よしなしことを、日々徒然に……
※ 2017年以前の記事は こちら になります ※



 魔導具師ダリヤはうつむかない 今日から自由な職人ライフ 5巻
2020年10月03日(Sat) 
読書記録:


「145.夏祭とクラーケンテープ」〜「165.届け物と大先生の教え」までを収録。
4巻で飛ばされた「125.大恩と兄への願い」〜「128.赤いサルビアの味」も入った結果、ヨナス先生とグイード兄様がいっぱいな巻と相成りました^^
表紙の緑イカ持って憮然としてるヨナス先生も良いんですが、カラー口絵一枚目がこの数分後みたいな光景になっていて、もぐもぐしてる兄上と、それを座った目で眺めてる先生がもう……っ
そしてカラー口絵見開きは、「もしヴォルフと別れてくれと言ったら〜」の場面ですし、内部挿絵にはヨナス先生が鱗むしるあのシーンがっっ(じたばた)
個人的にあの主従というかヨナス先生がめさめさ好きなので、もう今回の挿絵ではキャーキャー言ってましたvv
……たとえヨナス先生の服装が多少本文と食い違っていても(シャツと上着を重ね着していて、腕輪は見えない位置にしているはず)、これなら許す! ってかその従者服よくお似合いです、ヨナス先生!!
目立った加筆としては、終盤に魔物討伐部隊の面々の新人研修がてら、ダリヤとジルドも一緒に養豚牧場へ行って、またもダリヤが即席でやらかす話がまるっと一章。そして例によって生前のカルロさん視点によるSSが入っていました。
……カルロさんが危険なほど魔力を上げちゃったのは、3巻の書き下ろしSSで触れられていた、妖精結晶でのあれこれを繰り返したせいかと思っていたんですが……なんかもっとドロドロした深い闇とか柵の結果と言う気配が(汗)
あとダリヤの母と別れたのも、止むに止まれぬ何かしらの事情があって、ダリヤが独り立ちできるようになったら伝えるつもりだった的な雰囲気がちらりほらり。そのあたりも今後触れられていくのでしょうか<WEBでは現在倍の300話を越えたあたりで、まだかすってもいない
そうそう、カルロさん学生時代の回想は、WEB最新話まで読んでいると、この先輩はこの人のことかな、この後輩はこの人のことかなとか、細かいところにニマニマできました。 クラーケンテープが貼れない先輩は魔導具制作部長かな……開発苦手な職人さんは、まだ出てきてない人かしら……?

あ、アンケート特典SSは、↑の養豚牧場話の後日談的な、ドリノとランドルフが緑の塔にお邪魔して食事会をする話でした。ヴォルフはもはや完全にホスト側ww

WEB版を何度も行ったり来たりして読み返しているせいもあって、正直脳内時系列がしっちゃかめっちゃかになりつつあるのですが、とにかく今回は「ああ、初期のヨナス先生とグイード兄様はこんな感じだったっけ……ww」の一言に尽きました。
特にヨナス先生は、本当に丸くなったと言うか、この頃にはここまでギャップ萌えが美味しいお人だとは思わなかったです(しみじみ)
6巻はおそらくイルマ・マルチェロ夫妻を巡る騒ぎと、入るなら兄弟子との決着で終わるでしょうが……早く温熱座卓とか携帯温風機のあたりを読みたいものです<ヨナス先生の「……じつに、いい……」もしくは亀状態を、ぜひイラストで見てみたいvv
No.2193 (読書)


 シャーロック・ホームズの蒐集
2020年10月02日(Fri) 
読書記録:


結婚式を間近に控え新居の手配をしているワトソンと、残り少ない同居生活をしているホームズのもとを訪れたのは、有名百貨店の経営者だった。相続問題でホームズの助力を受けたという彼は、なんとか金銭的な謝礼を受け取ってくれと懇願する。しかしホームズが興味を惹かれたのは、ふと話題に上った、百貨店の荷運び馬車が何故か頻繁に遅刻をするという件で……「遅刻しがちな荷馬車の事件」
事件がなく退屈していたホームズに依頼を持ち込んだのは、インド帰りの伯父が命を狙われていると訴える青年だった。何故か東洋人を嫌っていた彼の伯父は、灌木に結び付けられた黄色いスカーフを見て、非常に強いショックを受けたのだという。話を聞くと、黄色いスカーフはインドの殺人結社タギーが使用する殺人の道具で、彼の伯父は従軍していた際その撲滅の任務にあたっていたのだと言う。伯父がその残党に狙われていると判断した青年は、当時の軍人仲間だったという人々に連絡をとったのだが……「結ばれた黄色いスカーフの事件」
その他「ノーフォークの人狼卿の事件」、「詮索好きな老婦人の事件」、「憂慮する令嬢の事件」、「曲馬団の醜聞の事件」全6編を収録。

