よしなしことを、日々徒然に……
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 2015年08月08日の読書
2015年08月08日(Sat) 
本日の初読図書:
「夜伽の国の月光姫(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n4138ck/

大陸でももっとも小さな国アークイラ王国。そこには二人の王女がいた。
第一王女アルエは聡明で心優しく、召使いに対しても尊大な態度を取らない立派な姫だ。しかし第二王女セレネはその存在自体を秘匿され、母である女王の手で古びた倉庫の一角に監禁されている。
何故なら彼女は、ひどく異質な存在だったからだ。
姉も母も金髪碧眼であるのに対し、セレネは全身にほくろ一つ無く、髪からつま先に至るまで、全身が透けるような白色。そして神の愛を一身に受けたかのごとき類稀な美貌に、ルビーをはめ込んだような双眸。未だわずかに八歳。蕾であるにもかかわらず、どれだけの大輪の花となるのか誰も予想できぬ、神秘的な美しさを備えていた。
しかも異質なのは、その外見ばかりではないのだ。生まれて間もない頃から、夜泣きもしなければ母に甘える素振りもしない。誰に教えられるでもなく、自分で服を畳んだり部屋を掃除したりする。おおよそ子供らしさというものを持たないくせに、それでいて言葉はまるでおぼつかなかった。まるで未開の国の人間のように、かろうじて片言で意思を伝える程度である。
その言動のちぐはぐさから、異常、奇怪、不気味と見なされ、彼女はわずか五歳にして忌み子として王宮の片隅へと封印されたのだった。
そんなセレネを気にかけるのは、姉のアルエただ一人。数日に一度、王族のみが解ける封印を解除してはセレネに会い、言葉を交わす。そうすることでアルエだけは、妹がたどたどしい会話能力とは裏腹な、聡明な知性と人を思いやる優しい気性を備えていると感じ取っていた。
そんなある日のこと、大陸最大の国家ヘリファルテ王国の第一王子ミラノが、見聞を広める旅の途中でアークイラ王国を訪問する。それを知ったアルエ王女は、彼と結婚して後ろ盾になってもらうことで発言権を増し、妹を開放しようと考えた。しかし訪れる先々で野心溢れる王侯貴族から姫を押し付けられることに辟易していたミラノ王子は、早々に席を立ってしまう。
しかし ―― 苛立ちを静めるため庭の奥へ分け入ったミラノ王子は、そこで運命の出会いをする。
素朴な野の花々に囲まれた泉のほとりで、月光を浴びながら祈りを捧げている、妖精のような純白の少女。その神秘的な光景に魅せられた彼は、少女が逃げ去っていったのちも事情を探り、彼女が虐げられた第二王女であることを知った。
あまりにも劣悪で哀れなその境遇に同情し、ミラノ王子は半ば強引とも言える手段でセレネの身柄をアークライア女王から譲り受ける。その代償として第一王女アルエを自国の最高学府へ留学させるという条件を飲まざるを得なかったが、聡明なアルエは事情を知ると恥じ入りながらも、妹を救ってくれたミラノ王子に深く感謝した。
後の世の歴史学者は語る。
永きにわたる栄華を誇るヘリファルテ王国が、もっとも輝いた時代。太陽王と呼ばれた偉大なる王ミラノ=ヘリファルテを影から支え、尽くした存在がいたのだと。「月光姫」と称される彼女、セレネ=アークイラは、地獄のような日々から己を救い出してくれた若き日のミラノを、命を賭けて守ると誓ったという。そして事実、彼女の存在がなければ、ヘリファルテ王家はまもなく衰退し、現在の発展は無かっただろうと伝えられていた。
しかし……歴史学者も、そして当時のセレネを知る人々も、誰一人として知らなかった事実が存在する。
セレネの中身は引きこもりで美少女好きの、愚劣な変態おっさんだったのだ ――


TSかつ勘違い系の異世界転生モノ。完結済。
書籍化が決まっているそうですが、削除やダイジェスト化はされないとのこと。出版予定は10月25日です。
やー、なんというか、清々しいまでにすれ違いの勘違いが続いています。
38歳のおっさんだった前世から百合(花にあらず)好きで、実の姉を本気で嫁にする気まんまんのおっぱい好きな変態が、見た目の神秘的で繊細な美しさと、頭が悪くて異世界語がちゃんと覚えられなかったがゆえに片言でしゃべる内容とで良いように誤解されまくったあげく、国ばかりか大陸そのものを発展させた無欲かつ高潔な姫君として、周囲すべてから愛を通り越して崇拝されるという(笑)
ミラノ王子やその家族などは、セレネが劣悪な環境から救い出された恩を、懸命に返そうと努力していると思って感動しているのに、実際は引きこもりニートの天国から引きずり出されたあげくに拉致までしやがったと恨み骨髄。
しかも「イケメンは悪」の信念のもと、名実ともに聖王子たる清廉潔白なミラノを、「大陸中を嫁探しの旅で歩きまわる、下劣極まりない性王子」と認識して疑わず、「姉に手出ししようと、まず自分を人質にとった」と思い込んで、「姉を守る」ため、なんとか暗殺してやろうと間違った努力を重ねてます。でもそれがことごとく方向を外す間抜けっぷり。しかしその外れる方向が、偶然いいほうに転んだ結果、彼女の評価はますますうなぎ登りになるスパイラル。
いやはや、面白かった。
個人的には有能かつ忠実な執事バトラーと、サムライ的なクマハチが好きです。

ただ気になる点は、「異世界語をちゃんと覚えてない」という大前提がある割に、誤解が生じる原因となる同音異義語が日本語と同じだとか、セレネの魔力自体はたいした量がないのに、多少長い時間いっしょに過ごしたぐらいでバトラーがあんなに強くなれるのかとか、王族しか開けられないはずの監禁部屋にどうやって世話係の使用人が出入りしてたのかとか、母親は女王として父親はどうしたんだとか。
有料の商業出版物にするのであれば、そこらあたりのフォローがあって欲しいところです。

そして書籍版のイラストは、はたしてどんな絵柄になるんでしょう。セレネの神秘的な美しさを、きっちり描き出してくれる人だと良いんだけどなあ。
No.7004 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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