2015年08月18日の読書
2015年08月18日(Tue)
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本日の初読図書: ようやく読みました、荒川版コミカライズ3巻目。 エラム女装で王都潜入&エトワールとの一騎打ち。カーラーンの出陣からの、「王子が村を救いに行かぬときは、君主たる者の資格なしと見て〜」発言。ファランギース登場してギーヴとともに仲間入り。カーラーンと6対1000の戦いで勝ちカーラーン、血筋の正統性への疑惑を残して死亡。ダリューンとナルサスが王都に潜入して、ボダンの焚書を見てナルサス激おこ、銀仮面との対峙。その間に留守番中のアルスラーンはエトワールと再会し、聖典を受け取っていたら、銀仮面が囚われのアンドラゴラスに正体を明かして以下続く。
あー、かんっぜんにアニメに追い抜かれてますね(苦笑) すでに各人の台詞はアニメ音声で脳内再生されるようになっちゃってますが、かなりの改変が為されていたことも判明して複雑なものが。 本誌で連載を読んでおられる方々が、荒川版を追い抜いた途端、質が落ちたっておっしゃってたの、否定できないかもしれませんです(−ー;) まずこうして久しぶりにマンガ版を読むと、ちゃんと殿下が『男の子』なのが逆に新鮮なんですよ。 表情や雰囲気が、紛れもなく少年。しかも既に考え方とか、かなりしっかりとしています。ナルサスに「まずは目指されるものを明らかになさいませ」って言われて、最低限の根底となる基本方針はすぐ明確に口にしてるし<この段階でまだ、ホディールの奴隷を助けて大失敗まで行ってない
そうだよ、アルスラーンてこういう子だった……っ! けして姫殿下じゃなかった!!
ナルサスの隠れ家を出たその日から、ダリューンに頭を下げて自主的に剣の稽古を続けてるし、エラムの手伝いしようとしては失敗するドジっ子属性もない。小説版にはないオリジナル展開のエトワールとの再会だって、クワ構えてルシタニア兵の前に一人で出て行ったあげく部屋に招いて二人きりなんてやらかさず、エラムの護衛付きで霧の立ち込める川に顔を洗いに行ったら、たまたま反対の岸に現れたという不可抗力で、川を挟んだまま静かに会話して別れてます。
王都潜入組と銀仮面卿の一戦でも、ナルサスの乱入&画聖マニの再来〜発言によってダリューンが冷静さを取り戻したところで、銀仮面が自ら引き際を判断して勝負を預けるし、ダリューンに切断された仮面の代わりがすぐには用意されず、半面を布で覆う形にしてます。 ナルサスが奴隷を解放したことについて、「その後の方が大変でな、机の前で空想しているようなわけにはゆかぬ」って言ってる場面のやるせなさそうな表情も、ずっと意味ありげな雰囲気が出てて!
……アニメで突っ込み入れてたあの場面この場面が、ことごとくアニメのオリジナル展開だったって……(遠い目)
仲間に入りたての頃のギーヴの心内語も、アニメで受けた印象よりもさらに軽薄で辛辣っぽかったりと、これがあのエラム助けに行くアルスラーンに驚きつつ財宝ばら撒きエピソードを経て、どれぐらい豹変するものか楽しみで楽しみで。
これはアニメ放送終了後も、荒川版は読み続けること決定ですなあ。
あ、ところでアニメでは画面が暗くてよく見えなかった、アンドラゴラス王の繋がれ方なんですが。 紙面で見たらどうなってるか判ったものの、あの拘束方法だと、今後の展開的に無理が出てくるんじゃ……?
