よしなしことを、日々徒然に……
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 2016年03月13日の読書
2016年03月13日(Sun) 
本日の初読図書:
「悪役令嬢と占い師(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n9518da/

私はお約束のように事故で死亡し、乙女ゲームの世界に生まれ変わった。
誰かの身体を乗っ取った訳でもなく、主要キャラに転生した訳でもなく、ただ前世の姿形のまま草原に倒れていたのだ。そこがゲームの世界で、今はまだ開始前だということも理解したので、妹がプレイしていた時の記憶を頼りにエセ占い師を始めた。もっともたいていは相談事がメインで、本当に未来を教えることは、たまにしかしない。
そろそろゲーム開始となる頃合いだが、しかし登場人物達は貴族や騎士に王族達なので、こんな庶民派占い師の元に訪れることはないだろう。せいぜい新聞や噂などで楽しむしかなさそうだと、そう思っていた。
そんな平和な日々に変化をもたらしたのは、豪華なドレスを身にまとった女性。
巻き髪にした黒髪とルビーのような目をして、高圧的な雰囲気をまとっている彼女は、閉店時間にも関わらず立派な馬車で乗り付け、傲慢な物言いを向けてきた。
「今からよろしいかしら?」
「大変申し訳ないんですが、もう営業時間は終わってて……。また明日来てくれますか?」
「私を誰だか知っての発言ですの? 王太子の婚約者、マリエルナ・レッドストルを知らないとは言わせませんわ」
その名に、私は思わず興奮した。ああ! そうだ! ゲームに登場する悪役ポジションの美人だ! 立ち絵まんまだ! なるほど、二次元をリアルにするとこうなるのか!!
感動のあまりしばらく相手の言葉を無視してしまったので、さすがに可哀想だと少し情報を教えてあげることにした。
ゲームのヒロインのために、婚約者である王太子が彼女の誕生会を欠席すると告げたところ、マリエルナは予想通りキレたあげく、早々に立ち去っていった。
そして数日後。再びやってきたマリエルナは、見違えるほどにしおれて俯いていた。ゲームではいつも強気な彼女が、こんなに弱っている。なんだかんだでやはり年頃の女の子なのだろう。
泣きじゃくるマリエルナを慰め、相談に乗ってあげる。
ゲームが通常通りに進めば、たとえヒロインが王太子以外を攻略対象に選んだとしても、マリエルナの反逆罪からの死亡エンドは変わらない。それほどに嫉妬に狂った彼女の暴走は徹底していたのだ。
しかし冷静になって、未来の王妃に相応しい聡明な態度を心がければ、未来は変わるかもしれない。ゲーム終盤に王太子がそんな感じのことを言っていたから、間違いないだろう。それにきちんと話をしてみれば、彼女は確かに高飛車ではあるかもしれないが、けして悪い人間ではなさそうだった。
嫌がらせはしないようにとか、ヒロインにも優しくしてやれとか、王太子の好みをリサーチして歩み寄りを見せろといったアドバイスをすると、マリエルナは輝くような笑顔を見せて帰っていった。
その後も彼女は幾度も相談にやってくる。どうやらヒロインは隠しキャラ以外のすべてを相手に、攻略を進めているようだ。マリエルナはひたむきに努力を重ねているが、あまり報われていないらしい。他の人間がやっている嫌がらせがマリエルナのせいになっており、王太子は半信半疑といった態度でいるのだという。
切なそうに訴えるその声には、もう傲慢さなどない。こんなにも頑張っている婚約者をなんとも思わないなど、王太子は何を考えているのか。
内心苛立たしく思いながら、私だけは彼女の味方だと力付け、送り出す。
それからしばらくマリエルナが来ない日が続き ―― そうしてある日、私は新聞で恐ろしい一文を目にした。
それは『エドガー王太子、マリエルナ公爵令嬢と婚約破棄』という見出しで……


読切短編。
お約束の乙女ゲーム悪役令嬢関係のお話と見せかけて、最後にどんでん返しが待っています(笑)
私はその情報からこの作品を知ったので、比較的早い内にオチが予想できてしまったのが、むしろもったいなかったです。
No.7456 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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