よしなしことを、日々徒然に……



 2011年12月03日の読書
2011年12月03日(Sat) 
本日の初読図書:
4488024394豪華客船エリス号の大冒険
山口 芳宏
東京創元社 2008-11

by G-Tools
四場浦鉱山事件で知己となった弁護士の殿島と、気障で格好付けの名探偵 荒城、義手で口数の多い自称探偵 真野原。
今日も殿島は荒城の事務所を訪れ、彼と真野原が起こした騒動の顛末を聞いていた。そんなところへ新たな依頼人がやってくる。田村と名乗った彼は十三年前 ―― すなわち昭和十五年、イタリアから日本へ戻る航海の際に遭遇した奇怪な体験を語り、そしてその時に見た美女の人形と瓜二つの女性を見かけたから、正体を探ってほしいと依頼してくる。しかし彼がすべてを語っていないと感じた荒城は、にべもなく依頼を断ってしまった。
しかし後日、別の依頼人がやってくる。河崎という十七歳の少年は、先日事務所を訪れた男 ―― 本名は友田といった ―― の養子だと言い、彼が事故とも殺人ともつかない状況で溺死したことを告げた。
残された友田の遺品には、豪華客船エリスの招待券と謎の手紙があった。エリスの招待客は、十三年前の航海に乗っていた人々と同じ顔ぶれらしい。そして謎の手紙にはこう書かれていた。
「荒城君もいっしょにどうだね」、と……
差出人は「夜叉姫」。一部の怪しげな雑誌などで伝説的に語られている、謎の犯罪者である。数々の残虐事件、未解決事件に関わっているとされ、その実体は謎に包まれている。存在自体も公には認められていない犯罪者が、荒城を名指しにしているのだった。
友田の死に責任を感じた荒城は、この挑戦を受け、河崎・殿島と共にエリスへと乗り込む。ひそかに盗聴器で事情を聞いていた真野原も同行しようとするのだが、こちらは招待状がないため、船側から拒絶されてしまった。
出航後まもなく宝石盗難事件が起きたものの、それは荒城があっさりと解決する。それから一ヶ月に及ぶイタリアへの航海の間、ほとんど異変らしいものはなかった。しかし船がスエズ運河を越え地中海に入ってから、次々と事件が発生する。船長の失踪に始まり、再び宝石が盗まれ、乗客が次々と姿を消す。
やがて死体が発見され ―― そして船内の複数箇所で爆発が起こり、船は救助信号も発せられないまま、地中海のただ中で漂流を始めることとなって ――

雲上都市の大冒険に続く、シリーズ二作目。
戦後頃の冒険推理ジュヴナイルっぽさを意識した小説です。もっとあくまで「ぽい」ですが。
滝の上で格闘しているときに「バリツ」がどうのとか言ってみたり、「猫にホームズと名付けるのは無礼」とか「ルパンは犬の名前」だとか書かれているところでは、ついにやりとしてしまったり(笑)
それにしても荒城さんは、前回に引き続き「本当に名探偵……?」と首を傾げたくなる感じです。本当に活動派というか。爆弾処理とか避難誘導はできるけれど、推理はからっきし。ほんとに真野原が登場するまでの情報収集役ですね。で、殿島さんが集まった情報を真野原に伝え、頭脳派真野原があっさり真相を解明。そして犯人からの反撃を再登場した荒城が防ぐ、と。
そんな感じで、すっかり役割分担ができてますな。今回は三人が最初からそれなりに仲良いので、ますますそんな感じです。
途中、荒城が企んだアレについては……前作エピローグの段階で「それはない」と判り切っているので、騙されている殿島さんがどうにも見ていられないと言うか、このエピソード自体入れる必要があったのかというか……むう(−ー;)
真野原が頭良すぎるせいで、彼の登場を遅らせる必要があるというのは、某龍之介シリーズにも通ずるものがあるので判りますが……いっそ荒城を探偵よりもボディーガード的な存在にした方が映えるんじゃないかとか、そんなふうに思ってしまいます。
一生懸命で、罵倒されてもめげない荒城の一本気さが好きなので、彼の見せ場が少ないのは正直切ないッス……
No.3508 (読書)


