2012年08月02日の読書
2012年08月02日(Thr)
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本日の初読図書: 数百年にもわたって中央共和宇宙から隔絶されていたため、独自の文化をはぐくんできた惑星トゥルーク。「大いなる闇」をあがめる僧侶達が大きな発言力を持つその星には、様々な政治的思惑から一般人の立ち入りは制限されていた。 僧侶達の中でもかなり高位にあるアドレイヤは、ルゥを「大いなる闇」の顕現した姿だと呼び、崇拝の念を露わにしている。トルゥークの高僧達の目には、それは一目で分かる明らかな事実だということだった。実際彼らは特異能力としか思えない不自然な程の勘の鋭さを持ち、他者の嘘も欺瞞もたちどころに見抜いてしまうなどの力を持っている。 そんな僧侶が数多くいるというトゥルークで、いま大きな問題が起きていた。貨物船が宇宙空間で、立て続けに襲われているのだ。連邦宇宙軍の護衛艦も、原因不明の異常を起こし、海賊船をのがしてしまうのだという。 海賊達が狙っているのは、どうやらトゥルークの特産である藍王木と白籠岩らしかった。これらは染め物や工芸などに使われる、ごくありきたりの材料なのだが……実は加工することで、とある特殊な薬物を作り出すことができる。トゥルークの僧侶が修行で使用するその薬物は、用法を誤れば恐ろしい麻薬ともなった。そして最近、共和宇宙の上流社会で密かに蔓延しつつある新しい薬物「パーフェクション」は、その薬物に酷似した効果を持っていたのである。 戒律によって嘘をつけない僧侶達は、全員が薬物の製造密売には関わっていないと誓った。しかし現実に薬物の生成方法が外部に洩れているようだし、逃がすはずのない海賊達が幾度も逃走している。 トゥルークを調査する必要を感じた連邦だったが、トゥルークで絶大な信仰を集める僧院に官憲の手を入れることは、深刻な国際問題を引き起こしかねなかった。そしてなによりも、特殊能力を備えた僧侶達と、まともに相対できるだけの人材が存在していない。さらには宇宙空間で海賊達をも相手取るとなると…… 思案の末に元主席マヌエル一世が白羽の矢を立てたのは、ジャスミンとケリーの二人だった。 二人はさっそく惑星トゥルークに向かったが、そこは剛胆な彼らをして幾度も言葉を失わせるほど、想像以上に「常識」からかけ離れた土地で ――
「天使たちの課外活動」とリンクした、大人サイドの新シリーズです。シリーズというのは語弊があるのかな? 何冊続くかは判らないけれど、とりあえず続き物。リィ達は噂話でしか登場せず、もっぱら怪獣夫婦が惑星トゥルークで、ライジャの両親や兄姉達などとドタバタを繰り広げております。 ううむ……個人的に怪獣夫婦サイドの方が好きなので、彼らが活躍してくれる長編は非常に嬉しいのですが。しかし茅田さんはどこまでこの作品世界を広げるつもりなのでしょう。 ぶっちゃけ、この新作をちゃんと内容把握しようと思ったら、最低でもデルフィニア本編18冊、スカウィ6冊、暁の天使7冊、クラブレ16冊、課外活動2冊で、ええと……49冊か? それだけを読まないとならないって、途中から興味を持って手に取ろうとする人間には、非常に不親切なんじゃないかと、他人事ながら心配になってしまいます。 私自身、携帯サイト yorimoba とやらで公開されているという前日譚的短編を読めていないので、ところどころよく分からない部分が。前作は割とすぐに紙書籍に収録されてくれたけど、今度はどうかな……
追記:
中央公論社のHPでも公開されました。
■大いなる闇が来た トゥルークの海賊序章 - C★NOVELSドットコム http://www.c-novels.com/kayata/
※要最新 FrashPlayer ってあたりが微妙にもにょる……
中央公論社のHPからも消されたようですね。 現在、「トゥルークの海賊」3巻に収録されています。
