よしなしことを、日々徒然に……
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 魔導具師ダリヤはうつむかない
2019年11月25日(Mon) 
読書記録:
■魔導具師ダリヤはうつむかない 〜239.魔導具師の懇願と付与の授業
 https://ncode.syosetu.com/n7787eq/

辛い仕事も必死にこなし、周囲に合わせて合わせて、最終的には一人ぼっちで机に突っ伏し過労死したOL。気がつけば魔法のある世界へ生まれ変わっていた彼女は、ダリヤ=ロセッティとして父のもとで魔導具師の修行を積み、父の勧めで兄弟子と婚約していた。良き妻になろうと、婚約者の求めるままに低い靴を履き、地味な服装をし、髪も暗く染め、外食を控え……そうして父が死んだ一年後、結婚を翌日に控えた新居で、婚約者から告げられた。
「すまない、ダリヤ。婚約を破棄させてほしい」「俺は……真実の愛をみつけたんだ」と。
現世でも今世でもずっと下を向いて、周囲に合わせてばかりだった結果が、過労死と浮気による婚約破棄。そんな現実を突きつけられた彼女は、心に決めた。もううつむくのはやめる。大好きな魔導具師の仕事をやりながら、行きたいところへ行き、食べたいものを食べ、飲みたいものを飲もう。そしてできる限り、生きたいように生きよう、と。
元婚約者からは、彼の実家である商会との取り引きを断られた。しかし若くして斬新な発明品を複数公開しているダリヤを、友人達や商業ギルド幹部らは高く買ってくれた。彼らを保証人として新たに『ロセッティ商会』を立ち上げた彼女は、髪を鮮やかな赤へと戻し、化粧と衣服を整え、背筋を伸ばして立つこととする。
とは言え、いきなり生活が一変したことで、ストレスは溜まった。婚約破棄の噂は尾鰭をつけてあちこちへ広まり、悪意に満ちた陰口なども耳に入ってくる。そこで気分転換にと、ダリヤは素材採取へ出かけた。女性が森で一人歩きするのは危険なため、男装して王都を出た彼女は、街道の途中でいきなり血まみれの男と遭遇する。
鎧はボロボロ、あちこち傷だらけで、頭からかぶった魔物の血により顔立ちすらよく判らなくなっていた彼は、騎士団の魔物討伐部隊に所属する下位貴族の末っ子、ヴォルフレードだと名乗った。なんでも遠征して魔物と戦っている最中ワイバーンにさらわれ、どうにか倒したあとは二日間飲まず食わずで森を彷徨い、どうにかここまで戻ってきたのだと言う。
この世界、多数、あるいは大型の魔物は、災害のようなものだった。通常は冒険者が対処し、冒険者ギルド経由で、市場に肉や皮、骨などが素材として出回る。しかし魔物の数があまりに多くなったり、強い個体や大型の魔物が現れると、魔物討伐部隊が倒しに向かう。魔物討伐部隊とはいわば、日本における自衛隊のようなものなのだ。
常に危険な任務にその身を晒し、命懸けで国民を守ってくれている彼らへのお礼になればと、ダリヤは高額なポーションを渡し、身体を洗える川まで馬車に乗せ、食事を振る舞った。そうして傷が治ってもまだ目が霞んでいるという彼を、王都まで送り届ける。
道中での会話は、ひどく楽しかった。貴族らしからぬ気さくさで、魔物について詳しく、また魔剣が大好きだという彼との会話は、いくら時間があっても足りないと思えるほどだった。
しかし貴族で男性である彼と、庶民の女である自分。しかも自衛のためとは言え名と性別を偽って騙してしまった以上、この縁はここまでにするべきだろう。そう思い、本名も住所も告げぬまま城門で別れたのだが……


書籍化・コミカライズ(同時2本)済、ダイジェスト化なし、連載中。
異世界転生した、物作りのためなら時に暴走しまくる職人気質な女性と、見た目は超絶美形だけど中身がワンコな青年騎士との、果てしなく恋愛要素が薄い友情(?)物語。
婚約者にモラハラされまくった挙げ句、婚約破棄後もいろいろやらかされたことで、ダリヤは「私、もう恋愛する気になれないんですよ」。
そしてヴォルフは魅了の魔眼持ちではないかと疑われるほどの美形で、恋愛関係で友情が破綻することほぼ恒例(友人の恋人・婚約者・姉妹に一方的に言い寄られた挙げ句、断ったら断ったで「彼の方から強引に口説かれた!」と罪を着せられたりとか)。深窓のご令嬢と呼ばれる生き物には一服盛られるわ、見知らぬ女に兵舎の窓(※3階)へ夜這いをかけられるわ。それどころかフード付きマントなしだと、逆ナン&連れの男に因縁つけられまくりでまともに道も歩けないという、もはや呪いレベルな容姿のおかげで「俺も、恋愛が面倒でその気がない」という女性を通り越して人間不信状態。
「初めて普通に話せる女性の友達ができたよ……」とぐったりしている様子は、もはや同情するしかありません(^^;;
しかもヴォルフは家庭環境方面もかなりアレなので、もはやどっぷりダリヤに依存状態といっても過言ではないです。しかしお互いにあくまで「お友達で」というのがこだわりどころと言うか、そうだからこそ仲良くできている状態なんですよね。
お互いに遠慮なく言い合い、貴族のマナーなどどこ吹く風で、屋台巡りをしたり下町食材で御飯作ってエールで乾杯したりしてます。
……なんだかんだで周囲は、貴族と庶民で身分違いだから、ダリヤが魔道具師としての功績を上げて、名誉男爵に叙爵されるまで待ってるんだろうなあと、生暖かく見守ってるんですが<もはや恋人や新婚を通り越して熟年夫婦状態
魔物討伐部隊の任務が過酷すぎたり(吹っ飛んだ手足を魔法で生やすのに慣れきってる)、貴族&商会関係の腹芸怖い(汗)とか、いろいろ洒落にならないシビアな面もあるのですけれど、基本的には読んでいてニヤニヤと笑いが止まらなかったです。
開発関係も、何もかもが前世知識であっさりうまくいくのではなく、試行錯誤と研究を繰り返すし、ご飯本当に美味しそうに食べるし。
あとダリヤのおかげで、長年こじれていた人間関係が ―― 胃薬込みではあるものの ―― あちこちで改善されていくのが本当に良いです。
やっぱりみんな幸せが良いと思うのですよ(しみじみ)
最新話に近づくにつれて追いつくのがもったいなくて、最初の方を読み返したりとかしたのは久しぶりです。そして現在二周目に突入中(笑)
コミカライズの方も、絵が綺麗で大胆なアレンジが面白い方と、控えめだけど原作に忠実な方と二種類あって、なかなか面白げです。
No.1628 (読書)

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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。

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