よしなしことを、日々徒然に……



 2014年08月14日の読書
2014年08月14日(Thr) 
本日の初読図書:
4488487033サイン会はいかが? 成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
大崎 梢
東京創元社 2010-03-11

by G-Tools
成風堂で本の取り寄せトラブルが相次いだ。同じ書籍の注文が重なるのはよくあることだが、確認の連絡を入れると、注文した人間四人が四人とも「覚えがない」と困惑や怒りを見せるのだ。しかも同じ面々を相手にそれが二回も。奇妙だと首を傾げる杏子らだったが、事情を知っているらしい女性が店を訪ねてきて……「取り寄せトラップ」
社会科見学で小学生が成風堂へやってきた。店内を見学したりおしゃべりする子供たちの中で、一人の男の子だけがぽつんと離れており、奇妙な質問を向けてくる。特に広辞苑には異常なほどの関心を向けていた。その少年はそれからも一人で店を訪れては、店内をうろつきまわるようになる。その奇妙な行動に気がついた同級生らの間で、彼こそが最近起きている幼女連れ去り事件の犯人だろうという、心ない噂が流れ始めたとのことで……「君と語る永遠」
最近バイトに入った大学生の金森青年は、飲み会の席で思い出話を始める。一年前、自分は成風堂に客として訪れ、そこで一人の女子高生に一目惚れした。そして彼女目当てに成風堂に通いつめたのだが、結局はストーカー呼ばわりされ失恋してしまったのだと。ところがその話を聞いた多絵は、金森が怪しい。何故なら話の筋が全然通っていないと言い出すのだが……「バイト金森君の告白」
取次の営業藤永がふと口にした話題に、普段はいい加減な事なかれ主義の店長が食いついた。なんでもある条件をクリアできるなら、その店で人気作家影平紀真のサイン会を開けるというのだ。本にまつわる難題解決なら、多絵という強い味方がいる。乗り気になった店長は渋る藤永を焚き付けて、サイン会場へと立候補した。その条件というのは、影平に熱烈な手紙を送ってくる匿名のファンを、サイン会場で見つけ出すことだという。ところが正体のヒントだというそのファンから送られた暗号を解読した多絵は、サイン会をやらないほうが良いと言って……「サイン会はいかが?」
常連のお客様が、店内で手に持っていた封筒を紛失してしまった。中身はただのスナップ写真なのだが、それなりに思い入れのある大事なものだという。どこかに置き忘れたはずのそれを店員総出で捜すものの、さっぱり見つからない。しかたないとお客様もあきらめ始めた頃に、倉庫で整理作業をしていた多絵が戻ってきて……「ヤギさんの忘れもの」

成風堂シリーズの三冊目。
むむむむむ……うむう。
以下辛口なので、記事を畳みます。
No.6132 (読書)


 2014年08月13日の読書
2014年08月13日(Wed) 
本日の初読図書:
「【日刊ミケ】おかえりなさいませ(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n4062bf/

ギルドごと異世界にトリップしたゲーマーたち。
戦える者は戦い、冒険をしたい者は冒険をし……そしてとても戦いなどできないという、ごく弱気な選択をした者達は、力を合わせてメイド喫茶を開いた。ギルドマスターはコミュ障でネカマだった男装美女ルビー。みなを守らなければと、他人が怖くても必死に頑張るルビーだったが、ゲームキャラそのままでトリップした彼らは、そろいもそろって美男美女。タチの悪い貴族に目をつけられて、ついにルビーがさらわれてしまう。
ゲームチャットで事態を知ったトリップ組は、独立した戦闘特化メンバーも含めて、ギルドマスター救出に立ち上がる!

