よしなしことを、日々徒然に……



 2015年03月19日の読書
2015年03月19日(Thr) 
本日の初読図書:
4048662708神様の御用人 (メディアワークス文庫)
浅葉なつ
アスキー・メディアワークス 2013-12-25

by G-Tools
野球以外にこれといったとりえもない、ごくごく普通の青年だった萩原良彦。大学を卒業し、野球チームを持つ企業にスカウトされた彼は、入社後すぐに練習で膝を傷めてしまった。しかも悪いことは重なるもので、会社の業績が悪化したことで野球部の廃止が決定する。術後の膝に負担をかけないため、歩きっぱなしの営業もできず、倉庫での力作業もできず、社内での居場所を失った良彦は、わずか半年で辞表を提出した。
さらに同じ頃、同居していた祖父が病で死に、祖父に懐いていた彼はますます気力を失っていく。半年引きこもりを続け、ようやく清掃業のバイトを始めたものの、未だに時おり疼く膝を抱えながらこれといった目標を見つけることもできぬまま、漫然と時を過ごしていた。
そんなある日のこと、良彦は祖父の知り合いだという老人から、一冊の本を手渡される。和綴じの冊子は和紙が屏風折りになって綴られており、三分の一ほどのページに毛筆の書体で様々な神々の名と朱印が記されていた。
「お前さんなら、立派に役目を果たせるだろうよ。あとのことは狐に聞いてくれ」
そう言って老人は忽然と姿を消した。
何だったのかと首を傾げつつ、その本を持ったまま近所の大主神社を訪れた良彦は、末社のひとつである方位神の社に足を踏み入れたところで、不意に呼び止められる。「お前が御用人か」と。
そう声をかけてきたのは、つややかな金色の毛皮を持つ見事な狐で。
自身を方位神だと名乗った狐 ―― 黄金こがねは、良彦に己の御用聞きをして願いを叶えろと命じてくる。
黄金が言うには、良彦が受け取った書物は「宣之言書のりとごとのしょ」。それを手にした人間は、ページに浮き出てくる神名に従って社を訪ね、そこに坐す神の御用を聞かねばならない。いわば神の御用聞きになるのだと。
生前、実直で信仰心の篤かった良彦の祖父がそれを勤めていた。だが彼は寿命をまっとうしたので、次の御用人を決めるにあたり、最初は代々とある神に仕える社家の一人が選ばれた。しかし諸事情があって「宣之言書」と繋がる緒が切れてしまい、そこで急遽代理として抜擢されたのが良彦だということだった。
消去法で選ばれた、あくまで代理にすぎないと聞けば、やる気も削がれるものだ。それでも祖父が生前、誰にも知られずにやっていたという行為に、興味が湧かなくもない。
そうして流されるように神様の御用人(代理)を始めた良彦だったが、神様たちが持ち込んでくる『御用』とは、想像の斜め上を行くものばかり。果たしてこれは、助っ人なのかパシリなのか。
信仰を失い力を無くした神々と、平凡なフリーターとが織りなす、ドタバタで、それでいて切なくて、ほっこり心温まる物語がいま始まる ――

神社と寺ってどう違うの?
葬式は寺でやるけど、年末年始は神社に行くし、クリスマスにはケーキを食べるし。
そんな現代のごく普通の青年が、ある日いきなり古事記や日本書紀などに登場する八百万の神様たちの御用聞きに任命されて、わがままに振り回されつつ東奔西走するお話です。
普段きちんと祀りもしないで願い事ばかり押し付けてくる人間のせいで、すっかり力を弱めてしまった神様たち。おかげで世をすねてしまっても、それでも人間を見捨てきれない彼らと、いろいろあって生きる目標を見失ってしまった良彦が、お互いに紆余曲折ありながら失くしてしまったものを再び見つけていく、再生の物語とでも言いましょうか。

モフモフで甘いもの好きでツンデレっぷりが可愛いお狐さまとか、パソコンを駆使してオンラインゲームやSNSをしまくってる一言主神とか、近所のおじさんにしか見えない作業着姿の歳神様とか、くすりと笑えるコメディ部分もいっぱいです。

……ちなみに私も良彦と同じく、高校ぐらいまで神社と寺の区別がついてませんでした(笑)
いやいちおう日本神話はだいたい知ってたよ? でも神社がその日本古来の神様を祀ってるところで、お寺は大陸から伝わった仏様を祀る仏教の施設だとか、そんなの日常生活で意識しないよ! ……ってか、仏教と神道が明確に分かれたの自体、明治時代あたりからじゃんとか屁理屈を言ってみたり。

そして良彦の境遇とか考え方が、読んでいて心にグサグサと(泣)
って言うか神様よ、半引きこもりで社会復帰し始めたばかりのフリーターに、交通費自腹で全国行脚させるのは勘弁してやってつかぁさい……


あと読んでいて疑問に思ったのが、プロローグとエピローグに登場する「語り手」が誰なのかです。
そこだけ神様視点で描かれているのですが、「私の鱗が」という一文が出てくるので、いつも一緒にいる黄金(狐)ではありえませんし、かと言ってゲストキャラの竜神橋姫がこういうポジションに来るのかなあとも思うし。
大主神社の御祭神かと思いつつ検索してみるも、宮古島の神社しか出てこない……むう、謎だ……(悩)

とりあえず、本来御用人に選ばれるはずの人間が誰だったのか、どうしてその人間とは緒が結ばれなかったのかなど、まだ謎が残っているので続編も読んでみたいところです。
No.6672 (読書)


