よしなしことを、日々徒然に……
※ 2017年以前の記事は こちら になります ※



 魔導具師ダリヤはうつむかない 1〜2巻
2020年03月02日(Mon) 
読書記録:




買っちゃった (。・ ω<)ゞてへぺろ
あらすじ等については、WEB版を読んだ時に書いているので省略。
1巻は「37.魔導具師はやめられない」まで、2巻は「76.雨上がりの墓参り」まで収録されていました。
……コミカライズが更新されるたびに該当箇所を読みに行っては、気が付くとあちこちをつまみ読みし返しているので、もうこの際だと購入。3巻などは、試し読みできる冒頭部分でいきなり書き足し開発エピソードがありますしww っていうかイボダイの塩焼きって何??<次のポイントセールでポチる気満々
1〜2巻に関しては、そこまではっきり解る加筆修正には気づけませんでした。もちろん見比べるといろいろ手が入っているんですが。
一番目についたのは、五本指靴下と靴の中敷きが、もともとは普通の品だったのを、ヴォルフのリクエストを聞きながら魔法付与していく流れになっていたことでしょうか。たしかにこちらのほうが、この二人らしいなあと思いましたww
巻末書き下ろしは両方とも、WEB版では完全に謎の人な、人脈チートの父カルロさん視点。
……この人にも謎が多いのですが、巻末SSを読む限り、非常に不器用な職人で娘馬鹿ですね(笑)
なんでこの人が娘の婚約者選びには失敗したのかと不思議でもあったのですけれど、そのあたりも納得できる感が。

2020/03/03 追記:
巻末のQRコードからアンケート回答すると、書き下ろしSSも読めました。
1巻はオズさんが奥さんに逃げられて、カルロパパと飲みに行った時の回想。
2巻は五本指靴下を前に意地悪くほくそ笑む、グラート隊長とグリゼルダ副長でした。

あとやっぱり初期の頃読み返すと気になるのが、ヴォルフと初お出かけの時に出会って撃退した、「君に運命を感じた」発言のナンパ野郎……こいつが実はダリヤの異母弟だったりしないかなあと。わざわざ「同じような赤髪」で、しかも運命発言してるんだもん……ラノベ腦がつい深読みをしてしまう……ダリヤの母及びその実家関係は、これまでWEB版でもまったく語られていませんが、このシリーズなら忘れた頃に、意外な方向から出てくるんじゃないかと思うんですよ。
妹の妄言信じて友情が破綻したというヴォルフの元親友も、いつか登場して関係修復してくれると信じてる……っ
No.1856 (読書)


 モブなのに巻き込まれています〜王子の胃袋を掴んだらしい〜
2020年02月28日(Fri) 
読書記録:
■モブなのに巻き込まれています〜王子の胃袋を掴んだらしい〜 市場にて
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/731619705/664338193

「実はわたし、この乙女ゲームの世界のヒロインなの! 10歳になったら伯爵家の人が迎えに来るイベントがあって、王子様とかイケメンたちに見初められて、いずれ王妃にだってなるんだから!」
友人スピカが意気揚々とそう宣言したのは、彼女とミラが8歳の頃であった。宿屋の娘であるミラと、身寄りのない孤児院の少女スピカ。確かにスピカはこの平凡な田舎町には珍しく、輝くブロンドの髪を持つ、まさにお姫様のように美しい子供だ。黙っていれば、人形のように愛らしい。
「悪役令嬢に負けないようにしないとね。ねえミラ。仲良しのあなたは特別にメイドとして、こんな田舎町から連れ出してあげてもいいわよ」
しかし、黙っていないのがこのスピカという少女だった。どこか周囲を見下すような彼女の態度は、村の女の子達から反感を買っている。男の子はスピカを可愛い可愛いと褒めそやすグループと、遠巻きにするグループに二分化されていた。
(……いやそういうヒロインって、小説だと逆にざまあされるじゃん)
得意げに話す彼女を前に、ミラはそう考え……考えてから、ふと首を傾げた。
はて、ざまあとは何だったか。
乙女ゲーム、ヒロイン、イベント、悪役令嬢。
初めて聞くはずの言葉を、何故自分はあっさりと理解することができるのだろう。
そう思ったミラの脳裏に、大量の情報が流れ込んでくる。黒髪の人々、雑踏、車のクラクション。眩い看板に、多種多様な音楽。この世界では知らない、けれど確かに知っているそれら。
どうやら自分はスピカと同じく転生者で、前世では少なくとも成人した、パティシエだったようだ。詳しいことまでは思い出せないが、異世界ものの小説、特に転生乙女ゲームものが大好きで読み漁っていた。
そうしてミラは、考えをまとめると口を開く。
「スピカ、よく聞いて。乙女ゲームの記憶を持って好き勝手するヒロインは、逆にざまあされて大体は平民落ちとか国外追放になって、悪役令嬢の方がハッピーエンドだよ」
「ふえっ!?」
「王子に不用意に近づくと、スピカなんか不敬罪で即死ぬから」
「ええ!? ざまあとかフケイザイって何!?」
このままでは、ゲーム展開に固執してイベントを無理やり起こしたりする“電波ヒロイン”となるであろうスピカへ、ミラはアドバイスすることに決める。
人の話を聞かず、上から目線で同性から反感を買いまくるスピカは、しかし同時に優しい所も持つ、ミラの大事な友人なのだから。
そうして同じ転生者としてこれまで以上に仲良くなった二人だったが、ミラの前世知識で宿の食事が向上したことで、さまざまな変化も起きてきて ――

