よしなしことを、日々徒然に……
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 歴史に残る悪女になるぞ
2020年06月12日(Fri) 
読書記録:
■歴史に残る悪女になるぞ 〜235
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生まれ変わったら、乙女ゲームの悪役令嬢になりたいという願望があった。
ヒロインが嫌いだ。というより苦手だ。特殊能力を持って、特別に平民から貴族の魔法学園入り、笑顔が天使と言われ、いつも綺麗事ばかり言って、王子の心を弄ぶ鈍感なヒロインなど、頭がお花畑だとしか思えない。
綺麗事だけで物事は進まない。上に立つ者はしっかりと現実を見据え、時に情に流されない行動を取ることも必要だ。辛辣な言葉を吐く悪役令嬢の裏の顔は、きっと芯を持った強い女性に違いない。
だから自分は、ヒロインよりも悪役令嬢になりたい。
そう思っていた少女は、交通事故で死亡したのち、気がつけば念願の悪役令嬢に転生していた。
デュルキス国の五大貴族のひとつ、ウィリアムズ家の長女アリシア。前世の記憶を取り戻したのは七歳で、ゲーム開始まではまだあと八年ほどある。
これまでは我儘放題に甘やかされて育っていたが、これからは違う。理想の悪役令嬢 ―― すなわち綺麗事が大嫌いで、志を高く持ち、筋を通す。強者には嫌味をつきつけ、しかし弱い者虐めはせず、思慮深くてどんな時にも損得を計算した冷静な判断を下せる、そんな強く孤高な悪女を目指すのだ。
そうしてそれまでおろそかにしていたマナーなどの勉強はもちろん、剣術に魔法、日に10時間の読書や現実を知るための貧困村通いを始めた彼女は、己の目指す『悪女』の定義が少々ズレている事に気づいていなかった。
そうして努力を続けた彼女は、転生補正だろうか、いつしか異端と呼べるほどの力を身に着け ―― わずか十三歳にして、国王からの呼び出しを受けることとなった。
国王と、父を含めた五大貴族当主からの話とは、実に意外なもので。
「聖女キャザー・リズの監視役をして欲しい」
キャザー・リズとは、この乙女ゲーム世界におけるヒロインである。現在は十八歳で、王太子や兄達を含めた五大貴族の子息らと共に学園へと通っている、平民の少女だ。
そんな彼女は、すべての魔法属性を備え、膨大な魔力を持ち、まさに聖女と呼ぶべき慈愛の心に満ち溢れていると言う。
しかし理想や慈愛だけでは、国を運営することなどできない。そこで学生である今のうちに、彼女がこの国を担える賢さを持っているかを観察、判断し、もしも不足な部分があれば成長できるよう、導いて欲しいのだと。
「君はこの悪役を引き受けてくれるか?」
監視役をするということは、誰にも言ってはいけない。さらに、キャザー・リズの考えを変えるために、厳しくたしなめなければならない場合もある。そうすることは、すでに学園内でかなりの人気を博している『聖女』に敵対する存在として、周囲から反感を買う結果ともなりかねない。
それを聞いてアリシアは……歓喜に目を輝かせた。
これは、千載一遇のチャンス……? 悪女になるため努力をしてきた私に、神様がくれたプレゼントなの!?
国の上層部公認で悪役令嬢たることを求められた彼女は、大喜びでそれを引き受けた。
事情を知るのは上層部を除けば、兄達の友人であり時おり家にも遊びに来ていた王太子デュークと、利用価値があるからと言って、貧困村から拾い上げ助手とした少年ジル、そして貧困村の取りまとめ役である老人の三人のみ。
幼い頃は優しかった兄達も含め、多くの生徒達は『心優しき』ヒロインに感化され、アリシアへと反感の目を向けてくる。しかしアリシアは内心で最高の気分であった。
ああ、いまの私ってすごく悪女らしい!
そうやって歴史に残る世界一の『悪女』を目指し、日々努力し邁進する彼女は、そんな己の姿が一部の者達には『聖女』 ―― いや、英雄のように映っているとは、夢にも思っておらず……


悪役令嬢に転生して、そのまま悪役道を突っ走ろうとしつつ、うっかり信者を増やしちゃう系。書籍化・コミカライズ済・ダイジェスト化なし。連載中。
先に漫画の方を見て、ちょっと原作の雰囲気を確認するだけのつもりが、気がついたら最新話まで読みふけっていましたww
元が乙ゲーにしては、国の成り立ちとか貧困村のあたりがけっこうエグい世界観で、ちょっと予想外。そもそも現在の国王が即位した経緯なんかにも、ゲームでは語られていなかったドロドロや歪みがあるようで、そのあたりも現在のアリシア達へ影響してきていたりとか。
というか、そもそもヒロイン嫌いで悪役令嬢ばかり意識してプレイしていた主役は、ゲームの細かいところをあんまり覚えていないという(苦笑)<ヒロインの名前すら把握していない徹底ぶり
基本的に主役の一人称なので多少フィルターはかかってますけど、身体欠損や殺人とか普通に出てきますし、主役(十三歳の少女)が殴られて奥歯を折ったり(しかも欠損は魔法で治らない)とかもあり、単純なテンプレ無双とはちょっと違う感じです。
現実を見据えて、傷ついても背筋を伸ばし、たとえ泥にまみれようとも凛と立つことを目指す主役は、たとえ努力の方向を間違えていようともやっぱり格好良いと思えました。
あと王太子様もけっこう好き。俺様溺愛拘束系の素養もちょっとあるんですけど、「蝶は飛ぶものだろう?」と、アリシアの無茶苦茶を見守り同じぐらい無茶苦茶なやり方で手助けして、そして戻ってくると信じて手を離すさまには好感度上がりました。
え、最近になって登場した隣国の王子様? 当て馬にもならんとしか思えませんが何かww
ヒロインと取り巻き連中は、うーん……ヒロインがどういうキャラなのかが、まだはっきりしてないのでいまいち判断が。あれ現地ヒロインなのか、そして本当に無意識であのお花畑&洗脳をやっているのか……(悩)
No.2007 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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