 2015年03月18日の読書
2015年03月18日(Wed) 
本日の初読図書:
406376527X妖怪アパートの幽雅な日常(8) (シリウスKC)
深山 和香 香月 日輪
講談社 2015-03-09

by G-Tools
妖アパマンガ版、8巻目はついに千晶先生のご登場です!!
いやあ、待ちかねましたよ……夕士くんのハニー★
ものすごく格好いい大人の男に見せて ―― いや実際ごっつー頼れる兄貴なのにもかかわらず ―― 一度心を許した相手には、たとえ一回り以上年下でも思い切り甘えまくる、それが千晶クォリティvv
原作後半の二人には何度萌え殺されそうになったか判りませんが、登場したばかりのこの頃は、そういえばまだきちんと『大人の男』をやってたなあと、改めて思いました(笑)

なおこの巻ではまだ、千晶先生と青山先生が転任 → 英会話クラブに困ったちゃんが入部 → アパートでお月見をしていたら、古本屋がアムリタを持って帰ってきた、というところまで。原作5巻で言うと、問題が起こり始めたあたりで切れていて、解決編どころか問題点がはっきりするところまでも行っていないため、これだけ読むとちょっと物足りない部分もあります。
ここらへんのエピソードは、青山先生の上っ面だけぶりが明らかになったり、千晶先生の貧血を夕士がヒーリングしたり、千晶先生が夕士のことを「コイツみたいに生活が荒んでないやつは、放っておいても大丈夫」って太鼓判押したりするところが見どころだと思うんですよ。
そのあたりは、以下次巻! ってことでしょうね。
ふふふふふふ、夕士が手のひらに落としたアムリタを千晶先生が舐めるシーン、いったいどんなふうにイラスト化されるのか、今から楽しみでなりませんですよ……腐腐腐腐腐……<結局はそこか
No.6669 (読書)


 2015年03月16日の読書
2015年03月16日(Mon) 
本日の初読図書:
「ペットのしつけ方(NEWVEL LIBRARY)」
 http://www.newvel.jp/library/2108-30881-0xn-index.html

日夜戦争を繰り返し、多くの国を次々と併呑してゆく軍事大国リグレス。
そこでは男女を問わずすべての国民が18歳で徴兵され、最低三年間の軍属を義務付けられていた。さらに滅ぼした国の有能な軍人達を配下に取り込むことで、リグレス国の軍は日々ますます増強されてゆく。籠絡の手段は問わない。時に取引、あるいは拷問、そして悦楽 ―― 様々な方法によって、軍人達は矜持を捨て故国を捨て、新たな忠誠を誓わせられる。
あと2ヶ月で軍属三年目を迎えるレイニーは、第三軍に所属していた。胸もなければ色気もない、一見すると15〜6の子供にしか見えないが、それでもれっきとした21歳の女性だ。
そんな彼女に、軍の管轄を飛び越えた命令が下された。第二軍の将軍シドネスから命じられたのは、先の戦争で捕虜になった、アリレス国騎士団副隊長の籠絡。
ジルニウス・ラザフォードというその男は、国王の甥という高貴な血筋と国一番と呼ばれる剣の腕を持ち、また奇策を駆使して軍を指揮する第一級の軍人であった。しかし未だ故国への忠義を失わず、他国に膝を屈するをよしとせぬ男が捕虜になって最初に行ったのは、自害を試みることだったという。これまで様々な将軍たちが手を変え品を変え配下に下るよう説得してきたが、彼は頑として拒み続けてきた。そうして最後の手段として、レイニーにお鉢が回ってきたという訳だ。
捕虜の籠絡について多大な実績を持つ第二軍ですらできなかったことが、レイニーにできるはずもない。しかしどんな手練手管にも心を開かなかったという孤高の男に、いささか興味が湧いた。しかもこの仕事を行っている間は、他の仕事はやらなくていいという条件を出されて、レイニーは「やった! 久しぶりにサボり放題!!」と喜び勇む。
そうして捕虜 ―― ジルニウス・ラザフォードの元へ向かったレイニーが見たのは、口に拘束具をはめられ両手両足を後ろに縛られ床に転がされている、美しい獣の姿。
銀色の髪に紫の目。その瞳は射殺さんばかりにこちらを睨みつけていて……

FT世界の非人道的社会における調教系ラブコメディ。完結済。
軍事国家の有りようとか背景とか、レイニーの過去とか相当に設定はえげつないんですが、基本的な展開はコメディでした。
傍若無人でマイペースなレイニーに、プライド高くて心の底から「軍人」で「騎士」なジルニウスことジルが、ひたすら振り回されてます。なにしろレイニーはこの仕事をサボりの口実としか考えていないので、ジルを説得する気は皆無。むしろ時間がかかればかかるほど楽ができると、床に転がるジルを放置してソファでお菓子つまみながら雑誌読んだりしてるし(苦笑)
それまで甘言も拷問も美女の誘惑も全部はねのけてきたジルが、勝手の違う扱いに戸惑って揺れていく、そんな様が醍醐味さ★
本編は12話と、比較的短めでさらっと読めるのも魅力かと。
番外SSや後日談的おまけもけっこうたくさんあります。

なお、この話自体は投稿サイトに存在しますが、作者様が自分のサイトを作られて、順次そちらにもUPしていっている途中のようです。

■竜宮城への招待状
 http://palacedragon.yakiuchi.com/
No.6666 (読書)


