よしなしことを、日々徒然に……
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 一日目はこんな感じ
2007年07月14日(Sat) 
久しぶりに夜中に出没してみようと、仮眠を取るべく9時ぐらいに布団に入ったのですが。
……はい、眠気に負けてそのまま朝まで寝続けました。起床十時。十三時間睡眠だぜ、やっほう。

いやもうほんとに気持ちよくて(苦笑)

で、起きてからは久しぶりに家庭内手工業で、旅館なんかに卸す自動販売機用のタオルたたみ&箱詰め作業、540枚。
一人でやってたら一日かかっても終わりそうにありませんが、家族四人で分担してやれば一時間で終わるのだから、数の力ってたいしたものです。

あとは、紙クレ@初代 ZERO3 バージョン3を作成。(提供元:W-ZERO3には紙クレ

 

今度は全体を黒にして、正面にだけ模様和紙を貼ってみました。
あと作成中の写真を撮り忘れてたんですが、今回は作成段階で内部に重りを仕込んであります。なので適度な重さがあり、かつ振ってもジャラジャラ(笑)いいません。バージョン1〜2のように、おはじきが出てこないよう、蓋として押し込んであるティッシュが見えることもありませんし、良い感じ良い感じ(^ー^)
あ、ちなみに今回も重りに使ったのはおはじきです。5〜6個ずつ筒状の紙でくるんで棒状にしたものを、内部の格子状になった隙間に詰め込んでみました。全部で9個ほど詰めたので、トータルでおはじき50個ぐらいでしょうか。けっこうな重さになってます。
最初は乾電池あたりを使おうとしたんですが、案外隙間が小さくて入ってくれなかったんですよね。
適度に小ぶりで重量があって、大きさの調整がしやすいもの……紙粘土あたりがベストなんでしょうが、今度は乾くのに時間がかかりそうですし、なにより手元にないし(←あるもので作る主義)

そして例によってのスキャニングと裁断、久しぶりに小説書きを原稿用紙に2枚と18行。
キャラ投票を始めた当初、直人が二位で健闘していたので直人ネタで書けないかとプロットを作ったものなのですが、最近は晴明が一気にランクアップして直人を抜き去ってしまいました(苦笑) やはり主役は強い模様。
No.1448 (創作)


 芯が細いせいで
2007年06月15日(Fri) 
少々ぐらつきが気になったボールペン改造スタイラス。
芯の根元部分にセロテープを巻いてみました。



巻いてある部分自体はペン軸に隠れて見えませんが、効果のほどはあきらか。しっかり安定してくれました。
おかげで手書き入力も非常に楽になって、ちょっとしたメールぐらいならわざわざキーボードを引き出さなくても簡単に入力できそうです♪

仕事の方は……ははは(遠い目)
とりあえず 戦場だった と。
月に一度の給料日で、現金袋詰め作業に昼休み丸つぶれだったり、普段事務所に顔を出されない方もいらっしゃるからと、渡さなきゃいけない書類を用意したり、顔写真撮らせてもらったり免許証のコピーさせてもらったり……と、もうてんやわんやで。
他にも今日中に投函しなきゃならない郵便入札の準備とか、銀行に証紙買いに行ったりとか、安全書類の準備×3現場分とかとか……

いやまあ、充実しているのは良いことなんですがね(笑)

明日は土曜日だし、現場サイドは軒並み休みだそうですから、これ以上仕事を増やさずにたまったものを片付けられるんじゃないかと。
No.1399 (創作)


 自作スタイラス
2007年06月13日(Wed) 
複数か所に日参しているゼロさんの情報サイトにて、最近、スタイラス機能を持ったボールペンの話題が上がっておりました。
ペン先を取りかえるもの、多色ボールペンの一本がスタイラスになっているもの、ボールペンの形をした単機能スタイラスなど色々ありましたが、これらはこれらでなかなかに便利そうです。実際、ゼロさん本体に収納するスタイラスは、ちょっと細すぎて使いにくいのが玉に瑕で。

でもって、ちょっとネットで検索してみたら、自作している方々もけっこういらっしゃるようでした。
材料としてはいろいろあげられていましたが、100円ショップで売られているお弁当用のプラスチック楊枝をヤスリで丸めるというのが、お手軽かつリーズナブルでよさげな感じ。
そんなこんなで、会社帰りにふらりと100円ショップへ立ち寄ってみました。
さて、お弁当用品は……と視線を巡らせたところで、たまたま目に飛び込んできたのがこれ。



