2011年09月01日の読書
2011年09月01日(Thr)
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本日の初読図書: 先日読んだ「マックス・カラドスの事件簿」と同じく、創元推理文庫から「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」と副題をつけて出版された、第一期七作品の内のひとつ。 ボストン在住の哲学博士であり法学博士であり、王立学会会員かつ医学博士。その他様々な肩書きを持つオーガスタス・S・F・X・ヴァン・ドゥーゼン教授を主役とする短編集です。 ドゥーゼン教授の外見は、けして格好良くはありません。矮躯で細身で、不格好に大きな頭はまるでドームのよう。分厚い眼鏡の奥の水色の瞳は、斜視の気まである。解説文いわく「むしろグロテスクと言うのが適切なくらいの畸人」。 しかしその頭脳は卓越していて、持ち込まれた不可能とも思える事件を、見事に解きほぐしてゆきます。その推理は論理を重要視し、口癖は「二足す二は常に四だ」。 どちらかというと安楽椅子探偵に近く、もっぱら新聞記者のハッチと電話を駆使して情報を集め、現場にはまったく行かないこともしばしばです。 謎を解くことを楽しみとし、報酬は謎そのものだとしているので、たまに金銭を受け取っても施設に寄付したり。 なかなか特徴的かつ、魅力的な造形ではないでしょうか。 肝心のストーリーやトリックも、かなりおもしろかったです。論理的を謳う古典ミステリは、いま読むと「なんだかなあ」と思う作品も多いのですが、この本は収録11作、どれもほとんどそんなことがありませんでした。
ただ困ったのは、何故か読んでいると眠くなってしまうこと(苦笑) 面白いし、文章だってそんなに難解でもなく、人間関係も呑み込みやすいのに、どうしてなのか文字を追っていると眠気が……(−ー;) 一回開くごとに一話読むのがやっとという日が続き、今日になってどうにか ―― やはり途中何度か沈没しつつも ―― 後半を読み通すことができました。読み始めてから五日もかかっちゃいましたよ。 おもしろかったので続きを借りるのにやぶさかではないのですが、次回もこんなふうになるのであれば、返却期限までに読み切ろうとするなら、いっしょに借りる本は考えた方が良いかもしれません……
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No.3337
(読書)
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2011年08月29日の読書
2011年08月29日(Mon)
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本日の初読図書: 「極東の鴉(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n5867v/
酒と煙草が相棒で死因。二十九歳で生涯を終えた「彼女」の魂は、異界の魔女 椿の元へと召喚された。なんでも肉体を与え、魔法などを教えてやるのと引き替えに、間もなく休眠につく椿の代わりとして十年の兵役について欲しいという。それが終われば自由の身だと。 特に元の世界への未練も執着もなかった彼女は、あっさりと答える。 「おいしいお酒が飲めるなら」 そうして彼女は露草と名付けられ、一年間の修行ののち軍隊へと配属される。 魔物が跋扈するもうひとつの地球で、酒に酔いつつ軍役をこなす、変わり者の魔女の日常と恋の行方は ―― ?
「義妹が勇者になりました。」の作者さんが突発で書かれた、異世界転生ファンタジー。全二十二話完結済です。 主役の一人称なんですが、物事に執着のないタイプなためか、割と淡々と進んでいきます。その代わり、後半はいろんな意味でニヤニヤとさせられるのですけれどvv 個人的に鮫島少尉は別格。しかし青桐少佐も悪くないなあなんて思いました。こういう変人に懐かれるパターンって弱いんですよね。 途中、皐月の未来がどうなることかとハラハラしましたけど、おおむね平穏に終わってくれて、まずはめでたし。琵琶湖の青龍がお友達になってくれたのなら、露草が天寿を全うしても孤独にはならないでしょうし。 良いお話をご紹介ありがとうございました♪>雪華さん
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No.3333
(読書)
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2011年08月27日の読書
2011年08月27日(Sat)
