よしなしことを、日々徒然に……



 2014年02月03日の読書
2014年02月03日(Mon) 
本日の初読図書:
「え、変?普通だよ!!(ムーンライトノベルズ)」〜メテオ
 http://novel18.syosetu.com/n8070bu/

二十二歳の時、車に轢かれそうな犬を助けて死んでしまった青年は、異世界で魔貴族キオ・ナイン・アルフォードとして生まれ変わった。
この世界の魔族とは、魔法の扱いがもっとも得意な種族である、生れてすぐ生きるために必要な知識を親から転写され、1ヶ月で十五歳程に、2ヶ月で二十〜二十五歳程に成長するという反則ぶりだ。
ところが日本人からの転生者であるキオには非常に困ったことがあった。それは食事だ。魔族にとっての食料とは、魔力そのものにほかならない。そしてその摂取方法とは、『肉体的接触』による他者からの譲渡なのだ。生まれてすぐは両親からのキスで分けてもらえるが、一ヶ月もすればガチでエッチをしなければならない。おまけに魔族には男性しか存在しないのだ。
前世でも女性経験のなかったキオにとって、生まれて一ヶ月で男性と……というのは倫理的なハードルが高すぎた。
幸いにも魔力を豊富に含むルビの実という木の実が存在したため、かろうじて餓死を免れていたキオだったが、その実はかなり高価で、下級貴族であるアルフォード家で購入し続けるのは厳しかった。そこへ持って来て何故か急に値段が高騰し、ついに家族から通常の方法で魔力を摂取するか、家を出るかのどちらかを選べと言われてしまう。
魔力が強ければ美しい、美しければ強い、強ければ出世できる。それが普通のこの世界で、積極的に魔力を得ようともせず、結果的に見た目もそこそこで家の出世にも役立とうとはしないうえ、エンゲル係数ばかりかさむキオにかまけていれば、アルフォート家自体が倒れてしまうだろう。だから家族の判断は間違っていない。そう思ったキオは、素直に家を出ることにした。
幸いにも家から持ちだした衣服(突出した美形の兄のお下がり)が高く売れたおかげで、当座の住処と着るものはなんとかなった。後は食べ物だが……すったもんだのあげくに、なんとか自分の庭でルビの木を育てることに成功し、生き抜く目処は立った。
しかし一人暮らしは寂しい……と思っていたところへ、ある日門の前に怪我をした子犬が落ちているのを見つけた。魔法で傷を直してやると、子犬は四〜五歳ぐらいの獣耳を生やした可愛い男の子に変身する。
「おねぇがい。にいちゃを助けて(≧Д≦)」
前世の頃から動物大好き、モフモフ最高! だったキオは、奴隷としてさらわれたという獣人たちを救うべく、魔貴族の屋敷へと突入して……

えーと……R18指定でBL注意のほのぼのものです。
魔族の設定とかはあれですが、直接的描写はほとんど出てきません。可愛いモノ大好きの主役が、美形の獣人兄弟を引き取って、ふわふわと楽しく暮らしております。
まあ、55話ぐらいから、少しずつ恋愛模様(男同士)が混じってきてるので、要注意ではありますが。
キオが自覚なしにいろいろやらかしては、いつの間にか超絶美形の規格外魔族になっているのは、転生チートの御約束★

あとこの作品はスマホで書かれているらしく、誤字脱字や不要な改行・スペースなどが山ほどあります。予測変換によるものと思われる変な言葉遣い(おっちゃん→おちゃん)なども相当にあるうえ、作者様がそれらはスルーしてほしいとおっしゃっておられるので、読んでいて脳内補正作業がフル活動で必要です。顔文字とかも多用されているので、そういうのが苦手な方は避けられたほうがいいかもですね。
No.5550 (読書)


 2014年02月02日の読書
2014年02月02日(Sun) 
本日の初読図書:
B000JADNNC20億の針 (1965年) (創元推理文庫)
ハル・クレメント
東京創元新社 1965

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児童向けジュヴナイル「星からきた探偵」の原作小説。なのであらすじは先日読んだものに準拠です。
そして実はこの話、このブログを始める前にも一度読んでいるんですが、その時は新装版(2002年発行)だったので一応今回(1963年発行旧版)は初読にカウントしようかと。……まあ中身(訳者)は同じなんですけどね(苦笑)
旧版は表紙のイラストがいかにも一昔前の怪奇SFっぽいエイリアンの図でした。書影を紹介できないのが無念です。
そしてその印象とは裏腹に、非常に理知的で大人で友好的な異星人の登場するのが、ハル・クレメントの書く小説の特徴らしいです。そんな解説を読むと他の作品にも手を出してみたくなるけれど、積読が(ry

