よしなしことを、日々徒然に……



 2014年02月06日の読書
2014年02月06日(Thr) 
本日の初読図書:
4163900004陰陽師 蒼猴ノ巻
夢枕 獏
文藝春秋 2014-01-14

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今回は270ページほどに10話が収録されているという、短編と言うよりはSS集という感じでした。ただでさえこのシリーズは活字密度が低くって、ページの下半分は白いような文章なので、ますます今昔物語集とかを彷彿とさせられる感じ。
いやでもしっかり面白かったですよ? あまりひねりはなく、短い文章でストレートに語る感じが、いかにも古典っぽくて。
さらに今回収録のお話は、いつものお約束をちょっと外しているものもあって、なんだかファンへ送るサービストラックみたいに思いました。
たとえばそれは、「これで良かったのか」と沈む晴明さんを博雅さんが力づける場面だとか。「ゆくか」といつものように問われて、「いや、ゆ、ゆけぬ」と苦渋の返答をする博雅さんだとか。博雅さんも晴明さんも登場しない、道満主役の番外編ぽいお話だとか、あるいは博雅さんだけが登場して、無自覚に楽聖ぶりを発揮するお話だとか。
タイトルの通り「猴(さる)」が関わる話も多かったですね。虫愛づる姫君 露子姫が登場する「からくり道士」などは、猿を含めたさまざまなからくりや、色とりどりに飛び交う蝶々が見栄えのするお話でした。
そもそもこのシリーズは、映像的な美しさが素晴らしいと思います。
あれだけの短い文章、限られた言葉で、なんて美しい光景を描き出すのかと、いつもうっとりとさせられてしまいます。
降り注ぐ月光がもたらす、蒼く透明な夜の闇。空気さえ色づかせるような、かぐわしい芳香。そして神々をも魅了する、博雅の笛の音。
今回は各話の筋立てがシンプルだけに、いっそうそれらが際立っているように感じられました。
No.5560 (読書)


 2014年02月05日の読書
2014年02月05日(Wed) 
本日の初読図書:
40221412711/4×1/2(R) 6 (Nemuki+コミックス)
篠原烏童
朝日新聞販売部 2013-08-07

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動物の霊しか呼べないうえ、自分では見ることができない(人には見せられる)、霊力1/4な動物専門霊媒師クォートと、前世が犬だったゆえの忠誠心と猫の霊能力で彼を支えてくれる黒猫のハーフちゃんが織りなす、ハートフル霊能コメディ。
クォートの友人で毒舌霊媒師のラクシャスが、ある日目覚めると何故か犬の身体になっていた……「バディ」
漢方のスープを食べたプロデューサーのライミーが、なんだか様子がおかしくって……「ライミー○○する」
ハーフがいなくなっちゃった!? クォートはもちろん大慌てするが……「 Catchi me please 」
周囲の状況や人の感情を増幅してしまう弁護士のシンバさん。彼といっしょにいたクォートは、道端で大怪我をした犬を拾うが、その犬は病院から消えてしまい……「聖痕」
交通事故の現場を見に行った、霊媒師とTVスタッフ一行。その側で作業していたオブジェ作家の頭上には、何故かクォートにしか見えない、石のブロックが浮いていた。事故の犠牲者はその塊に引っかかっているようで……「囚われの君」
仕事で日本へ出張した動物タレントスカウトマンのジョイスさん。そこで出会ったのは、クォートとハーフのツンデレ版??……「ジョイスさんのお土産話」

やあ、もう今回もほんっとに可愛かった!!
ラクシャスがハーフちゃんを受け入れるようになったりとか、いつも動じなくって、前向き元気にバイタリティのあるシンバさんだって、過去にはいろいろあったのさ……という「聖痕」前後編ももちろんファンとしては萌えどころなんですが。
しかしこの巻で一番の見所は、やっぱりシンバさんに役目を取られちゃって、すねちゃうハーフちゃんでしょうvv
拗ねる気持ちまで増幅されちゃって、一度は家出しちゃうものの、クォートに何かあったと感じたらすぐに正気に戻るハーフちゃん。そしてハーフのためなら微塵も迷わず階段に身を投げ出すクォート。もう、このラブラブコンビめ《o(>▽<)o》
なによりも拗ねて「ぶーっ」ってなってるハーフちゃんの顔が、ラブリー過ぎる(*´Д`)

R以前の、パイロット版とも言える2冊も持っている私としては、「ライミー○○する」で登場した中華料理店とその主人に、思わず『彼女』の登場か?? とも思ったのですが、そんなことはなく。
当分クォートに春は来そうにないですけれど、このRでは良い男いっぱいなので、このままサザエさん状態で続いていくのも良いのではないかと(クォートには気の毒かもしれませんが/苦笑)。
No.5557 (読書)


 2014年02月04日の読書
2014年02月04日(Tue) 
本日の初読図書:
4048913778路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店 (メディアワークス文庫)
行田 尚希
アスキーメディアワークス 2013-02-23

