よしなしことを、日々徒然に……



 2014年11月01日の読書
2014年11月01日(Sat) 
本日の初読図書:
4048725882世紀末ロンドン・ラプソディ―A Study in Violet
水城 嶺子
角川書店 1990-06

by G-Tools
1989年1月5日。京都。
年号が平成に変わるまでもうあと数日というその日、同志社大学の院生で英文学を専攻している女子大生 森瑞希は、雪景色の校舎を撮影しようと夜の校内を訪れていた。そして突然の地震の後、彼女は人気のない校内の一室で見たこともない不思議な構造物を発見する。激しい揺り戻しで降り注ぐ窓ガラスの破片から逃れようとした瑞希は、とっさにその構造物の中へと飛び込んでいた。倒れこむ肘がなにか丸いものにぶつかり、その構造物は鈍い音と振動を放ちつつ作動し始める……
そして1889年1月6日のロンドン。
一昨年前「緋色の研究」を発表したジョン・ワトソン博士は、次作「四つの署名」の執筆を開始していた。僕を冒険活劇のヒーローにするのはやめろと口うるさい偏屈な同居人を、読者から面白い事件が持ち込まれるかもしれないじゃないか、などとなだめながら。
そんなシャーロック・ホームズとドクター・ワトソンの元を訪れたその日の依頼人は、ハーバード・ジョージ・ウエルズと名乗った。なんでもここ数日、誰かに命を狙われているのだという。しかしその理由を聞いたワトソンは、彼を被害妄想患者か麻薬中毒者ではないかと考えた。何故ならウエルズはタイム・マシンの開発に成功しており、狙われているのはその研究のためだと主張したのである。
とても信じがたい話だったが、しかし彼が語るには、昨日襲われた際にそのタイム・マシンが作動してしまい、人を乗せないままどこともしれない時間と場所へ消えてしまった。そして安全装置が働いて戻ってきた時には、その中に気を失った風変わりな格好のジャパニーズ・ガールが乗っていたのだと。
幸い英語が通じたその少女に、ウエルズはシャーロック・ホームズへ相談しに行くことを薦められたとのことだった。彼女はウエルズのこともシャーロック・ホームズのことも、説明される前から知っていたのだ。
本来ならばとても信じられない話だったが、しかし唯一ウエルズの研究のことを知っていたカーマイクル・アルバート博士が、折しも昨夜何者かに殺害されていたこと。そしてカーマイクル博士は他でもない、ディオゲネス・クラブの会員だったことから、ホームズは興味を覚えたようだった。
しかし翌朝221Bを訪れたのは、ウエルズではなく東洋人のジャパニーズ・ガール、ミズキで。
彼女の話によると、ウエルズは昨夜ホームズからだという手紙に呼び出されて出かけてゆき、朝になっても帰ってこなかった。倉庫に保管されていたタイム・マシンも、何者かによって持ち去られてしまっているらしい。
かくしてホームズ、ワトソン、ミズキにホームズの兄マイクロフトは、タイムマシンを巡る事件の捜査に着手した。だがディオゲネス・クラブの会員で「バート」の愛称を持つ者が連続して殺害され、さらには「夜叉」と名乗る謎の組織から、ウエルズの命とタイム・マシンと引き換えに、世に名高い宝石「レディ・ヴァイオレット」と百万ポンドを要求する手紙が届き……

Amazon をウロウロしていたら、おすすめ作品として表示されたので、手にとってみました。
装丁や挿絵はお堅めのハードカバーですが、内容はむしろライトノベルよりのパスティーシュかと。
なにしろ現代(といっても、もう四半世紀も前ですが)のシャーロキアンな女子大生が、H・G・ウエルズのタイムマシンに乗って、十九世紀のロンドンへタイムスリップ。憧れのホームズさんといっしょに冒険を繰り広げるという内容ですよ(笑)
しかもホームズさんの淡い初恋とか、ヒロインとのほのか〜〜なロマンスとかもあるんですよ。
それってどこの夢小説よww

とは言え瑞希は、当初心配したような恋愛にうつつを抜かす、苛つくようなミーハーの足手まといではなく。推理でもアクションシーンでもそれなりに活躍するし、ホームズさんへの想いもじっと胸の内に秘めて、場をわきまえた態度を取っています。
いやほんと、最初の頃は正直読み進めるのがけっこうしんどかったんですよ。でも編集者視点のプロローグと現代の瑞希視点の第一章を過ぎて、ワトソンさん視点になってからは面白くなっていきました。その後は状況に応じてワトソンさんと瑞希の視点が切り替わって行きますが、もうそこまでいくと瑞希視点でも気には障らず。
ホームズと恋愛なんて相容れないと思っている私でも、このぐらいのエッセンスなら夢見ても良いんじゃない? と思いました。
……まあ全体的に推理ものというよりは、それこそホームズさんが嫌うアクション重視なSF冒険活劇っぽかったですけど。でもちゃんと事件ものでしたし、タイム・マシンを駆使して行き交う時間のたどり着く先がまた、唸らせられるんだ、これが。
二次創作としてはなかなかの出来だったと思います。

ちょっと気になったのは、これある程度は知識のあるホームズファンじゃないと、ストーリーがあんまり楽しめないのではないかという点。
傘を忘れたジェイムズ・フィリモア氏とか、ホームズのお兄さんはマイクロフトでディオゲネス・クラブの会員かつ政府の重要機関に云々とか、ホームズは女性嫌いでとか、当たり前の事実のように語られてますからね。
そもそも主役の瑞希からして、相当重度のシャーロキアン。
普通の読者程度じゃあ「1889年には、まだブルース・パーティントン事件は起きていなかった」とか、脳内ホームズ年表ひも解いたりできねえよ(苦笑)

あと瑞希がホームズさんのことをシャーロックって呼ぶのが、個人的に違和感を覚えました。
別にマイクロフトと区別をつけるためではなく、最初は一生懸命「ホームズさん」って呼んでるんですが、気がゆるむとシャーロックになるんです。
一般的な日本語翻訳を読んで育ったファンは、原作版の場合ホームズ&ワトソン呼びになると思ってしまうのは、私の偏見ですかねえ。
だからこそ、現代版ドラマで二人がファーストネームで呼び合っているのが、すっごく新鮮に感じたと思うんですが。

でもまあともあれ。
なかなか面白いお話でした。
読まれる方は、事前にホームズシリーズの他、H・G・ウエルズ「タイム・マシン」にも目を通しておかれたほうが、より話を楽しめると思います。
あとほんの一行言及されるだけですが、ヴェルヌの「八十日間世界一周」も、知っているとちょっぴりニヤリとできたりとか( ̄ー ̄)
No.6303 (読書)


 思い出した頃にやってくる(−ー;)
2014年11月01日(Sat) 
……昨日から散発的に20件以上迷惑コメントがやってきて、もううんざり。
昨日今日だけで7〜8個はアクセス禁止IP追加したよ……まったく手を変え品を変え、うっとおしいったらありません(怒)
数分で20件立て続けに書き込まれるのも嫌ですが、IP変えながら2〜3件ずつ時間をおいて投稿されるのも、地味にダメージが蓄積されます(−ー;)

そんなこんなであんまり苛ついたので、気分治しに GOM Player をインストールしました<まったく理由になってない

■ GOM Player【ゴムプレーヤー】
 http://www.gomplayer.jp/player/

FLVを始めとした、さまざまな種類の動画を再生できるプレイヤーです。
以前のXPには RealPlayer を入れていたのですが、どうにも動作が重かったり、タスクトレイに常駐して余計なメッセージを頻繁に表示するとか、フリーソフトを謳っているくせに有料版へのバージョンアップメッセージがうるさいほど出るとかいった点が気になったので、PCを買い替えた際に断捨離したソフトの一つでした。
でもねえ、やっぱりHDD内にある動画データが、思った時に再生できないのはもったいないなあと。
ちなみにこの GOM Player で一番気に入ったのは、左右カーソルキーで10秒ジャンプができることだったりします。
普通にテレビで録画した番組を見ている時でも、頻繁に台詞を聞き落とす私の場合、10秒巻き戻しボタンが大活躍なんですよ(苦笑)

……結局はこうしてどんどん、インストールするソフトが増えていくんだよなあ……(遠い目)
No.6304 (電脳)


 うっかりと
2014年11月02日(Sun) 
昨日、軽快な動画プレイヤーをインストールしたことに触発され、動画ファイルをいじっていたら、あっという間に一日が過ぎてしまいました(苦笑)
スマホで撮った動画ファイルなんかも、変換せずにそのまま見られるんだから、ありがたいよなあ。
あと MP3 とかも普通に再生できるし、プレイリストも今までのものが使えるので、録音したラジオドラマを聴くのとかにも使えそうです。
やっぱりカーソルキーでの10秒巻き戻しと、マウスの真ん中ボタンで音量調整できるのが心底ありがたいっす。
何より動作がめっちゃ軽快。
初期設定ではうっとおしかった広告も、スキンを最初から入っているものの中からシンプルなタイプに変更したら、まったく表示されなくなりました。
……本当にこれでフリーソフトでいいのか。
あちこちで高い評価を目にするのも、納得の機能なのでした。
No.6307 (電脳)


 後悔はしない
2014年11月03日(Mon) 
ここ数日、久しぶりに早寝早起きができて、比較的まともな生活リズムが続いていたのです。
今日も健康的な時間に起床し、のんびりと祝日を過ごしつつ、特にこれといった日記ネタになることはしてないなあなんて思いながら、ちょっと早めだけどそろそろ寝ようかとしていたのですが。

22時直前に、ふとしたことで突如脳内にモノカキの神様がご降臨なさいまして。
これは今すぐ前髪引っ掴むしかない! と思い立った結果、現在日付が変わった1時半。
そして原稿用紙15枚ほどの何かがHDD内に存在していたりします(苦笑)

なんとか、耳からこぼれ落ちる前にひと通り書ききったぜ!

