よしなしことを、日々徒然に……



 2014年05月29日の読書
2014年05月29日(Thr) 
本日の初読図書:
4253169821Black Jack―The best 14stories by Osamu Tezuka (2) (秋田文庫)
手塚 治虫
秋田書店 1993-07

by G-Tools
二巻目の収録作品は「針」「おばあちゃん」「シャチの詩」「三者三様」「地下壕にて」「ダーティ・ジャック」「友よいずこ」「誘拐」「流れ作業」「助け合い」「ストラディバリウス」「ハッスルピノコ」「病院ジャック」「座頭医師」の14作。
特に印象に残るものとしては、
「針」→BJも人体の神秘には叶わない
「シャチの詩」→種族を越えた友情と別れ
「友よいずこ」→BJが顔の色違いの皮膚を再手術しない訳
「助け合い」→無償の善意に報いるためなら金も力も惜しまないBJ
「ハッスルピノコ」→学校に行きたいピノコ
「座頭医師」→盲目の鍼灸医登場
と言ったあたりでしょうか。いやうん、どれも名作なんですけど!
「シャチの詩」がまた切なくてですね……これアニメ版では、トリトンちゃんと助かるんですよ。実は悪者でもないし。
原作「万引き犬」に出てくる犬のラルゴも無事生き延びていたりとかというあたり、原作ファンにはアニメはぬるい! と感じられるかもしれませんが、個人的にバッドエンドが辛いお年頃としては、それもありかなあと思ってしまいます。ほんとに、改めて読むと「シャチの詩」は悲しい……
「針」は子供の頃に親から「縫い針をなくすな。踏んで刺さったら血管に入って心臓に刺さって死ぬぞ!」と脅かされたのを思い出して怖いです。幼心に本気で信じてたんだよなあ。
そして「助け合い」は、こういう話があるからBJ格好良いと思うんです(しみじみ)
他にも「ダーティ・ジャック」「ストラディバリウス」「病院ジャック」では、彼をしても救えなかったものに苦悩する場面があります。BJはけっして万能ではなく、悩み苦しみ、そしてあがき続ける一人の人間である所が共感を覚えさせてくれるキャラクターなのでしょうね。
No.5873 (読書)


 2014年05月28日の読書
2014年05月28日(Wed) 
本日の初読図書:
4253169813Black Jack―The best 12stories by Osamu Tezuka (1) (秋田文庫)
手塚 治虫
秋田書店 1993-07

by G-Tools
ビブリア古書堂の5巻を読んだ勢いで借りてきてしまいました(笑)
確かに収録内容がチャンピオンコミックスの1巻とは違いますね。良くは覚えていませんが、少なくともあれには確か、鳥に改造してもらって自然に旅立つ歩けない少女の話が載っていた記憶があります。それにピノコはまだいなかった。
この巻の収録作は「医者はどこだ!」「春一番」「畸形嚢腫」「人面瘡」「ときには真珠のように」「めぐり会い」「絵が死んでいる!」「六等星」「ブラック・クイーン」「U−18は知っていた」「アリの足」「二つの愛」の12作。
……なんだかんだで、どれも読んだ記憶がありました。
BJの過去とか家族とかに大きく関る話が多いのは、やはり1巻だからでしょうか。
「畸形嚢腫」→ピノコの誕生
「ときには真珠のように」→BJが医者になったきっかけと恩師の死
「めぐり会い」→過去の恋
「アリの足」→幼い頃のリハビリの日々
ざっとこんな感じです。

「ときには〜」のように、天才外科医である彼をしても、どうしても救えない命、直せない疾病があるということが、この作品の魅力だと思います。
BJは挫折を知っているし、それでもなおあきらめずにあがこうという「医師としての心」を持っている。そして何よりも「命」を大事に思っている。時に金にがめつく、時に悪ぶって見せても、そこに彼のたまらない格好良さがあるのではないでしょうか。

たしかにこの作品には、時に医療知識の間違いや、時代を反映した差別的な表現がままあります。
それでもやっぱり、この話は名作だなあとしみじみ思うのでした。
No.5870 (読書)