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綾櫛(あやくし)横町の奥には大妖怪が住んでいて、幽霊や妖怪に関わる悩み事を解決してくれる。そんな噂を耳にした高校生 高幡洸之介は、駄目で元々と思いつつ丑三つ時に細い路地へと足を踏み入れた。
そこで目にしたのは、ひとりでに祭囃子を演奏する楽器と、言葉をしゃべり酒を酌み交わして宴会する動物達の姿という、摩訶不思議な光景で。そんな路地の奥にあった建物には、加納表具店という看板が掛かっていた。
表具店とは、掛け軸や屏風の表装を仕立てる店のことだ。そこの主だと現れたのは、美しい着物姿の女性。環(たまき)と名乗った。
なんでも表具師の仕事には表と裏の二つがあるのだという。表は普通の表装だが、裏の仕事はいっぷう変わっている。様々な思念を宿しすぎた絵は、世に言う心霊現象のようなものを起こすことがあるのだが、その思念を表具を使って封じ込める。あるいは正しい道筋に戻すのだと彼女は告げた。そして環は伝説とも呼ばれる名表具師として、業界では名を馳せているらしい。
洸之介の悩み事とは、まさしく絵に関わることだった。彼は三ヶ月ほど前に日本画家だった父親を病で亡くした。その父が残した数点の絵が、夜になると動き出すのである。真っ暗な部屋で動き回る絵は気味悪く、ここしばらくというもの、残された母子は満足に眠ることもできずにいたのだった。
環から絵に宿る念の話を聞いた洸之介は、父親はそんなにも生に執着し、無念を残して死んでいったのかと暗澹たる思いを感じた。しかし環は鮮やかな手腕で父の残してくれた、優しくも不器用なその真意を明らかにしてくれる。
そうして彼女はこう提案した。
自分に弟子入りし、その手で父親の残した絵の表具を仕立ててみないかと。
そうして洸之介は、加納表具店へと出入りすることになった。
ところがその店に集まる存在は、天狗の王子にイケメンの化け狸、ギャル系女子高生の猫又や雪女といった、人間世界に馴染みすぎるほどに馴染んだ人ならぬモノたちばかり。
洸之介はそんな彼らと共に、様々な絵にまつわる様々な物語と関わりを持ってゆく ――

「人間の話」「天狗の話」「狸の話」「猫又の話」「狐の話」の五話に別れた短編集の形を取りつつ、全体を通してひとつのお話になっています。
基本的には、何らかの思いが宿ったせいで不可思議な現象を起こす絵が存在し、それを掛け軸や屏風という形に表具したり、あるいは壊れた部分を直すことで、その思いを昇華させてやるというのが、大まかな流れです。あまりおどろおどろしい雰囲気はなく、むしろほのぼのとした読後感の温かい感じのストーリー。
それぞれのお話には、それぞれのキャラ達の過去や思い入れを絡めてあったりもして二度美味しいです。
最初は主役の洸之介の物語で始まり、最終話はキーキャラとなる環さんで締める。中の三話は脇キャラ達がメインとなりますが、彼らもみな個性的で、読んでいて楽しいったら。
個人的には「結婚詐欺もできない駄目狸」こと、残念なイケメン樹(いつき)さんが大好きです。人を騙すのが得意な化け狸たちは、現代の世ではもっぱら詐欺師として生計を立てている。特にどんな美形に化けるのもお手の物なので、結婚詐欺は基本中の基本。できて当たり前というその設定がまず面白い。しかし樹は甘いマスクのハンサムなのに、人が良すぎてなかなか相手を騙しきれない。この女性にだって生活がある、お金だって無限ではないと思うと、どうにも「借金があって」とか「事業を興したいけれど資金が足りなくて……」といった決定的な言葉を口にできないのですよ。そうこうしているうちに、女性達の方から「あなたとつき合えて楽しかったわ。良い思い出をありがとう」って振られてしまうというvv
でも母性本能をくすぐるせいか、「これで美味しいものでも食べなさい」みたいにお小遣いを渡される上、最後は「夢のような時を過ごさせてくれたお礼よ」っていろいろもらっちゃうらしく、ある意味ではこの上なく良心的なジゴロとして大成功しているのではないかと(笑)
あとはカリスマ美容師として名を売っている、河童のジョージさんもイカスとか思う私は、やっぱり面食いなのか……

ともあれ今回は、一冊で綺麗にまとまっているけれど、全体的に各キャラクター達の背景紹介という感じでさらりと終わっていたのが少々物足りなかったかな。語り手が男子高校生ということで、文章がいかにも「ライト」だったのも★ひとつ減。
洸之介の柔軟さというか、人外のモノを受け入れる器の大きさとかもまだまだ片鱗しか見えていないので、これは続編を楽しみにしたいところです。
どうやら環さん達は、洸之介が年を取ってもちゃんと縁を切らずに付き合いを続けていってくれるようなので、そのあたりは安心して読めるところかと。
No.5556 (読書)