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本日の初読図書: スポーツと機械いじりが好きな少年 砂塚茂は、学校帰りに立ち寄った古道具屋で、奇妙な円筒型の機械を見つける。興味をそそられ購入したそれをいじりまわしていたところ、気がつくと彼は江戸時代の村落へと飛ばされていた。そこでは幕府に不満を持つ風魔忍者が、代官所を襲っている真っ最中であった。身を守る成り行きから風魔忍者を下した茂を、代官所を守る伊賀忍者達は隠密のひとりと勘違いし、自分達の頭領として共に戦ってほしいと願い出てきた。 少年らしい正義感と冒険心から彼らに手を貸す事にした茂は、現代人の健康で鍛えられた運動能力と知識、かんしゃく玉や懐中電灯といった文明の利器によって風魔忍者を圧倒してゆく。しかし過去と現代を行き来するうちに、担任の女教師である高尾先生を巻き込んで江戸時代へ連れてきてしまい、しかも彼女が人質として風魔にさらわれてしまう。 先生を取り戻すためには、ひとりでは力が足りない。そこで信頼ができて腕が立ったり頭の良い友人達にことの次第を打ち明け、協力を頼むのだが ――
そんなわけで、タイムスリップ、主役最強チート、完結作です。某所の掲示板で紹介されていたので、図書館で借りてきました。 最近では漫画化もされているらしいですが、とりあえず原作の方。↑は最近刊行された再版ものなので、他の作品も収録されているそうですけれど、私が借りたのは表題作のみの古い本です。 ちなみに出版は昭和53年。文体はジュヴナイル。人を殺すことについての葛藤とか全然触れられていないあたりが、いかにも少年向け冒険小説でした。他にも、いろいろな物資を過去に持ち込む際の資金源とか謎のままだし(中学生?高校生?どちらにしてもどこからオートバイ二台も調達したんだ)。 もちろん、過去を改変することへの悩みとか、タイムパラドックスとかもありません。最近のトリップものを読み慣れていると、ちょっとそのあたり物足りないかな。 お約束通りで、かなりさくさく読めるのは良かったです。終わり方は……ちょっと尻切れトンボっぽい? 文字通り、子供の頃に読んでおきたかったかもしれない作品でした。
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No.3329
(読書)
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2011年08月26日の読書
2011年08月26日(Fri)
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本日の初読図書: 3の上巻、シリーズトータルでは五冊目。 下巻がもうすぐ出るので、それからまとめ読みしようと積んでいたのですけれど、そろそろ事前復習を……と三冊目から読み返していたら、いっきに読んでしまいました。恐るべし、ヤエト。 相変わらずしょっぱなからヤエト倒れてます。しかも原因不明。その布団の上を我がもの顔で陣取るシロバの巨大ヒナ×2が可愛いです。愛らしいです。ヤエトはヒナにとって義理の兄扱いだそうで。母鳥より愛されているそうです。シロバからはヒナ扱いだし。ビバ、鳥に家族呼ばわりされる男(笑) そしてやっぱり相変わらず、黒狼公として恐ろしい人に求婚されてみたり、北方から人質交換持ちかけられて人質に同行してみたり、その行く先で殺害計画練られてみたり、皇帝にいろいろ見抜かれてみたりと、苦労がまったく絶えてません。不憫な。 某所掲示板の「翼の帰る処」スレッド(あるんだこれが)で「知るかボケ」が多用されていると思ったら、本作でこんだけ使われていたとは。どんどん口(心内語)が悪くなるなヤエト(笑) 読み慣れてきたのか、妹尾さんがこなれてきたのか、今回はずいぶん文章が読みやすかった気がします。「知るかボケ」の回数からいくと後者なのかもしれませんね。 下巻、早く来ないかなあ♪
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No.3328
(読書)
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2011年08月25日の読書
2011年08月25日(Thr)
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本日の初読図書: アメリカ人男性のエヴァン・マイクル・タナー(三十四歳)は、十八のとき朝鮮戦争で頭に銃弾を受け、眠ることができなくなった。その代わりと言ってはなんだが、普通の人間ならば十六時間しか起きていられない一日を、彼は二十四時間フルで活用できる。語学の勉強と読書にそれらの時間を費やし、趣味はあらゆる思想団体に所属しては、論文を書いたり送られてくるパンフレット類に目を通すこと。 そんな彼は学士論文の非公式な代筆で生計を立てていたが、その資料を集めている最中、ひょんな事からトルコに隠されているという莫大な隠し財産の存在を知った。数十万ドルに及ぶアルメニア金貨を求め、タナーはひとりイスタンブールへと旅立つ。ところが空港に着いた途端、いきなり拘束され監獄へと放り込まれてしまった。 トルコ政府は、あまりに多くの思想団体に属するタナーをスパイだと疑い、投獄のうえアメリカへ強制送還することに決めたのだ。しかし金貨を諦めきれない彼は、飛行機乗り換えの隙をつき、アイルランドで逃げ出した。あっと言う間に指名手配されるなか、どうにかしてトルコへ戻ろうとするタナー。そんな彼へと正体不明の男が接触し、謎の書類と「しかるべき人物に渡してほしい」との言葉を残して殺されてしまう。 優れた語学力と、各国に散らばる無駄に多い人脈を頼りに、タナーは追っ手をかわしつつトルコを目指す。しかし機密書類を追うイギリス当局やら、頼りにした思想家達の危ない活動によって行く先々でトラブルに巻き込まれ、事態はどんどん物騒になってゆく ――