お話自体は、まだ始まったばかり。とりあえず1巻目の今回は、惑星トゥルークと僧侶達の特殊性を解説&新キャラ紹介でほぼ埋まっておりました。 うがった見方をすれば、怪獣夫婦とダイアンが無敵チートと化してしまったので、彼らが苦戦するような新たなステージを用意する必要があったのかとか。 そしてリィ達子供サイドではすっごく大人で完全無欠に見えた、お師匠様ことアドレイヤさんが、こちらではなんだか可愛いvv むしろいきなりご登場のお師匠様のお師匠様、ライジャのお父上でもあるミスタ・ロムリスとお母上ミス・シノークが格好良くて格好良くて。 珍しくもジャスミンと対等に会話できるミス・シノークは、ジンジャーに続く良い友人になってくれそうで、今後が楽しみです、 高僧の中では一番下位のライジャ視点からだと揺るぎない一枚岩に思えた僧院にも、もっと高位の立場から眺めるといろいろ問題が多そうで。あと「ほんとにライジャの兄姉??」と思っちゃうような、ふっつーの感性を持ってる兄姉達は、いっそようやく一人立ちしたミニラあたりに人生相談できれば良いんじゃないかとか。きっとものすごく理解と共感をもらえると思うんだ……
そして最後にようやく海賊が登場。そうか、タイトルの海賊ってケリーのことじゃなかったんですね。グランド・セブンとシェンブラックは、これまでの描写こそ少なかったですが、それでもシェンブラック爺さんとラナート様を汚すのは許さん! というわけで、次回はケリーに活躍して欲しいところです。 ……ああでも、すぐにやっつけちゃうと話がそこで終わっちゃうから、きっと最初はうまくいかなくて、いろいろ引っ張られちゃうんだろうなあ。
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No.3969
(読書)
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2012年07月30日の読書
2012年07月30日(Mon)
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本日の初読図書: 十一名もの女性を監禁拷問し殺害した殺人鬼 日下公仁(きみひと)。投資の天才だった彼は、数百億という金を動かす資産家の顔に隠れて、おぞましい快楽殺人を繰り返していた。当局の手を逃れ国際指名手配された日下は長らく行方をくらましていたが、このほどシベリア東部に潜伏しているという情報が入った。 薬師寺涼子を煙たがっている……もとい、できるだけ国内で問題を起こして欲しくないと考えている刑事部長は、これ幸いと涼子をシベリアへ送り込むことにした。たとえ成果など挙げてこなくともかまわない。一週間でも二週間でも不在でいてくれさえれば、それでいいとの思惑が透けて見えていたが、涼子は意気揚々とシベリア奥地へ飛んだ。お供はいつものごとく、泉田警部補と安部巡査、呂芳春こと貝塚巡査の三名である。 そこは町長が警察署長を兼務しているような田舎町で、領事館から案内としてつけられたのは、現地雇いの中年ロシア人ペトさんただひとり。首都近郊でテロが起こったためそちらに手が取られ、応援が来るのは早くて二週間後だという。だがそれは涼子にとって、好き勝手に行動できる時間が与えられたと言うことに等しかった。 ツンドラの森の奥深くには、旧ソ連時代の忘れ去られた秘密都市の廃墟が、いくつも存在しているという。そのひとつに日下が潜んでいると考えた一行は、機銃砲座を備えた走行兵員輸送車を調達し、深い森へと分け入っていった。 しかしその森には、人間を胴体から食いちぎるような、正体不明の恐るべき猛獣が徘徊していて……
5年ぶりでしょうか。薬師寺涼子シリーズ。いそいそと購入いたしました。 表紙で盛大なネタばれをしている是非はともかくとして、相変わらず垣野内さんの美麗イラストが素敵です。口絵の泉田警部補に悶えたファンは、けして私だけではあるまいvv 前作が正直微妙だったので心配していましたが、今回はちゃんとお涼がお涼。泉田警部補も、ちょっとやりすぎなんじゃないかってぐらい活躍しまくっていました。 そうだよ、このシリーズの醍醐味は、いかにも大物そうに登場する悪役を、コテンパンにけなし、くさし、高笑いするお涼の背後にひっそり控える有能な忠臣泉田(&マリーとリュシー)なんだよ! ちょっと怪奇成分が少なかったり、悪役がいかにも背景ありげに風呂敷広げまくった割りに最期が本当に「え?」みたいなだったとか、原発関連の批判が鼻についたのとかが微妙にアレでしたけど、それ以外はおおむね面白かったです。ジャッキーが出なかった代わりと言ってはなんですが、魅力的なサブキャラが男女共に活躍しましたし。
それにしても、周囲から生暖かい眼で見られている、お涼と泉田警部補の無自覚ないちゃつきっぷりが……おまえらもうけっこ(以下略) 泉田警部補は本当に、ほんっとーーーに判っていないのか? 無意識にストッパーかけているのか??