短編もの。ちなみに作者さんがなろう退会済みなので、裏ワザ使わないと読めません。
なんというか、粗筋っぽくさらっと書かれたお約束作品です。
No.6126 (読書)


 2014年08月09日の読書
2014年08月09日(Sat) 
本日の初読図書:
「墓王!(小説家になろう)」〜意趣返し
 http://ncode.syosetu.com/n8306bv/

神様に頼まれて不老長寿な身体と膨大な魔力を持って異世界へ。
おまけに主役の『体液』を摂取すると消費した魔力の回復効果があり、また魔力自体を持てなくなる致命的な病気の特効薬となる可能性もあり。でもって魔法使いは基本的に女性がほとんどで、魔力欠損症になるのも女性だけ……となれば、展開はもう読めたものでしょう。はい。チートなハーレムものです。
具体的描写がキツ目な部分はノクターンで書かれているので、なろうで読む文にはまあ、ぎりぎりちょいエロレベルでしょうか。まあそれでもそこらへんは適当に読み飛ばしちゃいましたが。
ハーレム対象になる女性たちがニコポではなく、打算とか保身とかいろいろ考えた上で、時間をかけて信頼関係を結んでいくあたり、好みが分かれるかもしれません。いやまあハーレムものってだけで、かなりあれなんですが。
あと主人公独自の魔法の使い方が、ちょっとイメージしにくいかな。
一回の魔法に使える魔力量が少ない代わり、常識はずれのスピードで連打が可能。しかも魔力は底なし。魔法陣を指で描くのではなく、一枚の絵として脳内に浮かべ一瞬でコピペするというあたりまではなんとかついていけたんですが……

ある程度書き溜めて連続更新したのち、また間を空けるという体裁のようです。
そろそろ次の更新が来てもいい頃かな。
No.6119 (読書)


 2014年08月07日の読書
2014年08月07日(Thr) 
本日の初読図書:
「休暇だと思って楽しみます。(小説家になろう)」〜52:引くほど抜けた
 http://ncode.syosetu.com/n5128by/

若くして公爵家を継ぎ、大国の国王の側近として宰相の地位にある青年、リゼル。いつものように王城の執務室で政務を取っていたはずの彼は、気が付くとまったく見知らぬ世界の路地裏にいた。
(言語が共通、貨幣は違う、取り合えず貨幣価値は……やっぱり少し目立つな)
怖いほどの冷静さ、と元教え子(※国王)に評される彼は、そんな状況でも動揺することなく、周囲から次々と情報を取り込んでゆく。
しかし悪目立ちする豪華な上着を脱いでも、彼は見るからに上流階級以外の何者でもなかった。
周囲からは貴族のお忍びだろうと思われつつ、腰に下げていた儀礼用の剣を売って当座の資金 ―― というにはいささか高額だったが ―― と、自分の世界には存在しなかった空間魔法のかかったカバンを入手した彼は、さらなる情報を得ようと手頃な人物を探し始める。
(出来ればどの国にも所属していない方が良い、考えは片寄らない方が良いし)
(変な主張は持ってないけど自分の考えは持っていて、正義感なんて持っていなくても最低限の道徳は守れる人で、駆け引き上手な人)
(あ、それと出来れば)
そんなことを考えながら裏路地へと足を向けていたリゼルを、見るからにガラの悪い男が呼び止める。
長身で顔立ちは整っているが、端正な姿を台無しにするほどにガラが悪い。風体からするに、どうやら元の世界にはいなかった冒険者という存在のようだ。
男はしばらく彼を見ていたが、やがて短く告げる。
「タチ悪いのがいる、止めとけ」
その言葉に、リゼルは柔らかく微笑んだ。
(少し世話焼きだと、やりやすい)
紆余曲折の末、その男 ―― ソロBランクという凄腕冒険者ジルを、リゼルはひとまず一ヶ月ほど雇うことになった。
その目的は、観光案内と護衛と、そして駆け出し冒険者の付き添い。
自力で元の世界に戻るのは不可能だが、転移魔法の使い手である元教え子(※国王)が、何とでもしてくれるはずだ。ならば自分は迎えが来るまで、休暇だと思って未知の世界を存分に楽しもう。この世界に自分の身元を証明するものはなにもないので、なるなら推薦者さえあれば登録できる冒険者だろう、と。
かくして誰とも組まない孤高のBランク、“一刀”のジルと共に冒険者を始めたリゼルだったが、その活動ぶりはどこまでも周囲を振り回す、破天荒なものとなって ――