図書館でたまたま目に止まったので借りてきました。
日本人の手によって書かれた本格贋作パスティーシュ、語られざる事件を扱った短編集です。
著者の北原さんは、もともとホームズ原典やパスティーシュの翻訳を多く手がけられている、有名なシャーロキアンの方だそうで。文章には全く違和感がなく、ドイル自身の作品だと言われたら、普通に信じちゃうだろうレベルでした。
ワトソンさんも、突出して有能でも気が強くもありませんが、頓珍漢な謎推理を披露する愚か者というほどでもなく、ちょうどいいさじ加減のキャラクターだったと思います。
あと最初から日本語で書かれているので、翻訳特有の読みにくさがないのもありがたいところでした。
作者さんいわく「原作を読んでいない人でも何ら問題なく、十分お楽しみいただけると思います」とのこと。
それでいてヤードの警部アセルニ・ジョーンズがホームズさんへ出馬を乞う手紙で、「暇なら、来て下さい。暇でなくても、すぐ来て下さい」と書いてきて、ホームズさんに「これはいい。今度、僕もこの手を使わせてもらおう」と笑われるといったサービスシーンが、ちょこちょこ挟まっています。判ってらっしゃるww <ホームズからワトソンへの、「ツゴウガヨケレバ スグコイ、ワルクテモコイ( Come at once if convenient ? if inconvenient come all the same. )」という電報は、原典「這う男」の冒頭

そして作者後書きでは、脳内映像化する際にジェレミー・ブレットのグラナダホームズをお勧めされていますが、「憂慮する令嬢〜」などは、つい新谷かおるのクリスティ・ハイテンション(ホームズさんの姪っ子が主役のマンガ)を思い浮かべちゃいました(笑)
おしゃまで知的な女の子と、ホームズさんの取り合わせって良いですよね。椎名百貨店のエリスと若ホームズさんのカップルも大変美味しいと思います。
そういう意味では「詮索好きな〜」の老婦人との取り合わせも良い感じ。なんだかんだでホームズさんは、恋愛さえ絡まなければ、女性ともうまくやっていけるんだよなあと思いました。
No.2192 (読書)


 割れた本の補修と入院手術
2020年09月28日(Mon) 
ここしばらくのストレス解消を兼ねてポチった絶版本が、数日前からちょこちょこと届いているのですが。
割と古めの書籍しかも安いものを選んでいるせいか、けっこうな状態の代物が複数届いてしまい、いささかしょぼんとする羽目になっております。

焼けや歪み、小さいシミとかページの折れぐらいまではまだ、状態に明記してあれば許容範囲なんですが……



こんな感じで背が覗いて見えるほどの割れが、連続して見開きいくつ分も存在している書籍がですね…… ・゜・(ノД`)・゜・
※↑の写真は、けして一番ひどいページではない

ページ割れだけは、軽度な……持つとそこがパカッと開くという開き癖レベルでも途端にテンションが下がるタイプの人間なので、非常に、非常に残念です……

と、そこでですね。
この状態をなんていうんだっけ? のど割れ? 背割れ? ページ割れ?? とか思って検索していたら、ふとこんなページを見かけまして。

■パッカリ割れた本は直せる!自分で簡単にできる修復方法を紹介 - ブックオフオンラインコラム
 http://pro.bookoffonline.co.jp/book-enjoy/
use-book/20181026-wareta-hon-naosu.html

半ばヤケもあって、駄目で元々と試してみることにしたんですよ。

↑のページで紹介されている通り、まずはカバーを外した書籍の割れ目部分に、木工用ボンドを爪楊枝で塗り塗り。



ページ部分にはみ出したところはティッシュで拭き取りつつ、割れ目を埋めるような気持ちで、少しずつボンドを入れ込んでいきました。
そして塗り終わったらいったん本全体を閉じて強く押さえ、天と地にはみ出したボンドもきれいに拭き取り。
それを割れ目がある見開き、7〜8箇所ぐらい繰り返したら、圧力がかかるように目玉クリップで固定。



紹介されていた滑り止めシートだと、なんだか跡が残ってしまいそうだったので、それなりに硬さのあるカッターマットとプラスチック定規を挟んで、大型クリップで挟むこと丸2日。

結果……



おおおおお!?
なんか、予想以上に違和感なく仕上がって……ないですか!?
少なくとも、写真撮影するのに指で広げておく必要がある = パカッと開かなくなってます!!