 2015年03月12日の読書
2015年03月12日(Thr) 
本日の初読図書:
4094522131赤き騎士と黒の魔術師 (ルルル文庫)
みどう ちん くまの 柚子
小学館 2012-01-26

by G-Tools
世界は穢れに脅かされていた。淀みや人の悪意といった暗いものが形をとり、不浄をもたらす毒となる。それは汚れや黴を生みだし、放置しておけば毒で周囲を汚染する。さらに魔獣が現れれば、よりひどい穢れがまき散らされた。強力な腐敗性を持つ毒が土壌や水を腐らせ、あらゆる生き物を死に至らしめる。
それらの災厄に対抗できる能力を持つ者達を、人々は聖水師や御守師と呼んだ。彼らは穢れから身を守る御守や、穢れを浄化する聖水をもって人々を守ることができた。そしてそんな術師の中でも、あらゆる術に通じ、圧倒的な力を持つ魔術師は、国を繁栄させる大切な宝として、各国で重用される存在であった。
ボルレゴ大陸の中央に位置する大国バレットは、強大な力を持つ大魔術師ユハによって守られている。五百年前、国全体を守護する「護りの塔」を建造した彼のおかげで、当時領土であった旧都市にはいっさい穢れが侵入してこない。しかし五百年の間に戦争が繰り返された結果、領地は広がり、新たに組み込まれた地域では穢れによる災厄が幾度も起きていた。
「護りの塔」を新たに建てる力を持つのは、ユハただ一人。しかし不老長寿の術によって今も生き続ける彼はひどい人嫌いで、一人塔の地下深くに篭もり続け、誰の言葉にも耳を貸そうとしない。無数の蝙蝠と黴を飼い、髑髏や腐った生首に囲まれて過ごす彼の恐ろしさに、警護を命じられた騎士達は次々と正気を失い、三日もせぬうちに使いものにならなくなってしまうという。
女だてらに騎士学校に通う少女ビビアナは、魔術師の守護を任務とする白騎士隊から急遽引き抜きを受けた。命じられたのは、かの魔術師ユハの警護兼従僕と、地下から出て各地の穢れを祓うよう彼を説得すること。
負けず嫌いで熱血漢。人一倍、立派な騎士となることを志すビビアナは、特別任務に胸を躍らせながらユハの元へと赴く。
そんな彼女を出迎えたのは、真っ暗な地下室で白銀の炎に包まれた、みずみずしい眼球をもつ髑髏で。目深にフードを被った人物は、その髑髏に手をかざし、低い声で呟いていた。
「絶望をここへ、腐敗をここへ、疫病をここへ。穢れの災厄をここへ ―― 」
穢れを呼び込むかのような恐ろしい儀式に怖じ気づきつつも、ビビアナはなんとかユハのそばで働くことを認めてもらう。すると最初に彼が命じてきたのは、蝙蝠を三十匹捕らえて解体し、血液を瓶に詰めて666回振り、骨は細かく砕いて粉末に、皮と肉と内臓はすり鉢で潰すことで……

恐怖の魔王のように語られているけれど、実は超絶美形で優しくて純粋かつ繊細な魔術師様と、熱血で一本気で「教官殺し」の異名を持つ暴れ馬な少女騎士の、ちょっとズレた天然同士のラブコメディ(?)
いや、ラブ……まで行ってるかどうかは、ちょっと微妙かな。むしろ本人達は主従愛だと思ってるかもしれない。でも無自覚ノロケによる周囲の被害はかなり甚大(笑)
とにかくコメディパートが楽しいです。大真面目に作られた御守り「あったか腐乱妖精」とか「火を噴く生首」とか、何故にその材料がそうなって、さらにそこからそれを作るvv
かと思えばシリアス部分はとことんシリアス。その配分が程よくて楽しめました。

誤解を受けやすいけれど、話を聞いてみれば誰よりも国を愛しているように見えるユハが、何故頑なに外に出ようとしないのか。バレット国には穢れなど存在しないと言い切るのか、そのあたりは割と早めに察することができます。
でもなー……これは歴代の王と騎士達が悪いよ。特に三代目国王。
ネットすらない環境で、壮絶な過去を持つが故に人間不信 ―― というか対人恐怖症の引きこもり歴三百年に、ちゃんと情報を伝えてこなかったのがすべての間違いな訳で。事情を把握したユハが落ち込んでるのが、気の毒でならんかったです。
情報の伝達って、大切だけど、意外なところですこんと抜けるんだよなあ。いやマジで……(遠い目)

あふれる気合が空回り気味な熱血体育会系少女ビビアナは、最初の頃ちょっとイタかったですが、ユハの萎縮した心にはあれぐらいの勢いが必要だったのかと思うと、まあだんだん可愛く見えてきました。
彼女も彼女で、いろいろと苦労してきたようですし。
しかしビビアナが普通の人間でユハが不老長寿となると、今後どうなって行くかが気になりますね……ユハが少しずつビビアナ以外も受け入れて行くようになるのか、あるいはそろそろユハにも寿命が来るとか。
後者のほうが二人にとっては幸せだろうけど、そうすると国の今後が……やはり後進を育てるのが一番手っ取り早いのか。そもそも人一人に完全依存した国のあり方なんて、不自然ですしね。ここはビビアナがサポートしつつ、魔術師育成学校を開校だ! 特に「護りの塔」の建造方法及び管理運営を他人に伝授するところからいってみるってことでvv

……あとは、ちょっと批判的内容なので、記事を畳んでおきます。
No.6658 (読書)