後から読み返してみたら、また手を入れないとアレな文章になっているのでしょうが、とにかく下書きさえできればこちらのものです。
良かった……ストックがなんとかひとつできたぜ……ああでも眠い……明日ちゃんと起きられるかしら(ため息)
No.6321 (創作)


 なだめすかして引き止めて
2014年11月04日(Tue) 
昨夜やって来たモノカキの神様は、ありがたいことにSSを一本書き終えるまでの間、無事に居続けてくれました。
おかげで拍手用のSSが一本、下書きをストックできた訳ですが。
一日が過ぎても、なんだかほんのりその気配が残っているような気がしまして。

これはもしかして、まだ間に合うかもしれない? と。

そんなふうに思った私は、以前、五ヶ月ほど前に書きとめたまま放っておいた、中編用のプロットを取り出し目を通してみました。
さらにこれまで書いた同シリーズの前の話やら、いただいた感想などを読み返し。

うん、私にはまだ書きたい気持ちが残ってるんです。
どうかどうか、戻ってきて下さい、神さま!

などと脳内で手を合わせながら、テキストエディタを起動。
タイトルは決まってる。一章目の後半もほぼイメージはできている。問題は書き始めだ。
プロットでの舞台と登場人物は……いやしかし、どうしてもその設定だとキャラクターが動き出さない。ならば場所を変えて、人数も減らして……と、考えこむことしばし。
ついに書き出しの一文が降ってきてくれました。

途中、知人からの調べ物依頼が入ったり、データ入力の資料が届いたり、あと忌まわしき広告書き込みまで8件ほどやって来たりしましたが(−ー;)

それでも、本日の進捗、原稿用紙30枚ちょうどですvv
昨日書いたものと合わせると、二日で45枚か。ワタシ的にはかなりのペースじゃないですか。

とりあえず今日書き始めたお話は、一章目の下書きが終りました。
プロットでは全四章+終章を予定しており、うまく膨らませられれば100枚超も夢ではない中編です。
これを書き上げられれば、月に一章ずつUPして当分は保ってくれるはず……(期待)

プロットを書く上でも一番の難産だった、冒頭部分が下書きできたのは、かなり大きいです。
……なにしろプロットだと 1.5KB しかない一章目の前半が、実際に書いた本文では 13.8KB あるんですよ。頑張ったな私!<自画自賛

二章目以降を書く元気が、明日以降も残っているかは判りませんが、それでも一歩前進です。
モノカキの神さま、どうか明日以降もうちにお留まり下さいませ(パンパン)


……そして当然の帰結として、借りてきた本も開かず、積録も消化できてない……でも良いんだ。本も録画したものの視聴も、いくらだって後に回せます。図書館の本だって、借り直せば済む話なんだから。
今はいつ去っていくかもしれないモノカキの神さまを、なだめてすかして前しかない髪をひっつかんで、少しでも長く留まっていただきたいところなのでした。

ああ、やっぱり私はお話を書くのが好きなんだなあvv
No.6334 (創作)


 神さま、お疲れ様でした <( _ _ )>
2014年11月05日(Wed) 
今日も今日とて、順調に昨日からの続きをカタカタと。
二章目が思ったより短くなったので、逆に長めだった一章目との区切り位置を変えて調整調整。三章目あたりからはプロットもかなり密度高めに書いていたので、台詞はほぼすべて決まっていました。だいたいの人間の動きも書き込んであり、あとは微調整しながら細かい背景とか心理・状況描写を追加していくだけで。

……それが難しいと言えば、そうなんですが。
でも今回は、モノカキの神さまが良い仕事をして下さいました。

本日の進捗、原稿用紙60枚と6行。
トータル90枚と17行で、下書きが最後まで完成したんだぜ( T ▽ T )

や〜、今日書いたスピードは、文句なく過去最高速度ですね。
プロット自体を、かなり完成品に近い体裁で作っていたこともありますが、でも私の場合、勢いで予定をガン無視。全然違う方向に行っちゃうこともままあるって言うか、その方が多いからなあ(苦笑)
ラストまでほとんど変更なく書き上げられた今回は、実に幸運だったといえるでしょう。

目指せ100枚超は達成できませんでしたけど、予は満足じゃ。
モノカキの神さまも、本当にお疲れ様でした。
前髪思い切り掴み続けていてスミマセン。あ、抜け毛が……(いそいそとヘアセット)

そして今になって気が付いたうっかり。
……直人、一作目では「学生向け格安アパート」に住んでるのに、二作目や拍手SSでは「下宿」になってる(汗)
き、きっと二年生から三年生になる間のどこかで、お引っ越ししたのさ! あはははは。

今さら直せねえ _| ̄|○


今回の物書きのお供は、熱いコーヒーを入れた真空断熱マグカップと、類語辞典とニューアン●ルツヨコヨコA。
いやもうちっちゃい湿布なんかじゃ、とうてい追いつきませんでした(苦笑)
両肩はもちろん、背中の一面に塗りたくりましたよ。長時間パソコンに向かっていると、腰とか胃の後ろが痛くて痛くて(泣)

あとすごく便利だったのが、デュアルモニターことマルチディスプレイ。
ノートパソコンのモニタに入力中の本文を表示して、脇のサブディスプレイにプロットを表示。
二つを見比べながら入力していけば、いちいちウィンドウを切り替えたり、内容を記憶して移動する労力が省けます。書いていて疑問に思うことがあったなら、調べ物もサブディスプレイでブラウザを立ち上げて。メインディスプレイの空いている隙間には、電子辞書と過去テキストの検索アプリを待機。
うーわー、こりゃ楽だわvv

広い画面は重宝すると、しみじみ思ったのでした。

残るは推敲作業なんですが、これは何ヶ月もかけてじっくりやっていくしかないからなあ。

でもって、明日はちょっと目・肩・腰を休めないと……ああでもパソコンの他にやりたい事は、積読と録画したテレビ番組の消化と、あとは手芸なんですよね……(乾笑)
No.6335 (創作)


 ひと通り落ち着いて
2014年11月06日(Thr) 
昨日書き上げた下書きを読み返して手を入れて行ったら、なんか原稿用紙2枚ぐらい増えたりとかしましたが(笑)
一応、耳からこぼれない内に入力してしまわないと、と言う焦燥感からは開放されて、今日はのんびりゆっくり。
録画しておいた「すべてがFになる」とか「ぼんくら」を見たり、積読に手を伸ばしたり。


そしてこれは一昨日の話ですが、文章書きに必死で日記書く間も惜しみ省略していた内容を、忘れないうちにメモメモ。
元上司の おたねさん から「Android で音声メモを録音して、そのままメールで送れるアプリを探して欲しい」とのご依頼を受けまして。
いろいろ検索して機能やら使い勝手、お値段を見比べて候補を絞り、概要をまとめておたねさんにメール返信しておりました
結果、最終的に おたねさん が選ばれたのはこちら。

■Hi-Q 高品質 MP3 ボイスレコーダー (無料)
 https://play.google.com/store/apps/details?id=yuku.mp3recorder.lite&hl=ja

無料版は10分までの録音が可能。そしてメニューが日本語(ここ重要)
mp3 形式で保存されるので、容量が小さい上にPCでも問題なく再生できる。
録音中にタップして一時停止、続きからの録音が可能。そして録音しながら現在のファイル容量をリアルタイムで表示。
音質・音量設定、ファイル名の変更、アプリから直接メール送信ができる。
と言った感じ。

詳しい使い方はこちらで紹介されています。

■シンプルなのに“かゆいところに手が届く”、ボイスレコーダーアプリ「Hi-Q MP3 レコーダー」
 http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/1301/15/news080.html

……要するにお互いの作業できる時間が微妙に合わないことがままあるので、データを口述入力して欲しい時に、電話やスカイプでやりとりするのではなく、録音してメールで送っておきたいと。で、私が作業できる好きな時間帯に、再生しながら打ち込んでおいてくれ、と。
まあそういった次第での導入です(苦笑)

試しにテストしてみたところ、30秒ほどの mp3 が 500KB 弱で送られてきました。
10分なら10MBか……まあそこまで長く話すことはまずないでしょうし、我々の回線速度なら、なんとか許容範囲ですかね。音質はかなり綺麗で、確かにクリアに聞こえました。

あとは、ウイルスバスタークラウドを、8.0にバージョンアップ。
昔に比べるとずいぶん作業が楽になっていて助かりますね。
シリアル番号とか自動で引き継いでくれたので、さくっと終了。

夜には長兄が新しい車で帰ってきたりとかしましたが、日が暮れていたので写真が取れませんでした(しょぼん)
仕事道具や資材類を積み込む用に、軽でもかなり大きめの箱バンで新車。後ろの座席を倒したら、かなり広い積込スペースがありました。あとで棚とかを手手間で設置する予定だそうです。
キーレスエントリーとかもついてるし、最近の車は便利でいいなあ……
No.6338 (電脳)