異世界から異世界へトリップした、ハイスペックな貴族中の貴族が、人間を越えたハイスペックな剣士や、暗殺者上がりのギルド職員などをたらしこみつつ色々やらかすお話。連載中。
貴族にしか見えず冒険者と名乗ると必ず二度見されてしまうけれど、基本的に普段は穏やかで清廉潔白っぽく、気さくでちょっと天然なリゼル。しかし実際には、気に入った相手以外は笑顔のままあっさり切り捨ててしまえるあたり、紛れもなく人の上に立ってきた人物です。
でもって、次々と癖のあるハイスペックな人々をタラしていくあたりがもうvv
特にジルがね、もうね、保護者で従者で、でも対等な友情でもあって、なおかつ唯一絶対とか、どんだけ美味しい関係なんだか。

紹介文いわく「男ばかりの友愛。濃い友情。恋愛感情はないからBLじゃないと言い張る必要がある程度にはそれっぽい描写があるので苦手な人はお控え下さい」とのこと。
確かにやたらと年少組(それでも二十歳ぐらい)の頭を撫でたり頬を撫でたりしていますが、あくまで友情止まりです。この絶妙な匙加減がまた、たまらない……っっ(>▽<)

普通ならAランク5人パーティーで勝率五分の迷宮ボスを、暇つぶし&鍛錬代わりに一人で倒しに行く常識はずれのBランクソロのおかげで、「自分なんてたいしたことない」と言い張っちゃう、それに付き合って無傷で帰ってこられるリゼルさんマジ有能。高度な魔法の脳内並立処理を、無駄に活用してるあたりも楽しいです。

ただ心配なのは、こんなにいろんな人達をタラしこんでおいて、本人元の世界に帰る時にどうするつもりなんだろう、というのが……作者様はハッピーエンドにするとおっしゃっておられるので、ある程度は安心していいのか。せめて、せめてジルと元お頭ぐらいは連れてってあげて欲しいんですが……
それとも国王様がなんとかして、休日ごとに異世界へ遊びに来るようになったりとかしないかな。
絶対零度はともかく、道具屋とかは、何もかもほっぽってついていく訳にはいかないだろうしなあ……

あ、ちなみに雰囲気のある文章の割に、誤字脱字や日本語の微妙なところが散見されるので、気になる人は要注意。
「ほのほの笑う」とかしょっちゅう出てくるんですが、これツッコミ入れてもいいんだろうか……?

あとは各キャラの外見や服装描写がほとんどないのが惜しまれます。それでもこれだけ雰囲気を感じさせるのだから、たいしたものではありますが。
個人的にリゼルの外見イメージは某デル戦のナシアスっぽく、ジルは遊び心のない仏頂面のイヴンだったりします。スタッドはクラブレの頃のシェラを十八歳ぐらいにした感じかな。

そこそこのペースで更新されていて、一話のボリュームも大きめなのがありがたいですvv
No.6113 (読書)


 2014年08月05日の読書
2014年08月05日(Tue) 
本日の初読図書:
「剣と魔法の異世界で・・・(オンライン小説)」12話 ほのかに香る
 http://ncode.syosetu.com/n2877cb/

「新作VRMMOテストプレイヤー募集」の広告を見て電話をかけたフリーター真田幸一は、気が付くと白い不思議な空間に飛ばされていた。そこに待っていたのは、同じような目にあった数人の男女と、みょうにウザったらしくうさんくさい自称『神』。
退屈だから暇つぶしに人間を異世界にトリップさせてみたいと言い出した神は、異世界とか結構憧れちゃってたりする、少なくともある程度そういう適正のある人しか見えない募集文を出したと言いはった。実際、集められた男女はいくらかの質疑応答ののち、みな異世界へ行くことを承知する。
そうして神から与えられたのは、行く先の異世界にいる人間より、少し優れた程度の能力と、ステータスポイントを任意に割り振るスキル。
なんでもその世界の住人は、通常すべての能力が自動的にまんべんなく上がり、自身のステータスを見ることもできないため、いろいろと無駄が多いらしい。そこでステータスを任意に振り、好きな能力だけを思うように上げる事ができるそのスキルは、かなりのレアなのだという。
そんな訳で幸一あらためコーイチは、MMOの要領で初期ポイントを消費しスキルを取得して、異世界へと降り立った。痛いのは怖いから、目指すは後衛、回復職!
……って、俺の職業、冒険者の他に奴隷王ってのがあるんだが。しかもエクストラスキルの『奴隷からの愛を受ける者』って何よ??
奴隷に愛されると強くなれるスキル……なら目指すは奴隷ハーレムか?
でもまあ、急がなくてもいいか。厄介事はごめんだし。
そうして元フリーターの、のんびり異世界ライフが始まる……

