よしなしことを、日々徒然に……
※ 2017年以前の記事は こちら になります ※



 辺境の老騎士 バルド・ローエン 6巻
2023年11月23日(Thr) 
読書記録:

……積みっぱなしにもほどがあった1冊を、久しぶりすぎたので1巻から読み返していてようやく未読部分まで到達。 次の巻はなんとか入手できましたが、8巻が在庫切れ&プレミアついて新刊より高くなってる_| ̄|○

なろう発の、爺ちゃん食い倒れ旅から始まる、世界を巻き込んだあれやこれやのコミカライズ版。本編も削除されずに全文どころか、書籍のおまけSSまでカクヨムで読めます。

■辺境の老騎士(支援BIS) - カクヨム
 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887903142

■辺境の老騎士外伝(支援BIS) - カクヨム
 https://kakuyomu.jp/works/1177354054887905359

収録は、革職人ボルボの冤罪を晴らす後半から、エンザイア卿の入れ替わりを暴きつつ月魚との出会い、モウラを故郷へ送る道中で継承争いに悩み出奔する少年主従との出会いと別れまで。
「もう死に場所を探す旅は終わりじゃ」という、ちょうど小説版の1巻ラスト、WEB版だと序章〜第1章まででした。
書き下ろしSSはモウラ視点で、集落を離れて旅立った動機的な。
小説は全5巻(購入済だけど3巻までしか読んでない)ですから、このペースだとコミカライズは30冊ぐらい? いやまあこれからどんどん話が濃くなっていくから、もっと伸びそうではありますがww

そして相変わらず書き込みがエグいです(笑)
グルメエピックだから食事が美味しそうなのはもちろんなんですが、金属製のゴブレットの彫り模様とか服の刺繍とかすごくきれいで……先に読んだ母などは、細かすぎて目がチカチカするって言ってました^^;;
WEB版や書籍版を読んだのが相当昔な上に、どちらも最後まで読了していないのでラストは知らないままなんですが、それでも覚えている部分だけでも「ああ、このとき出会ったこのキャラが、のちにまた……」と思い出されて、かなり初期からものすごく計算されたお話だったのだなあとしみじみしてみたり。
ユーザーレビューを見る感じ、最初にカットされた「ガンツの娘」エピソードも、続刊で回想として出てくるらしいですし楽しみですね!
……それまでに8巻が再販されるか、手頃価格の古本が入手できますように……<現在10巻まで刊行中
No.3748 (読書)


 ひょうたん(漂月短編集)1〜3
2023年11月21日(Tue) 
読書記録:
■ひょうたん(漂月短編集)01「勇者は余と戦ってくれ」
 https://ncode.syosetu.com/n1701ij/

■ひょうたん(漂月短編集)02「呪術師メルツの解呪録 〜呪われた美少女が僕を殺しに来たけど心当たりが全くない〜」
 https://ncode.syosetu.com/n3759ij/

■ひょうたん(漂月短編集)03「少年忍者と破戒僧」
 https://ncode.syosetu.com/n6289ij/

「人狼への転生、魔王の副官」の漂月さんの短編3本。
「勇者は余と〜」は、好評だったそうで連載化されてます。
個人的には「呪術師〜」のどんでん返しが面白く、後日談が読んでみたい感じ。
世界観や雰囲気は「少年忍者〜」が一番好みでした。破戒僧の飄々とした感じが、ちょっと花の慶次っぽかった。
No.3746 (読書)


 ゴブリン令嬢と転生貴族が幸せになるまで 婚約者の彼女のための前世知識の上手な使い方
2023年11月18日(Sat) 
読書記録:
■ゴブリン令嬢と転生貴族が幸せになるまで 婚約者の彼女のための前世知識の上手な使い方 〜アナ誕生 新米ママの奮闘
 https://ncode.syosetu.com/n0174gy/