 2014年02月03日の読書
2014年02月03日(Mon) 
本日の初読図書:
「え、変?普通だよ!!(ムーンライトノベルズ)」〜メテオ
 http://novel18.syosetu.com/n8070bu/

二十二歳の時、車に轢かれそうな犬を助けて死んでしまった青年は、異世界で魔貴族キオ・ナイン・アルフォードとして生まれ変わった。
この世界の魔族とは、魔法の扱いがもっとも得意な種族である、生れてすぐ生きるために必要な知識を親から転写され、1ヶ月で十五歳程に、2ヶ月で二十〜二十五歳程に成長するという反則ぶりだ。
ところが日本人からの転生者であるキオには非常に困ったことがあった。それは食事だ。魔族にとっての食料とは、魔力そのものにほかならない。そしてその摂取方法とは、『肉体的接触』による他者からの譲渡なのだ。生まれてすぐは両親からのキスで分けてもらえるが、一ヶ月もすればガチでエッチをしなければならない。おまけに魔族には男性しか存在しないのだ。
前世でも女性経験のなかったキオにとって、生まれて一ヶ月で男性と……というのは倫理的なハードルが高すぎた。
幸いにも魔力を豊富に含むルビの実という木の実が存在したため、かろうじて餓死を免れていたキオだったが、その実はかなり高価で、下級貴族であるアルフォード家で購入し続けるのは厳しかった。そこへ持って来て何故か急に値段が高騰し、ついに家族から通常の方法で魔力を摂取するか、家を出るかのどちらかを選べと言われてしまう。
魔力が強ければ美しい、美しければ強い、強ければ出世できる。それが普通のこの世界で、積極的に魔力を得ようともせず、結果的に見た目もそこそこで家の出世にも役立とうとはしないうえ、エンゲル係数ばかりかさむキオにかまけていれば、アルフォート家自体が倒れてしまうだろう。だから家族の判断は間違っていない。そう思ったキオは、素直に家を出ることにした。
幸いにも家から持ちだした衣服(突出した美形の兄のお下がり)が高く売れたおかげで、当座の住処と着るものはなんとかなった。後は食べ物だが……すったもんだのあげくに、なんとか自分の庭でルビの木を育てることに成功し、生き抜く目処は立った。
しかし一人暮らしは寂しい……と思っていたところへ、ある日門の前に怪我をした子犬が落ちているのを見つけた。魔法で傷を直してやると、子犬は四〜五歳ぐらいの獣耳を生やした可愛い男の子に変身する。
「おねぇがい。にいちゃを助けて(≧Д≦)」
前世の頃から動物大好き、モフモフ最高! だったキオは、奴隷としてさらわれたという獣人たちを救うべく、魔貴族の屋敷へと突入して……

えーと……R18指定でBL注意のほのぼのものです。
魔族の設定とかはあれですが、直接的描写はほとんど出てきません。可愛いモノ大好きの主役が、美形の獣人兄弟を引き取って、ふわふわと楽しく暮らしております。
まあ、55話ぐらいから、少しずつ恋愛模様(男同士)が混じってきてるので、要注意ではありますが。
キオが自覚なしにいろいろやらかしては、いつの間にか超絶美形の規格外魔族になっているのは、転生チートの御約束★

あとこの作品はスマホで書かれているらしく、誤字脱字や不要な改行・スペースなどが山ほどあります。予測変換によるものと思われる変な言葉遣い(おっちゃん→おちゃん)なども相当にあるうえ、作者様がそれらはスルーしてほしいとおっしゃっておられるので、読んでいて脳内補正作業がフル活動で必要です。顔文字とかも多用されているので、そういうのが苦手な方は避けられたほうがいいかもですね。
No.5550 (読書)


 2014年02月02日の読書
2014年02月02日(Sun) 
本日の初読図書:
B000JADNNC20億の針 (1965年) (創元推理文庫)
ハル・クレメント
東京創元新社 1965

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児童向けジュヴナイル「星からきた探偵」の原作小説。なのであらすじは先日読んだものに準拠です。
そして実はこの話、このブログを始める前にも一度読んでいるんですが、その時は新装版(2002年発行)だったので一応今回(1963年発行旧版)は初読にカウントしようかと。……まあ中身(訳者)は同じなんですけどね(苦笑)
旧版は表紙のイラストがいかにも一昔前の怪奇SFっぽいエイリアンの図でした。書影を紹介できないのが無念です。
そしてその印象とは裏腹に、非常に理知的で大人で友好的な異星人の登場するのが、ハル・クレメントの書く小説の特徴らしいです。そんな解説を読むと他の作品にも手を出してみたくなるけれど、積読が(ry

