2013年05月06日の読書
2013年05月06日(Mon)
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本日の初読図書: 老境に至り昔のことを思い返すと、あの頃はまさに白金の季節であった。青春のひととき、若さのもたらす熱情の日々 ―― 人生の終着駅も見え隠れするようになったいまこのとき、若い頃の思い出を、共に過ごした友たちと経験したことどもを、拙い筆で書き留めておくのも一興だろう。 時代は、大正三年の初めにさかのぼる。 絵描きを目指していた若かりし私 ―― 槇島巧次郎は、不思議な雰囲気を持つ男 穂村枝雪華と知り合った。同じ絵描きだという彼は、私よりもずっと見事な技術を持っており、これが才能の違いなのかとまざまざと見せつけられたものだった。 しかし彼を語るにおいて重要なのは、その絵の才能ばかりではない。彼の周囲にはいつも、不可思議な出来事が渦巻いていたのである。 雪華は墓場に漂う死霊を、見事なデッサンを描いてみせることで成仏させた。そして幽霊の出る部屋に引っ越した私へは、鏡にその姿を描くという浄霊方法を教えてくれた。 彼が住む下宿 蟋蟀館では、様々な怪異が当たり前のように起きていたし、この世に未練を残し、まるで生きている人間と変わらないように見える死者 ―― みれいじゃ ―― と関わることもあった。 彼がつけてくれた私の号、風波は、今でも使い続けている大切な贈り物である。 これは老いらくの感傷かもしれない。それでもそんな惰弱さをこの年まで持ち続けてこれたことを、あるいは彼も褒めてくれるかもしれない。 今は思い出の中にしか存在しないあの男には、そんな部分があったものだ ――
ラジオドラマで(以下略) ううむ……ドラマを聴いた時もちょっと思ったのですが、なんとなく尻切れトンボ感というか。え? ここで終わり?? という印象がありました。「リプレイ」のように、原作はもう少し後があるかと思ったら、見事に同じ終わりかた。 続きは……出ないだろうとは思う最後なんですが、いろいろと謎のまま終わっていることが多いので出るのかもしれないし……刊行月日と考え合わせても、微妙な所っぽいですなあ。
謎部分については、ラジオドラマの方が、まだそのあたりに多少のフォローがあったほどでした。 ……っていうかラジオドラマでは三郎こそが蒐集家なのではないかと語られていましたけれど……小説の方を深読みすると、もしかしてもしかすると『彼』でもありうるんじゃない、かな? とか思わなくもなく。 いやその前段階で、やっぱり『彼』も「みれいじゃ」なんでしょうか。いろいろと思わせぶりな記述はあるものの、そのあたりは投げっぱなしです。最終話で三郎がなんであの劇場にいたのかも小説では語られていないし、お欣ちゃんの右目の謎も解かれないまま。 結局、大正三年の十年ぐらい後に来たという「東京のすべてが失われる日」というのは、関東大震災のことなんでしょうか? そういえば巧次郎=風波さんが画家として大成できたのかどうかも、明らかにはされてませんね。風波という号を老境に至るまで使い続けたという一文をもって、絵描きになれたのだと解釈するべきか、それとも素人の手すさびという形で描き続けただけなのか。 いろいろなことが、読者の解釈にゆだねられたままとなっております。
まあ、これはこれで、何度も読み返したりしつつ、様々な方向から解釈して楽しめる作品と言えるのかもしれません。
ところどころ当時の有名人がちらっと登場していたり、地の文は普通なのに会話文のイントネーションが昔っぽいのが、雰囲気が感じられて面白かったです。
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No.4762
(読書)
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うっかりスマホの液晶保護シートにつけてしまったキズですが。 丸四日半が経った現在、びっくりするほど目立たなくなっています。 ダイ●ーで購入した「細かい傷を自己修復」が謳い文句のシートだったんですが、よもやここまで効果があるとは……
もちろん、完全にキズが消えてしまったわけではありません。 しかしついた当初はかなり大きく、指先にデコボコとした感触がはっきり判るえぐり込まれたようだったキズが、三日ぐらいかけて半分以下のサイズにまで小さくなったのですよ。深さも「ざっくり」から「ぺこ」ぐらいに軽減されました。 なによりも最初は白く濁っていたその色が、うっすら半透明にまで戻ったのですよ。 ぶっちゃけ、薄暗いところで画面を点灯していると、かなり注視しても存在が判らないぐらいです。 画面を消していたり、あるいは表面が反射で光るほど明るい部屋だとさすがに気になりますが、それもちょっと大きめのホコリか手脂と思えば、こんなものかと。
そもそもあの勢いで金属の角をぶつけておいて、貫通せずに本体を守りきった段階で105円の元は完全に取れていますしね。 恐るべし、百均。あなどれねえ……
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No.4763
(電脳)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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