そしてコメント欄でした会話で思い出したんですが、うちのオリキャラの某不良騎士は、そういえばヒルメスの影響めっちゃ受けてたんだった、と<設定したの昔過ぎて忘れてた 奴はある意味、「違う戻って来かたを選んだヒルメス」なんですよねえ。 ……ヒルメス王子も、もうちょっと見聞を広めて、王とは何か、玉座に座っても周囲が廃墟では意味がないのだと気がつけていたら、もっと違う現在があったっだろうに……
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No.7031
(読書)
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2015年08月17日の読書
2015年08月17日(Mon)
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本日の初読図書: 「悪役令嬢に仕立て上げられたので、ちょっとした仕返しをしようと思う。(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n0682cs/
王太子の婚約者の座から転落し、処刑されようとしている公爵令嬢。 断頭台の上でも悠然とした態度を崩さないその姿に、王太子とその恋人たる男爵令嬢は不愉快な表情を見せるが、そこへ国王の勅使がやってきて……
お約束の乙女ゲー風世界にて、エンディングでの悪役令嬢吊し上げからの逆転劇。短編です。 当代国王がやったことの是非は、王族の義務を謳う王様として良いのかといささか引っかからなくもなく。王太子は単なるボンボン、男爵令嬢は同情の余地なしってとこですかね。 単純にザマァ的な見返しの復讐をするのではなく、更生の余地を与えつつ国の発展にも繋げたのが、彼女の器量を垣間見せる良い裁きだったと思います。
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No.7025
(読書)
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2015年08月16日の読書
2015年08月16日(Sun)
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本日の初読図書: 表題作の他にも何本か収録されている短篇集です。 新聞で菊池寛訳のものが連載されているのですが、あまりにこま切れすぎてどうにも読みにくく。 以前に青空文庫からテキストをDLしているので、そっちでいっきに読み返そうかとも思いつつ、どうせなら違う翻訳をチェックしたいと、図書館で借りてきました。 うん、まあおおむね記憶通り(笑)
ただ昔から不思議だったんですが、なんでイワンがお城についた途端、お姫さまの病気が治ったんでしょうね? イワン自身は何もしてないのに。
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No.7021
(読書)
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2015年08月13日の読書
2015年08月13日(Thr)
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本日の初読図書: 百瀬太郎は、世間で話題となった大規模なペット訴訟を見事すぎるほど完璧に解決した結果、所属していた大手弁護士事務所から追い出され、今ではペット専門の弁護士「猫弁」などと揶揄されながら小さな事務所を営んでいる。 冴えない見た目に頼りなさすぎる性格が災いして、そろそろ四十に手が届くというのに、未だ独身。しかしそんな彼にも、このほど婚約者ができた。彼女、大福亜子は、かつて百瀬が通っていた結婚相談所の職員で、また彼の人生を変えるきっかけとなった世田谷猫屋敷事件の当時、唯一被告に同情的な態度を取っていた女子中学生の、成長した存在であった。 「誰でも良いんでしょう」「選ぶのが苦手なんでしょう」「ならわたしが選んであげます。わたしです。結婚して下さい」 そう言ってくれた亜子とデートしてみる百瀬だったが、よく考えるとプロポーズの返事をしていなかった気がする。しかもこんなおじさんといっしょにいて、彼女が楽しんでいるようにはどうも見えない。 そんなふうに悩む百瀬だったが、プライベートとは関わりなく、仕事はやってくる。それも相変わらずペット関係の依頼ばかり。 その日やってきたのは、奇妙なメールだった。差出人は「透明人間」。 