よしなしことを、日々徒然に……
※ 2017年以前の記事は こちら になります ※



 婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
2024年03月27日(Wed) 
読書記録:
■婚約破棄された無表情令嬢が幸せになるまで〜勤務先の天然たらし騎士団長様がとろっとろに甘やかして溺愛してくるのですが!?〜
 https://ncode.syosetu.com/n7786hv/

書籍化・コミカライズ・完結済。
婚約者が異母妹に乗り換え、家を追い出された挙げ句に問題だらけの騎士団の下働きとして放り込まれた鉄面皮の伯爵令嬢が、実はいい人揃いの騎士団員とそのトップ(冷酷無比と噂の超美形)と、ほのぼの交流を深めつつ、国の膿となっている有力貴族の不正を暴くお話。
ヒーローの方は躊躇いなく突き進む感じで思いを伝えるし、ヒロインの方もなんだかんだでちゃんと思ったことを口にする。周囲も暖かく見守ってくれて、そちらの方はストレスなく読めました。
なお元婚約者はクソ。異母妹はまあ……本当に真実の愛を信じていて、姉から相手を奪ったことに罪悪感を抱いて申し訳なく思っています。なので姉の穴を埋めようと努力はするし、婚約者がどんどん暴力的になっていっても、これも因果応報だと耐え忍んじゃいます。愚かではあるけれど憎めない少女という位置づけ。義母も、実父亡きあと家を守るために必死に頑張っていて、義娘に使用人の仕事をさせていたのは、純粋にお金がなくて人を雇える余裕がなく、実娘の方にはその適正がなかったから。親子間のコミュニケーションがうまく行っていなかったのも、お互いともに感情が顔に出にくく、どう接していいか判らずにギクシャクしていたから、と。
で、主役は義母の苦労を理解しているし、妹のことも大事に思っている。結婚はもともと家同士の政略なのだから、妹が幸せになれるならそれでいいと、本気で思っているお人好し。
うーーーーん、優しい世界ではあるのでしょうが、さすがにちょっともにょりました。
そもそも義妹が苦手であろうが勉強をしていて、家の仕事も手伝い、馬鹿な婚約者の根本的な勘違いをさっさと正せていれば、こんなことにはならなかったんですよね……しかもそこでさらに、母子ともに自分達可愛さに義姉(娘)を売りとばすのに、消極的ながら加担している訳で。
いくら反省して痛い目も見て、これからは頑張ると決意したとは言え、何のお咎めもなく雨降って地固まるのレベルで、仲直りしてめでたしめでたし★ と済ますのはお人好しが過ぎるかと^^;;
元婚約者が突出してひどかっただけで、そもそも義妹が婚約者を横取りしたのも、義娘が評判の悪い職場へ追い出されるのを容認して、手紙のひとつもよこさなかったのも事実ですからね……?
No.3854 (読書)


 愛とゴシップの「平安女流日記」
2024年03月25日(Mon) 
読書記録:
N/A

愛とゴシップの「平安女流日記」 (PHP文庫) 文庫 – 2013/3/5 川村 裕子 (監修)

平安時代の女性が書いた、日記や自伝要素のある文学作品。その中から代表的な「枕草子(清少納言)」、「紫式部日記」、「和泉式部日記」、「蜻蛉日記(藤原道綱の母 ※兼家パパの側妻)」、「更級日記(菅原孝標のむすめ)」の5作品をピックアップ。それぞれの作者を人気ブロガーなどに見立てて、面白おかしく解説した書籍です。2013年発行なので、SNSといってもブログとメールぐらいですが、逆にそれぐらいが私世代には判りやすかったです。 LINEとかXとか TikTok とか、おばちゃんにはもうついていけないよ……

