2012年11月09日の読書
2012年11月09日(Fri)
|
|
|
本日の初読図書: 大正時代の末期、日本国は猥雑な空気に満ちあふれていた。外国から流入する新しい文化と、古くから伝わる固有のそれが入り混じり、光と闇が混在したなんとも不安定な時代である。 新聞社『綺譚倶楽部』は、そんな帝都・東京で起こる様々な事件を取り扱っていた。もっぱら扇情的・猟奇的事件を好んで掲載する、いわゆる三流紙だ。 所属する新聞記者の一人 金大中小介は、お人好しなその人柄もあってか、どうもやっかいごとや人ならぬ不可思議なモノを引き寄せやすかった。そして頻繁に奇怪な事件へと巻き込まれる彼に、やはりつきまとうのは、同僚のカメラマン久我雅夢だ。この男は洋行帰りの貴族出身と称しているが、どうにも得体が知れない。首が取れても平気で動きまわり、死んでもすぐに生き返ってくる。傷を負ってもすぐに直るし、体内を流れる血は毒だとうそぶく。その言動は常に冷徹で、誰に対してもナニに対しても容赦がなかった。明らかに人間ではない、異形の存在だ。 なんでも彼は『誰か』を探しているのだそうで、小介のやっかいごとを引き寄せる体質が、その役に立つのではないかと期待しているらしい。 一度は前触れもなくふらりと姿を消した雅夢だったが、とある事件をきっかけに、何事もなかったかのように戻ってきた。 そうして彼らは再び、時におぞましく時に切なく、そして時にはどこか心温まる、様々な怪事件へと関わってゆくこととなる…… 収録作は「ワタシノカワイイオトモダチ」、「咲クヤ蟲ノハナ」、「ま々ならぬもの」、「おすそわけ」、「物影の隣人」、「お世話になりまして」の六作。
まさか本当に帰ってくるとは夢にも思わなかった、綺譚倶楽部の新シリーズです! レビューによれば11年ぶりだとか? 不覚にも一年以上も出ていることを知りませんでした。 今は亡きメディウムに載っていた頃から追いかけているこのシリーズは、これまで何度レーベルを変えて出版され直してきたことか。そのたびに話の収録順序も内容もてんでバラバラになっており、追いかける方は苦労したものです。結局、文庫版を除けば全部持ってるはずなんですが……むしろ最後に出た文庫版全4巻さえそろえれば、簡単リーズナブルに全作品網羅できたのかもしれません<文庫版最終巻に「単行本初収録」という作品があるらしい。いったいどんな話で何ページなんだ( T _ T )
ともあれ、装いも新たに新作の始まりなのですが。 ……うーん(苦笑) 後書きでも触れておられましたが、時節柄、過度な猟奇描写ができなかったらしいのですね。あと最近ハーレクインを描いておられたせいでしょうか、絵柄が妙にスタイリッシュになっている感じで、大正時代の猥雑さというか、良い意味での泥臭さ感がなくなってきているのがちと物足りなかったです。 特に今回は旧作をぶっ通しで読み返してから手をつけたので、余計に違和感が…… このシリーズは良いのかこれってぐらい容赦のない残酷描写が、際立った特色でしたから(−ー;) ま、ストーリーはあいかわらず面白かったんですけどね。 しかし雅夢さんは一話目、いったいどういう経緯でトランクに詰められる次第になってたんだろう(笑) 彼の体質と発言を鑑みるだに、首だけになって道に落ちてたとかっぽいですが、何がどうしてそうなったvv あと旧作からのファンとしては、源爺がちょっと悲しかったです。でもまあ、読む前にうっかりそれを知ってしまった時には「ど、どんな酷い目に遭うんだ!?」とハラハラしてしまった分、ほっこり心温まる展開でホッとしました。 しかし小介、あんた旧作で源爺の家に行ったことあるじゃんよ?? そして新シリーズでは雅夢さんが、微妙に優しい気が。いやこの人、もともとけっこう面倒見が良いとは思うんですけどね。危険なシーンではいつも必ず、とっさに小介を(ぞんざいに)庇ってるしvv なんだかんだ言って協力もしてくれるし。自殺しようとした女の子に『手を貸して』あげた話は、ひどく心打たれたっけ…… しかし今シリーズの彼は、もうちょっと人間味が出てきたというか。花蝶姐さんとのやりとりが、これまでの彼らしからぬ感じです。抱きつかれて振り払いもしないって! 花蝶さん自体、女性キャラで再登場したのって、英(はなぶさ)さん以来まだ二人目だと思うので、今後に期待です。 さて、二巻目も既に購入済みなので、そちらもじっくりしっかり楽しまなければ。ふふふふふvv