前世の記憶を持つジーノリウス・アドルニーは、貴族とは名ばかりの貧乏子爵家のしかも四男として生を受けた。将来家を出て自分で身を立てなければならないと判断した彼は、幼少期から知識の吸収に励み、十歳にして商売を始める。前世の知識という反則技があったおかげで、商会はわずか六年で急成長。国内主要都市ほぼ全てに支店を置くほどには到達できた。
そしてその手腕を父からも認められ、領地経営にも意見を求められるようになり、実家も多少は持ち直した。あとは独り立ちするだけだと思っていた頃、はるかに格上の大貴族から縁談を持ち込まれる。
王家に継ぐ権勢を誇る筆頭公爵、セブンズワース家。現当主は宰相で、その妻は国王の妹君。まさに雲の上の人々だ。
一人娘であるアナスタシア嬢は、ジーノと同じ十六歳。本来なら多少名が売れたとはいえ子爵家の四男に入り婿の話など、来るはずもない。しかし彼女にはひとつ大きな問題があった。
社交界でゴブリン令嬢と揶揄されるほどの醜女だったのである。
故に数々の見合いはすべて破談。こんな下級貴族にまでお鉢が回ってきたらしい。
そうして迎えた見合いの日。両親とともに現れた令嬢は、確かに異相であった。しかし言葉を交わしてみれば、彼女が聡明で上品で、素晴らしい人柄だというのはよく判った。
そんなアナスタシアは、二人きりになった際、ジーノに謝罪する。
仮に自分ごときと結婚しても、自分を大事にしてくれている両親や伯父(国王)、祖母(王太后)の存在がある以上、愛人を作ることも出来ないだろう。自分の方からこの縁談は断りを入れるから、どうか安心してほしい、と。
「その、何の話をされています? 私は浮気するつもりなど毛頭ないのですが」
縁談の場で、なぜいきなり浮気の話が出るのだろう? ジーノは何を言われているのか、全く理解できずにいた。
前世の彼は、地域でも有名なキモメンだった。恋人どころか妻も、友人もできず、生まれてから独居老人として天に召されるまでずっと、容姿で差別され続けてきた。
結果、彼の美醜に関する感覚は摩耗しきっていたのだった。
故にジーノは、彼女の容貌など完全にスルーし、こんなに愛情深く優しくて聡明そうな人達と家族になれるのなら、実に素晴らしい縁談だと、心躍らせていたのである――


男性主人公の転生系。前世知識チートでやらかしまくりつつ、主題はすれ違い恋愛的な?
書籍化・コミカライズ、本編完結済で、番外編がたまにUPされている模様。
最初はまだ令嬢が出てきていなかったコミカライズから入ったため、肌の色と耳の形が異なるぐらいで、サブカル好きの日本人には……という展開かと思ったら、小説の方ではかなりがっつりゴブリン気味でした(汗)
でも家族や使用人がみな良い人達で、いじめられる場面などはほとんどなかったので、そういう点では安心して読めました。
むしろそんなことより意外な展開が、いろいろいきなり出てきて、何度も「へっ!?」ってなりました(笑)
たとえばジーノが前世で生きていたのが、実は現代地球ではなかったこと(日本ではあるけれど、平行世界的なちょっと異なる世界線?)とか。
内面は聡明で穏やかで小動物的な可愛らしさのあるアナスタシアが、いきなり暗器を使いこなしていたりとか。
平凡なゴーレムエンジニアとか言っておいて、そのゴーレムの用途が多岐にわたりすぎてて、付随する知識の範囲が広すぎるだろうとかww
前世知識で作った薬とか、異世界で同じ材料揃えられるのかとかそもそも体質が同じとは限らないんだから……と思っていたら、実は……な展開があったりとか。
まあツッコミどころはいろいろあれど、前半は甘々イチャラブで、容姿で苦労した割にちっとも内面が歪んでいない愛らしいアナさんと、完全に容姿に関してをスルーし(醜くても気にしないを通り越して、もはや意識にさえ上っていないレベル)スパダリっぷりを発揮する主役に、もう文字で読んでいる限り普通の溺愛ものやーんww とほんわかできました。
……そのぶん後半、義父(予定)公爵さんの不用意な(でも悪意はなかった)発言で、ジーノが暴走し始めたあたりから、かなりしんどかったんですが。
いやうん気持ちは判るけど、何もそこまで徹底する必要あった? とですね。
まあ、前世で80過ぎるまで容姿で差別され続け、独居老人として孤独な最後を迎えたがゆえに、コミュ障というか人間関係の構築、特に恋愛方面についてとか情緒の発達の点で、経験値と自己評価がマイナスぶっちぎっていたのがネックな訳ですがね。
……結果的にアナさんが、一時ヤンデレ気味にww
書籍版はそのあたりも含めてだいぶ書き足しがあるのだそうですが、私にはWEB版でもうお腹いっぱいでした。
それにしても、王族や有力貴族が多数味方についてくれたおかげで、これでもかってほど演出した醜聞を、なんとかしちゃう権力とコネこっわ……(汗)
王太子ですら失脚しそうなレベルのスキャンダルを踏襲したのに、こんな形でケリをつけるとは……まあこれこそ、本人がコツコツ積み上げてきた努力と実績と人望故ってことなんでしょうが。
実際、同じことを本当にやらかした王太子殿下は、あまりの無能っぷりと人望のなさとで、誰も味方になってくれませんでしたしね……(遠い目)
No.3745 (読書)