プラスチック製のヘアブラシです。
おお、こ、これは……!
と思わず手に取り、ためつすがめつ。
い、いいかもしんない……

とまあそんなわけで、予定を変更してそれを購入。



トゲの一本を切断して〜



インクを抜いたボールペンの芯につっこんで〜〜



こんな感じに仕上がりました。
三色ボールペンの、ほとんど使わなかった青色を差しかえております。ちょっと先が細くて片方に寄っちゃってますが、まあそこはそれ。
書き味は予想していた、さらにはるか上をいくイイ感じです。
最初から先が丸まっていたので、ヤスリで削ったりする手間が一切いりませんでしたし、ほどよく柔らかい素材なおかげで、画面に傷がつく心配もナッシング。あとこれは偶然のラッキーでしたが、太さがボールペン芯の内径にジャストフィット。押し込むだけでがっちり止まってくれて、ボンドすら必要ありませんでした。
作成所要時間は十分ぐらい。そしてその時間のほとんどは、ボールペン芯からインクを抜く作業に費やされていたり。

あ、ちなみにインクを抜くには、まずペン先部分をペンチで力任せにひっこ抜いたのち、先端にティッシュを当てて後ろから息を吹き込むことで大部分が抜けてくれます。で、さらに水を吹き込んで内部を洗い、最後はコヨリ状に細くしたティッシュペーパーを通してやれば綺麗になります。(母などは、針を使って毛糸を通してやれば? とか言っておりました。それもなかなか有効そうです)

幸い材料はまだ大量(笑)にありますし、自宅用と会社用でもう何本か作ろうかなあ。
No.1395 (創作)


 天気予報はあてになんねえ
2007年03月04日(Sun) 
昨日の段階での天気予報は曇のち雨、明け方一度目が覚めた段階でもやっぱりそれは変わらず。
……これは無理かとあきらめて二度寝し、改めて目覚めたお昼前。
世間は雲ひとつない快晴でした(笑)

そんなわけで、



先日作った紙クレードルに塗装してみました。
改めて塗料を買うのは物入りですが、幸いにも物置に埃まみれの使いさしが残っていたので、ありがたく拝借させていただくことに。
重ね塗りしてー、軽くサンドペーパーかけてー、上から木工用の透明ニスを筆で塗ってー。

……例によって、見かねた母が横から手を出し、全工程の半分以上をやってくれちゃったりしたんですが。 ……なんでそう、黙って見守るということができないんだ、うちの母は_| ̄|○

まあ、そんなわけで、最終的にこんな感じになりました。

   

例によって、マニキュアと爪楊枝で描くワンポイント入りvv
ぱっと見、ちょっと紙とは思えない仕上がりになってくれました。塗料とニスで補強もされて、一石二鳥です。

……会社用にも一個作ろうかなあ(笑)
No.1162 (創作)


 作ってみた
2007年03月02日(Fri) 
ゼロさんを机の上に置く際、どうも安定がよろしくないのでクレードルなど欲しいのですが。
しかしいい加減財布の紐を引き締めないとまずいですし、なによりクリスタルケースを装着したままでは、置けそうにないのが思案のしどころで。
で、ケースを着けた状態での使用報告はないかとネット上をさまよっていて、面白いものを発見しました。

■W-ZERO3には紙クレ
 http://tokiolapalm.cool.ne.jp/giken/20060115paper/cradle.htm

充電やアクティブシンクの機能は ―― 当然 ―― ありませんが、スタンドとしてはなかなか便利そうです。
なによりある物でできる(笑)
そんなわけで、帰宅するなり夕食もそこそこに挑戦してみました。



工作用紙は手元になかったし、頑丈さを求めたかったので、かなり厚手のボール紙を使用。
厚さの分、微妙に内部がたわんでしまってますが、まあそこはそれ。
しかしこの見た目は少々おおざっぱにすぎるので、さらに全体を紙でくるんでみました。