|
No.4314
(読書)
|
|
|
|
2012年11月08日の読書
2012年11月08日(Thr)
|
|
|
本日の初読図書: 短大を出てまだ間のない蓮見加代子は、蓮見探偵事務所の調査員にして、所長の娘の一人である。母親を早くに亡くした彼女は、父 浩一郎と高校生の妹 糸子の三人で暮らしている。元警察犬のマサも忘れてはいけない。捜査中の負傷により引退せざるを得なかった彼は、数年前から蓮見家で家族として寝食を共にし、加代子が調査に赴くときはボディーガードとして片時もそばを離れないでいる。 今回の加代子とマサの仕事は、家出した男子高校生をひそかに連れ戻すことだった。なんでもその少年 ―― 諸岡進也は家出の常習者らしい。彼の不行状が他に知れたなら、野球の名門校でエースピッチャーを務める兄の名に傷がつくと、両親はそんな体面ばかりを気にしているようだった。 しかし実際に会ってみた進也は、そう悪い人間ではなかった。スナック「ラ・シーナ」で住み込みのバイトをしていた彼は、酔漢に絡まれた加代子を救ってくれ、家に戻ることも渋々ながら承知した。 しかし……進也を自宅へと送る道すがら、ふとしたことから立ち寄った倉庫街で、彼らは燃え広がる炎を目撃する。その中心には、ガソリンをかけられた人間の死体が存在した。そして転がっていた靴に書かれていた名前は、諸岡克彦 ―― 高校野球界のスーパースターであり、進也の兄であった少年は、その夜、無惨にも命を奪われていたのだった。 まもなく、克彦に恨みを持っていた元野球部の少年 山瀬が、自宅で死んでいるのが発見される。睡眠薬とアルコールを飲み、バスタブで溺死していた彼は、すべては自分のやったことだと遺書を残していた。 一見事件は終わったかに見えたが、しかし進也や蓮見探偵事務所が暴漢に襲われたことで、それまで明らかになっていなかった事実が判明する。もしかしたら、山瀬もまた無実の罪を着せられて、真犯人に殺されたのではないか。そんな疑惑が生じるなかで、事件の背後に見え隠れする、謎の人物の正体と目的は? そして事態は、彼らの予想もしなかった方向へと急速に展開してゆく ――
昨夜日付が変わってから読了。 ドラマを見て、「あれ? こんな話だったっけ」と思って読み返そうとしたら、手元になく。改めて図書館で借りてみたら、覚えてないどころか全くの初見でした。おや?? どうやら同シリーズの短編集「心とろかすような」の方だけ読んで、それで読了した気になっていたようです(苦笑) しかし実写ドラマのイメージって怖いですね。もはやマサの語りは完全に船越さんの声で脳内再生されるし、ラ・シーナのマスターは寺脇さん以外の何者でもありません。店内の内装もあんな感じで脳内展開。ただドラマの一話目を見ていないので、いまひとつドラマ版でのマスターと進也(ですよね、バイトの青年)の立ち位置がよう判らんのですが。 ストーリー自体、ドラマと本作では全く違いますし。ドラマの方は、以前に放送された同作者の「ステップファザー・ステップ」と同じように、キャラ設定と人間関係の要素だけを微妙に拝借した、完全別物二次創作と思った方が、原作ファン的には心安らかなんじゃないかと。 しかし宮部さん、これが初長編って、すごいですね……(しみじみ) 犬が語り手という突飛な手法だけに頼らない、しっかりした物語が素晴らしいです。 確かにマサは渋いしここぞと言うところで格好良く役に立つ、見事なヒーローです。