よしなしことを、日々徒然に……



 2015年06月11日の読書
2015年06月11日(Thr) 
本日の初読図書:
「異世界で『黒の癒し手』って呼ばれています(小説家になろう)」〜幕間 第71.5話  シアン
 http://ncode.syosetu.com/n4353bc/

間もなく大学卒業を控えた女子大生 神崎美鈴は、女子会帰りに冬の夜道を歩いているところを、いきなり暗黒に包み込まれた。闇の向こうから伸びてくる、ミイラのように干からびた何本もの手。必死にそれらを振り払って ―― 気が付くと、大自然のただ中にある暖かな草原に座り込んでいた。
見慣れない草花をぼーっと眺めていると、ふいに頭の中へその名前や効能が浮かび上がってくる。
やあ、まあ……うん。これって……うん。ゲームの世界にでも迷いこんじゃったのかな。っていうか、異世界トリップ系?
小説とゲームが大好きなオタク気質の美鈴は、思わず笑ってしまった。試しにメニュー? ステイタス? と呟いてみると、自分の現在の状態も浮かんでくる。
称号:『異世界の旅人』
どうやらここは異世界で間違いないようだ。
それからいろいろと検証してみた結果、イメージをしっかり持ちつつ何らかの言葉を口にすることで、アニメやマンガなどで出てくるような魔法をだいたい使うことができた。お約束の「アイテムボックス」も使えたので、なくしたら困るものを入れておく。
そうして元の世界に戻る方法を探すためにも、まずはこの世界の住人と接触しなければと考えた彼女は、先の見えない街道をゆくよりも、脇道が向かう森の中へ入ってみることにした。時おり現れる魔獣を相手に魔法を練習しつつ、辿り着いたのは無人の小屋。すでに日も暮れかけていたので、無断侵入を詫びながらもベッドを借りて眠りにつく。
翌朝目覚めてみると、気付かぬうちに二人の男が小屋を訪れていた。いかにもな騎士の鎧を着た男達は、それぞれヴァンとシアンと名乗る。なんでもこの小屋は、貴重な薬草の群生地を保護する管理人が住んでいる場所で、彼らは危険な任務を前にその薬草を補充しにやって来たのだという。ところが小屋の様子を確認する限り、管理人は数日帰ってきていないようで。
あるいは森の中で遭難でもしているのでは……と探しに行こうとする二人に、美鈴も同行を申し出た。昨日の実験で回復魔法も使えると判っていたので、何か役に立てればと思ったのだ。
すると二人は、強い驚きを見せた。どうやらこの世界では、癒しの術を使える存在は貴重らしい。これはマズッたかと焦る美鈴だったが、言ってしまったものはもう取り返しがつかない。
案の定、骨折で動けなくなっていた管理人を治療する美鈴の手際を見た二人は、彼女に次の任務 ―― 凶暴な魔獣討伐に同行してくれないかと願ってくる。
「お前の安全は俺たちが命をかけて守ると誓う。だから、力を貸してくれ」
正直を言えば、危険な場所になど行きたくない。下手に目立って、巫女ルートや監禁ルート、あるいは生贄ルートや政略結婚ルートをたどるのもまっぴらゴメンだ。
けれど、たった一日の付き合いでも、この二人がとてもいい人だというのはよく判った。もしも自分が手伝わなかったことで、ヴァンとシアンが負傷したりあるいは死んだりする可能性を考えると、行かないという選択肢は考えられない。
かくして美鈴 ―― 改め、リィーン・カンザックは、二人とともに魔獣の討伐へと向かうことにした。だがそれは、この先、彼女が巻き込まれていくさまざまな出来事の、ほんの始まりに過ぎなくて……


アルファポリスで無料公開されているwebコミカライズの連載を読んで、最初はうーんと思っていたものの、だんだん面白くなってきたので、以前DLだけしていたテキストをようやく読んでみました。
……あいにく手持ちは第一部と幕間だけしかないんですが、まあこれはこれでキリの良い所で終わっているから、かえって良かったかもしれません。第一部だけで、文庫三冊分ぐらいありましたし。

いきなり異世界召喚され、オタク気質ですぐに大体の現状を把握。同じくゲームの要領で魔法を即座にハイレベルに使いこなし、ハンサムさん達に守ってもらいながら無自覚に成り上がり〜〜的な御都合主義満載なお話です。
それでも随所で重い部分もあり、ある程度猟奇描写もあるので、どっち方向でも苦手な方は要注意。

後見人になってくれるキラキライケメン王子様との関係も、けっして一方的に好意にもたれかかるのではなく、お互いにお互いの背景を考えた上で、判った上での利用をしあってるというのは、好みが分かれるところでしょう。私はギブ・アンド・テイクがはっきりしていて良いと思いましたが。
ヴァンさんもシアンさんも、忠誠はあくまで王子様にあり、もしリィーンが主君に不利益をもたらすようであれば、責任をもって自分が殺す、と誓うんですよ。安易に情には流されない。でも殺す時は自分がと宣言するぐらいには、強く思ってもらえてるし、その根底にきちんと信頼がある。
その上で、リィーンを『力が及ぶ限り』守る。それは肉体的な意味だけではなくて、たとえば貴重な癒し手であるリィーンは、ときにヴァンやシアンを見殺しにすることになっても、けして死んではいけない。それはこの先に救えるだろう、もっと多くの人々を見捨てることになるからだと、厳しくもはっきり言い諭す。
ヴァンさん、マジ兄貴。そしてシアンさんまじオカンやvv

