よしなしことを、日々徒然に……
※ 2017年以前の記事は こちら になります ※



 准教授・高槻彰良の推察 2巻 怪異は狭間に宿る
2022年07月19日(Tue) 
読書記録:


前回、調布の神隠し事件で知り合った子供、大河原智樹の通う小学校から相談が持ち込まれた。なんでも智樹の隣のクラス五年二組で新しい怪談が生まれたのだという。内容は『コックリさんをやったあと、帰ってくれずにロッカーへ住み着いてしまった。勝手に扉が開くことがあり、うっかり近寄ると引きずり込まれて違う世界に連れて行かれる』というもの。子供達はひどく怖がっており、PTAからはお祓いをしたほうがという声も上がっているらしい。智樹経由で高槻のことを知った担任教師の招きにより、高槻と尚弥は調査へ向かった……「第一章 学校には何かがいる」
大学祭で卒業生の女優、藤谷更紗がトークショーを行うことになった。そして高槻はその相手を務めるらしいが、尚弥は特に興味もなかった。しかし数少ない知人から屋台に来てくれと頼まれたり、直前に大風邪を引いて中耳炎を併発までした際、高槻がわざわざ自宅を訪れて病院まで連れて行ってくれたこともあり、渋々ながらも大学まで足を運んだ。そもそも芸能人が話すのを聞くのは苦手だった。彼らの多くは話を盛ったり、作り話を披露して笑いを取ろうとする。それらは彼らなりの努力なのかもしれないが、それでも嘘であることに変わりはなく。飛び交う歪みまくった声は尚弥にとって苦痛でしかないのだ。しかし藤谷更紗が「幽霊を見たことがある」と言い出した時、その声は全く歪んでいなかった。それどころか気がついてみると、周囲を埋め尽くす群衆の会話、そのどれひとつとして歪んで聞こえることはなく……「第二章 スタジオの幽霊」
高槻に持ち込まれた依頼は、両親が新興宗教のようなものにハマってしまったので、調べてもらいたいというものだった。遠足中にバスが転落し、乗員と担任を含めたクラス全員が死亡した中で、四年生の少女一人だけが助かった。その『奇跡の少女』にお参りすると、ご利益があるというのだ。軽く調査してみると、少女は母子家庭の一人っ子らしい。本人や母親が特に宣伝をしているでもなく、口コミで噂が広がっているようだ。母親は来客の対応こそするが、金品を要求したり訪れた者や相談事の記録をつけている様子はない。ただ、話を聞いている。それだけで、いただきものは別に『お布施』などではなく、あくまで気持ちを受け取っているだけなのだ、と。母親の言葉に歪みはなかったし、少女もただ話す客のそばで絵を描いたりと、一人遊びしているだけだった。これは高槻が興味を持つ怪異とは、タイプが違う気がする。そう思った尚弥だったが、何故か高槻はいつもの柔和な笑みを消し、不思議なほど真剣にのめり込んでいて……「第三章 奇跡の子供」

本編2冊目も三章構成。
最後の「奇跡の子供」は、ネット広告でコミカライズの思わせぶり抜粋を見せられていた話だったので、ようやくなんというか、つかえが取れた感じです。
展開的には1巻と同様、どの話もだいたい予想は付く感じで予定調和的なんですが、今回はちらっと「実は本物も混じってた?」「え、それって……」的な、もしかしてという謎が残されたりします。
高槻先生の講義部分も、やっぱり読んでいて面白いです。
そして1巻目では、高槻先生に興味をいだきながらもまだ一歩踏み込みきれなかった尚哉くんが、2章目での耳の不調とそれに伴う不安、すなわち「嘘が判らなくなるとそれはそれで怖い」「耳が普通になったと知ったら、先生は自分から興味を失うのではないか」という実感を経て、自分がもう高槻先生との間に線を引いておけないことを自覚したりとか。
まあ高槻先生の方は、「なんで耳の不調を教えてくれないんだろう?」と、あっさり見抜きつつも首を傾げていて、仮に彼の耳が普通に戻ったとしても、興味を失う気なんかさらさらないんですがww
っていうかもう完全に、一生付き合う運命共同体として認識しているので、逆に尚弥の不安が理解できなくて行き違っちゃうあたり、お前らもうけっこ(ry 