進也もちょっと悪ぶりながらもまっすぐな気性が好感度大ですし、ヒロイン加代ちゃんも、聡明でちゃんと活躍する、読んでいて気持ちのいいキャラクター。ラ・シーナのマスターにいたっては言うまでもなく、幕間の語り手を務める木原さんさえ、味のある深い人物造形です。 しかし今回は、そんなキャラ達の魅力だけでなく、物語そのものに引き込まれました。 最初は些細なイタズラから始まった事件が、やがて殺人事件や違法投薬実験に発展してゆき、一時は味方があわや一網打尽の大ピンチに陥ったかと思えば、最後には驚天動地の真相が。 実を言うと、加代ちゃんが階段を踏み外しかけた時、ちょっとひっかかるものは感じてたんですよ。しかしその後の二転三転する展開ですっかり忘れかけていたところにもってきて、ああくるとは…… 疑心暗鬼になった大同製薬側との、意見の食い違いとかも面白かったですね。実際、リアルではああいう行き違いって多いんだろうなあ。誰もが少ない情報から真相を言い当てられる、名探偵って訳じゃあないんですから。 さて、これはすっかり内容を忘れている短編集の方も読み返さないと。 ……って、もうスキャナで取り込んじゃったんですよね。画面で読むのはちときついし、図書館にあるみたいだから、そっちも借りてこようかなあ。
|
No.4310
(読書)
|
|
|
|
2012年11月04日の読書
2012年11月04日(Sun)
|
|
|
本日の初読図書: 「ケダモノと生贄(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n4032bf/
妖精と呼ばれる可憐な姫君は、野獣と称される公爵との婚姻が決まっていた。 戦が起これば前線に立って剣を振るう男は、顔面に醜く引きつれた傷を持ち、2mを超える巨体でもって敵を威圧する。元は妾の子であった彼が爵位を継いだのは、父と兄を殺したからだと、そんな話すらまことしやかに囁かれていた。 此度もまた、武勲をたてに国王を脅迫し、たおやかな姫君を手中に収めようとしているのだと、宮中ではもっぱらの噂である。 これは婚約者の無体に涙にくれる、悲しい日々の物語。 ……けして間違っては、いない。
だいぶ前に読んでましたが、メモし忘れていたので改めて。 ビバ、勘違い系(笑) 短編ですが、続編というか出会い編「ケダモノは生贄を見つける」もあります。 もうねー、かっわいいんだvv どんなふうにかわいいかは、読んでみてのお楽しみです。
「おとなな少女と子供な男(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n7826bj/
12才というその年に似合わぬ大人びた内面と、裏腹に幼い容姿を持つ「人形姫」レイス。 男爵令嬢の彼女の元へ持ち込まれたのは、格上の侯爵家からの縁談だった。 お相手は既に28才。23才を越せば行き遅れと言われる世間常識からすれば、かなりの問題を持つだろうことが予想できた。よほどの暴君か、あるいは幼女趣味か衆道か。 懸念する父を余所に、レインは格下から断ることはできない見合いを受けるのだが……
全五話完結済。 なんというかまあ、タイトルが全てを語っているお話です。 ほのぼのでさらりと読める感じ? 長編の箸休めに良いんじゃないかと。
|
No.4301
(読書)
|
|
|
|
2012年11月03日の読書
2012年11月03日(Sat)
|
|
|
本日の初読図書: 「メニューをどうぞ(小説家になろう)」〜大迷宮きのこ狩りツアー(11) http://ncode.syosetu.com/n7072bd/