ハイスペックかつ誠実なイケメンがガンガン出てきまくるのに、恋愛色が全然絡んでこないのも、この手の話では珍しいですね。まあリィーンが恋愛に疎いのはそれなりに理由があることが、終わりの方で明かされる訳なんですが。
webコミックの方はなろう版と異なり、かなり最初から『ラスボス』が関わってきています。なろう版だと確かにちょっと唐突感が否めなかったので、これはありでしょうね。っていうか、商業出版された小説版でも、あらすじ紹介見る感じ、そこらへんがだいぶ書き足されているようで。

個人的には、小説版の挿絵よりマンガ版の絵柄のほうが好みですな。
ただシアンさんの表情が、ちょっと優しすぎるかなあ。氷の貴公子が初対面から笑顔浮かべまくってるし。リィーン以外にどんな態度を見せてるのか、コミカライズの絵柄で見てみたいものです。
No.6880 (読書)


 2015年06月08日の読書
2015年06月08日(Mon) 
本日の初読図書:
「私の次の仕事は小説家の妻らしい。(小説家になろう)」〜番外編 集合 若葉目線。
 http://ncode.syosetu.com/n1295cp/

本当に好きなのはお前だけだとか言いながら、浮気を繰り返すダメ男の彼。おかげで面倒な女がとっかえひっかえ何度も会社に押しかけてきては、平手打ちをくらったり水をかけられるのももう慣れっこ。その日もヒステリックに叫ぶ女に頭から珈琲をぶちまけられて、岸元若葉はついに切れた。
人事部の部長から、次に同じような事があれば対処を考えなければならないと、宣告されていたこともある。彼が好きなのは私なの! と泣きじゃくる女にあんな男くれてやると言い捨てて、若葉はそのまま人事部へ向かい、会社を退職した。
そうして実家に戻って見合いでもしようと、会社の寮を出て荷物片手に駅へ向かっていた途中のこと。ダメ男から携帯に連絡が入る。本気じゃないだろう? お前はいつも許してくれた。別れたくないから結婚しよう! などとほざく男に、思わず殺意が芽生えた。
「ふざけんな! あんたと結婚するぐらいなら、見ず知らずの行きずりの男と結婚した方がましだ! 死ね!」
そう叫んで電話を切った途端、いきなりその腕を掴まれた。まさかダメ男かとふり返った先にいたのは、どこか不安そうで必死な面持ちをした……見知らぬイケメンだった。
「あ、あの、お、俺と……俺と結婚してください」
「………はい?」
なんでも、もともと海外小説の翻訳をしていた彼、中里葉瑠は、最近自分でも小説を書くようになったところ、それなりに売れてくれたのだという。すると途端に親戚の娘がつきまとってきて、勝手に婚約者を自称して留守中の自宅に上がりこむなど、完全にストーカー化。その親もすっかり乗り気で結婚しろ、式場も手配するからと言い出し、このままでは本気で押しかけられかねない状態らしい。
とても耐えられなくなった彼は、他に結婚を考えている女性がいるからと嘘をついたものの、実際にはそんな相手どころか、恋人のふりをしてくれるような女友達すら存在しておらず。
「さっき、電話で貴女が喋っていたのが聞こえて………貴女なら俺を助けてくれるんじゃって思ってしまって………」
もちろん、あなたに他に好きな男ができたら別れるし、戸籍にバツをつけてしまうことに対しての慰謝料も払う。生活費に加えて、月に十万ぐらいなら小遣いだって出せるから、と。
懸命にそう訴える葉瑠は、イケメンなのに気弱そうで、それでいてそばにいるとどこか癒やされる、穏やかな空気をまとっていた。若葉がいくつか出した条件にも、できるだけ応えたいと、心よい返事をしてくれる。
ちょうど仕事も住むところもなくしたばかりだ。これはこれで助かると、若葉はその場で婚姻届に署名した。
かくして若葉は、小説家の妻という、新たな仕事に就くこととなって ――