あと、1巻で語られた高槻先生の過去関係が、まだまだ序の口でしかなかったのがもうね。やっぱり引っ張ってたんだなと改めて納得。
高槻先生の幼なじみ、健ちゃんこと佐々倉刑事が本当に良い人過ぎる……・゜・(ノД`)・゜・

あ、それとこれはちょうどいま、積録の中から遺留捜査を見ているせいでしょうが……高槻先生が上川隆也さんでイメージされてしまいます。上川さんというかむしろ糸村さんww
穏やかで、物腰は丁寧なのに、空気読めなくて興味があることには突っ走っちゃう。でも、もつれた謎を解いて人の心を救ってくれる、年齢不詳のワンコ系残念イケメン。ほ〜らピッタリ★ ……せめて上川さんがあと15歳若ければなあ。
ドラマ版ではジャニーズ? の若手さんが演じられたらしいですが、あの手のイケメンは見分けがつかなくってですね……^^;;
No.3207 (読書)


 准教授・高槻彰良の推察 1巻 民俗学かく語りき
2022年07月13日(Wed) 
読書記録:


幼い頃、不思議な祭に迷い込んだ深町尚哉は、そこで死んだはずの祖父と出会った。
祖父は言った。
「お前は代償を払わなければならない」
そうして示されたのは、3つの飴。
りんご飴を選べば、歩けなくなる。アンズ飴を選べば言葉を失う。そうして最後のべっこう飴は ―― 他の2つに比べれば、ずっとマシだった。少なくとも、幼い尚哉はそう思ってしまった。
飴を口にし、気がついた時には朝で、布団の中にいた。寝間着に草がついた状態で。
それから時が過ぎ、尚哉は大学生となった。親元を離れ、一人暮らし。周囲とは一線を引き、それでも集団からはじき出されないよう、注意を払いながら過ごすのが身についていた。
何故なら、あの祭から戻った彼は、人の嘘が判るようになっていたから。正確には、嘘をついている人の声が、ひどく歪んで聞こえてしまうから。
人は、ごくごく自然に嘘をつく。他愛のないことであっても、まるで息をするかのように、言葉に嘘が入り交じる。その不協和音に、尚哉は耐えられなかった。そして、人の嘘を指摘した時に向けられる、冷たくあるいはこわばった視線にも ――
そんな彼が民俗学IIの講義を選んだのに、深い意味はなかった。そもそも民俗学がどんなものなのかもよく知らない。ただ、講義要項の説明文が、ちょっと面白かったのだ。
『学校の怪談や都市伝説等から、民俗学というものについて幅広くアプローチする』
まるでテレビのバラエティ番組のようで、興味を惹かれた。そうして試しに受けてみた初講義は、正直言って面白かった。
高槻彰良というイケメン准教授が担当するその講義は、内容もさることながら、目を輝かせてとても楽しそうに語る様子もまた、つい聞き入ってしまうものだったのだ。
そして何よりも ―― 高槻の声は、不思議なほどまっすぐ尚哉の耳に届いた。
何の歪みもなく、濁り淀んだ空気の中に、さながら一条の光が射し込んだかのように。
……もちろん、そんなことがいつまでも続くはずがない。この人だって、いつかは嘘をつき、声を歪ませるのだろう。
そう思いながらも受講し続けていた尚哉へと、2ヶ月が過ぎる頃、高槻が声をかけてきて ――