「ぼくはタイハクオウムが心配で、昼も眠れません。彼の様子を見てきて下さい」と。 着手金で五十万、写真つきで報告してくれたらさらに五十万払うとあるが、肝心のタイハクオウムの居場所も依頼人自身の本名すらも書いていない。 イタズラだろうと一蹴する事務員たちをよそに、百瀬はメールに返信を書き、仕事に取り掛かった。 いっぽうで、最近世間で話題になっている凄腕タレント弁護士 二見純には秘密が存在していた。百瀬の大学時代の同期いわく、教え子だった頃の二見は、むしろ落ちこぼれだったという。なのにあれほど見事な弁護ができるというのは、背後に優秀なゴースト弁護士がいて、全ての脚本を書いていてくれるのだろうと。事実、彼の後ろには、優秀だが引きこもりで声を出すことすらできない男、沢村がついていた。小学五年生の頃から学校に行けなくなり、ひたすら本を読んで過ごした沢村は、勇気を振り絞って受けた司法試験こそ一発で首席合格したものの、その後の研修に通うことができず引きこもっていたところを、受験十一回目で同期合格した沢村によって見出されたのである。 そうして沢村のバックアップで有名になった二見は、百瀬の古巣ウエルカムオフィスに引き抜きを受けた。しかしその入社試験を兼ねて任されたのは、数少ない沢村に関わりのある人物が原告となる医療訴訟において、病院側の弁護をすることで……
実際には8日に半日で読了。 ずいぶん以前、ドラマ放送を機に読んだ「猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち」の続編です。 婚約者の気持ちが判らなかったり、奇妙な依頼に翻弄される百瀬さん視点。百瀬に女として愛されてる訳ではないのだと、揺れる亜子さん視点。引きこもりながらもふとしたことで知り合った親子とたどたどしく交流していたら、訴訟で敵対する立場になってしまい悩む沢村さん視点。自分の才能のなさを認め落ち込みながら、どうにかのし上がろうとする二見視点。 そこらへんをメインに、その他の面々の視点も入り混じった群像劇っぽい感じで、最終的にはすべてがきれいに集約していきます。 百瀬さんは、記録に残る形ではほとんど活躍しませんが、しかし彼の存在がなければこの結果は出なかったのは確か。 誰もが悩み苦しみ迷いながら、それでも最後はほっこりできる。 良い感じの読後感でした。
そして一作目ではずいぶんあちこちに振りまわされまくり、ほんとにその彼女でいいのか?? とヘタレ好きの私ですら少々疑問を覚えた百瀬さん。今回はずいぶん有能度合いがアップしてました。いや、前作でも有能ではあったんですが、それを認めてくれる人が少なかったんですね。しかし今回は違います。 婚約者亜子さんも、過去の同級生も、そして謎の人物「透明人間」も、彼を天才だと口を揃えます。 ……っていうか、百瀬さん、あんた聖者か……あまりにも良い人過ぎて、心配になってくるぐらいですよ。 本人自身は、いろいろ悩んでるし迷ってるし、ちゃんと人間的ではあるんですが、しかし客観的に見て浮世離れし過ぎてる。むしろ亜子さんが手綱引き締める勢いじゃないと、いつかどこかで、依頼人……いや猫……むしろ通りすがりの第三者をかばって、あっさりぽっくり死んじゃいそうで怖い。
身寄りはないけど頭が良いから、大学に行く。そのために高校は通わないという選択とか、それいったいどんな人生ですか<勉強は独学で充分だから、三年間は働いて学資と生活費を貯めるのに当てた それで東大法学部を首席で卒業し、最年少で司法試験合格。一度見聞きしたものはほぼ忘れないとか、まさに天才の名をほしいままですよ。
でも、要領は悪い。 純粋で純粋で、「僕は、正義の味方になるんです!」と胸を張って言い、まるで子供のように皆の幸せを考えていて……それでいて夢見がちではけしてなく。実現可能な最大多数の最大幸福を厳密に算出した上で、現実に叶えうる最高の結論を引き寄せる。 いい男じゃないですか(しみじみ)
今回は、そんな彼と同じレベルで物を考えることができる透明人間という知人を得られたので、今後はぜひ仲良く協力しあっていって欲しいところです。
さて、三作目も予約して……って、これ五巻まで出てて既に完結してるのか。図書館には三巻までしか入ってないよ……(しょぼん)
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No.7018
(読書)
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2015年08月08日の読書
2015年08月08日(Sat)