異世界テンプレ。連載中。
んー、57ページかけて、まだあんまり話が進んでません。
ようやく奴隷をひとり手に入れて、本人は魔術を学んだりレベル上げに勤しんでいるあたり。
他の面々はそれぞれにポイントを消費して、外見をいじって食堂の看板娘兼料理人になっていたり、遠い王都で勇者(笑)になっていたりと、それぞれなようです。
最初に手に入れた奴隷が、負傷して捨て値で売られていたケモ耳少女で、安く買って治療してあげて好感度MAXっていうのもお約束★
まあ、今後に期待というところですかね。
No.6106 (読書)


 2014年08月04日の読書
2014年08月04日(Mon) 
本日の初読図書:
4152090596夏への扉[新訳版]
ロバート・A・ハインライン 小尾芙佐
早川書房 2009-08-07

by G-Tools
えー……お前アホやろうと言われても、反論はできません(苦笑)
いえね、おもしろいから返却前にもう一度読もうかなと思ったんですよ。そしたらどうせなら、新訳版と読み比べれば一石二鳥かな、って……
そんな訳で、ハインラインの「夏への扉」新訳版です。

あらすじや内容についての感想は「旧訳版」を読んだ時に語っているので、省略。
新訳の翻訳者は、やはりベテランの人だそうで。「アルジャーノンに花束を」とかを手がけた人とのこと。
アルジャーノン〜は高校時代に読んだけど、あれも確かに翻訳がすごいと思った記憶があるなあ……

でもって。
もちろんストーリー自体は変わらないわけですが、やはり翻訳によって異なる部分はずいぶんありました。
おおまかな印象で行くと、新訳版は会話やドラマ部分がより判りやすく、平易な文章になっていてとっつきやすいです。ピートのキャリーケースとして新しいボストンバッグを買って覗き窓を付けてやったりといった、旧訳版では削られていたと思しき小エピソードのいくつかが、ちゃんと入っているのも嬉しいところ。
たぶんより原文に忠実なのは、こちらなのでしょう。
ただ一部横文字(「事務所を借りた」が「ロフトを借りた」になってるとか)がそのままだったり、原文に忠実であろうとするあまり、日本人には馴染みのないものを説明なしに直訳(?)している部分が散見されます。おかげで意味がよく判らない部分がところどころありました。

たとえばダンが発明に利用した「電子亀エレクトリック・タートル」。何の説明もないこれは、旧訳版だと「自動操縦草刈機」と書かれていて、すっと違和感なく読んでいけます。
発明部分や法律部分など、SF作品のキモとなるあたりはだいたいそういった感じで、旧訳版の方が「知識の少ないズブの素人読者」にも優しい文章になっていると感じました。
弁護士に対して「情報の秘匿特権を行使できるだろうか?」と訊く場面なども、私の拙い脳ミソでは(?_?)です。
ここは旧訳版だと「ぼくは秘密交通権プリヴイレジド・コミュニケーション(弁護士と依頼人の間の秘密に相談する権利、警察もこれには干渉できない)を行使したいが、いけないだろうか?」となっており、非常に親切設計です。
他にも「少女団」と書いて「ブラウニー」とフリガナをふってあるのも、これがガール・スカウトの年少部門のことだと、日本人のどれだけが知っているでしょう?(旧版では普通にガール・スカウトになっている)
さらに、