 2015年03月11日の読書
2015年03月11日(Wed) 
本日の初読図書:
4062646145笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE (講談社文庫)
森 博嗣
講談社 1999-07-15

by G-Tools
犀川が尊敬する偉大な数学者 天王寺翔蔵博士の館で、クリスマスパーティーが開かれることになった。天王寺博士は萌絵の父親の古い友人であり、また博士の孫である片山和樹が萌絵と同じ学部に通うこともあって、まず彼女がパーティーに招かれ犀川がそれに便乗したのである。
天王寺博士の住む三ツ星館は、三重県の人里離れた山奥にあった。博士の娘婿である建築家 片山基生がデザインしたその建物は、オリオン座をモチーフにした風変わりな建築物だ。長方形の広大で殺風景な敷地の中に、廊下で繋がれ赤白青にライトアップされた三つのドームと、高さ五メートルほどもある巨大なブロンズのオリオン像が建っている。敷地の四隅にもやはりライトが灯っており、上空からはまさにオリオン座の形に見えるだろう。
パーティーの参加者は、十二年前に亡くなった博士の長男 天王寺宗太郎の妻で舞台女優の律子と、その息子の俊一。それから博士の長女で五年ほど前に夫を亡くした片山亮子とその子供、志保と和樹。さらに亮子の愛人で建築家の湯川重治に、犀川と萌絵だった。屋敷には他に使用人として鈴木君枝と息子の昇が住み込みで働いている。
萌絵がこのパーティーに興味を持ったのは、和樹から聞かされた十二年前の不思議な出来事がきっかけであった。十二年前のクリスマスの晩、天王寺博士はやはりパーティーの最中、庭にあった巨大なオリオン像を消してみせたのだという。ブロンズ製で、重さ10tはあろうかという銅像は、確かにその時あとかたもなくなっていたらしい。そして翌朝には、元通りになっていたのだと。天王寺博士は「この謎を解いた者に、三ツ星館を譲る」と言ったとのことだった。
それから十二年、同じことが起きることは二度となく。当時中学生だった俊一や和樹らは、あれが本当のことであったのかすら疑っていた。しかし萌絵は博士がそう言う以上、そこに何かしらのトリックがあるのではないかとにらみ、興味津々だったのだ。
あいにく天王寺博士はパーティーに顔を出さず、スピーカー越しに声を届けるだけであった。しかし萌絵がオリオン像の消失について問いかけると、博士は「今、正面ゲートにオリオン像はない」と言い切った。そして全員で建物を出てみると、確かにオリオン像はあるべき場所から消えていたのだ。
博士はこのトリックを思考によって解決するよう、問題を投げかけ、そして全員が明朝まで建物から出ることを禁じた。
ところが深夜の三時頃、眠れずに窓の外を眺めた萌絵は、再び姿を表したオリオン像の足元に、人が倒れているのを見つける。慌てて犀川とともに駆けつけると、パーティーの途中で酔いつぶれて客室に担ぎ込まれたはずの律子が殺されていた。しかし三ツ星館から外に通じる扉も窓もすべて鍵がかかっており、外に出ることはできないはずだった。しかも律子の死体は自分に割り振られた客室の鍵を持っていたのだが、その客室を犀川が預かっていたマスターキーで開けてみると、今度はそこで俊一が死んでいる。死亡推定時刻などからすると、どうやら律子よりあとに俊一が殺されたらしい。
天王寺律子は、いったいどうやって外に出た、あるいは連れ出されたのか。なぜ俊一は律子の部屋で殺されていたのか。犯人は何故、わざわざ律子の部屋に戻ってきて、鍵をかけたのか。そしてオリオン像はどうやって消え、再び出現したのか。
警察を含め誰もが頭を悩ませるさなか、今度は深夜に建物の外にいた昇と萌絵が、何者かによって猟銃で撃たれて……

S&Mシリーズの三作目。
オリオン像消失のトリックは非常にシンプルで私でも早々に解けたんですが、それ以外はさっぱりでした(苦笑)
って言うか、どんでん返しが多いあげく、最終的に一番根本的な謎が解決されないまま残っているあたり、ミステリものとしては読む人を選ぶと思います。特に人間関係が非常にややこしく、養子縁組やら偽装結婚やら不倫関係やらに愛と憎しみが錯綜して何が何だか(@_@)

お話のテイスト的には「冷たい密室〜」より「F」に近いかな。閉ざされた建物の中で暮らしていた、凡人には理解し難い天才。その奇妙な思考と、そして死体を残しての消失。殺されたのは、消えたのは果たして誰であったのか。
そうシンプルにまとめると、骨子的にはまんま「F」に通ずるというか。

しかし今回は前二作と異なり、コンピューター的なことはほとんど出てきませんでしたね。嵐の山荘っぽいところは古典とか本格といった類に近いのかもしれません。ただ理系人間達が交わす非常に哲学的な会話が、凡人の脳味噌にはなかなか厳しいです。そのあたりの会話を楽しめるかどうかが、この作品の評価を分けそうだなあ。

そして相変わらず、謎は解けるけど動機は理解できない犀川先生と萌絵ちゃん(笑)
……サンドイッチが何らかの手がかりになるのは読めてましたが、あまりにも些細かつひね曲がった手掛かり過ぎて、そこをとっかかりに謎を解いちゃう犀川先生のアクロバティックな発想には脱帽です。

あと最後の「地面に書いた円の中に立つ人物が、円をまたがないで外に出ることができるか」という問いかけの解は非常に面白いですね。内と外を定義するのは、いったいなんなのか?
私個人の解釈としては、ラストのあのお爺さんこそが数年前に出ていった天王寺博士で、地下にいたのは基生さんじゃないかなあと思ってるんですが、そこらへんは個人の解釈におまかせなんでしょうね……


追記:
ああ! ここのネタバレ解説を読んだら、それが正解だとしか思えなくなっちゃった!!

