よしなしことを、日々徒然に……



 2011年12月17日の読書
2011年12月17日(Sat) 
本日の初読図書:
4488421113人魚は空に還る (創元推理文庫)
三木 笙子
東京創元社 2011-10-28

by G-Tools
時は明治も半ば。
編集長と二人きりの小規模出版社に務める雑誌記者 里見高広は、帝都随一と名高い絵描き有村礼と親交を持っていた。天才肌にありがちな気難しさを持つ礼は、仕事を選ぶし謝礼も高額を要求するのが常だったが、高広の出版社にだけは安価で快く挿し絵を描いてくれる。
何故なら彼は、英国の雑誌ストランド・マガジンに連載されているかの有名な探偵小説の熱狂的なファンで、英文のそれを高広が訳してくれるのを、非常に楽しみとしているのである。
そしてたまたま高広がとある事件の解決に一役買ってから、「君がホームズで僕がワトソンだ」と称しては、様々な事件の謎解きをねだるようになった。
行方不明になった中学生の捜索、宝石店での真珠盗難事件の真相、売られる直前に観覧車上から忽然と姿を消した見せ物小屋の人魚の行方に、怪盗ロータスから金満家に送られた絵画盗難予告の真実。そして水練場に行われる執拗な嫌がらせの理由 ――
挿し絵を描いてもらえれば、それだけで雑誌の売り上げが数倍に伸びるという売れっ子画家を相手に、一介の記者が逆らえようはずもなく。
心優しく情に篤い一般人である高広は、天才肌のエキセントリックなワトソンと共に、様々な事件へと首を突っ込むことになるのだった。

常識人で腰の低いホームズと変人で高飛車なワトソンという、一般的なパターンとは逆を行くキャラ造形のミステリー。短編五作を収録。
これがなかなかおもしろくて。高広さんは厳密に一般人というには、家庭環境も武道の腕も脳味噌のまわり方も、いささかスペック高めですが、それでもその人柄はいたって普通の好青年です。一方礼さんは「有村礼が描く美人画に似ている」と言えば御婦人方への最高級の賛辞になるという天才画家なうえ、女性と見まごう絶世の美貌の持ち主。その才能と己の容姿をきっちり自覚し、自信は満々。口は悪く仕事は選ぶし、気に入らない人間は一顧だにしないというエキセントリックぶり。
でもって話の語り手はお約束通り常識人の高広さんの方なのに、最終的に謎を解くのもやっぱり高広さん。それでも最後までネタバレさせず、ちゃんと爽快感を感じさせてくれて、なおかつ礼さんもけして添え物ではなくちゃんと活躍している。ううむ、見事としか言いようがありません。
起きる事件も殺人などの陰惨なものはなく、せいぜい偽札作りとか誘拐とか窃盗、ちょっとした詐欺などで、結末も穏やかでほっとできるものが多く、安心して読み進めることができました。
美しいものに対する描写やスタンスも、なんとなく独特で心にしみたり。
あとゲストキャラなどもなかなか魅力的でした。続きの話で再登場もするし、とても丁寧に世界が構築されていると思いました。
……ただ収録順が執筆順ではないためか、あるいは単に私が読み落としただけなのか。時々「あれ、こんな情報提示されてたっけ?」とか「各話の時系列がいったりきたりしてないか?」と思うような部分もあったりするような。
そのあたり、もう一度じっくり読み返してみたいと思います。
二巻と三巻には別キャラ視点の話などもあるそうなので、そちらも楽しみですvv
No.3524 (読書)


 2011年12月16日の読書
2011年12月16日(Fri) 
本日の初読図書:
4062620456わが恋せし淀君 (大衆文学館―文庫コレクション)
南条 範夫
講談社 1996-05

by G-Tools
淀君こそ理想の女性だと信じる古風な青年、雑誌編集者の池田誠之助は、1957年9月16日に取材で大阪城を訪れた。城内を散策しつつ三百五十年前に思いを馳せ石垣に寄りかかると、石がはずれて人ひとり通り抜けられそうな通路を見つける。これはたいした発見だと中に入り、暗い通路をくぐり抜けて出た先は、なんと慶長十九年九月十六日だった。そこは世に言う「大阪冬の陣」開始直前の、大阪城奥御殿だったのである。
誠之助は背広姿の異様さから、切支丹の曲者と断罪されそうになったところを口先でどうにか丸め込み、自分はかのフランシスコ・ザビエルの孫、シメオン・池田誠之助英包だと名乗った。そうして現代から持ち込んだ歴史ムック本の知識を頼りに『預言』を行い、デウスの使者シメオンとして城内に居場所を作ってゆく。
どうにかして積年の理想の女性、淀君に一目拝謁したい。そして半年後に迫っている落城から、彼女の命を救いたい。そう願う誠之助だったが……

