よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年04月22日の読書
2014年04月22日(Tue) 
本日の初読図書:
4796661638チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)
海堂 尊
宝島社 2007-11-10

by G-Tools
下巻はしょっぱなから火喰い鳥ことロジカル・モンスターの白鳥さんがご登場。
……やー、こちらもどんなにがんばっても、仲村トオルではイメージできませんね(苦笑) 映画版の阿部寛の方が、キャスティングとしてはまだしもか。 でも映画だと、今度は田口医師が女性なんですってね……(−ー;)
なにしろ外見描写が「小柄」「小太り」「上品な品で身を固めているのに、全然しっくりこない下品な着こなし」。田口先生の第一印象は「ゴ●ブリ」で、どうやら他の人がイメージするのも同じらしいですから、お世辞にも格好良いキャラとは言えません(苦笑)
そんなホームズ役のご登場から、物語は一気に加速します。
田口先生が、これは自分の手に負えないとリスクマネジメント委員会の招集を依頼したところで、高階病院長がさらに外部のプロフェッショナルの手を借りようとし、派遣されてきたのが白鳥さん。表向きは厚生労働省の窓際変人役人なのですが、正式な肩書きは現在設立途中の「医療過誤死関連中立的第三者機関」の「設置推進準備室室長」。ちなみに構成人員は白鳥さん含めて二人だそうで。
純粋に論理だけで他人に対応する白鳥さんは、とにかく傍若無人というか、必要だと思えば相手を泣かせる(文字通り)勢いで言葉の暴力を叩きつけるし、反応を見るためなら殴られることも折り込み済みという人でなしです。
ただそれだけに、認められるものは率直に認めるところが心憎い。
上巻で田口先生が関係者に聞き取り調査を行って書き留めたファイルを読んで、「パッシヴ・フェーズ調査としては、これ以上のものは望めない」と繰り返し言っています。ちなみに「パッシヴ・フェーズ調査」とは白鳥さん曰く「対象を繭の中に取り込んで、そこでゲロさせる」手法。つまり包容力を持って相手に信頼させ、その心情を深いところまで聞き出すやりかた、といったところでしょうか?
ちなみに対となる「アクティヴ・フェーズ調査」は「相手の心臓を鷲掴みして、膿んでいる病巣にメスを突き立てる」手法。要するに手段問わず相手を刺激しまくって、深層に隠れた暗い本音を吐き出させる、って感じですかね。
白鳥さんは田口先生を、あるいは精神的に欠落があるのではと思えるほどパッシヴ〜に長けており、そして自分はアクティヴ〜の純血種だと評しています。
事件調査はパッシヴで下調べをし、アクティヴでさらに突っ込んでゆくという段階を踏むそうで。今回は事前に田口先生が完璧な下準備をしてくれていたから、いきなりアクティヴから入れると、白鳥さんは比較的ご機嫌です。
しかしそこは人でなしのロジカル・モンスター。↑の調査方法についてや判らないことについて田口先生が質問すると、歯に衣着せずがんがんけなしまくる。しかも本人まったく悪意がないようで、その後も気遣いとか気まずいとかちっともなしに、ふつーに話しかけて来るんですよね。こんな人、身近にいたらたまらんですわ(苦笑)
そんな変人ホームズ(白鳥さん)に対するワトソン(田口先生)はというと、これがまた負けん気が強いのか、相手をすごいとは思いつつも心の中では罵詈雑言。しかし大人の態度で、一応、心の中に収めています。
さらに事件解決後、病院側が行った記者会見の場では、なかなか肝が据わりつつ、誰もの意表をつく知的な応対をしてみせるなど、一見凡庸に見えて実は有能なワトソン役スキーの心をくすぐってくれました。

事件のトリック自体は、なんというか……ううむ、正直ちょっと微妙でした。重要な要素となってくるエピドラ(硬膜外麻酔)についての説明が上巻にしかないため、いざ下巻での謎解き場面で「エピドラってなんだったっけ?」、「マーカインって何のこと??」となってしまいました。しかも子供には硬膜外麻酔を使わないとか、脊髄注射された薬は血液に混じらないといった専門知識が、謎解き場面になって初めて出てくるものだから、「どうして子供は術死しなかったのか」とかいった大きな謎を、素人読者が自力で解けない構造になっていますし。

とは言えこのお話のメインは、謎解きよりもむしろ、病院内の人間関係や個性的なキャラクターを楽しむという部分にあるのでしょう。そういう意味では、ミステリーよりライトノベルに近いかな?
重要なのは、真犯人を暴くことよりも、それによってもたらされた各キャラクターの未来。田口医師と白鳥さんに影響を受けて、それぞれがそれぞれに選択してゆく新たな道こそが見所だと思いました。
完璧なようでいて、実はその設立の根底から歪みをはらんでいた、チーム・バチスタ。その歪みが正され、もつれが解け、新しい未来が紡ぎ出されていく。これはそういうお話だったのではないでしょうか。

ともあれ、なかなか面白いお話でした。これは続刊も読まなければ。
……しかし先にも触れましたが、ちょっと文章が判りにくいのがネックといえばネックですかねえ。随所に出てくる比喩表現などが、実に独特で味があって、文章を大きく特徴づけてはいるのですけれど、それだけに「これってこういう意味……だよね?」と解読するのが、いささかやっかいでした。あと専門用語や横文字がむやみに多いのも、読んでいて疲れるところだったりとか(−ー;)
No.5772 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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