で、今年の大河ドラマ「光る君へ」に触発されて、少しは平安時代の知識を入れておこう……でも古文は難しくて……といった次第で母からこれを借りてきて、ひとまず「紫式部日記」と「和泉式部日記」は、通常の現代語訳と並行しながら読み進め。
文章は非常に軽く、ところどころにいかにも少女漫画チックなタッチで、茶化すような1コマが書かれていたり、それぞれの作者紹介もラノベのそれのよう。しかし内容は意外と真面目と言うか、原文に忠実でした。省略はあっても改変はないと言うか。
「そんなに茶化して……って、ほんとにそんなんだった!?」というエピソードや突っ込みが、少なくとも「紫式部日記」と「和泉式部日記」には多々ありました。むしろ普通の現代語訳と交互に読んでいたら、「これか!」「それな!」と、うんうんさせられることがしばしば(笑)
簡易な系図や当時の風俗などについてもちょこちょこ載っていて、基礎知識のない人間の入門編としては良いんじゃないかと思いました。逆に言えば、ある程度知識のある人間には物足りないかもしれません。
まあ、私は知識のない側ですし、他の三作品についてもこの書籍を読んだだけなので、あまり断定はできませんが。
清少納言が定子に仕え始めの頃は、引っ込み思案でろくに取次ぎも出来ず部屋に引きこもっていたとか、ちょっと意外なエピソードなども出てきます。大河ドラマの強気でイケイケな桔梗さんとはだいぶイメージが違ってきますね。
なお、それぞれの作品の書かれた時期と、作中年月はざっくりこんな感じ。

 974年頃(作中954年〜974年)蜻蛉日記(道綱の母)
 1004年頃(作中993年頃〜1004年)枕草子(清少納言)
 1008年頃(作中1003年〜1004年)和泉式部日記
 1010年頃(作中1008年〜1010年)紫式部日記
 1060年頃(作中1020年〜1059年)更級日記(菅原孝標の女)

大河ドラマだと。3月終盤時点で986年頃ですから、蜻蛉日記(兼家パパへの愚痴や息子道綱(上地雄輔)に対する愛情が書かれている作品)が発表されて、10年ちょっとぐらい。他の作品はまだ書かれるどころか作中の時期にも到達しておらず、紫式部日記が書き始められた頃には、他の三作は成立済。更級日記に至っては完全に世代違いということが判りました。
実際、更級日記の方は、源氏物語(1001年頃から数年かけて書かれた)を全巻集めて楽しくキャピキャピしていた夢見るオタク少女が、かなり嫁き遅れて結婚。子供を生んだのちに昔を思い返して、もっと真面目に生きてくれば良かった……と反省する流れらしく。今後も大河には関わってこないでしょう(苦笑)
逆に和泉式部日記の方は、がっつり大河ど真ん中。恋のお相手も道長の甥っ子にあたる人物なので、もしかしたら関わってくる可能性がある、かも……?
No.3853 (読書)


 追放された聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う〜今の生活が楽しいので、迎えに来られても帰りたくありません!〜
2024年03月23日(Sat) 
読書記録:
■追放された聖女は、捨てられた森で訳アリ美青年を拾う〜今の生活が楽しいので、迎えに来られても帰りたくありません!〜
 https://kakuyomu.jp/works/16816927862223543627

書籍化・コミカライズ・完結済。
聖女として酷使され、前線で魔物と戦い続け、なんとか結界を貼り直して国を守った少女が、手柄も婚約者も奪われ、無駄に戦闘を長引かせた罪人として魔の森への追放刑に。しかし足を踏み入れた者は誰一人帰らなかったという森をあっさり抜けた彼女は、途中で大怪我を負って倒れている青年を助けたところ、隣国の第二王子で……という、言ってしまえばお約束ストーリー。
彼女を陥れた側の視点がかなり多く、さらにザマアに関してもけっこうエグい。正直ちょっとしんどかったです。でも建国と聖女の謎とか、隣国の王家に伝わる呪いとか、いろいろ気になって最後まで読んでしまいました。
とりあえずヒーローがめっちゃ良い人で、主に精神面が強く、まっすぐに彼女の支えとなり続けてくれたのが救いでした。
No.3847 (読書)


 生贄として捨てられたので、辺境伯家に自分を売ります 〜いつの間にか聖女と呼ばれ、溺愛されていました〜
2024年03月16日(Sat) 
読書記録:
■生贄として捨てられたので、辺境伯家に自分を売ります 〜いつの間にか聖女と呼ばれ、溺愛されていました〜
 https://ncode.syosetu.com/n2346hw/