書籍書き下ろし、コミカライズ&実写ドラマ化済。本編7冊と外伝1冊で継続中。
ネット広告でコミカライズの1話目途中までを見て、耐えきれずに小説の方に手を出してしまいました。
あそこで切るのはずるいと思うんだ……(苦笑)
人の嘘が判るようになったことで、友達を失い、家族からも距離を置かれてしまった大学生が、怪奇現象となると目の色を(文字通り)変えて食いつく、常識のない残念イケメンな准教授とコンビを組んで、謎を解いていく話です。
少なくとも1巻目の謎は、超常現象と見せかけてすべて人間の仕業というオチでしたが……というか、そのあたりはもうお約束で、だいたい先は読めるんですけど、尚哉くんと高槻准教授の関係性が深まっていくのが見どころなんじゃないかと。
正直、この1巻目で高槻さん側の事情まで語られるとは。3巻ぐらいまでは引っ張るんだろうなあって勝手に思ってました^^;;
「身体と頭脳は大人、心は子供」と称される高槻さん。イケメンだし若くして(二十代にしか見えない34歳)准教授だし、フィールドワーク先での聞き込みは老若男女お手の物。瞬間記憶能力とかも持っている有能オブ有能なんですが、初めて行く場所では必ず道に迷うとか、鳥が苦手とか、興味のある事象に出会うと大声ではしゃいだ挙げ句、深刻に悩んでいる初対面の女性に笑顔でハグをかましそうになるなど、いろいろ残念なところがあって、親しみやすいです。
そんな准教授に対し、常識担当としてフォローしてほしいと依頼を受けた尚哉くんがまた、けっこう辛辣にずばずば叱りつけるんですよね。手を握られて赤くなってる女性に「いまはそんな『ただしイケメンに限る』を発動してる場合じゃないでしょうが!」って言っちゃうあたりとか、思わず吹きました。それな! って感じww
あ、その「ただしイケメンに〜」のように、現代の言葉(インスタとかツイッターとか)がかなり使われているので、もう十年ぐらいしたら「ああ、この頃はこうだったなあ」みたいな、ポケベルや自動車電話が出てくる話みたいな気持ちになるかもしれないなあとは思いました。

……全編を通じて語られるのは、「正体の判らない事象は怖い」「だから人は事象に『解釈』を与えることで、恐怖を和らげる」「だから怪奇現象とは人が創作したフィクションだ」ということ。
でも、その中に本当の怪奇現象だって、あるかもしれないじゃないか、と。
このあたりは私も何度かネタにしたことがありますし、すごく共感できるアプローチでした。
No.3197 (読書)


 転生令嬢が国王陛下に溺愛されるたった一つのワケ
2022年07月01日(Fri) 
読書記録:
■転生令嬢が国王陛下に溺愛されるたった一つのワケ 〜第一章
 https://ncode.syosetu.com/n0473gc/

王位継承争いで命を狙われた、若干七歳の第三王子。
そんな彼へと手を差し伸べたのは、ただの同情で自己満足。そして最後まで守り切ることすらできず、目の前で死にゆく姿を見せてしまった、救いようがないほどの愚かな行動。
だからこれは、贖罪なのだろうか。
女騎士であった前世の記憶を持つ、伯爵令嬢フローラ・ウェイベイア。かつての己が死んだ直後に同じ国へと生まれ変わった彼女は、十七歳を迎えた日に国王陛下の甥にあたる少年の花嫁候補として、パーティーへ参加することとなった。
しかしそこに姿を現したのは、国王陛下。24歳になった、かつての第三王子で。
誰をも信頼せず、側仕えも女官も置かないと噂の彼は、フローラへと目を留めると、いきなり問いかけてきた。
「 ―― お前は剣を振れるか」
「嗜み程度ではありますが」
生まれ変わってからも、剣に対する思いは残っており、ある程度の鍛錬は積んでいた。だからそう答えるしかなかった。貴族として国王陛下に対しては、模範的な対応だろう。
しかしその答えに返ってきたのは、
「そうか。ならお前、今日付で俺の女官をやれ」
という言葉で。
誰もそばに置かなかった国王が、いきなり初対面の令嬢を、しかも女官兼護衛騎士として抜擢する。それはとてつもなく面倒で、厄介な問題を次々と呼び込んでくるもので ――