文章としては、ジュヴナイル版で「デカ」だった異星人が「捕り手」、「ボブ」だった主役の少年が「バブ」になっているのが最初ちょっと違和感を感じさせますかね。あとバブの友人達も数人出てくるのですが、場面によって名字や名前や愛称(複数)など呼び方がかなり入り乱れているせいで、どれがどの子のことか把握しにくいのが難点です。
そのくせジュヴナイル版ではざっくりカットされていた、SF小説の中に推理小説の要素が色濃く入っているテイストがありまして。ホシがいったい誰の体内に潜んでいるのか、ひとつひとつ可能性を潰していく課程がつぶさに書かれているのに、肝心のキャラの見分けがつきにくいせいで、いま一つ話に没入しにくいのが難点かと。
島のお医者様という第三者の協力者を得るエピソードも、ジュヴナイルでは削られていた楽しいポイントですね。十五才の少年では行き届かない部分をフォローしてくれる、理解ある頼もしい大人の専門家。続編「二千億の針」では、このお医者さんの存在が非常な助けになってきてますし。
あと大人向けバージョンの見所は、バブがかなり最後の方まで捕り手への疑いを持ち続けているところでしょうか。素直かつ無鉄砲な少年の心と、年に似合わぬ聡明さを持ち合わせた彼は、途中で「実は捕り手こそが犯罪者であり、自分(バブ)を作り話で言いくるめて、追っ手を『ホシ』と偽っているのではないか」という可能性に気がつくのですよ。
捕り手と交流を深め、お互いに親愛の情を抱きながらも、その心中では捕り手=ホシでは? という疑いを捨てきれない。しかしその疑いを表に出すことはけしてせず、時々さりげない問いかけで捕り手を試しつつ、反証を得るたびにそっと笑みを浮かべる。そんなバブの思慮深さがあるからこそ、たまにやらかす子供っぽいポカのあれこれも、許容することができるのですよ。
翻訳が古すぎるせいか、バブの話し言葉が子供らしくないというレビューも見かけますが、私はこのくらいの方が「聡明な少年」という印象がはっきりして良いと思います。
……まあ、「キャットウォーク」が「猫道」だったり「シアトル」が「シャートル」だったりとかするのには、違和感を感じなくもありませんが(苦笑)
あとたまに、地形描写で東西南北がおかしい気がするのが困りどころですかね。文章だけだと、うまく脳内で地図を描けないんですよ。たとえばどう考えても南東が、北東って書かれてる場所がある気がする……もしかして文中で出てくる地図、北が上じゃないのか??
新装版には確か島内地図が載ってたと思うんですが……いっそ新装するだけでなく、新しい訳が出てくれないかなあ。古い文章は古い文章で味があるのですけれど、どうせなら判りやすい方でちゃんと内容を把握した後で、ゆっくり味わいを楽しみたいところです。
No.5542 (読書)


 2014年01月31日の読書
2014年01月31日(Fri) 
本日の初読図書:
4253154018霊験お初捕物控 其ノ1 (プリンセスコミックスデラックス)
宮部 みゆき 坂口 よしを
秋田書店 2006-11-16

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はい、霊験お初のマンガ版です。
むかーし雑誌掲載していた時に存在は知っていたのですが、当時は宮部さんにあんまり興味がなかったので、さらっと流していました。今になって原作を読んだので、思わずポチッとな(笑)
収録作は「迷い鳩」と「騒ぐ刀」の二作。
なんか直兄さんの描写に異様に力が入ってるvv
キャラデザがいかにも二枚目で、さすがにここまで来ると直次ファンの私でも笑えてきます。個人的には、幕間に試し書きされている、黒髪の月代バージョンの方が好みかもなあ(本文は白髪で前髪あり)。
っていうか、いくらなんでもシスコンが過ぎるかろう(苦笑)<そんなにほいほい妹に抱きつくなって
お話は一部の改変を除けば、おおむね原作の流れに忠実です。最初にお初を助けに入るのがお奉行様じゃなく直兄さんだとか(続けてお奉行様もご登場なさいます)、医者への聞き込みに行くのが六蔵兄さんじゃなく直兄さんだとか、刀匠の娘が結婚してなくて独身だとか、事件の数が微妙に減ってるとか、刀を寺に埋めたのが刀匠本人だとか、最後の締めがお奉行様の代わりに直兄さんだとか(笑)
倒れたお初を心配した六蔵兄さんが、「病気じゃねえんだから」とそっけなく言いつつ、使ってる箸が左右テレコになってるあたり、妙に微笑ましかったvv
あと画面の細部にこだわりがあるのは良いですね。
姉妹屋の看板がちゃんと「鬼と姫二人」だったり、立ち回りの最中に小太郎の耳が切られる場面が入ってたりとか、けっこう細かったです。
さて、このシリーズ続編がまだ出てるんですが……まずは原作を読んでからかな……
No.5534 (読書)


 2014年01月28日の読書
2014年01月28日(Tue) 
本日の初読図書:
410136916Xかまいたち (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社 1996-09-30