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本日の初読図書: 「夜伽の国の月光姫(小説家になろう)」 http://ncode.syosetu.com/n4138ck/
大陸でももっとも小さな国アークイラ王国。そこには二人の王女がいた。 第一王女アルエは聡明で心優しく、召使いに対しても尊大な態度を取らない立派な姫だ。しかし第二王女セレネはその存在自体を秘匿され、母である女王の手で古びた倉庫の一角に監禁されている。 何故なら彼女は、ひどく異質な存在だったからだ。 姉も母も金髪碧眼であるのに対し、セレネは全身にほくろ一つ無く、髪からつま先に至るまで、全身が透けるような白色。そして神の愛を一身に受けたかのごとき類稀な美貌に、ルビーをはめ込んだような双眸。未だわずかに八歳。蕾であるにもかかわらず、どれだけの大輪の花となるのか誰も予想できぬ、神秘的な美しさを備えていた。 しかも異質なのは、その外見ばかりではないのだ。生まれて間もない頃から、夜泣きもしなければ母に甘える素振りもしない。誰に教えられるでもなく、自分で服を畳んだり部屋を掃除したりする。おおよそ子供らしさというものを持たないくせに、それでいて言葉はまるでおぼつかなかった。まるで未開の国の人間のように、かろうじて片言で意思を伝える程度である。 その言動のちぐはぐさから、異常、奇怪、不気味と見なされ、彼女はわずか五歳にして忌み子として王宮の片隅へと封印されたのだった。 そんなセレネを気にかけるのは、姉のアルエただ一人。数日に一度、王族のみが解ける封印を解除してはセレネに会い、言葉を交わす。そうすることでアルエだけは、妹がたどたどしい会話能力とは裏腹な、聡明な知性と人を思いやる優しい気性を備えていると感じ取っていた。 そんなある日のこと、大陸最大の国家ヘリファルテ王国の第一王子ミラノが、見聞を広める旅の途中でアークイラ王国を訪問する。それを知ったアルエ王女は、彼と結婚して後ろ盾になってもらうことで発言権を増し、妹を開放しようと考えた。しかし訪れる先々で野心溢れる王侯貴族から姫を押し付けられることに辟易していたミラノ王子は、早々に席を立ってしまう。 しかし ―― 苛立ちを静めるため庭の奥へ分け入ったミラノ王子は、そこで運命の出会いをする。 素朴な野の花々に囲まれた泉のほとりで、月光を浴びながら祈りを捧げている、妖精のような純白の少女。その神秘的な光景に魅せられた彼は、少女が逃げ去っていったのちも事情を探り、彼女が虐げられた第二王女であることを知った。 あまりにも劣悪で哀れなその境遇に同情し、ミラノ王子は半ば強引とも言える手段でセレネの身柄をアークライア女王から譲り受ける。その代償として第一王女アルエを自国の最高学府へ留学させるという条件を飲まざるを得なかったが、聡明なアルエは事情を知ると恥じ入りながらも、妹を救ってくれたミラノ王子に深く感謝した。 後の世の歴史学者は語る。 永きにわたる栄華を誇るヘリファルテ王国が、もっとも輝いた時代。太陽王と呼ばれた偉大なる王ミラノ=ヘリファルテを影から支え、尽くした存在がいたのだと。「月光姫」と称される彼女、セレネ=アークイラは、地獄のような日々から己を救い出してくれた若き日のミラノを、命を賭けて守ると誓ったという。そして事実、彼女の存在がなければ、ヘリファルテ王家はまもなく衰退し、現在の発展は無かっただろうと伝えられていた。 しかし……歴史学者も、そして当時のセレネを知る人々も、誰一人として知らなかった事実が存在する。 セレネの中身は引きこもりで美少女好きの、愚劣な変態だったのだ ――
TSかつ勘違い系の異世界転生モノ。完結済。 書籍化が決まっているそうですが、削除やダイジェスト化はされないとのこと。出版予定は10月25日です。 やー、なんというか、清々しいまでにすれ違いの勘違いが続いています。 38歳のおっさんだった前世から百合(花にあらず)好きで、実の姉を本気で嫁にする気まんまんのおっぱい好きな変態が、見た目の神秘的で繊細な美しさと、頭が悪くて異世界語がちゃんと覚えられなかったがゆえに片言でしゃべる内容とで良いように誤解されまくったあげく、国ばかりか大陸そのものを発展させた無欲かつ高潔な姫君として、周囲すべてから愛を通り越して崇拝されるという(笑) ミラノ王子やその家族などは、セレネが劣悪な環境から救い出された恩を、懸命に返そうと努力していると思って感動しているのに、実際は引きこもりニートの天国から引きずり出されたあげくに拉致までしやがったと恨み骨髄。 しかも「イケメンは悪」の信念のもと、名実ともに聖王子たる清廉潔白なミラノを、「大陸中を嫁探しの旅で歩きまわる、下劣極まりない性王子」と認識して疑わず、「姉に手出ししようと、まず自分を人質にとった」と思い込んで、「姉を守る」ため、なんとか暗殺してやろうと間違った努力を重ねてます。でもそれがことごとく方向を外す間抜けっぷり。しかしその外れる方向が、偶然いいほうに転んだ結果、彼女の評価はますますうなぎ登りになるスパイラル。 いやはや、面白かった。 個人的には有能かつ忠実な執事バトラーと、サムライ的なクマハチが好きです。