 2014年05月27日の読書
2014年05月27日(Tue) 
本日の初読図書:
「毎日がメリー・バッド・エンド 本編2 (マッドヘッドラヴ)」
 http://novel18.syosetu.com/n3293bp/

商業作家諸口正巳さんの、バイオレンスかつ男女的な意味でもR18な作品。
※グロ耐性がない方は激しく要注意。

先日続編が完結したので、満を持しての一気読みしてきました。
や〜、この方は「上げて落とす」が得意な方なので、今度こそ主役二人がどうかなってしまうのではないかとドキドキしていましたが、主役二人 無事……とは言えないかもしれないけど、一応幸せに終わってくれて、ホッとしました。
……死体が大量に散らばってますが。
……二人して思い切り病んでますが。
それでも彼女たちは幸せなのです。
あと前橋さんも、安定の立場をキープしたまま終わってくれたので、そちらも良かったです。

この二人は、いったいいつまで生きていられるのかなあ。
最後の時まで、そしてきっと死んでからもずっと一緒にいるのだろうけれど、それでも彼女たちの「しあわせ」が少しでも長く続いてくれることを祈りたいです。
No.5865 (読書)


 2014年05月26日の読書
2014年05月26日(Mon) 
本日の初読図書:
4434188399とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名 ほわほわ
アルファポリス 2014-01

by G-Tools
WEBから(ry
あらすじもWEB版読んだ時に(ry

収録されているのは、フェアリー・クィーンに武闘会で勝って指輪をもらい、懐かれてちょいちょい遊びに来られるようになるまで。エピローグとして掲示板回が入ってました。

んー……書籍化にあたってWEB版の該当部分が消されてしまったので購入しましたが、正直あんまり書籍化されたメリットは感じなかったかな……?

以下、辛口なので畳みます。
No.5860 (読書)


 2014年05月24日の読書
2014年05月24日(Sat) 
本日の初読図書:
「働かない勇者様の日常(小説家になろう)」〜第零零幕 勇者様と番人
 http://ncode.syosetu.com/n5303bo/

魔王を倒してもらうべく召喚した勇者は、かつてないほどに強大な魔力を持っていた。一週間ですべての魔法をマスターし、従来より効率の良いものに組み換えすらして、この国の誰もかなわない程の力を身につけた。
しかし国王が勇者に魔王討伐の命令を出した直後、異変は起きた。勇者は国王の命令を無視し、城の一室に引きこもってしまったのだ。
「今日から僕は王城の外に出ないから。てかここに永住する。怠惰生活最高」
陽射しが眩しいと部屋から一歩も出ようとしない勇者に人々は失望し、勇者とPTを組むはずだった武闘派王女は、これではいかんと立ち上がる。
それは毎日勇者の部屋に通っては、魔王を倒しに行こうとせっつく熱血王女と、のらりくらりとそれを交わす怠惰な勇者が織り成す日常のお話 ――

「極振りさんのVR日記」の作者さんが書かれた中編。全5部で完結済。後日談2部。
最初はただの怠け者に見えた勇者に、だんだん深い裏事情が見えてきます。コメディタッチに見えて、実は意外とヘヴィ。
後日談は脇キャラだった、見た目幼女な書庫の番人とのあれこれです。本編では語られなかった、勇者の元の世界での暮らしがちょこっと出てきます。こちらもやっぱり、意外とヘヴィ。
No.5857 (読書)


 2014年05月23日の読書
2014年05月23日(Fri) 
本日の初読図書:
「外交の危機(近代デジタルライブラリー)」
 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/905691

斑の蛇」に引き続き、探偵王 緒方緒太郎 理學士と日獨戦争帰りの元軍醫 和田義雄さんのコンビの三作目です。原作は「海軍条約文書事件」。

どうやらこのお話での和田さんはまだ結婚しておらず、神樂坂で緒方さんとの同居を続けたままのようですね。和田さんが友人からの手紙を受け取った時、「恰度緒方學士は早くから例の化學室通ひに出て行つた後で、私はひとり自分の室で書見に耽つてゐる」となっています。そして和田さんは読んだ手紙を持って、わざわざ外出先の中央病院へと足を運ぶ。自宅兼診療所 → 221Bだった原作とは、ある意味逆の行動とも言えますかね?
さらに「私は此頃は以前と違つて、駿河臺博愛病院に助手として通つてゐる」ともあるので、開業医として独り立ちもしていない模様です。