文章としては、ジュヴナイル版で「デカ」だった異星人が「捕り手」、「ボブ」だった主役の少年が「バブ」になっているのが最初ちょっと違和感を感じさせますかね。あとバブの友人達も数人出てくるのですが、場面によって名字や名前や愛称(複数)など呼び方がかなり入り乱れているせいで、どれがどの子のことか把握しにくいのが難点です。
そのくせジュヴナイル版ではざっくりカットされていた、SF小説の中に推理小説の要素が色濃く入っているテイストがありまして。ホシがいったい誰の体内に潜んでいるのか、ひとつひとつ可能性を潰していく課程がつぶさに書かれているのに、肝心のキャラの見分けがつきにくいせいで、いま一つ話に没入しにくいのが難点かと。
島のお医者様という第三者の協力者を得るエピソードも、ジュヴナイルでは削られていた楽しいポイントですね。十五才の少年では行き届かない部分をフォローしてくれる、理解ある頼もしい大人の専門家。続編「二千億の針」では、このお医者さんの存在が非常な助けになってきてますし。
あと大人向けバージョンの見所は、バブがかなり最後の方まで捕り手への疑いを持ち続けているところでしょうか。素直かつ無鉄砲な少年の心と、年に似合わぬ聡明さを持ち合わせた彼は、途中で「実は捕り手こそが犯罪者であり、自分(バブ)を作り話で言いくるめて、追っ手を『ホシ』と偽っているのではないか」という可能性に気がつくのですよ。
捕り手と交流を深め、お互いに親愛の情を抱きながらも、その心中では捕り手=ホシでは? という疑いを捨てきれない。しかしその疑いを表に出すことはけしてせず、時々さりげない問いかけで捕り手を試しつつ、反証を得るたびにそっと笑みを浮かべる。そんなバブの思慮深さがあるからこそ、たまにやらかす子供っぽいポカのあれこれも、許容することができるのですよ。
翻訳が古すぎるせいか、バブの話し言葉が子供らしくないというレビューも見かけますが、私はこのくらいの方が「聡明な少年」という印象がはっきりして良いと思います。
……まあ、「キャットウォーク」が「猫道」だったり「シアトル」が「シャートル」だったりとかするのには、違和感を感じなくもありませんが(苦笑)
あとたまに、地形描写で東西南北がおかしい気がするのが困りどころですかね。文章だけだと、うまく脳内で地図を描けないんですよ。たとえばどう考えても南東が、北東って書かれてる場所がある気がする……もしかして文中で出てくる地図、北が上じゃないのか??
新装版には確か島内地図が載ってたと思うんですが……いっそ新装するだけでなく、新しい訳が出てくれないかなあ。古い文章は古い文章で味があるのですけれど、どうせなら判りやすい方でちゃんと内容を把握した後で、ゆっくり味わいを楽しみたいところです。
No.5542 (読書)


 2014年01月31日の読書
2014年01月31日(Fri) 
本日の初読図書:
4253154018霊験お初捕物控 其ノ1 (プリンセスコミックスデラックス)
宮部 みゆき 坂口 よしを
秋田書店 2006-11-16

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はい、霊験お初のマンガ版です。
むかーし雑誌掲載していた時に存在は知っていたのですが、当時は宮部さんにあんまり興味がなかったので、さらっと流していました。今になって原作を読んだので、思わずポチッとな(笑)
収録作は「迷い鳩」と「騒ぐ刀」の二作。
なんか直兄さんの描写に異様に力が入ってるvv
キャラデザがいかにも二枚目で、さすがにここまで来ると直次ファンの私でも笑えてきます。個人的には、幕間に試し書きされている、黒髪の月代バージョンの方が好みかもなあ(本文は白髪で前髪あり)。
っていうか、いくらなんでもシスコンが過ぎるかろう(苦笑)<そんなにほいほい妹に抱きつくなって
お話は一部の改変を除けば、おおむね原作の流れに忠実です。最初にお初を助けに入るのがお奉行様じゃなく直兄さんだとか(続けてお奉行様もご登場なさいます)、医者への聞き込みに行くのが六蔵兄さんじゃなく直兄さんだとか、刀匠の娘が結婚してなくて独身だとか、事件の数が微妙に減ってるとか、刀を寺に埋めたのが刀匠本人だとか、最後の締めがお奉行様の代わりに直兄さんだとか(笑)
倒れたお初を心配した六蔵兄さんが、「病気じゃねえんだから」とそっけなく言いつつ、使ってる箸が左右テレコになってるあたり、妙に微笑ましかったvv
あと画面の細部にこだわりがあるのは良いですね。
姉妹屋の看板がちゃんと「鬼と姫二人」だったり、立ち回りの最中に小太郎の耳が切られる場面が入ってたりとか、けっこう細かったです。
さて、このシリーズ続編がまだ出てるんですが……まずは原作を読んでからかな……
No.5534 (読書)


 2014年01月28日の読書
2014年01月28日(Tue) 
本日の初読図書:
410136916Xかまいたち (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社 1996-09-30