■笑わない数学者
 http://www31.ocn.ne.jp/~mfutaba/warawanai.htm

なるほどなあ。三人のうち、笑わなかったのはいったい誰なのか……その考え方は思いつかなかった。
これはすごい。そこまで計算する作者さんも、ここまでひとつの作品を読み込める読者さんも、どっちもすごいなあ(しみじみ)
No.6655 (読書)


 2015年03月10日の読書
2015年03月10日(Tue) 
本日の初読図書:
「侍女は銀色の銃を持って微笑む【加筆修正版】(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n1920be/

かつて騎士であったことを誇り、身内から騎士を出すことに執着していたクレスタ子爵家の先代。厳格なその父親に逆らえない現当主夫婦の間に生まれたのは、残念ながら女児であった。この国では女性の騎士は認められておらず、祖父はせめて真似事だけでもと、生まれたばかりの孫に貴族令嬢としてのそれではなく、最低限自衛のできる子爵家次期当主にすることを目的とした、厳しい教育を施すことに決める。
メルヴェルと男性名を付けられた彼女は、三歳の頃から剣を持たされ、訳もわからぬうちに剣技を学ばされた。五歳にして専門書を読むよう指導され、同年代の子供が絵本を読んでいる年頃に祖父の蔵書から知識を蓄えていくその姿は、周囲をおおいに驚かせた。
そんな彼女に転機が訪れたのは、七歳の時だった。
病弱で二人目は望めないだろうと言われていた母親が、奇跡的に男児を出産したのだ。弟 ―― すなわち、正統な跡継ぎである。
そのことによって、周囲は手のひらを返したように態度を変えた。
『貴方は姉上なのだからおしとやかになさい』
『淑女としての礼儀作法を覚えさせなければ』
『いずれはしかるべき家に嫁がせるのだから、剣など以ての外』と。
それまでの己を真っ向から否定されたメルヴェルは、屋敷を抜け出し森へと出かけるようになった。幸いにもというべきか、屋敷の者たちはみな幼い男児に夢中で、彼女が礼儀作法の授業をさぼっても何も言わず、いないことに気付きすらしない。
その日も子供用の小さな剣と、祖父のコレクションのひとつで【魔術】の術式を込めた弾を発射する銃を持ち出して、メルヴェルは森へとやってきていた。そうして彼女はそこで、運命の出会いを果たす。
森で魔獣に襲われていたのは、王家に最も親しいとされるアスコット公爵家の令嬢、レティシアであった。剣と銃と幸運をもって魔獣を倒し助けてくれたメルヴェルを、レティシア公爵令嬢はいたく気に入り、己の護衛兼侍女になってほしいと言い出す。
それは我が儘で一方的な物言いであったが、メルヴェルにも利益はあった。あの居場所のない家から出ることができるし、公爵家に仕える侍女としてきっちりとした礼儀作法を学ぶことができる。
かくして10歳の少女メルヴェルは、12歳の公爵令嬢レティシアの侍女となった。
やがてメルヴェルはレティシアを大恩ある唯一無二の主人とし、レティシアはメルヴェルを絶対的に信用できる侍女として側に置くようになる。
そして四年後 ―― レティシアは王太子の妃候補として後宮に上がることになった。実家から連れて行ける侍女は、たった一人。当然付き従ったのは、メルヴェルである。後宮には他にも9名の妃候補が集められており、彼女らとその使用人の間では、水面下で様々な駆け引きや嫌がらせが横行していて……

お姫様と王子様は脇役で、主人公は侍女です。
途中でいきなり異世界トリップ要素とかも入ってきますが、それも脇道。
ざっくりまとめると、結局はじれじれ恋愛が絡むサクセスストーリーかつ、見返し系FTかな?
完結済ではあるんですが……ダウンロードだけしてほっといたのをようやく読んでみたら、どうも作者さん既に退会されてるようで(苦笑)

内容は、もっとガンガン銃を撃って王宮の裏側で暗躍するのかと思ったら、意外に普通に侍女をやってました。女性は騎士になれない、けれど後宮には騎士が入れない。おまけに王族の側に侍る侍女や侍従達は、貴族の子女であることを鼻にかけて、ろくに仕事をしない腐敗ぶりに、王太子と公爵令嬢がバッサバッサとメスを入れていく。で、メルヴェルは女性でありながら戦闘力も持っているのと、主人に対する忠義心を周囲に認められて、騎士団長クラスの達人たちにどんどん理解者を増やしていく、と。
ただ彼女は幼い頃のあれこれで人間不信気味かつ、鉄面皮に近いコミュニケーション苦手なタイプなので、周囲から好意を向けられても、なかなか打ち解けることができない訳で。
あ、言っとくけど逆ハーじゃありません。好意ってのは、父親のように「危なっかしいな」と気にかけられたリ、あるいは「主人を守るために武器を取る同志」みたいな、あくまで友情・親愛レベルです。恋愛対象になるのはちゃんと一人だけ。
この恋愛がですねえ、またどっちも口下手で鉄面皮で朴念仁なものだから、読んでいてやきもきすることやきもきすること!
そしてときめきも、燃え上がるような情熱も、嫉妬もない。けれど一緒にいると確かに心が安らいで、家族になりたいと素直に思える。そんな穏やかだけれど、ゆったりとした関係もまた悪くないなあといったカップルでした。