ただ気になる点は、「異世界語をちゃんと覚えてない」という大前提がある割に、誤解が生じる原因となる同音異義語が日本語と同じだとか、セレネの魔力自体はたいした量がないのに、多少長い時間いっしょに過ごしたぐらいでバトラーがあんなに強くなれるのかとか、王族しか開けられないはずの監禁部屋にどうやって世話係の使用人が出入りしてたのかとか、母親は女王として父親はどうしたんだとか。 有料の商業出版物にするのであれば、そこらあたりのフォローがあって欲しいところです。
そして書籍版のイラストは、はたしてどんな絵柄になるんでしょう。セレネの神秘的な美しさを、きっちり描き出してくれる人だと良いんだけどなあ。
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No.7004
(読書)
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イメージぴったり
2015年08月06日(Thr)
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書籍化されるとの情報があった、モロクっちこと諸口正巳さんの『謳えカナリア』。 ついに Amazon で書影が出ましたーー!! THORES柴本さん渾身の作画です。
すごいなあ、すごいなあ……あの世界観にほんとにぴったりですよねえ。 雰囲気もそうですが、キャラクターの容姿もまさにあの二人そのまんま! って感じで、もう言うことないです。 ちなみに表紙のどこかに、こっそり神様(アンスル)がいたりとかいう遊び心も(笑) タイトルロゴが入ると隠れてしまうらしいので、探すのなら今のうち、ですよvv
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No.6998
(読書)
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2015年08月05日の読書
2015年08月05日(Wed)
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本日の初読図書: 「宝石吐きの女の子(小説家になろう)」〜VI 彼の想い 2−4 http://ncode.syosetu.com/n4843br/
大陸東部に位置するリアフィアット市は、ルカー街道の宿場町として栄えた中程度の街である。年間を通して温暖な気候から、多種多様な果物・花卉の産地としても知られているそこは、魔女協会の支部こそないけれど、警察局の治安維持活動は非常に優秀で、未解決の事件はゼロに等しく、とても暮らしやすい土地だった。 そんな街の片隅に、店員二人の小さな店がある。スプートニク宝石店。店主は無愛想で態度が悪く女性にだらしのない青年、スプートニク。そして彼の被保護者であり、唯一の従業員である少女クリュー。 何事にもいい加減だけれど宝飾品の作成に関しては高い技術と真摯な想いを兼ね備えた店主と、素直ではあるがかなり世間知らずなところのある少女が、この街に腰を落ち着けてからはや数年。近隣の人々とも顔馴染みとなり、店も順調に繁盛している。 しかし彼らには、誰にも知られてはならない秘密があった。 誰からも愛される素朴な少女、クリューは、口から宝石を吐く、宝石吐きの女の子だったのである ――
外付けHDDにデータをコピペしていく、その待ち時間にスマホで最新話まで読了。 開拓時代ぐらいっぽいイメージの、でも魔法使いとかも普通に存在する架空世界でのファンタジー物語です。 ぽにきゃんBOOKSで書籍化されていますが、削除もされずダイジェストにもならず、WEBで全文ちゃんと読めるのが心底ありがたく。今のところ、文庫4冊ぐらいの量はありそうかな。
主役二人の年齢がはっきりとは明記されてません。個人的にクリューちゃんは13〜4歳(だけど幼少時のあれこれのせいで11歳ぐらいにしか見えない)、スプートニクは27〜8歳を希望したいところです。出会った時は、8歳と22〜3歳ぐらいで。 ……15歳差は犯罪か……?
