外れスキル「影が薄い」を持つギルド職員が、実は伝説の暗殺者
2018年08月24日(Fri)
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読書記録: ■外れスキル「影が薄い」を持つギルド職員が、実は伝説の暗殺者 〜傷痕1 https://ncode.syosetu.com/n2713ev/
勇者の父親である国王から依頼を受けた暗殺者ロランは、勇者パーティーの一員として魔王城に乗り込んだ。任務内容は密かに勇者パーティーの護衛をすることと、魔王の暗殺。 事実、魔王城までたどり着きはしたものの、パーティーメンバー達は限界が近く、このまま魔王と対峙すれば、少なからぬ被害を出すだろうことが予想できた。そこでロランは一人パーティーを離脱し、単独で謁見の間へと乗り込んだ。 彼が持つスキルは、外れスキルとされる『影が薄い』だった。しかし外れスキルというのは、誰も使わないスキルということで、すなわち誰も対処法が判らないスキルということでもある。 自在に気配を消し、魔王を相手にしても一瞬で間合いを詰められる。そんなスキルを駆使した彼は、子供でも小遣いを貯めれば買えるような、何の変哲もない短剣を振るった。 任務完了の報告を受けた国王は、満面の笑顔でなんでも好きな報酬を与えようと言った。 しかしロランには、特に欲しいものなど存在しない。 「人の殺し方ならすぐにわかるのに、自分の望みとなるとさっぱりわからん」 考えに考えた彼は、ふと旅の途中で王女たる女勇者が漏らした言葉を思い出した。 「普通の生活をしてみたい」と。 しかしパーティーメンバーの誰一人として、「普通」というものが何なのかは判らなかった。そもそも誰ひとりとして、「普通の生活」とやらを送ったことのある者がいなかったのだ。 「……普通の生活というのを、送ってみたい。暗殺者ではなく、普通の、ただの人間として、ありふれた生活を送ってみたい」 その願いを受けて、国王は彼を送り出してくれた。 国王に渡された当座の資金と、そして一匹の黒猫だけを連れて、ロランはまず都会でも田舎でもない、『普通の町』を目指す。 そうして冒険者ギルドの事務員として就職した彼は、ひたすら『普通』を目指して日々仕事に励んだ。 「ロラン、私はそれほどミスに寛容ではないわ。心するように」 「支部長、同僚から聞いたんですが、失敗しても死ぬことはないとか」 「……? 当たり前でしょう」 それなら十分寛容だろうなどと考えているあたりで、彼の感覚は全く『普通』ではなかったのだが。 かくして、国王、ギルドマスター、騎士団長などなど、誰も頭が上がらない伝説の暗殺者は、下っ端だが冒険者や同僚に頼られる、評判の良いギルド職員という表の顔を持つこととなる ――
普通を知りたい最強暗殺者の、無双なくせにどこか天然の入った、全然スローじゃないスローライフ。連載中。 物心つく前から暗殺者として教育され、自分の本当の名前も年齢も知らない生粋の暗殺者さん。 まず『普通』は仕事をして糧を得なきゃいけないって気付くのに数日かかるところから始まるんですが、本人が阿呆なほどハイスペックなので、一度やることが決まりさえすれば、なんでも(予想の斜め上を行く方向で)あっさりと片付けちゃいます(苦笑) でも「普通はこうするでしょ?」と言われると全部真に受けちゃうので、たまにいろいろやらかすのがまた楽しいです。 彼女いないなら、普通、こういう飲み会で出会いを求めるだろ! と言われて、それが普通ならしかたないと合コンに参加したりとか。 ……なお『彼女』はいませんが、同棲してて普通にベッドを共にして、もし妊娠したらと仮定すると『温かい』気持ちになって、抱きしめたい衝動に駆られる相手は存在してますww つーかあんた達、なんで正式に結婚しないのさ……嫁の方は「魅力的なオスにメスが惹かれるのは当然」「自分のところに帰ってきてくれるならそれで良い」と上から目線でドンと構えてますが、それを良いことに周囲の女性陣が秋波をかけるのやめないのがちょっともにょる…… そして当の本人は、もともと任務のために女性を籠絡するのが当たり前だったので、ときどき据え膳食っちゃうんですよね……理由がないのに手を出したい相手は一人だけなのが幸いですが。 二人とも『普通』の『愛』を知らないだけに、こうもどかしいんだよなあ……(わきわき)
あとちょっと気になるのは、世襲制でもない玉座に自分の意志でついて、自分の意志で侵略戦争仕掛けた割に、魔王様の戦後処理が甘すぎるというか、もうちょっと自国であれこれ政務取らなくて良いんかい、と。戦争で人間だって相当殺して、多くの人の『普通』を奪ってきたはずなのに、そのへんの葛藤とか反省は……どうなのか。 そもそもメイリの境遇がアレになったのだって、完全に魔王様が原因なのに、御礼とか御恩とかそんなものが欲しかった訳じゃとか、そんな話じゃないだろうと。 ロランさんは、初めて依頼関係なしの自分の意志で人殺した時に、いろいろ噛み締めてるっぽいですが、魔王様はやっぱりそのあたり魔王様ってことなんでしょうかね……
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No.632
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
最近は小物作り(主にタティングレース)などにも没頭しています。
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