タイトルと裏表紙のあらすじを読んで、泥棒モノかと思って借りてみたら、スパイもの(しかも変則)でした(苦笑) 十八の時から一睡もしたことのないタナーは、記憶力も抜群で、言語も含めてちょっとどうかと思うぐらい脳内に情報をため込んでいます。けれど行動自体はかなり行き当たりばったりというか、おっちょこちょいというか。 最後には終わりよければすべて良しと言う感じで、かなり成り行き任せのラッキーマンでした。 途中、相当に血生臭い展開もあって、しかもそれが最終的に一番評価されているのがなんだかなあという感じ。 東西冷戦時代が舞台とのことですが、私が当時の情勢ほとんど分かっていないことで、おもしろみも半減しているのかもしれません。 そのあたりくわしくて、かつ007とかインディー・ジョーンズとか好きな人には、かなり楽しめるんじゃないかと。
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No.3324
(読書)
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2011年08月24日の読書
2011年08月24日(Wed)
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本日の初読図書: 十九世紀後半。ケンカ中に頭をバールで一撃されたコネチカット出身のヤンキー(鉄工所勤務の職人)が、五〜六世紀のイギリスはアーサー王の時代にタイムスリップ。危うく死刑にされかかるものの、月蝕を利用して魔法使いとしての地位を確立。己の命を守りつつ、未開の国をより良くしようと活動してゆく。
作者がトムソーヤの冒険のマーク・トゥエインでお分かりの通り、かなりの古典。 ……ネットであらすじを見つけて、おお異世界トリップチートのはしり! と喜んで借りてみたものの、あまりの読みにくさに半分で挫折しました_| ̄|○ これを読むために、アーサー王三部作読破したようなものなのに(しくしく) うーん、文章がね、合わないというか。かなり冗長だし、欧米文化に乗っ取った比喩表現が多用されていることもあるんでしょうが、とにかく分かりにくくって(汗) あと感情移入できる魅力的なキャラというものが登場しないのも、気分が乗らなかった原因のひとつでしょう。とにかくアーサー王時代の人間をこき下ろしまくっているので。まあ、風刺小説なんだからしょうがないんですけど。 おもしろい人にはかなりおもしろいようなので、これは賛否両論別れるんじゃないかと。
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No.3323
(読書)
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2011年08月23日の読書
2011年08月23日(Tue)
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本日の初読図書: 倒しても倒しても復活してくるホシミノコトのウザさにいい加減むかついてきてましたが、これでなんとかなったんでしょうか? 一般民達も、ホシミノコトへの信頼を失ったようだし、ちょっと一安心。 妖芽の皇子も、ちょっとはラカンに歩みよったの……かな? 次回予告で金隷が自分を取り戻しているようなので、あとは妖芽の皇子との和解になるんでしょうか。重雪さまがどうなっているのかも気にかかりますが。 しかし正直心配なのは、今後の千艸だったり……ぶっちゃけラカンの寿命ってどうなってるんだろう(汗) 千年生きてきた不死身の千艸が幸せになるのに、もはやラカンや親衛隊のみんなの存在は不可欠だと思うんだけど、すべてが無事に終わっても千艸が取り残されてしまうのではと思うと……(オロオロ) ここは精霊になったっぽい、鈴蕾さんに期待するしかないのか。
しかしすごいのは、ここまでシリアスに攻めていても、未だに笑いを忘れないこと。 主匪よ……(笑)<我刀さんに抱きつき事件
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No.3322
(読書)
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2011年08月20日の読書
2011年08月20日(Sat)