 2011年12月01日の読書
2011年12月01日(Thr) 
本日の初読図書:
4488698042無限の境界 (創元SF文庫)
ロイス・マクマスター ビジョルド Lois McMaster Bujold
東京創元社 1994-07

by G-Tools
士官学校を卒業してまだ正式配属前のマイルズ(20才)が、領主である父に代わり未開の農村で起きた嬰児殺しを裁く「喪の山」。
23才時に、様々なシンジゲートが集まるジャクソン統一星系で、科学者を一人亡命させることをきっかけに、遺伝子操作された実験体を救い出すことになる「迷宮」。
「親愛なるクローン」直前の24才時、セタガンタの捕虜収容所に身ひとつで潜入し、一万人の捕虜達を脱走させる「無限の境界」。
以上。三本収録の中編集でしたが、どれもみっちり詰まっていて、長編三本読んだぐらいの気持ちでおなかいっぱいになりました。
「喪の山」はミュータントを忌避する頑迷な村人達の間で、自らも偏見の目にさらされながら、懸命に最善を尽くそうとするマイルズが格好良くも切ないというか。この話だけは、傭兵団も軍士官だと言うことも関係なく、むしろ領主の跡取り息子という点に焦点が当てられていました。
二話目「迷宮」が、個人的には一番面白かったです。読後感も良いですしね。中性体ベル艦長と四本腕(足はない)のミュージシャン ニコルのロマンス。そして遺伝子操作された身長八フィートもある狼少女タウラに言い寄られ、そこで悪い気がせず応じてしまうマイルズの、その懐の深さにも万歳vv タウラの今後が実りあるものになってくれると良いなと心から思います。
「無限の境界」は……逆に辛い部分が多かったですね。収容所の描写もしんどかったし、1万人を救うために払われた犠牲も大きかった……
ヴォルコシガン・サガシリーズも三冊目を読んで、ようやく世界観が掴めてきたかなと言うところです。面白いは面白いんですけど、読むのにちょっと気力と時間が必要なのが難点ですね。さて、次はどんなお話やら……

「啓輔の場合は(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n7734t/

皆井啓輔(24才サラリーマン)は、会社帰りに電車に乗りこもうとしたところで、光の壁に包まれ異世界に召喚されてしまった。原因は、転移魔法陣の誤作動らしい。師匠がひそかに無効化していたそれを、弟子が気付かず発動させたところ、動かないはずの魔法陣が作動して、ありえないはずの異世界から啓輔を引き込んでしまったのだという。
同一世界内での転移魔法陣の誤作動は何例か報告があり、これまでの事件を参考にすると、啓輔を送り返せる魔法は存在していないという。呼び出された人間は、普通に旅をして元の居場所に戻るか、あきらめて呼び出された先で一生を過ごすしかないのだと。だが異世界へ普通に旅する方法など、あるはずもない。
現在は存在しない、元の世界へ戻る魔法。それを見つけだすためにも、そしてこれから生きていくための知識を身に付けるためにも、学ぶことが必要だった。そこで啓輔は事の元凶となった弟子 ―― 15才の貴族の少年ネモアと共に、彼が通う学院に入学することに決める。
一般常識にはやや難があるものの、算数などは小学校高学年レベルなのでどうにかついていけそう。そしてこの世界で魔法が一般的に使われるようになったのは、せいぜい100年ほど前からで、まだくわしい体系も理論も確立されてはいないらしい。
年下のクラスメイト達 ―― もっともこの世界で啓輔はいって十八程度に見えているようだが ―― と共に、自由研究課題として魔法陣の属性などを調べ始めた彼だったが、やがてそれがやっかい事を引き寄せたようで……