高名なシェフだった父を持つ前島栞は、そのとき天中殺と大殺界を足してもまだ及ばないと思えるほどの、人生のどん底にいた。闘病の末に父はあえなく死亡し、億単位の借金ゆえに父の店も家もなけなしの貯金もすべて手放さざるを得なかった。料理人の職はセクハラを受けた末クビになり、婚約者にも逃げられて、何もかもがないない尽くし。 親の七光りがなくなったからだと陰口を叩かれるのにも疲れ果て、誰も自分を知らない所に行きたい……そう思っていた彼女の目に、求人の張り紙が止まった。 『急募 あなたも風光明媚なリゾート地で料理人として働いてみませんか?』 職場は聞いたこともない国にある、国営リゾートホテルのレストラン。調理のいっさいを任せてくれるし、基本給の他に成果次第では上乗せもありえる。ただし休日は不定期なうえ、一度行ったら三年間は何があっても帰国できないと言う。 怪しさ爆発の求人だったが、疲労で判断能力の鈍っていた栞は、現実から逃げ出したいこともあり、その条件に応じてしまう。 そうして彼女の、異世界での生活が始まった。 フィルダニア王国とは、けして聞いたことのない『外国』などではなく、異世界にある国だったのだ。三年に一度だけ二つの世界を繋ぐ門が開き、行き来することができるのだという。 中世ヨーロッパ風、しかしさまざまな魔物や魔法などが存在するフィルダニアでは、異世界(地球)人も、珍しくはあるけれど皆無な存在ではなかった。 見知らぬ様々な食材と個性溢れる人々に囲まれて、彼女はその地には存在しなかった様々な料理を生み出してゆく ――
異世界でお料理をしよう。ほのぼの連作、連載中。 実は異世界(地球)人には常識はずれの魔力があるため、普通の人間では切ることすらできない魔物の肉をさくさくスライスしたり、火をつけるのさえ難しい魔法コンロで長時間煮込みをやったりと、本人まったく無自覚なままいろいろやらかしてます。勘違い系万歳vv 四章目のキノコ狩りツアーは丸々弟子視点なので、栞の自覚ないすごさがあますところなく語られていて、特に楽しかったですvv
|
No.4298
(読書)
|
|
|
|
2012年11月02日の読書
2012年11月02日(Fri)
|
|
|
本日の初読図書: 「異世界で婚活はじめました(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n1206bh/
会社の後輩に婚約者を寝取られた榛名結花。最悪な一日の最後は、階段落ちでしめくくられた。 そして気がついたときには、盗賊とやらに拐かされた女性達の一団に混ざっており、あと数日もすれば奴隷に売られるという、訳の判らない最悪の状況。おののきつつも、いっしょに捕まっている女性達から情報を集めてみると、ここは魔法大国として大陸を支配する、グラン王国の一画だという。あきらかに日本では、いや地球ですらない。 幸いにも売られる寸前に騎士団が突入してきたことで、彼女達は盗賊の手から救い出された。しかし結花には帰るところがない。この世界には故郷も親族も知人も存在しないのだから。 どうにかして日本に帰りたい。そうして自分を捨てた元婚約者と、裏切り者の後輩を見返してやるのだ! ……しかしまずは、遠い未来より一週間後の我が身。 そう考えた結花は、ひとまず騎士団の隊長に掛け合い、今後の身の振り方を整えた。なかなかハンサムで好人物だった隊長は、あいにくの既婚者。しかし奥さんともども人が良く、こころよく結花を屋敷に置いてくれる。そこでメイドの手伝いなどしつつ、彼女は今度こそいい男を捕まえようと、あれこれ物色を始めた。しかし屋敷に籠もっていては、出会いそのものがほとんど起こらない。 そこで結花は、王宮のメイド募集に応募した。王宮で勤めたとなれば箔もつくし、うまくいけば好物件の騎士などに見初めてもらえるかもしれない。 そうして結花の婚活@異世界は始まったのだが、何故か気がついてみたら、誰もが怖れて近づかない、魔術師長付きのメイドに任命されていた。厭世家で毒舌家、人嫌いにして、驚くべき程の短気と評される彼の口癖は、『無能はいらん』。三日どころか最短1時間15分でメイドが逃げ出すという、恐怖の職場。それが魔術師長付きメイドである。そんなますます『出会い』から遠ざかっていく結花の生活だったが、慣れてくるとこれが意外と楽しくもなくて……?