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本日の初読図書: 「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」と副題がついた、十九〜二十世紀初頭頃の探偵を集めた全集のうち一冊です。 そのなかでもマックス・カラドスは、盲目の探偵というひときわ変わった御仁。 二十代になったばかりの頃、乗馬中の事故で失明した彼は、驚異的な努力と訓練により、目が見える人間には持ち得ない鋭い感覚を手に入れた。見た目に惑わされることなく、あらゆる人の声を聞き分け、遺留物の匂いをかぎ分け、その鋭い指先の触覚は印刷物に触れることによって文字を読みとることすら可能とします。 また従僕のパーキンソンは、驚異的な観察力と記憶力によって主人のサポートをし、友人の私立探偵カーライルが良きワトソン役を務める。なかなかおもしろい設定ではないでしょうか。 邦訳作品が少なく、また訳されているのも文章がいささか古いのが残念なところです。 原文の文章もちょっとぎこちないのでしょうかね。今回収録されていた八作品のうち、最初の二〜三作は正直かなり取っつきにくかったです。人間関係とか、今その人物がどこにいるのか(旅行中だというのが、何ページも進んでからようやく判明する)とかが判りにくくって。一度最後まで読んでから改めて再読して、ようやく楽しむことができました。 カラドスの推理がときどき「それ根拠ないやろ」ってのと、偶然が重なりすぎるのがいささかマイナス点かと。 個人的に新しい訳で読んでみたいです。二十数編あるという、他の作品も。
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No.3319
(読書)
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2011年08月19日の読書
2011年08月19日(Fri)
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本日の初読図書: 同タイトルの小説のマンガ版。 正直、作画があんまり好きな作家さんではなかったので迷ったんですけど、原作大好きなのと表紙絵が悪くなかったこと、古本で安くなってたのが合わさって買いとなりました。 結果は……うーーーん(悩) 安く古本になってたのが判らなくもないというか。 台詞とかモノローグとか、原作の雰囲気をとても大事にしているのはよく判ります。 でもやっぱりなんか違うんですよねえ。 もともとが「マンガっぽい小説」なので、マンガにすると「普通のマンガ」になってしまうのかもしれません。メディアミックスって難しいです。 あと原作を知らないと、よく飲み込めない部分も多いんじゃないかなあとか思いました。 坂木の感情に引きずられて、普段動じない鳥居が子供返りを起こすシーンなど、もっと「普通じゃないこと」のように描写してほしかったのに、なんかあんまり違和感がなかったのがかえって違和感だったり。坂木の異常な涙もろさの理由とかもね、触れてほしかったなあとか。そのあたりは今後で語られるのでしょうか。 続きも連載されているようですが、買うかどうかは微妙なところです……
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No.3318
(読書)
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2011年08月17日の読書
2011年08月17日(Wed)
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本日の初読図書: 三部作完結編。 若き日のアーサー王とその異父姉モルゴースとの間に生まれた子供モルドレッドが、父から王位を奪うべく策動を始める。グウィネヴィアとランスロットの禁断の恋を利用して円卓の騎士団と王国を二つに割り、ランスロットとアーサー王の間に内戦を起こさせる。そして自分はその隙にアーサー戦死の噂を流し、玉座はもちろん王妃グウィネヴィアまでも手に入れようと…… いやもう悲しいまでに、これまで英雄であり固い友情で結ばれていた騎士達が、互いに剣を切り結んで死んでゆきます。アーサーと王妃とランスロットは、三者ともに互いを大切に思いながらも、その立場ゆえに戦うことを余儀なくされ、血で血を洗う悲劇に。 個人的にお気に入りだった台所の騎士ことガレスが、それと気付かないままあっさりランスロットに殺されちゃった時なんて、思わず茫然としちゃいましたよ。ランスロットもそれであとから苦悩するんですけどね。結果的に弟の仇としてガウェインと対立する羽目になったりとかして、もう救いようがない(泣) アーサーの死(?)後、ランスロットとグウィネヴィアの関係が最終的にどうなるのかが気になって、いっきに最後まで読み通してしまいました。ううう、こう収まるのなら、どうしてもっと早く……と思ってしまうのは他人事ゆえか。でも切ないです(しくしくしく)
結局、このサトクリフ版の主役は、アーサー王ではなくランスロットだったのではないでしょうか。最高の騎士と呼ばれる英雄でありながら、あまりに人間らしく苦悩に満ちたその生涯には、深く感情移入させられました。 その他の「アーサー王もの」とどう違うかは、これしか読んでいないのでなんとも言えませんが、予備知識のない人間が入門編として読むのにはちょうどいいバージョンだったと思います。
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No.3316
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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