 2014年11月07日の読書
2014年11月07日(Fri) 
本日の初読図書:
4488430112無花果の実のなるころに (お蔦さんの神楽坂日記) (創元推理文庫)
西條 奈加
東京創元社 2013-09-20

by G-Tools
中高一貫の私立中学に通う少年 滝本望は、父の転勤を機に神楽坂で多喜本履物店を営む祖母と二人暮しすることになった。元は芸者であり、女優の経験もあるという祖母お蔦さん。今でも粋できっぷが良くて。ちょいと気が強いもののご近所衆の人望も篤く、店はいつも馴染みの人達で賑わっている。遠慮のない人々に囲まれてプライバシーは欠片もないが、それでも賑やかな日々を望は楽しく過ごしていた。ところがある朝のこと、木下薬局のおばさんが血相を変えて駆け込んできた。おばさんの息子で望の幼馴染でもある洋平が、自転車で通りすがりに女性を蹴飛ばしては怪我を負わせている、“蹴とばし魔”の犯人として逮捕されたというのだ。洋平も犯行を認めているらしいが、望にはとても信じられず……「罪かぶりの夜」
望が籍を置く美術部の先輩 足尾が、コンクールで文部科学大臣賞をとった。望はその絵を絶賛するが、先輩は最近話題になり始めた尊敬する画家 乾蝉丸の真似でしかないと謙遜する。そして文化祭の当日。美術室に飾られていたその絵が、トラブルで人の目が無くなった隙をついて、無残にも破られてしまっていた。たまたま居合せたお蔦さんは、無人の美術室で何が起きたのか、その経緯を鮮やかに紐解いて見せるのだが……「蝉の赤」
ホワイトデーを間近に控えたその時期、神楽坂一帯では振り込め詐欺が頻発していた。被害に遭ったのはみな多喜本履物店に出入りする、望やお蔦さんの顔なじみばかりだ。犯人は入念な下調べをしているようで、その巧妙な手口に望は舌を巻く。一方で店に望と変わらない年頃の少女、石井楓が訪れた。草履を探して来たと言う割にはどこか意味ありげな態度をとる彼女に、望は心惹かれるものを感じて……「無花果の実のなるころに」
お蔦さんの芸者時代からの知人で、立脇工業の社長ワキさんが亡くなった。彼はお蔦に自社株の33%を譲ると遺言状に書いていたそうで、長男である専務 雄一が乗り込んでくる。お蔦が筆頭株主になって経営に口を挟んだり、あるいは他へ株券を売り払うことを懸念したのだ。どうやら彼は、生前の父とお蔦の関係まで疑っているらしい。そんな面倒なものなど受け取る気はないと言っていたお蔦だったが、そこへワキさんの後妻で雄一の継母である老婦人が訪ねてきて……「酸っぱい遺産」
石井楓から深夜に電話を受けて、望は仰天した。彼女の母親が大怪我をして病院に運ばれ、父親が警察に任意同行されたというのだ。楓の母は昔フランスで暮らしていた頃に画家である夫との間に楓を設けたのだが、何らかの事情で夫と別れ帰国し、一人で楓を育てていたのだという。病院に駆けつけた望とお蔦が詳しい事情を警察に聞こうとすると、身内以外には話せないと断られた。ところがお蔦は楓は立派な身内なのだと、驚くことを言い出した。仰天する望をよそに、意識を取り戻した母親が自分で転んで怪我をしたのだと供述したため、父親はなんとか釈放される。しかし室内には、明らかに誰かと争ったあとが残っていて……「果てしのない嘘」
洋平と望は、望の友人である森彰彦の母に招かれて、彼の家を訪れていた。カレーパンのレシピを伝授する望の横で、初対面の洋平と彰彦はサッカーの録画を見ながら意気投合している。しかし調理中に帰宅した彰彦の兄 行也は、ひどく元気が無いようだった。どうやら恋人に振られたらしい。この兄弟は二人とも見た目が良いためしばしば女の子から告白を受けるのだが、オタク気質が災いしてすぐに振られるのを繰り返しているそうだ。彰彦などは当分、誰かと付き合うつもりはないと宣言していた。ところがそんなところへ一本の電話がかかってくる。手が離せない彰彦の代わりに受けた望は、びっくりする。相手はクラスメートの小坂翠だったのだが、高校生ぐらいの男三人に捕まっているのだという。男達は翠を彰彦の彼女だと思い込んでいるようで、彰彦が誰にも言わず廃工場へ一人でやってこなければ、彼女に乱暴すると脅迫してくる。こんな時に限って、頼りになるお蔦さんは泊まりがけで不在。望は必死で身をそばだたせ、電話の向こうから聞える音から手がかりを見つけた。そうして彰彦、洋平、彰彦の兄 行也の四人で力を合わせ、翠を救出しようとする……「シナガワ戦争」

図書館でつらつらと背表紙を眺めていて、タイトルに惹かれて手に取り、表紙絵やあらすじも良さげだったので借りてみました。粋できっぷの良いお婆ちゃんと、心優しくちょっと気弱だけれど、やる時はしっかりやる孫とが織りなす事件簿。ミステリ部分よりもむしろ、人情的な描写に重きを置いたタイプですかね。
お蔦さんは相手が子供でも、けして情報を隠したり、綺麗事で誤魔化したりしない、格好いい大人です。
そして望は本名「のぞむ」なのに、ご近所衆から「ノゾミちゃん」なんて呼ばれて気を落としたり、料理のできないお蔦さんに代わって炊事を担当したりとあんまり男らしくはありませんが、ここぞという時には覚悟を決めてしっかり足を踏ん張れる、やっぱり格好いい少年です。
この巻は短篇集の体裁をとってはいるものの、全体を通じて読めば、大きな流れが幾筋か存在しています。
それは望の成長であったり、楓の家庭の事情であったり、あるいはもっと別の脇キャラ達がたどってゆく心の変遷だったりします。
ある話では加害者であった存在が、別の話ではまた違う役割を持つ。けしてゲストキャラを使い捨てにせず、一人の『生きた人間』として扱うところに好感が持てました。これ同レーベルの引きこもり探偵シリーズでも同じこと思ったっけなあ。

特に「果てしのない嘘」では、望や奉介の選んだ道に、しみじみとした余韻がありました。

人は誰しも、心の中に闇を抱えている。魔が差すこともある。けして綺麗事だけで世の中はできていない。
それでも。たとえ御都合主義だと言われようと、最後は幸せになって良いじゃないか。皆が救われて、温かい気持ちで本を閉じられたなら、気持ちがほっこりしてくれます。
どうやら二巻目もあるようなので、さっそく図書館で予約しました。そちらも楽しく読めるといいなvv
No.6340 (読書)


 ロックはきちんとしよう
2014年11月08日(Sat) 
数日前から母が「ノートパソコンの電源を入れると『バッテリが認識されません』とか出る。ACアダプターを繋がないと、そもそも電源が入らない」とかこぼしておりまして。
何度も「一度バッテリパック外して、数分置いてからつけ直してみて」と助言したんですが「そんなのできない」「怖い」とか繰り返しやがりまして。
今日たまたま、母のマシンのウイルスバスターもバージョンアップしてやろうとか思った際に、それを思い出しまして。電源入れる前に本体をひっくり返してみたのですよ。

……バッテリパックが斜めになって半分外れてました。

どうやら最初にパックをセットした際、ちゃんとロックをしていなかったんじゃないでしょうか。
で、机の上で位置調整をしている間に、敷いてあるビニールシートとの摩擦で外れちゃったのではないかなあ、なんて。

そんな訳で、母の数日来の懸念事項は、「カチッ」のひと押し込みで終わりました(笑)
試しにアダプター挿さずに起動してみたら、電池残量86%。充分過ぎるわvv

みなさまも、バッテリパックをセットした際は、しっかりロックを確認しておきましょう。

……そして母のマシンのキーボードカバーが新品同様であることに、なんだか負けた気がして、自分のノートのカバーを雑巾で拭き倒してみたりとか。
うんいや、シリコンシートのマルチタイプなんですが、一年近くが経とう言うという現在、なんか手垢とホコリで手触りがザラザラ・ニトニトになってまして(−ー;)
剥がして洗うと着け直せそうにないぐらい変形も激しく、しょうがないので本体に装着したまま掃除しました。水拭きではほとんど効果なかったので、除菌用アルコールに御助力いただいたりとか。

おかげでどうにか手触りはほぼ新品に戻りましたけれど、やっぱり変形と、あとよく使うあたりが傷で曇っているのはいかんともしがたい……一年保ったんだから、新しいのに買い換えるべきかしら(悩)<むしろ昔は半年ぐらいしか保たなかったからなあ

B0042IX7GKサンワサプライ FA-SMUL2W ノートマルチカバー
サンワサプライ

by G-Tools


以下はヒトコトのお返事です。
No.6342 (電脳)


 ははははは(汗)
2014年11月09日(Sun) 
日曜日の本日も、順調に早起きして、のんびりつらつらテレビを眺めていたのです。
映っていたのは、空撮された出雲平野と、そこをうねるように流れる雄大な斐伊川の姿。

ああ、そういえば斐伊川とかヤマタノオロチとか製鉄民族とか絡めて、書きたいネタがあるんだよなあ。
でも私に古代ファンタジーなんて絶対に書けないし、無理ポ……とかずっと思ってたんですが。

画面をぼんやり見ているうちに、なんか脳内で化学反応が起きました。
もしかしたら、一緒に映ってた出雲大社の神さまが、なにかしら力を貸してくれたのかもしれません。
とりあえず書きたいとこだけウンチクかましたら、拍手一本下書きできました。原稿用紙10枚ちょうど。
さらに「この調子ならまだイケんじゃね?」と、二年ほど前に書いたっきりだったプロットを引っ張りだしてみました。結果、21時現在で原稿用紙20枚と10行。

……この間から、モノカキの神さま、仕事しすぎじゃありませんか(汗)

なんだかこうも順調だと、どこかで揺り返しが来そうで恐ろしいかも……
でもまあともあれ、ストックができると安心できます。この間まで、もう残り一本しか手持ちに残ってなかったので。
なにしろ下書きあげてから推敲が終わるまでに、かなりの時間を必要とする性分だからなあ(−ー;)



そして pao ままさんから、どんだけ〜というコメントを頂いたので、現在のキーボードカバーの変形具合を撮影してみました。



貼ったばかりの頃は、もっとピンとしてたのに……

←全体がこんな感じだった

これだけ毎日のようにブログ記事を入力していて、かつ思い出したようにモノカキの神さまのご来訪を受けると、このようになってしまうのですな。
やはりキーボードカバーは消耗品だと、割り切るべきか……
No.6348 (創作)


 2014年11月10日の読書
2014年11月10日(Mon) 
本日の初読図書:
「竜の卵を拾いまして(小説家になろう)」〜海原へ
 http://ncode.syosetu.com/n4613bt/

