王様になりたくないのでざまぁされます
2021年04月07日(Wed)
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読書記録: ■王様になりたくないのでざまぁされます https://ncode.syosetu.com/n1029dv/
王太子教育として、幼少時より帝王学や礼節などの学問と調練を叩き込まれ、十二歳になった途端、辺境の地で身分を隠して冒険者として生きることを命じられた、アルことアルクレリオール・フォン・アルツトーリ。 死にかければ助けてもらえるだろうという淡い期待が消滅したのは、飢えに朦朧としながら雑草を食べていた時のことだった。 そうして王族の身分にこだわるのを止め、ただの冒険者として生き始めてから、彼ははたと気がついた。 あれ? なんか俺、苦労しすぎてない? 世間的な王族のイメージである「いいもの着ていいもの食べて勉強する」などというレベルではない詰め込み教育を強いられ、そこから一転、ド底辺の冒険者としてただ一人放り出され、一時は餓死しかけるところまでいったのだ。 王族としても冒険者としても、これは苦労のし過ぎだろう。 それでも、腕利きの魔法使いとパーティを組んで二年。下級貴族よりもよっぽど稼げるようになった彼へと、ある日突然、書簡が届く。 これからは王立魔法学園に入学し、王太子として、次代の国王として生きろという命令であった。しかも王太子としてのその立場には、会ったこともない婚約者とやらまで付属しているらしい。 嫌すぎるというのが本音だた。十二歳までに使われた養育費は返すから、解放してほしいと心底思った。 しかしただ逃げようとしても、即座に指名手配されるのは目に見えている。国外追放なら諸手を挙げて喜ぶところだが、王族の血を易々と逃すとは思えない。 そこで彼が選んだ手段とは……
乙ゲー世界の第二王子で王太子な完璧イケメン……になるはずだったのが、厳しく教育されすぎた結果、王位なんぞほしくないわという方向に舵を切って、自らザマアからの追放を画策するお話。一話完結。 元々がハイスペックだったので、冒険者として超一流に大成してしまったのが間違いの元というかww そしてハイスペックであるが故に、行き過ぎるほどこじらせたりはせず、根っこは善良だし王族としての努めも完全に放り出す訳ではないのが好感度高し。 ヒロインちゃん(現地人)もきっちり人生を謳歌してるし、誰も不幸にならないというのも、読後感が良かったです。
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No.2506
(読書)
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泣いて謝られても教会には戻りません! 〜追放された元聖女候補ですが、同じく追放された『剣神』さまと意気投合したので第二の人生を始めてます〜
2021年04月03日(Sat)
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読書記録: ■泣いて謝られても教会には戻りません! 〜追放された元聖女候補ですが、同じく追放された『剣神』さまと意気投合したので第二の人生を始めてます〜 墓荒らし https://www.alphapolis.co.jp/novel/683796663/64383097
タイトル通りのお話。 エピローグとあったので読み始めてみたら、なんかエピローグが連番になった挙げ句、しれっと続きが(苦笑)
この話における「聖女」とは、王妃として王家に嫁ぎ、邪神の封印をする存在。そして聖女候補とは神殿で、その補佐的な祈りを捧げる存在。この祈りが曲者で、大人数で交代しながらやっても自殺者続出という過酷なもの。結果として神殿内はギスギスしており、聖女は精神的負担を減らすために男漁りをしたり、少しでも楽な仕事である王妃を目指して蹴落とし合っているという(汗) そんな中で、規格外の能力とまあまあ良識的な感性を持っていた主役が、周囲に陥れられて教会を追放されーの。幼い頃から協会に隔離されていたために世間知らずで、とりあえず取り柄である回復魔法を売り物にしようとウロウロしーの。 そこへ仲間をかばって負傷したせいでパーティーから追放された、元凄腕の冒険者さんと出会って、回復不能なはずの大怪我を全快させーの。 で、回復魔法持ちなんてほぼほぼ教会に囲い込まれていて、名乗っても普通は信じてもらえないよとアドバイスした元凄腕さんこと剣神さんと、意気投合した結果、パーティー組んで自由に生きるぜ★ 的な。 なお主役を追放した教会側は、祈りを主役に押し付けまくっていた結果、早々に立ち行かなくなり自業自得な羽目に。恩人を追放したSランク(笑)パーティーも、あっという間にいろいろな意味でザマアになります。 主役が、自分は普通ですよーという体で、実はけっこうぶっ飛んだ感性の持ち主。剣神さんもまた、完全規格外の強さなので、この二人がパーティー組んだ段階でもはやあらゆる意味で無敵。 脅しも国からの命令も何のそので、我が道を行く姿はなかなかに清々しいです。 最新話らへんで、剣神さんの過去になにか謎っぽいものが匂わされてきました。 まだまだ先は長そうです^^;;