滑走道路 → 動路
集団騒擾罪 → バラッキング
ゾンビー組織の秘密勧誘員 → ゾンビ・リクルーター
(省略) → ブフレックス・ファサータス

旧版:嘘をつくと地獄へ陥ちるぞといってやった。
新訳:占い師がお巡りにどんなことを言ったか教えてやった。

なども、旧訳版の方が断然判りやすい翻訳だと思います。


逆に新訳版でようやく意味が判った部分としては、2000年にやって来たダンが、単語の意味が変わっていて戸惑う場面。

旧版:例えば主人ホストという言葉だ。これはオーバーをとってくれて部屋へかけてくれる男のことで、出生率とは何の関係もなかったのだ。

出生率?? なんのことやらと思っていたのですが、

新訳:たとえば“代理ホスト”――その昔“主人役ホスト”とは、コートを脱がせてくれ、寝室に置いてくれる人間を意味していた。出生率とはなんの関係もない言葉だった。

と、たった一単語が加わるだけで、「ああ代理出産(もしくはその機能を持つ技術)のことか!」と想像がつくようになっていました。
他には冷凍場サンクチュアリという言葉が安息所サンクチュアリになっていたのも、なんだか柔らかい感じがして良いですね。

他に新訳版でニヤリと出来たところといえば、旧版の感想でピート(猫)の鳴き声のバリエーションが素晴らしいと書きましたが、その鳴き声にも意味があったことがよく判る点。
たとえばジンジャーエールをねだる時の「モーアー!」と言う鳴き声には「もっと(たぶん more )」というフリガナが振られています。他にも「ナーオウ!」には「いーまあ(おそらく Now )」、「ウェアールル?」には「どこにいたんだよ?( Where were you? かな)」というカッコ書きが。
こういう細かい言葉遊びは、やはりその作品が書かれた言語圏でないと、なかなか理解しにくいですよねえ……(しみじみ)


―― と、まあそういった具合で。
新旧ともに、どちらにも長所と短所があるという感じでした。
理想はやっぱり、両方読むことでしょう(笑)

まあそれは冗談として、
翻訳ものの硬い文章が苦にならず、より内容を深く理解したい人には旧訳がオススメ。
技術的な点や想像された未来像の描写などの細かいところはさらりと読み流し、気軽に人間ドラマを楽しみたい人には新訳版がオススメ、といったところでしょうか。


最後に。
私はこの作品に「巌窟王的復讐もののテイストがある」という情報を見つけて読むことを決めたのですが。しかし主人公のダンは、けしてモンテ・クリスト伯にはならないのです。
恋人と親友に裏切られ、一時は復讐を願っても、彼はけっして人を信じることをやめようとしない。

「何度火傷しようと、ひとを信用しなければならないときがあるのだ。そうしなければ、洞窟の隠者になって片目を開けたまま眠るはめになる。安全でいる方法なんてなにもない。生きていること自体が、そもそもとても危険なことなんだ」

そう語って、彼は新たな友人となったジョンに、莫大な資産となる発明をすべて託し再度の眠りにつく。
受けた裏切りには復讐ではなく無関心を、そして信頼にはより多くの信頼を返す。
そして未来にはきっと良いものが、開いた扉の先には必ず夏が待っていると信じている。
そんな彼の、陰湿さのないある意味「技術バカ」な楽観主義が、この作品をこうまで気持ちいいものにしているのだと思いました。
No.6103 (読書)


 2014年08月03日の読書
2014年08月03日(Sun) 
本日の初読図書:
「平手久秀の戦国日記(小説家になろう)」〜第五十話
 http://ncode.syosetu.com/n2345bj/