昨夜、日付が変わってから読了したので、今日の読書にカウント。
異世界トリップ、学園物。完結済。
能力補正などは全くなく、現代知識もそう派手に使うことはなく、ひたすらこつこつと研究しています。魔法についての先入観がないのと、ゲームなどで仕入れた印象、もともと持っていた算数レベルの知識などを使って、新たな魔法理論(と言うほどでもないかな?)をうち立てております。
そのあまりの斬新さに、盗作騒ぎなどが起きててんやわんやという展開。
24才なんだからしっかりしないと、と気を張って年下の加害者ネモアを逆に気遣う啓輔は、読んでいるとなんだか「まだ24才なんだから、もっと感情的になっても良いんだよ」と言ってあげたくなったり。
完結はしていますが、謎の杖の正体とか師匠の今後とか、気になる部分は残っています。番外編を書かれる予定らしいので、そのあたりを楽しみにしておきたく。
No.3506 (読書)


 2011年11月29日の読書
2011年11月29日(Tue) 
本日の初読図書:
「【習作】喫茶店?いいえ茶屋です(Arcdia)」〜06
 http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=29510

異世界に落ちて何故か若返りまでしてしまった少年が、喫茶店ならぬ和食を提供する茶店を経営するお話。日常ほのぼの系。
習作と言うだけあって、細かい設定はすっ飛ばしなのか、あえてそのへんはシンプルにしているのか。主役のトリップ前が青年だったのか老人なのか。何故、和食作成の知識がそんなにあるのか……それどころか名前さえ不明です。
ただのんびりまったり、創作和食(和菓子)を造って常連友人に提供しているだけ。
読んでいるとそれなりに和むかと。
No.3505 (読書)


 2011年11月28日の読書
2011年11月28日(Mon) 
本日の初読図書:
4125011761祝もものき事務所2 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 睦月 ムンク
中央公論新社 2011-11-24

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やる気も推理力もない、ただありえない確率で手がかりを「偶然」引き寄せる。そんな才能を持つ調査事務所所長のお話、2冊目。
1巻がゲストキャラと状況説明ばかり目立つ話だったので、続編に期待していたのですけれど……今回もやっぱりそんな感じでした。むしろ輪をかけてメインキャラが空気。
さらに言うなら、ゲストキャラの人間関係がややこしすぎて、もうなにがなんだか。
離婚再婚養子縁組が入り乱れ、資産家の遺産相続問題ががっぷり三つ巴。名前だけ出てきた登場人物含めるなら、三十人ぐらいいたんじゃなかろうか(汗)
そしてゲストキャラ達は相変わらず、気っ風の良い男前な味方と下劣で低能な悪役という感じ。味方はどこまでも魅力的で、悪役はどこまでもお粗末です。
んー……せっかく設定を個性的にしてあるのだから、もうちょっとメインキャラ達を活躍させてほしいなあと思いました。話の展開も、視野の狭い思い上がりの資産家をこき下ろすという、前作と同じパターンでしたし。
しかも今回は、せっかくの太朗ちゃんの特異体質もそんなにクローズアップされてなかった感じだったりとか、思うところはいろいろと。
まあ気軽に楽しく読めたことは確かなんですけどね。
まさにコピーの如く「事件はあっても推理はない」という感じでした。
No.3503 (読書)


 2011年11月26日の読書
2011年11月26日(Sat) 
4864231389G・DEFEND(39) (冬水社・いち*ラキコミックス)
森本 秀
冬水社 2011-11-20