下級貴族の娘シェイラは料理好き。その日も雇っている料理人達を休ませて、家族のために朝食のオムレツを作っていた。ところが手にとった卵をボウルにぶつけると、ゴンという鈍い音とやけに固い手応え。
不審に思って見下ろした手のひらの中。大きく罅が入った卵から孵化したのは、小さな赤い竜の子供だった。
この国ネイファでは、竜は憧れの存在である。強大な力を持つ、孤高の存在。そして時として人間と友誼を結び、契約できた者は竜使いと呼ばれ彼らと生涯を共にする。
そんな、竜の卵が。なぜニワトリのそれに紛れていたのか。
キュウキュウと鳴く愛らしい姿に混乱しながらも、シェイラは子竜を王城へと届けることにした。王城には第二王子のアウラットを始めとして、竜使いや竜に関する研究者などが集まっているという。彼らに任せれば、どうにかなるだろうと思ったのだ。
ところがいざ王城で話をしてみると、すでに子竜は刷り込みによってシェイラを親として認識してしまっているとのこと。そもそも本来なら卵や幼い竜が、竜の里から出ることなどありえず、本当の親さえも判らないという。
まだ身を守ることすらできない子竜を、王城で保護するのは当然のこと。しかし竜の育て方など、人間は誰も知らなかった。そこで親代わりを務めながら、細かい観察記録を付けてほしいと依頼され、シェイラは最初とまどいを見せた。しかし幼い頃から人一倍、竜に対して憧れを持っていた彼女は、間近で竜と接することができる誘惑に耐え切れず、引き受けることに決める。
かくしてココと名づけた火竜の子を育てることになったシェイラは、他にもアウラット王子の契約竜であり気さくな青年の姿を取る火竜ソウマや、研究者の老人ジンジャーの契約竜、肌もあらわな美女の姿をしたクリスティーネらと交流を深めてゆく。
しかし前例のない人里で生まれた子竜を育てるというのは、楽しいことばかりではすまされなくて……

うっかり偶然、ひょんなことから至高の存在に懐かれちゃいました★
的なほのぼのシンデレラ・ストーリーだと思っていたら、背後には意外な事情とかも隠されていて、けっこうどんでん返しが含まれています。あとちょこちょこ人間心理の闇もついてきて、黒い展開なんかもあったりとか。
シェイラの前に現れた選択肢は、確かに幸運と偶然も多分に含まれているけれど。それでもその中から、悩んで迷って苦しみながらも、どうにか最善を選んでいこうとする彼女の有り様は素直に感情移入できます。
……ちょっとトロくて空回りしがちなところもありますけどね(苦笑)
あと、意外に恋模様がメイン軸になってるんですが、お相手に少々意表を突かれました。
竜という存在は人間とはまったく相容れないと何度も力説されたので、そっかー彼はないんだと思っていたら、まさかそうくるとは。ってか、人間と契約を結んだ契約竜でも、他の相手と恋はするんだ、とか。
最初は余裕気味だった彼が、一章目の終わりにはすっかり振り回され気味なのが、限定対象にのみヘタレ好きのツボを突きます。
そしてシェイラが相手に頼りっぱなしではなく、自分の足で立とうと頑張っているのが良いですね。

第一章だけでもひとつのお話としてそれなりに独立しているので、試しに読んで見られるのもありかと。
No.6352 (読書)


 2014年11月11日の読書
2014年11月11日(Tue) 
本日の初読図書:
4041211271SHERLOCK 死を呼ぶ暗号 (カドカワコミックス・エース)
Jay. スティーヴン・モファット
KADOKAWA/角川書店 2014-06-07

by G-Tools
ドラマ現代版ホームズ「SHERLOCK」のマンガ版二巻目。
一巻目と同様、忠実にシーズン1の二話目がコミカライズされています。帯によれば三作目「大いなるゲーム」も既に始動しているようですし、楽しみ楽しみ★ ……ただあのクリフハンガーはどうするんだろう?

全体的に、良くも悪くもあまり特筆する点はありませんでした。
ただやはりこのコミカライズは、ドラマ未視聴の方にはちょっと判りにくいかな、とは思ったり。
ドラマファンの人が「あそこどうだったっけ?」と手軽に内容確認したり、携帯して読み返したりするのには実に良い出来ではあるんですが。
特にドラマではどんどん勢いに押されて流されていった細かい点が、紙媒体だとじっくり噛みしめるように味わえるのは便利かと。

そしてもしお持ちの方で、カバーを外してみていない方は、カバー下を要チェック。
こういう、お互いに無関心な状態で、同じ部屋でくっついて過ごしてるっていうシチュエーションがけっこうツボだったりします。
No.6356 (読書)


 今後の予定
2014年11月12日(Wed) 
11月14日の金曜日より、日月堂シリーズの中編を連載開始する目処がたちました。
現在鋭意、レイアウトと推敲作業中です。
今回も尼野姐さんより口絵イラストをいただいてしまいました。もうね、すんばらしいんですYO!! 《o(>▽<)o》
いつもいつも、素敵なイラストをありがとうございます!>姐さん
今回はどんなお話なのかというと……



こんな感じ(笑)

尼野姐さんに先読みしていただいた際、送って下さったラフ画です。
あんまりツボったので、UPのご許可を拝み倒しましたvv
ああもう、凪がかわいすぎる★

とりあえず、月イチ更新で2月までかけてゆっくりUPしていく予定。
お楽しみいただければ幸いです。
No.6361 (創作)


 2014年11月13日の読書
2014年11月13日(Thr) 
本日の初読図書:
4488427049タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)
近藤 史恵
東京創元社 2014-04-28

by G-Tools
下町の一角にある、テーブル五つ、カウンター七席という小さなフレンチレストラン、「悪くないパ・マル」。僕ことギャルソンの高槻智行は、まだ勤め始めたばかりで、仕事に馴れるのに精一杯だ。紅一点のソムリエ金子ゆきや、副料理長の志村洋二とはだいぶ馴染んできたが、料理長のことは未だによく判っていない。フランスのそれも田舎の方を点々として修行してきた彼 三舟忍は、気取らない気軽に楽しめるフランス料理を目指しているらしい。しかし無精髭に長く伸ばしてひとつに束ねた髪の毛、そして無口なその人柄が、いまひとつ彼を近寄り難い存在にしている。
だが三舟のすごいのは、料理の腕ばかりではなかった。ほんの些細な言葉の端々から、訪れる客達が抱える事件やトラブルを見つけ、真相を明らかにする。
美人女優と婚約したばかりの常連客が、その日腹具合を悪くしていたのはなぜか。
あまりにも偏食がひどすぎる男の妻が、まずい料理を作り続けている理由は。
十二年前、志村が初めて焼いたガレット・デ・ロワの中からフェーブが消えた経緯。
突然妻が実家に帰ったという男性客が、犯した失敗とは。
飲酒という不祥事を起こした高校野球児は、どうやって合宿所に酒を持ち込んだのか。
かつての恋人と別れるきっかけとなった、彼が作ってくれた最後のカスレは、どうしてあんなにもまずかったのか。
ベルギーから帰国し、店を開いたばかりのショコラティエ。病気の母を見舞う暇もないという偏屈な彼の作るチョコレートの詰め合わせは、どうしてどれも素数なのか。
様々な謎が、料理をキーワードとして紐解かれてゆく……

250Pにも満たない中に、七本の短編が収録された、気軽にさくさく読んでいけるお話です。
料理長の三舟さんは、フランスで修行中に「三船敏郎の親戚か?」とか「サムライの子孫だ」といった誤解を受けまくったあげく、ならばと武士風の無精髭&長髪のキャラ作りをして新人イジメから逃れちゃった、実はけっこうちゃっかりさん。
お客さんの体調やリクエストに合わせて、見事にメニューをアレンジしてくれる、気の利いたオジサマでもあります。
周囲を固めるキャラクター達もそれなりに個性的で良い味を出しており、一話一話は短くても、しっかり味わい深い仕上がりになっているかと。
……事件の真相は、時に冗談ではすまないような深刻なんじゃね? というものも混じっています。
三舟さん達は、それを本人に知らせることもあれば、知らせないまま『関係者』にのみ話をつけたり、そのまま結末を見ずに成り行きに任せる場合もあります。あまり踏み込みすぎないところが、お店とお客というスタンスを表しているように思えました。
時にデリカシーがなさすぎるのではないかというほど、関係者の内面にズカズカ入り込んでいくことの多いミステリーものとしては、少々異色かもしれませんね。
個人的には、最後に載っていた「割り切れないチョコレート」が好きです。偏屈なショコラティエさんの、内面に溢れる母親への思いが切ない…… そしてなんとなく彼の外見イメージが、ドラマSTの池田管理官になっている私(苦笑)

ただ難点がひとつ。読み流せば良いと言えば良いんですが、フランス料理の名前や用語がガンガン出てきます。後から説明がある場合もあれば、そのまま普通に流される場合もあって、途中で何度も読むのを中断して調べる羽目になりました。
フランス料理なんてお洒落なもんに、縁はないんだよ、コンチクショウ><

ともあれこれも二巻目があるらしいので、借り出し候補に追加しました。
No.6362 (読書)


 更新情報(2014年11月14日)
2014年11月14日(Fri) 
「閲覧室」の「オリジナル小説書架」で、「骨董品店 日月堂」第十六話、「雨月露宿あめのつきつゆのやどり」の連載を開始しました。
ひとまず口絵と序章と第一章目をUP。今回は序章+全四章+終章で、例によって月イチ更新を予定しています。

カラー口絵を書いて下さった尼野姐さん、いつもいつも素晴らしいイラストをありがとうございます(感涙)
今回はね、もうね、章が進むにつれてこのイラストに込められた様々な意味がじわじわと効いてくると思うのですよ。あああ、本当に有難うございます( T ▽ T )


……えー、なおこの話は、先週必死に書いていたものとは別のです。
なにしろ私の文章は、いったん下書きしたあとで、数ヶ月単位の時間をかけて推敲しないと、読めた代物ではないので(^ー^;;)ゞ
今回もレイアウト作業しながら、まだ往生際悪く手を入れておりました。
ううう、どこまで読み返したら満足のいく文章になるんだろう……(悩)

そして最近、自分でも書いていてシリーズの作中時系列が判らなくなってきている今日この頃(−ー;)
ええと、

 鏡裏捕影 高一の12月(和馬と出会う)
 不帰永眠 高二の7月(直人達と知り合う)
 硝子の瞳 高校入学前(浪人中)
 影見影待 高二の2月(和馬が清明と出会う)
 紅玉残夢 高三の初夏(沙也香達と知り合う)
 同族相喰 高三の初秋(崇志と知り合う)
 魔鏡遊戯 高三の10月
 雨月露宿 高三の12月(連載中)