外れる寸前だったのが微妙にズレてくっついてしまったページとか、見開きが本来より狭くなってる箇所もありますけれど、文字部分までくっつけて読めなくなったような箇所はありません。
これなら、しばらく経ったらどこを直したか判らなくなってそうですっっ(喜)

わー、試してみるもんだなあ……そして素晴らしい情報を公開して下さっているブックオフさんに、超絶感謝でっす!

……ああでもさすがに、↓これはどうしようもないですよねえ(´・ω・`)



状態「良好」を信じて購入したら、ページが数枚重なって折れ曲がった状態で、見開きに挟まってるのが届いたんです。これって明らかに製本ミスですよね……これが検品すり抜けて出荷され、購入した人が返品もせず、古本屋に売られたあげくにそこでもハネられないで、出版から実に23年を経て私の手元に来たと思うと……逆に感心すると言うか、感慨深いと言うか(苦笑)

とりあえず出品店舗に別のと交換できないかのお問い合わせをしてみてますけど、絶版本だから期待は薄いなあ……


でもって。
今日は昼過ぎから総合病院を受診してきた訳ですが。
まあ諸々ありまして、来週末に手術を受けてくることになりました。腰椎麻酔のポリープ切除で、一泊か二泊の入院になるそうです。

……前にも書きましたが、本当に病院が苦手なんです。
どれだけ苦手かって、今日病院に行かなきゃってだけで、明け方からもう目が合わずに居ても立っても居られない。お腹もガチで痛くなって、何度もトイレへ駆け込む羽目になるぐらいでして(−ー;)
ううう、帰宅したのにまだぐるぐる言ってる……明後日にはまた入院前説明聞きに行かなきゃだもんなあ……・゜・(ノД`)・゜・
No.2181 (読書)


 どうしても女神様からジョブもチートも貰えない僕は、他の女神様の計らいで平穏に過ごします、魔王? 勇者? あははっ僕には無関係ですね!
2020年09月27日(Sun) 
読書記録:
■どうしても女神様からジョブもチートも貰えない僕は、他の女神様の計らいで平穏に過ごします、魔王? 勇者? あははっ僕には無関係ですね!
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/359796822/466380807

クラス丸ごと異世界召喚された男子高校生 黒木礼二。他のクラスメート達が女神様から様々なジョブやスキルをもらい消えていく中で、一番最後に残った彼は女神に問いかけた。
「あの…どうしても異世界に行かなくてはなりませんか…何も要らないから返してくれませんか……」
その問いに女神は首を振る。ある王国によって行われたこの召喚魔法は、クラス全員に掛かっているから無理なのだ、と。
それでも礼二は頑なに願う。
自分が我慢をし、召喚魔法が完成してその国が助かるのなら、それはそれで良い。ただ自分はどうしても、他の神から何かを受け取ることはできない。何故なら自分にはくくり姫という存在がいるのだから、と。
もう会うことはできない。そもそも触れることも姿をはっきり見ることもできず、一日に数分言葉をかわすことがやっとだった、もう消え去る寸前の儚い神さま。
廃村の小さな祠に祀られたその存在は、両親を失った礼二にとって、かけがえのない存在だった。初恋の存在だったと言ってもいい。
好きだと言った彼に対し、くくり姫は寂しげな表情で言ってくれたのだ。
「本当に馬鹿ね…だったら、貴方はそうね神主兼、氏子になりなさい…まぁ残りわずかだけど…もう私を祭る人は他に居ないから…それで私の全てを手に入れた事になるわよ」
神と人間は結婚など出来ない。それにくくり姫に触れる事も出来ない。そう思えばその答えは、最大限想いを受け入れて貰えたと、そういう事だったのだろう。
そんな彼女を、裏切ることなどできなかった。
何も加護をもらわない代わりに、死んだら魂だけは元の世界に返してもらう。女神とそう約束した彼は、クラスメート達の後を追って異世界へと旅立った。
そして何の能力も持たず、女神の使徒ですらない彼は、王城で身分証明書と一か月分の生活費を渡され、冒険者ギルドを紹介された。冒険者であれば他国人として扱い、信者でなくともこの国への滞在が可能になる。しかし住みにくいことは確かなので、多宗教の国に行ってはどうかと勧められた。
他の信仰を大罪と見なす一神教の国としては、誠意を見せてくれたほうだろう。
そうして冒険者となった彼だったが、ジョブもスキルも持っていない彼は、この世界においては子供以下の能力しか持っていなかった。
できるとすれば、薬草採取か溝掃除程度。一日働いても千円ちょっと相当になるかどうかでは、あっという間にホームレスだ。
頭を抱えながら、ひとまずその夜は宿で眠った彼のもとへと、ふいに現れたのは ――


