よしなしことを、日々徒然に……
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 2012年07月04日の読書
2012年07月04日(Wed) 
本日の初読図書:
4048689304探偵・日暮旅人の探し物 (メディアワークス文庫)
山口 幸三郎
アスキーメディアワークス 2010-09-25

by G-Tools
フリーマーケットに出品した、母の形見の古い椅子。それを買った青年は、目の前で裏張りの布に隠された、謎めいた恋文を取り出してみせた。それは本当に母に宛てられたものなのか。青年と共に過去を追ううちに、老人は戦前から続いていた優しい愛の軌跡を見ることとなる「椅子の声」。
幼い頃、気軽に友達が大切にしていたキーホルダーを黙って持ち出した陽子は、翌日その友達が引っ越したことを知り、強い罪悪感にさいなまれていた。以来十八年。保育園の先生となった現在も、彼女はそのキーホルダーを大切に持ち歩いている。もう顔も名前も声さえ忘れてしまった、大切な「友達」。もしも再会する日が来たならば、きっと返さなければ。そう思っていたのに、ある日気がつくと、キーホルダーを落としてしまっていた。ショックを受けつつも、あんな汚れた古いキーホルダーを探すために、仕事を放りだして出ていくわけにはいかない。己を誡める彼女に、園児の父親 日暮旅人(ひぐらしたびと)が問いかける。「お困りですか?」と。彼は探し物専門の探偵だった。「物の価値を決めるのは、僕じゃない。持ち主です」。たとえどんな安物でも、それが陽子にとって大切な物ならば、探して欲しいと言って良いのだと……「探し物はなんですか?」。
園長が探し物をしていると聞かされた陽子は、依頼をしようと旅人の事務所を訪れる。しかし仕事の仲介をしているという青年 雪路雅彦は、迷惑だ、旅人にこれ以上関わるなとにべもなく断った。その態度に腹を立てる陽子に、彼は旅人が視覚以外の五感を持たないこと、その代わり常人の目には映らない音や匂いまでも見ることができるのだと教えた。陽子はすごいじゃないかと感嘆するが、雪路と旅人かかりつけのドクター榎木は渋い顔をする。こういう「善人」が一番やっかいなのだ、と。そうしてドクターは語り出す。旅人によって救われた己の恩師の物語と、彼の能力が持つそのリスクを……「景色の神秘」。
陽子が持ってきた園長からの依頼は、お人好しな旅人の笑顔によって有無を言わさず果たされることになった。かつて幼い陽子も通っていた頃に埋められ、所在不明になったタイムカプセルを見つけるというのがその内容だった。旅人の娘 灯衣(てい)と陽子が遠足で出かけている間に、旅人はあっさりと依頼を完了させる。
しかし遠足に行った先では、森に迷い込んだ園児を追って、陽子までもが行方不明になっていた。一日に二度も目を使うのは危険だと止める雪路の言葉も聞かず、旅人はかつてない焦燥を見せ陽子の行方を探す。何故なら彼女は……「地中の詩」。
音、匂い、味、感触、温度、重さ、痛み。誰もが持つ感覚を持たない代わりに、人の目には見えないモノを“視る”ことができる青年。そう、彼の目は『愛』だって見つけることができるのである ――

ううう、一巻目でやめとこうかと思ったら、ラストで思い切りヒキとどんでん返しがぁぁぁああ(ゴロゴロゴロ)
これはもう続きを買うしかないじゃないですか!
……まだあんまり値が下がってない……どころか、下手するとプレミアがついて定価より高くなってるのに(しくしくしく)
ともあれ。
なんというか思っていたのと微妙に路線が違ってました。もっとアットホームなほのぼの謎解き読切連作だと思っていたのですけれど。
個人的に、精神的でも肉体的にでも「どこか」が「欠けた」人が、それでも誰か、もしくは周囲の人々に受け入れられつつ、その人なりの幸せを見つけていくという物語が大好きです。
旅人さんは、五感のうち四つがないという、欠けているも極まれりというキャラ造形です。しかしその人となりは、どこまでも穏和で温かくお人好しで。ちょっとドジッ子のテイストを漂わせつつも、困っている人には無償で力を貸し、血の繋がらない娘や周囲の人々へはもちろん、行きずりの人にさえ優しい微笑みとともに叶う限り手を差し伸べる……って、そこまで行くとさすがになんかできすぎというか、あまりにも作り物っぽすぎて、正直いささか薄っぺらさを感じてしまっていたのですが。
エピローグですべてをひっくり返されました。
ナニコレ、黒い!? え、旅人さん、裏にどんなモノを隠してるの! 陽子さんとの関わりを隠そうとするその事情は、単に「気を使わせたくない」とかいった甘酸っぱい感情ではなく、なんらかの確固たる目的のために打った能動的な布石? この人、実はものすごく利己的な部分を持つタイプ!?
……と。
裏切られたと言うより、良い意味で意表をつかれました。どこか嘘っぽかった旅人さんの人となりに、いきなり人間味が出てきた感じで、むしろ好感度が一気に上がりました。やっぱり人間って誰しも根っこには暗いものを抱えてるのが本当だと思うんです。問題は、その上でどういった行動をとるかということで。
ああもうこんなじゃあ、その「裏事情」と、最終的に旅人さんがとる行動を知らないことには気になって仕方ないですよ! くぅうっ、やられた……
あとは五歳児テイちゃんがあまりにも大人びている理由とか、ユキジと旅人との馴れ初めなんかも気になるところです。
幸い全四巻で既に完結しているので、そのあたりは買いさえすれば、読めることは確定なのが幸いか。
とーりーあーえーずーー、二巻をばポチッとな。
……そしてまた積読の山が高くなーるーー♪ クレジットカードの請求がこ〜わ〜い〜〜
No.3868 (読書)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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