 追放悪役令嬢の旦那様 5巻
2023年11月08日(Wed) 
読書記録:
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

追放悪役令嬢の旦那様5 (ツギクルブックス) [ 古森きり ]
価格:1,320円(税込、送料無料) (2023/11/8時点)


収録は、第五部でユーフランの実家に行ったあたりとか、クールガンがファーラに……という細々したエピソードは拾われつつも、ほぼほぼ書き下ろしでした。青竜アルセジオスへ戻る理由も異なりますし、陛下もまだご存命です。
そうそう、終わりはWEB版本編終了後の聖落鱗祭で〆られているのに、フランの『目』についてはまだなので、読んでいてちょっと違和感があったりとか。
メインはWEB版ではちらっとしか触れられなかった、紫竜ディバルディオスへの旅行。時計師で医師であるキーパーソンさんの出身地ですね。
全体的に和風っぽい設定の国で、ラナ曰くフランと同じ『物語のご都合主義を解消するための因子』なお国なのもなかなか面白く。
同じく噂でしか出てこなかった黄竜メシレジンスのトラウマ王子や、『聖なる輝き』を盾にわがまま放題している女好き野郎、あと竜様御本人もついに登場★
使いっ走り時代含めて、フランの人(だけじゃない)脈がどんどんヤベえことにww などなど、初見エピソードがたくさんあったので、そういう点ではお得でした。
アレファルドの図々しさというか厚顔無恥さ加減には、いくらなんでも引きましたが。
だってきっぱり決別言い渡された加害者が、冤罪かけて社会的(事実上物理でもある)抹殺を図った被害者に向かって、ほぼ個人的事情で泣きつきに来るってさあ(ため息)
そういったこととはまた別にですね、うん……

以下は愚痴というか辛口評価なので、記事をたたむ&要スクロールで。
No.3735 (読書)


 電子書籍も視野に入れるべきか
2023年11月04日(Sat) 
寒くなってきたためか、また手首がくきくきいったり、指の関節に鈍痛が出始めた今日この頃。
この際だから痛みが強くなるのを少しでも遅らせようと、このところはハンドメイドを自粛して、読書の方に時間を使っています。
タティングレース始めるまでは、むしろずっとこんな感じでしたっけ。
それでもだいぶ視力が衰えているのと、紙書籍を支えている事自体がすでに辛いこともあって、読めるスピードはガタ落ちです。
PCやスマホやタブレットの画面なら、文字も大きくできるしスマホ立て使えば手で持っている必要もないので、一日で一冊分ぐらいは行けるんですけど。

あ、でも少し嬉しかったことがひとつ。
これで腰痛とは無縁ですとのコメントを頂いたのでちょっと試してみたら、うつ伏せで読書できるようになっていたことが判明しましたww
……いやうん、ほら。ここ数年は、腹についた肉がですね……(遠い目)
背筋がないので長時間は無理ですけど、つかえて苦しいというのはなくなっていたので、ちょっとテンションが上りましたです(笑)

それにしても、どこかで見かけた「紙書籍にこだわっていられるのは、健康体だからだ」とかいった意味の書き込みが、めちゃめちゃ実感湧くようになったお年頃です。
電子書籍は対応環境が限られるし、いつ配信がなくなるかも判らないため、お金払うならできるだけ紙で持っておきたいんですけどねえ。
……20年ぐらい前に、思い切って電子書籍で全巻揃えた金田一耕助シリーズなんて、ストアからはとっくに消えていて、念のためバックアップしておいたファイルも、今では試行錯誤してもレイアウト崩れが激しく、ほぼ読めない状態になってるからなあ(遠い目)
……かつてスキャナ取り込みで自炊した、数千冊分のPDF(もちろん裁断した本体は処分済み)も、果たしていつまで読み返せることやら……