だから好きなんだってば、コンチクショウ!<性格悪い有能俺様が、限定一人に対してのみ特別扱い ……というわけで、異世界でイケメン捕まえました、ええと第何弾かな? 完結済。 師長さんの髪の色が何色なのか最後まで謎なんですが、多分瞳と同じグレイ系だと思って脳内展開しています。 主役の対人関係のアンバランスさが際だってますが……っていうか、師長も充分悪い方の範疇に含まれてそうですが、最終的にはラブラブに収まってるので良し! 個人的に別視点・モブ視点が好きなので、完結後時系列の番外編も楽しかったです。 ただ師長さん以外の異世界関係者に、もう少し書き込みがあるともっとおもしろかったかもです。読んでいてメイド仲間とかとの交流を期待してしまったので。 あと、ファーストコンタクトした魔術師さんが、なぜ結花のことを申告しなかったのか、謎が残る……
|
No.4293
(読書)
|
|
|
|
2012年11月01日の読書
2012年11月01日(Thr)
|
|
|
本日の初読図書: WEBから書籍化2巻目刊行、第二段。 今度の表紙はウィアーレでした。カラーで見るとオッドアイ属性がますます可愛いですね。 カラー口絵ではメリイールとセレナのメイドコンビはもちろんのこと、幻をまとった幸助@女性バージョンのユイスも描かれておりました。こちらも黒と青のオッドアイ装備。かなり可愛かったですけど、そもそもの幸助本体が予想していたより華奢だったので、あんまり違和感なくって拍子抜け。 メリイールとセレナがイラスト化されたのは、今後を考えるとイメージしやすくてありがたいですけど。 ……しかし白黒イラストは、そこは、リンよりむしろヴァンテス入れるべきでないかい? もしくはボルドスを。 特にヴァンテスは、よっぽどホルンとのあれこれが問題だったのか、せっせとエピソード書き足されているぐらいなのだから、ツーショットぐらい入れれば良かったのに。 いっそ潔いぐらい、幸助以外の男性キャラのイラストがないと思います。 内容的には、前述の通りヴァンテス関係と、あと『歪み』についての事前説明が増やされている感じでしょうか。あとリッカートの教会についてエピソードが増えていたのは、今後に関わってくるのかどうなのか。
そして、念願の地図が収録された訳ですが。 ……なんだかなあ。 微妙に違和感を拭えないその出来に、これを描いた人は本当に本文と照らし合わせたのか、校正はしたのかと問いつめたく。 町の南にあるはずの台地が逆側しかもエリスの森のむこうに描かれていたり、西の窪地が北にあったり、あと吹き出しの位置が明らかにおかしいとかさ(ぶつぶつ) 違和感といえば、カラー口絵の最後に書いてある文章も微妙です。そもそも幸助は世界に名前なんて轟かせてないだろうに。 せっかく面白い作品なのに、見た目と内容が合ってない気がして、書籍から入ったお客様を取りこぼしてしまわないかと心配になります。 売れ行きが悪かったら、最悪続刊が打ち切られてしまうじゃないの……
|
No.4283
(読書)
|
|
|
|
2012年10月31日の読書
2012年10月31日(Wed)
|
|
|
本日の初読図書: 殺人事件のアリバイ検証をするため、ただ一人アリバイのない容疑者の弁護士が企画した、事件日の再現ドラマ。彼の台本に従ってその日の当事者達の動きをなぞってゆくバイト達の中に、可奈と燈馬の姿もあった。彼らは果たしてアリバイを持つという他の人々の立場から、台本から外れることのない動きで殺人を起こせるのか……「検証」 入院した恩師から、燈馬は仕事の引き継ぎを頼まれる。アメリカの巨大投資銀行で、将来性のある融資先を選ぶアドバイザーをやって欲しいというのだ。渋々引き受けた燈馬と可奈の前に現れたのは、伝説のセールスマンと呼ばれる男ジンジャー。これまで18の会社を渡り歩き、その全てで営業成績トップを叩き出したという天才である。しかし今回彼が売り込んできた民間の宇宙開発会社は、裏に多くの問題を抱えていた。それに気付いた可奈は、しかしジンジャーが娘の病気のため大金を必要としていることも知り、深く葛藤する。ジンジャーの手腕に乗って、危険性の高い融資を見逃すべきか、それとも告発するべきか。ジンジャーと燈馬の間で、板挟みになる可奈だったが……「ジンジャーのセールス」