今回の固有名詞の日本語変換は、たとえば

友人のパーシー・フェルプス → 三輪敏雄
ウォーキングのブライアブレー邸 → 府下大森鹿島谷の邸宅
ブリクストンのアイビーレーン16 → 四谷區愛住町(あいずみちやう)十四番地
保守党の大政治家ホールダースト卿 → 松原侯爵という有名な政治家
婚約者ハリスン → 春子孃
婚約者の兄ジョウゼフ・ハリソン → 權藤俊策
フォーブズ警部 → 富樫探偵
近衛コールドストリーム連隊 → 奈良の五十三聯隊
ノーサンバーランド州の鉄器製造業 → 名古屋の製絲會社

といった所。さらに細かい部分では、暖炉は火鉢に、辻馬車は人力車に、銀食器は延金に、シャクナゲは南天にといった具合でした。
有名なカフスにメモを取るシーンは、さすがに「手帳(ノート)に鉛筆で書きとめた」に。
あと薔薇の花を手にとって云々の台詞は、一部削られていましたが、その分いままで読んだ翻訳の中では一番何を言っているのか判りやすかった気がします。唐突感には変わりありませんがvv
……最近の翻訳とかグラナダ版とかでは、あの場面本当に「この人いきなりナニ意味不明のこと言い出してるの??」と、依頼人ともどもきょとーーーんとしてしまいますからねえ(苦笑)

ところで緒方さんが暇はあるか? 手伝ってくれるか? と訪ねてきた時の和田さんの反応は、ちょっと複雑です。原作では「暇な時期だし大丈夫!」みたいに即答しているのですが、こちらでは「忙しい折であつたが、竹馬の友の此生死問題には何を措いても努力せねばならぬ樣な氣がする」と、緒方さんではなく依頼人の三輪さんの方を気遣ったうえでの「ナニ二日や三日は潰しても、決して差支へ有りません」という答え。
ホームズさんの誘いには何をさておいても同行するワトソンさんとは、ちょっと雰囲気が違うかなあという感じでした。
そもそもワトソンさんがホームズさんに敬語を使ってるって段階で、なんだか微妙なんですよねえ。

あと婚約者の春子さんも、もうちょっと芯のあるしっかりした人のイメージだったんですが、緒方さんが三輪さんを連れ出すから、一人で部屋を守っててほしいと言われて、「それで妾だけが此處に殘りますの?」あはれにも春子孃は泣かんばかりである。ってのは、なんだかなあ……

そして今回一番の珍訳は、
「人間には迚《とて》もこんな足痕は出來さうに思はれぬ?」
でしょうか(笑)
おそらく原文の“I don’t think anyone could make much of this,”の部分だと思うのですが。手元にある鈴木幸夫訳だと「これじゃ誰が見たって役に立ちませんな」ですし、某翻訳サイトでの表記は「これでは誰も分からないでしょう」
全然違うぢゃんvv っていうか何故に疑問形??

なお、最大の見せ場である取り戻した文書を隠した皿を開ける場面は、ハドソンさんが居ないので、普通の下婢が運んできています。当然「ハドソンさんの食事は美味しい」的な台詞もなく、代わりに「つまらぬ物だが、今歸り掛けに其處で誂へて來たのだ。」と、仕掛けを知ってから読み返すと、ちょっとクスリとできる言葉に変えられていました。これはこれで面白いのではないかとvv
そして今回も最後に1Pぐらいの後日談が書き足されています。原作のバサッと終わる雰囲気と較べての是非は、前回「斑の蛇」に以下同文。

……以下同文といえば、やはり「斑の蛇」でもそうだったんですが、この作品、目次で思いっきりネタバレしてるんですよね(−ー;)
おかげで目次を見るだけでどの作品かすぐに分かるんですが、これを最初に読んでいた当時の人達は、目次で犯人を名指しされていることに不満はなかったんだろうか……
No.5854 (読書)