もうね、クリューちゃんの世間知らずっぷりというか、思考の斜め上っぷりがたまらん可愛いんですよ。 そして意外と彼女のことを考えてるというか、ある意味彼女のことしか考えていないとも言える、スプートニクの不器用な過保護さがまたツボを突いてくれます。
資金源として盗賊達に『飼われて』いたクリューを、偶然見つけ助けだした、当時は流れの宝石商だったスプートニク。そのとき二人の間で交わされた『約束』のために、クリューは思い惑い、そしてスプートニクはひそかに持てる全力を尽くす。 お互いがお互いを第一に考えているのに、その思いのベクトルが致命的に別方向をむいているあたり、じれじれすれ違い系好きにはおおいに楽しめるのではないでしょうか。あと擬似親子萌えvv
ただ、物語はけしてほのぼのしい、穏やかな展開だけではなく。 クリューの『体質』を利用しようとする者達や、魔女協会、宝石商会などの思惑が入り乱れ、お互いに騙し合いの化かし合い。たとえ味方であっても油断ができず、常に言葉や行動の裏を探り合っているような話運びが続くので、ちょっと気疲れしちゃうところも正直ありました。 そういう意味でも、クリューちゃんの存在は一服の清涼剤かもしれません。 クリューちゃん視点では隙のない大人の男に見えるスプートニクも、実際には手抜かりや失敗を繰り返す若造でしかなく。それでもそんな彼が、クリューのために懸命にあがくところがまた良いんですよね。
現在連載中の6章目「彼の想い」では、スプートニクの考えていることをちょっと多めに書くと活動報告にあったので、いろいろとそこらへん楽しみです。 まだまだ彼の認識では、クリューは娘どころか「お子ちゃま」でしかないようですが、さてその意識はこの先どういうふうに変わるのか、変わってくれるのか。ふふふふふ……vv
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No.6994
(読書)
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2015年08月03日の読書
2015年08月03日(Mon)
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本日の初読図書: 「転生ボーナスが充実しすぎた。(小説家になろう)」〜7話 あ、これも追加で http://ncode.syosetu.com/n2965ct/
ゲーム初心者の二十歳の青年が、RPGを購入してキャラメイクしていざプレイを開始してみたら、何故かゲーム内世界へと転生してました。そして転生ボーナスが阿呆なほどついてます。所持金500億とか、数が∞になってる各種アイテムとか……不老不死とか。 事情はよくわからないけれど、とりあえずゲームのストーリーに沿って、邪神を倒せばいいのかな? と最初に辿り着いた廃村をうろうろしていたら、しゃべる子猫と盗賊に追われた猫耳少女(双児)と出くわして……という、まあ典型的俺TUEEEE系の異世界トリップものです。 まだ連載開始されたばかりなのでなんとも言えませんが、一見凡人に見える主役の過去に、なんか訳ありそうな雰囲気(もしかして虐待受けてた??)が垣間見えたり、人情派に見えて奇妙なところでドライっつーか事情聴かずにいきなり虐殺かますとか、さっきまでいっしょにいたパーティーメンバーが全滅しても平然としてるとか、歪んだ所あるっぽいのが興味をそそられるところですかね。 とりあえずブックマークに追加。
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No.6986
(読書)
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2015年07月28日の読書
2015年07月28日(Tue)
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本日の初読図書: 玉葉妃に懐妊の兆候が見られたことで、猫猫は再び毒味役として後宮の翡翠宮に戻った。 以前に公主(ひめ)を妊娠した時も毒殺などを仕掛けられたため、妊娠については厳重に伏せられている。しかし年に一度外部からやってくる隊商達がやけに妊婦向けの衣装を取り揃えていたり、どこにでもあるものだが、大量に摂取すると妊婦に悪影響を与える香油や香辛料が女官達の間で流行したりと、きな臭いことが続く。 さらには異国からやってきた特使が、無理難題をふっかけてきた。なんでも特使の曽祖父が数十年前同じようにこの国を訪れた際、真珠の涙を持つ絶世の妓女によってもてなされたのだという。幼い頃からその話を聞かされてきた特使は、自分も是非そのような佳人に会ってみたいと要求する。しかしどんな美女に饗応させても満足しないどころか、むしろ鼻で笑うありさまで。どうやらその背景には、異国側から皇帝一族へと、もっと美人を、すなわち自国の女を娶らせたいという思惑があるようだった。饗応役に泣きつかれた壬氏が、ひとまずかの曽祖父とやらが『月女神』と呼んだ妓女について心当たりはないかと猫猫に尋ねてみると、それは意外な人物で……
