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あれはどれぐらい前だったでしょう。 会社で花瓶に生けられていたその花を、「珍しいですね。普通のより好きだなあ」と見ていたら、「持って帰る?」と一枝分けていただけたのですよ。 そして喜んで帰宅し母に披露したところ、「挿し木で増やせるよ」と言って、何本か枝葉を切り取り地面に植えてくれたのです。 その中から、たった一本だけが根付いてくれて。 そうしてかれこれ数年が過ぎ、
わずか一房ですが、ついに花が咲きました。 白い沈丁花です。 えんじと白が入り混じった通常の花も美しいですが、真っ白いこの花房はなんだかとっても儚くて。それなのに香りだけはしっかりと空気を染めてくれます。
この数年の間に、私を取りまく環境は大きく変わりました。 この花壇の向かいにあった、私の胸ほども高さがあった普通の沈丁花の木も、すっかり枯れてしまい、今は跡形もありません。
人生は諸行無常だなあと感じつつ、それでも花を愛でる心ぐらいは無くしたくないなあ、なんて思ってみたり。
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No.4646
(日常)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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