同一世界内での転生モノ。書籍化・コミカライズ済、ダイジェスト化なしで連載中。とりあえず第一章まで読了。
女騎士だと見下され続けたせいで、己の実力をまったく無自覚な天才女騎士と、生まれ変わりをひと目で見抜いた、ちょっとヤンデレ気味な王様とのあれやこれや。
唯一を目の前で失った七歳の王子様は、もはや恋愛感情とかぶっちぎってて、今度はとにかくどんな形でも「一生そばに」と、執着しまくりです。
フローラの方は、庇護対象だったことかつ守りきれなかった負い目などが重なって、やはり恋愛感情は(少なくとも第一章段階では)皆無。
でも紛れもなく両翼って感じです。
十七年間、鍛錬しまくった王様はチートレベルで強いし、逆に生まれ変わってからは鍛錬不足だったフローラさんと、ちょうどバランスが取れてる感じです。二人で試合うのがすごく楽しそうで、良かったねえって気になりました。
No.3184 (読書)


 悪役の王女に転生したけど、隠しキャラが隠れてない。
2022年06月29日(Wed) 
読書記録:
■悪役の王女に転生したけど、隠しキャラが隠れてない。〜闇ギルドランキング(3)
 https://ncode.syosetu.com/n0551gv/

気がついたら異世界の後宮で、幼女の身体に入り込んでいた「わたし」。うっかり足を滑らせて階段を落ち、その後の記憶がないということは、その時に死んでしまったのだろう。
幼女の名はリュシエンヌ=ラ・ヴェリエ。女好きの国王が手を付けたメイドに産ませたは良いものの、母親は産褥で死亡。王族特有の琥珀の目を受け継ぎながら、王族ならば持っているはずの強い魔力をいっさい持たなかった彼女は、嫉妬に狂った王妃と母親を見習うその子供たちや侍女らによって、貧民街の子供のほうがまだマシな生活だろうという、手酷い虐待を受けている状態だった。
しかしリュシエンヌとして目覚めた彼女の記憶によれば、そこは前世でよく遊んでいた乙女ゲームと同じ世界で。5歳の頃にクーデターが起き、民を顧みず贅沢三昧をしていた王族たちは、全員処刑されるはずだった。そしてリュシエンヌだけが、その悲惨な境遇を憐れまれ、クーデターのリーダーであり新たな王として即位するファイエット元侯爵に引き取られ、第一王女として暮らすこととなるのだ。
しかしそれは、けして彼女に幸福をもたらす運命ではない。
旧王家の血を色濃く継ぐ彼女は、反クーデター派にとって利用しやすい旗印である。そんな彼女を悪用させないために、新国王は彼女を養女にしたのだ。それでも暴力を振るってこない新しい家族に対し、ゲームのリュシエンヌは依存してしまった。兄である王太子にもその側近であり婚約者、すなわち未来の家族である公爵子息にも、ひたすらにベッタリまとわりついた。さらには幼い頃の虐待の影響で心が成長しきっていなかったのだろう。些細なことでも癇癪を起こしては我が儘を言い、贅沢を求めて周囲を呆れさせていた。
それでいて当の義兄は、旧王家の圧政によって母である元侯爵夫人を亡くしており、同じ旧王家出身のリュシエンヌを疎ましく思っていた。婚約者もまた、表向きはリュシエンヌに優しく接していたが、内心では辟易とし、義務感だけで付き合っていたのである。
そんな状況で、ヒロインが現れるのだ。兄や婚約者を、せっかく得た心の拠り所を奪われそうになったリュシエンヌは、当然激しく抵抗し、様々な嫌がらせを ―― かつて己が受けていた仕打ちと同じものを、ヒロインへと向け ―― 結果として退学からの修道院送りののち『病死』、あるいは降嫁こそするものの実質的には軟禁され子を作ることも許されぬままフェードアウト、場合によっては兄の手で斬り殺されるというエンドまで存在した。
いやでもリュシエンヌ、悪くないよね?
改めて彼女は、そう思う。
原作のリュシエンヌが義兄と婚約者をヒロインに取られまいとするのは、孤独になりたくないという思いからだろう。そもそも婚約者は未来の家族だ。それを守ろうとするのは当たり前だろう。
今さらながら、なんであんな理不尽なゲームにのめり込んでいたのか。
そう思いながら彼女は、ひとまずクーデターが来る日を待ち、その後は目立たずできるだけ攻略対象者たちとも関わらず、ひっそり暮らしていこうと心に決めた。
そうしてその日も、裏庭の井戸で空腹を紛らわせるべく水を飲み、身体を拭いていた彼女 ――『リュシエンヌ』は、気がつけばすぐそこに見知らぬ少年が立っていることに驚いた。
ここは後宮で、男子禁制である。王族以外の男が存在してはいけない場所だ。
「君、オレのこと見えてる?」
問いかけられてうなずき、ひとまず人目のない場所へと連れてゆく。
「あのね、ここは後宮だから、男の子は入っちゃだめだよ」
そう言うと、十代後半と思しきその少年は笑ったようだった。
茶色の髪に灰色の瞳、口元は布で覆っている。顔を隠すように首にも布を巻いているその姿には、何故か見覚えのようなものがあって。
「逃してくれるの?」
「ちがう。わたしはなんにも見てないし、だれにも会ってないの。だからあなたのことも知らないし、だれにも言わない」
「……ふうん、頭は良いみたいだね」
そう口にした少年は、どうやら他の誰にも見えていないようだった。
その後すぐ王妃に見つかったリュシエンヌだったが、少年が見咎められなかったことに安堵し、暴力を振るわれながらも、ちょっと嬉しくて笑ってしまう。
そうして、痛みの中で唐突に思い出した。自分が死ぬ直前に、原作ゲームに追加された隠しキャラの存在を。
名はルフェーヴル=ニコルソン。闇属性の暗殺者で、隠密能力に長けた青年だ。あいにく広告を見ただけで、追加ディスクをプレイする前に死んでしまった彼女は、それだけの情報と十年以上後の外見しか知ることはなかったが。
……隠しキャラなのに、全然隠れてないじゃん。
ぼんやりとそう思いながら、彼女は気を失ってしまって……