ば く は つ し ろ !!
……としか言いようがない、契約結婚から始まる両片思いなのにイチャラブな、美男美女ハイスペック砂吐きカップルのお話。
完結済みで、現在、後日談的番外編をちょこちょこUPされています。
実力できっちり稼ぐイケメンのくせに超草食系で、人付き合いが大の苦手。歴代の押しかけ彼女にはねだられない限りキスすらしなかった葉瑠さんが、どんどんどんどん普通の男 ―― というよりむしろ、待てのできない犬になっていくあたりが微笑ましいやら、若葉ちゃんが気の毒やら。
葉瑠さんの家族を含めた周囲の人物たちも、なんというかキャラが濃すぎ(褒め言葉)
みんな葉瑠さんが大好きで、ほとんどコミュ障の引き籠もりに近いうえ女性運が悪い葉瑠さんを心配していたので、彼を幸せにしてくれそうな若葉ちゃんを、諸手を上げて歓迎してくれてます。
若葉ちゃんが若葉ちゃんで、また男運が悪いというか、裏でめちゃめちゃモテていたのに、なぜそれに気付かずアレに引っかかってた……という有り様。
そんな二人の新婚生活は、まるで熟年夫婦のような穏やかさ。
両片思いですれ違ってるうえにどちらも辛い過去持ちなのに、でもいっこうに暗い雰囲気にならないあたり、ポイント高かったです。
そして前彼カス男はしっかり見返され、二人はこれから幸せに暮らしますという、お約束的展開が安心して読めました。
番外編は、葉瑠さんや若葉ちゃんの友人たちを中心にあれこれと。
個人的には、上杉さんにも早く幸せになって欲しいものなのですが(笑)
幼馴染でざっかけない口をきける、でも心の中ではすっごく案じてくれてる同性の親友ポジションって良いですよね……
No.6875 (読書)


 2015年06月07日の読書
2015年06月07日(Sun) 
本日の初読図書:
4125013217トゥルークの海賊4 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 鈴木 理華
中央公論新社 2014-11-29

by G-Tools
結婚し還俗していたライジャの両親が、再び僧侶として迎えられることとなった。しかも惑星全体でも百人と存在しない、最高位ドルガン・ドガールという階位でだ。
二人は夫婦のまま、俗世間での仕事も続ける在宅出家という形をとる。男女が触れ合うことについての戒律も大幅に見直され、家族の絆は尊重するという方針に向かっていた。その先駆けとなった二人の叙任式は、誇張ではなく、トゥルークの歴史と宗教のありかたに大きな影響を与える、世紀の大イベントである。
ジャスミンは数少ない対等な女友達であるエルヴァリータの晴れ舞台に駆けつけたいし、かの夫婦もまた、自分達が昇格するきっかけとなったルゥに、ぜひ参列してほしいと招待状を送ってくる。
しかし先日の大潮やトゥルークの僧侶たちに散々な目に合わされたダイアナは、二度とあの星には降りたくないと、断固拒否する。行く先々で、感応力の強い高僧たちに拝まれまくるルゥも、まったく同じ意見だ。
また一方で、宇宙に何の興味もないリィ達がトゥルークで貴重な経験をしてきた事を知ったジェームズは、自分が素人にも劣る『子供』であると感じて強い不満を覚えていた。『あの』辺境最速の船長ダン・マクスウェルの息子でありながら、お前はトゥルークについてすら何も知らないのかと。周囲からそんなふうに言われて反発した彼は、進学せず中学卒業と同時に宇宙へ出る。そうして現場叩き上げの船長になるのだと言い出す。
周囲の大人たちは口を酸っぱくして止めようとするが、ジェームズはまったく耳を貸さなかった。特にダンなどは、自分もかつては同じことをして成功を収めているだけに、いくら今は時代が違うのだと言っても、まるで説得力がない。
一同、頭を抱える中、いっこうに理解を得られないとすねまくったダイアナとルゥは、手に手(?)を取って、駆け落ちを決行して ―― !?


微妙にラストが駆け足だった、「トゥルークの海賊」全3巻の後日談。
あちらこちらで生じたこまごまとした波紋が、どんなふうに収められていったかが補足されています。
目次こそ分かれていないものの、小ネタ短篇集といった雰囲気が強かったかな。
大潮の時に、ケリー@パラス・アテナが必死な割に余裕をかましているように見えた《アルベルティーナ》船内が、実はけっこう洒落になっていなかった光景&無事着陸してからの一同取り揃った宴会シーンとか。
ダイアナとビーティの感応頭脳同士の会話と、それに参加するブライアンとリーヴス博士(ランバルトの息子とその母)とか。
ティラ・ボーンに帰ったあと、リィとシェラがトゥルークについてのレポート発表を行った結果、聴衆たちは阿鼻叫喚、そしてジェームズが厨二病をこじらせて家出寸前になるとか。
『駆け落ち』したルゥとダイアナを追って、怪獣夫婦がピグマリオン II とミニヨン星系に行ったりとか。
一番の見どころはもちろん、ダレスティーヤとエルヴァリータの叙任式なんでしょうが、ラストのラストでまたもランバルトに持って行かれたりとか(笑)

まあそんな感じで、よくも悪くも同人誌っぽかったです。
イラストも遊び心満載。表紙も表紙だけど(裏表紙がまた笑えるんだvv)、子供っぽい我がまま言うジェームズを物陰から見ながら「ゴゴゴゴゴッッ」ってなってるジャスミンと必死で止める金銀天使とか、どんだけ楽しんで描かれたんだかvv
あと叙任式の衣装は、なんというかやり過ぎ(褒め言葉)

ランバルトがうねうねしてるルゥの髪をワシっと掴んで三つ編みしたら、なぜか髪がおとなしくなるというエピソードに萌えました。
リィがやると余計に止まらなくなるという話でしたけど、ケリーも総帥時代にやってましたよね。三つ編みにしてもビッタンバッタン暴れるから、ベッドに括りつけたんだったか。
そこらへんでも、ケリーはまだまだランバルトにかなわないんだなあとか(苦笑)
ビバ、最強爺ってことですな。