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享保二年、大岡越前守忠相が南町奉行の職についてから、様々な不正が正され江戸の庶民たちは大いに喜んでいた。しかし奉行所の一部の人間からは彼の存在は煙たがられているらしく、水面下で不満も湧いているようである。そんな状況で、連続辻斬り事件が発生した。姿を見たものは犬でさえ手にかける残虐なその人斬りを、いつしか人々は「かまいたち」と呼んで恐れるようになる。ある日のこと、医者の娘おようは往診に出た父親を迎えに出て、人が殺される現場を見てしまった。かまいたちだ、自分も殺されると覚悟したおようだったが、なぜか気が付くと一人死体と共に取り残されていた。だが慌てて自身番に駆け込み居合わせた同心を現場に案内すると、もう死体は消えており、これだから若い娘はと叱責を受けてしまう。あれはけして見間違いなどではないと不満をつのらせるおようの前に、元目明しの平太が現れた。越前守によって目明しの存在は禁止されたが、実は越前守自身に使われる特別な探索役「お耳」が存在するのだという。自分はそれであり、おようの目撃証言を信じるから協力して欲しいと平太は告げてきた。喜ぶおようは、しかし真向かいに引っ越してきた新たな住人を知って背筋を凍らせる。新吉と名乗るその男は、確かにおようが見た人殺しの犯人だったのである……「かまいたち」
旅籠梅屋には、毎年師走にやってきて五日ほど逗留する客がいる。伊達様の城下で小間物屋を開いている常二郎という男だ。気の良い男で、梅屋の家族はいつも彼の逗留を心待ちにしていた。それには彼の宿賃の払い方が、いっぷう変わっていることもあげられる。彼は宿賃に毎年小さな干支の金細工を置いていくのである。換金はできない約束なので実質は身にならない支払いだが、そこにはちょっとした事情があった。最終的には十二年かけて十二支がひと通り揃ったところで、それを改めてまとまった金額で買い戻してくれるという。いわば梅家は担保として細工物を預かって、十二年後に利子を含めた預かり料をもらえるという趣向だ。細工物が実に良くできていることもあって、今年の細工はさてどんなものかと、それもまた家族の楽しみであった。ところが六年目になる今年、常二郎が発った後に預かった巳の置物が消えてしまい……「師走の客」
義姉と共に一膳飯屋を切り盛りする少女お初は、道行く商家のお内儀のたもとが血で染まっているのを目撃する。しかし傷はないかと問いかけると、お内儀も周囲の人々もそんな血など見えないと言う。危うく巾着切りと勘違いされかけたお初を救ってくれたのは、通りすがりの武家の老人であった。なんでも植木職人である次兄直次の知り人らしい。後日、お初が岡っ引き六蔵の末妹であると知った商家は、酒樽を持って詫びに訪れた。いまその蝋燭問屋柏屋では、女中の失踪が相次いで、六蔵の世話になっているのだという。いなくなった女中はいずれも謎の病気で寝込んでいる主人の世話をしていたのだが、主人と共にいると自分も具合が悪くなるからと、病が感染るのを恐れていたらしい。兄からそんな話を聞きながら柏屋からもらった酒樽を持ち上げたお初は、激しい頭痛とともにまたも自分にしか見えない不思議な光景を目にした。それは畳いっぱいに飛び散る真っ赤な血しぶき。そして耳も割れんばかりの悲鳴。その声は確かに「人殺し」と叫んでいて……「迷い鳩」
お初達のもとへ、不思議な脇差しがやってきた。六蔵の上役でもある同心の一人、内藤新之助が古道具屋から買ったそれは、夜になると呻き声を上げるという。気味の悪さに眠れず御役目にも支障をきたした内藤は、六蔵へ相談を持ちかけ脇差しを預けてきたのだった。夜になると確かに脇差しは怪しい声を発し始める。六蔵夫婦も直次も何を言っているかまでは聞き取れなかったが、一人お初だけはその言葉を理解できた。「小咲村、坂内の小太郎に伝えてくれ。虎が暴れている」と。しかしこの日の本に本物の虎などいるはずがない。不思議に思いつつも、ひとまず直次が小咲村へと向かった。だが彼の留守の間にとんでもない事件が起こる。とある商家で父親が乱心し、妻と嫁入り間近の娘を斬殺。自らも首をはねて死んでいたのだ。しかも現場には凶器となったはずの刃物が見当たらない。首を傾げる六蔵だったが、惨劇はそれだけにとどまらず……「騒ぐ刀」

宮部みゆきの江戸モノを読もう月間。今回は初期短編集のひとつ「かまいたち」です。
収録作は中短編が四作。うち後半二作は、後にシリーズ化される「霊験お初」のパイロット版です。
うむ、やはり宮部作品は短編集、それも初期の作品のほうが好みだなあ。
表題作は、もう最初から最後まで「お約束」が満載。最初の殺人が起きた時点から、こいつが真犯人で、犯人だと思われてる人はアレやろと分かり切っているだけに、主役のやらかしちゃうあれこれが可笑しいやらいたたまれないやら。オチも秀逸。まさにTVの時代劇SPのようでしたvv
短編「師走の客」は、貧しくとも心豊かに暮らしていた純朴な家族がひどい目に遭わされて……と他人事ながら心を痛めていたら、最後には気持ちのいいどんでん返しがあって、ほんわりできる読後感でございました。
後半の二つは、ミステリとしてはちょっぴりずるい、超常現象が絡むお話。
これはジャンルとしてはどうなるんでしょうね。推理物というには、手掛かりを得る手段がフェアではないので、やはりミステリ風ファンタジーでしょうか。
個人的に直兄さんが格好良くて大好きです。しかしこの人、正式な下っ引でもないのに、いきなり仕事休んで遠出とかして、大丈夫なんだろうか……(苦笑)
さて次は正式版シリーズの「震える岩」あたりを借りてきましょうかね♪
No.5525 (読書)