大阪冬の陣が三百五十年前。つまり今から五十年以上前の、昭和三十二年に書かれたタイムスリップものです。
主役のシメオンこと誠之助は、 1957 年の段階で「三十年前なら立派なスター面」と称される、時代遅れの顔立ちをした若者。そんな彼が過去にタイムスリップしたものだから、絶世の美男子扱いで周囲からモテまくりです。入れ替わり立ち替わり、夜毎に異なる女性が寝所に忍んでくる。それってなんてハーレム?的展開。歴史ムック本が虎の巻とか、オルゴールつきライターで預言の神秘性を演出とか、それこそ昨今のオンライン小説で見るような設定は、まさに時代の先取りというべきか。 ……よもやこの作者さんも、五十年以上たってから、タイムスリップや異世界トリップものがここまで流行るとは思いもしなかったことでしょう(苦笑)
とはいえ話の内容は、期待していたものとは方向性が微妙に違ったというか……ぶっちゃけ誠之助さん、なんもしてません。チートや歴史改変要素はまったくなし。そもそも誠之助さん自身が淀君以外に執着がない。ひたすら女性といちゃいちゃしつつ、戦の様子を眺めているだけ。
たまにする預言も、それで未来が変えられるような内容ではなく。さらにごくごくたまに未来を変えようとがんばってみるも、ことごとくタイミングを外してしまい、歴史は歴史の通り変わらず進んでいきます。
ぶっちゃけタイムスリップものというより、普通の時代小説といった色合いが濃い作品でした。
出てくる武将達も、私の知識が少ないせいもあるのでしょうが、ほとんど知らない人達ばかりで正直よく判らず。おそらく書かれた当時は講談などで、読者の方にもっと基礎知識があったんだろうなあと自己弁護してみたり。

話の展開としては、とにかく誠之助さんの感情の振れ幅が少ないんですよね……タイムスリップをすぐに受け入れ、元の時代に帰りたいとも願わず、家族を恋しく思うでなく、戦争に対する恐怖感もまるで持たなければ、昔の生活に不便さを感じもせず。そのくせ淀君にだけは執着しまくり。戦の真っ最中に、寝所に招かれ有頂天。なんだかなあと言う感じです。
……まあどんなジャンルも、「はしり」というのはこんなものでしょうかね?
もっともラストは割と意表を突かれた感じです。こう来るとは思ってませんでした。
まとめて言えば、煩雑な歴史部分をさらっと流しちゃえば、楽しく読める話だと思います。あんまり違和感がなさすぎて、五十年以上前に書かれたのだということをすっかり忘れて読んじゃうぐらいには面白かったです。
No.3521 (読書)


 2011年12月13日の読書
2011年12月13日(Tue) 
本日の初読図書:
4840230927海の底
有川 浩
メディアワークス 2005-06

by G-Tools
米軍基地内に海上自衛隊施設がある横須賀基地を、数m級の巨大人食いザリガニの大群が襲う。
群れのまっただ中、停泊中の潜水艦内に取り残されたのは、二人の見習い自衛官と基地祭りに来ていた小学1年から高校3年までの子供達十三人。
閉ざされた空間内での生活は、日常生活で目を背けてきた子供達の人間関係のいびつさを浮き彫りにする。
一方、外部では米軍と日本政府との外交が絡み合い、自衛隊の出動がなかなか認可されない。そんな中で重火器を持たない警察機構は、精一杯のやれることを行ってゆくが ――