ところで今回もちょっくら気になった点が。
ダイアナはケリーの義眼を通しても、相手の位置が把握できるだけで、具体的に何をやっているかは判らない。プライベート上の問題もあるからという描写があったんですが。
……義眼を通して長年その記憶と経験と思考パターンをデータとして記録してきたからこそ、ケリーはクローン体に人格を移植するという技術を実行段階に持って行けたって設定じゃなかったですっけ??
No.6874 (読書)


 2015年06月06日の読書
2015年06月06日(Sat) 
本日の初読図書:
「モブなんていません(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n3619bu/

気がついたら、乙女ゲームの中に生まれ変わっていました。
前世でこのゲームに夢中になり、全ルートコンプリートした私は知っています。間もなくやって来る転校生のヒロインに生徒会の役員たちが熱を上げ、さまざまな失敗を繰り返しながら彼女との関係を築き上げていくという、その展開を。
自分はそのゲームの中ではモブ中のモブ。トラブルが起きるたびに「どうしましょう、どうしましょう」とうろたえるだけのいち女生徒でした。しかしこのままでは、正規ヒロインに学園中がひっかき回され、最悪、生徒会役員たちのヤンデレルート突入によるバッドエンドが待っています。
ならば自分がやることは決まっている。攻略キャラを横取りすることでも、主人公を押しのけて逆ハーレムを作ることでもない。平穏な学園を守ることです。
地味で賑やかしなおさげ眼鏡キャラこと、羽生加奈子。文字通り、生まれ変わったつもりでがんばります!

お約束の乙女ゲーム転生モノ。読み切り短編。
悪徳令嬢系ではなくモブキャラ転生ですが、かといってストーリーに関わらずに過ごそうとするのでもなく、むしろ積極的にはた迷惑なフラグを折るため奔走しています。
周囲に迷惑がかからないフラグはちゃんと放置しているのに、ヒロインもヒロインでアレなので、とにかくイベントに頼りっぱなしで逆ハー狙いの、周囲をまともな人間と認識していないタイプ。
それでも自業自得のあげくに破滅しなかっただけ、まだましな展開だと思うよ(苦笑)>正規ヒロインちゃん
No.6870 (読書)


 2015年06月05日の読書
2015年06月05日(Fri) 
本日の初読図書:
「魔王様の犬(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/s4283c/

魔王さまに飼われている、忠実な『犬』。
まだ名前のない『犬』が名前を求め、そして魔王が名付けを拒むその理由は……?

えー……何を書いてもネタバレになりそうなんですが。
とりあえず、勇者召喚って普通に考えて拉致強要だよねってお話です。本人達は幸せだけど、けっこうダークなストックホルム的話運びなので、苦手な方は要注意。
No.6868 (読書)


 2015年06月04日の読書
2015年06月04日(Thr) 
本日の初読図書:
4125012733トゥルークの海賊3 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 鈴木 理華
中央公論新社 2013-12-19

by G-Tools
定期航路の宇宙船をまるごと拿捕し、乗員乗客三十四人を人質とした偽シェンブラック海賊団。
彼らがトゥルーク政府に要求してきたのは、新種のドラッグ「パーフェクション」の原料となる藍王木と白籠岩500万トンであった。七日後までにそれらを用意し、貨物船に積み込んで引き渡せば、人質は開放すると言う。さらにそれまでの間、連邦軍の星系内への進入禁止と宇宙港を閉鎖しろという条件も付けられた。そのためリィ達は、取り引きが終了するまでティラ・ボーンへ戻れなくなってしまう。
それでもどうにか監視の目をかいくぐって宇宙に出たケリーとジャスミンとダイアナは、一週間の猶予を無駄にせず、パーフェクション中毒者の交友関係の方向から調査を進めていった。しかし調査が終わりきらぬうちに期限の日はやって来る。
連邦軍の大艦隊が、カトラス星系の外縁ぎりぎりを包囲していた。偽シェンブラック団とトゥルークの宇宙港は、人質を乗せた搭載艇と20隻の貨物船を、一隻ずつ交換してゆく。しかしすべての船が交換され終えてもなお、海賊達のもとには人質が六名と、そして交渉役として乗り込んでいったエルヴァリータが取り残されていた。人質の中には、エルヴァリータの娘でライジャの姉である、エレクトラも含まれている。
さらに悪い事態は続いた。偽シェンブラック団の手元に渡ったはずの貨物船が、誰も操作しないままいきなり動き出し、すべてどこかへ跳躍していってしまったのだ。これに激怒した海賊達は、核ミサイルのボタンを押した。
惑星全域を破壊し尽くせる数の核弾頭が、トゥルークの地表めがけて降り注ぐ。
大混乱に陥る中で、さらに所属不明の武装船が複数、星系内へと跳躍してくる。
彼らが上げた、その名乗りとは ――


偽シェンブラック&グランド・セヴン海賊団、惑星トゥルーク、連邦軍にケリー達、そして本物のグランド・セヴンの『関係者』達が入り乱れた、大人サイドの番外編シリーズ(とりあえずの)完結編。
ラストに、一部で物議をかもしだした前日譚短編、「大いなる闇が来た」も収録されています。

 そ・う・き・た・か!!

