2012年05月15日の読書
2012年05月15日(Tue)
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本日の初読図書: 堅実な人生設計のもと東京で銀行マンとなった紺屋長一郎(25歳)は、とある避けようのない理不尽な理由から退職を余儀なくされ、出身地である地方都市へと戻ってきた。半年ほどは貯金と失業手当てで食いつなぎつつ無気力に引き籠もっていたが、社会復帰への第一歩として自営業を始めようと考える。 最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋。しかし諸事情によりそれは叶わず、結局は調査事務所を開くことにした。 〈紺屋サーチ&レスキュー〉 想定している仕事はただひとつ。犬探しだ。まあ、猫でも構わない。小鳥だとちょっと厳しいだろうか。ともあれ病み上がりで気力も体力も減退している紺屋には、それぐらいがちょうど良かった。 ……それなのに、何故か開業したその日に舞い込んできたのは、失踪した女性システムエンジニアの捜索と、神社に奉納されている古文書の解読という、想定外の依頼がふたつ。 さらには高校時代の後輩ハンペーこと半田平吉までもが、「探偵に憧れていたんです!」と叫んで押しかけ所員となる始末。 引き受けたものはしかたがない、やってくるものもしかたがない。ならばあとは条件をすりあわすまでだ。紺屋は拒む気力すら持たず、依頼期限や報酬内容を整え、調査へと乗り出す。 ひとまずは手分けをして、紺屋は失踪人を探し、ハンペーには古文書について調べさせた。 しかしまったく異なるはずの二つの件は、調査するにつれて何故か微妙に関わり合ってゆき ――
犬捜しを専門にしたがる無気力な探偵という設定に心ひかれて、手に取りました。普通なら「もっと探偵らしいことをしたいのに、犬捜しや浮気調査ばかり」と文句を言うところで、真逆を行くのがおもしろいと思ったのです。 蓋を開けてみたら、紺屋の現状にちょっと心をえぐられる部分もありましたが、それでも引き込まれて一気に読んでしまいました。 作者さんはオンライン作家出身なのだそうですが、悪い意味でのライトノベルという感じはしません。さりとて重厚すぎることもなく、普通に読みやすかったです。 そして元ネット作家だけあって、紺屋がオンライン仲間GENとチャットするシーンなど、非常に親近感を覚える書かれ方。あと粘着系荒らしにあって、HPを閉鎖する羽目になるサイトマスターさんのくだりも「見る見る、こういう話」という感じ。 ……逆に言えば、そういったネット関係の情報に馴染みのない読者には、いささか判りにくい部分もあるかもしれません。
紺屋とハンペーの視点が交互に語られるのもおもしろいところ。 私は一人称で自己評価の低いキャラを、別キャラから見た描写というのがけっこう好きなのです。ハンペーの方も、登場時の印象とは異なって、けっこうお役立ちで一本筋が通ってましたしvv あとこの二人がちゃんと情報交換しないせいで、早く気付けよあれとかこれとか! とやきもきさせられるのが、また楽しくて(笑)
二つの事件の流れを追いつつ、それがひとつにまとまっていき、さらにそこで物語は驚きの逆転を見せます。そして衝撃の結末と、あとを引く余韻 ―― ついに見つかった失踪者 佐久良桐子と紺屋の会話が、穏やかなのにゾッとするような感じで、非常に印象深かったです。
ミステリ小説でありながら、一度は崩壊しかけた紺屋の再生の物語でもあったこのお話は、シリーズものになるらしいです。……その割には、かなり長らく二巻目が出ていませんが。 しかし出てくれたら、是非これは読みたいところ。もうちょっとアクティブになって、これだけは自慢できるという記憶力を発揮しつつ、ハンペーをこき使って事件解決する紺屋が見たいですvv
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No.3758
(読書)
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今日は久しぶりの雨がそぼ降るなか、傘を差してテクテクと図書館へ。 いい加減に積読が溜まっているので、今日は返却だけ。借りるなら母用に何か1冊程度、と思っていたのですが。 ちょっと時間があったので、のんびりゆっくり並ぶ背表紙を眺めていただけなのに、気がつけば手の中に五冊もの本が。 ……さすがにこれは無理だと、一冊は棚に戻し、一冊は母用、一冊は再読とはいえ……(遠い目) やーなんか、心ひかれるタイトルだとつい取り出しちゃって、あらすじとか冒頭を確認しちゃうんですよね。で、おもしろそうだと小脇に抱えてしまうと。 これだから次兄には書痴呼ばわりされちゃうんだってヽ(´〜`)/
でもなー、私から読書取ったら、ほんとに何も残らんしなあ……
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No.3759
(日常)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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