なかなか良い感じに仕上がったんじゃないかと。
ゼロさんを置いた状態はこんな感じ。



ケースを装着したままでも問題なく使用できます(^ー^)
手前部分の出っぱりに、キーボードと液晶の間にある溝が引っかかる形で、危なげなく安定してくれるのが憎いところ。
ちょっとゼロさんを置いておくスタンドが欲しいという方で、工作が苦にならない方にはオススメですvv


さらに本日のゼロさんインストールソフト>

■CustomClock & LCD TIMes II
 http://www.dream-seed.com/weblog/ (CustomClock)
 http://www.geocities.co.jp/frontier2468/w-zero3_es/w-zero3_ms.htm (LCD TIMes II)

Today 画面に時計を表示するソフトと、そのカスタマイズ用スキンです。
デジタル表示のあまりのクールさに一目ぼれ。
時計ならタイトルバーの表示とSQ画面のアナログ表示で充分用が足りているというのに、ついつい入れてしまいました。
もっとも秒表示までするとメモリを食いそうだったので(それにちらちら動いてると気をとられますしね)、時分と日付と曜日のみ設定。
最初、どれが最新バージョンかわからなくて、2回も古いファイルを入れてしまい、「タブが表示されない〜〜!?」とか「曜日の設定ってどこでするの!?」とかさんざん手こずってしまいましたが、どうにか無事に設定完了。
……↑の紙クレードルといい、これほどの物を開発できる人って、脳味噌の中どんなんなってるんでしょう(誉め言葉)
No.1159 (創作)


 山路にて  蟲師二次創作
2006年08月27日(Sun) 
 目の前に続く、いつもと変わらない景色が、妙に現実味を欠いて見えた。
 様々な色の、緑。
 木漏れ日に照らされ、明るく輝く黄緑もあれば、木立の合間にわだかまる、どろりと暗く濃い深緑もある。
 葉擦れに合わせてちらちらと揺れるそれらが、視界の中で徐々に境界を失ってゆくような気がする。

「……あっちぃ」

 ぼそりと洩らした呟きは、乾いて貼りつく喉の粘膜のせいで、ほとんど形にはなっていなかった。
No.697 (創作)


 脳内暴走とりあえず終
2006年08月24日(Thr) 
「世話になったのは、こっちも同じだ」

返された言葉に、今度はこちらが困惑した。

「別に、なにもしてやった覚えはないが」

そう返すと、蟲師はかぶりを振る。

「あんたがいなかったら、あんなにあっさりと家に上げてもらえなかっただろうよ」
「それは」
「薬だって素直に受けとってもらえた。あんたの口添えがあったからさ」

流れ者の蟲師の言葉など、そう簡単に信用されるものではない。
なにが入っているかも判らぬと、差し出した薬をふり払われることなど珍しくもないのだと。
そう言って男は肩をすくめる。

―― 確かに。
相手は素性も知れぬ、流れ者だ。
余所者に対する警戒心の強いこのあたりでは、なかなか受け入れてもらえるものではないだろう。まして蟲師というあやしげな職業の上に ―― この見た目では。
このあたりではまず見ることのない洋装に、白い髪、白い肌、深緑の瞳。どれひとつとっても異質に過ぎるそれだ。
弱みを見せれば、どんな無理難題を吹っかけられるやもしれぬ。そんなふうに思われても無理のないところだ。
しかし、この男の治療は適切なものだった。
蟲に対する手当ての術など知るはずもなかったが、それでも先刻の治療が患者をなにひとつとして害さなかったことは断言できる。なにより患者は目に見えて回復している。
自分では、せいぜい容態を悪化させぬ程度のことしかできなかったというのに。
―― 皮肉な話だと、思う。