そしてストレスが溜まっていたのか、久しぶりに紙書籍をポチポチしまくり。
読むスピードがガタ落ちしてるってのに、減らす以上のスピードで積読を増やしてどうするというのか、我ながら(苦笑)
No.3731 (読書)


 追放悪役令嬢の旦那様 4巻
2023年10月25日(Wed) 
読書記録:
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

追放悪役令嬢の旦那様4 (ツギクルブックス) [ 古森きり ]
価格:1,320円(税込、送料無料) (2023/10/25時点)


収録は「episode アメリー」〜「困ったひと」の第四部まるごと。
電話作ったり、ファーラが竜の愛し子として覚醒した結果、男爵位もらったりするあたりまでです。
全体的に描写が細かくなっているのはいつものこと。書き足しで印象に残ったのは、まず冒頭でいきなりルーシィにお婿さんができているところですね!
この部分で、2巻で説明なく崖を上がり下りしていた手段であろう、ブーツの竜石道具が初めてまともに説明されています。
そして今回は、フランの『影』としての部分が、これまでよりもだいぶ強調されている感じがしました。ボアやベアの上位種、国際指名手配犯などとのバトルを一人であっさりこなす戦闘力の高さもそうなんですけど、ラナや子供達といった身内以外は本当にどうでもいいと思ってる部分がですね……密猟者達の悲鳴をまるっと無視して、子供のための花を鼻歌交じりに採取しにいくのが、書籍で改めて読むとちょっとサイコパスっぽく^^;;
二人の関係は、お互い真っ赤になったりお酒の力を借りたりして、やっとお休みのキス(ほっぺ)とかハグをできるようになったレベルです。可愛い。
電話でお互い耳元で声が聞こえるのに悶絶して、死ぬ、無理、とか言ってるのがもうたまらんですww
……こいつら、もう結婚してんだぜ?

なお今回登場した竜関係の生き物は、ラストにちょろっとだけ竜狼でした。犬じゃなかったか……<十二支網羅かと思っていた
そして今回の編集仕事しろは、狩猟祭が1回目だったのか2回目だったのか。WEBでは普通に『初開催』だったっぽいのに、何でわざわざ2回目の要素を入れ込んで、修正しそこねを残してしまっているのやら……?
あとセンサーもね……WEB版ではさらっと読み流しましたが、「人の大きさに設定したから動物では反応しない」って断言して作ったものを、なんで調整もせずに害獣対策に使おうとしているのかとか。
どれも些細な部分ではあるんですけど、好きな話だけに細かいところが気になっちゃうんですよね……
No.3720 (読書)


 ええ、召喚されて困っている聖女(仮)とは私のことです〜 魔力がないと追放されましたが、イケメン召喚師と手を組んで世界を救います!〜
2023年10月23日(Mon) 
読書記録:
■ええ、召喚されて困っている聖女(仮)とは私のことです〜 魔力がないと追放されましたが、イケメン召喚師と手を組んで世界を救います!〜
 https://ncode.syosetu.com/n6435gw/