ちなみに今回の映像イメージは「カルバニア物語」のTONOさんの絵柄で★
……ってか、キャラクターの外見描写が少なめなんですよね。ユリウス(子爵家の跡取りでメルヴェルの弟)とか、最後の最後で茶色の巻き毛とか書かれてて「え、そうなの!?」とかなっちゃいましたよ<メルヴェルは黒髪
私は文章を脳内で映像展開するタチなので、髪と目の色とか身体つきとかは、こまめかつ何度も念を押す説明が欲しいところです。
No.6650 (読書)


 2015年03月09日の読書
2015年03月09日(Mon) 
本日の初読図書:
4062645602冷たい密室と博士たち (講談社文庫)
森 博嗣
講談社 1999-03-12

by G-Tools
二週間ほど前の八月十一日。犀川と萌絵は土木工学科の〈極地環境建築センタ〉を訪れていた。極地研で行われている研究に犀川が以前から興味を持っており、友人である喜多助教授を通じて実験を見学させてもらうことになっていたのだ。
マイナス20度の低温実験室内で、宇宙服のような防寒スーツを着用して行われた実験は、多くの学生らに見守られながらほぼ予定通りに終了した。そうして実験終了を祝った、打ち上げの飲み会が始まってしばらく。先に帰ったと思われた学生、服部珠子の遺体が、実験室の隣にある準備室から発見された。さらにその奥にある搬入室で、同じく姿が見えなかった丹羽健二郎の死体も見つかる。二人とも背中をナイフで刺された、他殺体であった。
しかし準備室の非常口には中から鍵がかかっており、外からは決して開けられないようになっている。そしてもうひとつの出入口は実験室に繋がっていて、そこには実験が終了してからずっと、極地研のメンバーと犀川らが陣取っていた。搬入室と外を繋ぐシャッターは午前中のうちに故障しており、開くことができない。
丹羽と服部を殺した犯人は、いったいどうやって逃げ出したのか。いやそれ以前に、実験終了時に低温実験室から出て行ったはずの二人が、どうやって再び内部に入ったのか。
さらに捜査にやってきた警察が建物内部を調べていると、数年前に封鎖された機械室の中から白骨が出てくる。それは二年ほど前に失踪した大学院生、増田潤の死体だった。
それから二週間。犀川も萌絵もそれぞれの仕事と日常に追われていたが、事件のことは常に頭のどこかに存在していた。二人と喜多は、それぞれに得た情報をメールでやりとりし、事件についてディスカッションを重ねる。
やがて萌絵が「ある結論に達した」「今晩確認したいことがある」というメールを犀川に送ってくる。その晩、彼女は極地研内部で何者かに襲われて……

「すべてがFになる」に続く、S&Mシリーズの二作目。図書館に収蔵してくれないかリクエストかけたら、今回は通ってくれましたvv
これもまた、文庫化される前のはる〜か昔に一回だけ読んだ事がありましたが、やっぱり当時は(?_?)だった記憶がおぼろに残ってます。
こう、大学の研究室ごとに専用サーバが用意されていて、それぞれにユーザー登録しておくと、どこにあるパソコンからでもログインしてデーターがいじれるとか、 root 権限持ってる人はすべてのユーザーのデーターを閲覧可能とか、以前読んだ時には西之園の叔父様ばりに意味不明でしたからね……
フロッピーにウィルスを仕込んでおいて、それを挿したらウイルスがメモリに常駐 → メールデータを guest ユーザーがアクセスできるディレクトリにコピーしつつ閲覧権限を解除するように細工する、なんてネットのネの字も知らなかった時代に理解できるかーーーーっっっ(ノ`□´)ノ 彡┻━┻。・;゜・。+

ただお話の内容としては、「F」よりもだいぶスタンダードで馴染みやすいミステリだったと思います。
ひたすら論理を積み重ねるあたりなど、むしろ古典的とも言えるかもしれません。こうこうこうだから、これが可能なのはこの人しか存在しない、と明確に答えが出ています。
そこで「犯人は判ったけれど、動機は理解不能」というあたりが、非常に犀川先生と萌絵ちゃんらしいです。なんというかこの二人、ベクトルは違うけれど、結局はどちらもひたすらに理系人間なんですよね。そして専門馬鹿。特に犀川先生なんて、一見大人なようでいて、実は果てしなく社会不適合者っていうか、さりげ(なくではなく)に常に周囲をディスりまくってるのがナニサマだお前、みたいな(苦笑)

そして犀川先生の推理モード部分で、ちょっとこの前読んだ「ワールド・ティーチャー〜」に出てきた、並列思考マルチタスクを思い出してみたり。
萌絵ちゃんや喜多先生は主観を排して物事を客観的に見るタイプだけれど、犀川先生は物事をあらゆる角度から多面的に見て、それを総合して客観をはじき出す、というような書かれ方をしてまして。その辺りを映像的に表現した結果が、ドラマのアレだったのかあとしみじみと。
あ、私、今回の読書中の脳内再生は、本文と食い違ってると判っていても、ドラマキャスティングで行っております。犀川先生は髭面の綾野剛だし、萌絵ちゃんはセミロングの武井咲、喜多先生も短髪の小澤征悦。いいじゃん、イメージしやすいんだからvv
No.6647 (読書)


 2015年03月08日の読書
2015年03月08日(Sun) 
本日の初読図書:
「LUCK −9999(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n8128w/