……だいたいそんな感じで良かったんだよな??
ちなみに晴明くんは9月23日生まれで、一年浪人しているため最新話で19才。
うーん……このままだと次の話あたりで、もう高校を卒業しちゃいそうですね。大学生店主でも、お話的にありなんだろうか? ああ見えて実は未成年ってところが、ポイントのひとつなんですが……<なので密かにリクエストの多い、某お狐さま達との共演ができなかったり
No.6364 (更新)


 2014年11月14日の読書
2014年11月14日(Fri) 
本日の初読図書:
「猛獣と女の子シリーズ(小説家になろう)」〜執着
 http://ncode.syosetu.com/s0776a/

獰猛な猛獣・悪の化身・魔王の落とし種などなど、恐ろしげな噂がつきまとう男。ロウディーン帝国第二王子ザガート。彼は黒騎士団を率いる国の守りの要であったが、いかんせんあまりにもその容貌が悪かった。強靭な肉体を持ち体は極めて大きく、しかも女嫌いなうえ、常に人を威嚇するような恐ろしい形相をしている。その為に女子供はおろか、男さえもが恐ろしがって近づかない人物である。
そんなザガートの唯一の趣味は肉体を鍛える事で、その日も魔物の横行する森で、修行を兼ねた魔物狩りを楽しんでいた。
そんな彼が出会ったのは、腰まで流れる長い漆黒の髪と黒曜石のような瞳をした可愛らしい少女、リア。彼女は孤児院を出て紹介された就職先へ向かうために街を歩いていた……はずが、壊滅的な方向音痴を発揮し、危険な魔の森へと迷いこんでしまったのである。両親をこの森で魔物に殺された過去を持つリアは、己を救ってくれたザガートへ感謝し、笑顔でまっすぐお礼を言った。
その瞬間、ザガートは恋に落ちていたのである。
リアの就職先へと手を回し、まんまと彼女を自身の屋敷へ侍女として雇い入れることに成功したザガートだったが、しかしそこから先が進まない。彼は女性の口説き方などまったく知らなかったし、鈍すぎるほどに鈍いリアはというと、あくまで使用人としての立場を崩さない。
ザガートとは似ても似つかぬ美形の第一王子フェルティオなどは、面白がって二人の間を引っ掻き回し、すれ違う彼らの暴走に周囲はどこまでも振り回されて……

美女と野獣的なドタバタコメディ。連作短編七話で完結済みです。
ザガートが噂だけでなく本気でヤバイとか(うっかり手ェ握っただけで指の骨へし折っちゃいかんよ)、リアがいくらなんでもおっとりしすぎ(指折られて痛がる素振りも見せないってどうよ)とか、勘違いものにしては多少気になる点もありますが。
どこまでも明るくお気楽。手軽におつまみ感覚で読めるあたりがよろしいかと。
No.6366 (読書)


 2014年11月17日の読書
2014年11月17日(Mon) 
本日の初読図書:
4569810136桜ほうさら
宮部 みゆき
PHP研究所 2013-02-27

by G-Tools
上総国搗根藩で代々小納戸役を務める古橋家。次男の笙之介は、父親に似て温和で学問を好んでおり、武張った者を良しとする藩の気風からは浮いたところがあった。剣術に秀でた兄 勝之介や、悍馬と呼ばれる気の強い母 里江なども、父や笙之介を惰弱と呼んで見下しているところがある。
そんな父 宗左右衛門に、賄賂の疑いが掛かった。証拠となったのはまったく身に覚えのない、しかし父本人でさえ自身のものとしか思えない手跡の書簡で。結局、父は自ら腹を切り、古橋家は廃絶が決まった。だが里江は諦めきれないようで、笙之介を呼びつけ江戸へ向かうように命じた。江戸留守居役の坂埼重秀は、里江が最初に縁付いた夫の叔父で、何かと親身になってくれている。坂埼にとりなしてもらい、古橋家の再興を ―― ひいては勝之介の将来を明るいものに ―― するべきなのだとそう主張する。
だが彼女の言うことは机上の空論だった。そんなことは無理だと言って聞かせても、けしてその耳には届かない。やってみせ、失敗しなければ判らないのだとため息をつく笙之介だったが、周囲にはまだ別の思惑があった。ことを秘密裏に運んでいると思っているのは、里江ばかり。笙之介の師匠である佐伯は、一度遠くへ離れて冷静になってみるのもいいだろうと言ってくれた。そして江戸留守居役の坂埼重秀 ―― 東谷は、また驚くことを笙之介に告げる。
宗左右衛門は確かに無実の罪であり、あれは作り出された冤罪であった。証拠となった書簡は、他人の手跡を真似ることができる代書屋よって捏造されたもの。もともとは賄賂を送った側とされる御用達道具屋「波野千」の跡目争いから端を発した事件で、宗左右衛門はただ側杖を食っただけなのだと。
さらに東谷は語る。そのような精巧な偽書簡を作ることができる代書屋と家中の誰かが繋がっているとなると、これは大問題である。何故なら現在の搗根藩当主は愚昧ではないがけして聡明でもなかったからだ。まもなく跡取りを選ばねばならないその時に、正妻の子と側室の子と、どちらを選ぶかで迷うことは目に見えている。そこで先代藩主はそのことについて死ぬ前に遺言状をしたためていたのだが、そこに選ばれなかった方から偽の遺言状など持ち出してこられては、混乱が起きるのは必至だった。
本人にも判らぬよう手跡を真似られる、そんな特殊な技能を持つ余所者を、搗根藩で匿うのは目立ちすぎる。だから代書屋は必ず江戸にいるはずだ。そこで東谷は笙之介にその代書屋を見つけよと命じる。笙之介にとってその偽文書作りは父の仇なのだから、その手で見つけ出し、そうして内紛の根を未然に断ち切ってみせよ、と。
かくして笙之介は代書屋と同じ世界、すなわち江戸で文書や書物に関わる仕事を持ち、それらしき人物を探すことになった。深川の貧乏長屋富勘に寝起きし、書物問屋村田屋から写本の仕事を請け負って表向きの生業とする。そうして暮らしてゆくうちに、人探しをしている侍から不思議な符丁の解読を頼まれたり、村田家ゆかりの店から娘が拐かされた件に首を突っ込んでみたりと、様々な事件に関わる羽目になって……

お正月特番を機に図書館で予約して、はや一年近く。ようやく順番が回ってきました。ドラマの方はまだ録画して積んだままです(笑)
最初は弁当箱並みの厚さ(605P)に圧倒されましたが、読み始めてみたら最初こそちょっとしんどかったものの、笙之介さんの事情が飲み込めたあたりからは、案外するすると読めてしまいました。
全四話の中編を通して、覚えのない罪を着せられ取り潰された古橋家の賄賂事件の真相を探りつつ、いずれ起こるであろう主家のお家騒動を阻止するための活動を笙之介さんがしていく訳なんですが……ぶっちゃけネタバレますと、最終的には笙之介、ずっと蚊帳の外(苦笑)
裏ではあの人とかこの人とかがそれぞれの情報を握って暗躍していたり、気を揉んでいたりするのを、笙之介は全然気が付かないまま。かなり終わり近くになるまで、ある意味無駄な努力を続けているというか。
……いやまあ、そうやっていろいろと頑張ることによって培った他人様との縁、暖かな『絆』があったからこそ、彼は『九分方の瀬戸際』から帰ってこれたのでしょうが。

けれどもしも、東谷様が笙之介の母親に思い入れを持っていなかったならば。そう思うと、彼は生まれながらにして幸運だったんだなあとも思ってしまったり。
まあ、まったく同じ条件でありながら、自らの意志ですべての救いの手を振り払ってしまった勝之介のことを思えば、やはり笙之介さんが笙之介さんだったからこその、この結末なのでしょうが。

宮部さんのお話にしては、ドロドロした部分は存在するけれど深くは語られず、全体的におっとりとした雰囲気の読後感でした。

過去に執着し捕らわれることなく、今ある状況の中で今できるように、精一杯でものびのびと自由に生きていこう。
結局のところ、これはそういうお話だったのかな、と思いました。
No.6369 (読書)


 ようやく見た
2014年11月18日(Tue) 
今年のお正月特番で放送された、ドラマ「桜ほうさら」。原作をようやく読めたので、さっそく積録から引っ張り出してきました。

■正月時代劇「桜ほうさら」|NHKオンライン
 http://www.nhk.or.jp/drama/housara/

主役の笙之介さんは玉木宏。印象的には悪くありませんが、ちょっと歳を取り過ぎかなあと思いました。
あとたった二ヶ月で、月代があんなに伸びるのはさすがに無理があるんじゃないかとか(笑)
村田屋治兵衛が六角精児だったのは、意外といい感じ。東谷さまが北大路欣也なのは、もう流石の貫禄ですね。
まあ、全体的に年齢高めだったことを除けば、キャスティングに大きな不満はありませんでした。衣装や小物、画面処理などもこれといって違和感はなく。和香ちゃんの「それ御高祖頭巾ちゃう」以外は、むしろ長屋のこっ汚さが想像以上だったり、桜が実に美しかったりと、期待を上まわる出来だったかと。
ただ問題は、肝心のストーリーというか。
私はかなり早いうちに「これは二次創作。あくまで原作とは別物」と割りきって楽しく視聴しましたが、母などは「ここはこうじゃない、ここも違う。これじゃ台無しじゃない」とか文句つけまくって、途中離脱しちゃいました。

なんというかそれぞれの場面、台詞や行動はそこそこ忠実に取り上げているのに、エピソードの順番が入れ替えられていることで、それぞれの心の動きや裏に隠された陰謀などが、全然違った流れになっています。
特に東谷様なんて、あれはあれで渋格良いけど、原作の根本を成していた『情』ってもんが、綺麗さっぱりなくなってたもんなあ……

