よしなしことを、日々徒然に……
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 二本目
2011年08月02日(Tue) 
「雪之丞変化」関連のビデオ二本目を見ました。
今回は、雪之丞〜をモチーフに脚本を書き下ろされたという、別タイトル作品「小判鮫・總集篇」です。こちらも主演は長谷川一夫、脚本 衣笠貞之助。白黒映画二本を 110 分ほどにまとめたダイジェスト版というところも、前回と共通しています。公開は 1948 年。
カット部分が多いことと、音が割れていてよく聞き取れなかったところから、よく判らない部分もあったんですが、内容的には確かに雪之丞変化の要素が多く取り入れられていました。
……少なくとも近年放送された某バージョンよりは、よっぽど雰囲気が出てたんじゃないかと(笑)

話は江戸で今をときめく元長崎奉行土居斉人を、役所に訴えようとしている若者 百太郎が登場するところから。岡っ引きに目をつけられて追われる百太郎。彼が逃げ込んだ芝居小屋では、最近江戸で評判の女形 中村紅雀を見物しに、土居斉人とその娘で近々大奥に上がる予定のお蘭、昔の悪事の仲間の五島屋と唐津屋がいた。
舞台を見て紅雀に一目惚れしたお蘭を利用しようと、五島屋と唐津屋は二人を引き合わせるが、予想以上にお蘭がのぼせ上がり、大奥に入ることを嫌って出奔してしまう。
一方、土居の悪事の証拠を探す百太郎は、紅雀の前身が土居が長崎奉行時代に行った不正な裁判で島送りにされた、万兵衛の一人息子 千太郎と知り、彼と協力してことにあたることとする。
しかしお蘭と同じように紅雀に恋慕の炎を燃やす軽業お七が関わってきたことで、話はややこしくなってゆく。お七は紅雀が想いに応えてくれないからと、出奔したお蘭を監禁し、そのうえで土居たちの目を紅雀へむけた。
お蘭の目を覚まさせるためにと、土居たちは紅雀を殺そうと決意するのだが ――

なんで百太郎がいきなり土居を訴えようとしているのかとか、詳しいことはカットされていたので、總集篇を見るだけではわかりません(苦笑)
そのあたり細かいあらすじは 「小判鮫 - goo 映画」をご覧になるとよく判ります。と言うか、私もぶっちゃけそっちを読んでようやく話の次第が飲み込めた次第で。
とにかく台詞が聞き取りにくくて……前回の雪之丞〜では、おおむね原作の内容が頭に入っているので脳内補完できたんですが、今回はオリジナル部分も多かったため本当にさっぱり判らず(−ー;) しかたなくイヤホン使って音量かなり上げて、かろうじて八割ぐらい聞き取れたかな、と言う具合でした。 耳に悪いと判ってはいるんですけどね……<難聴持ち

さて、肝心の感想ですが、とりあえずこれは「復讐物」ではないと感じました。
まず主役が太夫ではなく百太郎(長谷川さん二役。モデルは闇太郎。ただし盗賊ではない)の方でしょう。太夫はほとんどなにもしていません。出奔してきた息女と話をして、あとは百太郎に情報を流しているぐらいで。そもそも復讐しようという意志が彼からはほとんど感じられませんでした。これは親が島流しとはいえ、生きているからもあるでしょう。汚名をそそぎたいという気持ちはあっても、敵を討とうという能動的な気持ちはないように思えました。三悪党への憎しみすら、あまり感じられません。だから彼はあくまで単なる女形。雪さんのように武芸の腕なども持ってません。
また、三悪党が破滅していくのも、太夫や百太郎の仕業というより、自業自得の感です。お蘭が出奔したのは彼女の勝手ですし、諸々のきっかけとなる西国の持ち米を江戸へ回すのも、土居が言い出したことになってましたし。
でもまあ、そういう話だと思って鑑賞すれば、これはこれで面白かったと思います。最後も爽快感のまま終わってくれますし。

見ていて特に楽しかったのは、太夫が口をつけた盃を息女が大事に持ち帰るエピソードが取り入れられていたこと。お七からの伝言に「壁に耳」の言葉が使われていたこと。あと百太郎と太夫の絡みが多かったことも嬉しかったですvv 今まで見たバージョンでは、闇の親分と雪さんが、なんであんなに仲良くなるのか、腑に落ちない感じがあったもので……
そうそう、息女役の女優さんが美人だったのも嬉しかったです。やはりヒロインは可憐で美しくなければvv
あとすごいなと思ったのは、長谷川さんの女形姿の美々しさですね。
公開年を見る限り、前回見た作品より十年以上あとに撮られたはずなのに、こっちの方がずっとお綺麗なんですもの。その舞い姿の見事なこと。袖や裾の乱れないところはさすがプロだと思いました。やはりこの頃が、芸も円熟し、年齢的にもそう無理のない、一番良い頃だったんですかね……
No.3299 (映像)



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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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