クラスで異世界召喚された中で、一人信仰というか初恋を貫いた少年と、その他の面々の未来は。
さらっと中編で完結済。
異世界召喚ってそんなにいいものじゃないよ? 日本の生活のレベルって高いよ?? というアンチ系です。
個人的には、第三の道を選んだ7名のその後が気になりますね……
No.2179 (読書)


 お伽もよう綾にしき ふたたび 5〜6巻
2020年09月25日(Fri) 
読書記録:




本棚整理ついでに、長らく積読になっていたものを読了。
4巻読んだのが4年以上前で、すっかり内容を忘れ去ってました(苦笑)
改めて読み返した4巻後半で始まった、新たなる事件は5巻で終了です。すずと新九郎の初々しい甘々新婚夫婦&なんか子供返り気味な源八郎、そして最近めっきり毒気が抜けたおじゃる様といういつものメンバーで、那王寺で起きたあやかしによる戦没者名簿盗難事件を追うという展開。
可愛かったり一生懸命なあやかし達も新たに登場して、随所でほんわかしたと思えば、ゾッとするような描写もお見事なひかわさん節。
人の心の闇のほうが、純粋なあやかしよりもよっぽど恐ろしいというのは、前シリーズや「彼方から」より引き継がれる、ひかわさんのテーマですねえ。
最後の最後では、すれ違っていた親子も判りあうことができ、めでたしめでたしでした^^
……フィクションって夢があっていいですよね(ぼそ)

そして6巻の方はまるごと一冊、おじゃる様の過去に関わるエピソード。現代の事件と同時進行で交互に語られ、最後でひとつに収束します。
事件に巻き込まれて新九郎が戻らなくても、すぐに気持ちを切り替えて瞑想に入るすずに、成長したなあとしみじみしてみたり。
でもっておじゃる様、なんだかんだで優しいというか、悪事を働いて封じられていたという割にはかなり初期からすず達弱者に対していろいろ気を遣ってくれてるよなと思っていたら、もともと悪いあやかしじゃなかったと言うか。むしろ一番最初に関わった人達とは、すっごくいい関係を築けていたんだなあと( T ^ T )
そんな穏やかに時を過ごしていた彼を狂わせたのもまた、荒んだ人の心が孕む欲などだった訳で。
やっぱりあやかしは、相対する人の心の在り方によって、いい方向にも悪い方向にも引っ張られやすいのかなと思わせられました。
で、封じられたおじゃる様を救ったのもまた、結果的には特別な力じゃなく、長い時間をかけた多くの人々のささいな想いだったというのも良いですね。
このままおじゃる様は、ゆっくりとあの地を見守る土地神になっていくのかなあ……彼が探していたものはもう、すずや新九郎だけではなくて、あの土地に住まうありきたりで善良な人々すべてだと思うのですもの。
そしておじゃる様は、人という存在に出会うその前から、その営みを美しいと思える感性の持ち主だったんだもん。
数十年後、数百年後も生き続け、人の営みから取り残されていくおじゃる様(と源八郎)が、また狂うようなことのない、穏やかで平和な日々を祈りたい読後感でした……
No.2172 (読書)


 異世界から来た男 他2編
2020年09月18日(Fri) 
読書記録:
■「第二王子が婚約破棄したってよ!」
 https://ncode.syosetu.com/n7668gf/

■「いいか、ハーレムっていうのはな!」
 https://ncode.syosetu.com/n0978gg/

同作者さんの、お約束ネタに対するアンチ短編。
同一世界観で、モブ女子視点かつ昼休みに大声で馬鹿話している不良(?)集団の流れ弾によって、いろいろ勝手に自滅していくタイプです。
最後にそう来たか、笑い袋さんww あなたのその行動力は、確かに嫌いじゃないよww