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享保二年、大岡越前守忠相が南町奉行の職についてから、様々な不正が正され江戸の庶民たちは大いに喜んでいた。しかし奉行所の一部の人間からは彼の存在は煙たがられているらしく、水面下で不満も湧いているようである。そんな状況で、連続辻斬り事件が発生した。姿を見たものは犬でさえ手にかける残虐なその人斬りを、いつしか人々は「かまいたち」と呼んで恐れるようになる。ある日のこと、医者の娘おようは往診に出た父親を迎えに出て、人が殺される現場を見てしまった。かまいたちだ、自分も殺されると覚悟したおようだったが、なぜか気が付くと一人死体と共に取り残されていた。だが慌てて自身番に駆け込み居合わせた同心を現場に案内すると、もう死体は消えており、これだから若い娘はと叱責を受けてしまう。あれはけして見間違いなどではないと不満をつのらせるおようの前に、元目明しの平太が現れた。越前守によって目明しの存在は禁止されたが、実は越前守自身に使われる特別な探索役「お耳」が存在するのだという。自分はそれであり、おようの目撃証言を信じるから協力して欲しいと平太は告げてきた。喜ぶおようは、しかし真向かいに引っ越してきた新たな住人を知って背筋を凍らせる。新吉と名乗るその男は、確かにおようが見た人殺しの犯人だったのである……「かまいたち」
旅籠梅屋には、毎年師走にやってきて五日ほど逗留する客がいる。伊達様の城下で小間物屋を開いている常二郎という男だ。気の良い男で、梅屋の家族はいつも彼の逗留を心待ちにしていた。それには彼の宿賃の払い方が、いっぷう変わっていることもあげられる。彼は宿賃に毎年小さな干支の金細工を置いていくのである。換金はできない約束なので実質は身にならない支払いだが、そこにはちょっとした事情があった。最終的には十二年かけて十二支がひと通り揃ったところで、それを改めてまとまった金額で買い戻してくれるという。いわば梅家は担保として細工物を預かって、十二年後に利子を含めた預かり料をもらえるという趣向だ。細工物が実に良くできていることもあって、今年の細工はさてどんなものかと、それもまた家族の楽しみであった。ところが六年目になる今年、常二郎が発った後に預かった巳の置物が消えてしまい……「師走の客」
義姉と共に一膳飯屋を切り盛りする少女お初は、道行く商家のお内儀のたもとが血で染まっているのを目撃する。しかし傷はないかと問いかけると、お内儀も周囲の人々もそんな血など見えないと言う。危うく巾着切りと勘違いされかけたお初を救ってくれたのは、通りすがりの武家の老人であった。なんでも植木職人である次兄直次の知り人らしい。後日、お初が岡っ引き六蔵の末妹であると知った商家は、酒樽を持って詫びに訪れた。いまその蝋燭問屋柏屋では、女中の失踪が相次いで、六蔵の世話になっているのだという。いなくなった女中はいずれも謎の病気で寝込んでいる主人の世話をしていたのだが、主人と共にいると自分も具合が悪くなるからと、病が感染るのを恐れていたらしい。兄からそんな話を聞きながら柏屋からもらった酒樽を持ち上げたお初は、激しい頭痛とともにまたも自分にしか見えない不思議な光景を目にした。それは畳いっぱいに飛び散る真っ赤な血しぶき。そして耳も割れんばかりの悲鳴。その声は確かに「人殺し」と叫んでいて……「迷い鳩」
お初達のもとへ、不思議な脇差しがやってきた。六蔵の上役でもある同心の一人、内藤新之助が古道具屋から買ったそれは、夜になると呻き声を上げるという。気味の悪さに眠れず御役目にも支障をきたした内藤は、六蔵へ相談を持ちかけ脇差しを預けてきたのだった。夜になると確かに脇差しは怪しい声を発し始める。六蔵夫婦も直次も何を言っているかまでは聞き取れなかったが、一人お初だけはその言葉を理解できた。「小咲村、坂内の小太郎に伝えてくれ。虎が暴れている」と。しかしこの日の本に本物の虎などいるはずがない。不思議に思いつつも、ひとまず直次が小咲村へと向かった。だが彼の留守の間にとんでもない事件が起こる。とある商家で父親が乱心し、妻と嫁入り間近の娘を斬殺。自らも首をはねて死んでいたのだ。しかも現場には凶器となったはずの刃物が見当たらない。首を傾げる六蔵だったが、惨劇はそれだけにとどまらず……「騒ぐ刀」

宮部みゆきの江戸モノを読もう月間。今回は初期短編集のひとつ「かまいたち」です。
収録作は中短編が四作。うち後半二作は、後にシリーズ化される「霊験お初」のパイロット版です。
うむ、やはり宮部作品は短編集、それも初期の作品のほうが好みだなあ。
表題作は、もう最初から最後まで「お約束」が満載。最初の殺人が起きた時点から、こいつが真犯人で、犯人だと思われてる人はアレやろと分かり切っているだけに、主役のやらかしちゃうあれこれが可笑しいやらいたたまれないやら。オチも秀逸。まさにTVの時代劇SPのようでしたvv
短編「師走の客」は、貧しくとも心豊かに暮らしていた純朴な家族がひどい目に遭わされて……と他人事ながら心を痛めていたら、最後には気持ちのいいどんでん返しがあって、ほんわりできる読後感でございました。
後半の二つは、ミステリとしてはちょっぴりずるい、超常現象が絡むお話。
これはジャンルとしてはどうなるんでしょうね。推理物というには、手掛かりを得る手段がフェアではないので、やはりミステリ風ファンタジーでしょうか。
個人的に直兄さんが格好良くて大好きです。しかしこの人、正式な下っ引でもないのに、いきなり仕事休んで遠出とかして、大丈夫なんだろうか……(苦笑)
さて次は正式版シリーズの「震える岩」あたりを借りてきましょうかね♪
No.5525 (読書)