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もうすぐ40巻の大台。既に出ることは決定してるらしいですね。私が持ってるマンガの中では、一番巻数あるかも? あ、QEDが既に40到達してるか。
とまれ今回は、石川にプロポーズする同性婚OKの国の美形王子様来日話、ガードドッグ導入計画に伴う尾美の犬トラウマ克服話の二本立て。
王子様が国会内でテロに襲われて大変なことになりましたが、今回も篠井副隊長は御不在でした_| ̄|○
あの人、心身ともに強すぎるせいで、いらっしゃると危機的状況が成り立たないからじゃないかとか、邪推してしまいますよ森本先生……(しくしくしく)<かなり好き
美形王子は引き際が良かったこともあり好印象。尾美もダグだけは大丈夫になったようで、良かったです。がんばれ、次はキャロルだ(ぐっ)
……ちなみにキャロルがどういう犬だったのか、しばらく思い出せなかったりとか。やっぱりここまでシリーズが長くなってくると、細かいエピソード忘れてきますね(汗)
キャラもずいぶん増えてきて、読んでいて「??」なことも多いです。30巻まではスキャニングしちゃったから、なかなかパラパラッとめくり返せないしなあ。
No.3500 (読書)


 2011年11月25日の読書
2011年11月25日(Fri) 
本日の初読図書:
448841611X雲上都市の大冒険 (創元推理文庫)
山口 芳宏
東京創元社 2011-01-08

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戦争後の復興も落ち着きを見せてきた、昭和二十七年。
東北の海抜千メートルに位置する四場浦連峰には、『雲上の楽園』と称される大規模な鉱山都市が存在していた。労働従事者は五千人、家族などを含めると一万三千人以上が住むその都市には、学校や病院、郵便局などの各種施設が完備され、電気、ガス、水道といった光熱費も無料なのだという。
そんな『楽園』で、恐ろしい殺人事件が起こった。撲殺後に死体を鉱山内の線路に放置、首と足を切断されたのは、鉱山の持ち主である三河正造社長。事前に予告したうえで彼を殺したのは、正造らによって二十年以上も鉱山内に監禁されていたという謎の男、岸本座吾朗らしい。しかし座吾朗は事件の前日まで鉄扉を溶接した密室の中に閉じこめられており、正造が死んだときもその扉は閉ざされたまま、忽然と姿だけが消え去っていたのである。
そしてさらに凄惨な、第二第三の殺人が続く ――
座吾朗はどうやって地下牢から脱出したのか。何故、正造達を殺してゆくのか。そもそもどうして彼は、二十年も閉じこめられていなければならなかったのか。
横浜で開業している弁護士の殿島は、正造の息子である正一郎から呼び出しを受ける。それは警察への対応と、そして事件解決を依頼した探偵の助手を務めよとの理由からだった。
気が進まないながらも訪れた東北で彼を迎えたのは、非常に奇矯で個性的な二人の探偵。
かたや白いスーツを着こなす行動派、眉目秀麗で気障な荒城咲之助。
こなた黒い学生服をまとい近未来的な義手を使いこなす、おしゃべりな頭脳派 真野原玄志郎。
二人の探偵と助手に任じられた弁護士は、果たして事件の謎を解き、連続殺人を食い止められるのか ――

タイトルと表紙に惹かれて読み始めたのですが、最初は少々しんどかったです。語り手の殿島さんは周囲に振り回されすぎだし、探偵達はエキセントリックすぎて、なんだかついていけないし。
ぶっちゃけ最初の五十ページを読むだけで、二日ぐらいかかりました。しかし真野原がいったん諸事情で姿を消し、荒城と殿島が皆の前でお約束の推理ミスをかますという一幕を越えてからが、面白くなってきて。
っていうか、推理ミスしてちょっとテンションの下がった荒城が、なんだか可愛く見えてきたというか(笑)
殿島を使える助手と認めて、一緒に行動し始めるとなんだか微笑ましいvv
その後、真野原にバトンタッチしてからも、なんだかんだで殿島さん、しっかり認められてる感じだし。やはりワトソン役は探偵の良き相棒でなければなりませんよね、ふふふふふ。
この話はタイプの異なる二人の探偵が登場しますが、どちらもしっかりキャラが立っていて、ちゃんとそれぞれに見せ場があったので嬉しかったですね。もちろん助手の殿島さんも。さて、あなたはどなたがお好みですか? みたいな。
しかし人の命がなんだか軽く扱われているのは、ちょっと気になりました。……まあ、ミステリ物でそこを気にするのが間違いかもしれませんが。しかし何人も人が死んでおいて、本当に悼まれているのは半分もいるのかどうか。とばっちりで殺された警官や鉱夫なんて、存在すら忘れられてないか……?
まあそれはさておき。
トリックの是非とか、探偵としての有りようとしてそれはどうなのとか、つっこみどころはいろいろありましたけれど、総じて面白かったです。いきなり二十一世紀に飛ぶエピローグの雰囲気とか、こういうのけっこう好きです。
とりあえず続きが二冊ほど出ているようなので、そちらもまたチェックしてみようかと。
……真野原が片腕を無くした経緯とか、探偵二人が知り合った状況とか、そのあたりも気になるなあ。
No.3499 (読書)