乙ゲーのモブへ転生系。連載中。同作者の他作品とも多少リンクがあるそうです。
プロローグでいきなり婚約破棄場面から始まっているものの、そこに到達するまでがまだまだ長そう。っていうか、タイトルと作品紹介文で、ものすごーく先までネタバレされてるんですが(笑)
そして未来の電波ヒロイン(予定)は、主役の話をちゃんと聞いていろいろ努力をするので、ヘイトが貯まることはありませんでした。うん、普通にいい子。
あと過去にも転生者がいるっぽくて、醤油とかうどんとか既にある世界観なので、主役のやらかしが「いやそれ無理やろ」ってほどの開発レベルではないのも良きかな。
そして主役の出生に関してなにか秘密があるらしいので、そのあたりを早く知りたいです。
で、プロローグにいたピンクブロンドの令嬢はいったい誰ww
No.1850 (読書)


 異世界での天職は寮母さんでした 〜王太子と楽しむまったりライフ〜
2020年02月22日(Sat) 
■異世界での天職は寮母さんでした 〜王太子と楽しむまったりライフ〜
 https://ncode.syosetu.com/n8218fb/

子供の頃から母親に厳しく育てられた挙げ句、大学受験に失敗した途端「生むんじゃなかった」と言われ勘当された、19歳の山代美花。それでも祖父母のもとでなんとか立ち直りかけていたところへ、前触れもなく母が押しかけてきた。そこで言われた内容は問答無用の縁談。さすがにカッときてハエたたきを振り下ろした瞬間……叩き落としたのは老人の生首だった。
え、と驚いた彼女がいたのは、すでに日本ではなかった。
大小十六の国々を有する大大陸にて、その頂点に君臨する首長国、ハルヴァリ皇国の偉大なる初代皇帝 ―― 千年以上前に死亡し、荼毘に付されたその彼の幽霊こそが、美花がハエたたきで叩き落とした生首だったのだ。
どうやら美花の祖父母が住んでいた村とその世界とは非常に近しい存在であるらしく、村には昔から神隠しの伝説があり、その世界には異世界から迷い込んできた人々の記録が複数残されていた。一日の長さや時間の単位も同じだし、空を見上げれば星座も変わらない。恐らくかなり近い平行世界なのだと予想された。
幽霊である初代皇帝は、そんな世界と世界の狭間を漂っていた際、たまたま美花を巻き込んでこちらの世界へ戻ってしまったのだと言う。責任を感じた彼(生首)は美花の後見となり、職も用意してくれた。それは寮母さんである。
初代皇帝の死後、その領土は子孫と忠臣達によって十六に分割され、それぞれ別の国となった。しかし彼らは現在でも初代皇帝と首長国を始祖として崇めている。各国の王位を継ぐ王太子達(女性含む)は、14歳になるとハルヴァリ皇国へ送られ、そこで3年間寮生活を送りながら勉学に励むのが習わしとなっていた。侍女や護衛などは一人も伴わず、自由になる金銭は自らが労働して得たもののみ。そうして他国の王太子らとも交流しつつ、一国を率いる者としてふさわしい存在に成長するべく、さまざまなことを学ぶのである。
そんな彼らを見守るのが、初代皇帝の生首 ―― もとい幽霊と、現在の皇帝と寮母である。初代皇帝が偉大なる祖父であるならば、当代の皇帝は頼れる父であり、寮母は尊敬すべき母となる。
そんな由緒正しき寮で、五十年近く寮母を務めてきた大ベテランである女性が、年齢を理由に引退することとなった。美花はその後任となったのだ。
現在の皇帝リヴィオ・ハルヴァリは、まだ弱冠25歳。しかしこの大陸で唯一猜轍辞瓩噺鴇里気譴詒爐蓮△修慮書に相応しく堂々とした威厳と見目麗しい容姿を持つ、まさに完璧な猊祗瓩任△辰拭N誓犬燭舛呂澆福彼を尊敬してやまない。
しかし年若の彼らにとって、異世界人である美花はまだまだ頼れる存在とは言い難かった。しかもリヴィオ皇帝には、王太子達にはけして見せない一面もあって ――