魔法の名門と言われるアルタミラ伯爵家の当主が、平民に手を付けて産ませた娘ルアーナ。10歳の時に母親が死んだので父の元へ引き取られたものの、正式な子とは認知してもらえず、婚外子として使用人扱いの日々。義母や義兄、義姉も当然ゴミのようだと蔑み暴力をふるい、窓もない屋根裏部屋で食事も満足に貰えない生活が5年続いた。
そうして15歳になった頃、辺境の地で魔物と戦い続けるディンケル辺境伯家から、魔導士の派遣要請があった。可愛い息子や娘を死地と称される戦場へ送りたくない両親は、魔法の扱いなどまったく教えていないルアーナを送り出す。
「あなたは死ぬくらいでしか役に立てないんだから、せいぜい前線でも味方の盾になって死になさい」
それが義理とはいえ家族だった存在から、最後に向けられた言葉だった。
しかし彼女は伯爵家へ引き取られる前に、四大元素以外の希少な魔法を発現させていたのを、彼らは知らない。薄暗い屋根裏で、視界を確保するぐらいにしか使ってこなかったが、それでもここで放り出されては後がない。その一心で、彼女は辺境伯家で必死に己を売り込んで ――


現地主人公の、努力が報われる系成り上がり。書籍化・コミカライズ済、完結済。
コミカライズの方から入って、まずは最初と最後だけ確認して、その後ちょいちょいコミカライズの更新に合わせて途中を摘んでいたのを、ようやく全話目を通しました。
元家族はゴミですが、それ以外の人達はそれぞれ癖がありつつもみんな主役に優しいので、安心して読めました。元家族は酷いですが(大事なことなのでry
ただ書籍化の影響でか、ちょっと打ち切りに近い感じで終わってます。元家族へのザマアも中途半端というか。コミカライズの方は裏でこっそり手を回してたりはするんですが。
WEB版の方では自業自得+なにか企んでるっぽかったのに、ほぼ空気で終わってるのがもうね(苦笑)
あと主役の少女がかなり世間知らずで純真が過ぎる部分もありますけど、でも元は平民で10歳からはほぼ軟禁+虐待の数年を経て、見知らぬ土地へぽいっとされてからまだ3年だと思うと、むしろものすごく聡明で順応力が高いほうだと思います。努力家で向上心も高いですし、前線で過ごしたおかげですっかり肝が座っているのも好印象。
そりゃあねえ、死地と呼ばれる戦場で3年も命がけで戦っていれば、王都でのらくら甘やかされて学生やってる義兄姉なんか、屁でもなくなりますよねえ(苦笑)
No.3840 (読書)


 女嫌いの王子殿下と、男装令嬢の私が婚約をする事になりそうな件
2024年03月09日(Sat) 
読書記録:
■女嫌いの王子殿下と、男装令嬢の私が婚約をする事になりそうな件
 https://ncode.syosetu.com/n1838he/

メロジア公爵家の令嬢リンファは、表向きはメロジア家の次男という形で、リンドブルグ王国が第二王子、シグア・リンドブルグの従者をやっていた。
国王も父公爵も承知の上で行われた人事だったが、主であるシグアは彼女が男だと信じて疑わずにいる。
そもそも子供の頃にはよく共に遊んだ仲だったのだが、長じるにつれ疎遠となり、さらにシグアが顔を合わせただけで鳥肌を立てるレベルの女嫌いになったという話を聞いてからは、気を使って距離を取っていたというのに。
そのシグア自身が、周囲から女嫌いを直そうと押し付けられる女性従者に辟易とした挙げ句、リンファを指名してきたのである。
なんとこの王子、こともあろうに幼馴染の性別を勘違いしていたらしい。
国王陛下は、段階的にでも女性に慣れさせていこうとリンファへ性別を偽ることを命じ、臣下としてはそれに応ずるしかなかったという次第である。
そうして三ヶ月。全く疑われることもないまま、元幼馴染として気安く接してくる第二王子とリンファは、それなりに良好な関係を築いていた。
しかしある日のこと、彼はリンファへと声をかけてきた。
「なあ、リンファ。ちょいと頼まれてくれるか」
「はい。なんでしょうか」
「俺の為に、女装をして欲しいんだ」
……リンファは女性である。男装をし、男だと思われてはいるが、あくまで女である。その自分に女装をしろとは……?
混乱する彼女へと、シグアが告げたその目的とは ――