 2014年01月25日の読書
2014年01月25日(Sat) 
本日の初読図書:
4591001105少年探偵江戸川乱歩全集 〈1〉怪人二十面相
江戸川 乱歩
ポプラ社 1964-08-05

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その頃、日本国中で怪人二十面相のことが噂になっていた。
毎日のように新聞記事を賑わせている、風変わりな盗賊。変装がとびきり上手で、二十もの違った顔を持つと言われる所から、二十面相とのあだ名がついている。
現金には興味を持たず、もっぱら宝石や美術品といった美しくて珍しくて非常に高価なものばかりを盗み、人を傷つけたり殺したりするような、残酷なふるまいは一度もしたことがない。
とは言え相手は盗賊。追い詰められればなにをするか判らないし、ましてや貴重な宝物を持っている富豪達にとっては恐るべき存在だ。
またこの二十面相には妙な癖があった。盗みに入る前に必ず、その日時を記した予告状を送るのである。なんとも大胆不敵、傍若無人な怪盗だった。
ある日のこと、麻布に住む実業界の大立者、羽柴壮太郎の屋敷に二十面相の予告状が届く。羽柴家の家宝である、かつてロマノフ王朝の宝冠を飾ったという大粒の金剛石六個をちょうだいに参上するというのだ。
折りしも羽柴家では、十年前に家出した長男 壮一が南洋ボルネオ島で事業の成功をおさめ、戻ってくるという慶事を控えていた。両親も弟妹も大喜びでそれを迎えようとしている矢先の予告状。立派な青年紳士となって戻ってきた壮一は、予告の日、父親とともにダイヤモンドを収めた金庫の前で徹夜の見張り番をすることとなる。他にも使用人や警察の人間が厳重に警戒をしていた。
しかしそれでもダイヤはまんまと盗まれてしまった。しかも逃走途中に傷を追った二十面相は、その損害を賠償してもらうと称して、まだ小学生の次男 壮二を誘拐し、彼と引き換えに羽柴氏のコレクションである国宝級の観世音像を要求してきたのである。
子供の命には代えられないが、それでもダイヤばかりか仏像まで奪われてしまうとは……と歯噛みした羽柴氏は、名探偵と名高い明智小五郎氏に相談を持ちかけることにする。専門家であれば、なにか自分達では想像もつかない名案があるかもしれないからと。
しかし連絡をとってみると、明智小五郎は現在、別件で外国に行っているとの事だった。代わりに助手の小林を送るからと告げて電話は切れる。そうして羽柴家へやってきたのは、まだ十二三ほどと見える小林芳雄少年で……

ポプラ社から出ている「少年探偵」シリーズの1巻目です。
栞子さんの大プッシュに負けて借りてきてしまいました(苦笑)
裏表紙の小林少年が、予想以上にかっこ良くて驚きました。うんいや、こんなシーン、本編にはないんですけどね。むしろトランシーバーなんてない時代だから、話の中では伝書鳩使ってたりするんですが。

お話は、現在の大人の目で見ると突っ込みどころがいっぱいです。
でも確かにこれは面白い。読んだ子供たちがワクワクと胸を躍らせる気持ちが判りますね! くそう、ちゃんとスれてない子供の時分に読んでおけばよかった(><) うちの学校の図書室にはなかったんだよ!

私はこのシリーズに関する予備知識はほぼないので、てっきり複数の巻で二十面相と明智探偵+少年探偵団の丁々発止が繰り返されると思っていたのですけれど……一巻目で二十面相、逮捕されちゃってますね。そのうち脱獄とかするのでしょうか?
怪盗として一定の美学を持った二十面相と明智探偵との会談は、読んでいて胸が熱くなりましたな……vv
小林少年もけして明智探偵の使いっ走りではなく、彼が不在の折りには立派に代理を務める一人前の助手だというのが素晴らしい。 ……しかしあの時代(正確にはどの時代なんだろう)、子供が普通にピストル持ってても大丈夫だったんだろうか(悩)

そしてこの1巻目では、記念すべき少年探偵団結成シーンもありました。
物語の最初では、助手は小林少年ただ一人なのです(……ってことは小林少年、電話応対して自分で「先生におとらぬ腕ききの助手で、じゅうぶんご信頼なすっていいと思います」って売り込んでたのか/笑)。
ほとんど押し掛けの小学生集団は、しかしラストでしっかり活躍してくれて、そりゃあ読んだ子供達は自分がその一員だったら……って絶対夢想しますよね。