「天井裏からどうぞよろしく」の、くるひなた さんの異世界トリップもの。書籍化・完結済、ダイジェスト化なし。
祖国では様々なしがらみや権謀術策に巻き込まれがちな王太子達が、三年間だけそれらから開放され、絶対的な庇護を得られる貴重な学生期間。年齢的にはむしろその王太子達の方に近い美花もまた、彼らと交流を深めながら成長し、己の過去や親との確執を振り返る的な感じです。
基本的には優しい世界ですが、ハルヴァリ皇国以外はかなりドロドロというか、ハルヴァリ皇国のありようそのものにもどこか歪(いびつ)さがあるのは、割と最初の方から匂わされています。なんというか、箱庭や閉ざされた楽園的な印象。そのあたりについての理由なども終盤語られていくのですが、けっこういろいろどんでん返しがあって面白かったです。あ、ちゃんとハッピーエンドですのでご安心を。
一見完璧なイケメン皇帝陛下が、美花の元では本性をさらけ出していたり、美花もかなり遠慮会釈なかったりとかはお約束★
……陛下のドン引きな寝方の理由なんて、知ってみるとかなり同情できるというか、泣けてきますよ。
そもそも十五の国の王太子達には三年の庇護期間がありますけど、首長国ハルヴァリの皇太子にはそれ、ないっぽいんですよね。それで即位したら若い時から寮生達の完璧な父親役を義務付けられてるとか、気の毒すぎるかもしれない……
No.1842 (読書)


 河底の寶玉 探偵奇譚呉田博士第四篇
2020年02月20日(Thr) 
読書記録:
■「河底の寶玉 探偵奇譚呉田博士第四篇(国立国会図書館デジタルコレクション)」三津木春影
 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/914196

読み始めたのは、ものすごーーーーーく前……まだ国立国会図書館デジタルコレクションが、近代デジタルライブラリーという名称だった頃のこと。それを、ようやく、読了しましたーー。

例によって大正時代のホームズさん翻案作品で、原作は「四つの署名」。
これまでにもテキスト入力して自サイトで公開している呉田博士シリーズの長編でして、国会図書館でPDF公開されているうち、ホームズさんが原案の作品、ラスト一作です。
残り一つ「機関士の拇指」は、やはりまだ国会図書館では読めないようですが……改めて調べてみたら、このシリーズ近年になって総集編が出てるんですね。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

探偵奇譚呉田博士完全版 [ 三津木春影 ]
価格:7480円(税込、送料無料) (2020/2/20時点)



……さすがに買おうとまでは思いませんがww
そもそも呉田博士シリーズは、ホームズさんよりも「ソーンダイク博士」シリーズを翻案したお話が多いそうで。一応そっちも原作読みはしたんですけど、いまいち印象が薄いと言うか、あまり記憶に残らなかった……^^;;
しかもこの翻案、ワトソンさんこと和田さんが「醫科大學を卒(を)へ、大學院に籍を置く一介の書生」と、完全に呉田博士より格下であることが明言されていまして。ホームズさんとワトソンさんの微妙な力関係を良しとする身としては、何度も言いますが、これはとっても悲しい改変。だから個人的には「資料的な意味合いで、いちおう目を通しておこうかな」ぐらいの熱意しか持てなくて……それもあって、読了するまでこんなに時間がかかっちゃいました。