「転生令嬢が国王陛下に溺愛されるたった一つのワケ」などのアルト/遥月さんの作品。短編。
これもさくっと何も解決しないまま終了(苦笑)
王子殿下と男装侍従な主役の年齢が描写されていないのですが、これを許されている&成立するのであれば、12〜3歳ぐらいですかねえ?
それぐらいならぎりぎり子供の我が儘が通るでしょうし、性差もなんとかごまかせるかな、と<主人公は幼い頃から男装を続けているのではなく、いきなり始めた付け焼き刃
っていうか、女嫌いの理由なども語られていないため、この時点では甘やかされ王子のはた迷惑な我が儘にしか見えないんですけど、これが実はリンファを囲い込むための壮大な計画だったりしたら、面白いなあとか想像をたくましくしてみたり。
No.3835 (読書)


 私の婚約者は、根暗で陰気だと言われる闇魔術師です。好き。
2024年03月05日(Tue) 
読書記録:
■私の婚約者は、根暗で陰気だと言われる闇魔術師です。好き。
 https://ncode.syosetu.com/n4033hl/

ろくでなしの王女に冤罪を掛けられ、没落寸前となったシルヴェン伯爵家を救ってくれたのは、王宮魔術師のレジェス・ケトラであった。優秀だが忌み嫌われる闇属性の魔術師である彼は、陰気で根暗で性格にも難があり、周囲からは闇ワカメなどと呼ばれているような男だ。
見た目からして癖の強い、もしゃもしゃの黒髪に青白い顔。ぎょろっとした落ちくぼんだ目や、がりがりに痩せた体躯など、どうにも気味が悪い。
しかしそんな彼は、魔物討伐作戦で大きな功績を上げ、国王から褒美に何が欲しいかと聞かれた際、伯爵の無実の証拠を提出し、その汚名をそそぐことを望んだのだった。
レジェスは七年ほど前、16歳の折りに遠征で怪我を負い、たまたま近くの別荘に滞在していたまだ子供と言って良い年頃のシルヴェン伯爵令嬢、リューディアに助けられたことがあった。助けたと言っても、行き倒れていたところに着替えと寝床と食事を提供し、たった一日面倒を見た、それだけのことなのだが。
どうやら彼は、こういう形で「お礼」をしてくれたらしい。
おかげで投獄されていた伯爵も、軟禁状態にあった一家も救われた。王女は当分の間、謹慎を言い渡され、国王は伯爵家の名誉回復に関して後ろ盾になることを約束してくれる。
そろそろ結婚を考えていたリューディアは、晴れて婚約相手を探しに茶会や夜会へ参加したが……言い寄ってくる令息達は、冤罪を受けた際にすぐさま離れていった貴族達がほとんどだった。手のひらを返したような態度がしっくりこず、彼女はどうにも相手を見つけられずにいた。
そうこうしているうちに、王宮へと呼び出しを受けたリューディアは、国王立ち会いのもとレジェスからとんでもない申し出を受けて ――


書籍化・コミカライズ済。文庫2冊ぐらいで完結済。
「ヒーローは非イケメンで、イケメン化もしません。」の注意書きあり(笑)
本編はあっさり終わって、ろくでなし王女もさくっと退場。むしろ裏話とか後日談的な番外編の方が長いし読み応えがあります。
主役のリューディアが精神的にすごく強くてしっかりしてるし、ヒーローのレジェスも卑屈で人間性にアレなところはちょっとありますが、少なくとも大切な相手に対しては紳士で誠実。お互いに思ったことをちゃんと口に出して話し合うため、変なすれ違いとかなく、ずっと「なんだただの甘々カップルか」です(笑)
いろいろもだもだもするけれど、ちゃんと前に進んでいきますし、リューディアの身内や闇魔術師仲間達もみんな味方なので、そういう意味では非常に安心して読めました。
闇魔術師の寿命については思うところもありましたけれど、男性貴族の平均寿命が六十代くらいとあったので、むしろすごく頑張ったんだな……と思いました。そこのあたりだけはちょっと切ない( T _ T )
No.3834 (読書)


 和泉式部日記・訳
2024年02月28日(Wed) 
読書記録:
■和泉式部日記・訳 | 杉篁庵
 https://sankouan.sub.jp/izumisikibunikki-yaku.htm

個人サイトさんで公開されている、「和泉式部日記」の口語訳。
原文と口語訳を、同画面で対訳しているページも用意されています。
口語訳であり、対訳もされているだけあって、かなり原文に近い翻訳かと思います。解説本によると短歌142首と連歌5句が含まれているという和歌も、おそらくすべて訳文付きで載っています。しかも引用されたり、ネタとして使用されている元歌や言い伝えなども解説して下さっている親切ぶり。
……その代わりと言ってはなんですが、回りくどかったり冗長な部分も多いですが。私は↓こちらの書籍の該当部分と交互に照らし合わせながら、三週間近くかけてようやく読み切りました。