 2014年01月25日の読書
2014年01月25日(Sat) 
本日の初読図書:
4591001105少年探偵江戸川乱歩全集 〈1〉怪人二十面相
江戸川 乱歩
ポプラ社 1964-08-05

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その頃、日本国中で怪人二十面相のことが噂になっていた。
毎日のように新聞記事を賑わせている、風変わりな盗賊。変装がとびきり上手で、二十もの違った顔を持つと言われる所から、二十面相とのあだ名がついている。
現金には興味を持たず、もっぱら宝石や美術品といった美しくて珍しくて非常に高価なものばかりを盗み、人を傷つけたり殺したりするような、残酷なふるまいは一度もしたことがない。
とは言え相手は盗賊。追い詰められればなにをするか判らないし、ましてや貴重な宝物を持っている富豪達にとっては恐るべき存在だ。
またこの二十面相には妙な癖があった。盗みに入る前に必ず、その日時を記した予告状を送るのである。なんとも大胆不敵、傍若無人な怪盗だった。
ある日のこと、麻布に住む実業界の大立者、羽柴壮太郎の屋敷に二十面相の予告状が届く。羽柴家の家宝である、かつてロマノフ王朝の宝冠を飾ったという大粒の金剛石六個をちょうだいに参上するというのだ。
折りしも羽柴家では、十年前に家出した長男 壮一が南洋ボルネオ島で事業の成功をおさめ、戻ってくるという慶事を控えていた。両親も弟妹も大喜びでそれを迎えようとしている矢先の予告状。立派な青年紳士となって戻ってきた壮一は、予告の日、父親とともにダイヤモンドを収めた金庫の前で徹夜の見張り番をすることとなる。他にも使用人や警察の人間が厳重に警戒をしていた。
しかしそれでもダイヤはまんまと盗まれてしまった。しかも逃走途中に傷を追った二十面相は、その損害を賠償してもらうと称して、まだ小学生の次男 壮二を誘拐し、彼と引き換えに羽柴氏のコレクションである国宝級の観世音像を要求してきたのである。
子供の命には代えられないが、それでもダイヤばかりか仏像まで奪われてしまうとは……と歯噛みした羽柴氏は、名探偵と名高い明智小五郎氏に相談を持ちかけることにする。専門家であれば、なにか自分達では想像もつかない名案があるかもしれないからと。
しかし連絡をとってみると、明智小五郎は現在、別件で外国に行っているとの事だった。代わりに助手の小林を送るからと告げて電話は切れる。そうして羽柴家へやってきたのは、まだ十二三ほどと見える小林芳雄少年で……

ポプラ社から出ている「少年探偵」シリーズの1巻目です。
栞子さんの大プッシュに負けて借りてきてしまいました(苦笑)
裏表紙の小林少年が、予想以上にかっこ良くて驚きました。うんいや、こんなシーン、本編にはないんですけどね。むしろトランシーバーなんてない時代だから、話の中では伝書鳩使ってたりするんですが。

お話は、現在の大人の目で見ると突っ込みどころがいっぱいです。
でも確かにこれは面白い。読んだ子供たちがワクワクと胸を躍らせる気持ちが判りますね! くそう、ちゃんとスれてない子供の時分に読んでおけばよかった(><) うちの学校の図書室にはなかったんだよ!

私はこのシリーズに関する予備知識はほぼないので、てっきり複数の巻で二十面相と明智探偵+少年探偵団の丁々発止が繰り返されると思っていたのですけれど……一巻目で二十面相、逮捕されちゃってますね。そのうち脱獄とかするのでしょうか?
怪盗として一定の美学を持った二十面相と明智探偵との会談は、読んでいて胸が熱くなりましたな……vv
小林少年もけして明智探偵の使いっ走りではなく、彼が不在の折りには立派に代理を務める一人前の助手だというのが素晴らしい。 ……しかしあの時代(正確にはどの時代なんだろう)、子供が普通にピストル持ってても大丈夫だったんだろうか(悩)

そしてこの1巻目では、記念すべき少年探偵団結成シーンもありました。
物語の最初では、助手は小林少年ただ一人なのです(……ってことは小林少年、電話応対して自分で「先生におとらぬ腕ききの助手で、じゅうぶんご信頼なすっていいと思います」って売り込んでたのか/笑)。
ほとんど押し掛けの小学生集団は、しかしラストでしっかり活躍してくれて、そりゃあ読んだ子供達は自分がその一員だったら……って絶対夢想しますよね。

あと、おいおいそれはちょっと反則じゃないかい(苦笑)な赤井寅三さんは、今後も再登場なさるのでしょうか。あんまり何度も使うと本当に反則になる人ではありますけれど、一回で使い捨ててしまうには惜しいキャラクターでもあるんですよね。
気になる所ではありますが、しかし全巻読破するのは、さすがに冊数が多いからなあ……
No.5516 (読書)