難癖っぽいものをつけるなら、ちょっと文章の練りが甘いかもでした。 立ち回り時などで人間の位置関係が判りにくかったり、英仏露しか話せないはずの人間が、いきなり日本語の会話に割り込んできたりと、ところどころ「あれ?」みたいな部分が。 銃つきつけられて監視されていた人間が、いきなり全員静止もされずに駆け寄ってきたり、人質を羽交い絞めにしていた人が次のシーンでは手ぶらになっていて、気絶でもさせたのかと思っていたら、人質は部屋の隅でポツンとしていたりとかとか。あと夜光曲の時も気になりましたが、泉田さんがいきなりキレて記憶をなくすほど我を失うのはどうかと……
でもまあ、細かいところは気にしない。 いつもの薬師寺涼子節を楽しみましたvv
ああ、いっそお涼がサーベルタイガー一頭ぐらいつれて帰っちゃえば良かったのに。物語の展開的に無理だったのが非常に残念です。表紙イラストのアングル、ゴージャスでほんとに格好良かったのになあ……
あれ、ところで結局、日下の存在を日本にリークしたのは誰だったんだっけ?? シベリアを開発したかったロシア政府? そして日下はどうやってあんな武器を体内に仕込めるような技を身につけてたんだろう……
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No.3956
(読書)
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2012年07月26日の読書
2012年07月26日(Thr)
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本日の初読図書: 大陸ミュールゲニア。 いにしえから伝わる魔法は既にすたれ始め、ごく一部の者が細々と技を受け継ぎ、あるいは魔剣といった古代の術がこめられた遺物を発掘して使用している、そんな剣と魔法の時代。 北の大国ザーマインでは数年前に氏素性も知れぬ青年が国王を倒し、王位を簒奪していた。自ら恐ろしいほどの剣技と魔法の腕を兼ね備えた新王レイグルは、大陸を統一する野望を持ち周囲の国々へとその魔手を伸ばし始める。 ザーマインの南方にあったルナン国は敗れ去り、次にその脅威にさらされたのが、小国サンクワールだった。 サンクワールの国王ダグラスは、血統を重視し、貴族ばかりを重用する人物だった。自身の武勇はともかく、大局を見る目にはほとんど恵まれていない。今回も四万の大軍に対し、ろくな作戦も立てないまま、わずか一万の兵でぶつかろうとしている。もはや国の命運は風前の灯かに思われた。 戦いに異議を唱えたのは、上将軍のひとりであるレインという青年ただ一人。サンクワールで唯一の、平民でありながら上将軍にまで出世した男である。戦えば常に勝つ ―― 「常勝の将軍」、「知られざる天才」と呼ばれる彼は、しかしどこまでも傲岸不遜で口が悪かった。国王の命令に真っ向から逆らったレインは、親友であり同じ上将軍であるラルファスの取りなしにより、かろうじて厳罰を免れ、戦争に参加せず謹慎せよと言いわたされる。 これ幸いとばかり己の領地へとひっこむ彼だったが、それでも気に掛かることはあった。親友であるラルファスの今後と、そしてもうひとつ。三年ほど前に城中で出会った、可憐な少女の存在である。ミシェールと名乗った彼女は、明らかに貴族であった。サンクワールが滅びれば、ミシェールも無事ではすむまい。 この世には、見捨ててはいけないものがある。そしてレインはこの世の誰よりも強くなると、誓った身でもあった。 のちにサンクワールの、そしてミュールゲニア大陸そのものの歴史をも大きく変えてゆく、最強の黒衣の戦士。その存在が歴史の表舞台に現れる日が、すぐそこにまで迫っていた ――
ううむ……最強主人公という紹介文句につられて買ってみたのですが……話運びはおもしろかったと思うんですよ。キャラクターも悪くない……はずなのに、なんだろう。なぜか微妙に感情移入しきれませんでした。
以下、少々辛口なので、記事をたたみます。
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No.3938
(読書)
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2012年07月24日の読書