今回も後半は書き下ろしだったらしいですが、無理してないですか加藤先生。雑誌に載せずに直接単行本だと、それだけ収入も少なくなりそうな気がするんですが。別に同時発売にこだわらなくても良いから、じっくり描いて下さっても良いんですよ? ……と、余所ながら心配になってしまいましたが、今回もクォリティは高かったです。 っていうか、書き下ろしの「ジンジャー〜」は、久々にしてやられました! 天才セールスマン……のはずが、過去のトラウマと娘の病気により、思うようにセールストークができなくなっている。困り果てていると見せかけて可奈の同情を引きつつ実は……というところから、さらに状況が二転三転。 最後は痛快に魅せてくれました。 まさか途中の、あんななんてことない場面が、伏線のひとつになっていたとは……(ため息) 一作目の「検証」もおもしろかったですけど、何故か真犯人が登場した最初のコマで、「あ、こいつ怪しい」と思ってしまったんですよね(苦笑) 共犯者の存在は、さすがに思いいたりませんでしたけど。 読了後は、ちょっと金田一(爺)さんの「夜歩く」を思い出したりとか。
|
No.4281
(読書)
|
|
|
|
2012年10月29日の読書
2012年10月29日(Mon)
|
|
|
本日の初読図書: 1巻に数字表記がなかったので心配していましたが、無事刊行されました、WEBから書籍化、2巻目です。 ブルガーデンの内乱に干渉するフォンクランク。三つ巴の戦場へと、突如介入してくる白族ガゼッタの軍勢。あわよくば邪神ユースケをも取りこもうと画策するガゼッタのシンハ王に、本来ならシリアス路線一直線のはずが、相変わらず反則技であれよあれよという間にほのぼのとさせてしまうユースケの無茶ぶりが素敵です。 しまいにはフォンクランクの世継ぎの王女とガゼッタ国王が、1対1で秘密会談(という名の雑談)とかありえんだろう普通(笑) その普通じゃないところが、たまらんおもしろいわけですが。 ときおり容赦なく残酷描写も混じるものの、基本平和でほのぼの展開なのがありがたいのです。 某白の物語はかなり鬱展開が混じっているとの情報を見つけて、ちょっぴり尻込み中(−ー;) しかし今回は書籍化にあたって、そんなに書き足し・改変はなかったんじゃないかな? 少なくとも私は、ほとんど違いに気付きませんでした。WEB版で 250KB 強が 300 ページほどになってるってことは、書き足しとかもそんなにないんじゃないかと。 しかしイラストは良いですねvv カラーが表紙だけなのはいささか寂しいところですが、内部の挿し絵はなかなかでした。前回希望していた闇神隊のメンバー四人が、ちっちゃく顔だけとはいえ人物紹介に載っていたのも地味に嬉しかったです。WEBで読んでいたときは、正直どれが誰だか混乱気味だったんですよ……書籍化にあたって、なろう!にある人物紹介とイラストを照らし合わせつつ読んだら、それぞれの個性が判ってきて、改めて楽しかったです。 シャイードが思っていたより優男で、ちょっと意表をつかれたり。もっと朴訥ながっちりタイプをイメージしてたので。あとヴォーマルのちょい悪オヤジっぷりがたまりませんvv そして相変わらずスン可愛いよスン。空飛ぶ円盤を引き連れたヴォレットと並んだドレスアップ姿は、非常にキュートでした。 しかしなんといっても今回はシンハでしょう! いやあ、びっくりしました。あんまりにもイメージぴったりすぎて(笑) 髪型とか、文章で明記されてましたっけ?? 個人的脳内映像が、見事にそこにありまました。んーふーふーー、この人の無双シーンが絵で見られただけで、満足かもしれません。
……なのでゼシャールド爺が暗殺されかけたシーンで、神器のサークレットをしていないことにつっこむのは止めておきます。
さて3巻目は、今回闇神隊に入隊しながらイラストが描かれなかったソルザックと、あとはやっぱりラサナーシャ&ラーザッシアの二人に期待ですねvv アユウカスを望むのは、まだ早いかな……?
