2014年01月25日の読書
2014年01月25日(Sat)
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本日の初読図書: その頃、日本国中で怪人二十面相のことが噂になっていた。 毎日のように新聞記事を賑わせている、風変わりな盗賊。変装がとびきり上手で、二十もの違った顔を持つと言われる所から、二十面相とのあだ名がついている。 現金には興味を持たず、もっぱら宝石や美術品といった美しくて珍しくて非常に高価なものばかりを盗み、人を傷つけたり殺したりするような、残酷なふるまいは一度もしたことがない。 とは言え相手は盗賊。追い詰められればなにをするか判らないし、ましてや貴重な宝物を持っている富豪達にとっては恐るべき存在だ。 またこの二十面相には妙な癖があった。盗みに入る前に必ず、その日時を記した予告状を送るのである。なんとも大胆不敵、傍若無人な怪盗だった。 ある日のこと、麻布に住む実業界の大立者、羽柴壮太郎の屋敷に二十面相の予告状が届く。羽柴家の家宝である、かつてロマノフ王朝の宝冠を飾ったという大粒の金剛石六個をちょうだいに参上するというのだ。 折りしも羽柴家では、十年前に家出した長男 壮一が南洋ボルネオ島で事業の成功をおさめ、戻ってくるという慶事を控えていた。両親も弟妹も大喜びでそれを迎えようとしている矢先の予告状。立派な青年紳士となって戻ってきた壮一は、予告の日、父親とともにダイヤモンドを収めた金庫の前で徹夜の見張り番をすることとなる。他にも使用人や警察の人間が厳重に警戒をしていた。 しかしそれでもダイヤはまんまと盗まれてしまった。しかも逃走途中に傷を追った二十面相は、その損害を賠償してもらうと称して、まだ小学生の次男 壮二を誘拐し、彼と引き換えに羽柴氏のコレクションである国宝級の観世音像を要求してきたのである。 子供の命には代えられないが、それでもダイヤばかりか仏像まで奪われてしまうとは……と歯噛みした羽柴氏は、名探偵と名高い明智小五郎氏に相談を持ちかけることにする。専門家であれば、なにか自分達では想像もつかない名案があるかもしれないからと。 しかし連絡をとってみると、明智小五郎は現在、別件で外国に行っているとの事だった。代わりに助手の小林を送るからと告げて電話は切れる。そうして羽柴家へやってきたのは、まだ十二三ほどと見える小林芳雄少年で……
ポプラ社から出ている「少年探偵」シリーズの1巻目です。 栞子さんの大プッシュに負けて借りてきてしまいました(苦笑) 裏表紙の小林少年が、予想以上にかっこ良くて驚きました。うんいや、こんなシーン、本編にはないんですけどね。むしろトランシーバーなんてない時代だから、話の中では伝書鳩使ってたりするんですが。
お話は、現在の大人の目で見ると突っ込みどころがいっぱいです。 でも確かにこれは面白い。読んだ子供たちがワクワクと胸を躍らせる気持ちが判りますね! くそう、ちゃんとスれてない子供の時分に読んでおけばよかった(><) うちの学校の図書室にはなかったんだよ!
私はこのシリーズに関する予備知識はほぼないので、てっきり複数の巻で二十面相と明智探偵+少年探偵団の丁々発止が繰り返されると思っていたのですけれど……一巻目で二十面相、逮捕されちゃってますね。そのうち脱獄とかするのでしょうか? 怪盗として一定の美学を持った二十面相と明智探偵との会談は、読んでいて胸が熱くなりましたな……vv 小林少年もけして明智探偵の使いっ走りではなく、彼が不在の折りには立派に代理を務める一人前の助手だというのが素晴らしい。 ……しかしあの時代(正確にはどの時代なんだろう)、子供が普通にピストル持ってても大丈夫だったんだろうか(悩)
そしてこの1巻目では、記念すべき少年探偵団結成シーンもありました。 物語の最初では、助手は小林少年ただ一人なのです(……ってことは小林少年、電話応対して自分で「先生におとらぬ腕ききの助手で、じゅうぶんご信頼なすっていいと思います」って売り込んでたのか/笑)。 ほとんど押し掛けの小学生集団は、しかしラストでしっかり活躍してくれて、そりゃあ読んだ子供達は自分がその一員だったら……って絶対夢想しますよね。
あと、おいおいそれはちょっと反則じゃないかい(苦笑)な赤井寅三さんは、今後も再登場なさるのでしょうか。あんまり何度も使うと本当に反則になる人ではありますけれど、一回で使い捨ててしまうには惜しいキャラクターでもあるんですよね。 気になる所ではありますが、しかし全巻読破するのは、さすがに冊数が多いからなあ……
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No.5516
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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