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No.2494
(読書)
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秘密のギフト【クラフトスキル】で領地開拓しながら楽しくスローライフを目指したい僕は、わざと無能のフリして辺境へ追放されました
2021年04月02日(Fri)
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読書記録: ■秘密のギフト【クラフトスキル】で領地開拓しながら楽しくスローライフを目指したい僕は、わざと無能のフリして辺境へ追放されました 〜レア鉱石を見つけよう! https://www.alphapolis.co.jp/novel/409404883/136424742
血の繋がらない異母弟に伯爵家を継がせるため、いろいろと画策していた継母に陥れられた……ふりをして、これ幸いと面倒な貴族社会からの離脱を計ったレスト。 慣例によれば捨扶持を与えられ、辺境で悠々とスローライフできるはずだったのだが、どうやら継母を少々甘く見ていたようで。レストが向かわせられたのは、最果ての地にある、誰もが開拓どころかまともに上陸さえできずに放置されてきた、巨大な無人島であった。付き従うのは執事が一人とメイドが2人のみ。 しかしレストには、これまで秘密にしてきた特別なギフトが存在していて……
追放からのチートなギフトで開拓系。連載中。 ……とりあえず第一部までだいぶ前に読んでたんですが、読書記録書くだけ書いてUPするのを忘れてたようです^^;; えーと、第一話ラストによれば、のちのちは王国レベルの開拓を成し遂げて『魔王』と呼ばれるようになるらしいです。 最初の動機が、貴族の義務完全放棄なんですが、それでもいちおう上に立つものの義務とかは心得ているようで、大のために小を切り捨てる辛さを理解した上で「これからはそれをさせないようにする」と決意表明するぐらいの気概は見せてくれてます。 あと開拓 = 先住民族にとっては単なる侵略というのを自覚しているのもいいですね。 気になりどころは、主役のクラフトスキルに、制限がほとんどなさそうなことなんですが……MP消費したりとかしないのかこれ? まさにチートっぽくて、物語バランスがちょっと心配です。
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No.2493
(読書)
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妹の婚約者である醜草騎士を押し付けられました。
2021年03月22日(Mon)
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読書記録: ■妹の婚約者である醜草騎士を押し付けられました。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/958838052/563461747
元愛人の後妻と異母妹に好き勝手振る舞われ、気の弱い父親は娘にも領地にもほぼ無関心。 わずか十二歳の頃から、使用人達と力を合わせてなんとか領地を差配していたバラレンド侯爵の跡取り令嬢フレミアだったが、そんな姉へと異母妹ジュリーは高らかに提案した。 「やっぱりあんな醜い恐ろしい奴の元へ嫁ぐのは嫌よ! 代わりにお姉様が嫁げば良いわ!!」 彼女は『華の騎士』と異名を持つ美貌の青年アイロワニー伯爵令息ラウルに一目惚れし、侯爵家の権力でゴリ押しして婚約を取り付けていたのだ。 しかしつい先日、ラウルは外遊先で襲撃を受けた第一皇子を守り、顔に大怪我を負ったのだという。武器に毒が塗られていたせいで、顔の半分は無残に変色し、大きな傷跡が残ったうえ眼帯もしなければならなくなったのだと。 それまでラウルの美貌を讃えていた令嬢達は、手のひらを返すように陰口を叩いた。曰く、『醜草の騎士』と。ジュリーも例外ではなく、あれほど望んだ婚約者を悪し様に罵り、そうして姉に押し付けようというのだ。 自分が出ていけば、この領地を誰が差配するのか判っているのだろうか。 そう思いながらも、身を挺して皇子を守ったというラウルを行為を称賛していたフレミアは、婚約者を変更する顔合わせの席へ向かう。せめて直接自分の口で、立て続けの非礼を詫びたかったのだ ――
虐げられていた有能令嬢が、ワガママな異母妹の身代わりにされたら溺愛系。多少ゆるふわご都合主義でもハッピーエンド推奨だそうです。ほどほどの長さで完結済。 個人的に、ラウルとマブダチな第一皇子のイイ性格感が好きww 父親は……なんというか最大の被害者っぽく。祖父の代と、あと元愛人というか、父親の家庭教師だったという後妻が酷すぎる(汗) 幼少期からあんな育てられ方してたら、そりゃ気が弱いと言うか無気力にもなるよ……フレミアの母親である先妻が早逝しなければ、もっと別の未来もあったのではないかと。それでもなんだかんだで吹っ切れているようなので、そういう意味ではちょっとほっとしました。
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No.2479
(読書)