 2011年11月22日の読書
2011年11月22日(Tue) 
本日の初読図書:
「スイスのロビンソン」ヨハン=ダビット=ウィース、小川超訳

嵐で船が座礁し、マレー近辺の名もなき無人島に放り出されてしまったスイスの牧師夫婦と四人の息子達。ボートで脱出した他の船員は誰一人助からなかったけれど、幸い船には開拓移民用の資材や家畜が豊富に残されていた。
島に上陸した一家は船から少しずつ資材を運び、野獣を避けるためのツリーハウスや洞窟に手を入れた岩屋などを作ってゆく。家畜を増やし、野菜や果樹を植え、危険な猛獣と戦ったり、野生動物を飼い慣らしたり。
そうして無人の島を開墾し、彼らは「新スイス国」を作り上げてゆく。
家族六人と家畜達だけが住まうその土地で、いつしか十年の月日が過ぎていったが ――

この日記で何度も話題にしている「スイスのロビンソン」。
これまで読んでいたのは宇多五郎訳の旧字新仮名版でしたが、こちらは小川超訳の新字新仮名、つまり現代語です。出版されたのがたった二十年がとこ違うだけで、こんなに読みやすい文章に変わるんですね……ちょうど過渡期でもあったのでしょうが、ちょっとびっくりしました。残念ながらこちらも現在は絶版。 Amazon でも見つからなかったので、書影はなしです。
でもって、内容は宇多版とほぼ変わりませんでした。どちらも完訳と言っていいんでしょうね。岩波文庫上下巻と比べて、ハードカバー 360 ページでも、削られていると感じた所はほぼありません。場所によっては多少記述が簡略になってるかな、という程度で。むしろ挿し絵が多く、地図も拡大されて(そのかわり一部になってましたけど)いたので、ずいぶん判りやすくなっていました。
そうか、岩波版の地図は東が上になってたのか、とか……道理で読んでいて混乱したはずです。もっともこの本の地図も南が上になっているので、ときどき悩ませられましたけど。
あとちょっと残念だったのは、各地の名称が一部横文字のままだったところですね。
宇多版では「テントの家」だったのが「ツェルトハイム」、「たかの巣城」は「ファルケンホルスト」、「岩屋」が「フェルゼンハイム」などなど、馴染みのないドイツ語のままだと、どれがどこだか混乱してしまいました。このあたりはかの「指輪物語」が映画化された際の翻訳でも、ファンの間でいささか問題になりましたっけ。

ちなみに小川さんの著作権が切れるのは、宇多さんと同じ年。どうせテキスト化するなら、むしろこっちの方がむいてそうですね(笑)
No.3495 (読書)


 2011年11月19日の読書
2011年11月19日(Sat) 
本日の初読図書:
4796402454恋する暴君 7 (GUSH COMICS)
高永 ひなこ
海王社 2011-11-10

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最終章前編に当たるらしい今回は、先輩がなんだかぐるぐるしています。
これまでは「ホモ全否定・限定森永のみたまに嫌々ながら体だけ」だったのが、あれこれ一人で思い出して思わず赤くなったり、森永の就職問題や昔の恋人登場に混乱してみたり。
まわりから見るとどう見ても意識してたり嫉妬したりと、独占欲を見せつつあるのですけれど、本人は頑として認めようとしていません。
んー、男らしいまでに男らしい人ですから、ホモに嫌悪感があるのも経済的にも支えたいと言われて「養われる気はない」と反発してしまうのも判るんですけどね。でもざっくり突き放される森永くんが、さすがに気の毒です。
次の巻で一段落はつくそうなので、早く心安らかになれることを祈りつつ、続きを待ちたいと思います。
No.3489 (読書)