 2014年05月20日の読書
2014年05月20日(Tue) 
本日の初読図書:
4041011582へっぽこ鬼日記 (角川ビーンズ文庫)
田中 莎月 伊藤 明十
KADOKAWA/角川書店 2013-12-28

by G-Tools
藤見恭、二十歳。飲み会の帰りに自動販売機でコーヒーを買っていたはずが、何故か気が付くと森の中にいました。
着ているものは和服に変わっており、腰には刀を下げている。いったい何が?? と思った彼を、突如現れた忍者達が襲った。いつもよりもよく動く身体で懸命に逃げていると、助けに現れたのは弓を持った赤髪の少年。
「お帰りなさいませ! 恭様」
満面の笑みでそう言った彼は、恭の従者で篠崎陽太というらしい。嬉しそうに話しかけてくる言葉を総合すると、『藤見恭』はこの領地の領主の末息子で、五年前に旅に出たきり行方が知れなかったのだという。ようやく戻ってきてくれたので、家族も喜ぶだろう。自分も全力でお仕えすると、陽太ははしゃいでいた。
状況がよく判らないのでとりあえず話を合わせたが、助勢に現れた『兄』だという隆哉青年やその従者で陽太の兄である要も、恭のことを藤見家の息子だと信じて疑わない。しかも相変わらずだとか、立派になったとか、やけに好印象を持たれているようだ。
これはあれだろうか、小説や映画でよくある異世界に来たというやつだろうか。そして今の自分は、この世界の『藤見恭』から着物や刀や、あるいはこの身体までも『借りて』いる状態なのかもしれない。
そんなことを思いながら、半ば連行されるように城へと連れて行かれた恭は、領主である父親からこの東鬼の地の長である東条家との見合いに行けと言われて仰天する。
え、彼らってかこの身体って人間じゃないの? 鬼ってナニ? ああいやそれ以前に、見合いなんてとんでもないと断ろうとする恭に、父親はならばと交換条件を出す。
最近、土地神の様子に異変が起きているようだ。藤見の家の者は代々、土地神の血を引く獣と契約を交わし、影獣として力を借りている以上、捨て置く訳にはいかない。様子を探り解決せよ、と。
かくして陽太と二人、土地神の元へと向かった恭は、そこで再び忍者と遭遇する。土地神の森を結界で封じた忍者達は、手負いの巨大な獣を狩ろうとしていた。その残酷なやりようと、目撃者の口を封じようとする彼らの様子に、二人は戦わざるを得なくなる。だが平和な日本からやってきた恭に、戦闘などできるはずもなくて……

WEBから(以下略)。
ユーザーレビューとかの評価がいまいちだったので買おうかどうしようか迷っていたのですが、WEB版未読だという雪華さんが面白かったとおっしゃっていたので買ってみました(笑)
イラストもけっこう好みでしたし(表紙では洋服着てますが、本文では和服です)。