で、今回の「河底の寶玉」。
やはり冒頭のコカイン注射のエピソードはまるっとカットされてましたね。ワトソンさんの著作やホームズさんの各種論文についてもカット。懐中時計からお兄さんについて推理する場面もなし。いきなり依頼人が訪れた場面から始まってます(´・ω・`)

例によってキャラ名や地名などをざっと上げてみると、

メアリー・モースタン → 須谷丸子と日本名なるも、金髪に碧の眼
ローワ・キャンバーウェルのセシル・フォレスター夫人 → 築地の濠田瀬尾子夫人
サディアス・ショルトー → 山輪周英
アセルニー・ジョーンズ → 阿瀬田讓作警部
モーディカイ・スミス → 隅原介作
エジンバラの寄宿学校 → 横濱のハリス女學校の寄宿舍
ロンドンのランガムホテル → 上海の蘭葉旅館
アッパー・ノーウッドのポンディシェリ・ロッジ → 東京郊外の砂村
ハリエット山の傾斜地にあるホープ・タウン → 針枝山の麓の帆立
タイムズ → 東京英字新聞
6ペンス → 十錢
テムズ川 → 隅田川
オーロラ号 → 北光丸

といったところ。

物語のキーとなる署名をした四人、ジョナサン・スモール、マホメット・シング、アブドゥーラ・カーン、ドスト・アクバルは、それぞれ梁瀬あるいは簗瀬茂十(やなせ もじう)、眞保目宇婆陀(まほめ うばだ)、阿多羅寒陀(あたら かんだ)もしくは漢陀、波須戸阿武迦(はすど あぶか)となってます。
このあたりは名前の漢字やふりがなの濁点などに、ちょいちょい揺れがありました。
他には結列阿曹篤(ケレオソート)とか亞爾加魯乙土(アルカロイド)、斯篤里規尼涅(ストリキニーネ)といった当て字も、当時の雰囲気を感じられて興味深いところです。

あとベーカー・ストリート・イレギュラーズは「浮浪人(ごろつき)探偵局員」となっており、構成員が子供という描写はありませんでした。リーダーのウィギンズは銀州(ぎんしう)という「ノラクラした威張り顔の親方」です。これって現代版SHERLOCKのホームレス・ネットワークを思い出したり。

そしてちょっと気になった宝石類の翻訳は、英文と見比べた感じ、ルビー(複数形: rubies )が紅寶玉、ガーネットなどの赤い石の総称カーバンクル( carbuncles )はただの紅玉とされているようです。これを鑑みるに、コナン・ドイル御大はちゃんとルビーとカーバンクルを書き分けておられたんですね。
ほら、青いルビーって普通にサファイアですから(苦笑)<かつての邦題「青いルビー」こと The Adventure of the Blue Carbuncle 、いまは「青いガーネット」などと訳されているそうで
……とはいえやっぱり、ガラスが切れる炭素の塊って表現だと、それブルーダイヤなんじゃとは思っちゃうんですが^^;;
話を戻して、さらには緑柱石がエメラルド( emeralds )で、緑玉石がベリル( beryls )と区別されていたり、瑪瑙がアーゲートで縞瑪瑙はオニキスだったりと、実はけっこう細かったことが今回判明したり。
当時の翻訳、大変だったろうなこれ……
あ、巨大ダイヤ the Great Mogul は「大蒙古帝(だいもうこてい)」となってました(笑)

■ダイアモンドに関する基本的な知識・有名なダイアモンド
 http://www.nihongo.com/aaa/diamond/d1kihon/d19famo.htm#orlov


全体的には、二人の日常や他愛のないやりとり、博士の推理の細かいところなどが削られたり省略されているので、ストーリーそのものはかなり原作に忠実なのに、今ひとつ物足りないものを感じてしまいました。
他にもワトソンさんが、メアリ嬢が財宝を得て高嶺の花になるかもというショックのあまり、医者としてストリキニーネの大量摂取を勧めたりしているうっかりさんな部分も削られちゃってるし、ホームズさんが拳闘で試合をしたことのあった門番は、呉田博士が以前大學病院で難病を治療してやったことがある男に改変されています。
ホームズさんが「女性は全面的には信用できない――どんなりっぱな女性でも」と言っている台詞は、結婚して子供までいる呉田博士にかかると「由來女といふ者ほど信用にならぬ奴はないから――尤も優れた婦人は別だけれども。」と似て非なる言い回しに変わっていたり。中澤君の恋も、年長者の余裕で内心応援してるっぽいしなあ。
あ、ちなみにコカイン関連がカットされていることもあり、ラストに一人取り残されるホームズさんの物寂しさなんかも綺麗さっぱりありませんww
そもそも中澤君たちは結婚まで到達せず、ただ節度を持ったお付き合いを始めただけっぽいですし。