■異世界から来た男
 https://ncode.syosetu.com/n8913gi/

こことは違う場所から数十年に一度、不意に現れる者たちを《福者》と呼び、新たな恵みをもたらす者として歓迎する世界。人馬族が助けた黒髪黒目の二本足の男は、《福者》として受け入れられた。
そうして半年がすぎる頃、生き物たちの間に病魔が蔓延した。飢えに苦しむ人馬族へと、その男が誰も知らなかった新たなる概念をもたらして ――

星新一的ショートショートを目指したという短編。
後書きも合わせて、なかなかにブラックです。
No.2157 (読書)


 カリスマ主婦の息子、王様を餌付けする
2020年09月16日(Wed) 
読書記録:
■カリスマ主婦の息子、王様を餌付けする。 〜王弟、パン屋の倅を驚かす。
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/17703539/658390177

かつてはカリスマ主婦兼人気ゆーちゅーばーの息子で、家事子育て関係の知識を多大に有する男子高校生だったという前世の記憶を持つ、現平凡なパン屋の倅(16歳)。
両親を事故で亡くし、産褥で命を落とした姉の子(4歳)を抱えて懸命にパン屋を切り盛りしていたら、実はその甥っ子が前国王の落し胤だったことが判明。それをきっかけに、甥っ子ともども王宮に引き取られ、包容力抜群なスパダリ国王様を餌付けしたり、いっしょに子育てしたりしつつ、じわじわと甘やかされていくお話。甘々BL。50話ぐらいでようやくキス止まりな連載中。

前世の記憶の影響で、1を聞いて8を知る、なお残る2で思わぬ方向に考えを飛ばすと評される、パン屋の倅ことエルフィン少年。いわゆる鈍感難聴系です。
世界観的には同性同士の結婚もOKなんですが、なまじ男子高校生の記憶があるために、男同士で恋愛という認識が完全になし。そこへもってきて、姉が身分を傘に無体を働かれた過去があるからと、周囲が気を遣って気を遣って、あえて決定的なことを言わずに少しずつ距離を詰めている……という裏事情が判明したのもだいぶ経ってからなので、正直途中で「ええい! じれったい!! 王様さっさと告れ!!」となるぐらいのジレジレっぷりでした(笑)
あと王様が相手だと、お世継ぎ問題があるんじゃ……ということに関しても、いちおう解決がついています。なんというか、王太后様がものすごく気の毒な形ではあるんですが。
とにかく先代国王とその取り巻きが酷すぎて、まともな一部と子供(現国王)世代が苦労しすぎなのでは……っていうか、親世代の上層部は、前愚王にとっとと正式な側室を、何人でもあてがっておくべきではなかったのかと小一時間(−ー;)
で、ようやく両思いになってこれからラブラブ甘々になるかと思ったら、なにやら事件が発生。さてどういう展開になるのでしょう……?
No.2154 (読書)


 無口な公爵令嬢と冷徹な皇帝〜前世拾った子供が皇帝になっていました〜
2020年09月12日(Sat) 
読書記録:
■無口な公爵令嬢と冷徹な皇帝〜前世拾った子供が皇帝になっていました〜
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/891432038/379400473