|
No.4275
(読書)
|
|
|
|
2012年10月28日の読書
2012年10月28日(Sun)
|
|
|
本日の初読図書: ななせ湯の常連だった老人が、心臓発作で亡くなった。アメリカで暮らしていた娘は、何故父が頑として同居をこばんでいたのか、その秘密を知りたいと立樹に話を聞きに来て……「冬木さんの1日」 古い歴史を持つ葦原家は、鉄道や不動産などを持つ財閥である。そこの次女が結婚するにあたり、資産の整理をしていたところ正体不明の品があったとのことで、森羅に鑑定の依頼がやってくる。ところがその依頼の裏には、次女のかつての恋人の死亡事故が関わっていて……「湖底」 闇のブローカー マウが、またも盗品を取引しようとしているらしい。森羅は現場を押さえようと彼女を見張り、鯨崎警部に協力を要請するのだが ―― マウの過去とその立ち位置が明らかになる……「エルフの扉」 マルタ共和国で傷害事件が起きた。加害者となった老人は、自分をヨハネ騎士団の騎士だと主張し、周囲からドン・キホーテとからかわれている存在である。しかし彼が自分の家が騎士団領だという証明書類と、そして考古学上貴重な「バレッタの燭台」を持っていると主張したことで、話が一気にややこしくなった。老人の主張を認めるのであれば、彼の罪をマルタの法律では裁けない。認めなければ、燭台の所有権を巡って送り込まれた各国の使者との間に、国際問題が起きる。燭台の所有権は誰に帰属するべきか、そして老人の罪はどう裁かれるのか。 C.M.B. の指輪の持ち主へと、答えを求められるのだが……「バレッタの燭台」
今回は短編が四作。 相変わらずいい仕事してます、加藤先生。 「冬木さん〜」で出てきた手品は見事でしたね。読者までをもひっかけるテーブルマジック。二三度ページを行き来して、なんとか自力でタネを看破しましたが、最初はほんとにびっくりしました。あと植木に水をやるシーンもとても綺麗でした。 「湖底」はいろいろと無理がある気もしますが……でも藍さんの取った道が格好良かったので良し! マウの過去は、最初「知らないままの方がミステリアスなのになあ」と、正直読むのをためらっていたのですけれど、どうしてどうして。これはこれで面白かったです。両親健在だったんですね。プレゼントは贈るけれど、会いには行かないというそのスタンスが、いかにもマウっぽいかと。 四作目は、ちょっと不可思議な現象の絡むあたりが良いですねえ。前巻の「木片」とか、いつぞやの櫛野村だかはちょっと行き過ぎと思いますが、これぐらいの「あれ?」という謎が残るのは好みです。 ……しかし金属製の西洋フルアーマーを着用した状態で、騎士の訓練積んでる男性に勝っちゃう七瀬さんはすごすぎるよ。今さらかもしれませんが(苦笑) シリーズ初期の頃には、甲冑つけてたマルタの騎士からダッシュで逃げてたのに、今ならまっこう勝負できるんじゃないの?