……なまじストーリーが忠実なだけに、時おり垣間見えるキャラクターの性格や私生活部分の魅力が、ごっそり変えられているのが目についちゃうんですよねえ……(しょぼん)

あ、そうだ。
英文と今回の翻案を見比べていて初めて気がついたんですが、どうやら三津木春影さんの場合「卷煙草」と書いているのは「 cigar(シガー)」、つまり「葉巻」のことのようですね。ずっと紙巻煙草( cigarette )のことだと思ってました。
ううむ、タバコひとつとっても奥が深い……
No.1837 (読書)


 やらかした兄のせいで平民年上騎士隊長と結婚することになって、死ぬかと思った
2020年02月12日(Wed) 
読書記録:
■やらかした兄のせいで平民年上騎士隊長と結婚することになって、死ぬかと思った
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/297321484/731290544

とある事情から、6歳の折りより王都を離れ、領地に引きこもっていた伯爵令嬢ルアナ・ロイスナー。
彼女の父は実兄の死後、遺されたその妻と再婚して爵位を継いだ。そんな二人の間に生まれた娘であるルアナを、実家の使用人達は主筋と認めていない。先代伯爵の子である異母兄レナウドだけを主と呼び、現伯爵である父とルアナを疎んじていると、隠そうともしない。
使用人とろくに口すらきくこともないまま、ルアナは孤独に十年を過ごしてきた。そして十六になったある日、実に珍しく使用人から、「父が呼んでいる」と知らされた。
王都で騎士団長を務めている父は父で、己の伴侶と認識した母にしか興味を持っていない人だった。これまた珍しいことだと執務室を訪れた彼女は、そこで驚くべき話を聞かされることとなる。
なんでもこの国の王太子である第二王子アクセルが、血筋も定かではない平民の女性に血迷った挙げ句、学園の卒業祝賀会で婚約破棄を実行しようとし ―― 側妃の子である第一王子ディアークと、そして婚約破棄をされかけた当の令嬢の実家によって、取り押さえられたのだという。共に拘束された中には、王太子の未来の側近らも含まれており、ことに次期騎士団長に内定していた異母兄レナウドなどは、か弱い令嬢に対して暴力まで奮ったとして大問題になったのだ、と。
結局、王太子は王位継承権を剥奪され、その他の側近たちもみな、謹慎や廃嫡の処分を言い渡された。
そして父は監督不行き届きの責任を取る形で、騎士団長の任を辞した。しかし新たな王太子となった第一王子が任命した後任の騎士団長は、その職を務めるにはいささか身分が足りない。そこで伯爵令嬢であるルアナがその人物と婚姻し、ロイスナー家の爵位を継がせることが決定したという。
―― やられた。
己の最愛にしか興味のないこの父は、異母兄の愚行を知っていた。知っていて放置していたのだ。母を手に入れる手段として渋々着いた、騎士団長という面倒臭い立場をさっさと手放すために。
完全に政略による婚姻だ。これも貴族の務め。夫を尊重はしよう。子も産むし、夫婦として心を通わすこともできるかもしれない。
けれど、それでも、
けして心からの愛を捧げることはできない。こんな女と運命を共にしなければならないとは、その相手も本当に気の毒なことだ。
そう思いながら、ルアナは己の婿となる相手について訊ねた。
そうして告げられたのは、ルアナより12歳も年上の、平民出身の男の名で ――