2012年07月24日(Tue)
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本日の再読図書: 西多摩の一角にできたニュータウン。石津がそこにマンションを買って引っ越しし、片山と晴美とホームズを休日に招いた。石津の目論見としては、やはり晴美へのアプローチが根底にあるようである。 ところがマンションの眼下にある公園で、子供が溺れるという事件が起こった。直前に警察へ「子供をつき落とした」と犯人からの電話があったことからも、ただの事故ではありえない。地元の警官 林田の話では、ここしばらく団地内では子供が危険な目に遭う事件が相次いでいるとのことだった。団地に住む元刑事の老人 上野は、それを開発に取り残された村の地主のドラ息子 石沢常夫の仕業だと決めつけ、彼の住む家 ―― 通称猫屋敷へと乗り込んでゆく。心配した上野の娘 絹子の知らせで後を追った石津と晴美は、そこで無惨に斬り殺された常夫の母 常代と十一匹の飼い猫の死体を発見した。 上野もまた死体で発見され、一件は違う人間を殺してしまった上野の自殺で片がついたかに見えた。 しかし事件はまだ続いた。常夫の名で呼び出された絹子が暴行され、恋人の林田警官が怒りにまかせ飛び出してゆく。そして常夫は警官の銃によって射殺されたが、林田も他の犯人も警察の捜査網には引っかからなかった。 さらに猫屋敷のある村では、喉を獣に食いちぎられたかのような死体が発見される。それは常代に対し、持っている土地を不動産に売って一帯を開発・発展させて欲しいと嘆願していた、村人達の代表格だった。常代は猫の住処がなくなるからと土地を売ることに反対しており、村人や息子と対立していたという。 新たに浮上してくる動機らしきもの。そして随所で目撃される不気味な赤い猫。 村人達は夜ごと聞こえる猫の鳴き声に異常なほど怯えを見せ、入院している絹子は、無意識にか病院を抜け出しては、まるで猫にとりつかれたかのような振る舞いを見せる。 事件全体をとりまく奇怪な雰囲気に、どうしようもない気味悪さを感じる片山達だったが……
シリーズ三作目。 事件に関係ないエピソードばかり覚えていて、肝心の犯人なんかはすっかり忘れておりました(^ー^;;) 完全に片山・晴美・ホームズ・石津体制が定着した今回。鑑識の人も、猫が死体を嗅ぎ回ることをあっさり容認し、それどころか『助言』に従って検査を行っております。ありえねえ(笑)
それにしてもこの作品は、トリックと言うほどのトリックは、そんなになかったと思います。目覚ましのベルを使って、電話がかかってきたと偽装するぐらいですかね。いまならポケット内の携帯から短縮発信とかできるんでしょうけど、なにしろ30年前の作品ですからね……ほんとに携帯がないというだけでものすごく不自然に感じられます。晴美が林の中で穴に落ちて、危うく生き埋めに! というピンチも、携帯さえあればすぐに助けが呼べるはずですし。 多摩丘陵なら、電波が届かないってことはないだろう…… むしろ今作のキモは、とにかく猫。 最初から最後まで、猫達の不思議に振り回されたお話でした。今回片山に言い寄るヒロイン立子さんの謎といい、白猫「琴」のホームズに劣らぬ賢さ、そして最後に犯人を追いつめる生き残りの猫達の行動。 ミステリーというよりも、むしろファンタジーの要素が多い話運びではないでしょうか。 〜追跡の黒猫ジョンもかなりスレスレでしたが、やっぱりホームズの『特別さ』を際だたせるためにも、人間離れした猫は彼女だけにしてほしいところです。
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No.3929
(読書)
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2012年07月15日の読書
2012年07月15日(Sun)