プルプレウス公爵家の長女エレオノーラには、誰にも告げていない秘密があった。
彼女には、生まれた時から前世の記憶があったのである。
前世の彼女は貧村に生まれた。カエルのように緑色の肌がぶよぶよと膨れ、目蓋も頬も垂れ下がり、目の色さえも判らない、醜い姿をしていたのだ。呪われたバケモノと呼ばれ捨てられた彼女は、さまよった挙げ句に魔の森へとたどり着く。そこは恐ろしい魔物の住む森で、人間は誰一人としていなかった。しかし彼女にとっては魔物の方が、人間よりもずっと身近に感じられた。彼らは容姿で差別などしないし、理由がなければ特に襲ってくることもなかったからだ。
そこで彼女は木の実を拾って食べ、畑を作り、麻で布を織って、完全に自給自足の生活をしていた。いつしか周囲の魔物たちと仲良くなり、自分の子供のように可愛がってもいた。
そんな生活が変化したのは、森で子供を見つけてからだった。銀髪に青い目をした6歳ほどの少年は、ひどく怯えており、名を尋ねても「生きていることがバレたら殺される」と答えようとしなかった。
そこで彼女は、少年をハムと呼ぶことにした。逆に名を訊かれバケモノとしか呼ばれたことがないと返すと、少年は彼女にパイという名をくれた。
そうして三年。魔の森で質素ながらも穏やかに暮らしていた二人と魔物達だったが、その幸せは脆くも崩れ去る。
突然帝国の騎士達が現れ、聖女の光とやらで魔物はすべて殺された。そしてハムだけは守ろうと抱きしめるパイの両腕を、騎士が無造作に切り落とす。
「殿下、お迎えに参りました」と言いながら。
そうして前世の彼女は死を迎えた。最後にもう一度、ハムちゃんを抱きしめたかったと思いながら。
その後、気がつくと赤子になっていた彼女は、馬鹿な自分が知らなかっただけで、そういうこともあるのだなと現状を受け入れた。継母と異母妹に疎まれ、離れとも呼べない狭い小屋へ追いやられても、前世の生活を思えば辛くもなんともなく、むしろ楽しいぐらいだった。虐めの一環としてつけられた厳しい教師だって、かつてのハムちゃんのように賢くなれるなら嬉しいと、素直に思い貪欲に学んだ。
ただ、前世で身についていたきつい訛りの話し言葉だけは、どれほど教師に怒られても矯正することができなかった。そこで必要以上にしゃべるなと躾けられた現世の彼女は、ほとんど夜会や茶会に参加させてもらえないことと相まって、社交界では幻の令嬢などと呼ばれていた。
そんなエレオノーラが十六歳を迎えた頃、皇帝陛下の伴侶を探すための舞踏会が開かれることとなった。国中の年頃の令嬢を招待したその舞踏会には、継母らもエレオノーラを連れて行かざるを得ない。
先代皇帝や皇后、兄弟達を皆殺しにして皇位についた二十六歳のアレクセイ皇帝は、ひどく冷酷で血も涙もない悪魔だともっぱらの噂であった。それでも皇帝は皇帝。うまく射止めることができれば旨味は大きいと、異母妹などは鼻息を荒くしている。
しかしエレオノーラ自身はと言うと、皇帝にも妃の座にも全く興味がなかった。
女神と見紛うほどに美しく、完璧な立ち居振る舞いで会場の視線を釘付けにする彼女が考えていたのは、
(……あ! あそこに旨そうなハムがあるっぺ。ハムちゃんのハムだっぺ!)
あたりに並んでいる、美味しそうな料理のことばかり、だったのだが……


醜いと迫害されても優しさを失わなかった朴訥な女性が、理不尽に殺されたのち美貌の公爵令嬢に生まれ変わり、前世で面倒を見た子供とハッピーエンドという、お伽噺的な展開。完結済。
主役の生まれ変わりの理由が明確なのはすっきりできます。
……まあ、その理由の元凶となったハムちゃんのお母様は、いったい何者なんだと言うか、隣国の巫女姫とやらはみんなそんな真似ができるの? あと主役がなぜ前世でそこまで醜かったのか、魔物と心を通わせられるのか、という疑問は残るのですが。
そして主人公目線ではわりとのんびりなハッピーエンドなんですけど、客観的にはかなりシビアというか、えぐいと言うか^^;;
とりあえず、政争に巻き込まれ6歳にして4回も殺され、9歳まで魔の森へ放置されたあげく、唯一愛情をくれた家族同然の恩人を、いきなり目の前で「殿下。魔獣に名前をつけたのですか?」とか言われながら殺された子供に、「大切な者を守れなかったのは殿下のお力不足です」と言い放った前宰相に、ほぼ報いがなかったのは残念です。 ※手を下した騎士はきっちりアレされてる
あんたはそんな子供にいったい何を求めてるのだと小一時間。
そんなこんなで復讐に走った皇帝陛下が、悪魔皇帝とか呼ばれる程度で済んでいたのは、ひとえにパイさんとの愛情ある暮らしのおかげですよ……まあもしも彼女が転生&再会していなかったら、数年内にはこの国滅んでたでしょうけどね^^;;
ただまあ、なんというか……パイさん=エレオノーラが絶世の美女に転生していたことが、ちょっとモニョりました。結局、美形なら許されるってこと? と。
これ彼女の容姿が前世と同じであったなら、皇帝陛下はともかく周囲が絶対認めなかっただろうなあと、そんな印象が感じられて。そしたら今度こそ悪魔皇帝が魔王様にジョブチェンジですよ。
普通に地味で素朴系でも良かったんじゃないかな……まあそうすると、内面(ものすごい訛ってる)と外面(女神もかくやの美貌)のギャプ萌えというか、勘違い要素が減る訳ではあるんですが。
ううむ、難しい……
No.2150 (読書)