 2011年11月17日の読書
2011年11月17日(Thr) 
本日の初読図書:
モルグの番人 (白泉社花丸文庫)モルグの番人 (白泉社花丸文庫)
今城 けい 陸裕 千景子

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雑誌記者の須賀傭一には、いっぷう変わった友人がいる。
IQ200 の天才的頭脳に、完璧とも言える美貌を兼ね備えた青年、連城柳だ。彼はその素晴らしい才能や見た目とは裏腹に、傭一以外の人間にまったく興味を持たず、その傭一に対してさえ出会うたび認識するのに数秒を要するという、奇矯な人物である。彼は新聞社の中でも死者のデータばかりを扱う特殊な部署『モルグ』にただ一人で務めており、毎日毎日同じ時刻に同じ行動をとることで心の平安を保っていた。
ある日のこと、傭一は手違いから非合法のアダルトビデオを入手する。そしてその中で暴行を受けていた少年モデルが、既に変死体で見つかっていることを柳が指摘した。
陰惨なその手口に、さらなる犠牲者が存在することを予測した傭一は、無理矢理売春させられている少年達を救うため、事件を解明し記事にするため活動を始める。
だがモデル事務所の社長やヤクザが絡んだその事件を追う内に、傭一は長年心の内に秘めてきた、柳への恋情を思い知らされることとなり ――

以前ネットで読んだのを、ふと読み返したくなってサイトに行ったらば、見当たりません。あれ? と思って作品名で検索してみると、いつの間にやら商業出版されてました。関連番外編まで削除されているのがもったいない……かなりの長編もあったのに_| ̄|○
ブログから行ける閲覧室にいくつかは残ってるみたいですが、ほんとに残念です。 ああでも読んで気に入られた方は、下記URLに行ってみたり、「柳 傭一 Kの伝説」で検索かけてみると、ちょっと幸せになれるかもしれません(ぼそ)

でもって、内容はというと……共依存万歳vv というか。
受けの柳は「国語の長文読解以外は満点」という超天才ながら、対人コミュ能力というか、どうも精神的にどっか瑕疵があるとしか思えない無感情無機質な人間。一方攻めの傭一はそれなりに有能、誠実で人も良いのに、見た目の凶悪さから周囲に一歩引かれてしまうタイプ。
ぶっちゃけ「限定対象にのみヘタレな肉食大型犬×精神的に欠けたところのあるクールビューティー」という、個人的めっさ好みな取り合わせなのです。
傭一は高校時代からの十年ごし片思いを持て余し、柳は「好きという感情がわからない」とか言いながら、傭一と一時でも離れていたくないためだけに、ネットで犯罪まがいの大規模情報操作を行うかっ飛びぶり。
お互いだけが判っていない、ラブラブ両思いに乾杯です。脇キャラの寺本がまた、二人の良き理解者で良い味を出してるんですよ。

事件の内容的に暴力表現とかはあるものの、いわゆるやおい的シーンは少ないように感じました。表紙はアレなのに(勇気がなくて画像小さめに/汗)、攻めさんがへたれてるから、最後の最後まで手を出せないんですよ。出しても夢オチとかで(苦笑) それでこの表紙はいかがなものか……<外で読めない(−ー;)
でも欠陥アンドロイドのような柳と、それを包み込む傭一の絆で、充分お腹一杯になれるのでしたvv

「A boy meets a...(オンライン小説)」
「Don't cry for me(オンライン小説)」
 http://lilith.websozai.jp/devil/

上記「モルグの番人」の出会い編と続編。
本作を読まれた方は、こちらも目を通されることをオススメします。
No.3485 (読書)