何故か戦国時代に、現代から生まれ変わってしまった少年 久次郎。
その身体はほぼ不死身で、異様なほどの膂力も備えたチートボディであった。そうであるが故に迷信深い村人から鬼子を産んだと家族は爪弾きにされ、間もなく疫病で死んだ。一人残された十歳の少年は薪拾いや獣を狩ることで暮らしていたが、ふとしたきっかけで風変わりな子供に気に入られてしまう。
その子供の名は吉法師。
そう歴史上の超有名人、戦国の覇王。第六天魔王。事実上の天下人たる後の織田信長である。
あまりにも時代を先取りしすぎた先見の明を持つがために、誰一人理解者を持たず、うつけ者として奇行をくり返すしかできずにいた吉法師は、未来知識を持つがゆえに己の言葉を理解できる久次郎という友を得て、ずいぶん落ち着き始めたという。吉法師の目付役であり、後にはその不行跡を諌めるために自刃したという平手政秀は、久次郎におおいに感謝し、彼を養子に迎えようと申し出た。どうかこれからも若の支えになって欲しいのだ、と。
そうして久次郎は久秀という、平手家の跡継ぎとなった。
信長は同じ価値観を持つ理解者を得て、戦国乱世を生きてゆくこととなる。それはやがて、久秀が記憶していたものとは異なる流れをたどり始めて……

歴史IFもの。連載中なるも長らく更新停止中。
最新話では1573年。本能寺の変まであと9年というところでしょうか。
基本的にギャク。久秀の人たらしと勘違いっぷりで成り上がる感じのお話ですが、後半の方はだいぶシリアス展開になってきています。
最新話では、織田家の筆頭家老になった久秀が家康と組んで武田信玄を討ち取り、北条・徳川・織田の三国同盟を組みつつも、織田家内部では成り上がりものが武功を立てすぎて、古参家臣団に亀裂が入りつつある状態です。
あと久秀が蒲生氏郷を養子にして跡継ぎとして育てていたら、実子で男の子が生まれちゃって、氏郷を後継者にする気を変えない久秀と、実子を盛り立てたい派閥とで平手家も割れそうになっていたり。
さらに信玄を失った武田家は、上杉と連合を組んで暗躍を始めようとしていたりとかとか、これからが気になるところなのに〜〜〜 《o(><)o》

……ちなみに、ちゃんとした歴史はよく判ってません(てへ)
蒲生氏郷って何した人だっけ。松永弾正? 聞き覚えはあるんだけど……って感じです(苦笑)
まあ楽しめればいいのよ、それで。

あ、文章に関しては誤字脱字変換ミス、読み返してないのか明らかに日本語がおかしい部分が結構あるので、そういうのが苦手な方は要注意です。
No.6101 (読書)


 2014年08月02日の読書
2014年08月02日(Sat) 
本日の初読図書:
4796688218玉村警部補の災難 (『このミス』大賞シリーズ)
海堂 尊
宝島社 2012-02-10

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東京へ出張した田口先生が、深夜に公園で死体を発見。別れたばかりだった白鳥を追いかけて訴えたところ、彼はなぜかいきなり死体の足を持たせ、表通りまで運んでから110番通報した。彼がわざわざそんなことをした理由は……「東京都二十三区内外殺人事件」
売れないお笑い芸人を集めた正月用の特番撮影現場で、人が殺された。ブロックを積んで作られた仮設迷路の中で死んでいたのは、唯一売れっ子だった芸人上がりの司会者。彼は多くの人間から恨まれており、少なくとも現場には動機のある人間として、付きまとわれていた女性ディレクター、元相方のAD、同じく元相方で芸人にしがみついている男の三人が居合せた。その誰にもアリバイはなく、設置されたカメラにも怪しい人物は写っていない。果たして彼はどうやって殺されたのか。デジタル・ハウンドドッグこと加納達也が、犯人を追い詰めるために利用したのは……「青空迷宮」
桜宮科学捜査研究所の設立に伴い、DNA鑑定データーベース・プロジェクトことDDPが立ち上げられた。データーベースの根幹となるサンプルを、医療現場から提供してもらうという画期的なシステムである。その案件第一号として逮捕されたのは、通り魔として面識のない女性を殺したとされる、フリーターのゲーマー馬場だった。半年近くも雪の中に埋まっていた女性の死体に被害者以外の血液が大量に附着しており、そのDNA型がDDPに記録されていた彼のものと一致したのだ。現在の検査方法でDNAの型が重なる確率は四兆七千億分の一。地球の人口は七十億人だから、まず間違いはないという。しかしどこか引っかかりを覚えた加納が捜査を開始してみると、馬場は殺された女性の夫が務めている会社と東城医大が共同研究している、治験の被験者になっていて……「四兆七千億分の一の憂鬱」
桜宮市でヤクザが立て続けに自殺する事件が起こっていた。みな同じ竜宮組系列の幹部クラスで、遺書を残して焼身自殺をしている。遺体は黒焦げで、人物同定はデンタルチェック、すなわち歯の治療記録の照合で行われていた。しかし桜宮でのデンタルチェックは、手書きのチャートと目視のみで行われる簡単なものだ。そして竜宮組は現在非常に羽振りがよく、幹部が自殺する理由など考えられない。そこで加納は、近々オープンするAiセンターのセンター長 田口に連絡を取り、焼死体を画像診断にかけるよう依頼した。その結果は……「エナメルの証言」