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俺の師匠は偽聖女様
2021年03月19日(Fri)
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読書記録: ■俺の師匠は偽聖女様 https://ncode.syosetu.com/n0018dq/
一度に二人召喚された聖女のうち偽物だと追い出された方が冒険者となり、Sランクとなって紆余曲折の末、戦場で拾った弟子少年視点のお話。ザマアあり。短編。
もっと長い連載にできそうなのを、弟子がさくさく説明していってる、ダイジェスト版みたいな雰囲気でした。 師匠の聖女は19歳になっても日本人容姿で子供に見られるタイプ。14歳で弟子入りした弟子とは、外見的にそこそこ釣り合っているの、かも? そして弟子は搾取されていた側の農民出身なので、義務を果たさない貴族やワガママ放題やらかしたもうひとりの聖女に対して、けっこう冷淡です。
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No.2474
(読書)
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不遇スキルの錬金術師、領地を開拓する 〜貴族の三男に転生したので追い出されないように辺境を開拓してみた〜
2021年03月15日(Mon)
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読書記録: ■不遇スキルの錬金術師、領地を開拓する 〜貴族の三男に転生したので追い出されないように辺境を開拓してみた〜 129話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/618312778/956425548
十二歳になると神殿で魔法スキル授与の儀式を受ける世界。特に王に仕える者として、他国の兵や盗賊、魔物などから領土を守り戦う貴族達は、強力な魔法を扱えるスキルを求められる。 辺境伯エルドラド家の兄弟もまた、辺境開拓を担う者として、当たり前のように大きな期待を寄せられていた。長兄ホークは強力な火属性魔法のスキルを持っており、王都の魔法学園でも一二を争う逸材と言われている。次男オウルも風魔法の身体補助魔法を活用した剣術で、王都の武術大会少年の部優勝をを果たしていた。 そして三男のクロウも今年十二歳を迎え、スキル授与を受けるべく王都へと向かった。しかしその道中で彼は、突然の頭痛に見舞われ意識を失ってしまう。酷い高熱を出し、目を覚ましたのは数日が過ぎてからだった。 そして目覚めたクロウには、前世で日本人として生きてきた知識があった。それらはこれまでクロウとして生きてきたこの世界の知識と合わさり、なんとも不思議な感覚となっている。 そのままスキル授与の儀式を受けた結果は、鑑定と錬金術のダブルスキル。 この世界の知識で語るならば、それは完全にハズレの不遇スキルであった。鑑定などといったスキルは聞いたこともないし、錬金術に至っては、弱い魔法使いが低級ポーションを作るぐらいにしか使えないという認識である。 父伯爵は頭を抱えているし、クロウとしての感覚でも恥ずかしくて死にたくなるぐらいだった。しかし前世の知識からすると、見たものを調べてくれるスキルなど強力としか思えない。 さっそく鑑定スキルを使って錬金術スキルを調べてみると、 『様々な物を組み合せたり調合することで別の物質を作り上げる。主にポーションの精製などに利用されるスキル。また、魔力との交換により、自然物質を変化させることができる』 と出た。ぶっちゃけ魔力さえあれば、四大魔法と同等のことが、現代知識を持つクロウであればそれ以上のことができるだろう。 しかしこの世界の貴族社会において、錬金術スキルの持ち主など家の恥、弱みとしかならない。この先、表舞台に立つことは一生できないだろう。 しかし今のクロウには、面倒な貴族社会からさっさと抜け出し、スローライフで安全にのんびり生きていくことの方が向いているように思えた。 そこで辺境の最前線である開拓村へ飛ばされることが決まったのを良いことに、彼は思い切り自由気ままに過ごすことを決めるのであった。
不遇スキルを現代知識で活用し、田舎を開拓して村どころか王都よりも文化水準の高い都市にしちゃうぞ系。連載中。書籍化進行中につき読むならいま。 ……なんというか、うーん……テンプレ(苦笑) しかも挫折や失敗……どころか試行錯誤すらほとんどなく、ほぼすべてが一発成功していくという……気軽に流し読みはできますけど、正直どうにも印象に残りづらかったり^^;; ただ辺境の発展を主役一人に依存せず、新たな知識や技術を他者へ広めて人材を増やしていくところなどは、長期的視野があって良いと思います。 あ、ザマアというか見返し的なものはほぼないです。追放系っぽい始まりではありますけど、家族との仲はそう悪くなく。兄の一人は初期の開拓に付き合ってくれるし、もう一人も高価な餞別をくれてますし。父親も、やりすぎなほどのクロウの成果をすぐに認めて、活用したり尻拭いしたりに奔走しています。 そして125話あたりで、衝撃の事実が発覚しましたけど……これどうなるんだ……とりあえずハーレム展開にはならないって解釈で良いのかな……?