弟の訪れを自室で待っていたところ、いきなりホルダール王国へ聖女召喚された、平凡なOL鮎川春。
彼らいわく、一年後に訪れる大災害を防ぐために召喚された聖女が、彼女なのだと言う。いやいやいや、ごく普通の自分にそんなことなどできるはずがない。人違いですといくら訴えても聞く耳を持たず、国王も王子も宰相も貴族たちも、こぞってハルをもてはやす。
しかしそれも、鑑定の魔法を使われるまでのことだった。
ハルには魔力がまったくなかったのだ。魔法使い、それも攻撃魔法を至上とするのがホルダール王国である。ハルの扱いは一転し、用意されていた豪華な品々は全て取り上げられ、無一文で城から追い出されてしまう。
元の世界に返してくれという訴えは、「異世界からの召喚には召喚師一人を使い潰す」「何もせず帰るあなたのために、召喚魔法師の一生を台無しにするわけにはいかない」と、ばっさり切り捨てられた。
国家ぐるみで誘拐を働いておいて、その言い草は何だとも思ったが、ここで逆らっても良いことはなにもない。それどころか「この国に大きな災害がくることは口外するな。しゃべったら命の保証はない」と脅されまでして、ハルは逃げるように城をあとにした。
幸い、彼女に同情してくれたメイドのシェリーが、こっそり実家が経営している宿を教えてくれた。そこへ行き自分の紹介だといえば、きっと助けてくれるはずだと
人の心を持っている人がここにもいた。クズだらけの国でなくて良かった。
そう思いながら宿屋アウラにたどり着いた彼女は、快く受け入れてもらえた。城のやりように宿の皆も憤慨してくれて、ハルは従業員として働くこととなる。
どうにか衣食住を確保し、数週間が過ぎた頃、休日に市場を見て回っていた彼女は意外な人物に呼び止められた。
「ずっと探していました。なぜ城から去ったんです?」
そう詰め寄ってくるのは、あの召喚の場でぶっ倒れていた召喚魔法師の青年だった。
ヴィクターと呼ばれていた彼によると、宰相から聖女様が自ら出て行ったのだと告げられたらしい。そして失敗だった召喚術は行われなかったことになり、脈絡が焼き切れ魔法使いとして二流以下になった彼は、魔法師部隊を病気で自ら退職したと、記録が書き換えられたのだという。
上司の命令に逆らえず、使い潰し前提で魔法を使わされ、そして全てをなかったことにされた彼もまた、被害者といえば被害者なのだろう。
しかしヴィクターは、自分の術が失敗だったとは思っていなかった。故にハルを聖女と信じ、それを証明するべくつきまとい始めた。具体的にはハルが働いている宿屋へ泊まり込むという形である。それでも仕事の邪魔はせず、合間に話を聞くといった程度なので、やがて彼もハルや宿屋の人間と馴染み始めた。
そうこうするうちに、ハルにはこの世界の人間には視認できない魔力が、金の粉という形で見えていること。攻撃魔法の類が一切効かないことなどが判明してゆく。
しかしそういった平穏な日々は、城からの監視が判明することで終わりを告げる。余計な情報を知っている、なかったはずの召喚に関わる当事者二人。このままではいつ口封じされるかしれないし、そうなれば宿屋の皆にも迷惑がかかる。
しかたなく二人は、取り急ぎ王都を離れることにしたのだが ――


拉致召喚、追放した聖女がじつは本物だった系。
書籍化・コミカライズ済。WEB版は厚めの文庫一冊程度で完結済ですが、書籍でその後の続編が出ているようです。
全体的に、風が吹けば桶屋が儲かるといった印象のお話でした。
何もかも全ての元凶は野心家な宰相だった訳ですが、それを抑えきれなかった王家も大概なので、そちらへのザマア少なめなのがちょっと消化不良でしたかねえ。
主人公は点々とする中で多くの人々と交流を重ね、王家のためには働きたくないけど、あの親切な人々を助けるためなら……と、最終的には身体を張って災害に立ち向かう訳ですが。これ王家にとっては当初の目的を聖女へのコストほぼゼロで果たせた上に、国家の膿(宰相)を出せたというメリットしかないんじゃね? と。
最後、隣国の王家がちょっと出てきて、良いこと言ってくれるんですけど、それだって聞こえてない方には痛くも痒くもないですしね。むむむ……
主役が前向きにバイタリティ溢れていて、「もう腹を立てるのは終わり!」と決めてからはとことん楽しそうに日々を過ごしているのは幸いです。
個人的にシリルさんとポーリーンさんの年の差カップルが微笑ましく。
あと、いろいろ協力してくれたスーロン領主コンラッドさんが、一筋縄ではいかない感じを出しつつもすごく良い人なのがね。知り合ったきっかけが、平和ボケ日本人のやらかしってあたりも、なんだかいろいろ象徴的でした。
No.3717 (読書)


 稀色の仮面後宮 ―毒花の園 不死帝の罪―
2023年10月21日(Sat) 
読書記録:
■稀色の仮面後宮 ―毒花の園 不死帝の罪―
 https://ncode.syosetu.com/n4015gn/