「寝取られ令嬢は英雄を愛でることにした」や「Jolly Rogerに杯を掲げよ」の早瀬黒絵さんの作品。
悪役令嬢転生系。書籍化・コミカライズ済。ダイジェスト化なし。本編完結済。
……というか、完結作だと安心して読み始めたら、読了した頃には続編の連載が始まっていた罠ww
定期更新の予定だそうですし、ちゃんと話を完結させる作者さんっぽいので、こちらも終わってから読むことにしようと思います。
内容としては、なんかもう安心感しかないというか。ヤンデレ×ヤンデレ=ラブラブ馬鹿ップルよね、という展開に、周囲も早々に諦めて受け入れてしまっているという、予定調和的な世界です。
ヒドイン関係はむしろおまけに近く、ひたすら新生・リュシエンヌが溺愛されながら幸せに生きていく(そして人の心が判らない暗殺者が、ちょっと成長していく)お話です。あとヒドインじゃない『ヒロイン』がどうなるかは、地味に気になりました。
なお隠しキャラことルフェーヴルさんは、一見チャラ男的な軽い言動の、でも実際は冷酷かつ自分勝手で、たとえ気に入ったリュシエンヌや原作ヒロインであっても、「手に入らないなら殺しちゃお」「閉じ込めて誰にも見せず、オレがいないと何もできないようにしたいなあ」的ヤンデレ。原作乙ゲーでは一回でも選択肢を間違えると、殺されてバッドエンドという高難易度キャラです。
そんな彼が17歳、リュシエンヌ5歳からべったり互いに執着し続ける、12歳違いの年の差カップルものでもあり。
ルフェーヴルはけっこう早めに前世や乙ゲー云々について説明を聞いているし、原作では不仲の義兄とも早々に和解。しかも義兄は十歳で受ける洗礼の晩に、女神のお告げとして乙ゲーの各ルートを夢で見るという体験をした結果、父である国王や側近候補の公爵令息などと相談。そんな未来が実現しないよう、全力で義妹(義娘)を愛し、不審人物(ヒロイン)を排除するべく計画を練るという、なかなか異色の展開です。
とにかくヒロイン以外がほぼすべて味方なので、虐待シーン以外はおおむねノンストレスで読んでいけました。
転生の理由とか、元々の『リュシエンヌ』の魂がどうなったかもちゃんと語られているので、そう言う意味でも完成度は高いと思います。
……まあ、ルフェーヴル(闇ギルド所属の暗殺者)のターンで、けっこうエグい描写もあったりしますが。ザマアも人を選ぶ感じの内容なので、そこらへんは要注意。あとだらだら長いと感じる人もいるかもしれませんね<テキストファイル200KBでざっくり文庫1冊として、本編だけで10冊分ぐらいある
No.3180 (読書)