自衛隊三部作の三作目。
いろんな意味で格好良い人達があちこちにたくさん散らばっていて、それらの人々がそれぞれに協力しあって物事を解決していくという点が、非常におもしろかったです。もう誰が好みとかあげきれないぐらいで。
「潜水艦で十五少年漂流記」というコンセプトも非常に好み。
……ただ「人がゴミの(以下略)」度が半端なかったッス_| ̄|○
一作目よりは被害こそ少ないものの、凄惨さ加減がもう……二作目とかその点だいぶぼかされていたので、油断してました。
とりあえず、門前の老駐在さんが助かって良かったです。
No.3518 (読書)


 2011年12月12日の読書
2011年12月12日(Mon) 
本日の初読図書:
「薬屋のひとりごと(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n9636x/

女官狩りという名の人さらいにあって、不本意ながら後宮の下女として暮らすことになった薬師の少女、猫猫(マオマオ)。最下級の洗濯係とはいえ給料も出るし、二年すれば年季が明けて実家へも帰れるという。
際だった美貌も野心も持ち合わせていないので、ひたすら無難に暮らしていこうとする彼女だったが、ふとした好奇心から後宮内での乳幼児連続死に興味を持ってしまう。呪いだと噂されるそれらの死の原因は、薬師である彼女にとってあまりにも明白だった。
しかし匿名の投げ文だけをして事を終わらせたつもりが、気がつけば美貌の宦官に目を付けられ、皇帝の寵姫のもとへ毒味役として上がる羽目になり ――

中国風FT小説。完結済。
冒頭だけざっくり紹介すると、成り上がりサクセスストーリーみたいですが……なんか違う(笑)
主役が「時代が違えばマッドサイエンティスト」という、薬毒物に異様なまでの執着を見せるマニアなあたりからして、普通の話とは一線を画しております。ついでに言うなら毒舌のくせに無口で無愛想。腕には自作の薬物を試すためにつけた傷跡が多数あるため、周囲からは「親に虐待を受けて育ち、対人関係をうまく構築できないかわいそうな少女」と同情されているその格差とか笑えます。
文章的に、ちょっと説明が足りないかなあと感じる部分はありました。それでも美貌の宦官の正体とか、割と早いうちに想像がつきますけれどね。……猫猫の出生の事情とかは、さすがに予想外でしたが。
様々な事件が積み重なりつつ、最後にはひとつの流れとなっている感じのお話です。完結済み作品ですし、けっこう気楽に楽しく読めました。今後は番外編に期待と言うところでしょうか。
No.3517 (読書)


 2011年12月08日の読書
2011年12月08日(Thr) 
本日の初読図書:
「チェスナット荘の殺人(ホームズ二次創作)」
 http://www.ne.jp/asahi/kei-yamakawa/foolscap/

きちんと事件が起きる、正当派タイプのパスティーシュ。
久しぶりにサイトに行ってみたら、長編がUPされていたので、さっそく落としてきました。原稿用紙 300 枚ぐらいあります。普通に文庫一冊分。
登場人物紹介もあり、人物関係のややこしい名家の中での殺人事件あり、ホームズさんがうっかり逮捕されちゃう一幕なんかもあったりして、かなりおもしろかったです。
そしてパスティーシュだけあって、ホームズが原作よりだいぶワトソンに優しく、そしてワトソンは輪をかけてお役立ちです。今作は特にその傾向が強いかもvv
ラストの落ちには思わず吹き出してしまいましたよ。
先日放送された、英国BBC作成の21世紀版ホームズ「SHERLOCK」に触発されたというだけあって、二人のやりとりもなかなか軽妙で楽しくvv
こちらの一連のパスティーシュは、原作ファン……特に二人の友情に萌える方にはお勧めしたい作品です。
No.3514 (読書)


 2011年12月07日の読書
2011年12月07日(Wed) 
本日の初読図書:
「彼は優しいご主人様(小説家になろう)」〜B面 奴隷の印
 http://ncode.syosetu.com/n6678u/