死を超越し、殺されても翌日には何事もなかったかのように蘇る帝。百年を超えて生きる不死帝によって、戦火の絶えなかった島は霞国として統一された。併呑された諸国や国民は、得体のしれぬ存在である不死帝を畏れ、その恐怖によって国の平和は保たれている。
そんな霞国の辺境、海の見える集落に生まれた董珠蘭(とう しゅらん)は、海神の贄として濠に隔離される生を過ごしていた。彼女の目は紅と緑を認識することができず、まともに見分けることができるのは海の青だけ。そういった子供を村の人々は海神に愛された存在と呼び、一生海に祈る生活を強要したからだ。
彼女にとっての救いは、食事などを届けてくれていた兄の海真(かいしん)だけ。しかしその兄も3年ほど前に突然行方不明になっていた。両親のもとには定期的に莫大な金子が届くとのことで、おそらく見目よく聡明だった兄は拐かされ、下級宦官にするべく都に売り飛ばされたのだろうと考えられていた。
そんな兄が、突然濠に現れた。同じような背格好をした、楊劉帆(ようりゅうほ)という青年とともに。
「迎えにきたよ」「珠蘭の力を貸してほしい。だから、都にきてくれ」
そう告げて濠から連れ出した彼らは、不死帝が治める霞王国の中心、霞正城へと彼女を連れてゆく。その後宮で起きている様々な問題を解決するのに、珠蘭の瞳の力が必要だと言うのだ。
珠蘭の瞳は紅も緑もはっきりとは認識できない、枯緑色に見せてしまう。しかしその代わり、焼き付けたかのように見たものを記憶することができるのだった。
不死帝の秘密を教えられ、兄の命を質に取られ、後戻りのできなくなった珠蘭は、官女として沈花妃の住む瑪瑙宮へと送り込まれた。しかし花妃や官女達からは歓迎されていないようで ――


中華風世界の後宮謎解きモノ。主役は赤緑色盲の代わりに視覚的な絶対記憶持ちの官女、ヒーローは宦官に扮した事情持ち男性。
書籍化・コミカライズ済、厚めの文庫一冊ぐらいで完結済。ただし書籍では続きが刊行されているそうです。WEB版の終わり方は「俺達の戦いは〜」的な、過去の諸々に区切りをつけて、これから頑張るぞ!といった感じ。
まあ一区切りはついているので、そこまで放り出された感はないですね。
あとコミカライズでは長々と引っ張られそうな不死帝の秘密が、3話目にしてさくっと明らかにされています。正直こっちのがありがたい(笑)
後宮モノにしては女同士の争い的ドロドロが少なく、気軽に読める感じでした。名付き登場キャラのほとんどが同情もしくは共感できる部分を持っていて、最後まで「こいつ嫌い」と思うキャラがいなかったのも良かったです。
やったことの是非はともかくとして、皆が皆、誰かしらを思いやれる人ばかりなので、読後感は悪くなかったです。 名前が出てこない瑠璃宮関係者達だけは、さすがに共感できませんけど。
ただ、国のあり方自体がかなり歪(いびつ)なので、今後どうなっていくんだこれ……という懸念はものすごくあります。
そもそも不死帝の制度自体が無理の極み。たとえば今の不死帝が殺されずに済んだとしても、5年か長くても10年もすれば年齢的にアウトなことになる訳で。そうなった場合に口封じとかされずにそのまま生きていけるのか? という時点でもう不安しかない。
すでに劉帆というイレギュラーが存在している訳ですし。むしろ百年で一人だけで済んでるほうがすごすぎるぐらいですよねえ。
さりとてこれを正常な状態に戻そうとすると、一世代では無理なんじゃないかな……生に飽きた不死帝が、自分の意志で天に還ったという形を取るのが妥当かな……その前に元周辺諸国との関係を正常化しなければなりませんが。そして仮にそれができたとしても、海真や劉帆は宦官としてすでに面が割れているから、おおっぴらに表には出られませんしね……む、難しいな……?
No.3716 (読書)


 王妃陛下は、王太子の婚約破棄にブチ切れる。〜わたくしの選んだ可愛い婚約者を蔑ろにしたこと、後悔なさい。〜
2023年10月16日(Mon) 
読書記録:
■王妃陛下は、王太子の婚約破棄にブチ切れる。〜わたくしの選んだ可愛い婚約者を蔑ろにしたこと、後悔なさい。〜
 https://ncode.syosetu.com/n1605ht/

タイトル通りのお話。転生要素なしの、全5話完結済。
むしろ最初は2話だったところへ、あとの3話(別視点)をおまけSSとして追加したもののようです。
最初はテンプレ的婚約破棄アンチと見せかけて、実はそれぞれがそれなりに適材適所を考えて、ちゃんと話し合って行動した結果の予定調和という感じでした。
国王様がン年前に判断ミスをやらかしたのがそもそもの原因ではあるんですが、ちゃんとそれを修正して収めるところに収めたのが面白かったです。少なくとも主要キャラは誰も損してません。
「我輩は誤っても謝ることはない」という言い回しが格好良いww
あと、婚約破棄劇のきっかけになった聖女ちゃんのキャラも、なかなかに予想外な甲斐性っぷりで楽しかったです。
No.3712 (読書)