たまたま顔見知りだったからというだけで、なにをすることもできなかった己が信頼され、
たまたま余所者だったからというだけで、患者を救った蟲師が忌避される。

「あんたはすげえよ」
「皮肉か」

思っていたことを見透かされた気がして、尖った声を返していた。
だが蟲師はゆるく首を振り、取り出した煙草へと火をつける。

「あの家族は、ひとえにあんたを頼りにしていた。それは多分、これまであんたがこの場所で生活して、彼らといっしょに培ってきた『信用』ってやつなんだろう」

吐き出された煙が、風に乗ってふわりと漂う。

「ひとっ所に留まることのない俺には、到底得ることなどできないものだ」

一朝一夕には形作ることなどできない、長い時をかけてひとつひとつ重ねてきたそれ。

「……お前ほどの腕があれば、どこかで開業しても、充分やっていけるんじゃないのか」
「蟲を寄せる体質でね」

煙を吐くその仕草が、どこかため息めいたものに見えたのは、単なる感傷に過ぎなかったのだろうか。

◆  ◇  ◆

あれから何年が過ぎたのか、別に数えていないから覚えてもいない。
ただ数ヶ月か、場合によっては数年に一度。思い出したように蟲師はこの里を訪れる。
蟲にまつわる珍しい品と、珍しい話を携えて。
時には倉の中にある収集品を、見せてくれと乞いに来ることもあった。
あの目立つ風体だ。そんなことが二度、三度と続けば、近在の者もいい加減顔を覚える。
最近では訪れる数刻も前から、その姿を見かけたと、そんな知らせが入ることもあった。

「 ―― 静寂を喰う蟲“阿”に寄生された時できる角か」

こりゃ珍しい。
顔を上げると、ギンコはさらに新たな品を取り出していた。
そうしてこれ見よがしにちらつかせながら、意味ありげな笑みを浮かべてみせる

「ちょっと、協力して欲しいって話なんだが」

人望の篤い化野センセイに、少々口添えしていただきたくてね、と ――

「ほう……? いったい何事だ」
「聞いたことはないか。液状の蟲の、そのなれの果てのことを……」
No.689 (創作)


 脳内暴走その4
2006年08月24日(Thr) 
薬を調合する手つきは、慣れた危なげのないものだった。
物入れについた幾つもの引き出しから、迷い無く薬種を取り出し、きちんと計って混ぜる。

患者の容態は、目に見えて改善していた。

「あとはこれを、一日一包、寝る前にぬるま湯で飲んでください」

そう言って、薬包紙に包んだ薬を畳の上に並べる。

「飲み過ぎれば毒になる。必ず一日に一包だけです」

そう、念を押す。

横から見ていたところ、その言葉に誤りはなかった。
薬種はほとんどが見慣れたそれで、幾分変わった調合ではあったが、その効力を察することはできた。確かに摂取しすぎるのは禁物だろう。しかし ―― そういった薬は数多い。と、いうより、たいがいの薬はそういった側面を持ち合わせているものだ。

患者の家族は、うかがうようにこちらへと視線を投げてよこした。
うなずいてみせると、ほっとしたように表情をほころばせ、そうして薬へと手を伸ばす。



蟲師と共に患者の家を出て、しばらく共に歩いた。
特に他意はない。たまたま向かう方向が同じだっただけだ。
そうして無言のまましばし歩み続け、道が分かれたところで足を止める。
蟲師もまた、そこで足を止めていた。どちらに行こうかと迷うように、道の先を見比べている。

「……世話になった」

そう口にすると、不思議そうにこちらをふり返ってきた。

「なにか、あんたに世話をしたかね?」
「患者を救ってくれた。それ以上の『世話』はないだろう」

その言葉に、男はわずかに眉を寄せ、言葉を探すように宙へと視線をさまよわせた。
そんなふうにすると、作り物のようだった顔が、不思議と人間らしいものに見えてきて、おやと思う。

「患者を取っちまったんで、怒ってたんじゃねえのか」
「そんなふうに見えたか」
「ああ」

そうか。
そういう解釈もあったのかと、己を見返り反省する。

「俺が怒っていたのは、そんな理由じゃない」
「というと?」
「……患者やその家族に聞こえるところで、不安にさせるような言葉を口にする、その無神経さに腹を立てていたのだ」

たとえそれが掛け値なしの事実だったとしても、患者の治療に携わる立場にある者は、けしてそれを表に出してはならない。
嘘であろうとも、治ると。
大丈夫なのだと。
そう信じさせること。それが医者として最低限やり遂げなければならないことなのだ。
―― たとえ自分自身はそれは嘘なのだと判っていても、信じることができなくとも。

「そいつは……すまなかった」

沈黙の後、蟲師はそう言って頭を下げた。
あまりにもあっさりしたその仕草に、いい加減に聞き流されたのかと、別の意味で怒りがこみ上げそうになる。

だが、
再び顔を上げた蟲師は、意外なほど真摯な表情をたたえていた。
No.688 (創作)