チーム・バチスタシリーズのスピンオフと題されていますが、キャラクターも時系列も完全に一致しているので、せいぜい「外伝」とでも称したほうがいいのではないでしょうか。
体裁としては、玉村警部補が桜宮市で加納警視正の携わった事件を取りまとめるため、高確率で巻き込まれていた田口先生の元へと協力要請にやってきて、愚痴外来で珈琲飲みつつ過去の事件について改めて振り返っていく形です。
「〜二十三区内外〜」は、「イノセント・ゲリラ〜」の中で触れられている、田口先生が偶然死体を見付けた事件。文庫版ではちゃんと本編に組み込まれているらしいですね。
……しかし前の晩にこんな事件に遭っているのに、何事もなかったかのように会議に参加していた田口先生がよっぽど大物なのか、それとも単に医者として死体に慣れているだけなのか……(汗)
なおこの作品はミステリものとしての要素は薄く、謎解きなんかもほとんどなし。いつものように白鳥さんが現在の死亡時診断について問題提起するお話でした。
「青空迷宮」は田口先生も医療現場も関わっていません。作中時系列は「イノセント・ゲリラ〜」まっただ中の2007年11月(※バチスタ・スキャンダルが2005年)。これが一番、短編ミステリっぽかったかな?
加納さんが犯人につきつけた証拠が「んな御都合主義な」と思ったら、あっさりハッタリで苦笑いしたりとか。
「四兆七千億〜」も、比較的ミステリ色が強かったです。時系列は「アリアドネの弾丸」直前らしく、これと次の話は、ちょっと読む順番を間違えたかなあという気もしたりとか。まあ致命的なネタバレはなかったですけどね。
検査方法が正確になればなるほど、扱う人間はそれに頼り切りになってはいけないという話でした。
あと玉村警部補が、ひそかにネトゲにハマっていることが判明したりとか(笑)
忙しい刑事の仕事と、他人と時間を合わせる必要があるネトゲって、両立できるものなんだろうか……?
「エナメル〜」は、一風変わったお話でした。物語のほとんどは「非合法行為を合理化し社会適応する団体」に雇われている死体の歯医者ネクロデンティスト栗田さんの語りで進みます。こういうのをコロンボ式というんでしょうか?
死体の歯を『治療』して、別人のカルテと同じものに仕上げてしまう栗田さんと、その師匠の高岡さん。異なった主義と技術を持つ二人のやりとりと、その結果出来上がる『別人の死体』の完成度の差。そしてそれを見破ろうとする加納さんや東城医大サイドの描写が、交互に出てきます。
栗田さん独特の人生観というか淡々とした語り口調に、気がつくと引きこまれている感じでした。
こちらは「アリアドネ〜」も通りすぎて、「ケルベロスの肖像」にまでかかっているらしいです。

……今回一番のネタバレは、「イノセント・ゲリラ〜」で警察庁に帰った加納さんが、また桜宮市に戻ってくることだったなあ……
あと田口先生がAiセンター長になることも、まだ本編では出てきてなかったんじゃなかったっけ?
まあそっちは、ネットやムック本で既に知っちゃってたからいいんですけどね(苦笑)
そして田口先生がなにか思わせぶりに、「残されたものが頑張らなくては」とか言ってるんですが……「アリアドネ〜」では誰かなんかヤバイことになっちゃう、とかあるのか……?
No.6096 (読書)