というのが、ページをめくりながらの心の叫びでした。
「アンヌの野兎」でネタバレられたとか、偉そうにほざいていてすみません。
《アルベルティーナ》も《ブルーライトニング》も、どっちも《ビート》って愛称にできそうだから、そこを引っ掛けにしたんだな、とかほくそ笑んでいたらどうしてどうして。
まさかここまでしっちゃかめっちゃかだとは、想像のはるかに斜め上をかっ飛んで行かれましたよ(褒め言葉)

……いやはやまったく、今回はもう、全てがランバルトとブルズアイジャックに持って行かれました。
昔のグランド・セヴンの名誉を守るべく駆けつけたかつての乗員(すでに老境)達も、ランバルトにあこがれて密航 → 半年ほど見習いをやったあげく、今では連邦軍司令官になっていた『彼(六十代)』も、かなり初期から思わせぶりに出ていてある意味キーキャラでもあった女僧ラテール・ザンテスも何のその。
この3巻では、ランバルトとジャックの人生と絆を、これでもかーーーーっっっ、と見せつけられる内容でございました。
なにしろこの二人にとっては、ケリーですら『若造』、ジャスミンに至っては『お嬢』扱い(笑)
実際、一度若返ったケリーの総帥時代をちゃんと勘定に入れても、まだ年上ですからね。この二人。 ちゃんと計算してませんけど、ランバルトは下手すりゃ九十超えてるのか……?
しかも二人合わせて、まさにケリーとダイアナの二人を混ぜあわせたかのような、壮絶な人生を送ってきた上に、そこへ年月の深みが加わってるものだから、いくら彼らでも勝てるはずがない(笑)
アンヌ〜に引き続き、大人どころか老人シニア世代の大活躍でしたvv

そしてトゥルーク……っていうか、カトラス星系の異変の実情がまた『ひでぇ冗談(BYダイアナ)』で(苦笑)
海賊王時代のケリーがここを知らなかったのが、かえすがえすももったいないというか。もし知っていたら、それこそ大喜びで跳びまわって遊んでたんだろうなあ……

結局、ジャスミン達が調査していたドラッグの件については、まるで添え物のように駆け足で片付けられてしまいました。
とにかくこのシリーズは、そのタイトル通り、トゥルークとランバルトとブルズアイジャックのお話だったんでしょう。1〜2巻を読んで、タイトルの「海賊」は、ケリーと見せかけて実は偽グランド・セヴンを指しているのかと思っていたら、さらにどんでん返るとは(しみじみ)

そして裏ではルゥが大鉈を振るいまくったせいで、頭の硬かった本山の面々も、信仰のあり方を見直したようで。
……でもこれって良いのかなあ。重要な内政干渉かつ文化の破壊に当たる気もするんですが、でもそもそもの根底が、まずトゥルーク側が一方的にルゥを“大いなる闇”と認識したところから始まってる訳で、それならこれはこれで、彼ら自身が選択した道なのか。
ともあれ少なくとも、自分達の信仰に合わぬからと、“神”の方を都合よく歪めようとしないだけ、宗教家としての彼らはそれなりに誠実と言えるんでしょう。たぶん。

……ただ、ライジャの両親はともかく、ラテール・ザンテスが啓示を受けた意味が、いまひとつ収まりが悪いかなあと感じられました。
まあ、確かに彼女がその啓示に従っていなかったならば、今回の事件の人質達は、少なくとも何人かは助からなかったかもしれません(微妙に不確定)。連邦軍の艦隊だって全滅したかもしれないし、パーフェクションが大量生産されて、次期連邦主席がああなると、共和宇宙自体が……とか思うと予定調和なんでしょうが、でもそれって『修行のため』とは言いませんよねえ? それとも共和宇宙を、すなわちそこに属するトゥルークを救うことが、修行のひとつって解釈なんですかね??

そのあたり、これに完結編と銘打たれているのになぜか発行されている4巻で、多少でもフォローが入ると良いと思いました。

……そして、いい感じに枯れたランバルトを、イラストで見てみたいようなそうでもないような。
こういうのは想像で収めておいた方が、むしろ自分の理想を追求できて良いのかもしれないしなあ……
No.6865 (読書)


 2015年06月03日の読書
2015年06月03日(Wed) 
本日の初読図書:
「世界で一番幸福な奴隷(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n7206co/