奴隷として売られた、見目麗しいエルフの少女ティエラ。
購入したのはゴブリンかと見まごうような、おぞましいほど醜い人間の地方領主、グレン・グレゴリー。
性的玩具として嬲られるかと怯えるティエラだったが、屋敷の者はみな彼女を温かく迎え、清潔な衣服と美味しい食事、ごく普通のメイドの仕事を与えてくれた。しかしティエラはまだなにか裏があるのではないかと疑い、気を許すことはない。
だが ―― グレンは見た目こそ醜かったが、その中身はかつて日本人サラリーマンだった前世の記憶を持つ、理知的な男だったのである。
過酷なブラック企業の中間管理職として働き過労死した彼は、部下に優しい福利厚生の整った組織の運営を夢見ていた。しかしそのあまりの醜さから、周囲の誰もが彼を誤解し、使用人すら居着くことがない。そこで契約で縛りつけられる奴隷を購入し、終身雇用の部下として使うことにしたのだった。
これはそんな、周囲からの無理解にさらされながら、奴隷を買い集めて現代知識を生かしつつ成功する過程と、その後のお話である ――

勘違い系異世界成り上がり? ちょっと微妙に違うような。
まだ連載が始まりたてなのでなんとも言えませんが、今のところ割とほのぼのです。紹介文によれば「エロ要素やハーレム要素はございません。ラッキースケベすらございません。全年齢対象です」とのこと。
奴隷側誤解視点とグレン側真実視点が交互に語られるので、そのギャップが楽しめるかと。

2012/11/05追記:

なろう!から消えていたのが、↓こちらにて改訂公開され始めました。

■コノ盃ヲ受ケテクレ
 http://verbum.web.fc2.com/
No.3513 (読書)


 2011年12月03日の読書
2011年12月03日(Sat) 
本日の初読図書:
4488024394豪華客船エリス号の大冒険
山口 芳宏
東京創元社 2008-11

by G-Tools
四場浦鉱山事件で知己となった弁護士の殿島と、気障で格好付けの名探偵 荒城、義手で口数の多い自称探偵 真野原。
今日も殿島は荒城の事務所を訪れ、彼と真野原が起こした騒動の顛末を聞いていた。そんなところへ新たな依頼人がやってくる。田村と名乗った彼は十三年前 ―― すなわち昭和十五年、イタリアから日本へ戻る航海の際に遭遇した奇怪な体験を語り、そしてその時に見た美女の人形と瓜二つの女性を見かけたから、正体を探ってほしいと依頼してくる。しかし彼がすべてを語っていないと感じた荒城は、にべもなく依頼を断ってしまった。
しかし後日、別の依頼人がやってくる。河崎という十七歳の少年は、先日事務所を訪れた男 ―― 本名は友田といった ―― の養子だと言い、彼が事故とも殺人ともつかない状況で溺死したことを告げた。
残された友田の遺品には、豪華客船エリスの招待券と謎の手紙があった。エリスの招待客は、十三年前の航海に乗っていた人々と同じ顔ぶれらしい。そして謎の手紙にはこう書かれていた。
「荒城君もいっしょにどうだね」、と……
差出人は「夜叉姫」。一部の怪しげな雑誌などで伝説的に語られている、謎の犯罪者である。数々の残虐事件、未解決事件に関わっているとされ、その実体は謎に包まれている。存在自体も公には認められていない犯罪者が、荒城を名指しにしているのだった。
友田の死に責任を感じた荒城は、この挑戦を受け、河崎・殿島と共にエリスへと乗り込む。ひそかに盗聴器で事情を聞いていた真野原も同行しようとするのだが、こちらは招待状がないため、船側から拒絶されてしまった。
出航後まもなく宝石盗難事件が起きたものの、それは荒城があっさりと解決する。それから一ヶ月に及ぶイタリアへの航海の間、ほとんど異変らしいものはなかった。しかし船がスエズ運河を越え地中海に入ってから、次々と事件が発生する。船長の失踪に始まり、再び宝石が盗まれ、乗客が次々と姿を消す。
やがて死体が発見され ―― そして船内の複数箇所で爆発が起こり、船は救助信号も発せられないまま、地中海のただ中で漂流を始めることとなって ――