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本日の初読図書: もらい物のチョコレートを食べたら、大変な一夜が。くれた人間を問いただすと、あれはやはりもらい物で……という感じでぐるぐる隊内をまわる、逆わらしべ長者っぽいほのぼの話で一冊。 普段目立たないキャラも含めて、オフの日の何気ないショット集というところでしょうか。おもしろくはあったけれど、やっぱりアクションがないとちょっと物足りないかなあ(苦笑) そして既に表紙の人々が、半分ぐらい見分けられません_| ̄|○ 正直チョコをリレーした中にも、数名誰だっけこれ的な人が(^ー^;;) 単に人数が増えただけに留まらず、最近とみに絵柄がすらっとした細身系になってきたせいもあるんじゃないでしょうか。髪の表現も癖やボリュームが減ってきて、描き分けのバリエーションが少なくなってきているような気がします。 個人的一押しキャラお城ちゃんすら、今回の見返しカット誰? え? ドクター……でもなく、マーティーでもなく、じゃあお城ちゃん?? って感じです。ふみゅう。 そしてそんなお城ちゃんは、アレクと兄弟っぽいのが微笑ましいと思っていたら、今度は篠井副長に興味がおありのようで。遠くから走ってきてチョコ渡してるところとか想像すると、微笑ましくてなりません。初登場時のツンツンぶりはどこへ(笑) 篠井副長と三浦医師の会話とかも読んでみたいなあ。ってか、篠井さんはほんと最強キャラすぎるのか、活躍の場がなかなかなくって寂しいです。
「迷子の子竜と村娘(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n8994y/
人間と竜が、それぞれ別れて暮らす国エメイラ。 竜の血は薬になるだとか、竜の暮らす地には宝石が埋蔵されているなどの噂を聞き、竜の国へと足を踏み入れる者もいたが、彼らは一人として帰ってくることはない。 そんな竜の地が岩山を挟んですぐそこにある村で、十八になる少女ルーシャは一人で暮らしていた。両親は既に亡く、親戚も存在しない。村で彼女を気にかけるのはアイノスという老人だけだったが、それも彼女を五十になる息子の嫁にして、老後の面倒を見させようという打算的なものだった。 彼女の寂しい暮らしに彩りができたのは、一月ほど前のこと。森の奥で怪我をした小さなドラゴンを見つけてからだった。キュウキュウと鳴く子供のドラゴンはとても愛らしく、『ドラゴン=獰猛』というイメージを持っていたルーシャもキュウと名付けてすっかり情を移してしまっていた。 だがすでに怪我も治った以上、いつまでも側に置いておくことはできない。村人に見つかって騒ぎが起きる前に、ドラゴンの国に返さなければ。 意を決して別れを告げたルーシャだったが、そんな彼女にキュウは一輪の花をくわえて差し出してきて……
ドラゴンと人間の、異種族恋愛ほのぼの話。全8話完結済。 微笑ましいの一言です。一種のシンデレラストーリーでもあるのか。 しかしこれはむしろ数年後を読んでみたいお話です。ここで終わるのか〜〜《o(><)o》 と。 そしてキュウにはぜひぜひ、嫉妬深くてルーシャ一筋の、ハンサムな良い男に育っていただきたくvv
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No.3893
(読書)
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2012年07月14日の読書
2012年07月14日(Sat)
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本日の初読図書: 時は1857年のヴィクトリア朝イギリス。 凄惨なクリミア戦争からかろうじて帰還した三十一才のエドモンド・ニーダムは、勤めていた新聞社がつぶれていたため、「ミューザー良書倶楽部」という大手貸本屋に就職することになった。たまたま面接についてきていた姪っ子のメープル・コーンウェイ十七才も社長に気に入られ、作家達の悪筆原稿の清書やお茶汲み、受付などの仕事を担当することとなる。 その当時は出版物の単価が高く、書物は個人が所有するよりも貸本屋で借りるのが一般的であった。故に貸本屋の立場は強く、執筆に注文をつけたり、新人作家の発掘なども積極的に行っていた。当然、著名な作家の世話を見ることも仕事の範疇である。 就職しておよそ一年。仕事にもだいぶ慣れ、会社でも重用されるようになってきたニーダムとメープルは、負傷した担当者の代わりにチャールズ・ディケンズの世話係を命じられた。現在彼の家にはデンマークから来た童話作家アンデルセンが滞在しており、いささか風変わりなところのある彼も含めて面倒を見ろという訳だ。 