アルバス国の王女トリステは、昨年生じたクーデターにより家族を殺され、自身は奴隷として隣国ルクスの王、クピディタス・ファートスに献上された。
王族であるトリステにとって、耐え難いほどに屈辱的なはずの状況。しかし冷酷な王として恐れられているクピディタスは、驚く程に優しかった。
奴隷というよりも愛妾として丁重に扱われ、かつて自国で暮らしていた頃よりもずっと贅沢な品々に囲まれている。
「愛しいトリステ。お前の為だったら、私はどんな願いだって叶えてやる。お前が望むものは何だ? さぁ、望みを口にしてみろ」
普段は滅多に表情を変えないクピディタスが、トリステの前でだけは優しく愛情深い笑みを浮かべ、繰り返し問いかけてくる。トリステはいつも同じ答えを返した。
「私はこれ以上、何も望みません。私は、今の状況が堪らなく幸せなのです」
自分は、世界で一番幸福な奴隷だ、と。
しかしクピディタスはその答えに肩を落としてため息をつく。
「違う。その笑みじゃない。その笑みは、私が見たい笑みではない。私が見たい、そなたの心からの笑みを見せてくれ」
そうして様々な贈り物の末に、クピディタスが用意したものは……

ヤンデレ溺愛系の読切短編。
残酷描写かつ、どんでん返しあり。
ラストは七瀬かいさんの「フロリアーダ綺譚(天使の擬態に収録)」を思い出しました。
No.6862 (読書)


 2015年06月02日の読書
2015年06月02日(Tue) 
本日の初読図書:
4125012555トゥルークの海賊2 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2013-07-27

by G-Tools
五十年以上前に共和宇宙で活躍し、今でも船乗り達の間で畏怖と尊敬とともにその名を語られる海賊達がいる。大海賊団の長だったキャプテン・シェンブラック。そして彼の引退後、その縄張りを分けあった七名の船長達、グランド・セヴン。
彼らは海賊王と呼ばれた一匹狼キング・ケリーと、まさに同じ時代を生きており、仲間にこそならなかったものの、互いに認めあい尊重しあっていた。
そんな八人の偉大なる海賊達への尊敬を込めて、船乗りたちは自らの船に彼らの乗船と同じ名をつけることすらけしてしない。かの伝説的存在に、自分達のようなひよっこがあやかろうなど、みっともなくてとてもできないというのだ。それは海賊達と敵対していた、連邦軍の軍人達でさえもが同じ考えを持っているほどで。
しかし ―― 惑星トゥルークが存在するカトラス星域で、商船が襲われている現場に駆けつけたパラス・アテナの前に現れたのは、「二代目シェンブラック海賊団」と称する八隻の船だった。
船の名前はおろか、そのキャプテン達もが堂々と二代目シェンブラックとその配下、二代目グランド・セヴンの名を名乗り、そしてケリーへと「ちょうど海賊王キング」がいなかったんだ。仲間に入れ」と勧誘してくる。その物言いすらもが、あきらかにパラス・アテナを次の襲撃の囮に使おうという魂胆が透けて見えるほど下卑ている。
船乗りとして、そして今はもう誰も生きていないだろう『本物』の彼らを見知っている人間として、こんな身のほど知らずの屑共をのさばらせておくなど許せない。
静かな怒りに燃えるケリーだったが、しかしカトラス星系にはなにか尋常でない空間の異常のようなものがあった。パラス・アテナもクインビーも、いくら照準を合わせてみても、攻撃を当てられない。そしてこの星系を知り尽くした八隻の集中砲火を避けているうちに、未知の《門》、しかもルーレット型を跳躍され、取り逃がしてしまう。
歯噛みしつつも再戦に備えるべく、連邦軍へと情報を流したり、あちこちへハッキングしていた彼らは、放置できない事実を知ってしまう。海賊の襲撃と時を同じくして、一般渡航禁止のカトラス星系に、度胸試しと称して無許可跳躍してきた金持ちの馬鹿坊っちゃんがいた。あまりにも世間知らずで考えなしなその若造は、よりにもよってクーア財閥の役員の甥だったというのだ。これだけでも重大な国際問題になりかねないところへもってきて、彼が乗っていた船の感応頭脳が、渡航禁止に対して警告を出さないよう不法に改造されていたのである。こうなるとクーア財閥そのものが、感応頭脳の違法改変、下手をすれば海賊との共謀容疑をかけられかねない。
ケリーに続きジャスミンまでもが怒髪天をついていた頃、惑星トゥルーク上でも重大な問題が起きていた。
連邦大学惑星で“大いなる闇”ことルゥに拝謁して戻ったアドレイヤ・サリース・ゴウランが、その報告の真偽を疑われたあげく、所属する僧院以外の全山一致した判断により、僧籍を剥奪されることになったのだ。
その知らせを受けた弟子のライジャは、苦悩したあげく、リィへと事情を打ち明ける。
そこでリィが取ったのは、ライジャやシェラはおろか、豪胆なケリーやジャスミン達でさえも震え上がる行動で ――


買ったは良いけど二年ぐらい積んでいたのを、ようやく手に取ることができました。
……こないだ読んだ「アンヌの野兎」で、ちょこちょこ入っていたネタバレの内容が気になってしまったので(苦笑)
個人的に、茅田作品では大人キャラのほうが好きです。
共和宇宙を舞台にした一連のシリーズなら、ジャスミンとケリー。
デルフィニアならウォルとかイヴン。
「リィ達といっしょにするな。自分はあくまで一般人だ」と主張しつつ、実はとんでもなくぶっ飛んで器がでかい彼らに、周囲が「どこがだよ……」と呆れられながら認めてもらっているというのにたいそう萌えます。
そんな私がなんで二年もこれを積んでいたのかというと、一巻目の怪獣夫婦が、あまりにもトゥルーク(の主に僧侶達)に振りまわされ気味だったからです。
違うだろう!? この二人はあくまで振りまわす側じゃないと!!
という不満があったのは否めません。あとライジャの姉がなんというか微妙だったり、これまですっごく大人に見えていたサリース・ゴウランがやけに子供っぽく見えたりとかして、そこらへんを受け入れるのに時間がかかっちゃったんですよねえ……