あと、おいおいそれはちょっと反則じゃないかい(苦笑)な赤井寅三さんは、今後も再登場なさるのでしょうか。あんまり何度も使うと本当に反則になる人ではありますけれど、一回で使い捨ててしまうには惜しいキャラクターでもあるんですよね。
気になる所ではありますが、しかし全巻読破するのは、さすがに冊数が多いからなあ……
No.5516 (読書)


 2014年01月24日の読書
2014年01月24日(Fri) 
本日の初読図書:
4063879437ビブリア古書堂の事件手帖(3) (アフタヌーンKC)
交田 稜 三上 延
講談社 2014-01-23

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ビブリア古書堂〜のマンガ版、ついに太宰治の「晩年」編の完結です。
前巻ラストでレプリカを店頭に飾っていましたが、そこから始まる大庭葉蔵VS栞子(&大輔)との丁々発止、事件が終わった後に大輔が気がつき栞子さんへと突きつける謎解き、そして二人のすれ違いと仲直りまでが、原作に忠実な流れで一気に語られています。
作画の交田稜さんは、エピソードの取捨選択もさることながら、見開きの使い方が実に良いですね。
ここぞと言うところに挿入される見開き場面によって、ストーリーがとても印象深くなっています。
さらに回想シーンや、心内語などを表現する演出的な描き方も面白くって。あと小物類など細かい部分の描き込みもすごい。
今回一番印象に残ったのは、大輔さんが金庫から本物の「晩年」を取り出すときの演出です。書き下ろしで5ページにわたって語られる、「アンカット初版 晩年」を巡ってきた「物語」。「けして美しいものとは限らない」その「物語」を挟むことで、栞子さんが古本に対して抱く執着とも言えるこだわり、その根底たる「人の手を渡った古い本には、中身だけでなく本そのものにも物語がある」のだという事実をありありと感じさせてくれるのですよ。
ドラマではばっさりカットされていた、大輔と男爵の関係や二人の対比もうまく表現されていたし、いやあ、見事でした!
メディアミックスとしては、◎を付けたいと思います。

……花丸ではない理由は、何度も言ってますが、栞子さんの胸が(苦)
顔がアップの時はむしろ好みのキャラデザインなんですが、どうしてもどうしても、読んでいてあの胸が視界に入るたびに、気持ちが冷めて没入していたストーリーから引き戻されてしまうのです _| ̄|○
栞子さんはあくまで『隠れ』巨乳であって、爆裂乳じゃないんだ……いくら青年誌掲載だからって、強調するにも限度があるだろうよ。他の女性キャラのスタイルはむしろ控えめなぐらいなのに、なんで栞子さんだけあんな……(しくしくしく)

そしてこの巻でコミカライズは終了だとばかり思っていたら、なんと「2014年夏・最終章開幕」の予告ページが!
最終章ってったらやっぱりあれですよね、江戸川乱歩編!
開幕と言うことは、夏から雑誌で連載開始と言うことなのかな(わっくわっく)
それに乱歩編を語るためには、まず栞子さんと母親の確執にも触れないとですよね。だったら事前にUTOPIAも入るのかも?? とか考えるともう、期待が止まりませんvv

……ちなみに先日、うっかり図書館で乱歩の「少年探偵団」を借りてきてしまった私がいます(苦笑)
ええ、もちろん、この間原作の4巻を読み返したのが原因でっさ♪

ドラマが正直微妙な出来だっただけに、こちらのメディアミックスは面白くて、買って悔いなしです。
さて……マンガ版はもう一種類別の出版社から出てるんだが、そちらにも手を出そうか否か……(悩)
No.5513 (読書)


 2014年01月23日の読書
2014年01月23日(Thr) 
本日の初読図書:
4041104513絹の家 シャーロック・ホームズ
アンソニー・ホロヴィッツ 駒月 雅子
角川書店 2013-04-27

by G-Tools
今までこの物語が公表されなかったのは、その内容がホームズの名声を傷つけるおそれがあるからだった。そしてそれ以上に、活字にするにはあまりにおぞましく、身の毛のよだつような事柄が含まれているからだった。
社会に混乱を引き起こすことを恐れたワトソンは、書き上げた原稿を厳重に封印し、百年経ったら開封するようにとの指示を添えて、チャリング・クロスのコックス銀行へと預けることにした。百年後の読者であれば、今の時代よりも醜聞や堕落に慣れているだろうと、そう見込んで……
その事件は、一八九〇年も終わろうとしている寒い冬のある日、一人の美術商エドマンド・カーステアーズがベイカー街を訪れたことから始まった。彼は自宅の周囲を怪しい男がうろついていると訴える。おそらくは数年前にアメリカで壊滅させられた、ギャング団の生き残りであろうと言うのだ。彼はその壊滅に一枚噛んでいたため、恨みから命を狙われているのだと主張した。
ホームズは事情を聞いて、害はないだろうと一度はカーステアーズを帰した。しかしその夜、彼の家に賊が入り、金と宝石を奪われる事件が起こる。
捜査に手を付けることとなったホームズは、ベイカー街不正規隊と呼ぶ浮浪児集団に声をかけ、盗まれた宝石と謎の男の行方を探させた。ところが謎の男は、場末のホテルで殺害されているのが見つかる。さらにはそのホテルを見張っていたベイカー街不正規隊の新入りロスとその姉が、意味ありげな言葉を残して行方をくらましてしまった。
謎の男の正体は本当にギャングの生き残りなのか? ロスは誰かを強請ろうとしていたようだったが、いったい誰をどんな理由で? ロスの姉が口走った“ハウス・オブ・シルク”とは一体?
そして手掛かりを追って阿片窟へと一人潜入したホームズを、かつてない苦難が待ち受ける ―― !