……壬氏…… ヾ(´A`*)ゲンキダセヨー ラストから二枚目の挿絵で、おおおついに!! と思ったら、よりにもよって蛙(しかも「そこそこ」)呼ばわりされ、さらに夜の廊下で雰囲気出していざって瞬間、貴重な薬種に心を奪われた猫猫にガンスルーされる。 あ、気の毒すぎて涙が……(ほろり) ってか、猫猫にそのタイミングで牛黄渡しちゃダメだってぐらい、いい加減学習しようよ>壬氏
まったく、なまじラス2枚目の挿絵がすっごい格好良いだけに、次のページめくるのにうっかり期待しちゃったじゃありませんか。 壬氏さんが、歳相応のしかもしっかり男の子に見える貴重な一枚なのに、本文で台無しだよwww<普通逆だろ(笑)
そんな薬屋〜3巻目。 お話的には、かなり進みました。 今回は旧蛇足編の原型はほぼなく、完全書き下ろしと言っても良かったんじゃないでしょうか。WEB旧版では猫猫視点がほとんどで、語られずにすまされていた宮廷内のあれこれやら、他の人がその時どんなことを考えていたのかなども、かなり詳しく盛り込まれています。 いろんな意味でのサービスシーンあり、アクションシーンもあり。そして相変わらず短編連作形式で、エグいのから日常のほのぼのまで、さまざまな雑学が関わる事件を次々と惜しみなく絡めていきつつ、それらを積み上げることで少しずつ先帝時代の裏事情やら歴史やらを明らかにしていき、ついに壬氏さんの正体が!! で、以下続く。 ううう、続きが気になる……いっそ完結してるWEB改訂版を読んじゃおうかなあ。ああでも、書籍版とはだいぶ改変があるみたいだし、今読んじゃうとかえって混乱するかもしれない〜〜(悩)
なお表紙右側の美人は、「性別が違ったら、いやそのままでも十分、国の一つや二つは傾ける」と言われるあのお方です(笑) 前巻、ちょっと紅さしてみただけで「どんなに素晴らしかろうと世の中に出してはいけないものがある」とか称されちゃったくせに、思い切り気合入れてやらかしちゃったよ。いやまあ、できるだけ見る人間を少なくした上、特殊効果までかけて、この世のものならぬ存在演出はしてましたけどvv ってか、舞台裏考えるとこれもまた当人が気の毒過ぎる……(苦笑)
細かい雑学も、相変わらず非常に面白いです。 特に、血液検査とかDNA鑑定など存在しないその時代に、女系の血を確実に残すため、あえてそれを利用するか! というその発想に感嘆しました。ある程度の現代知識さえあれば、読んでいて早い内に気がつけるでしょうが、まず最初にそれを思いつける作者さんを心底尊敬します。 ああ、こういう話が私も書けたらなあ……(嘆息)
でもって。 3巻目にしてようやく、国の名前が出てきましたね。なんでも茘(リー)というそうです。そして皇弟(帝にあらず)殿下のお名前は華瑞月(かずいげつ)。 ……ここらへん、なんか気分と雰囲気で、中国読みと日本語読みが混じってるような(苦笑) 羅漢は「らかん」なのに、羅門は「ルォメン」。馬閃だって、「馬(マー)の一族は」とか言いながら、名前の読みが「ばせん」だし。細かいところは気にしちゃ駄目??
そして新キャラにして虫好きの女官、子翠がひそかに気になるというか、なんか彼女が怖くてならんのは私の勘ぐり過ぎなのでしょうか。でもなあ、「翠」ですしねえ。やっぱり関係あるか、あるいはメイク変えた本人じゃないかとか思っちゃうんですよ。 ああもうほんとに、早く続刊出てくれ〜〜〜 《o(><)o》
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No.6972
(読書)
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2015年07月26日の読書
2015年07月26日(Sun)