蜻蛉日記 和泉式部日記 生方たつゑの (わたしの古典シリーズ) (集英社文庫) | 生方 たつゑ |本 | 通販 | Amazon

こちらはこちらで、だいぶ意訳が入っているというか、特に終盤など原文にない場面(北の方と宮様とのやり取りとか)が追加されている模様。
逆に削られている部分も多く、何度も和歌をやり取りして通わせてゆく感情を、ざくっと二行ぐらいにまとめていたりします(笑)
それだけに現代の小説に近く、文章としてはだいぶ読みやすかったです。


で、「和泉式部日記」そのものについてですが。
作中年月は、1003年4月〜翌年1月までの9ヶ月間。和泉式部は数え26歳で、お相手の宮様(敦道親王・当時は東宮だった三条天皇の同母弟であり、共に道長の甥)は23歳。
後に紫式部と同じ藤原彰子(道長・倫子の娘)に仕えるのが1008年の31歳ぐらいからなので、1006年に37歳(970年出生説採用)で仕え始めた紫式部より、後輩かつ年下なんですね。
そして「光る君へ」は8話目現在、986年まで進んでいるそうで。この和泉式部日記は17年ぐらい経ってから起きるお話なようです。


で、もって、
「和泉式部日記」を読んでいて、ずーーーっと思っていたことですが。

……宮様、いい加減うぜえww

いやそういう話だと、判ってはいたんですよ。
とにかく全編恋愛のことしか書かれていない、粋な恋の駆け引きこそ全てな平安貴族を描いてるのは判ってたんですよ。
それにしたって、同母兄の元カノに興味もって押しかけた挙げ句、無理矢理関係持っときながら、何度も浮気を疑うわ、そのくせ自分は「あんな評判の悪い女性と遊んでると噂されたら世間体が」って、いきなり連絡を断ってみるわ。そうかと思えば、普通は急な外出なんて以ての外な当時の女性を連れ出して、従兄弟んちの邸内に駐めた牛車の中で……などなど、やりたい放題ですよ(苦笑)
なお和泉式部の方はというと、けっこう一途に描かれています。
あちこちの解説によると、この「和泉式部日記」は、宮様が亡くなられたあとに和泉式部が当時を思い返しつつ書いた、一種のフィクションなのではないかとのこと。
つまり、大河ドラマ「光る君へ」でまひろちゃんが「蜻蛉日記」について披露した、「自分はこんな高貴な人と、すごい恋愛をしたんだぞ!」という自慢話なのではという解釈、まさにそういう感じ。
「世間は男癖の悪い自分(和泉式部)が、宮様を誘惑したとか口さがなく噂したりするけれど、実際には宮様の方からこんなに熱烈なアプローチがあって、自分(和泉式部)はただただ控えめに一途に、尽くしに尽くした結果だったのよ!」と主張している印象が。
原文ラストにも、

>宮の上御文書き、女御殿の御ことば、さしもあらじ、書きなしなめり、と本に。
訳:宮の北の方のお手紙とか、北の方の姉君の女御様のお手紙の言葉などは、実際はこのままではないでしょう。想像の作り書きのようである、と原本には書いてあります。

とあるように、和泉式部が書いた日記であるはずなのに、彼女が不在な場面である宮様や北の方視点の描写があちらこちらにあるんですね。しかも現在読めるのは、さらにその写本なのでしょうか?<原本には書いてあります表記

なので最初から創作物だと思って読んでいれば、ガチ日記と思われる「紫式部日記」ほど作者に共感して鬱な気分にもならず、はいはい恋愛脳ですね、おめでとうございます、と気楽に流せるという(笑)

和歌に関しては、難解で目が滑る部分も多かったですけど、素敵だなあと感じるものも多かったです。もっと基礎知識があれば、掛詞とか引用元とかが判って、その凄さがより理解できるのだろうなと残念に思えたり。
No.3830 (読書)


 女神様がやっちまいなとの思し召しです
2024年02月26日(Mon) 
読書記録:
■女神様がやっちまいなとの思し召しです
 https://ncode.syosetu.com/n0585hm/

