2014年04月16日の読書
2014年04月16日(Wed)
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本日の初読図書: 大学院で生物学の助手を務める、畑寛子。彼女は休日に出勤した研究室で、昨夜も一緒に研究していた女学生が死んでいるのを発見した。何故かその死体は、寛子の白衣を着用していて……「白衣の意匠」 殺人事件の影響で元気をなくした寛子を、友人達がキャンプに誘ってくれた。表向きは恋人同士ということになっている、謎生物の同居人ギンちゃんも含めた六人で山奥のキャンプ場を訪れる。しかし夜になって焚き火を囲み酒を飲んでいる内に、なんだか雰囲気が悪くなっていき……「陰樹の森」 一見美少女に見える謎生物ムーちゃんと、サラリーマンの北西匠は同居している。対外的には恋人同士だが、その実質は単なる共生関係だ。二人がある朝いっしょに駅へ足を踏み入れると、そこでは満員電車で男が刺されて死んだ事件の渦中だった。そしてその被害者は、三週間ほど前にムーちゃんへ痴漢行為を働き、お仕置きを受けていた相手で……「酬い」 友人である国元が自室で殺されているのを、遊びに誘いに行った北西達が発見する。彼の枕元には何故か大量の現金が入った財布が置き去りにされていた。国元はマイレージサービスのポイント集めが趣味であり、コンビニでおにぎりひとつを買うのにもクレジットカードを使用する男だ。そんな彼がどうして、こんな大金を持っていたのか……「大地を歩む」 寛子が友人に誘われたレジャーで出会ったのは、理知的な青年スズキだった。そして道中のサービスエリアで休憩中に、なぜか友人の恋人が姿を消してしまう。しかしスズキは落ち着いていた。それは四年前、ギンちゃんと寛子が出会った時の物語……「お嬢さんをください事件」 ムーちゃんが旅行へ行こうと言い出した。なんでもお兄さんに誘われたらしい。三連休の初日は互いにパートナーと二人だけで楽しみ、二日目に待ち合わせようということになる。待ち合わせ場所に行ってみると、そこには前日泊まったペット可の宿で一緒だった、子豚連れの女性がいた。家出中だと言った彼女は、うまく行っていない夫との生活を愚痴り始めるのだが……「子豚を連れて」 旅先でギンちゃんとムーちゃんの兄妹を介して引き合わされた寛子と北西は、知り合いに会いたいから付き合ってくれとギンちゃんに言われるままついていった。訪れたのは老人ホーム。八十を超えているだろう老婆の落合富江は、脳溢血から認知症を患い、会話どころか他人の認識すらできていないようだ。そんな彼女に対し、ギンちゃんが取った行動は……「温かな手」
「BG、あるいは死せるカイニス」の石持さんの作品。 解説によれば、この「温かな手」と「〜カイニス」ともう一つ「人柱はミイラと出会う」が、この作者さんの裏ベスト3なのだとか。一般受けはしないけれど、その斬新さというか、この作者さんにしか書けないだろう特殊な世界観が面白いとのこと。確かに「人柱〜」も、あらすじをチェックした感じ、読んでみたいと思わせられました。 「〜カイニス」では、人間は全て女性として生まれてきて、そのうち一部の優秀な個体だけが男性へ性転換するという、風変わりな世界の中でのミステリーでした。そして今回は、二人登場する探偵役が、どちらも生物学的に「人間ではない」という展開です。 見た目は人間そっくりだけれど、それはあくまで擬態。彼らは人間の生命エネルギーを糧とする、謎の生物なのです。しかし吸血鬼などのように、一方的に人間を襲うのではありません。彼らにとっては、魂のきれいな健全な精神の持ち主の生命力こそが美味であるが故に、そういった人物を選んで『宿主』としています。そしてパートナーに選ばれた相手の方はというと、この飽食の時代に摂取した余剰カロリーをエネルギーとして吸い取ってもらえる。すなわち運動も食事制限もすることなく、健康とスリムな体型を維持することができるというメリットがある。いわば双方に利益のある共存関係を営むことができるという訳ですね。 ……たとえそうだとしても、やろうとすれば命を奪うまで生命力を吸うことができる謎の生物と、同じ屋根の下で仲良く暮らすなど非常に難しそうではあるのですが、それをあっけらかんと受け入れてしまえるあたりが、畑寛子さんと北西匠くんの「きれいな魂の持ち主」たる所以と言ったところでしょうか。