……あー、これWEB版とは完全に別物ですね。少なくとも一巻目の段階では。
WEB版では、見合いに向かう道中で恭がキョウに憑依。協力者も事情説明してくれる人もいない状態で、文字通り成り行きと偶然に任せて突き進んでゆく勘違いものだったのですが、書籍版では見合いに行く前、藤見の領地にいる時に憑依が起きています。キョウの家族とも顔を合わせ、見合いに行けと命じられて拒否 → ならばこの難題を解いてみよ! と言われた先で事件が起きてバトルに突入、という展開です。
何故に恭がキョウに憑依する羽目になったのかの謎も、一巻で早々に明らかになっています。本体キョウ様の現状も判明してしまったので、これはWEB版の右も左も判らないままで、ヘタレで小心者な行動が運だけを味方に周囲から良い解釈を受けまくる勘違い全開だったのがお好きだった方は、確かに点が辛くなるかもですねえ。
しかし小説としての出来は、こちらの方が完成度が高いと思います。
まず、恭が現実に戻らなきゃと最初から明確に思っており、そのための努力を最優先事項にあげていること。WEB版での、置いてきた現実のことをまるで考えないまま、目の前に降って湧いた美人との見合いにうつつを抜かしている展開よりも、はるかに共感できます。
そして身体の元の持ち主であるキョウのことについても、きちんと説明がされていること。これもWEB版での「もし本人が戻ってきたら、今さらどうするんだよ」というツッコミがなくなります。
むしろこの二点が修正されていなかったら、私は金払って買うレベルではなかったと思ったんじゃないでしょうか。
確かに本体のキョウが出張ってきた分、恭の魅力が薄れている部分はあります。しかしそれは二巻目以降に期待できるのではないでしょうか。今回はあくまで本筋に入る前の導入部というところで。
……ただこの段階での恭は、あくまで現代に戻ることを優先しており、見合いは対立候補をふるいに掛けるための試金石として参加することになっているのですよね。そのことを考えると、見合いの流れもWEB版とは異なる方向になっていきそうで。残してきた家族のことを考えつつキョウに身体を返すことも想定した、ちゃんとした大人の恭さんならば、無責任に姫さまと恋愛なんかしないんじゃないかなあ。キョウに黙って勝手なことはできない、とか考えてるし。
……いやまあWEB版の恭も、片思いが成就するとは(本人だけが)思ってないけどさ(苦笑)

そんなこんなで、WEB版を読んでいても全く先が読めない書籍版は、十分楽しめる作品でございました。
なお、出版社サイトでおまけ短編が四作ほどUPされています。まだお読みでない方は、そちらもぜひどうぞ。

■角川ビーンズ文庫公式サイト | 書き下ろしWeb小説
 http://www.kadokawa.co.jp/beans/webstory/
No.5844 (読書)


 2014年05月19日の読書
2014年05月19日(Mon) 
本日の初読図書:
4040663942マギクラフト・マイスター 2 (MFブックス)
秋ぎつね ミユキルリア
KADOKAWA/メディアファクトリー 2014-03-22

by G-Tools
WEBで毎日更新されている、日参が楽しみな作品の書籍化第二弾。
今回は二章目の蓬莱島の開拓及び、エゲレア王国でビーナといっしょに魔道具開発をするお話。モノ作りメインと、ある意味このお話の原点にあるパートではないでしょうか。
書き足しはだいぶあったように思います。研究所内部の細かい描写とか、ビーナの弟妹まわりについてとかが詳しくなっていました。間に挟まる閑話も3つほど書き下ろされていて、それぞれ「ポンプが普及してゆくクライン王国の様子」「仁の遺した物を活用している冬のカイナ村」「着々と開拓を進めるゴーレム達」が描かれています。目次を比べてみると、章の数も増えてるみたいですね。全体的に細かいフォローが入っていて、WEB版よりもだいぶ完成度が上がっていると思いました。

そして書籍版の醍醐味とも言えるイラストですが、今回も満足★
カラー口絵は登場人物紹介に使われており、クズマ伯爵やガラナ伯爵といった男性キャラや悪役も、ちゃんとイラスト化されています。
……自宅の土間で水汲みしてるはずのリシアが、何故か鎧着たまま屋外の井戸の横に立ってるのはご愛嬌(苦笑)
ビーナもなかなか可愛いし、クズマ伯爵も理知的な男性っぽくて格好良かったです。
内部のモノクロイラストも、絵の具で塗ってるのかCGなのか、細かい濃淡のある立体感を感じさせる絵柄でいい感じ。ビーナ出現率が高いのは、まあ今回は登場キャラクター自体が少ないから……

あと作者さんご自身が、ちょっとやり過ぎやろと思うぐらい細かい地図をWEB版の参考資料にUPされているおかげか、今回も巻頭にしっかり地図が載っていて、そちらもありがたかったです。特に蓬莱島の地図は、なんだか航空写真っぽくて、WEB版資料よりも地形が判りやすく。
ああ、グライダーゴーレムが作成した地図という設定だから、こういうタッチにしたのかな??