 我儘女に転生したよ
2022年06月08日(Wed) 
読書記録:
■我儘女に転生したよ 〜夢
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/59174274/565063472

高熱を出したことで、女子高生だった前世を思い出した公爵夫人。
癇癪持ちのわがまま放題、感情が高ぶれば魔力を爆発させ、婚約者持ちの相手との政略結婚で第二夫人となり、夫とも三歳になる子供ともろくに口をきかないという、皆から遠巻きにされている存在。でも記憶を取り戻してから過去を振り返ってみれば、どうも子供の愛し方や他者への接し方を知らないまま成長してしまっただけらしく。
改めて子供愛に目覚めた彼女は、膨大な魔力と前世知識を大盤振る舞いして、愛する息子を……ひいては周囲の人々を幸せにすることを目指す。

……と言った感じのお約束転生。連載中。
けっこう面白くはあるんですが、主役の過去(どうも母親に虐待されてたっぽい)とか、今後に向けて不穏な気配が……といったところで更新停止しちゃってました。
最終更新が2017年だと、先は望み薄かなあ。
No.3140 (読書)


 家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。
2022年05月27日(Fri) 
読書記録:
■家の全仕事を請け負っていた私ですが「無能はいらない!」と追放されました。
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/833904614/875588829

虐待され、酷使されたあげくに身一つで追い出された実は有能な末娘と、貴族をかさにきて常識知らずだったがゆえに没落した実家。
現地主人公で12話完結済み。タイトル通りのお話でした。
No.3117 (読書)


 捨てられ聖女の異世界ごはん旅 隠れスキルでキャンピングカーを召喚しました 4巻
2022年05月26日(Thr) 
読書記録:


ついに到達した、現時点での最新刊。
もうね……なんかもう、いろいろとびっくりさせられました(呆然)
内容的には、115話「物見遊山は楽しいな 知らない風景楽しいな」あたりから、なろうの更新が止まっている134話「ミステリィ イン ブルー」時点で、書籍の半分をちょっと越えたぐらい。
エピソード順の入れ替わりで、タルタル初登場とかは既刊ですでに語られたりしているんですが、そのぶん124話「ドキ☆ワク 感動再会物語♪ 〜ポロリはないよ☆〜」と125話「スクランブルは突然に」の間あたりに、大幅な改変・書き足しがあるのですよ。
そこで明らかにされた情報があまりにも膨大かつ重要すぎて、リンちゃんと一緒に処理落ちしそうになりました。
「は……? え……!? なん、だと……っ!」
って感じ(笑)
webでは後回しにされていたっぽい、おにぃさんの異母兄おにいさんについてや、そこからもたらされるあれやこれやで、かなり話の印象が変わりました。
っていうかこれ、ヴィルさんの異母兄さん視点での番外編とか読んでみてえ……むしろそっちが本編になっててもおかしくないストーリーですよ。いやまじで。
そしてそこからが怒涛の展開というか、3巻までは、話進まねえなあ……ほんとに食べ歩き万歳じゃん、と思わせられていたのに、この1冊でいっきに佳境ですよ。
この話は、ちゃんと完結に向かって収束し始めているのだなと思えました。
とはいえ、あとがきによれば、それでも彼らは焦らずのんびりご飯旅を続けてくれるとあるので、まだ先は続くし、雰囲気も変わらないのでしょうね。
ボスキャラ相手に「非常に美味」の鑑定結果が出た途端、勝ち負けを憂えるどころかいかに損傷を与えず倒すかに意識が行っちゃう、そんな食いしん坊パーティー達が微笑ましいです。
1〜2巻では削られ気味だった、メンバー達が食事の準備片付けを手伝ってくれる場面なども増えてきていて、なるほど少しずつ馴染んでいく感じを出すためだったのかあと、ここに来て納得できましたし。
……ああもう、リンちゃんが召喚されて、ヴィルさんと出会ってくれて、本当に良かったぁぁぁあああっっっ ・゜・(ノД`)・゜・