で、やっと読めた二巻な訳ですが。
うん、やっぱりこうでなくっちゃvv
偽グランド・セヴンまわりへの報復はこれからですが、それでもケリーが反則技で連邦軍へと情報を流したり、その窓口になってるミラン中佐が今後有望っぽかったり、人の迷惑考えずに自分の言いたいこと言いまくってたトゥルークの高僧達を完全にぎゃふんと言わせたのにはスッキリしました。

そしてカラー口絵と冒頭の回想シーンのおかげで、ようやくグランド・セヴンの名前と個性を一致させられたのもありがたかったです。
……でもまだ、どの船長がどの船に乗ってたのかが、いちいちページ戻らないと把握できない(苦笑)<七人の船長に、それぞれの船名と感応頭脳の名前と通り名がある

これまではもっぱら、銀星ラナートにスポットがあたってましたが、このシリーズでは《ブルーライトニング》に乗ってる稲妻ブルズアイジャックと、《アルベルティーナ》に乗ってる特攻ランバルトがキーキャラになっている模様。
確認してみたところ、スカウィ最終巻の『映画撮影』には駆けつけられなかった二人ですね。
なんだかこの二人はこの二人で、特別な絆があるっぽくて、腐女子センサーにビシビシと反応が(笑)

「アンヌの野兎」を先に読んでしまったが故に、ラストで出航した『彼ら』が何者か、判ってしまっているのが残念無念。でもそんな彼らが何をやらかしてくれるのか、ケリーとどんなふうなやりとりを交わしてくれるのか、それが楽しみで楽しみで。
ああ、早く続きを買わなければvv
No.6855 (読書)


 2015年06月01日の読書
2015年06月01日(Mon) 
本日の初読図書:
「みにくい、みにくい少女と、あべこべ世界(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n7734ck/

地球に生まれた醜く、周囲に迫害され続けたが故に心さえもねじけて育ってしまった少女が、異世界に聖女として召喚される。その異世界では美醜の価値観が逆転しており、彼女は絶世の美女としてもてはやされた。
ささいな親切を行うだけで、人々は彼女を顔だけでなく心までも美しいと褒め称える。
少女は生まれて初めて心が満たされ、これまでの人生すべてに復讐している気持ちになれた。
そんなある日のこと、彼女はとても醜い使用人がいるという噂を耳にする。元の世界ではとても美しいとされる顔立ちをしているだろうその人物が、みじめに虐げられているさまを見たくなり、少女はこっそりと会いに行ってみた。
しかし、息を呑むほど美しいその少年は、けして周囲を妬むことなく、自分は幸せなのだと微笑んでいた。
かつての自分と同じような境遇にありながら、美しい心を保っている少年の姿に、少女はたまらない惨めさを感じる。
そうして彼女は、どうにか彼の心を醜く歪ませようと、様々な手段を弄していき ――

何らかの企画テーマにそって書かれたらしい、読切短編もの。
童話っぽい文章でひらがな多めですけれど、意外とさくさく読みやすかったです。
美醜逆転系もそろそろ食傷気味だなあと思いつつ読み進めていたら、童話風の文章だけに終わり方も童話風で、お約束的予定調和に教訓めいたものも感じられ、これはこれで面白かったかと。
しかしラストの一文が、最後の最後ですべてをひっくり返しているというか、なんだかんだ言いつつやっぱりそこは気になり続けるんだというか。
価値観とは何か、人の心のあるべき姿とは、と、なかなか考えさせられるお話でした。
No.6851 (読書)


 2015年05月31日の読書
2015年05月31日(Sun) 
本日の初読図書:
4125012881天使たちの課外活動4 - アンヌの野兎 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡
中央公論新社 2014-08-07