おまけにあれだけのページ数を1時間半に収めるため、笙之介が奔走させられる日常の事件サイドをばっさり全部カット。謎の代書屋を追う流れと、和香さんとの交流だけが残されて、そこに何故か早々に登場してしまった押込御免郎さんとの友情が入ってきたりとかして(苦笑)
あれじゃあなんで長屋の人達や村田屋さんが、あんなに笙之介さんに親身になってくれるのかが、今ひとつ謎になっちゃうんじゃないかなあ、と。
村田家さんなんて暗い過去もなく普通に良い人になっちゃってたし、長屋の人達は十把一絡げだし。

しかし原作を忘れ、ひとつの独立したお話として見た場合、これはこれでアリだったと思います。
兄 勝之介のキャラクターは薄くなってしまったというか、叱責されて泣いてあっさりフェードアウトかよとも思いましたが、代わりに御免郎さんの方がしっかり描写されていました。おそらくは辛い過去を持ち、ひねたところもあったけれど、それでもそんな彼が笙之介と出会い、彼に作品を手直しされることで激高しつつも感じ入るものを持った。そうしてそれ故に笙之介を罵倒し、死んだ宗右衛門を侮辱し、それでも重要な手がかりを残して ―― 最期まで、笙之介が書き改めた物語を懐の中に持ち歩き続けた。
そしてそんな彼との間に通じるものが確かにあったからこそ、笙之介は東谷様から提示された仕官の道を蹴り、自ら江戸の町で暮らしてゆくことを選ぶ。
東谷様は江戸留守居役として、お家のため時にその手を汚す。それは紛れもなく彼なりの正義。
そして笙之介は笙之介なりの正義を貫くべく、自身の意志で道を選択する。
周囲から守られ、いわば流され、与えられた環境の中でそれなりの幸せを見つけた原作の笙之介とは、また違った方向での格好良さがありました。
……ちゃんと、自分の力で事件の解決に貢献してましたしね(苦笑)

判りやすい格好良さ、男の友情や恋模様、前向きに生きる爽快なラストを楽しみたいのであればドラマ版を。
人の心の複雑さや、単純には割り切れないあれこれ。様々な人々と交流していく中での人情話や、のったりした読後感を楽しみたいのであれば原作版を。

そんなふうに楽しみ分ければ良いのかなあと思いました。
No.6374 (映像)


 2014年11月20日の読書
2014年11月20日(Thr) 
本日の初読図書:
440354200X仮面教師SJ (7) (ウィングス文庫)
麻城 ゆう 道原 かつみ
新書館 2014-06-07

by G-Tools
シリーズ最終巻。
そして1986年に本編マンガ「JOEKR」がWingsに掲載されてから、28年にわたって続いてきた特捜司法官シリーズそのものの、完結作とのことです。
私が本編のマンガを読み始めたのは、既に「少し古い作品」として、本屋さんに単行本が並んでいる頃合いでした。それからしばらくして、ぽつりぽつりと単発で作品が発表され……それでももう、これは未完のまま消えて行くのだろうと思われた頃に、不死鳥のように復活したと思ったら、見事に風呂敷を畳んで完結。ジョーカーとリィンの関係は、もう涙無しには読めないものでしたっけ。
その間にスピンオフ小説として、作中のドラマ「特捜司法官S−A」の主演俳優とスペードエースを軸にした作品が二冊出版され、そちらも読切連作だしこれだけで終わるかと思ったら、タイトルに「新」の文字を加えたものが、全10冊。こちらもきっちりきれいに終わってくれました。
それから間をおかずに連載を始めたのが、この「仮面教師SJ」シリーズ。
これまでの一連の作品から、時間をさかのぼること20年前後。
まだ特捜司法官という制度が確立しきっていない時代で、これまでのように特捜司法官と協力体制を取るでなく、多少非合法ではあるけれどあくまで一般人の立場から事件に関わっていく主人公というスタンスのお話でした。
事件の裏側には特捜司法官が暗躍している『らしい』。けれどそれが誰なのか、事件の詳しい真相はどうだったのか。主役である十蔵は知ることができずにモヤモヤが続けます。そういう意味では、SF要素やアクションよりも、ミステリ的なテイストが強めだったのではないでしょうか。
最後の巻で怒濤のように様々な情報が畳みかけられるのは、この方の作品に良くあることですが、やー、新事実につぐ新事実で、今回も盛りだくさんでした。
ショータの過去や、スナに隠されていた驚くべき秘密。
そしてずっと行方不明の凶悪犯罪者として扱われていた、十蔵の父親の登場とその意外なキャラクター。
笹蔵一族と特捜司法局との、予想もできなかった関係。
そしてそして何よりも驚くべき、ショータの未来と十蔵の父親が現在やっている『仕事』。

まさかこの物語が……十蔵とその父親の行動が、『そこ』へと繋がり、ぐるりと輪が閉じて『JOKER』へ戻ってゆくとは。
まさに唸らせられました。さすが麻城さんです(しみじみ)

……しかしそう考えると、この時点ではジョーカーもサムもクイーンも、まだ生まれていないかちょうど訓練中の『あの子たち』なんだろうなあ。
一応今回の作中ではスペードのクイーンが登場しましたけど、おそらく彼女は『前の』なんでしょう。
ってことは、サムもクイーンもジョーカーも、意外と若い? ってか、外見年齢と実年齢がほぼ同じなのかな。訓練を終えて働き始めたのは早いのかもしれないけど……でもサムさんは、一度も整形してないって言ってたし、やっぱりS−Aの段階で二十代半ばから後半ぐらいなのか。

ともあれ。
最後の最後に書き下ろされた巻末後日談では、女運が悪かったクラクラ先生にも秘密を共有できる彼女ができそうで、そちらもついニマニマしてしまったりとか。ショータが相変わらず元気そうかつ、ちょっと立場が良くなってるみたいで安心したりとか。

……麻城さんの作品は、時に非常に容赦のない展開を見せることがあるので、今回はあらゆる点でほっこりできる終わり方をしてくれて、本当に良かったです。

ああ、でもこれで今度こそ本当に、この世界観ともお別れかあ。
月光界にまつわるお話は、まだ新しい作品を期待できるかしら……?
No.6379 (読書)


 2014年11月21日の読書
2014年11月21日(Fri) 
本日の初読図書:
「これが全てのプロローグ(小説家になろう)」〜終章
 http://ncode.syosetu.com/n0094s/

日本で事故死して異世界の貴族に生まれ変わり、三歳で読み書きを覚え五歳で魔術を習得、七歳で師からもう教えることはないと言われ、八歳で羊皮紙に代わる画期的な植物紙を開発して製紙業界に革命を起こす。そして十歳になる頃には、異例の若さで重要な政務に携わることになった、チートな異世界転生者……の、お兄さんが主役のお話。
周囲からは出来の良い弟に仕事を押しつけるボンクラ馬鹿貴族と思わせておいて、その実はチート無しでの真正ハイスペック(笑)
元平和ボケ日本人の弟と金儲け大好きな父親が考えなしにやらかす急激な改革で、領民が職を失ったり経済が混乱しないよう、裏で奔走しております。
周囲に悪評価を与えるように振る舞っているのは、彼なりに叶えたい夢があるからで、けして自己犠牲に酔っているわけでもありません。むしろ腹黒系vv
皇太子だけは彼が賢明で有能なことを知っていて、人目のないところでは親しげにやりとりするのが、またポイント高いです。

転生チートを裏返してみた、その発想が面白いこのお話。
目次ページでは「未完結のまま〜〜」表示が出ているし、作者さまも続きを書く意志があるとはおっしゃっていますが、現在の部分だけでもすっきり短くまとまっていて、充分楽しめると思います。
No.6380 (読書)


 自炊読書に便利な小技
2014年11月21日(Fri) 
最近スマホで自炊小説データを読みたい場合には、PDFをJPG変換し、余白をトリミング&ある程度画像縮小してからZIP圧縮 → スマホの MHENV_Analyzer で文字を解析して再配置することで、容量を小さくしつつ読みやすく加工していたりします。
そんな作業中に見つけた小技を二つ。

まずは Acrobat をお持ちでない方でも、PDFをJPG画像に変換できるオンラインサービスを見つけました。

■PDF形式のファイルをJPG形式に変換することは可能でしょうか? - Yahoo!知恵袋
 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1374354038

> ■Convert Files - free online file converter
> http://www.convertfiles.com/
>
> 使い方
>
> ,泙此Choose a local file:の右横にあるBrowseボタンをクリックします
>
> ▲妊好トップやマイドキュメントにあるPDFファイルを選び、アップロードします。
>
> Output formatの右横の▼マークをクリックして変換したいJPG形式等を選びます。
>
> Send a download link to my email (optional)の□にはレ点を入れず、Convertボタンを押します。
>
> ナ儡垢できたらPlease download your converted file:の右横のhttpから始まるアドレスを右クリックで対象ファイルを保存で完了です。

ページ数が多いと、フリーズしてんのか?? と思うぐらい変換とダウンロードに時間がかかりましたが、それでもオンライン上のサービスなので、パソコンに余計なソフトをインストールせずに済むのがありがたいです。

あと、圧縮済みのZIPにファイルを追加したい場合、わざわざいったん解凍 → 追加 → 再圧縮という作業を経なくとも、圧縮したままエクスプローラーで中を開く → そのままコピー貼り付け、でOKなんですね。今まで知りませんでした。

せっかくだから忘れないようにメモメモ。
No.6381 (電脳)


 2014年11月22日の読書
2014年11月22日(Sat) 
本日の初読図書:
「天井裏からどうぞよろしく(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n6313bi/

