードがめちゃめちゃ遅いです(笑)
なにしろ51話で決めた目的地にようやっとたどり着いたのが、840話ですからね。予定は未定で迷走しまくり。ものすごーーーく前にちょろっと言及されていた伏線が拾われるのに、平気で数百話あきます。っていうか658話末尾で語られていた「この時の理由を深く考えなかった事を、後になって俺達は死ぬほど後悔する」という伏線が、1525話現在まだ拾われてないと思うんですけど、作者様覚えていらっしゃるのかな……(苦笑)

個人的には、筋肉質系おっさん(外見年齢30〜60代ぐらい)多めで、女性キャラとも安易にどうこうならないのが好ポイント。
実年齢いくつ? っていうおっさん連中が、子供みたいにわちゃわちゃしているのが楽しいです。女性キャラも不自然ではない程度に登場しますしね。
正直、ベリーが妙齢の美女になったりとかしてたら萎えたと思う……女性キャラの中では、バイゼンの発明王さんが好きかなあ。主役が主夫になって、裏でその発明を支えてあげられたら楽しそうとか思いますが……なんか主役の身体、寿命がアレなことになってる疑惑があるし、恋愛方面は今後も出てこないかもですねえ。
No.3666 (読書)


 捨てられ聖女の異世界ごはん旅 隠れスキルでキャンピングカーを召喚しました 5巻
2023年08月19日(Sat) 
読書記録:



WEBから書籍化、第5巻。
今回からは完全書き下ろしです。表紙やあらすじを見たら海が舞台とのことだったので、これまでに削られてしまっていた潮溜まりでの素潜りエピソードが入るのかなあと予想していたら、それも全くありませんでした。
……っていうか、ラストにまだページ残ってると思ったら、同作者さんの別作品の試し読みが20ページちょい入ってました。
WEBでも読めるんだろう別シリーズの試し読み入れるぐらいなら、描き下ろしSSか、ピクシブで公開しているミニSS群でも良いし、なんならページ自体を減らして価格を下げて欲しかったと思うのは贅沢な話なのか(´・ω・`)

内容的には、王都でのあれこれが一段落ついて、拠点の港町へ戻ってきた時点から。なにやら海に異変が起きていて、このまま放置していては港町の存続どころか国そのものの物流や経済すら怪しくなってくるので、ひとまず調査をというギルドからの指名依頼。さっそく海辺へ行ってみると、以前の海の見回りで助けた、神の使いと呼ばれるシャチがいて……というところからの、ダンジョン化した海底神殿での冒険です。
相変わらず、食い倒れ万歳なところはお約束★
ただフィールドの特殊性もあってか、今回はちょっと皆さんおとなしめだったかな?
ごまみそは大活躍してましたが。
海の女神様(挿絵有)がめっちゃ可愛かったのと、なんかセノンさんがどんどんリンちゃんに優しくなってきている感じなのが印象に残りました。
ヴィルさん、いつまでも「食いしん坊仲間たましいのきょうだい」とか言われてると、そこの肉食エルフに持っていかれちゃうぞ……ww
あ、聖女サイドに関しては全く出てきてませんでした。そういう意味では4巻目と打って変わって、ほとんどお話進まなかったです。
No.3665 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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