転生者が乙ゲー世界でいろいろやらかした結果の、婚約破棄を阻止したザマアから発展した、ゲームその後の現地の人達悲喜こもごも? 完結済。
早熟で有能すぎる人のただ一人への盲愛執着系はよくあるお話ですが、その執着する有能が女性側なのは珍しいと思います。っていうかこれもう完全に、騎士団長様が総愛され系ヒロインです、ご馳走さまww
ネタバレるとロイスナー家の血筋に秘密がありまして、己の番(つがい)と決めた唯一人の幸せのためならば、あらゆるものを ―― 場合によっては己自身すらをも排除するという、徹底した溺愛ぶりを見せつけてくれます。
わずか6歳にして己の番を見定めたルアナさんは、すでにその相手(当時18歳)に恋人がいると知って、いったん身を引いちゃうんですよ。そして彼を少しでも視界に入れたら、その幸せのために全力を尽くし、不幸をもたらすものは叩き潰す ―― そして相手の人生を滅茶苦茶にしてしまうだろうと自覚して、領地に引きこもっていた訳です。そんなところへ降って湧いた、最愛の唯一との政略結婚話。
もう舞い上がりまくりで、見た目はキツイ、それこそ悪役令嬢系なのに、完全に恋する乙女モードにシフトチェンジww
愛しい人に会えない寂しさを埋めるため、十年間にいろいろやらかしていたあれもこれも放出しまくり、全身全霊を持って口説きまくってます。
そしてそれにドン引く周囲をよそに、「嬉しいかもしれない……」とか言っちゃう、いろいろ苦労してきた平民上がりの旦那様、マジヒロイン(苦笑)
ちょっとウザめの人もいたりしますが、まあ彼は彼で親友のことを本気で心配していた訳ですし……ただ王族には、かなりヘイトが溜まりました。特に王女と国王。第二王子は論外として、諸悪の根源は、やっぱり国王かな……この人の認識が甘く、かつ子供達(全部)の教育を失敗したのが、すべての原因なんですもんね……(怒)
No.1822 (読書)


 本日のディナーは勇者さんです。
2020年02月07日(Fri) 
読書記録:
■本日のディナーは勇者さんです。 〜三章 勇者と偽勇者と恩人勇者 28
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/266628978/81296767

異世界に拉致られ勇者という名の兵器として酷使されまくった挙げ句、政治的に邪魔になったから死んでこいとばかりに、たった一人で魔王城へ送り込まれた元サラリーマン大川勝流(しょうりゅう)ことシャル。
圧倒的な力を持つ魔王を前にあっさりと意識を失った彼が気がついた時には、檻に入れられ……豪華な天蓋付きベッドの上にいた。
「なにも怪我人檻に入れるこたねぇだろ!?」「いけません魔王様! 勇者というのは魔物をサーチアンドデストロイするデンジャラスバーサーカーなんです! 噛み付かれたらどうするのですか!」
言い争っているのは、先ほどまで命を掛けて戦っていた魔王と、その側近らしい。
どうして殺されなかったのかと首を傾げるシャルへと、濃密な夜色の髪を持つ長身の美形 ―― 魔王アゼルは、何やらしどろもどろになりながら告げる。
なんでも異世界人の血は、吸血嗜好を持つ魔物にとって、非常に美味いらしい。だから殺さないで飼う、と。
なるほど、勇者とはレア食材であるらしい。
異世界召喚によって歳こそ取らなくなったものの、八年もの間使い潰されてきたシャルは、すでに疲れ切っていた。この先も続くだろう長い一生を檻の中で飼い殺しになるくらいならば、いっそもうあっさり死んで、できれば来世ではホワイトに生きていきたい。
そう思った彼は、襟元をくつろげながら言った。
「 ―― 俺を吸い殺してほしい」、と。
その言葉に魔王は、顔面を真っ赤にした。
「は、ハレンチだぁぁぁぁぁあッ!!」
絶叫して部屋を駆け出していった彼を、シャルは呆然と見送るしかなくて……