当時ディケンズは行方不明になった北極探検隊の捜索に出資しており、捜索船の出港を見送るため北部エジンバラへ向かう予定になっていた。アンデルセンもそれに同行したがり、当然の結果、ニーダムとメープルも付き添うこととなった。 彼らが目指すスコットランド北部には、現在世間をにぎわせるニュースが存在している。沿岸の島「月蝕島」に巨大な氷山が漂着したのだが、その内部に十五世紀頃の帆船が閉じこめられているというのだ。それはかつてスペインがよこした無敵艦隊の一隻ではないかと噂されていたが、月蝕島の領主ゴードン大佐が島への立ち入りを禁じているため、誰も実物を目にすることができないでいた。 エジンバラで新聞社支局長マクミランから氷山船の話を聞いた作家二人は、興味をかき立てられる。さらに粗暴なゴードン大佐のふるまいに怒りを覚えた彼らは、是非ともその船を調査してくれようと月蝕島へむかった。しかしかの地は十九世紀のイギリスとも思えぬ、横暴な治世が横行する時代遅れな治外法権で……
昨夜読書記録をUPし終わってから読了。 23日から青春アドベンチャーでラジオ放送されるというので、原作を手に取ってみました。 タイトルに「魔物」とあるからもっとファンタジックな内容だと思っていたら、オカルト要素はほぼ最終章だけでした。むしろ史実を下敷きにおもしろおかしく捏造したなんちゃって時代物、かな? アンデルセンにディケンズといった文豪と、クリミア戦争帰りの元兵士&その姪っ子がドタバタと。復讐譚の要素もちょっとあったりして楽しかったです。他にもいろいろと当時の事件や出来事が散りばめられているそうで、そのあたりも興味深く。基礎知識がある人だと、さらに倍率ドンで楽しめると思います。この方にしては、極端な政治批判部分がなかったのも読みやすい要因だったかも。
でもって、一見ヘタレ常識人のようでいて、実は有能かつぶっとんでいる語り手というのは、田中先生お得意の展開ですよね。いや、そう言うキャラが大好きなんですがvv<例:泉田警部補、始兄さん、自転地球儀の白河周一郎 特に今回のネッドおじさんは、最初は戦場トラウマでパニック起こしたりしていたのに、後半は戦う戦う。十人を相手に狩猟ナイフと棍棒で冷静に立ち回る姿がとっても素敵でしたvv
全三部作予定で、現在は二作目まで出ている模様。でもこの一作だけでも、話はちゃんと完結しています。……って言うか、図書館にこの巻しかない(しょぼん) また収蔵リクエストをかけるべきかしら……
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No.3892
(読書)
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2012年07月13日の読書
2012年07月13日(Fri)
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本日の初読図書: 前作「クリスティ・ハイテンション」から六年。 シャーロック・ホームズの姪っ子クリスティは十七才になっていた。社交界にデビューして二年が過ぎ、そろそろ縁談なども舞い込んできているが、事件好きなところと令嬢らしからぬ行動力にはまったく変わりがない。 家族はルートン公爵となった父親と共に領地へ居を移しており、クリスティはわずか八人の使用人達とロンドンに残って暮らしていた。 今やアンヌマリーはデクスター警部補と結婚し二児の母、コネリー夫人は独立してメイド学校の校長、グレース先生は女王陛下の秘書官となっている。 そしてメイド長を引き継いだノーラと、その下につく新しい個性的なメイド達。彼女らと共に、クリスティは今日もロンドンの闇を追って駆ける ――
今回はちょっとページ数少なかったですね(しょぼん) 140P ほどで語られなかった事件「ロシアの老婆事件」をやり、残り 20P がメイド達についてのミニ番外編でした。 「ロシアの老婆事件」では、ついにモリアーティー教授がご登場。 この人なんでクリスティ助けに行ったんだろう……実はけっこうおもしろいキャラに設定されているのかもしれません。けして善人ではありませんが、原作のような「悪の化身」的存在には留まらず、粋な部分も兼ね備えた魅力的なキャラであるのかも?
