お伽もよう綾にしき ふたたび 5〜6巻
2020年09月25日(Fri)
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読書記録:
本棚整理ついでに、長らく積読になっていたものを読了。 4巻読んだのが4年以上前で、すっかり内容を忘れ去ってました(苦笑) 改めて読み返した4巻後半で始まった、新たなる事件は5巻で終了です。すずと新九郎の初々しい甘々新婚夫婦&なんか子供返り気味な源八郎、そして最近めっきり毒気が抜けたおじゃる様といういつものメンバーで、那王寺で起きたあやかしによる戦没者名簿盗難事件を追うという展開。 可愛かったり一生懸命なあやかし達も新たに登場して、随所でほんわかしたと思えば、ゾッとするような描写もお見事なひかわさん節。 人の心の闇のほうが、純粋なあやかしよりもよっぽど恐ろしいというのは、前シリーズや「彼方から」より引き継がれる、ひかわさんのテーマですねえ。 最後の最後では、すれ違っていた親子も判りあうことができ、めでたしめでたしでした^^ ……フィクションって夢があっていいですよね(ぼそ)
そして6巻の方はまるごと一冊、おじゃる様の過去に関わるエピソード。現代の事件と同時進行で交互に語られ、最後でひとつに収束します。 事件に巻き込まれて新九郎が戻らなくても、すぐに気持ちを切り替えて瞑想に入るすずに、成長したなあとしみじみしてみたり。 でもっておじゃる様、なんだかんだで優しいというか、悪事を働いて封じられていたという割にはかなり初期からすず達弱者に対していろいろ気を遣ってくれてるよなと思っていたら、もともと悪いあやかしじゃなかったと言うか。むしろ一番最初に関わった人達とは、すっごくいい関係を築けていたんだなあと( T ^ T ) そんな穏やかに時を過ごしていた彼を狂わせたのもまた、荒んだ人の心が孕む欲などだった訳で。 やっぱりあやかしは、相対する人の心の在り方によって、いい方向にも悪い方向にも引っ張られやすいのかなと思わせられました。 で、封じられたおじゃる様を救ったのもまた、結果的には特別な力じゃなく、長い時間をかけた多くの人々のささいな想いだったというのも良いですね。 このままおじゃる様は、ゆっくりとあの地を見守る土地神になっていくのかなあ……彼が探していたものはもう、すずや新九郎だけではなくて、あの土地に住まうありきたりで善良な人々すべてだと思うのですもの。 そしておじゃる様は、人という存在に出会うその前から、その営みを美しいと思える感性の持ち主だったんだもん。 数十年後、数百年後も生き続け、人の営みから取り残されていくおじゃる様(と源八郎)が、また狂うようなことのない、穏やかで平和な日々を祈りたい読後感でした……
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No.2172
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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