先代皇帝の度重なる遠征により、百の属国を抱える大帝国。
先代の皇帝は日々を戦に明け暮れたが、世を平定すると早々に年若い息子へと王位を譲り渡してしまった。幼き頃から神童の異名をとったその息子は、属国にも自治を認め、帝国の支配は表面上は平和的なものになっている。
しかし属国側にとって、帝国の動向は気になるところだった。特に年若い皇帝など、若さゆえの気まぐれで、いつまたおかしな政策を打ち出すか知れたものではない。
そこで各国は諜報活動に力を入れ、特に帝国の中枢 ―― 皇帝陛下の執務室などは、多くの諜報員によって監視されていた。
……もはやそれは、各国諜報員の溜まり場にも等しく。
もと孤児であった少女もまた見習い諜報員として、一年ほど前から天井裏に出入りし、様々な国の諜報員達からチビと呼ばれて可愛がられていた。互いに顔も名前も所属も判らない。それでも同じ立場にある彼らは、どこか和気あいあいとした時を天井裏で過ごしている。
しかし間もなく成人を迎える彼女は、その日を限りに異動が決まっていた。城での諜報活動から外れ、半年ほど床の技術を学んだのち、別の監視対象である貴族の愛人になることになったのである。
少女の義父を含めた諜報員達はみな、年若い少女の未来に心を痛め、寂しくなると別れを惜しんだが……中に一人、もっとも年若い青年だけは、覆面の下で口を引き結び、鋭い目をして宙を睨んでいて ――

「名も無き者達の幸福」とシリーズタイトルがついた、名無しキャラクター達のささやかな幸せ短編集の第一話。読切短編です。
アルファポリスさんでWEBコミックが公開されていたのを読んで、けっこう面白かったので元の話も読んでみました。

■天井裏からどうぞよろしく | アルファポリス - 電網浮遊都市 -
 http://www.alphapolis.co.jp/manga/viewOpening/392000086

一話目で短編のお話がすべて語られていますが、どうやらこれ、大幅書き下ろしで書籍化され、既に二巻目も出ているようです。どうしよっかなあ。買おうかなあ。

4434185993天井裏からどうぞよろしく (レジーナブックス)
くる ひなた
アルファポリス 2013-11

by G-Tools

短編故の、いろいろ削りまくったスピード感も魅力なので、悩むところではあります。
No.6384 (読書)


 2014年11月25日の読書
2014年11月24日(Mon) 
B00PRWTSL8召しませMoney!4 ヘレネの涙
TERU
2014-11-17

by G-Tools
フランスにも拠点を構えることになった圭介達。田島らしからぬタイトなスケジュールの要求に、屋敷を整備するメイドやタイガーチーム達は忙殺されていた。
一方で、長らく失われていた歴史的なブルーダイヤ「ヘレネの涙」がルーヴル美術館に寄贈された記念パーティーに、圭介と麻里は招かれていた。だが圭介は同じ夜に開かれるオークションにモネの睡蓮が出品されると聞いて、麻里を先に会場に行かせ、自分はオークションに参加してしまう。そしてちょっとした騒ぎは起こしたものの、なんとかパーティーの開始時間に間に合うようオークションを後にしたのだが、ルーヴル美術館に向かう途中で何者かの襲撃を受けた。タイガー・チームの警護をかいくぐり、マシンガンで撃とうとしてきたのは、紛れも無くプロの仕業だった。
それでもどうにか無傷で切り抜けた圭介は、スケジュールの変更を拒否しパーティーへと向かう。しかしそこでも大きな事件が待ち受けていた。モナリザの展示室を訪れた圭介と麻里の前に、一人の男が姿を現したのだ。彼の名は桐島六郎。幼い麻里を捨てて母とともに姿を消した父親、統一郎の末の弟であり、かつて麻里に対し桐島家の面汚しとまで言ってのけた男だった。
当然、麻里は六郎を嫌いぬいており、いったい何の目的で現れたのかと詰問する。そんな麻里を嘲るようにモナリザを盗んでみせろと提案した六郎は、圭介が断ると他の客達が展示室に入ってくるのを見計らい、明かりを落とした。そしてわずか十秒後。展示室の明かりがついた時には、壁にかかっていたすべての絵画が跡形もなく消えていたのである。ただひとつ、モナリザ一枚を残して……
果たして六郎は、どんな手段を使って絵画を盗み出したのか。圭介は頭を悩ませるがまったく想像も付けられない。
一方で圭介を襲ったのがロシアン・マフィアだと予想したタイガーチームは、過去の人脈を頼りにロシアの元参謀次長ユーリー・マカロフへと接触した。彼もまたかつて麻里の祖父 重三郎と交流があり、圭介の話術でなんとか協力を取り付けることができた。しかし交換条件としてエルミタージュ美術館の館長の頼みを聞くことになる。それは圭介を狙ったロシアン・マフィア、ムソルグスキーが各国から盗み出しエルミタージュに隠させている名画を、表の世界へ戻すべくパリまで輸送してほしいという依頼だった。パリでの手はずはすべて整っている。圭介達はただ、見つからぬように絵画を運び、ロイズ保険会社の社長へ引き渡してくれれば良いのだと。
だがそれは、複雑に絡み合った陰謀の一端であった。
かつて「ヘレネの涙」をきっかけに、イギリス王家と桐島家を巻き込んで起きた悲劇。イギリス王家はそのスキャンダルを隠蔽しようとし、六郎は暴き立てようとする。桐島家に対抗するべく、イギリスは圭介らを抱き込みにかかり、六郎もまた復讐に力を貸せと様々な方法で圧力をかけてくる。
信頼していた田島の身柄は六郎に奪われた。しかも田島もまた、麻里に両親のことで長年嘘をつき続けていたことが判明する。いったい誰が本当のことを言っていて、誰が嘘を言っているのか。誰が敵で誰が味方なのか。あらゆることが信用できなくなってゆく中で、圭介らはイギリス政府の傘下に入り社会的生命を保つか、あるいは六郎に与し裏の世界での自由を得るかの二者択一を迫られて……

ほんのつい一月ほど前、なんとなーくその気になって、三巻「メトロポリタン・ブルー」を読み返していたのは、何かの予感ででもあったのか。
先週、いきなり四巻「ヘレネの涙」が発売されたので、嬉々としてポチッとな。
もともとは1巻目がWEBで無料公開されていた頃、続編のパイロット版として途中までUPされていた作品でして、いつか完成品が読めるようになるのを待ち望んでいました。
いざ読んでみれば、以前に公開されていた部分でさえ、相当の改変や書き足しが盛り込まれています。しかもそこからが長い!
作者様のブログによれば、なんでも56万字超。原稿用紙で1800枚ぐらいあるそうなので、580円ならむしろ格安と言えるでしょうvv<普通の文庫換算でざっと三〜五冊

前回のメトロポリタン〜は、ちょっと彼らにしては話のスケールが小さいなあとは思っていたのです。
ですが今回を読んで判りました。あのお話はこの四巻目の前座でしかなかったのだと!
前回は作中時間がわずか24時間、舞台はほぼ美術館を動かず、物々しく登場したロシアン・マフィアも結局は噂話だけで、微妙に肩透かし感がありました。今回はそのロシアン・マフィアががっつり関わってまいります。作中時間も一年半ぐらいあって、圭介らとタイガーチームはアメリカ・イギリス・フランス・ロシアと縦横無尽に動き回ります。あまりにめまぐるしくって、「えっと、バッキンガム宮殿ってフランスだっけ、イギリスだっけ?」「ルーブル? メトロポリタン?? エルミタージュ???」とかなりました(苦笑)

そして何よりも、前半のハラハラ・ドキドキ感。
今回は圭介達をかつてない危機が襲います。一巻でお祖母様に生命を狙われた時も、危機といえば危機でした。しかし今となっては世界的なセレブリティとなった圭介らが、今度は社会的に抹殺される ―― あの瞬間ときたらもう(><)
っていうかね、もうね、あの依頼をされた瞬間から、そんなに簡単に信じていいのかと。裏をとってから動けよ、あああああ!! ともう、スマホを握りながら身悶えしまくり。むしろ決定的瞬間が来た時には、ああやっぱり……とむしろちょっとホッとしたぐらいで。くっそう、作者さんに踊らされてる(悔)

そしてようやく半分まで読み進んで、圭介の逆襲のターンに入ってからは、今度は別の意味でワクワク・ドキドキ。いったいどんなすごい計画を見せてくれるのだろうと、心が弾みます。
しかし今度はこれまでのように、圭介側の一方的な展開とは行きません。
計算違いに、トラブルにつぐトラブルはいつものこととしても、今回は六郎おじ様が控えているのです。
重三郎お祖父様を彷彿とさせる天才的な閃きを持つ圭介も、まだこの世界に入ってわずか三年。対して六郎おじ様は生まれた時から桐島家の人間。しかも十年以上前から今回のための計画を練り、あらゆる手配りをしてきた男です。
どれだけ裏をかいたと思っても、それを読んで更に上をいく六郎おじ様に翻弄されまくる圭介サイド。
ようやくこぎつけたマフィアの逮捕後も、次々と明らかにされる新事実に、いったい六郎はどれだけの情報を持ち、人脈を繋ぎ、そして操作してきたのかと……

いやもうほんとね、六郎おじ様すごすぎます。その彼をしてなお届かないと言わしめる、重三郎お祖父様と、今もなお尊敬し続ける統一郎兄(麻里の父親)は、どれほどの存在であったのか。

でもでもですね。
圭介の人タラシぶりは、相変わらずの安定ぶりなのですよvv
まさかあの人を、という人まで味方に引き込んで、いつものように突き進んでいきます。
そして最後はきれいに気持ちよく、すべてが収まるところへ収まってくれるのが、召しませクォリティ。
だからこのシリーズは安心して読めるのさ♪

圭介と麻里は今回も多くの資産と、それ以上の人脈を手に入れました。
そして今まで避けてきたものに対して、向き合う覚悟もまた。

なにを書いてもネタバレになってしまいそうなので、あまり多くを語ることはできませんが、今回も非常に面白く満足できる作品だったとだけ。
まさにボリュームも内容もお腹いっぱいです。

あ、それとこの話を読む前に、「メトロポリタン・ブルー」は読み返しておさらいしておいたほうがいいかもしれません。いえ作中でちゃんと、それとなく関連情報の説明は入っているのですけれどね。
……あるいはこっちを読んだ後に二巻「モネの誘惑」も合わせて読み返したほうが、あそこはこうだったのか、と目から鱗が落ちるかも(笑)
No.6387 (読書)