拉致系異世界トリップ、連載中。BLでR18!
クソ真面目で癒やし系な天然勇者(外見年齢二〇代後半の細マッチョ系)が、精神年齢おこちゃまなツンデレ純情魔王(外見は二十代半ばぐらいの超絶美形。主人公以外にはほとんど興味なし)に溺愛される系。
魔王様の側近(宰相さん)は常識人で、空軍司令の竜人は魔王様と似た系統の、ガキ大将がそのまま大きくなったタイプ。どちらもシャルとはいい関係を築いてます。
基本シャルの一人称なので最初はあまり判らなかったんですが、クソな人間国でろくでもない扱いをされていた頃よりも、魔王城に来てからのほうがはるかに充実かつ穏やかな暮らしをできていて、もう本当にシャルが気の毒すぎる……
そんな環境でも前向きに生きることを忘れず、魔王様との両片思い状態になっても変に卑屈にならず、恋心を自覚したらすぐに頑張って押せ押せで関係を構築した時には、もうよくやった! って思ったんですが。
そんなシャルをどうして魔王様がここまで溺愛していたのかという理由がやっと語られた……と思ったその直後に、いきなり鬱展開がぁぁああっっ(汗)
なんかもうこれ、第三章20までの、幸せ甘々なままで良かったんじゃないかな ・゜・(ノД`)・゜・
とりあえず、アゼルが即行で態度を決めてくれたのは良し。
あとはもう、これ以上シャルさんがひどい目に合わない内に、早く助けに行ってくれることを願うばかりです。
リューオとかいう野郎も、都合よく捻じ曲げられた情報ばっか聞かされたんだろうし、この人も被害者なんだろうけど、それでもシャルへの扱いが辛すぎて……(泣)<鬱展開に耐えられないお年頃
No.1810 (読書)


 麗子の風儀〜悪役令嬢と呼ばれましたが、ただの貧乏娘です
2020年02月05日(Wed) 
読書記録:
■麗子の風儀〜悪役令嬢と呼ばれましたが、ただの貧乏娘です 〜75
 https://ncode.syosetu.com/n9183fj/

由緒正しき九条院家の一人娘 麗子は、天涯孤独の貧乏娘だった。二ヶ月前に死んだ祖母は生活能力皆無な我儘お嬢さまのまま年を取り、最後は痴呆まで発症してひどい状態であった。母親は麗子を産んですぐに亡くなったそうで、父親は無茶な投資で財産を食いつぶしたあげくに行方不明。
気位の高い祖母は、麗子に対し九条院家のお嬢様として相応しい教育を施そうと、二間しかないオンボロ借家に無理やりピアノを置き、ダンスもマナーも語学も徹底的に叩き込んだ。家が没落しても唯一人残った女中のフキは、彼女達の面倒を見ながら家事や炊事を教えてくれた。
そんなフキも祖母の死と同時に倒れ、病院に駆けつけた家族によって「二度と関わるな!」と引き離されてしまう。
ボロ屋にただ一人残された麗子は、それでもなんとか名門明聖学園の高等部へ入学できた。大学受験時に名門校をいくつも受験し合格する、すなわち学園の進学率を上げることを条件に学費その他もろもろを免除され、返済不要の奨学金も支給されるという、特待生制度に合格できたためだ。月に5万円の奨学金。それだけあれば、麗子は充分に生きていける。
しかし入学式のその日、いきなり後ろから体当りされた彼女は、「悪役令嬢」と罵られた。なんでも桜田優里亜という体当りしてきた女生徒は、この世界が乙女ゲームの世界だと思い込んでいるそうで。前々からとある女生徒をヒロインと呼び、幾人かの人物を攻略対象と呼び、ヒロインとその中のひとりをくっつけようと奔走しては、問題行動を繰り広げているらしい。
意味の判らない妄想に取り憑かれた者を、むやみに刺激するのはよろしくない。祖母の介護でそれを思い知っていた麗子は、適当に話を合わせてやりつつ、当て馬令嬢と見なされている本郷沙羅や、その双子の兄弟で攻略対象の一人だという本郷双樹らと交流を深めていくのだが……


書籍化、コミカライズ済、ダイジェスト化なし。完結済。
夜中の三時まで掛かって、とりあえず第一部のラストまで一気読みました。あとは飛ばして続編最終話も流し読みしたところ、個人的に推しだったキャラとくっついてくれたようで、ちょっと一安心。やっぱりね……ハイスペックだろうが癖のありすぎるイケメン連中よりも、穏やかで常識があって趣味も合う人が良いと思うんだ(苦笑)
話の内容的には、最初はギャグかと思いきや、明らかになる麗子の過去周りがめっちゃヘヴィというか、麗子の一人称で進んでいたのでなかなか判らなかった、彼女の祖母と女中フキさんの歪みっぷりが明らかになるにつれて、とにかく一段落つくところまで読み止められませんでした(汗)
ネタバレると、麗子さん思いっきし虐待受けてました。ただし本人にはそれが当たり前の生活だったので、自覚がなかった、と。洗脳怖い。
祖母(享年102歳)やフキさんなどはガチ戦時中世代で、彼女達の過去も壮絶なんですが、だからといって彼女らやその被害を受けた父親が麗子さんにした仕打ちは許されないレベル。というか、主役の周囲の大人にまともなのがいねえ(−ー;)
No.1808 (読書)