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No.2470
(読書)
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守護神の加護がもらえなかったので追放されたけど、実は寵愛持ちでした。神様が付いて来たけど、私にはどうにも出来ません。どうか皆様お幸せに! 他一編
2021年03月14日(Sun)
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読書記録: ■守護神の加護がもらえなかったので追放されたけど、実は寵愛持ちでした。神様が付いて来たけど、私にはどうにも出来ません。どうか皆様お幸せに! https://www.alphapolis.co.jp/novel/7416329/196413922
タイトルとあらすじで全て語られている、全1ページの短編。 土下座勇者の作者様の作品です。
■足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い! https://www.alphapolis.co.jp/novel/958838052/623449800
テンプレ追放者と見せかけて、実は……系。中編完結済。 現実の厳しさと人の優しさと、そしておとぎ話的なラストに心温まります。
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No.2469
(読書)
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タイトルって大事
2021年03月11日(Thr)
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ラノベ系の新刊情報を見ていたら、まーた長いタイトルのものを見かけまして。
辺境で現代知識で無双か……最近は多いよなあこの手の作品……と思っていたら、人狼への転生〜の漂月さんの活動報告にお知らせが。
■「オネエ軍師」書籍化のお知らせ|漂月の活動報告 https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/ 631969/blogkey/2753956/
「オネエ軍師 〜庶子たちの戦争〜」書籍化ですと!? もうちょっと続いてほしいぐらいには好きな話だったので、それ自体は祝いたいのですが……なんでタイトル変えたのさ……作者さんからのお知らせがなかったら、絶対これだとは気づかないところでした。 っていうか長いタイトルに変えるとしても、もうちょっと個性を出してほしかったと言うか、これじゃ作品の特色が全く出てない上に、他作品にすっかり埋没してるじゃないですか。
しかもノイエさん、イラスト見る限り単なる優男……もうちょっとゴツめでアクセサリーいっぱい着けてて、でも見苦しくはない。ミッツ・マ●グローブさん的な人物をイメージしていました。 うーんうーん……これはちょっと、購入を悩むなあ……
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No.2465
(読書)
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逆行した悪役令嬢は、なぜか魔力を失ったので深窓の令嬢になります
2021年03月04日(Thr)
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読書記録: ■逆行した悪役令嬢は、なぜか魔力を失ったので深窓の令嬢になります 〜37 https://ncode.syosetu.com/n9460fv/
王太子の婚約者でありながら、嫉妬に駆られ聖女を傷つけ婚約破棄。断罪され修道院に送られる途中に襲撃を受け殺されたところで、気がつくと3年前、学園入学直前に戻っていた侯爵令嬢。 記憶は残っているものの、高かったはずの魔力は枯渇寸前で、ベッドから起き上がることすら満足にできない。 それでも彼女は喜んだ。最後まで共にいてくれいっしょに殺された侍女も、御者も、まだ生きている。今度は誰も傷つけなくていい。他の人を苦しめる必要もない。苦しむのは自分だけなのだから、と。 そうして改めて二度目の命を生き直すことにした彼女は、手始めに王太子との婚約を解消しようとする。もともと高い魔力をたてにゴリ押ししたようなもので、王太子との仲もさほど良好ではなかったのだ。 しかし見舞いに訪れた王太子の反応は、予想と異なっていて……
現地主人公で、同世界間の逆行転生モノ。書籍化、コミカライズ済、連載中。 もともと本当にワガママな悪役令嬢だった少女が、一度死んだことで心を入れ替え、自分にできることは何かと考え始めるお話。 とりあえず領地編まで読みました。 どうもヒロインは電波系転生者っぽいのですが、まだチラッと出てきただけで詳細は不明。 あと脇キャラにあからさまな転生者がいますね(笑)
