よしなしことを、日々徒然に……
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 無口な公爵令嬢と冷徹な皇帝〜前世拾った子供が皇帝になっていました〜
2020年09月12日(Sat) 
読書記録:
■無口な公爵令嬢と冷徹な皇帝〜前世拾った子供が皇帝になっていました〜
 https://www.alphapolis.co.jp/novel/891432038/379400473

プルプレウス公爵家の長女エレオノーラには、誰にも告げていない秘密があった。
彼女には、生まれた時から前世の記憶があったのである。
前世の彼女は貧村に生まれた。カエルのように緑色の肌がぶよぶよと膨れ、目蓋も頬も垂れ下がり、目の色さえも判らない、醜い姿をしていたのだ。呪われたバケモノと呼ばれ捨てられた彼女は、さまよった挙げ句に魔の森へとたどり着く。そこは恐ろしい魔物の住む森で、人間は誰一人としていなかった。しかし彼女にとっては魔物の方が、人間よりもずっと身近に感じられた。彼らは容姿で差別などしないし、理由がなければ特に襲ってくることもなかったからだ。
そこで彼女は木の実を拾って食べ、畑を作り、麻で布を織って、完全に自給自足の生活をしていた。いつしか周囲の魔物たちと仲良くなり、自分の子供のように可愛がってもいた。
そんな生活が変化したのは、森で子供を見つけてからだった。銀髪に青い目をした6歳ほどの少年は、ひどく怯えており、名を尋ねても「生きていることがバレたら殺される」と答えようとしなかった。
そこで彼女は、少年をハムと呼ぶことにした。逆に名を訊かれバケモノとしか呼ばれたことがないと返すと、少年は彼女にパイという名をくれた。
そうして三年。魔の森で質素ながらも穏やかに暮らしていた二人と魔物達だったが、その幸せは脆くも崩れ去る。
突然帝国の騎士達が現れ、聖女の光とやらで魔物はすべて殺された。そしてハムだけは守ろうと抱きしめるパイの両腕を、騎士が無造作に切り落とす。
「殿下、お迎えに参りました」と言いながら。
そうして前世の彼女は死を迎えた。最後にもう一度、ハムちゃんを抱きしめたかったと思いながら。
その後、気がつくと赤子になっていた彼女は、馬鹿な自分が知らなかっただけで、そういうこともあるのだなと現状を受け入れた。継母と異母妹に疎まれ、離れとも呼べない狭い小屋へ追いやられても、前世の生活を思えば辛くもなんともなく、むしろ楽しいぐらいだった。虐めの一環としてつけられた厳しい教師だって、かつてのハムちゃんのように賢くなれるなら嬉しいと、素直に思い貪欲に学んだ。
ただ、前世で身についていたきつい訛りの話し言葉だけは、どれほど教師に怒られても矯正することができなかった。そこで必要以上にしゃべるなと躾けられた現世の彼女は、ほとんど夜会や茶会に参加させてもらえないことと相まって、社交界では幻の令嬢などと呼ばれていた。
そんなエレオノーラが十六歳を迎えた頃、皇帝陛下の伴侶を探すための舞踏会が開かれることとなった。国中の年頃の令嬢を招待したその舞踏会には、継母らもエレオノーラを連れて行かざるを得ない。
先代皇帝や皇后、兄弟達を皆殺しにして皇位についた二十六歳のアレクセイ皇帝は、ひどく冷酷で血も涙もない悪魔だともっぱらの噂であった。それでも皇帝は皇帝。うまく射止めることができれば旨味は大きいと、異母妹などは鼻息を荒くしている。
しかしエレオノーラ自身はと言うと、皇帝にも妃の座にも全く興味がなかった。
女神と見紛うほどに美しく、完璧な立ち居振る舞いで会場の視線を釘付けにする彼女が考えていたのは、
(……あ! あそこに旨そうなハムがあるっぺ。ハムちゃんのハムだっぺ!)
あたりに並んでいる、美味しそうな料理のことばかり、だったのだが……


醜いと迫害されても優しさを失わなかった朴訥な女性が、理不尽に殺されたのち美貌の公爵令嬢に生まれ変わり、前世で面倒を見た子供とハッピーエンドという、お伽噺的な展開。完結済。
主役の生まれ変わりの理由が明確なのはすっきりできます。
……まあ、その理由の元凶となったハムちゃんのお母様は、いったい何者なんだと言うか、隣国の巫女姫とやらはみんなそんな真似ができるの? あと主役がなぜ前世でそこまで醜かったのか、魔物と心を通わせられるのか、という疑問は残るのですが。
そして主人公目線ではわりとのんびりなハッピーエンドなんですけど、客観的にはかなりシビアというか、えぐいと言うか^^;;
とりあえず、政争に巻き込まれ6歳にして4回も殺され、9歳まで魔の森へ放置されたあげく、唯一愛情をくれた家族同然の恩人を、いきなり目の前で「殿下。魔獣に名前をつけたのですか?」とか言われながら殺された子供に、「大切な者を守れなかったのは殿下のお力不足です」と言い放った前宰相に、ほぼ報いがなかったのは残念です。 ※手を下した騎士はきっちりアレされてる
あんたはそんな子供にいったい何を求めてるのだと小一時間。
そんなこんなで復讐に走った皇帝陛下が、悪魔皇帝とか呼ばれる程度で済んでいたのは、ひとえにパイさんとの愛情ある暮らしのおかげですよ……まあもしも彼女が転生&再会していなかったら、数年内にはこの国滅んでたでしょうけどね^^;;
ただまあ、なんというか……パイさん=エレオノーラが絶世の美女に転生していたことが、ちょっとモニョりました。結局、美形なら許されるってこと? と。
これ彼女の容姿が前世と同じであったなら、皇帝陛下はともかく周囲が絶対認めなかっただろうなあと、そんな印象が感じられて。そしたら今度こそ悪魔皇帝が魔王様にジョブチェンジですよ。
普通に地味で素朴系でも良かったんじゃないかな……まあそうすると、内面(ものすごい訛ってる)と外面(女神もかくやの美貌)のギャプ萌えというか、勘違い要素が減る訳ではあるんですが。
ううむ、難しい……
No.2150 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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