よしなしことを、日々徒然に……
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 2014年01月14日の読書
2014年01月14日(Tue) 
本日の初読図書:
4104507180たぶんねこ
畠中 恵
新潮社 2013-07-22

by G-Tools
大商人達の集まる会合で、新たに三人の跡取り達がお披露目された。長崎屋の若だんな一太郎もその一人だ。とその席で、両国の盛り場を仕切る親分 大貞が、難題をふっかけてきた。跡取り三人のそれぞれの甲斐性が見てみたい。家の力を借りない状態で、誰が一番金を稼げるものか、ひとつやってみてくれないか。一番だった者には2つ、他の二人にも1つずつ、願いを叶えてやるからと。親分の面子を潰せない一同は、しかたなく話に乗って、半月ほど大貞の屋敷に寝泊まりしながら自力で金を稼ぐことになった。他の二人は芝居小屋の呼び込みや人探しの手伝いなど、首尾よく仕事を見つけてくるが、しかし見るからに病弱な若だんなはどこに行っても雇ってもらえない。そこで一計を案じるも、なにやらこの勝負には裏があるようで……「跡取り三人」
長崎屋に行儀見習いの女の子がやってきた。於こんという14才の少女は、一太郎の母親おたえの知り合いの娘だという。かなりのお転婆で家事も炊事もまるでできない於こんは、行儀見習いなど面倒くさい、さっさと結婚してしまいたいなどとこぼしていた。そんな折り、先にお世話になった大貞の子分が、見合いの仲人をするのに力を貸してほしいと若だんなへ相談してきた。恋話だと嬉々として首を突っ込んでくる於こんだったが、さらにそこへ親族の婚姻について、河童の禰々子までが相談を持ってくる。てんやわんやのうちに人間と妖怪と、二組の見合いを一度に行うことになったのだが……「こいさがし」
菓子屋安野屋へ修行に出ている幼馴染の栄吉が、長崎屋へお使いで砂糖を買いに来た。ところがお供の小僧が騒ぎを引き起こした上に、謝りもしないで飛び出してしまう。なんでもいま安野屋には新入りの小僧が三人いるのだが、どの子にも問題があり、世話を押し付けられた栄吉は菓子を作る練習もできないほど振り回されているのだそうだ。おまけに安野屋では、主人や番頭などが寝付いてしまっていて、まったく手が足りていないという。砂糖を届けかたがたお見舞いに行った一太郎達は、主人らの薬湯になにやらおかしなものが混ぜられていることに気がついて……「くたびれ砂糖」
ふと目を覚ました時、男は川の中で流されそうになっていた。慌てて這い上がると、頭から血が出ている。そうして自分の名前も、なぜそこにひとりぼっちでいるのかも判らなかった。幸い懐にはまとまった金子があったので、古着を買って着替えたはいいが、さてこれからどうしたものかと悩みにくれる。他に持っていたのは、「長」の文字がついた薬袋ぐらい。中に入っていた傷薬はたいそうよく効いて、頭の傷もすぐに治ってくれた。それを見ていた周囲の人々は、彼を医者だと勘違いし、最近病気になっておかしなことを言い出した老人を診てほしいと連れてきてしまう。その老人は名を古松と言った。自分は妖狐で、昔は神の庭にいたと主張している。年も取らず病にもならない夢の様な場所だったが、若気の至りで飛び出してきてしまった。年を取り病気になった自分はもうあの庭に戻る力はないけれど、ただひとつ心残りなのは仲間達がなんとか自分を助けようと無駄な奔走をしていることだ。どうにかして神様へ声を届け仲間達を思い止まらせたいから、どうか力を貸してほしいと、古松は男にそう願ってくる。どうやら古松は男のことを知っていて、それができると確信しているようなのだが、しかし男は古松のことも思い出せず……「みどりのたま」
若だんなの元へ、久しぶりに見越の入道が訪ねてきた。なんでも荼枳尼天の元に居た幽霊が、江戸に帰りたいと言っているのだという。その幽霊 月丸は非常に弱いため、ちゃんと江戸でやっていけるのかどうか、まずは試しに連れてきたらしい。幽霊の身を守るため、彼は昼間のあいだ特別な巾着の中に入っていた。ところがその巾着を鳴家が開けてしまう。慌てて閉じようとした若だんなは誤って巾着の中へと落ちこんでしまい、そうして気が付くと満月の夜空の下、三匹の鳴家と月丸と一緒に、どこともわからない家の屋根に座り込んでいた。なんとかして長崎屋に戻ろうとする一太郎を、しかし月丸は止める。この一晩だけでいいから、江戸で暮らせるかどうか自分で努力して試してみたいのだと。そうして彼は猫や鳥など、様々なものに化けてみるのだが、どうにもうまくいかない。それは生前の月丸の生き方と、遺した悔いに根差すものがあり……「たぶんねこ」

新年会へ出発する前の夜には読了してましたが、記録しそこねていたので、ここで。
お久しぶりの「しゃばけ」シリーズ、12冊目だそうです。
んー……正直を言うと、だいぶ内容が失速してきたかなあというここ最近だったのですけれど、今回は比較的面白かったかな?
ミステリ要素はだいぶ少なく、もうほとんど人間ドラマになっています。一話目で一太郎が、初めて自力で稼いだ四文銭をお守りにする様子は微笑ましかったvv
若だんなが着々と成長しつつあって、今回は特に若だんなの機転で解決が付いた話が多かったように思います。さらさらっと掛け軸用の絵を描いちゃうところも、なんだか格好良いですvv<家の中でできる事は得意らしい
しかし一番印象に残ったのは、番外編的な「みどりのたま」だったあたり(苦笑)
これはいきなり冒頭から、記憶を失った男の視点で始まります。彼はいったい誰なのか。読み進んでゆくうちに読者にはすぐに判明するのですけれど、本人は自分の名前も、何故一人ぼっちで怪我をして川に落ちていたのかも判らないまま右往左往。ときどきその脳裏をかすめる面影に、一読者としてニヤリとできたりとか。
ああでも記憶を取り戻すきっかけは、現在の生活より昔の初恋だったってのが、腐女子としてはちょっと残念だったかもなあ。やはりそこは、今の生活が一番であって欲しかった!
まあ、からかわれて赤くなったり帰宅後には殴られてたって一文が、ひそかに萌えどころだったりするのが、我ながら業が深いんですが……vv
そして表題作で登場した新キャラ月丸は、今後も再登場するのかな♪
落ち着き先を見つけた彼には、是非いろいろと吹っ切って、楽しく人(?)生を謳歌しつつ、長崎屋ファミリーの一員となって欲しいところです。
No.5480 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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