そんなこんなで、WEB版をお持ちの方でも充分に楽しめる仕様だと思いました。
さて、次回はポトロックでのボートレースか。ようやくラインハルトとエルザの登場ですね!
ラインハルトのキャラデザインが果してどんなふうになるか、今から楽しみですvv
No.5841 (読書)


 2014年05月18日の読書
2014年05月18日(Sun) 
本日の初読図書:
「斑の蛇(近代デジタルライブラリー)」高等探偵協會
 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/904817

DLしたきり放置していたのを、久しぶりに2日ほどかけて読了。
ナポレオンの胸像が乃木大將の像になっていた「肖像の秘密」の続編で、タイトルを見てお判りの通り「まだらの紐」が原作となっています。
探偵王 緒方緒太郎 理學士と日獨戦争帰りの元軍醫 和田義雄さんのコンビは、比較的原作に近い空気を持っているかと。
舞台は日本で、地名も人名も日本風になっているのは、この時代の翻案のお約束★
たとえば、

依頼人のヘレン・ストーナー → 須藤蓮子
義理の父親のロイロット博士 → 高見澤信武
イングランドのサリー州の西の境 → 武藏相模の神奈川縣の都築郡
オパールのティアラに関するファーントッシュ夫人 → 『猫目石の指環』事件の春山の奧さん

他にもインドは南洋、ベンガル砲兵隊は臺灣(たいわん)の守備隊、千ポンドが一萬圓、クロッカスは躑躅(つつじ)といった具合。
まだらの紐というタイトルの元となった「班点のついたハンカチーフ」に至っては「豆絞りの手拭」ですよ(笑)

内容を読んでいてちょっと違和感を覚えたのは、二人の部屋へ押しかけてきたロイロット博士改め高見澤信武が帰った後で、緒方さんが「彼奴が僕等を探偵と間違えるのは實に失敬極まる次第だ」と言っている場面がありまして。……あんたら探偵じゃねえのかよ。緒方さんのことを、さんざん「探偵王」って表現してるじゃん、と思ったのですが。
これはどうやら原文の official detective を、そのまま「探偵」と翻訳しているからみたいですね。
以前にも書きましたが、どうも英語原文では、 official detective は公的な立場にある警察官のことを指しているようです。そしてホームズさんは consulting detective すなわち顧問探偵コンサルティング・ディテクティブだと。
ちなみに私立探偵や興信所の職員は、 private detective 。
ううむ、同じ「ディテクティブ」でもややこしい(−ー;)

あと残念だったのは、夜が更けるのを待っている間、珍しくホームズさんがデレている会話。

「今夜君を連れていったものかどうか、実はちょっとためらっているんだ。危険なことがわかりきっているんでね」
「役に立たないのかい」
「君がいてくれれば大助かりなんだが」
「それならもちろん行くよ」
「ありがたいね」  ※鈴木幸夫 翻訳

これが無いんですよ! っていうか、なんかホームズさんの台詞がよく判らないんです。
誤訳でしょうか??

緒「和田君。實は今夜君を連れ出すことには僕は躊躇するね。確かに意外な危險物があるんだから。」
和「僕が加勢するから可いぢやないか。」
緒「所で一人でも二人でも同じ理由なんだが。」
和「それぢや唯、御供するだけさ。」

和田さんの台詞はまだしも多少近いものがありますが、それでも微妙なニュアンスがコレジャナイ感でいっぱいです。一人でも二人でも同じって、それじゃあ来ても来なくても同じってことじゃん!?
あああ、原作では数少ないホームズさんの優しい言葉が……(しくしくしく)

それに緒方さんが、場合によっては敵の方が返り討ちに合うかもとか事前に言っちゃってしまっているあたり、最後に犯人が因果応報的な末路を遂げる衝撃が薄れる感じがするかなあと。っていうかこれじゃあ緒方さん、最終結果が未必の故意じゃなくて完全な故意になってるよ……最後に何が起きたのかの説明を聞いてる和田さんも、いくらなんでも察しが悪すぎるし……むむむ(−ー;)
なまじ他の部分が原作に忠実なだけに、細かい所が眼についてしまいます。

