2016年02月11日の読書
2016年02月11日(Thr)
|
|
|
本日の初読図書: はい、さんざんここで話題にしてきた、金田一耕助のマンガ版アンソロジー、ようやく読めましたvv 収録作は、先日も書いた通り、
「不死蝶(長尾文子)」 146ページ 「迷路荘の怪人(長尾文子)」 52ページ 「悪霊島(JET)」 173ページ 「本陣殺人事件(JET)」 139ページ
です。 金田一耕助のコミカライズは数ありますが、その中でもJETさんと長尾文子さんの作品は、質・量ともに素晴らしいものがあると思うのですよ。 JETさんの作品は、金田一シリーズに対する愛が溢れんばかりに感じられ、アレンジ部分も「これならまあ」と納得でき、かつ、あの猟奇的でありながら美しい横溝世界の空気を見事に描き出しています。 いっぽうで長尾文子さんは、過分にしてつい最近まで知らなかったのですけれど、これがまたすごいんですよ。劇画っぽい特徴的な絵柄が雰囲気を出していることも素敵なんですが、それ以上にプロットが完璧です。改変がほとんどなく、削られている部分はあっても、余計なアレンジは一切ない実に忠実な話運び。 映画やテレビドラマなど様々な媒体でメディアミックスされている「八つ墓村」で、典子の存在をああまできっちり描いてくれた作品を、私は長尾版以外に見たことがありません。
しかしJET版は何度も単行本や文庫版などで出版され直しているというのに、長尾先生の作品は未だ単行本未収録のものも多く。 それでも「迷路荘の怪人」は、単行本「本陣殺人事件」に収録されていますが、こちらもすでに絶版で古本入手するしかない状態です。 そこへ持ってきての今回。 いわば「不死蝶」一作のためにこのコンビニ廉価版を購入した訳ですが、そこに悔いはありません。ここを逃したら、次はいつ読めるか……あるいはもしかしたら、二度と読めなくても不思議はないのですからして。
で、肝心の内容。 「迷路荘〜」については、↑の「本陣〜」の読書記録で触れているので、割愛。 ただもともとが短編作品であることもあり、短いページ数でも非常に綺麗にまとまっている印象です<原作短編バージョンは未読 あと、これは長編版でもそうだったんですが、珍しく金田一さんが犯人の自殺を未然に防いでるよ! と、改めて驚きました(笑) 金田一さんは、同情できる犯人に関しては、自殺をあえて見逃してるんじゃないかってのが私の個人的解釈なので……
そして未読だった「不死蝶」は、たいへん楽しませてもらいました。 実は細かい内容ほとんど忘れていて、ただ彼女が二役やってたってことだけ覚えてたんですが(苦笑) 本陣〜などで見られたギャグ調の演出は控えめで、金田一さんもかなりハンサムな印象。そしてそれだけに、終盤のやりとりと最後のページのオチが映えるんではないでしょうか。 「これが日本人のもつ愛情……自己犠牲なのです……わかりましたか」の台詞。 この言葉。ああ、そうだった。この話にはこれがあった! としみじみ思いました。
しかし「不死蝶」も「迷路荘〜」も、敷地内の洞窟に底なしの井戸があって、そこに身を投げた過去の殺人犯(冤罪)が、時をおいて帰ってきて復讐を!? そして真相を公にはせず、関係者の胸のうちにのみ……という話運びが共通していますね。なんでわざわざこの二つをチョイスしたんでしょう??
JETさんの方は、かなり初期に書かれた「本陣〜」と、比較的最近手がけられた「悪霊島」をこうして並べて読むと、かなり雰囲気が違ってきてる感じがしますね。「本陣〜」は、話的にも金田一さん最初の事件で、かなり貧相で情けないところが非常に『らしい』ところ。 一方で「悪霊島」は、作中年代も昭和42年と近代なところへもってきて、絵柄がだいぶ少女漫画よりになってきてるのが、好みが分かれそうなところかと。あと例によって、メインストーリーにあんまり関係ない磯川警部のあれこれは完全に割愛されてますし(苦笑)
さて、月末には長尾「悪魔の手毬唄」が手元に揃う予定ですし、あとはせめて長尾「獄門島」が読みたいなあ。「睡れる花嫁」と「鴉」ももちろん読みたいですけど、「獄門島」は別格なんです〜〜《o(><)o》
|
No.7401
(読書)
|
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
|
|
|