よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年07月25日の読書
2014年07月25日(Fri) 
本日の初読図書:
4120041379あんじゅう―三島屋変調百物語事続
宮部 みゆき
中央公論新社 2010-07

by G-Tools
封印されていた祟り神お旱様に取り憑かれ、周囲の水すべてが逃げてゆくようになってしまった山村の少年 平太。彼は村から追い出されるようにして江戸へと丁稚奉公へ来たものの、そこでも水甕や花瓶、井戸の水まで消えてしまい、厄介者扱いされていた。しかし彼に取り憑いたお旱さまにも、それなりの過去と事情があるようで……「逃げ水」
三島屋のお隣の針問屋、住吉屋の一人娘お梅が嫁入りすることになった。もう二十代も後半とずいぶんな嫁き遅れだが、そこには住吉屋のしきたりが大きく関わっていたらしい。それでもようやく無事に娘の嫁入りを終えたのち、住吉屋のお内儀は変わり百物語の客として、三島屋を訪れる……「藪から千本」
三島屋の丁稚 新太が手習いに通うようになって、同じ年頃の遊び友達ができた。その内の一人で、八百濃の跡取りとして養子に入ったという直太郎は、どうも落ち着きがなく何かきっかけがあると暴れだすという問題児だった。なんでも直太郎の実の父親は火事で死んだのだが、その父親に付け火と横領の嫌疑がかかっているのだという。養父母や周囲から父親を悪し様に言われ、子供ながら飲み込みきれないものが心に溜まり、ときおり爆発してしまうということだった。それらの事情をおちかへ話してくれたのは、直太郎が養子に入る以前に通っていた本所の手習所の若先生、青山利一郎。彼は直太郎の父親がおそらくは無実であると確信しているのだが、しかしその根拠になっているのはなんとも不可思議な、紫陽花屋敷に住まう黒いあやかしにまつわる物語で……「暗獣」
青山利一郎の知り人だという偽坊主 行然坊に興味を持ったおちかは、彼の話を聞きたいと百物語の客として三島屋へ招いた。やってきた行然坊は、三島屋を見て「妙な暈がかかってござる」「なにかおかしな出来事はないか」と言い出す。どうやらそれがこの行然坊のやり方で、彼はそうやって金持ちの家に入り込んでは適当な経を上げたりそれらしい説法をほどこして、礼物をもらっているのだという。しかし実は自分には、本当にそういった、怪しい気配を見る力があるのだと行然坊は告げる。そうして彼が語り始めたのは、まだ諸国を旅して回っていた若かりし頃に目の当たりにした、隠れ里のような山村が滅びていった経緯だった……「吼える仏」

シリーズ二冊目は四話収録。
一冊目に比べると、雰囲気がだいぶ明るくなったように思います。相変わらず人の悪意とか切ない展開はたっぷり出てくるんですが、それでも各話の終わりには、それなりに救いが見えています。
これはやはり、おちかの心の持ちようがだんだん変わってきたからなのでしょうか。
お勝さんや青山の若先生、行然坊といった魅力的なキャラクターも増えてきました。
個人的にはこういう雰囲気のほうが、なんというか心が安らぎます。一巻目の暗さにあきらめてしまわず、二巻目も手にとって良かったなあ…… 〈くろすけ〉の切なくも温かいエピソードはほんと泣ける( T _ T )

変わったといえば、一巻目のようにラストにいきなりスペクタクルな展開が入ることもありませんでしたね(苦笑)
いやまあ、盛り上がりはそれなりにありましたけれど、あくまでそれは『人間』のやることでした。
結局は人の悪意が一番怖いんだという点で、こちらの方がお話として収まりがいいと思います。
今回はおちかの過去もあんまり関わってはこず。
むしろ青山の若先生とおちかちゃんの今後が気になってくる所です。個人的には清太郎さんはおたかさんと幸せになって、おちかちゃんは青山さんとくっつけばいいと思うよvv

なお青山さんと行然坊および悪戯小僧三人組は、「ばんば憑き」に収録されている「討債鬼」で詳しい背景や出会い話が書かれています。

そして文庫版ではどうなっているか判りませんが、ハードカバー版では各見開きごとにカットが入っているのがなんとも豪華。
宮部さんだからこそ許される、贅沢なデザインだなあとつくづく思いました。
No.6037 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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