相変わらず誤字とかちょこちょこあるし、最初のダンジョンのギミックについての述懐がweb版準拠なんじゃとか、さっきまでと立ってる位置が変わってないか? など、校正仕事してくれという部分もありましたが、読んでいて楽しいので、まあ良しとします。
5巻の刊行はいつになるのかな〜〜


あまり関係のない話ですが、Amazon でいろいろ商品チェックしていたら、うっかりチェックを外しそこねてボタンを押してしまったようで、気がついたら Amazon Prime の無料体験が始まってました(汗)
速攻で自動更新を解除したので、来月に引き落としが来ることはないと思うんですが……こぇぇぇええ (((( ;゜Д゜)))) ガクガクブルブル

まあせっかくだから、プライム会員なら無料で読める Kindle 書籍とか、いくつか覗いてみたりしていますが……月額500円も払い続けるほど、Amazon で買い物しないからなあ(´・ω・`)<注文履歴が過去三ヶ月で5件(うち4件はこの「捨てられ聖女〜」の1〜4巻)
気がついたら無料登録されてて、しかも気付かず放置してたら翌月から自動引き落としとか怖すぎる……
No.3115 (読書)


 捨てられ聖女の異世界ごはん旅 隠れスキルでキャンピングカーを召喚しました 3巻
2022年05月20日(Fri) 
読書記録:


webから書籍化、三巻目はついにほとんど書き下ろし状態でした。
いやうん、始まりのレアル湖で化けカワウソとか、生もの消費フライ祭りとか、web版のエピソードもありはしたんですけどね。
メインはなろう版で「帰りに寄ろう」となっていた、メルノワ火山の温泉街にしっかり立ち寄った挙げ句、お約束どおり巻き込まれるトラブルになっています。
あと冒頭で、暴食の卓パーティーで最初に出た冒険で助けた面子と再会して、そこの孤児院でのあれやこれやにもけっこうページを割かれています。
ってか、なろうではドワーフだったはずのライアーさん(院長先生)が、インテリヤクザみたいなメガネイケメンになってたのは大人の事情なのか(苦笑)
あと、潮溜まりで素潜りエピソードがざっくりカット。
旅程を組む際にパーティーメンバー達が、リンちゃんの移動速度見積もりに「無理は良くない!」と心配の声を上げる場面もカットされてるのは(以下略
なんか細々とした、追放モノとは真逆の、常日頃からごく自然にリンちゃんを大事にしてくれているちょっとした気配り部分が、ざくざく削られてる気がするんですよね……それに前巻で刷毛がなくてスプーンでタレ塗ってたのが、特に買い足した描写もなく今回は使ってたり、魔力のせいか不思議なほど軽いと評されていたごまみそが、ずしっとした重さだと書かれていたりと、なんかちまちまと引っかかる部分が……
逆に、ついに! と思ったのは、リンちゃんがかんざしを使用していると、本文で触れられたこと。これまでは挿絵でしか察せられなかった部分ですからね……ただし、触れられたその段階でこれまでとデザインが変わっているのに、挿絵は以降もそのままという、これまた残念な(ry
誤字もねえ……まあこれぐらいの数ならしょうがないかというところでしょうか。
とにかくひたすら料理作って食べて、昼飯食べながら夕飯の献立考えて、その合間合間に下ごしらえしてるような話運びなので、空き時間に少しずつ読んでいると、あれ今どこで何やってたんだっけ? と、ストーリー展開を忘れていたりしちゃいます^^;;
とまあ、そんなこんなで、今回は89話「大陸の険を超えていけ」〜114話「士気を上げるためには美味しいご飯は必要不可欠」らへんまで。まだ王都にはたどり着いていません。
4巻ではどのへんまで進むんだろう……(苦笑)