早すぎる事故死によって周囲を悲しませたとして、神からペナルティを与えられた高原幸一、享年十七歳。
気が付くと彼は、異世界の屋敷内に一人閉じ込められていた。当座の食料と資材、そして材料と設備さえあればなんでも作り出せる知識と技術を与えられていたが、彼自身は外へ出ることができなかった。
頭上には、彼だけが見える文字で、「LUCK −9999」と表示されている。この LUCK というものが正常値にならない限り、彼は屋敷から一歩を踏み出しただけでとてつもない不幸に見舞われるのだという。そして LUCK を増やすためには、善行を積むしかないと神からの手紙には記されていた。
外に出ることができないのであれば、ひたすら道具を作り、敷地内の門脇にある店舗で販売するしかないのか。
そう疑問に思ったが、手紙にはこうも書かれていた。
『安心しろ』『トラブルは向こうからやってくるのだ。お前はただ待っていれば良い』と。
手紙を読み終わると同時に、窓ガラスが割れる。侵入してきたのは殺気をみなぎらせた、ボロボロの亜人の少女で ――

異世界転生もの。完結済。
最初は薬を売ったり奴隷を助けて養育したりしてますが、あれよあれよという間に、被差別種族と人間とのいさかいに巻き込まれて、国を作ったり戦争したり。
内容は重たい割に、かなり端折ってさくさくと話が進むので、ちょっと拍子抜けな部分も。
No.6646 (読書)


 2015年03月07日の読書
2015年03月07日(Sat) 
本日の初読図書:
4591119726一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)
小松 エメル
ポプラ社 2010-07-06

by G-Tools
江戸が終わり、明治の世になって五年。
たとえ文明開化と世間が騒いでも、妖怪たちが消えることはない。その夜も東京上空を練り歩いていた百鬼夜行の中から、一人の妖怪 ―― 小春がこぼれ落ちた。すすき色に黒と茶の混じったまだらの髪を持つ子供の姿をした彼は、古道具屋を営む長屋の裏庭へと落っこちる。
古道具屋の主は、人間のくせに地獄の悪鬼を思わせる強面の青年、喜蔵だった。「百鬼夜行からはぐれた鬼だ」と主張し、夜行に戻るために力を貸せ、飯を食わせろと図々しく主張する小春に対し、恐れる様子もなく冷ややかな目を向けながらも、なし崩しに居候を許す。
喜蔵は人嫌いで、誰も信用していないらしい。どうやら過去に親族や友人から裏切られたためらしい。
ところが夜行の手掛かりを求める小春に振り回されて、妖怪関係のいざこざに首を突っ込むうちに、否応なしに人との関わりを持つ羽目になって……

積読を片付けよう月間に突入してはや一月あまり。ようやく手を伸ばしたこれは、どうやら三年半ほど積んでたらしい一冊です(苦笑)
確かしゃばけシリーズを買った時に、よく一緒に購入されている商品として表示されたんじゃなかったかな。
どうやらシリーズとして長く続いているようですが、これ一冊でもキリ良く話が終わっているので、お試しで一巻だけ読んでみるのもありかと思います。
あらすじだけ読むと、近頃はやりの人間と妖怪の謎解きバディものっぽいですが、この二人の間には信頼関係ってものがほとんどないあたりがいっぷう変わってます(笑)
人も妖怪も、どちらも同じように信用しないが故に平等に邪険にする喜蔵と、妖怪であることにこだわりを持つが故に、人を化かして怖がらせることを楽しむ小春。
さまざまな事件に関わりつつ、そんな二人の過去が少しずつ紐解かれてゆく。そしてなんだかんだで行動を共にするうちに、凝り固まっていた喜蔵の心がほんの少しほどけ、行くべき道に迷いかけていた小春が改めて未来を見つめ直す。文明開化というその時代に合わせた、これは一人の人間と妖怪の再生のお話だったのかな、と思いました。

ただなあ……うーん、なんだろう。
個人的にちょっと、私には合わなかった、かな。あくまで好みの問題なんですが。
どうも各キャラクターの個性が掴みにくいというか、ブレ気味というか。そもそもこの話は小春視点で読むべきなのか、喜蔵視点で読むべきなのか。中途半端に両者の内面を語るのではなく、どちらかに絞ってくれたほうがもうちょっと感情移入しやすかったと思います。
そもそも喜蔵に祟ろうとする妖怪がこぞって不幸な目に合ってきた理由が明らかになってないとか、面白がって意味もなくいろんな設定足したんじゃないかという疑惑がね……

あとところどころ、首を傾げるような文章表現が混じっていて、お話に集中しきれなかったのも原因のひとつかもしれません。これ文章の意味が逆なんじゃとか、これはいったい誰の動作だ? と思って二度三度読み返すことがしばしばありました。一箇所だけですが、フォントサイズが大きくなってるのもちょっと興を削ぐところ。
とはいえこの作者さんはこれがデビュー作らしく、その後たくさんいろいろ書いてらっしゃるようですし、そのあたりは改善されていってるのかも?