 2014年07月31日の読書
2014年07月31日(Thr) 
本日の初読図書:
4403670512番線―本にまつわるエトセトラ (ウンポコ・エッセイ・コミックス)
久世 番子
新書館 2008-03-27

by G-Tools
「配達あかずきん」のコミカライズについて調べていて、うっかり単行本化されていることを知り、ポチッとしてしまいました。
とにかく『本』についての『愛』をこれでもかと詰め込んだエッセイコミックです。
アマゾンさんの「なか見!検索」で、一話目をほぼ読めるのでご覧になってみていただけると、その独特のノリとあふれる愛が判ってもらえるんじゃないかと(笑)
もうね、この一話目で出てくる本居宣長の、本の貸し借りについてのエピソードが本好きにはすっげえ笑えるんだvv
今も昔も、読書家の考えることって変わらないんだなあ、と。
他にも気がつくと本棚が一杯になってるので、いかにして内部配置に試行錯誤するかとか、『本好きあるある』が目白押し。
後半は写植とか校正とか国会図書館の内部レポートといった、一般人には馴染みがないけれど、本好きなら興味津々な内容もあって、一冊で二度美味しいみたいな?

ただ掲載誌がBL系の雑誌だったため、ところどころにBL的な文例やたとえ話が入っているのが、ちょっと読む人を選ぶかもしれません。

ああ、国会図書館、私も一度は行ってみたいなあ……そして朝日ソノラマの廃刊雑誌『チャキチャキ』を出してもらって、単行本化されてない、氷室奈美さんの「砂塵の王国」を全ページコピーしてやるんだ……
No.6091 (読書)


 2014年07月30日の読書
2014年07月30日(Wed) 
本日の初読図書:
「旅行から娘が連れ帰ってきたのはどうやら異世界の勇者様らしい(小説家になろう)」〜勇者と聖女2
 http://ncode.syosetu.com/n2256bj/

二十三歳になった娘と旅行に出かけようとした直前、階段を踏み外して足を痛めた母親は、娘一人を旅行へ送り出し ―― そして帰ってきた娘は、旅行前よりいくらか髪が伸びており、そしてハリウッド俳優のような金髪に紫がかった青い瞳の美青年を連れていた。
「お母さん、私この人と結婚したから。で、この人、異世界では勇者なんて言われてたけど、この世界じゃ新居なんて用意できないし、お母さん一人だと心配だし、一緒に住む事に決めたけど問題無いよね」
ちなみに娘は超現実主義で、昔からアニメにも漫画にも興味はなかったが、母にはいくらかなりとそういったものの知識があった。
「これ、選ばれた勇者にしか持てない『せいけん』」
……ああ、『せいけん』って『聖剣』の事ね。
なんでも娘は旅行中に異世界へ飛んでしまい、三泊四日の間に一年をかけて、勇者とともに異世界を救ってきたのだという。
そして勇者は娘と結婚することを選び、彼女とともに日本へ渡ってきたと。
うん、想像以上にファンタジー。
ともあれ。戸籍もなにもないがゆえにニートとならざるを得ないけれど、順応性だけは高く主夫と化しつつある勇者と、異世界で聖女と呼ばれていた現実主義の娘と、なんだかんだで懐の広いお義母さんは、かくして共同生活を営むことになったのだった。

タイトルが全てを表しております(笑)
語り手は、女手ひとつで娘を育て上げた五十代になろうかという『お母さん』。
毎朝五時に起きて近所を散歩し、子どもたちと仲良く戯れるアグレッシブなニートの勇者と、嫁姑ならぬ婿姑のほのぼのした会話を繰り広げております。
異世界サイドではけっこう厳しい事もあったようですが、そのあたりは軽く触れる程度で。
長らく更新停止中なのが惜しまれます。
No.6089 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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