 2014年01月24日の読書
2014年01月24日(Fri) 
本日の初読図書:
4063879437ビブリア古書堂の事件手帖(3) (アフタヌーンKC)
交田 稜 三上 延
講談社 2014-01-23

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ビブリア古書堂〜のマンガ版、ついに太宰治の「晩年」編の完結です。
前巻ラストでレプリカを店頭に飾っていましたが、そこから始まる大庭葉蔵VS栞子(&大輔)との丁々発止、事件が終わった後に大輔が気がつき栞子さんへと突きつける謎解き、そして二人のすれ違いと仲直りまでが、原作に忠実な流れで一気に語られています。
作画の交田稜さんは、エピソードの取捨選択もさることながら、見開きの使い方が実に良いですね。
ここぞと言うところに挿入される見開き場面によって、ストーリーがとても印象深くなっています。
さらに回想シーンや、心内語などを表現する演出的な描き方も面白くって。あと小物類など細かい部分の描き込みもすごい。
今回一番印象に残ったのは、大輔さんが金庫から本物の「晩年」を取り出すときの演出です。書き下ろしで5ページにわたって語られる、「アンカット初版 晩年」を巡ってきた「物語」。「けして美しいものとは限らない」その「物語」を挟むことで、栞子さんが古本に対して抱く執着とも言えるこだわり、その根底たる「人の手を渡った古い本には、中身だけでなく本そのものにも物語がある」のだという事実をありありと感じさせてくれるのですよ。
ドラマではばっさりカットされていた、大輔と男爵の関係や二人の対比もうまく表現されていたし、いやあ、見事でした!
メディアミックスとしては、◎を付けたいと思います。

……花丸ではない理由は、何度も言ってますが、栞子さんの胸が(苦)
顔がアップの時はむしろ好みのキャラデザインなんですが、どうしてもどうしても、読んでいてあの胸が視界に入るたびに、気持ちが冷めて没入していたストーリーから引き戻されてしまうのです _| ̄|○
栞子さんはあくまで『隠れ』巨乳であって、爆裂乳じゃないんだ……いくら青年誌掲載だからって、強調するにも限度があるだろうよ。他の女性キャラのスタイルはむしろ控えめなぐらいなのに、なんで栞子さんだけあんな……(しくしくしく)

そしてこの巻でコミカライズは終了だとばかり思っていたら、なんと「2014年夏・最終章開幕」の予告ページが!
最終章ってったらやっぱりあれですよね、江戸川乱歩編!
開幕と言うことは、夏から雑誌で連載開始と言うことなのかな(わっくわっく)
それに乱歩編を語るためには、まず栞子さんと母親の確執にも触れないとですよね。だったら事前にUTOPIAも入るのかも?? とか考えるともう、期待が止まりませんvv

……ちなみに先日、うっかり図書館で乱歩の「少年探偵団」を借りてきてしまった私がいます(苦笑)
ええ、もちろん、この間原作の4巻を読み返したのが原因でっさ♪

ドラマが正直微妙な出来だっただけに、こちらのメディアミックスは面白くて、買って悔いなしです。
さて……マンガ版はもう一種類別の出版社から出てるんだが、そちらにも手を出そうか否か……(悩)
No.5513 (読書)


 2014年01月23日の読書
2014年01月23日(Thr) 
本日の初読図書:
4041104513絹の家 シャーロック・ホームズ
アンソニー・ホロヴィッツ 駒月 雅子
角川書店 2013-04-27

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今までこの物語が公表されなかったのは、その内容がホームズの名声を傷つけるおそれがあるからだった。そしてそれ以上に、活字にするにはあまりにおぞましく、身の毛のよだつような事柄が含まれているからだった。
社会に混乱を引き起こすことを恐れたワトソンは、書き上げた原稿を厳重に封印し、百年経ったら開封するようにとの指示を添えて、チャリング・クロスのコックス銀行へと預けることにした。百年後の読者であれば、今の時代よりも醜聞や堕落に慣れているだろうと、そう見込んで……
その事件は、一八九〇年も終わろうとしている寒い冬のある日、一人の美術商エドマンド・カーステアーズがベイカー街を訪れたことから始まった。彼は自宅の周囲を怪しい男がうろついていると訴える。おそらくは数年前にアメリカで壊滅させられた、ギャング団の生き残りであろうと言うのだ。彼はその壊滅に一枚噛んでいたため、恨みから命を狙われているのだと主張した。
ホームズは事情を聞いて、害はないだろうと一度はカーステアーズを帰した。しかしその夜、彼の家に賊が入り、金と宝石を奪われる事件が起こる。
捜査に手を付けることとなったホームズは、ベイカー街不正規隊と呼ぶ浮浪児集団に声をかけ、盗まれた宝石と謎の男の行方を探させた。ところが謎の男は、場末のホテルで殺害されているのが見つかる。さらにはそのホテルを見張っていたベイカー街不正規隊の新入りロスとその姉が、意味ありげな言葉を残して行方をくらましてしまった。
謎の男の正体は本当にギャングの生き残りなのか? ロスは誰かを強請ろうとしていたようだったが、いったい誰をどんな理由で? ロスの姉が口走った“ハウス・オブ・シルク”とは一体?
そして手掛かりを追って阿片窟へと一人潜入したホームズを、かつてない苦難が待ち受ける ―― !