by G-Tools
営業を再開したレストラン「テオドール・ダナー」には、以前のように多くの客が訪れるようになっていた。気心の知れた近所の知り合いもいれば、テオの料理に魅せられて、お忍びで通い詰める各界著名人もいる。
料理人風情と結婚したと、今は亡き娘に腹を立て絶縁していた凄腕投資家シメオン・パラデューも、すっかり常連客の一人となっていた。孫や孫の嫁、曾孫ももちろん愛しいのだが、目下の彼の一番の関心は、娘婿テオに向けられている。アンヌが遺した録音メッセージの通り、テオは料理をする以外まったくの役立たずで、常識すらろくに知らない。しかし「料理を引き立てるため店で使う」という観点を持った途端、驚くほどの審美眼を発揮するのだった。パラデューは店にやってくるたび、あらゆる美術品の本物や贋物をテオに見せてみるのだが、テオが「これは良い」「店の備品にしたい」と言うものは、すべてが本物なのである。しかもその値段や作者のことなど何も知らぬまま、ただ「気に入った」というそれだけで、100%本物を引き当てるのだ。
いっそのこと彼を、とある蒐集家が遺した膨大な美術品が収められている宇宙船へ連れていけたら、と。パラデューはそんなふうに嘆息する。その宇宙船には未鑑定の美術品が目録すらないまま、玉石混交の状態で十万点以上積まれているのだという。
ただしその宇宙船は、現在行方が判らなくなっていた。唯一の搭乗者が死亡したのち、感応頭脳が発した通信を頼りに捜索隊が該当宙域へ駆けつけた時には、既に姿を消していたらしい。当然テオを連れて行くことなどできるはずもない。あれほどの美術品が失われてしまうのは、宇宙的損失だとパラデューは嘆いていた。
ルゥもまじえて交わされていたそんな雑談を、たまたま店に居合わせたケリーとジャスミンとダンの三人も、聞くともなしに聞いていた。ケリーは総帥時代にパラデューとも面識があったが、現在の彼を見てパラデューがそうと気づくはずもなく、あくまで偶然同席した常連の一人という態度を貫く。
翌日のこと、テオドール・ダナーの掲示板にひとつの知らせが載った。いわく「店主の都合により、当店はしばらく『ヨハン・ダナー』として営業いたします」と。
なんでもテオは旅に出たらしい。以前も時おり、新たな食材や調理法を求めて、さまざまな土地を巡っていたのだという。当時はそのたびに店を閉めていたのだが、今回は任せてもらえたとあって、息子ヨハンは良い意味で張り切っていた。
ところがその晩のこと、ルゥやパラデュー、ケリーたちだけが残った閉店間際の店に、一本の連絡が入る。
それはテオが500Km離れた海沿いの町で、警察に逮捕されたという知らせで ――


3巻でリィ達の協力のもと無事営業を再開した、テオドール・ダナーのその後のお話。
シリーズタイトルに「天使たちの課外活動」とあるものの、リィとシェラはラストにちょっと出てくるだけ。さらに表紙で怪獣夫婦がでんっと出張っておりますが、メインはむしろテオとシメオン・パラデューです。大人組どころか壮年(推定五十代)と老年(七十代)コンビが主役って、いったい誰得なお話ですか。もちろん美味しくいただきましたともvv

そう、前巻のラストでテオの料理の虜になったパラデューさんは、盛大にデレました(笑)
ルゥいわく『可愛さ余って憎さ百倍の逆の心理』とのことで、今回はひたすらテオ(娘婿)の後ろについてまわり、亡きアンヌ(娘)に代わって、決定的に言葉が足りな過ぎるテオのフォローに努めております。
共和宇宙屈指の投資家が、秘書も連れずに田舎へほこほこついていき、嬉々として山小屋の干し草の山で寝てるんだぜ……? パラデューさん、極端すぎるわ(笑)

テオにはまったくその気などないのでしょうが、結果的にアンヌの死後疎遠になっていた取引先へと、新たなスポンサーを案内しつつ紹介してまわったという形に。これで店はますます安泰となることでしょう。
……しかしチーズや山菜を届けさせるためだけに、発着場と格納庫の建造までしてVTOL飛ばしてたアンヌ、只者じゃなさすぎるぜ……(ため息)

そしてジャスミン。ケツ揉んでんじゃねえよ(笑)
お前も大人しく揉ませるな海賊w 部屋で一人吹き出しちまったじゃねえかww

あ、今さら言うのもあれですが、この巻には大人組サイドの外伝シリーズ「トゥルークの海賊」のネタバレも含まれています。
私はまだそっちを1巻までしか読んでなかったので、ちょっとやっちまった感が。
やはりリンクしてる作品というのは、発表順に読まなきゃ駄目ですねえ。

ところでいささか気になる点が。
茅田砂胡 全仕事1993-2013」に収録されていた鈴木理華さんによる描きおろしマンガで、怪獣夫婦は町を散策中に生前のアンヌと出会い、「今度は息子と三人で食事に来る」と約束しているのですよ。
この巻の冒頭でそれが果たされ、怪獣夫婦と独り立ちしたミニラが店を訪れるのですが……これって時系列おかしくないですか??
ジャスミンが冷凍睡眠から目覚めたのは、リィ達が中学一年の時ですよね。季節までは覚えてませんが、「暁の天使達」のラストだったから、そののち外伝2冊+クラブレ16冊分の時間を一年生で過ごしたとなると、年度もかなり初めの頃だったと思われます。
そして二年生になってまだそう間もないだろう現在、すでにアンヌが死んで二年経っている。……ジャスミンが起きた時点で、アンヌもう亡くなってない?? と。
これは描き下ろしマンガ読んだ時から気になっていたものの、まあ商業ベースとはいえ二次創作だしなと流しておりました。しかしこうして本編に、作者様公認設定として組み込まれるとなると、ちょっと引っ掛かりが。
そのあたり、ちゃんと説明のつく整合性があるんですかね……?
No.6850 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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