昨年ホームズ物のドキュメンタリーが集中して放送された際、インタビューされている人達の中に何度も「絹の家 著者」という人が出てきておりまして。いったいどんな本なのかなーと調べてみたところ、「コナン・ドイル財団から公式認定された、61番目のホームズ事件」とのあおりが。つまり新作の本格パスティーシュしかも長編ってことですよね? おまけに最寄り図書館に入ってるじゃないですか! もちろん速攻で予約しましたとも! それがようやく借りられましたvv
でもって。
実際に読んでみた感じ、翻訳者の力量もあるのでしょうが、文章の雰囲気はまさに原典を読んでいると錯覚しそうな見事さでした。むしろ本家ではいささか冗長になりがちな長編を、飽きさせない構成でしっかりまとめています。読んでいて浮かぶイメージは、完全にジェレミー・ホームズvv
導入部はお約束通り、ホームズがワトソンさんの近況を推理するというじゃれあいやりとりを挟んで、依頼人の登場。そしてベイカー街不正規隊を大きな軸に、レストレイド警部やハドソン夫人、マイクロフト兄といったおなじみのキャラクターに加えて、「入院患者」での依頼人だったお医者さんとか、挙げ句の果てには名前を言えないあの人(笑)までが盛り沢山のご活躍。
もちろん随所にファンならニヤリとできるネタもちりばめられていて、否応なく物語に引き込まれてゆきます。 まあ、名前を言えないあの人については、出る意味あったのか? という部分もありはしましたが(苦笑)
途中ホームズさんがかつてないピンチに陥る下りに至っては、読んでいて辛くて辛くてもう……( T _ T )
辛いと言えば、序章とあとがきも切ないです。もちろんどちらもワトソン博士が書いていらっしゃる体裁なんですが、これが最晩年に過去を振り返って、この作品が最後の執筆だと覚悟して筆をとっているのですよ。人生ここに至るまでには、あんなこともあった、こんなこともあったと回顧するその内容が切なすぎる ・゜・(ノД`)・゜・
っていうか、このあとがき、最後にペンを置いてからも数行続いてるんですが……これってやっぱりホームズさんがお迎えに……?(涙)

事件については、やはり原典の長編に多い二重構造的な部分がありました。過去にアメリカで起きたギャング団壊滅事件に端を発する復讐劇と、現在のロンドンで起きた堕落と醜聞に満ちた忌まわしい事件とが、実に複雑に絡み合っています。
その中でホームズさんは濡れ衣を着せられ、逮捕裁判投獄の憂き目にあい、ワトソンさんはワトソンさんで、様々な試練に巡りあう訳で。
……ワトソンさんは、名前を言えないあの人のことと……そしておそらくメアリの病状についても、最大の親友であるホームズにすら言うことができないまま、晩年まで一人胸の内に秘め続けていたのでしょう。そう思うと、やっぱり彼の一個人としての、人間としての『剛さ』には計り知れないものがあるよなあとしみじみしてみたり。

あ、ちなみに『堕落と醜聞に満ちた忌まわしい事件』については、あくまで十九世紀のヨーロッパ基準でした(苦笑)
いやうん、序章でうすうす予測はできてたんですけどね!
途中、あんまりワトソンさんが深刻だったから、どこまで陰惨で猟奇的な展開に行くのかと、ちょっとドキドキしちゃいました。 いやうん、充分忌まわしく痛ましい話ではあるんですけどね。でもほら、昨今はそういうジャンルも流行りだから……(苦笑)
それだけに、事件が深刻だなんだと深刻に大騒ぎする周囲にちょっぴり違和感を感じる部分もありました。終わり方が少々尻切れトンボっぽいのは、むしろそれこそドイルらしいとも思うんですが。

……ただ正直を言うと、良くできた二次創作であるが故に、これは読む人を選ぶと思います。
私はあの二人がいつまでもロンドンで事件を追っている、そして私達の知らない事件を解決し続けていると思っていたい人間です。
たとえそれが人間の寿命としてあり得ないのだとしても、ホームズさんの没年は「今も生きている」説に一票を入れたいファンなのです。
それだけにこの本は、序章から切ない展開の一冊でした。
これから読もうという方には、そのあたりをお気をつけ下さいと、一言ご忠告申し上げる次第です。
No.5507 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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