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No.2449
(読書)
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寝取られ令嬢は英雄を愛でることにした(連載版)
2021年03月03日(Wed)
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読書記録: ■寝取られ令嬢は英雄を愛でることにした(連載版) https://ncode.syosetu.com/n2196gp/
舞踏会の真っ最中、一方的に婚約破棄を言い渡された子爵令嬢エディス。 「言わないと分からないとはやはりお前はグズだな。美しくもなければ可愛げも愛想もないつまらぬ女よりも、美しく、愛らしく、社交に富んだ魅力的な女性を選ぶのは当然だと言うことだ」 早くに母を亡くし、己に無関心な父と、その元愛人だった継母と一歳違いの異母妹に虐待され続けていた彼女は、ろくに食事も与えられず、化粧もできなければドレスもサイズの合わない古着ばかり。 対して元婚約者の隣に立つ異母妹は、甘やかされて何でも買い与えられ、母の形見も全て奪った挙げ句に、今度は婚約者まで盗もうというのだ。 頭を殴られたような衝撃とともに、エディスは視界が広がるような感覚を覚えた。 己のものではない記憶が一瞬にして駆け巡り、灰色の世界に色が付く。これまで持っていた常識や感覚が塗り替えられて、何にも興味を持てなかったのが嘘のように世界が輝いて見える。 それは前の世界で両親に愛され、他人からの評価なんて気にせず、お一人様を悠々と満喫して過ごした記憶。恋人はいなかったけれど漫画やアニメの登場人物が大好きで、グッズを集めたりイベントに行った、優しく、明るく、時に大変な思いもあったようだが、それでも自由で沢山の愛を得た記憶。 途端に、目の前で婚約破棄を言い出した男も、今生の無関心な父も、意地の悪い継母も、何でも奪おうとする異母妹も、どうでもよく思えた。 「分かりました。婚約破棄を受け入れます」 元婚約者の文句を適当に受け流し、カーテシーをして場を離れる。 一度婚約を破棄された令嬢は、本人の有責無責に関わらず次の婚約相手が探し難くなる。前世の感覚を得たいま、働くことに忌避感も覚えないし、いっそのこと貴族令嬢なんてやめて町娘になろうかしら。 そんな事を考えながら会場を離れようとした彼女は、そこで思いがけない姿を目にして、思わず足を止めていた。 細身で繊細な美形が好まれる貴族達の中では目立つほどにがっしりとした体躯を持つ、近衛騎士の制服をまとう男性。その頭部は見事な獅子の姿をしていた。鮮やかな金色の鬣に縁取られた頭部だけではない。手足もきれいな毛並みに覆われ、尻尾まである。 この世界には、魔術はあるがエルフや獣人は存在していない。いるのは人間と魔獣とただの動物のみ。 つまりその人物の容貌は異常であった。事実、周囲の人々は彼を遠巻きにし、畏怖の目を向けている。 しかしエディスは異なった。 「……素敵……」 前の世界での彼女は、重度の獣人フェチだったのである。 それは、魔獣の呪いを受けた英雄と呼ばれる騎士と、薄幸だった ―― しかし今では人とは異なる感覚と芯の強さを得た少女との、逆プロポーズから始まる恋物語であった。
「Jolly Rogerに杯を掲げよ」の作者さんの、婚約破棄から始まる、美女と野獣的なザマア入り恋愛もの。本編・続編共に完結済。 主役は前世知識がうっすらと蘇り、人格も多少しっかりはしたけれど、ちゃんと現地の文化(貴族の習慣など)を守って、現代知識で好き勝手やらないのが良き。 ヒーローが出世しすぎず、あくまで騎士爵のままを貫くのも良い感じ。 ……英雄とは言え一代限りの騎士爵の結婚式とかに、ほいほい王様とかやってくるのはどうかと思いますがww
むしろこれ、転生モノである必要、あったのかな? と言うか転生モノだと忘れてたということがしばしばでした。 とにかくかなり初期からお互いへの好感度が振り切れ気味かつ、周囲もだいたいが味方なので、そういう意味では安心して読めます。 ただこの世界の貴族社会怖い……ノブレス・オブリージュが強めと言うか、やらかした場合の制裁が半端ないです (((( ;゜Д゜)))) ガクガクブルブル 特に第二王子、この人だけは敵に回したらあかんと心底思う(汗) そして後日談のラストの余韻が、すごく気になります……ヨシュアくんは冒険者にでもなって、長い長い旅に出たのだろうか……知りたいような、知らずに想像を馳せたいような、そんな終わり方でした。
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No.2447
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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