 2011年11月15日の読書
2011年11月15日(Tue) 
本日の初読図書:
4101276315レインツリーの国 (新潮文庫)
有川 浩
新潮社 2009-06-27

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社会人三年生のサラリーマン向坂伸行は、結末が衝撃的だったため半ばトラウマ化しているある小説について、ネットで検索してみた。そうして見つけたのは「レインツリーの国」というサイト。そこでは「ひとみ」という名の女性管理人が、理知的で興味深い、伸行とはまた違った目線での感想を掲載していた。
思わず感動してメールを送った伸行に、返事は即座に返ってきた。やはり熱い情熱の感じられるそのメールに、伸行もさらに返信する。読む本の傾向が似通っており、微妙に違った観点からそれらを見つめる二人は、濃密なメールのやりとりから、あっという間に親しくなっていった。
お互い都内に住むことが判っていたので、伸行は直接会って話がしたいと持ちかけた。ところがひとみは乗り気になってくれない。
何度も誘いをかけて、ようやく会うことにこぎ着けたものの、彼女の行動はどうも違和感を覚えるものだった。メールではあれほど聡明だったひとみなのに、会話のテンポがずれたり、映画は字幕しか見たくないとわがままを言ったり、エレベーターで重量オーバーのブザーが鳴っても下りようとさえしない。
やがてその理由が明らかになる。
ひとみは両耳の聴力が著しく低い、補聴器を必要とする難聴者だったのだ。
それでも彼女が好きだと思った伸行は、これからも付き合いを続けていきたいと望むが、健常者と障碍者の壁はなかなかに厚くて ――

正直に言います。
読んでいて、途中うっかり泣きかけました。
っていうか、出先じゃなかったら、本当に一粒ぐらいは涙がこぼれていたかもしれません。

……ここでも何度か書いていますし、サイトにもちょっとテキストなど載せていますが、私も難聴持ちです。左耳はほぼ普通で、右耳はほとんど聞こえないという中途半端な状態ですが。
とりあえず日常生活する分には、まあ不自由ありません。家族もほとんど意識していないでしょう。
でも、厳然として、私は難聴なのです。

この作品の文中に、こうありました。

> 中途失聴や難聴者は聞こえないくせにしゃべれるからずるい。

と。
これは生まれつき耳が聞こえず言葉を話せない聾唖者が、高校生になってから聴覚を失ったため、しゃべることはできるひとみを責めた言葉です。
同じハンディを持つ仲間なのに、どうしてそのレベルが違うだけで一方的になじられなければならないのか。自分だって大変なのにと、ひとみはひどく傷つきます。
……ここを読んで、直接私に言われたわけではありませんが、以前片耳だけが聞こえない人達の交流掲示板に出入りしていた頃、両耳が聞こえないという人に書き込まれた内容を思い出しました。

曰く、「片方聞こえるくせに贅沢言うな(要約)」と。

……彼らからしてみれば、たかが片方聞こえないぐらいでグダグダ言うな、俺達は全然聞こえなくて大変なんだと、そういう思いだったのでしょう。でもその時に掲示板を見ていた私達は、作中のひとみ同様とても傷ついたものです。
それこそ「障害者という免罪符を持っているお前達(両耳難聴/聾者)に、障害者に与えられる援助や周囲の理解ももらえず、さりとて健常者にも届けない我々の気持ちが判るか!?」と、言い返したかったぐらいに。