 脳内暴走その3
2006年08月23日(Wed) 
「こいつは、蟲の仕業です」

土間の暗がりの中で、薄い唇が動く。
作り物のような白い顔の中で、やはり色のない唇が淡々と言葉を形作る。
その口元から、指先から、白い煙が立ちのぼり、まるで妖しのもののようにあたりを漂っていた。

「……蟲?」

そう呼ばれるものの存在は知っていた。
好事家として名を知られるようになってからこちら、自分の方から求めなくても、珍奇なものや情報が自然と集まるようになってきていた。その中には、蟲という存在にまつわるそれもずいぶんな割合で含まれていたものだ。そしてそれらはなかなかに興味深く、自身の蒐集欲をかなり刺激してくれていた。
だが ―― 真贋の定かならぬそれらの品や、嘘か真やも知れぬ噂話の他に、『それ』と接したことなどありはしなかった。

「ええ。ただの治療だけでは、いくぶん症状を抑えられる程度。このままではその患者 ―― 命に関わります」

ひっ、という息を呑む気配がした。
振り向かずとも判る。部屋の奥からおそるおそるといった風情でのぞいていた患者の家族達が、その言葉を耳にしたのだ。
内心、思わず舌打ちする。同時に激しい怒りが胸の内にわき起こった。
いったい、なんという言葉を口にするのだ、この男は。
たとえそれが事実であったとしても、患者と、その家族の耳に入る場所で。

出て行け!

(……そう口にできたなら、どんなにか胸がすくだろう)

肩が揺れぬよう、注意して深く息を吸った。

「お前なら、治せるというのか」

低く問いかける。
相手の反応をわずかも見逃さぬよう、真っ直ぐに見すえて。
白髪の男は、ただ無言でうなずいた。
深緑のその瞳が、静かな光をたたえてこちらを見上げている。どんな気負いも、焦りも浮かんでいない、硝子玉のような目。
まるでその男そのものが、無機物でできたまがい物でしかないような、そんな雰囲気を身にまとっていて。

「 ―― あがってくれ」

顎をしゃくって、背中を向けた。
そうすると、柱の影からのぞく顔が目にはいる。

「せ、先生……」

不安げに見つめてくる彼らに、笑いかけた。

「大丈夫だ。おかしな事をしようとするなら、私が止める」

そう言ってうなずいてみせると、彼らは困惑したように顔を見合わせ、それから蟲師と名乗った男の方を見、おずおずと頭を下げた。

「よ、よろしくお願いします」

男は、やはり表情を変えぬまま、小さくうなずいただけだった。
No.686 (創作)


 脳内暴走続き
2006年08月23日(Wed) 
縁側に広げられた今回の品揃えは、またなかなか興味をそそられる物ばかりだった。
ひとつひとつを手に取り、向かいに座った蟲師から、その来歴を逐一聞いてゆく。余計な修飾のほとんどない、淡々とした言葉で語られるその物語。珍かな品を持ち込んでくる人間は彼の他にも幾人かいたけれど、いかにもこちらの興味をそそろうと、大仰なまでに抑揚をつけて語られる彼らの物語よりも、この蟲師の淡々とした語り口の方がよほど心を引きつけるのだから皮肉なものである。
降り注ぐ陽差しに、その白い髪が眩しいほどに光っている。山深くに存在する淵を思わせる濃い碧の瞳も、今は陽差しを映りこませ、明るく輝いている。

「 ―― と、いうわけでね。報酬としてこいつをもらったってことさ」

そう言って蟲師は、七色の光を封じ込めた、水晶のような欠片を手のひらで転がしてみせる。

「どれ、ちょっと見せてみろ」

ちょいちょいと指で招けば、ほれとつまんだ指先が突き出される。
手のひらで受けると、指先が一瞬、かすめるように触れた。乾いてささくれた、けれど温かな、生き物の持つ柔らかさを宿すその感触。

―― 不思議なものだ、と。

そう思った。
なにが不思議だといって、この男をこうして客として迎え、当たり前のように会話しているそのことが不思議だ。

(……蟲師の、ギンコと申します)

そう言って暗い土間から見上げてきたこの男に、自分が最初に抱いた感情は。
それは紛れもなく、激しい不快感と怒りだったと言うのに ――
No.685 (創作)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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