あるいはこの話は、文章で読むよりマンガ版のほうが楽しめるかもしれないと思いました。
ちなみにマンガ版はこちら。

4757544634一鬼夜行(1) (ビッグガンガンコミックス)
小松 エメル 森川 侑
スクウェア・エニックス 2014-11-05

by G-Tools

妖怪よりも妖怪らしい強面の喜蔵さんと、可愛い顔して実はけっこう強いにゃんこ属性の鬼っ子小春。なるほど、こういう外見だと思うとイメージが膨らみますね(笑)
No.6642 (読書)


 2015年03月06日の読書
2015年03月06日(Fri) 
本日の初読図書:
「ワールド・ティーチャー -異世界式教育エージェント-(小説家になろう)」〜何よりも嬉しい
 http://ncode.syosetu.com/n4237cd/

幾多の戦場を渡り歩き、世界最強のエージェントと呼ばれた男。彼は五十をぎたのをしおに一線を引き、後進を育てるようになった。しかし十年を過ぎた頃、様々な陰謀と組織の思惑が絡みあった結果、一人死地へと送り込まれることとなる。相棒と弟子達のために計画を受け入れ命と引き換えにターゲットを始末した男は、敵の本拠地を己もろとも爆破し帰らぬ人となった。途中で手を離すこととなった弟子達のことは心残りだが、それでも託すものは全て託し、最後の仕事をやり遂げたのだから悔いはない、と。
そうして ―― 気が付くと彼は、見知らぬ場所で赤子になっていた。面倒を見てくれているのは適齢期をわずかに過ぎた外国人のメイドと、彼女よりも年若いもう一人の……猫耳メイド? しかも猫耳メイドは目の前で指先に火を点し、丸い玉にして操ってみせたりして彼をあやす。
どうやらこれは、魔法というやつらしい。目覚めてから一ヶ月、あえて思考から外していたが、そろそろ現実を素直に認めなければいけないようだ。ここは、地球ではないのだと。
前世の記憶はどこかおぼろで、自分や仲間達の名前を思い出すことはできなかった。せっかくこうして新たな生を受け、シリウスという名をもらったのだから、これからはこの世界でしっかり生きていこうと彼は決意する。
すでに本能のレベルで身体を鍛えることが染み付いている彼 ―― シリウスは、そう決めた生後三ヶ月の頃から、手足を動かす訓練を始めた。無理をして肉体を損ねるのは本末転倒だが、適切な運動は確実な結果を生む。言葉に関しても、かつて世界各国を飛び回っていた経験と赤子の学習速度が幸いし、すぐに覚えることができた。
どうやらシリウスの立場は複雑なものがあるようで、両親の姿はまったく見られず、山奥の一軒家で二人のメイドと無口な料理人の青年の四人で暮らしていた。彼らに魔法の初歩などを教わりながらシリウスは成長するが、どうやら彼の魔法の才能は芳しくないらしい。地水火風、どの属性にも適正がないその無色の属性は、あまりの使い勝手の悪さから『無能』と称される、蔑みの対象であるらしかった。しかし魔力の回復が早いことと、前世で鍛えた各種イメージを駆使して、シリウスは様々な応用を編み出してゆく。
彼が夢見るのは、前世で中途半端に終わった教育者としての道を、もう一度目指すこと。そのためにも、まずは見聞を広めるために学園に通い、さらには広い世界を旅して巡りたいと目標を立てる。
しかしシリウスが今の家で暮らせるのは八歳まで ―― あとわずか五年だという。その間に経験を積み、入学金の金貨15枚を稼がなければならない。幸いにも家族に等しい従者達は、全面的な協力を申し出てくれた。
そんなある日のこと、訓練と金になる素材収集を兼ねて魔物を倒そうと分け入った森の中で、奴隷の首輪を嵌められボロボロになった銀狼族の子供を二人見つけて ――

転生チート? 連載中。ハーレム注意。現在書籍化にむけて作業中とのこと。
チートはチートかもしれませんが、主人公の努力っぷりが半端ないので、魔力量が多い&回復が早い程度の優遇は、かわいいものに見えてきます(苦笑)
とにかく息をするように訓練漬け。ほぼ同年代の銀狼姉弟が最初の弟子になってますが、わずか五歳と七歳を相手に、軍隊も真っ青のむちゃくちゃな稽古をつけております。あ、でも無理はやらせてません。あくまで相手の意思を尊重し、ついてこれないなら止める自由を与えてますし、根拠のない根性論も振りかざしません。栄養バランスのとれたたっぷりの食事とすさまじい運動と、時に回復魔法も駆使した英才教育。
銀狼姉弟も主人公に心酔してるので、ついていきますどこまでも、状態。
第五章で主人公八歳、ようやく学園に入学しますが、その時点ですでに三人共すぐに卒業できるレベル。ただし元奴隷の弟子達の方は情緒面の発達がアレだったので、学園生活で友達作ったりと勉強とは異なる意味で成長して行く訳ですが。
主人公自身は、さすが死ぬまで現役だった六十歳凄腕エージェントだけあって、世間の裏側とかも熟知した大人の男です。転生して子供になってもそこらへんはあまり変わらず、身内以外で敵と認識した相手にはとことん容赦ないのがさすがです。魔法とか冒険者ギルドとか出てくる割に、レベルとか経験値とかステータス表記とかがないのも、ゲームっぽくなくていいですね。

現在十二章目を連載中。既に文庫十冊近い量でありながら、ようやく学園を卒業して旅に出たばかりの十四歳と、かなりスローペースな話運び。でも正味二日ぐらいで一気に読んじゃいました。
個人的には魔法学園の校長で、魔法を極めた四百歳超エルフのロードヴェル先生が大好きです。常識を覆す発想を見せるシリウスを、子供と侮らず、共に互いを高め合える友人として対等に付き合っているところや、清濁併せ呑んで二人で黒い笑みを交わし合ってるあたりがたまりませんvv
他にもバトルジャンキーの爺さんや、すごく有能だけどシスコンの王女様など、様々なキャラクターが出てきます。
……主人公の前世での『師匠』の謎も、いずれ明らかになるのかなあ?
No.6640 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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