そんな思い出を持つ私に、上記場面で伸行がくれた言葉は身に染みました。ちょっと長いので引用は避けますが、「ああそうか、そう言う見方もあるんだなあ」とささくれた心が和らぐ思いでした。
他にもひとみに共感させられる場面、そして伸行に救われる場面は随所にありました。
うんうん、そうそう。
ページをめくりながら、ひたすらに頷いていました。
ひとみは補聴器の助けと唇を読むことで、一対一ならある程度の会話をする事ができます。これがまた身につまされて……
私はそこまでひどくはないのですけれど、雑音の多い場所、たとえば呑み屋などでは基本一対一(せめて二)じゃないと会話ができません。相手の『声』は聞こえても、それを『言葉』として解析することができないんです。これは日常生活にもあてはまって、ちょっとした周囲の物音とか、時には自分が食べ物を咀嚼している音さえ邪魔になり、相手の言っている内容が聞き取れないことがしばしば。
なので私が会話するときは、基本的に手を止めて相手の口元を凝視し、唇の動きと前後の発言内容を元に脳味噌をフル回転させて、補完作業を行います。そうしてどうにか言葉を組み立てられたと思っても、やっぱり間違いはあるもので。たとえば「正)馬がいる」→「誤)あまがえる」、「正)お釣りいる?」→「誤)映り良い?」など、それはもういちいち覚えていられないほど、頻繁にかつ脈絡なく聞き間違えます。もう疲れるやら、いたたまれないやら……

……昼休みにお弁当食べながら、一対多でおしゃべりする女子組の付き合いが苦手な理由は、ここにあるのですよね。いやもちろん、会話の内容が合わないことも大きいんですけど(苦笑)<お洒落とか流行のドラマとか興味なし
同様に電話・来客応対も苦手だし(口元が見えなかったり、脳内補完するための事前情報がなかったりするから)、お店で店員さんと会話するのも×です(まわりがうるさくて聞こえない。特にファーストフード店とか最悪)。ここまでくると、ぶっちゃけ日常生活に支障ありといえなくもないような。
だいたい家族である次兄ですら、しょっちゅう「そんな目ェ見開いてこっち睨むな」とか言って、ひそかに凹ましてくれますし_| ̄|○<唇読んでるんだよ!

つい話が逸れましたが、とにかくこの本はそれぐらい、聴覚障害者の経験や心理についてよく調べて書かれていると思います。端っこにいる私ごときでは、気づきもしなかったことを逆に教えてくれるぐらいに。
ああ、この話、もっとたくさんの人に読んで欲しい。
ハンディを個性として、あるものはあるものとして、そのうえで普通に恋をしていこうとする伸行さんがとても眩しく、そしてそんな包容力を持つにいたった彼の過去がまた切ないです。うー、こうして書いてるだけで鼻がツンとしてくる。

あとこの話に共感できる理由のもうひとつに、二人の出会いのきっかけとなる、「フェアリーゲーム」という小説の存在があるかもしれません。
いや本文読んでいるとき、「この作中小説って、アレに似てる。もうアレにしか思えない」という作品があったのですよ。小学生の頃に読んでその衝撃の結末に、それこそひとみと伸行のように半ばトラウマ化してしまった小説が。
で、脳内でそれを当てはめて読んでいたら、巻末の参考文献リストにまさしくそのものズバリのタイトルが(驚)
道理でぴったりと感情移入できたはずです。っていうかこれは、それを悟らせた有川さんがすごいのか、それだけ見事な小説を過去に書いた笹●先生がすごいのか……(汗)
この作中小説についての考察も、長年のモヤモヤに一石を投じてくれました。

とにかく、いろんな意味で心揺さぶられたお話だったと思います。
機会があったら、是非是非手にとって欲しい一作でした。




なおこれは蛇足ですが。
聴覚障害者にも健常者にも、どちらにも入ることができない片耳難聴者の抱えるあれこれについて、このあたりをご覧になっていただけると、ちょっと嬉しかったりします。

■【中途半端】片耳難聴【健常者or障害者】
 http://yomi.mobi/read.cgi/human5/human5_handicap_1124425438
■片耳難聴を理解するために
 http://yomi.mobi/read.cgi/human5/human5_handicap_1144207735

2chログなので、慣れない方にはちょっと判りにくかったり、極端な意見や荒らしも混じっていたりしますが。
こういう悩みや不自由を持つ人間も、世の中には存在するのだと知っていただけたらなあと、そう思ってURLを貼っておきます。
No.3483 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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