名高い悪女であるメイリン・アルス伯爵令嬢は、ついに国外追放された。
後妻である義母や義妹、義理の弟をいじめ抜き、下賤な使用人になど触れられるのも汚らわしいと近づけないため、手入れされない髪や肌は荒れ放題。神経質で癇癪持ちで、身分を鼻にかける気位の高い変人だと噂される彼女は、聖魔力を発現させ聖女と認定された義妹が、王太子の婚約者となったことが気に入らなかったのだろう。ますます周囲を虐げるようになったため、ついに王太子カイゼンが断罪したのだ。
「私の妃となるユーミアを虐げる事は、王家に歯向かうということだ! これは反逆罪にもあたるぞ。あぁ、発言は赦さない。この場はお前の見苦しい言い訳を聞く場ではない! お前への裁可は、国王やお前の父親も既に認めたことだ! 国境まで連れて行き、捨て置け! 魔物に喰われても構わん」
そうして、魔物の瘴気により空気や土が汚染された隣国へと、彼女が追放されてから2年。
前王妃でありカイゼン王太子の祖母であった聖女が亡くなったことで、国内は荒れていった。もはや一刻を争う事態となっているが、王太子妃であるユーミアは子供を産んだばかりで無理をさせられない。
やむなく隣国の聖女へと助けを求めたカイゼンのもとに現れたのは、輝き流れる銀の髪に、長いまつ毛に縁取られた銀の瞳を持つ、美しい女性であった。
その隣には隣国の王太子。魔物を相手に戦う鬼神の様な強さから、黒き獅子とも呼ばれる美丈夫がいる。
穏やかなほほ笑みを浮かべる聖女は「お久しぶりでございます」とカイゼンに告げた。
「ほ、本当にメイリン・アルスなのか…?」
追放した悪女。薄汚れ、やせ細り、髪も肌もガサガサの老婆のようだった醜いあの女が、なぜこのように美しく神秘的な聖女として現れたのか。
愕然とするカイゼンだったが、たとえ最愛の妻を害した許しがたい相手であろうとも、今は国のため下手に出るしかない。
苦汁を飲んで頭を下げた王太子だったが、意外にも彼女はあっさりと浄化を受け入れてくれた。
しかもその報酬は、彼が5つの質問に回答をすること。ただそれだけである。
1つの質問に正解すれば、1つの都市を浄化する。5つで国内全ての都市が浄化される。しかも回答は何度でもして良いし、正誤の判定は神官の魔術によって行われるため、わざとそれは間違いだと嘘をつくこともしない。
そして答えは全て、『調べればすぐに判ること』だという。
なにか策略があるのではと警戒しながらも、王太子はうなずいた。それが、その後の彼と王国の命運を決めるとも知らずに ――


読み切り短編。コミカライズ済。
家族に虐げられて追放された先で、聖女となって強気ながらも有能な王族に溺愛され、自国に戻ってザマア ―― の、ほぼほぼザマア部分だけのお話です。しかも王太子側の視点が多めなので、なかなか新鮮な感じがしました。
神官の魔法による真実の判定は、国全体に発表しなければならない決まりがあるので、質問が進むごとにどんどん国のやらかしと元家族の悪行が公開処刑状態になっていくのがえげつないww
聖女さんは、こんな利己的で意地の悪い真似をしたら、聖女としての力を失ってしまうかもしれないと思いつつザマアを実行するし、婚約者となった黒獅子さんもノッリノリ。
そしてザマアが進むに連れてむしろ神聖力が増えていっている、すなわち女神様もそれをお望みなのだということで、タイトル回収です。
虐げられても失われない清らかさではなく、大切なもののために行動する強かさを身につけた聖女様、カッコいい。
最終的なザマアは、まあほどほどにやりすぎない感じ。ちょっと甘いけれど妥当な落とし所といった感じでしょうか。
……っていうかこれ結局、一番得したの実は王太子様なんじゃね……?
この人が王位についていたら、たぶんこの国、数年の内に滅びてたでしょうし。
まあでも、ちゃんと反省して責任も自分から取ろうとしたし、適材適所で償いのチャンスがあるのは良いことでしょう。おそらく周囲から針の筵でとんでもないことになるでしょうが。
そう未来を考えると、ある意味一番の被害者は、そんな両親の元に産まれてきてしまった子供の方なのかもですね……
No.3828 (読書)