私は最初にあらすじ紹介を読んだ時、「生命エネルギーを糧にする謎の生命体の兄妹」と言う文章に、てっきり彼らは実体を持っていなくっって、それぞれのパートナーの肉体に取り憑いており、宿主の人間が二人で組んで事件に関わりつつ、謎生物な兄妹は精神面で彼らをサポートしているのだとばかり思っていました。 ところが実際のお話は短編7つのうち3つずつを、表向き恋人同士として同居している寛子&ギンちゃん、北西&ムーちゃんのコンビが担当し、最後の話でだけ、両方のコンビが顔を合わせるという話運びでした。 ギンちゃんとムーちゃんの二人は思っていた以上に人間らしく、それだけにここぞというところで見せる非人間的な反応が際立ってくる感じです。 なにしろ基本的に謎解きの動機が「パートナーに悪影響があると、生命エネルギーの味が落ちる」ですしね。
ギンちゃんの、穏やかな好青年の顔に隠された冷淡さと、さらにその奥の奥にある彼らなりの『情』。 ムーちゃんの愛らしい少女の姿とは裏腹な豪胆さと、実はけっこういきあたりばったりないい加減さ。
ラストの展開は、なかなか意外でした。確かに最終的にはああいう手段を取らざるをえないのは判っているのですけれど、それでもたいていの作品では、いつか来るその時を思いつつも、それでもやがて失うこの時間を大切に今を過ごそう、的な終わり方をすると思うんですよ。この設定であれば、まだまだ数冊続編を引っ張ることも可能だったと思いますし。 それをあえて1冊で書ききったところに、この作品の味があると思います。 人間ではない兄妹が、それでも互いのパートナーの未来を、精一杯の誠意で思いやってとった選択。
少なくとも寛子さんと北西くんは、お互いの秘密を包み隠さず話し合える貴重な友人を得ることができた訳です。その先がどうなっていくかは、読者の解釈次第でしょうが……
個々のお話については、割とシンプルです。同じ人物が短期間に殺人事件に巻き込まれすぎという点はありつつも、それでショックを受けて一年近くも精神的に引きずりつつ、パートナーに乱れる感情=余剰エネルギーを吸い取ってもらうことで心のケアをされている点に、キャラクターの人間らしさを感じました。 そういう点では、殺人の絡まない「お嬢さんをください事件」が、一番気楽に読める話でしたかね。 話運びや意外な犯人という点では「酬い」が面白かったかな。「陰樹の森で」はちょっと動機に無理があるなあと思いましたが、ラストの気が利いていたので、これはこれで。
ミステリーものにファンタジーが絡むのはずるいと思う人には向かないかもしれませんけれど、謎解きそのものは安楽椅子ものに近い筋の通ったロジカルな面を主体に置いたものですし、一編一編がコンパクトにまとまっているので、さらっと読めるという点ではオススメだと思いました。
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No.5761
(読書)
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新しく買ってきた居間のテレビ。当然ながら、リモコンも新しくなりました。 今まで使用していたリモコンは、手垢に加えてタバコのヤニでコーティングしたようになっており、それはもうひどい状態だったのですよ。 なのでせっかくまっさらなリモコンになったのだから、今度は汚れないように最初から対策を立てることにしました。とは言え、うちの両親が今さらタバコの量を減らす訳がありません。 そんな訳で。
またも百均のお世話になりました。リモコン用のシリコンカバーです。 大雑把にL・M・Sの3サイズがあったそうで、とりあえずLを2枚とMを1枚購入。 すでに汚れきっていたDVDレコーダーとケーブルテレビ用のリモコンは、除菌アルコールと綿棒で細かいところまで掃除してから装着しました。 ひっくり返すとこんな感じ。
シリコンでかなり伸縮するため、多少のサイズ差はカバーしてくれます。 アップで見るとこんなふう。
まあ、あれだ。パソコン用のフリーカットなキーボードカバーとほぼ同じ感触ですね。 難点なのは、これをかけると蓋を開けて使用するボタンが使えなくなることです。でもまあそこらへんは、もともと滅多に使用してなかったですし。ヤニ汚れを防止できると考えれば、こっちのほうが優先順位は高いです。
……っていうか、もうちょっとタバコの量を減らそうよ、父も母もいい年なんだからさあ……(苦笑)
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No.5762
(日常)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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