 骸骨殿下の婚約者
2020年09月09日(Wed) 
読書記録:
■骸骨殿下の婚約者 〜番外編 白亜の城の王子様
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/73149723/607400661

転生なし、トリップなしの現地主人公の、辛い幼少期を乗り越え成り上がっていく系。恋愛・童話タグ付き。
お話は一章ごとに完結していて、現在四章を連載中です。
第一章が「魔術師の侯爵家に生まれたけれど、魔力なしと判明し虐待されていた女の子ベアトリスと、彼女を拾って育てる、呪いで骸骨にされた王子様の成長物語」。第二章は「呪いが解けて結婚、正式に立太子した王子様に、隣国のお姫様が横恋慕してドタバタ&王太子妃を狙う謎の魔術師」。番外編1は二章目の背景的なちょっと昔の時系列で、「第二王子と隣国の姉姫のジレジレ、裏で王子様が暗躍」。
第三章は「別の国の第二王子と婚約者が立太子の挨拶に訪問してきたら、その婚約者がいきなり王子様に求婚して!?」。で、番外編2はさらに時系列をさかのぼったところから始まる、「別国の廃太子された第一王子と、王子様の友情。第三章の後日談付き」といった感じです。
なんと言うか、ちょっと読む人を選ぶ感じがしましたね(苦笑)
主役(ベアトリス)が、虐待されて育ったのに健気ないい子なんですけど、あまりにいい子過ぎて「いやその人間は許しちゃいかんだろ」という相手にまで手を差し伸べるんですよ……まあ彼女の能力(ギフト)の特性上、負の感情は禁物だから、周囲もそれを訂正しないんでしょうけど。将来の王妃がそれで大丈夫か? と少々心配にもなります。
そしてオスカー(元骸骨王子)が完璧超人過ぎて、大抵の事件が数時間〜数日で解決するという(苦笑)
いやまあその有能さは、呪い(自分には原因のない、親世代のとばっちり)に負けないよう、幼少期から努力して努力して努力した結果の賜物なんですけど。まあ彼が国政の暗部も担い、そのうえでベアトリスに癒やされるなら、セットで結果オーライなんですかね。もしくは彼が鞭でベアトリスが飴か?
あとこの世界の王侯貴族には、毒親と恋愛お花畑しかいないのかと小一時間ww
呪いが解けて正式に立太子したオスカーへの、周囲の手のひら返しっぷりが恐ろしいです。特に実母の王妃。
いやこの人もある意味では被害者なんでしょうけど、それにしたってそれを我が子に向けちゃいかんだろ……しかも呪いが解けたと判明したその場で、まず最初に速攻手配した内容が非道すぎてドン引き(汗)
でもヒロインは許しちゃうんだよなあ(ため息)
三章目の別国の王太子の婚約者(半妖精)に至っては、種族的な感性とお国柄と異能(ギフト)の影響などいろいろ要因はあるんでしょうが、もはや完全に言葉が通じないサイコパス(−ー;)
そんな婚約者と、過去幾度も妖精の血を取り入れたせいで五十歩百歩な考え方をする王族(家族)に囲まれて育った、人間よりの見た目と感性を持つ、廃太子された第一王子が気の毒すぎるというか。むしろあの国がこれまでよく他国と国交破綻させなかったなと、不思議でならないぐらいです。
全体的に、「どんな能力(ギフト)も、使い方次第で善にも悪にもなる」「努力は報われる」「一度どん底に落ちても、そこから這い上がろうとする姿こそが美しい」というテーマが根底にあって、それ故にかザマア要素は少なめです。
まあ救いがあるのは良いんですけど、それでもさすがに三章目と次の番外編「白亜の城の王子様(廃太子な第一王子が主役)」は、正直読んでて(あまりにもヘイトが溜まりすぎて)ちょっときつかったッス……
No.2146 (読書)