 悪徳領主一家の役立たず妖女は、善良な搾取に邁進するようです!〜親に売り飛ばされた隣国で、勤勉な彼女は溺愛される。〜
2023年10月15日(Sun) 
読書記録:
■悪徳領主一家の役立たず妖女は、善良な搾取に邁進するようです!〜親に売り飛ばされた隣国で、勤勉な彼女は溺愛される。〜
 https://ncode.syosetu.com/n6067hr/

「――貴族たる者、悪であれ。」
そんな家訓を持つロンダリィズ伯爵家は、悪徳領主一家としてその名を馳せていた。
「贈り物を断っただと!? 貰えるもんは貰ってこい!」
「王太子殿下にあれだけ熱烈に求婚されて断るだなんて、うちでなければ許されないことですよ?」
「なんでそこで、もっと色仕掛けしてうちに有利な取引を持ち掛けないの?」
当主もその妻も長男も、つねづねそううそぶいてやまない。
しかし長女であるアザーリエは、どうしても家族の言うようには行動できなかった。
その類まれな美貌と色香から、「社交界の妖花」「尻軽な男好き」「傾国の徒花」「貢がせ令嬢」と悪名を轟かせてこそいるものの……彼女の実家における評価は「残念で役立たずな長女」だった。
なぜならその内面は、どこまでも小心で臆病な……コミュ障だったからだ。
幼い頃から男性に体を眺め回されるのが常だったので、その視線だけで怯えて萎縮してしまう。しかし彼女のそんな姿は非常に艶めかしく、誘っているようにしか受け取られないらしい。ゆえに女性達からも下品だと冷たい目で見られ、恐ろしくて話しかけることもできない。
人を使うのも同じで、使用人に命令することさえできず、何でも自分の手で済ませてしまう方が楽だとさえ思っている。
そんな社交も家の仕事も満足にこなせない彼女へと、父親がついにブチ切れた。
「この馬鹿が! 自由恋愛という貴族悪すらまともにこなせねぇのか! もういい! お前は悪虐非道と噂の隣国の公爵に売る! 悪というものについて分かるまで里帰りも禁止だ!!」と。
そうして彼女は、会ったこともない隣の国の高位貴族と婚約することとなった。
当然、噂を知っている夫は初対面から警戒を見せてくる。
「そなたに金は使わせん。社交界に顔を出すことも不要。一年後の婚姻までは部屋も別。結婚式を挙げる予定も、披露宴を行う予定もない」
そう告げられた彼女が、まず思ったことは……

政略婚約から始まる、勘違いからのすれ違い恋愛的な?
現地主人公で、さらっと11話で完結済。
外見と内面があっていない陰キャ系嫁と、有能だけど脳筋気味な軍人旦那。
「引きこもって社交をするな」「使用人達は籠絡されぬよう必要以上の会話をするな」と指示されて、「誰にも構われない……パラダイス?」と喜んじゃう主人公は、本当に食事の支度以外のすべてを(風呂に入るための薪割りとかまで)嬉々として自分でやり。
そんな彼女を見た旦那の方は、戦場で敵を観察する際のモードに切り替えた結果、彼女の意味深な色気たっぷり仕草が、すべて怯えや緊張から来ることを見抜いてしまい、一気に陥落という流れです。
そもそも彼女の実家の家訓、「貴族たるもの、悪であれ」の続きが、「貴族にとって一番の悪は、労働である! 誰よりも働け!」という時点で、いろいろ認識がすれ違ってるんですよね(笑)
精一杯、一流の「悪」たろうと勤勉に働いてしまう、そんな主役や父親の隠された親心がくすっと笑えるお話でした。
No.3711 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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 by 萵苣
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 お褒めいただき、ありが..
 by 神崎真
 at 2024/04/16 10:11:09
 素晴らしいです。
 by keropi
 at 2024/04/15 23:06:06
 せっきーさん、拙いブロ..
 by 神崎真
 at 2024/04/14 08:59:37
 思いつきが、さすがです..
 by せっきー
 at 2024/04/14 07:53:38

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