昨年ホームズ物のドキュメンタリーが集中して放送された際、インタビューされている人達の中に何度も「絹の家 著者」という人が出てきておりまして。いったいどんな本なのかなーと調べてみたところ、「コナン・ドイル財団から公式認定された、61番目のホームズ事件」とのあおりが。つまり新作の本格パスティーシュしかも長編ってことですよね? おまけに最寄り図書館に入ってるじゃないですか! もちろん速攻で予約しましたとも! それがようやく借りられましたvv
でもって。
実際に読んでみた感じ、翻訳者の力量もあるのでしょうが、文章の雰囲気はまさに原典を読んでいると錯覚しそうな見事さでした。むしろ本家ではいささか冗長になりがちな長編を、飽きさせない構成でしっかりまとめています。読んでいて浮かぶイメージは、完全にジェレミー・ホームズvv
導入部はお約束通り、ホームズがワトソンさんの近況を推理するというじゃれあいやりとりを挟んで、依頼人の登場。そしてベイカー街不正規隊を大きな軸に、レストレイド警部やハドソン夫人、マイクロフト兄といったおなじみのキャラクターに加えて、「入院患者」での依頼人だったお医者さんとか、挙げ句の果てには名前を言えないあの人(笑)までが盛り沢山のご活躍。
もちろん随所にファンならニヤリとできるネタもちりばめられていて、否応なく物語に引き込まれてゆきます。 まあ、名前を言えないあの人については、出る意味あったのか? という部分もありはしましたが(苦笑)
途中ホームズさんがかつてないピンチに陥る下りに至っては、読んでいて辛くて辛くてもう……( T _ T )
辛いと言えば、序章とあとがきも切ないです。もちろんどちらもワトソン博士が書いていらっしゃる体裁なんですが、これが最晩年に過去を振り返って、この作品が最後の執筆だと覚悟して筆をとっているのですよ。人生ここに至るまでには、あんなこともあった、こんなこともあったと回顧するその内容が切なすぎる ・゜・(ノД`)・゜・
っていうか、このあとがき、最後にペンを置いてからも数行続いてるんですが……これってやっぱりホームズさんがお迎えに……?(涙)

事件については、やはり原典の長編に多い二重構造的な部分がありました。過去にアメリカで起きたギャング団壊滅事件に端を発する復讐劇と、現在のロンドンで起きた堕落と醜聞に満ちた忌まわしい事件とが、実に複雑に絡み合っています。
その中でホームズさんは濡れ衣を着せられ、逮捕裁判投獄の憂き目にあい、ワトソンさんはワトソンさんで、様々な試練に巡りあう訳で。
……ワトソンさんは、名前を言えないあの人のことと……そしておそらくメアリの病状についても、最大の親友であるホームズにすら言うことができないまま、晩年まで一人胸の内に秘め続けていたのでしょう。そう思うと、やっぱり彼の一個人としての、人間としての『剛さ』には計り知れないものがあるよなあとしみじみしてみたり。

あ、ちなみに『堕落と醜聞に満ちた忌まわしい事件』については、あくまで十九世紀のヨーロッパ基準でした(苦笑)
いやうん、序章でうすうす予測はできてたんですけどね!
途中、あんまりワトソンさんが深刻だったから、どこまで陰惨で猟奇的な展開に行くのかと、ちょっとドキドキしちゃいました。 いやうん、充分忌まわしく痛ましい話ではあるんですけどね。でもほら、昨今はそういうジャンルも流行りだから……(苦笑)
それだけに、事件が深刻だなんだと深刻に大騒ぎする周囲にちょっぴり違和感を感じる部分もありました。終わり方が少々尻切れトンボっぽいのは、むしろそれこそドイルらしいとも思うんですが。

……ただ正直を言うと、良くできた二次創作であるが故に、これは読む人を選ぶと思います。
私はあの二人がいつまでもロンドンで事件を追っている、そして私達の知らない事件を解決し続けていると思っていたい人間です。
たとえそれが人間の寿命としてあり得ないのだとしても、ホームズさんの没年は「今も生きている」説に一票を入れたいファンなのです。
それだけにこの本は、序章から切ない展開の一冊でした。
これから読もうという方には、そのあたりをお気をつけ下さいと、一言ご忠告申し上げる次第です。
No.5507 (読書)


 2014年01月21日の読書
2014年01月21日(Tue) 
本日の初読図書:
4265951384星からきた探偵 (冒険ファンタジー名作選 18)
ハル クレメント 山田 卓司
岩崎書店 2004-10-15