ラストもホームズさんの一言でさくっと終わっていた原典と違って、2ページほど和田さんの語りが入っています。これを冗長と取るか否か。
原作を知らずにこの話を単体で読むぶんには、これはこれでおもしろいと思います。まだ全集とかが発行されていなくて、初期に翻訳されて続きが出せるかどうかも判らなかった頃の作品だと考えると、これはむしろ読者に対する親切に部類されるのかなあとも思わなくもなく。
それにどうやらこの探偵王緒方のシリーズは、ホームズさん以外の作品も原作にして、緒方さんと和田さんのコンビで解いていく、複数の原作が入り混じったもののようで。実際この本の後半に入っている作品は、明らかにホームズものではありませんし。そういう事情があるから、ラストに書き足しが増えているのかもですね。

しかし複数の原作をひとつのお話にまとめて翻訳してしまうとは、まだ著作権の概念が怪しかった時代とはいえ、大胆なことをしていたんだなあ……

あれ、よく考えたらこの話、タイトルと表紙で思い切りネタバレしてる??(´・ω・`)
No.5837 (読書)


 2014年05月15日の読書
2014年05月15日(Thr) 
本日の初読図書:
4048662260ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)
三上 延
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 2014-01-24

by G-Tools
このところ古本屋仲間の間で、妙な客の存在が噂になっているという。年配の女性なのだが、数年前に休刊になった古書に関する情報誌のバックナンバーを数十冊まとめて売りにきては、数日後に「気が変わったから」と買い戻しに来るらしい。そうして買い戻したものを、再び別の古本屋へ売って同じことを繰り返すのだ。その話を大輔が聞き込んできたまさにその日、ビブリア古書堂にその客が現れた。持ち込まれた雑誌は内外に書き込みが多く、あまり高い値はつけられなかったが、女性客はそれで構わないと売っていく。さっそく棚に並べたところ、最近志田と連れ立ってやってくる初老の男性客が、興味をいだいたようで……「彷書月刊」
滝野ブックスの店主の妹で、栞子とは学生時代からの友人である滝野リュウから、本にまつわる相談を持ちかけられた。彼女の後輩である真壁菜名子が言うには、父がコレクションしていた手塚治虫作品の中から、「ブラック・ジャック」の4巻が3冊ほど紛失したのだという。持ち出したのはおそらく高校を中退した弟で、海外出張中の父親と折り合いが悪いらしい。なんとか父親が帰るまでに戻しておきたいのだと言う菜名子だったが、会ってみた弟は父親を人でなし呼ばわりするばかりで話が通じない。弟は何故に父親をそうまで憎むのか、また父親はどうして同じ4巻を5冊も持っていたのか。謎は深まるが……手塚治虫「ブラック・ジャック」
死んだ長兄が高価な初版本を譲ると言ってくれていたのに、誰も信じてくれないからなんとかしてくれ。そう相談を持ち込んできたのは、一昨年前に栞子が店への出入りを禁じた男、門野澄夫だった。行方をくらましている栞子の母親 智恵子の幼馴染で、かつてはビブリア古書堂にもよく訪れていたという。だが彼が店へ売りに来た本は長兄の元から黙って持ち出してきたり、あるいは他の古本屋から万引きしたもので、発覚した際には警察沙汰になる大騒ぎだったらしい。そんな訳で付き合いを断っていた男の依頼だったが、栞子には無碍に断れない理由があった。どうやらこの頼みの裏には智恵子がいるらしい。栞子は智恵子に連絡をとって話をしたいことがあるのだが、智恵子は自分に会いたければ本に関する問題を用意するから、それを解いてみろという伝言を残していたのだ。しぶしぶながらも門野の長兄の遺族に会いに行った二人は、そこで初版本に挟んであった貴重な直筆原稿が、子供の落書きで台無しになっているのを見付けて……寺山修司「われに五月を」
プロローグ・エピローグ……リチャード・ブローティガン「愛のゆくえ」