 2014年11月27日の読書
2014年11月27日(Thr) 
本日の初読図書:
448802727Xいつもが消えた日 (お蔦さんの神楽坂日記)
西條 奈加
東京創元社 2013-11-28

by G-Tools
元芸者で今でも粋な祖母お蔦さんと、神楽坂で二人暮らしをしている男子中学生、滝本望。
滝本家では炊事は男の担当で、その日も望は美味しい夕食を作って友人達に振舞っていた。同級生でサッカー部の彰彦と、その後輩でエースストライカーの金森有斗を家に招いて勉強会をしたのである。
いつものようにサッカー談義で盛り上がり、食事に舌鼓をうって、夜の八時にはお開きとなった。有斗の家は同じ町内なので途中で別れ、望は彰彦を駅まで送っていった。ところがしばらく立ち話をしていた二人を、別れたばかりの有斗が真っ青になって追いかけてくる。
なんでも自宅に帰っても真っ暗で、両親も姉も見当たらないというのだ。それどころかリビングが血痕があり、壁にも血しぶきが散っているという。
怯える有斗と共に彼の家を確認しに行った望と彰彦は、ひとまずお蔦さんへと連絡をとった。お蔦さんは警察にはこちらから連絡するから、すぐにその場を離れるように指示する。もしも『犯人』が近くにいたら、三人の身も危険だからだと。
そうして有斗はひとまず滝本家で預かることになり、警察の捜査が始まった。
最初は家族の誰かが大怪我をして、そのため急遽全員で病院に向かったとも考えられたが、それにしては家族の誰とも連絡が取れないし、近隣の病院で該当する緊急搬送も見つからなかった。あるいは家族の誰かが他の家族を殺害し、逃走しているのではないか。有斗の姉はキャバクラでバイトをしており、そのとき目をつけてきたストーカーが怪しいとか、有斗の家は両親の仲が冷えきっていて互いの愛人が何かをしたのではとか、裕福そうに見えて実は借金まみれだった金森家に何らかのトラブルが起きたのではとか、世間は無責任な憶測でニュースやネットを賑わせる。
やがて学校でも有斗を誹謗する人間が現れ始め、望は懸命に後輩を支えようとした。だがリビングに残されていた血痕のDNAが有斗の家族の誰とも一致しないことが判明し、世論は一気に姿を消した金森家の人々が、被害者ではなく加害者であるという方向に傾いて ――

無花果の実のなるころに」に続く、お蔦さんと望くんの神楽坂謎解き物語。
今回は短篇集ではなく、一冊一話の長編作品でした。事件の内容も、がっつり殺人事件なうえにヤクザやヤミ金が関わってきて、かなりシリアスです。
ただ語る視点が中学生なので、事件のドロドロした部分にはあんまりフォーカスを当てず、突然非日常に巻き込まれた少年たちが、懸命に日々を過ごそうとしている点に重きが置かれているように思いました。
前回活躍した彰彦や洋平、楓ちゃんにミドなども力を貸してくれて、彼らは子供なりに頑張ります。
謎を解くのは大人の役目。子供は子供で、勉強に部活に家事にと、できることをできるようにやっていく。そんな姿が、事件に関わる大人達の心を溶かしていくのです。

ああそれにしても、今回も望くんは格好良かった。
普段は温和で、料理上手な男の「子」なのに、ここぞというところでは決めてくれます。本気で怒ると、頭の中が逆に冷たくなる望くん。けして声を荒らげたり暴力に訴えたりはせず、さりとて相手に飲まれるでもなく、ビシッと言うべき事を言う。やあ、将来有望ですねえ(にやにや)

事件の内容的にはかなりハードなエピソードも多いのですけれど、子供たちがいたから、そして彼らには未来があるからと考えると、読後感は悪くありません。
人生経験のたっぷりある、酸いも甘いも噛み分けてきた大人のお蔦さんと、純粋で真っ直ぐで未来への希望を持っている望くん。この二人が揃っているからこその気持ちよさなんじゃないかなあと思いました。
No.6390 (読書)


 更新情報(2014年11月28日)
2014年11月28日(Fri) 
閲覧室の「その他書架」で、著作権切れテキスト「不思議の鈴(コナン・ドイル著、三津木春影 翻案)」五章目をUPしました。

ついにあの薔薇の語りが出てきました。
原作でもかなり唐突だった「ばらの花って、きれいなもんですね」から続く一連の発言、この翻案でもかなり忠実に唐突です(笑)
よくぞこの訳判らない言動を、省略せずに訳したものだと、その点で尊敬に値するかと。
例の「七つの手掛りは得ました」もちゃんと入ってますしvv
あと帰りの汽車の中から学校を見て未来の希望を見る場面や、「これより面白い事件があるならそっち行けば」→「今は一番暇な時だからつきあうよ」→ 保村さん嬉しそう、というお約束のツンデレやりとりなど、今回はファンにとっては見どころが多い回です。
No.6392 (更新)


 テキスト資料は貴重です
2014年11月28日(Fri) 
以前にもメモした気がしますが、かつて多くの著作権切れテキストを配布していたのに、突然消滅してしまったサイト「物語倶楽部」のデータを、再配布しているサイトさんのURL。
何故かサイトトップからはリンクが貼られていないようなので、該当ページの直アドレスです。

■物語倶楽部
 http://books.salterrae.net/osawa/

各HTMLファイルは、エンコードを UTF-8 にしないと文字化けする可能性があるので要注意。

物語倶楽部さんが実際に運営されていた頃は、覗いたことはあったけれど、古い文章を読むのにはまだ馴染みがなかったんですよねえ(しみじみ)
いざ閉鎖されてから、ファンの間でサルベージファイルがやりとりされているのを見て、「十五少年」と「巌窟王」を入手したのが、私が明治大正時代の翻案にハマるきっかけだったかもしれません。

特に黒岩涙香作品を楽しめるようになったのは、ネットの力が大きいですね。
涙香さんの各作品を現代語訳してくださっている、トシ様のサイトにも感謝感謝です。

■トシのウォーキング&晴耕雨読
 http://www.tosi-w.com/

うちで公開している著作権切れテキストも、一人でも多くの方にそういった新たな世界への扉を開くきっかけになれたらなあ、なんて思ったり。
No.6394 (日常)


 2014年11月29日の読書
2014年11月29日(Sat) 
本日の初読図書:
4488025293ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)
近藤 史恵
東京創元社 2008-06

by G-Tools
料理が趣味の常連客。しかし彼のスキレット(鍋)は、何故きちんと手入れを続けてもすぐに錆びるのか。
肉も砂糖も一切使わないで欲しい。そうリクエストした女性客は三舟シェフの料理にいたく満足して帰った。しかし彼女達の話をきいた料理人二人が、複雑な表情をしたその理由は。
パ・マルのオーナー小倉が、新しく出店することになったパン屋。パン職人の中江はフランス風の本格パンを焼くと張り切っていたのに、急に姿を消したのはどうしてか。
来ると必ずブイヤベースを頼む若い女性客。三舟が彼女のことを気になると言い出して、ギャルソンの高槻とソムリエの金子は浮足立つが……
十年ごしの片思いの末、ようやく結ばれた恋人に突然出て行かれた青年は、ひどく荒れていた。彼の話を聞いたフレンチレストランの店員は、温かいスープを出してくれる。
海外暮らしのさなか恋人にひどい仕打ちを受けた女性は、やけのように贅沢な外食を繰り返した。そしてフランスの小さな町のレストランで、たまたま相席になった料理人見習いの日本人男性に、愚痴を聞いてもらうことになって……
貧乏旅行の果てにフランスへたどり着いた青年は、風邪をひいて倒れた所を安ホテルで同室になった日本人に味噌汁と卵粥をふるまってもらい回復する。そしてフランスでは風邪の時の定番だという、ヴァン・ショーというホットワインを飲みに出かけた。だがうまいと評判の屋台のおばさんは、もうこれまでのレシピをやめたと言っていて……

フレンチレストランを舞台にした短篇集「タルト・タタンの夢」の続編。
今回も日常の謎をメインに200Pで七本と、さくさくと話が進んでいきます。
謎だけ解いて結果どうなったかは語られなかったり、あとは当事者たちに任せるという一歩引いたスタンスもこれまで通り。
ただ七作中後半の三作は、語り手がギャルソンの高槻智行くんではなくゲストキャラでした。時系列も二作はパ・マルが開店するより前。
……さすがにレストランという限られた舞台では、ネタが尽きてきたのでしょうかね(苦笑)
でもこれまで謎だった三舟シェフの修行時代がかいま見えたり、一巻でキー・アイテムとして活躍していたヴァン・ショー(ホットワイン)の由来が語られたりと、番外編としては楽しいところ。
私はモブ視点もけっこう好きなので、たまにはこういう趣向も悪くないパ・マルです。
No.6395 (読書)


 2014年11月30日の読書
2014年11月30日(Sun) 
本日の初読図書:
「領主を継いだので好き勝手やってみた(小説家になろう)」〜領主を継いだので散財してやる
 http://ncode.syosetu.com/n0159ck/

武勇に長けた父親が死んだので、若くして領主を継いだボンクラ息子。
部屋でゴロゴロして娯楽小説を読むのと、美味しいものを食べることにしか興味のなかった彼は、よしこれで好き勝手に贅沢ができるぜ! と小躍りした。
そうして彼は美食を求めて領民たちを過酷な労働へと駆り立て、仕事を肩代わりさせるため子供をさらってきては自分に逆らわぬよう洗脳し、下女に手を付けて子供を産ませたりするのだが……

加筆修正版は連載中だし冗長になりそうなので、とりあえず二話で完結しているパイロット版の方をオススメ。
本人は悪役を目指して好き勝手に行動しているのに、結果として領民に慕われる善政を敷いた名君として語られるという、双方にとっての勘違いモノです。
いつも書いてますが、モブ視点も好きなので、こういうのも楽しいです。
No.6396 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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