雲上都市の大冒険に続く、シリーズ二作目。
戦後頃の冒険推理ジュヴナイルっぽさを意識した小説です。もっとあくまで「ぽい」ですが。
滝の上で格闘しているときに「バリツ」がどうのとか言ってみたり、「猫にホームズと名付けるのは無礼」とか「ルパンは犬の名前」だとか書かれているところでは、ついにやりとしてしまったり(笑)
それにしても荒城さんは、前回に引き続き「本当に名探偵……?」と首を傾げたくなる感じです。本当に活動派というか。爆弾処理とか避難誘導はできるけれど、推理はからっきし。ほんとに真野原が登場するまでの情報収集役ですね。で、殿島さんが集まった情報を真野原に伝え、頭脳派真野原があっさり真相を解明。そして犯人からの反撃を再登場した荒城が防ぐ、と。
そんな感じで、すっかり役割分担ができてますな。今回は三人が最初からそれなりに仲良いので、ますますそんな感じです。
途中、荒城が企んだアレについては……前作エピローグの段階で「それはない」と判り切っているので、騙されている殿島さんがどうにも見ていられないと言うか、このエピソード自体入れる必要があったのかというか……むう(−ー;)
真野原が頭良すぎるせいで、彼の登場を遅らせる必要があるというのは、某龍之介シリーズにも通ずるものがあるので判りますが……いっそ荒城を探偵よりもボディーガード的な存在にした方が映えるんじゃないかとか、そんなふうに思ってしまいます。
一生懸命で、罵倒されてもめげない荒城の一本気さが好きなので、彼の見せ場が少ないのは正直切ないッス……
No.3508 (読書)


 2011年12月01日の読書
2011年12月01日(Thr) 
本日の初読図書:
4488698042無限の境界 (創元SF文庫)
ロイス・マクマスター ビジョルド Lois McMaster Bujold
東京創元社 1994-07

by G-Tools
士官学校を卒業してまだ正式配属前のマイルズ(20才)が、領主である父に代わり未開の農村で起きた嬰児殺しを裁く「喪の山」。
23才時に、様々なシンジゲートが集まるジャクソン統一星系で、科学者を一人亡命させることをきっかけに、遺伝子操作された実験体を救い出すことになる「迷宮」。
「親愛なるクローン」直前の24才時、セタガンタの捕虜収容所に身ひとつで潜入し、一万人の捕虜達を脱走させる「無限の境界」。
以上。三本収録の中編集でしたが、どれもみっちり詰まっていて、長編三本読んだぐらいの気持ちでおなかいっぱいになりました。
「喪の山」はミュータントを忌避する頑迷な村人達の間で、自らも偏見の目にさらされながら、懸命に最善を尽くそうとするマイルズが格好良くも切ないというか。この話だけは、傭兵団も軍士官だと言うことも関係なく、むしろ領主の跡取り息子という点に焦点が当てられていました。
二話目「迷宮」が、個人的には一番面白かったです。読後感も良いですしね。中性体ベル艦長と四本腕(足はない)のミュージシャン ニコルのロマンス。そして遺伝子操作された身長八フィートもある狼少女タウラに言い寄られ、そこで悪い気がせず応じてしまうマイルズの、その懐の深さにも万歳vv タウラの今後が実りあるものになってくれると良いなと心から思います。
「無限の境界」は……逆に辛い部分が多かったですね。収容所の描写もしんどかったし、1万人を救うために払われた犠牲も大きかった……
ヴォルコシガン・サガシリーズも三冊目を読んで、ようやく世界観が掴めてきたかなと言うところです。面白いは面白いんですけど、読むのにちょっと気力と時間が必要なのが難点ですね。さて、次はどんなお話やら……