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本日の初読図書: 一度後宮を辞し、実家の妓楼で借金返済のため短期就労をしていた猫猫は、壬氏に身柄を買い取られ再び宮中へ出仕することとなった。しかし一度後宮から出た者を、そう簡単に戻すことはできず。猫猫は外廷で壬氏付きの下女となる。 無駄に整った美貌で老若男女を虜にする壬氏の私的空間には、五十路を越えたやり手の侍女 水蓮しか出入りしていない状態だった。その他の者達は、軒並み見とれて動きが止まるか、良からぬ真似をしでかそうとするので使いものにならないらしい。その点、猫猫は壬氏に恋心を抱くどころか、干からびたミミズを見るような目を向けるので、水蓮としてはようやく鍛えがいのある人材が来たと歓迎しているようだ。 基本的な仕事は、掃除にゴミ捨て、洗濯物の受け渡しに毒味と、後宮にいた頃とほぼ変わらない。 仕事ついでに宮中を歩きまわっては、気になった事柄に首を突っ込んでみたり、壬氏が持ってくる変わった事件の話について意見を述べたりといった日々が続く。 ところがひとつひとつは無関係かに思われた事件や事故に、なにやら関連性のようなものが見えてきた。どうも何者かが、さまざまな事件の種をひそかに蒔いているようなのだ。 さらには変人と評判の武官、軍師の羅漢という男が、最近何かと壬氏にちょっかいをかけてくる。一癖も二癖もある扱いにくい彼の目的は、どうやら壬氏が身請けしたと噂になっている妓女こと、猫猫のようで……
旧蛇足編の「11 鳳仙花と片喰」あたりまでを下敷きに、かなりの加筆修正がなされています。 改訂後の宮廷編以降は未読なので、そちらとはどれぐらい変わってるのか良くわかりませんが。 物語的には、あんまり進まなかったような。印象的には、大きく話が動くだろう以降へ続く、前段階の下準備ってところでしょうか。 今回の内容をざっくりまとめると、宮廷の中で何やら陰謀が動いている。一応、当座の計画はギリギリで防いだけれど、黒幕は逃がしちゃった。あと猫猫と緑青館の過去のあれこれが明らかに、という感じ。 壬氏の正体も相変わらずはっきりとは明言されないままですし、猫猫との仲もまったく進展してません。 ……いや、壬氏の方ははっきり自覚しただけ、進歩はあるのかな? ただ猫猫がとぼけている訳ではなく、心底から気付いてない……というか、彼女の場合は諸々の事情から、あるいは恋愛そのものを自分とは無縁のものだと無意識レベルで定義しているのかもしれません。清々しいまでに壬氏のアプローチをスルーしまくり曲解しまくりなので、さすがに壬氏が気の毒過ぎる……(苦笑) ってか、WEB旧版だと、最後まで壬氏の扱い変わってなかったんだけど、書籍版でもそうなんだろうか……(汗)
ひとつひとつのエピソードに出てくるトリックとかは、すごく面白いです。 文化水準が低い設定の世界観に、はたしてどこまで科学技術を持ち込むのか、さじ加減ってすごく難しいと思うのですよ。 粉塵爆発はまあお約束ですけど、他にも複数金属を合金化することによる融点の低下(いわゆるハンダ)とか、冬に青いバラを咲かせるにはとか、唾液が混じることによりでんぷん糊の粘度が下がるとか、そういったあたりをうまく事件に仕立てあげているその手腕に尊敬させられつつ、雑学好きにはたまらない楽しみを味わわせてもらっております。
あと高順の家庭事情が追加されてたのが嬉しかったですねvv 李白もずいぶん出番が増えたような。 そして変人と『彼女』とのラストエピソード。 良かったです。小姐にはちょっと気の毒だったけど、でもあの変人はあの変人で、心底から『彼女』を想っていたんだなあと思うと、もう(涙)
でもって。 猫猫が身を挺して壬氏を助ける場面しかも挿絵付きに、思わずニマニマとvv<猫猫はあくまで報酬(貴重な薬種)目当て 壬氏がすっかり、猫猫の前では素を見せるようになってきてるのがまた楽しいのですよ( ̄ー ̄) この巻ではイラストもギャグ調のものが含まれていて、特に壬氏を変装させる場面で猫々がちょっとしたいたずら心を出した結果とか、ラストシーンの二人とかが秀逸です。カラー見開き口絵の美しいあの場面の直後にああきてるのかとかもう、あの二人楽しすぎるvv ……もっともラストのあれは、予想外のこと言われてうっかり頭が落ちだだけだと私は解釈してるんですが(苦笑) ギャグ調を雰囲気壊さずに描くのも、挿絵師さんの腕の見せどころですよねえ(しみじみ)
……ところでちょっと気になってるのですが。 壬氏さん(の中の人)の年齢が、19歳と明記されていたのですよ。 あれ……? 計算、あわなくね?? 私がなんか記憶違いしてたか、それとも書籍化にあたってなにか変更されたのか。 それとも2巻目では既に1巻から一年が過ぎてて、でもって年齢が数え計算だから、19歳だと生まれたのは17年前ってことでいいのかな……?
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No.6968
(読書)
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プロフィール |
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。
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