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彼らにとってもっとも忌むべき犯罪を行ったホシを追って、異星人の警官デカは宇宙船を駆っていた。逃げるホシの船はやがて前方に現れた惑星へと突入する。それを追ったデカもまた、墜落に等しい状態でその星 ―― 地球へと到達した。落下の衝撃で宇宙船は壊れてしまい、デカの宿主であった生き物もまた死んでしまう。デカは悲しみにくれるが、しかしこのままでいるわけには行かなかった。おそらく同じように宿主を失ったホシがこの惑星の生き物に迷惑をかけ始める前に、なんとか退治しなければならないからだ。
宿主 ―― そう、デカとホシは、他の生き物の身体に寄生しなければ生きていけない、アミーバー状の生き物であったのだ。寄生とはいっても、一方的に取り付いて栄養を奪い取るような関係ではない。彼らの星では宿主になる生き物の合意の得た上で内部に入らせてもらい、宿主の怪我や病などを治すことで互いに利益を得ている、いわば共生関係を構築しているのだ。しかしホシは宿主の身体を守ろうとせず、故意にその生き物を殺してしまった。それは彼らの種族にとって最大の犯罪なのである。
海に落ちたデカはとりあえずサメの内部に入り込むと、もっとも近くにある島へとたどり着いた。そこで海水浴に興じていた二本足の生き物へと入り込む。どうやらこの星でもかなりの知性がある生き物らしいと踏んだデカは、その相手の協力を得てホシを探そうと考えた。
しかしそこで計算違いが起こる。彼が乗り移ったその生き物 ―― ボブという少年は、その翌日には飛行機を乗り継ぎ、遠く離れたアメリカへと移動してしまったのだ。彼はたまたま夏休みのあいだ実家へ戻っていた、アメリカ本土の中学校に通う寄宿生だったのだ。
ボブの中でこの星の言語や習慣を学びながらも、デカは焦っていた。こうしている間にも、ホシはこの広い惑星のどこかへと行方をくらましてしまうかもしれない。一刻でも早くあの南海の孤島へ戻り、ホシの行方を捜さなければならないのだが、しかしデカのような宇宙人の存在すら知らない少年に対し、どうやって自分の存在を知らせればいいのか。思案を巡らせたデカが取った方法は……

小学生の頃に図書室で何度も読み返したお話。
かの映画ヒドゥンの元ネタとなった古典SF小説を、児童向けに翻訳したジュブナイル版です。
このサイトを開設したての頃だったかな? どうしても読み返したくなったのですが、もよりの図書館には置いていなくって、遠くの図書館にまでわざわざ探しに行ったこともありました。
先日ヒドゥンを見た関係でまた読みたくなり、ふと思いついて最寄り図書館の蔵書を検索してみたら、2004年発行の新装版が!!
……という訳で、一応装丁が違うので、初読カテゴリに入れてみましたvv
やー、遠い記憶の中にある、立ち上がったアメーバーがシャー芯を抱え込んで字を書いている絵とかも可愛かったですが、こちらの絵はこちらの絵で、またなかなかいい雰囲気です。
主役の宇宙人(そう、語り手は宇宙人の方なんです)が「デカ」、追われている犯罪宇宙人がホシという翻訳は、なかなかの名訳だと思います。大人向けの翻訳「20億の針」で使われている「捕り手」という名称は、確かにちゃんとした言葉ではあるのですが、今ひとつ遊び心が足りないと思うのですよ。

物語はかなりざっくりダイジェスト化されていて、デカとホシが地球に落ちる場面、デカがボブに入り込む場面、ボブとデカの交流でほぼ半分が占められています。
特にデカが何ヶ月も掛けて言葉や習慣を覚えた上で、四苦八苦して宿主であるボブに自分の存在を判ってもらおうとするくだりは、この話の中でも屈指の読みどころでしょう。

原作「20億の針」の方では、その後ボブとデカが島に戻ってから、いかにしてホシが誰の中に潜んでいるのかを突き詰めていくのかという、ミステリ的な物語をロジカルに語っていたり、あるいはデカの存在によって自分の負傷に無頓着になったボブをデカがたしなめたりと、かなり内容が盛り沢山……だったと思います<記憶が遠い
しかし子供向けにはこれぐらいシンプルな方が中だるみもないし、解りやすくていいと思います。
読書に慣れた大人なら、一時間とかからずに読了できるだろう短さに、ワクワクできる要素がぎゅっと詰まっています。

宇宙からやってきて、人間に寄生するエイリアン。
しかしその人格はとても知性的かつ理知的で、至らないところのある子供を辛抱強く教え諭していける、『頼れる大人』なのです。これが数十年前に書かれたというのですから、なんて斬新なのでしょう。
ネットで調べてみると、この二人の関係は、かの「ウルトラマン」にも多大な影響を与えたのでは……とあります。なるほど確かに、「宇宙からやってきて、人間に寄生して、人類を助けてくれる宇宙人」です。
そう考えるとますます感慨深いなあ。

大人で理知的なデカが、ときどきやらかすポカがまた微笑ましかったりvv
No.5503 (読書)


 2014年01月20日の読書
2014年01月20日(Mon) 
本日の初読図書:
「モンスター娘ハーレムを作ろう!(小説家になろう)」〜授業、今日は、連携です
 http://ncode.syosetu.com/n2754bv/

恒例異世界トリップもの。
上空に出現したらたまたまワイバーンの上へ落ちてしまい、成行きでなつかれてしまった流れでテイムを学べる魔法学校へ入学。目指すはテイムした魔獣(♀)たちを進化させて亜人ハーレムを! 的なお話です。主役がけっこうしれっと外道なので、読む人を選ぶかも。
No.5499 (読書)