「啓輔の場合は(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n7734t/

皆井啓輔(24才サラリーマン)は、会社帰りに電車に乗りこもうとしたところで、光の壁に包まれ異世界に召喚されてしまった。原因は、転移魔法陣の誤作動らしい。師匠がひそかに無効化していたそれを、弟子が気付かず発動させたところ、動かないはずの魔法陣が作動して、ありえないはずの異世界から啓輔を引き込んでしまったのだという。
同一世界内での転移魔法陣の誤作動は何例か報告があり、これまでの事件を参考にすると、啓輔を送り返せる魔法は存在していないという。呼び出された人間は、普通に旅をして元の居場所に戻るか、あきらめて呼び出された先で一生を過ごすしかないのだと。だが異世界へ普通に旅する方法など、あるはずもない。
現在は存在しない、元の世界へ戻る魔法。それを見つけだすためにも、そしてこれから生きていくための知識を身に付けるためにも、学ぶことが必要だった。そこで啓輔は事の元凶となった弟子 ―― 15才の貴族の少年ネモアと共に、彼が通う学院に入学することに決める。
一般常識にはやや難があるものの、算数などは小学校高学年レベルなのでどうにかついていけそう。そしてこの世界で魔法が一般的に使われるようになったのは、せいぜい100年ほど前からで、まだくわしい体系も理論も確立されてはいないらしい。
年下のクラスメイト達 ―― もっともこの世界で啓輔はいって十八程度に見えているようだが ―― と共に、自由研究課題として魔法陣の属性などを調べ始めた彼だったが、やがてそれがやっかい事を引き寄せたようで……

昨夜、日付が変わってから読了したので、今日の読書にカウント。
異世界トリップ、学園物。完結済。
能力補正などは全くなく、現代知識もそう派手に使うことはなく、ひたすらこつこつと研究しています。魔法についての先入観がないのと、ゲームなどで仕入れた印象、もともと持っていた算数レベルの知識などを使って、新たな魔法理論(と言うほどでもないかな?)をうち立てております。
そのあまりの斬新さに、盗作騒ぎなどが起きててんやわんやという展開。
24才なんだからしっかりしないと、と気を張って年下の加害者ネモアを逆に気遣う啓輔は、読んでいるとなんだか「まだ24才なんだから、もっと感情的になっても良いんだよ」と言ってあげたくなったり。
完結はしていますが、謎の杖の正体とか師匠の今後とか、気になる部分は残っています。番外編を書かれる予定らしいので、そのあたりを楽しみにしておきたく。
No.3506 (読書)


 2011年11月29日の読書
2011年11月29日(Tue) 
本日の初読図書:
「【習作】喫茶店?いいえ茶屋です(Arcdia)」〜06
 http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=tiraura&all=29510

異世界に落ちて何故か若返りまでしてしまった少年が、喫茶店ならぬ和食を提供する茶店を経営するお話。日常ほのぼの系。
習作と言うだけあって、細かい設定はすっ飛ばしなのか、あえてそのへんはシンプルにしているのか。主役のトリップ前が青年だったのか老人なのか。何故、和食作成の知識がそんなにあるのか……それどころか名前さえ不明です。
ただのんびりまったり、創作和食(和菓子)を造って常連友人に提供しているだけ。
読んでいるとそれなりに和むかと。
No.3505 (読書)


 2011年11月28日の読書
2011年11月28日(Mon) 
本日の初読図書:
4125011761祝もものき事務所2 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 睦月 ムンク
中央公論新社 2011-11-24

by G-Tools
やる気も推理力もない、ただありえない確率で手がかりを「偶然」引き寄せる。そんな才能を持つ調査事務所所長のお話、2冊目。
1巻がゲストキャラと状況説明ばかり目立つ話だったので、続編に期待していたのですけれど……今回もやっぱりそんな感じでした。むしろ輪をかけてメインキャラが空気。
さらに言うなら、ゲストキャラの人間関係がややこしすぎて、もうなにがなんだか。
離婚再婚養子縁組が入り乱れ、資産家の遺産相続問題ががっぷり三つ巴。名前だけ出てきた登場人物含めるなら、三十人ぐらいいたんじゃなかろうか(汗)
そしてゲストキャラ達は相変わらず、気っ風の良い男前な味方と下劣で低能な悪役という感じ。味方はどこまでも魅力的で、悪役はどこまでもお粗末です。
んー……せっかく設定を個性的にしてあるのだから、もうちょっとメインキャラ達を活躍させてほしいなあと思いました。話の展開も、視野の狭い思い上がりの資産家をこき下ろすという、前作と同じパターンでしたし。
しかも今回は、せっかくの太朗ちゃんの特異体質もそんなにクローズアップされてなかった感じだったりとか、思うところはいろいろと。
まあ気軽に楽しく読めたことは確かなんですけどね。
まさにコピーの如く「事件はあっても推理はない」という感じでした。
No.3503 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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