|
No.4274
(読書)
|
|
|
|
2012年10月27日の読書
2012年10月27日(Sat)
|
|
|
本日の初読図書: ボールペンで描かれたマンガ古事記、全三巻のうち二冊目です。 相変わらず原文とあらすじも入っていて、親切構造。 今回のメイン舞台は我らが出雲! 因幡の白兎〜スセリヒメとの婚姻〜あちこちで浮気(笑)しつつ領土を広げていたら〜高天原からの侵略〜国譲りと出雲大社の建立、まで入っております。 やー、この人の絵柄は素朴な感じなのに、見開き画面の迫力が半端ないですね。 オオクニヌシが赤く焼けた岩に吹っ飛ばされるシーンや、根の国へ逃げるところ、最後の出雲大社など、おもわずのけぞってしまいました。これはWEB版で1ページずつ表示させていたのでは、味わえない感覚です。 でもって、スサノオの「娘はやらん!」的な大人げなさに爆笑。 そうですよね、固い文章(漢文・古文)に誤魔化されがちだけど、つまりはこう言うことですよねvv 引き倒した建物の折れた垂木が髪の毛に絡まったままだよー、と思っていたら、それがああ使われるとはvv 花嫁の父、涙のスピーチ状態から「是奴(この野郎!)」の流れが最高です。 あとヌナカワヒメやスセリヒメとの歌のやりとり。これまでいまいちピンと来ていなかった部分が、原文のリズムを残したままの綺麗な現代語訳を欄外に掲載してあり、絵とあわせてようやくしっくりきました。歌の情景だけカラー(でもボールペン描き)なのも、雰囲気があって素敵です。 三輪の蛇神のデザインも秀逸(笑) スクナビコナの衣装『蛾の皮を丸剥ぎにしたもの』は、個人的に『ミノムシの皮』説をとって欲しいところでした。ミノムシのミノって要するに一種の絹ですから、丈夫で風合いもお洒落なんですよ〜〜<母がミノムシ製のハンドバッグを持っている
あと某オンライン小説の影響か、タケミナカタは両手を失う印象だったんですけど、この話では違いますね。 wiki さんにも載ってない……青空文庫の「古事記物語」だと『ちぎれ取れた手先を、ぽうんと向こうへ投げつけました』とあるけれど両手とは明言されてないな……(検索中)……ほうほう、タケミナカタが両手を落とされたというのは、優秀な腹心を殺された比喩という説も(ふむふむ)……はっ、話がわき道に逸れた。 ともあれ、原文では明記されておらず、読むほうの解釈次第ってことでしょうか?? この作者さんは残酷シーンもわりと忠実に描いておられるので、大人の事情で削ったというわけではないと思います。
そして最終的にオオクニヌシは国を奪われ出雲大社に籠もるわけですが、その出雲大社を建ててくれと条件を語るシーンが、思いのほか微笑ましく。あと建った大社が格好良かったので、なんとなく「国を奪われた」というマイナスイメージが薄れてくれました。
さて、次はニニギノミコトの天孫光臨かあ。産屋が燃えるシーンがどれほどの迫力になるのか、今からワクワクしてしまいますねvv
「とある少女とその親友の日常。(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n0661bb/
この国の王子さまって、成人するまで別の家で女の子として暮らすらしいよ。暗殺なんかの危険を避けるためなんだって。 初めて知った事実を親友に告げると、彼女は呆れたように誰でも知っていると答えた。 美しい黒い髪に理知的な緑の瞳、すらっとしたしなやかな肢体にきめ細かい白い肌を持つ、溜息を尽きたくなるほどの美人。それが私の親友サフランだ。 とても大好きな親友なのだけれど、最近ちょっと様子がおかしい。手もなかなか繋いでくれなくなったし、恋バナにもつきあってくれない。この間ラブレターをもらったと話したら、ものすごく怖い顔になっていた。まあ、ラブレターはイタズラだったのか、約束の場所には誰も来なかったけど。 成人かあ。王子様とは同い年だから、私達ももうすぐ成人。そうなったら貴族の娘はたいていすぐに縁談が来る。それはしかたがないけれど、サフランとなかなか会えなくなるような、そんな縁談はゴメンだなあ。 そんなふうに思っていた私に、サフランは不思議なことばかり告げてきて……
天然少女と、それに振りまわされる隠れ鬼畜(?)なクール美人vv 短編ですが、ごっつー続きや別視点が見てみたいです。特にサフランのおつきの人とか、クラスメート視点で(笑)
|
No.4273
(読書)
|
|
|
|
|
プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
|
|
|