そして今のところ、クリスティが成長したメリットは正直感じられません。マンネリを脱する手段として、周囲の人間関係を変えるための六年経過だったのかなあと。 新たなメイド達の能力にしても、ミステリ物にこれを持ってきちゃいかんだろうというラインナップ。そして全員が個性的なタイプなので、ノーラの突出していた破天荒部分が薄れてしまっています。ううむ…… クリスティもまた、「身体は子供、頭脳は大人」なところが魅力だったと思うので、このままだと「礼儀知らずの生意気な小娘」になってしまいかねません。新谷先生にはそのあたりをうまく調整して欲しいところです。 個人的には「〜ハイテンション」で、ダンスの練習をしながら数学の話していた男の子に期待したいvv
あとはやはり、ウィリアムおじさまとジョン先生の登場が少なかったのが寂しいですね。やっぱり私はあの二人が好きなんで。……ちなみにおじさま、ノーラについてはいかがお考えで?(どきどき)
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No.3891
(読書)
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2012年07月09日の読書
2012年07月09日(Mon)
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本日の初読図書: 直野さんのBLとしては、初の続刊もの。 「指先の恋」の接触テレパス探偵&助手が他の読み切りにもちょこちょこ顔を出している他は、こんなにひとつのカップリングを描かれ続けたのは初めてじゃないかと。 さすがにそれほど続くだけあってか、直野さんの描かれる作品はファンタジー系の方が好みな私にとっても、このシリーズは悪くありません。っていうか、オーヤージー受ーけーーーvv 年の差カップルーーーvv でもって双方共に積極的な意地っ張りーーvv(バンバンバン) 特にオヤジ受けに関しては、うぶなノンケさんが羞じらってる様も萌えますが、経験豊富なおっさん(元タチ)がノリノリなのも良いですね。しかも攻めさんは一見優しげな顔してる癖に、その実は恋人以外には超絶クールな鬼畜さんって、どんだけおいしいカップリングだ。恋人に対しては限定ヘタレ(でも閨では強気)なSタイプ攻めって大好物なんです。 そして主役が二人ともそれなりに大人なので、すれ違っても悩んでも、なんか根底に揺るぎない(進歩がないとも言う)安心感があります。っていうかもう、お前ら勝手にやってろよー(棒読み)>馬鹿ップル みたいな(笑)
それにしても直野さんの作品って、しょっちゅう人が殴られるシーンが出てきますけど……いつもものっそい痛そう(汗)
あと特筆すべきはカバー裏ですね。まさか二巻の今になって、すべての発端となった北斗さんの異変の原因が明らかになるとは……! やはり買った本は必ずカバーを外してチェックしなければなりませんなあvv
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No.3881
(読書)
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2012年07月08日の読書
2012年07月08日(Sun)
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本日の初読図書: 720 円だと!? 高ェよ! と思いつつ、それでも好きなシリーズなので新刊を予約購入しました。 で、届いたのを見たら……あれ、厚くね? 数えたら 304 ページもありました。うん、ごめん。むしろ安かった<普通は 200P 前後で 600 円ぐらい そんなわけでお久しぶりの山内規子さん。しかもいっとう好きなシリーズの続刊ですvv 収録作は「遠い雷鳴」、「彼女の部屋」、「今日はいい天気」、「二人の家」の四作。長編一本、短編二本、中編一本と盛りだくさんです。特に長編は、いつか再登場するだろうと期待されていた、最強ライバル蛇霊憑きの吉行さんが! 唯一の友人亜紀ちゃんやいつぞやの仔猫爺さん、果ては高倉さんまで大変な目にあい、悪霊と化していた少女や黒猫などもとても悲しい過去を経ていた辛い展開でしたけれど、いつもの読切連作とはまたちがった味わいと、たっぷり読み応えのあるお話でした。 そして他の話でも過去に関わった人達がちょこちょこ登場してきたりなど、ファンとしては楽しいところ。読切連作ミステリでゲストキャラが再登場することって少ないので、こういう一人一人を大切にしてるっぽい作品は読んでいて嬉しいです。 そして目次で「彼女の部屋」「二人の家」というタイトルを見て、「おお、ついに焦れ焦れカップルに進展が!?」と喜んだのは、きっと私だけではないはず。……高倉ぁ、お前三十代やろ? 立夏だってもう大学生のうえに身よりだっていない身の上なんだから、もうちょっとこう、さあ_| ̄|○
……ところでこれは言わないお約束なのでしょうが、シキ・ルリ・クロハの寿命って……立夏が小学生の頃にもう成長しきってたみたいだから、どう少なく見積もっても十二〜三才にはなってるはず。なのにみんなピッチピッチだし、別れを意識している様子もなし。やはり立夏以上に、あの三匹こそが特別な存在なのか……?
