2014年07月22日の読書
2014年07月22日(Tue)
|
|
|
本日の初読図書:
パルス歴三二〇年 秋 西北方 ルシタニア王国軍 マルヤム王国を滅亡せしめ パルス王国に侵入 アンドラゴラス三世 自ら軍をひきいてアトロパテネの野に 侵略軍を迎え撃つ 王太子アルスラーン初陣す ときに十四歳
御存知、田中芳樹の中世ペルシャ風戦記のコミカライズです。 ……原作小説の方はあまりに刊行ペースが遅く、また第二部の展開がいささか微妙なこともあって、もう追いかけるのはやめてしまったのですけれど。 しかし第一部を読んでワクワクしていた、あの頃の気持ちを否定したくはありません。 アルスラーン戦記の第一部は、今でも紛れもなく名作だと思うのです。
そんな訳で買ってしまいました。 メディアミックスとしては、かつて5巻「征馬孤影」までが映画とOAVでアニメ化され、また第一部終了までを中村地里の作画でマンガ化されたこともあります。ちなみにカセットブック版は、CD−BOXで持っています(笑) 映画はわざわざ隣の市まで、電車に乗って見に行ったっけなあ……(懐) どれにもそれぞれにそれなりの良さがありましたが、この荒川版も、なかなかどうして、悪くありません。
作画の荒川弘さんは、あの「鋼の錬金術師」の作者さんです。いまなら「銀の匙」の原作者といったほうが通りがいいのでしょうか? 多少癖のある絵柄ではありますけれど、頑張る少年少女を描かせたらピカイチの人だと私は思っています。 実際、表紙のアズライールを肩に載せたアルスラーンを見て、私は購入を決めました。 ダリューンが長髪(サムソンスタイル?)だったり、キシュワードのヒゲ成分が足りない(笑)といった微妙な不満点はありますが、そこらへんは枝葉末節。 貧困なイメージ力では曖昧にしか想像できなかった古代ペルシャ風の服装や建物などが、とてもそれらしく描かれています。
そして第一話は、アトロパテネの三年前を舞台に、エクバターナの繁栄やアルスラーンと両親との確執、奴隷制度について初めて疑問を抱くといった部分を描いたオリジナルエピソード(どうもこのアルスラーンは下町育ちではない模様)から始まり、初見の読者にも物語を判りやすくしてくれています。
しかし何よりもまずは、冒頭第1ページでしょう。 アンドラゴラス王の「突撃!!」に心が震えました。 ああ、この世界に再び還って来たんだ……と。
戦闘シーンの迫力、そして凄惨さは圧巻です。 返り血を浴びて血まみれになったアルスラーンが、次のページでほとんどキレイになっているなんて御都合主義はありません。河で洗うまでずっと血だらけです。 何万もの人間が戦闘で命を落とし、そしてイアルダボート神の名のもとに行われる異教徒への虐殺もきっちりと描かれています。
一巻目はほとんどアトロパテネの会戦に費やされているので、荒川さんらしいギャグ要素は薄めでした。巻末予告を読む感じ、ナルサスを味方に引き入れる二巻目などは、コメディタッチな表現も出てくるようですが。
ラストは隠遁しているナルサスの元へ、エラムによって案内される所で終わっています。 このペースだと、第一部完まで何冊かかることやら心配になってきますが……しかしこのクォリティのまま行ってくれるのであれば、追いかけていけるかもしれません。 ギーヴやファランギースはもちろんのこと、ジャスワントやラジェンドラ王子がどんなふうに描かれるのかも楽しみだなあvv
|
No.6031
(読書)
|
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
|
|
|