 実力主義に拾われた鑑定士 〜奴隷扱いだった母国を捨てて 敵国の英雄 はじめました。貴族にしてやるとか言われても 今更 帰るわけないでしょ〜
2020年09月06日(Sun) 
読書記録:
■実力主義に拾われた鑑定士 〜奴隷扱いだった母国を捨てて 敵国の英雄 はじめました。貴族にしてやるとか言われても 今更 帰るわけないでしょ〜 〈23〉なぜか部下に褒められる
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/704333444/668387347

“平民は搾れるだけ搾れ”
そんな考えがまかり通る王国で、平民の鑑定士アルトは、上司の理不尽な暴言、暴力にさらされつつ毎日ひたすら魔力の限界まで鑑定をさせられ続けていた。
そんな彼の元へと、ある日謎の男が現れる。
「我々の国は、実力のある者を求めている。キミなら金持ちに ―― この国で言うところの貴族になれるだろう」
そう告げる男へと、アルトは密かに鑑定をかけてみる。結果はこの王国と敵対する、帝国のスパイ。しかも潜入技術が突出した少佐だと出た。
「……俺に何かしたか?」「すみません! いつのもの癖で“鑑定”を……」「鑑定? ……キミは人の鑑定が出来るのか!?」「?? 出来ますよ? 鑑定士ですから」
鑑定したことを気付かれたのに驚き、殺されるかと恐れる彼へと、相手の男 ―― ベラルト少佐は続けた。
「俺の推薦状も付けよう。帝国に来る気があるなら、闇夜に紛れて南門に来てくれ」
置いていかれた魔石が再生した映像は、己に仕事を押し付けた上司達が『あの平民がいつ死ぬか見ものだな。どうだ? ひとつ賭けでも?』と、笑いながら酒を飲んでいる光景だった。
そうして母国を捨てることにした彼は、ベラルト少佐の紹介状を手に帝国軍訓練校の門を叩いた。
彼を迎えてくれたルドルフという少佐は、ここで働くには一ヶ月後にある入学試験に合格する必要があり、さらにその前に、普通の試験では見られそうにない、アルトの実力を確認したいと言った。その間の宿と食事は用意する、とも。
寝るのは橋の下とかでいいけど、飯をもらえるのはありがたい。
そう思ったアルトは了承し、その事前試験として軍の保護施設にいる孤児達の中から、才能のある者を一人選んで育てることとなった。
アルトが選んだのは、体力も技術もない落ちこぼれ。羊獣人である十五歳の少女リリは、現在のスペックこそ低いものの、鑑定の結果、補助魔法Sランクの素質を秘めていたのだ。
魔力の残量を鑑定で見極め、回復する速度に合わせて適正の合う魔法を練習させてみると、リリは数時間で基礎魔法を発動できるようになった。
……アルトは知らない。
通常の鑑定は、人間には使えないことを。そして動いているものにも使えないし、ひとつを鑑定するのに10分はかかる。アルトが王国でさせられていたような、一日に1000個以上を鑑定するなど、冗談にしか聞こえないということを ――


酷使され続けていた無自覚チートな鑑定士の青年が、良くも悪くも実力主義の国へスカウトされ、成り上がっていく系。連載中。
かつての上司を鑑定した際に結果が思わしくなかったためか、『人間の“鑑定”なんてクソの役にもたたんことをしてる暇があるなら、ノルマ追加だ!』『誰にでも出来ることだ! 自慢すると恥をかくぞ!!』と怒鳴られ、使い潰される寸前だったアルト青年。
おかげで自分は平凡なのだと信じたままで、いろいろとやらかすのはお約束(苦笑)
まだ入試本番にもたどり着かない、事前確認のさらに初期段階なので、タイトル回収は遠そうです。
……ちょっと不安なのは、育成するのに選んだのが、ロリ巨乳の獣人美少女(やっかみ視線の門番談)。次に成り行きでスカウトした元落ちこぼれ冒険者は、眼鏡っ子のお姉さん系(同上)。
しかも羊獣人さんは既にアルトへ心酔状態……これってやっぱりハーレム系に進むのかなあ……(´・ω・`)


2020/09/10 追記:
やった! 作者様がコメント返しで「ハーレムものにはならない予定」「ハーレムが読みたい方にお勧めできる内容ではないので、(ハーレムタグを)付けてないです」と明言されましたっ
これで安心して読み進められます ΣG(`・ω・´) <それ自体が嫌いではないが、安易なハーレムはちょい食傷気味
No.2143 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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