追記:
ごまみそが重いのと、ないはずの刷毛でタレ塗ってたのは4巻冒頭の間違いでした^^;;
感想書き始める前に次の巻に手を着けるのはやめろって話ですな……
No.3103 (読書)


 脇役令嬢に転生しましたがシナリオ通りにはいきません!
2022年05月16日(Mon) 
読書記録:
■脇役令嬢に転生しましたがシナリオ通りにはいきません!〜049
 https://ncode.syosetu.com/n0270fk/

無体な使い走りの途中で階段から落ちたことにより、己が悪役令嬢(攻略対象の婚約者候補であり、別の攻略対象の妹)の取り巻き下級貴族に転生していることに気が付いた、元アラサー女子。
このままでは巻き添え没落エンドだと、悪役令嬢から距離を取ることを決め、卒業後に自活できるよう勉学に本腰を入れ始めるが、何故か巡り巡って生徒会へと出入りする羽目になって……

モブ転生系、コミカライズ・書籍化済、連載中。
ヒロインは話聞かない系、悪役令嬢とその兄(攻略対象)は、主役の影響で良い方向へと変化するタイプ。
【N-Star】の企画作品なのに、中途半端なところで連載が止まって一年経ってます。改めて確認したら他の作品も2年ぐらい前で止まってたりするし、この企画、停止されたんですかね……?
No.3097 (読書)


 捨てられ聖女の異世界ごはん旅 隠れスキルでキャンピングカーを召喚しました 2巻
2022年05月13日(Fri) 
読書記録:


あらすじは以下略。
52話「外つ国も 暁来たれば 鳥が啼く」〜86話「まずは休もう! ご飯を食べよう!! 話はそれからだ!!!」あたりまで。
前巻ラストでの寝落ちがなくなった結果、冒頭からかなり改変・書き足しがあります。
朝からいきなり海釣りして、また「大物」を釣り上げてますしね(笑)
ただ個人的には、リンちゃんの「洗い物〜」って寝言を聞いた他のメンバーが、洗浄魔法とか使って後片付けやってくれていたのが凄くツボだったので、そこが消えたのがちょっと悲しかったです。
まあ、半分ぐらい読み進んだところで、「例によって〜」ってエドさんが洗浄魔法かけてくれるシーンがあったので、パーティーメンバーが片付けちゃんと手伝ってくれてるという描写が残ったのは良かったです。
お初のダンジョン攻略についても、かなり改変あり。
まず表紙を見れば判ると思いますが、ごまみその登場が相当早いッス。そして可愛い。ぬこは正義ww
なので存分に情が移ってからのあの展開は楽しかったです。神殿の謎解きも内容変わってましたし、中ボス(口絵のストームイール)戦などもあって、なかなかのボリュームアップでした。
料理の内容もかなり変わってますねえ。ラストはギルドの中庭で、ギルマスとシーラさん(受付コボルト)も巻き込んでのBBQとうなぎ料理(なろう版はパーティーメンバーだけでチャーシュー丼)作ったりしてるので、なろう版でここまでってのが「あたりまで」になっちゃいます。
3巻はいきなり火熊の時の孤児院パーティーが再登場してるみたいですし、こっちも改めて楽しめそうです★
No.3094 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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