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No.3879
(読書)
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2012年07月06日の読書
2012年07月06日(Fri)
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本日の初読図書: 百瀬太郎は、東大を主席で卒業し大手弁護士事務所に就職した、新進気鋭の若手弁護士……だったはずが、とあるペット訴訟を受け持ったことがきっかけで事務所を辞めて独立する羽目になり、三十九になった現在は零細事務所の所長となっていた。 百瀬を含めて三人しかいない事務所の中には、依頼に関わった末に行き場をなくした猫たちが、11匹もたむろしている。つど里子に出してはいるのだが、減る端から増えていってしまうのだ。 頭は抜群に良いし、手がけた弁護はたとえ負けても何故か依頼人も百瀬も笑顔という結果に終わるので、けして腕は悪くない。しかしもじゃもじゃ頭に安物のスーツ、ひょろりとした身体つきに古くさい黒縁眼鏡とどこまでも冴えない容貌の百瀬は、どうにも雰囲気が頼りなかった。気弱な上にお人好し。採算度外視で走りまわることもままあるため、事務所の帳簿も火の車だ。 そんな百瀬ももう良い歳だし、そろそろ身を固めたいと切望している。しかし意を決して結婚相談所に入会したものの、紹介されたお見合いは三年間で三十連敗。 仕事ではペット専門の弁護士「猫弁」と揶揄され、プライベートでは婚活惨敗中。 そんな彼のもとに、珍しくペット訴訟以外の依頼が持ち込まれた。大企業シンデレラシューズ会長の葬儀中、棺が霊柩車ごと盗まれたのだという。犯人は遺体の身代金を要求してきている。会長の息子である社長が、その交渉のアドバイザーになってほしいと依頼してきたのだが……しかし、実はその葬儀の裏にはとんでもない秘密が隠されていた。 ペット専門の弁護士、汚いガード下で靴磨きを営む謎の老婆、大手企業の社長と美人秘書に、弁護士事務所の職員達、大阪から出てきた二人のお笑い芸人や結婚相談所の担当者、タクシー運転手などなど、様々な人々が関わり合い、すれ違い。やがて組み上げられるパズルが描き出すのは、はたしてどのような絵柄なのか ――
コピーいわく、笑いあり涙ありのハートフル・ミステリー。 以前ドラマで放送していたのを横からチラ見して、おもしろそう……と思いつつも、途中からだったので、ちゃんとは見ずにいたのですが。後日他局で放送する予定を見つけ、今度は録画してディスクに落としました。 しかしどうせなら原作を読んでから視聴したいところ。あいにく図書館にはなかったので……リクエストかけて入れてもらいました(てへ)<自分で買えよ でもって、肝心の内容はというと、読んで良かった。おもしろかったですvv 紹介文を読んで予想していた、ほのぼの読切連作ではなかったことにいささか意表をつかれつつ、また主役の百瀬さんより脇キャラの方がずっと活動的かつ魅力的だったのにも肩すかしを食いつつ、でも楽しく読めました。 とりあえず、格好いいご老人(三千代婆さんと梅園大家さん)が出てくるお話は大好きです。 そして御都合主義でもなんでも最後はハッピーエンド推奨派としては、関係者ほぼすべてがそれなりの幸せを掴めたのが嬉しいですね。 視点があっちこっちに移動しまくるのが、正直ちょっと読みにくかったですけど、まあ慣れればそこはなんとか。文章表現が独特(ウ●チ → チョコレート色の軟体物質とか)なのも、慣れると楽しいです。 しかしお笑いコンビ木村田村の無知ぶりは、読んでいて少々痛かった。でもまあ、幸せになってくれたからそれも良し。 あとは……個人的に大福さんの行動だけは、かなり引っかかりを覚えました(−ー;) この人のために、百瀬さんはどれだけの金と時間をどぶに捨てつつ、見合いを断られまくって人格を否定されるような思いをしたのか……それを思うと、あれでめでたしめでたしと言うのは、ちょっと虫が良すぎないか? と。まあ、百瀬さんがそれで良いのなら良いんですけどね(苦笑)
番組をチラ見して得た印象と、小説を読んで感じたイメージがかなりしっくりくると思っていたら、原作者さんがそのままドラマの脚本も書かれたのだそうです。それってメディアミックスの理想ですよね。ふふふ、ちゃんとドラマを見るのが楽しみ〜♪
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No.3874
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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