 2014年01月18日の読書
2014年01月18日(Sat) 
本日の初読図書:
4048916149絶対城先輩の妖怪学講座 (メディアワークス文庫)
峰守 ひろかず
アスキーメディアワークス 2013-04-25

by G-Tools
今年東勢大学に入学したばかりの新入生 湯ノ山礼音(ゆのやまあやね)は、昔から困った体質に悩まされていた。なんの前触れもなく強い耳鳴りに襲われ、ひどい時には立っていることもできなくなるのだ。病院でも原因不明だと診断され、心因性のものでもないと匙を投げられた。ただなぜか合気道をやっている間だけは耳鳴りが起きないため、彼女はいつしか男勝りのサバサバした女性になっていた。
これではいかん、大学にも入って一人暮らしを始めたことだし、夢のキャンパスライフを! と意気込む礼音だったが、酒を飲めば確実に耳鳴りが起きてしまうこともあり、なかなかうまくいかない。
と、そんな礼音にとある准教授が耳寄りなことを教えてくれた。
この大学にはオカルトや妖怪にとても詳しく、科学では説明できないような事柄について、相談に乗ってくれる生徒がいるのだという。もしも興味があるのなら訪ねてみればいいと言われた彼女は、翌日さっそくその相手のもとへと訪れた。
文学部四号館四号階四十四資料室。フロアまるごと膨大な古書に埋められたそこにいたのは、顔立ちこそ端正なものの、白いワイシャツに黒いネクタイ、黒いスラックスの上から黒い羽織を着用するという珍妙な恰好をした、ボサボサ頭のとっつきにくい青年だった。名は絶対城阿頼耶(ぜったいじょうあらや)。持ち込まれる怪奇現象を解決しては、金銭を稼いでいる。その性格はとにかく変人の一言につきた。滅多に表情を動かすこともなく、妖怪のことを説明する時以外は人を人とも思わぬほどにそっけない。
だが絶対城はお守りひとつで見事に礼音の耳鳴りを止めてくれた。その効能だけは確かにあらたかで、礼音は素直に感謝の念を抱く。そんな彼女へと、絶対城は代価を要求してきた。いわくこれまで手伝ってくれていた友人 杵松明人(きねまつあきと)が最近忙しいから、持ち込まれる怪奇現象を解決するのに力を貸せと言うのだ。
ところがその「解決方法」というのが、とんだペテンに満ち溢れたもので。
呆れながらも「お守り」には代えられず、礼音もまた詐欺まがいの片棒を担ぐことになるのだが……しかし様々な事件を共にするうちに、礼音はじょじょに絶対城の人となりと、何故そんな相談を引き受けているのかを知ってゆくこととなり……

タイトルと表紙イラストに惹かれて購入。
系統としては、京極堂と心霊探偵八雲を足して二で割ってライトノベルを掛けたような感じでしょうか(笑)
大学で資料室のヌシと化している謎の先輩(変人)が、持ち込まれる怪しい事件を解決していくパターンです。ただしそのほとんどが、トリックを使って依頼人を煙に巻いているだけの、いわばインチキ。
もっとも語るウンチクや妖怪への対処方法、渡す御札などは、ちゃんと古式ゆかしい作法にのっとっています。彼が最も忌むのは、いい加減な作り話によって、古来から伝わる由緒正しき妖怪の伝説をねじ曲げてしまうこと。故に自分にも他人にも、適当は許しません。
黒い羽織は和の喪装、黒いネクタイは洋の喪装。その両方を身につけることで、絶対城先輩は歴史の闇に「妖怪」として葬られてしまった、あらゆる「弱者」への慶弔の念を表しているのです。
さらに「真実」を「明らか」にすることで、失うものを持つ人達を、妖怪という不思議を取り入れることで救ってしまう、そのさりげない優しさがまたvv 本人はあくまで「妖怪学を世間に知らしめつつ、報酬をせしめるため」と言い張ってますけどvv

ああそれにしても、最初は妖怪など存在しなくって、すべてを合理的に解決しつつ『謎について大衆を満足させるための社会的装置』として妖怪を利用するミステリーだと思っていたら、どうしてどうして。最終章「ぬらりひょん」でひっくり返されました。いやうん、確かに礼音ちゃんの耳鳴りとそれを封じるためのお守りの謎が解けてないなあ、とは思っていたんですが。耳鳴りについてはなんとなく予測がついていたものの、ぬらりひょんの正体でまさかああくるとは! 第一章で登場していた「根暗出垂」がよもやそう読むものだとは!!
フィクションであることは重々承知ですけれど、斬新なその発想に脱帽しました。おもしろかったです!
……あとラストに触れられたお守りの正体がまた(笑)

絶対城先輩が実はツンデレなことも判明しましたし、これは続刊も買いですな♪
今回は活躍が少なかった、天狐(アマツキツネ)こと杵松明人(きねまつあきと)先輩についても、今後もっと語られることを期待したいです。
No.5494 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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