前巻を読んでから一年以上経っているので、ちょっと内容を思い出すのに時間がかかってしまいました(苦笑)
おお、大輔さんと栞子さんの間に大進展が!!
前の巻のラストで大輔さんが告白の返事を保留されていたのですが、今回は全体を通して「なぜ栞子さんが返事を待ってもらったのか」、「はたしてどういう返事を返すのか」が根底に流れていました。やー、何事もなかったかのように告白を流されるのかも? とちょっと心配していたので、これは意外な嬉しさでしたvv
そして悩んで悩んでようやく結論を出した栞子さんに、大輔さんが返した答えがまた素晴らしい。
さすがは大輔さん、予想の斜め上を行きやがったvv その時点で子供がいたらどうするんだとかいうツッコミどころはあるけれど、若い二人にそれを言うのは野暮というものか。とにかく彼の「なに当たり前のことを」みたいな言い方がスゲエ面白かったです。


……しかし一点、どうしても不思議な部分がありました。
今回のお話、プロローグとエピローグの整合性がまったくとれていないんですよ。プロローグは5月31日で、大輔さんが告白の返事を聞きたいと栞子さんに問いかけ、栞子さんが「わたし、あなたと……」と言いかけたところで終わります。そこから物語が本編に入り、そしてエピローグへ続きます。
エピローグには「まだ5月は終わっていない。あと五日ほど残っている」とあるので、26日でしょう。そしてこの段階で、栞子さんは大輔さんに返事をしています。しかもプロローグとはまったく繋がらないシチュエーションで。

……あれ??

っていうか、エピローグはまたけっこう衝撃的な「以下次巻へ!」みたいな終わり方をしています。
これって……もしかして5月31日のプロローグは、二人で示し合わせてなにか芝居でもしてるんでしょうか? 主に例のあの野郎に対抗するために。そうとでも思わなければ納得がいかないよ??

例のあいつについては、すっかり終わったことだと思っていたので、かなりびっくりしたんですが。

………………って、違うぢゃんッッッ!!
今もう一度プロローグをめくり返して、ようやく気が付きました。
そっかー、そっかーーー、そういうことかーーーー!!! やられた……見事にしてやられたよ……_| ̄|○
あー、↑のしたり顔な文章が恥ずかしい。消したい。でも一度書いちゃったものを消すのもアレなので、自分がどれほど綺麗に騙されたのかの記念として残しておきます。

ええと、話を戻すと、例のあの野郎が再び戻ってきて、話は折り返しを越えて終盤に入っているとのこと。つまりこの物語は、巡り巡って最初に還っていくという構成なのでしょうか。
今度は大輔さんも文字通り他人事ではなくなっているので、どう展開していくのかが楽しみです。
……残されているのが手紙であることを考えると、本当の本当にあいつの仕業なのかもまだ判りませんしね。
シリーズ当初からいろいろな意味で活躍していらっしゃった志田さんも、ついに過去が明らかになって、今後の二人との関係がどうなるか判らないあたりも続刊が待たれます。

さらに今回は各章の間に断章としてそれぞれ別視点が挟まっていたわけですが、そのラインナップがリュウちゃんはともかく、志田さんと栞子さんというのがまた、意外性があって。プロローグもアレだった訳ですし、この巻は本当に今までとだいぶ趣が違う感じでした。
ある意味では大輔さんが蚊帳の外だったのかもしれないな……でもそれでも、彼は彼なりにちゃんと栞子さんを支えているのだから、これはこれで良いのかも? 逆に大輔さんしか知らない事実(門野澄夫の最後の選択とか)もある訳ですし。

ところで今回は珍しく、知っている作品が取り上げられていました。はい、ブラック・ジャックです。実は1巻だけですが、チャンピオンコミックス版を持っていたりします。懐かしいvv
その後はコンビニの廉価版とか図書館においてある文庫版をパラ見したりとかした程度なんですが、やはりあの作品はすごいですよねえ。そりゃ医学的な部分とかは間違ってたりフィクションも多々ありますけど、それでも不朽の名作だと思います。
単行本未収録作もあると聞くと、つい読みたくなっちゃうのに、さすがに当時の雑誌とか初版コミックスとかは手が出せねえ〜〜《o(><)o》
No.5831 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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