 バケモノとケダモノ
2024年02月23日(Fri) 
読書記録:
■バケモノとケダモノ | ツイコミ(仮)
 https://twicomi.com/search/manga/%23バケモノとケダモノ/
sort/date/page/1

人外×美形な中年紳士(?)のBLオンラインコミック。書籍化・完結済(一応)。
ヤングエースUPで公開されている「首なし精霊様に口づけを」の続きがどうなってるのかなあと検索していて、同作者さんのものをうっかり発見。一気に読んでしまいましたww

単行本は全4巻みたいですね。WEB版の方もそれぐらいの分量です。
オンラインという特性上、R18の過激すぎる部分をページごと飛ばしているようですが、繋がりなども特に違和感なく読めました。
……むしろ最終話まであると安心して読んでいたら、最終話の結末も単行本でね★ だったというのがさあ ・゜・(ノД`)・゜・
でもまあ、ひとつ前の23話で読み終えるか、最終話の扉と1ページ目までにしておいても、充分余韻を感じられるきれいな終わりになってると思います。

内容的には、↓こんな感じww

■Xユーザーの蓮地@「首なし精霊様に口づけを」連載中!さん: 「こういうBL漫画が読みたいんです。 https://t.co/E8AqKcaztu」 / X
 https://twitter.com/renji_range/status/831170300796555264

あまりにも醜悪すぎて同じ魔物からも避けられていた、でも心優しく実直なモンスター(バケモノ)×紳士と見せかけて、実は老若男女問わず惑わせるビッチな人でなし(ケダモノ)との恋物語。
最初はモンスターの方が一目惚れして押しかけてる状態で、美中年の方は「嫌なら森に帰りなよ」「私がお前を望んだ訳じゃないし、いなくなっても何も思わないよ?」ぐらいのスタンスだったのに、気づけばかけがえのない存在になっているのがもうね、たまらんです。
カヴォ(モンスター)が本当に純粋で純粋で、一途にリアン(美中年)を慕い続けて、拙い言葉で思いを伝えるのが尊い(*´Д`)
12話あたりからのリアンの変化がまたね。ほんと尊いとしか(語彙力
なおカヴォに関しては、人化も美形化もありません。たまにエイプリールフール企画などで人化ネタやってたりはしますが、本編では最後まで醜いモンスターを貫きます。だがそれがイイ ΣG(`・ω・´)

リアンがいろいろとアレ過ぎる理由に関しては、きっちり語られます。かなり痛い系の過去なので、苦手な方は要注意ですが^^;;
逆にカヴォがあの生い立ちで、何故あそこまで聡明で心優しいのかは謎のままですし、どういう形で発生したのかも判らないままでした。これ単行本には入ってるのかなあ。
No.3826 (読書)


 心の声が聞こえる公爵令嬢と冷酷公爵様 他一編
2024年02月18日(Sun) 
読書記録:
■心の声が聞こえる公爵令嬢と冷酷公爵様
 https://ncode.syosetu.com/n1482gu/

■幼馴染のお嬢様が実はお坊ちゃんだったらしい
 https://ncode.syosetu.com/n7296hr/

2/18読了。
「転生令嬢が国王陛下に溺愛されるたった一つのワケ」などのアルト/遥月さんの作品。どちらも短編でさくっと終了。
この方は短編を書いて好評だと連載に格上げするっぽいので、これもいずれ続きが読めるかも……? と思いたい程度には、何も解決しないまま終わっていました^^;; 特に心の声〜の方なんて、余命って何で? 解決するのしないの?? 主役の特殊能力の理由は?? と、本当に勢いだけの続きなし状態なので、生殺し感がひどい(苦笑)
幼馴染〜の方は、女友達だと思っていた幼馴染が、十年ぶりに再会したら立派な偉丈夫になってた系。
特に女装してたとか性別を偽って生活をという訳ではなく、幼い頃は女顔だったことによる主人公側の勘違いです。
真実の愛(ryからの婚約破棄された直後に再会、かつ昔は転生要素なしでもまともに会話が成立していたことを合わせると、二人が遊んでいた3年間とは5〜6歳頃から8〜9歳の間ぐらいでしょうか?
まあ、それぐらいなら勘違いしても無理はないですかね……月に2〜3度会うだけ、しかもお坊ちゃんのほうが関係壊れるのを恐れて、訂正しなかったうえに素性も明かしてないですしww
……あれ、むしろそれでよく手紙(十年文通してた)届いてたな……?
No.3822 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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