 荒木飛呂彦短編集 ゴージャス★アイリン
2020年02月03日(Mon) 
読書記録:


リアルでたまたま見かけたのでゲット。有名作「ジョジョの奇妙な冒険」の作者、荒木飛呂彦さんの初期短編集です。
表題作2編と「魔少年ビーティー」1編、あとは読み切り短編「バージニアによろしく」、「武装ポーカー」が収録されていました。
……懐かしすぎるっっ
アイリンなんて子供の頃に雑誌掲載で読んだきりだったのに、「わたし残酷ですわよ」の決め台詞とか覚えてるんだから、やっぱりすごいなあ(しみじみ)
ジョジョは第三部らへんまでしか読んでないんですが、個人的にはこういった短編や「バオー来訪者」などの初期作品のほうが好きだったりします。こうピシッとまとまってると言うか、最後のオチが効いていたりとか、そういうあたりが。
ビーティーも、この最初の一作? 恐らく連載前のパイロット版の方が、ワトソン役になってる友人の存在感が良いなあと思いました。
っていうか、ビーティーも読み返したくなってきた……ww
No.1804 (読書)


 人狼坊ちゃんの世話係
2020年02月01日(Sat) 
読書記録:
■人狼坊ちゃんの世話係 〜白夜の夜明け(4)
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/807616543/167314808

一度読み始めると、「この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!」にこればっかり出てくる、BLでR18注意ーーなやつ。連載中。
中世ヨーロッパ風の世界観の中で、大金と引き換えに森で隠れ住む人狼と吸血鬼のハーフな坊っちゃんの世話係とならされた、元傭兵の経歴を持つ男娼だった青年との溺愛主従系ラブラブ……かと思いきや、現状かなりヘヴィな展開になってってます。狂信的な異端審問官に追われたり、ワンコな坊ちゃまもヤンデレとは別の意味で精神面の脆さいびつさがあって、鬱展開真っ只中。そう言うのが苦手な方は、第三部プロローグ「うたかたの(7)」ぐらいまでで止めておいたほうが良いかと。
……なにしろ暴力表現タグが洒落じゃなく仕事していて、合意なしのあれこれとか四肢欠損とか普通に出てくるので(−ー;)
ワンコ攻とか漢前受とかといったあたりは良いんですけどね……あとシロさんがデレてきたのは萌える。むしろさっさとシロさんに乗り換えてまえ! と正直思う(苦笑)
ハッピーエンドタグも付いているので、早くハッピーに収まってほしいです。特にシロさんは、どうか何かしらの形で報われて下さい。切実に ・゜・(ノД`)・゜・
No.1793 (読書)


 社畜騎士がSランク冒険者に拾われてヒモになる話  〜養われながらスローライフ〜
2020年01月31日(Fri) 
読書記録:
■社畜騎士がSランク冒険者に拾われてヒモになる話  〜養われながらスローライフ〜 11-2
 https://ncode.syosetu.com/n3727fq/

書籍化、コミカライズ済、ダイジェスト化なしの現地主人公もの。
クソな上司に睨まれて、騎士団へ入団早々同期の女性の寝込みを襲ったという性犯罪者の濡れ衣を着せられた挙げ句、罪を償わせると称して四年間休みなし、給料もほぼ奪われ、雑用全てを押し付けられてサンドバック状態になっていた青年騎士が、ついには囮として魔物の元へ置き去りにされたところを、Sランク冒険者(美女だが生活能力皆無)に拾われて、おさんどんになるお話。

なんだかんだで周囲の凄腕冒険者達なんかもちゃっちゃと籠絡しちゃうんですが……その理由が今ひとつはっきりしないと言うか、言葉ではうまく言い表せない何かっぽいのがちょいもどかしく。
あと騎士団サイドが腐りすぎてて、読んでて辛い。騎士団長自身が、状況を把握しながら泳がせてたとか言って放置してて、その後も謝罪ひとつないどころか、これからも利用してくる気満々のロクデナシですし……ううむ。
No.1792 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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