よしなしことを、日々徒然に……



 2015年07月02日の読書
2015年07月02日(Thr) 
本日の初読図書:
4091627250ARMS 2(第2部「邂逅編」1) (My First WIDE)
皆川 亮二
小学館 2011-09-27

by G-Tools
カスミを失ったことで、ARMSを覚醒させた涼。“ジャバウォック”のコードネームを持つ彼のARMSは、開発した“エグリゴリ”ですらその能力を把握しきれておらぬ、制御不能とまで評された異色の存在であった。
無力感と憎しみに苛まれた涼は、人が変わったかのように“エグリゴリ”への復讐を目的としてすさんでゆく。隼人や武士、アルらはそんな涼を何とか止めようとするが、涼自身が己の内にある憎しみや虚無を抑えきれないのだ。
『力が欲しいか』『ならばくれてやろう』
そんな囁きとともに、涼の肉体も精神もジャバウォックに侵食されてゆく。
このままではいけないと焦る彼らの前に、ついに四人目のARMSが現れた。カツミと瓜二つの容姿を持つ彼女は、久留間恵と名乗る。反エグリゴリ組織“ブルーメン”に所属するという恵は、涼達へとブルーメンに加入するよう力ずくで強制してきた。しかしそもそも彼らの意志を無視し、勝手にARMSを移植したのはブルーメン達だ。そんな組織になど協力できるかと、三人はつっぱねる。
ところがブルーメンは、カツミについての重要な情報を持っていると告げた。罠かもしれないと危ぶみながらも本拠地へ同行した涼達にもたらされたのは、カツミが生きてエグリゴリに囚われている可能性があるという知らせであった。
罠でも良い、百万分の1でも生存の可能性があるのであれば、助けるために動かなければならない。
希望を得て復讐の妄執から解き放たれた涼は、やはり自分は「世界のため」「世の中を良くするため」などという“大義”では動けないと、ブルーメンを後にする。キースへの復讐を目的とする隼人や、彼らをサポートしたいと願う武士もそれに続いた。
そうしてカスミを探すべく旅立とうとする彼らだったが、敵の手は一歩先をゆく。
隼人、武士の家が襲撃され、二人はあえなく拉致されてしまった。恵もまた逃れられず。超人部隊X−ARMYエグザミイを名乗る敵は、高槻家をも襲ってきた。目の前で母を人質に取られた涼は……


2巻目はちょっと少なめの424ページ。X−ARMYとの戦いが終了したと思ったら、橋を落とされて藍空市が孤立したところまで収録されています。
えー……実は購入のさい、最終巻まで揃っているかと8巻目のラストを数ページ確認してしまった私は、いろいろとネタバレされてしまっていて、ちょっぴりしょぼんなのですが(苦笑)

ともあれ、1巻目ラストで暴走からの覚醒を果たした涼は、しょっぱなから底辺まで落ち込んでいます。
非日常の中でもいつも前向きに仲間達を励ましていた彼が、過酷な現実に押し潰されそうになっています。そんな涼を懸命に支えようとするのが、これまで彼によって救われてきた、隼人や武士。アルだって素直じゃありませんが、やっぱり彼を気にかけています。
それに彼らは判ってるんですよね。この先に待ち受ける戦いの中で、涼という要が存在しなければ、自分たちもまたいずれ潰れてしまうだろうということが。

しかし隼人ってほんとに良いやつだと思いました。
憎しみに振りまわされ、復讐に駆り立てられようとする涼に対し、彼はただの一言も「大切な相手を殺されたのは、お前だけじゃない」とは言いませんでした。
「俺が復讐のため殺そうとした時は止めたお前が、自分が同じ立場になった時は殺すのか」なんて、責めるような台詞などまったく口にしませんでした。
あいつには復讐なんて似合わねえ。たとえ罠や幻でも良い、復讐ではなくカツミを探すために生きる、そんな前向きなありかたのほうが涼らしい。……自分と違って。
そう言い切る彼が、切なくて切なくて……(泣)

そして今回もまた、敵すらもが切ない……X−ARMYたちとの戦いと、その結末。そして彼らの過去と行く末は、涙なくして読めません。

ついにシルエットでなく姿を表したガウスと、彼に率いられる特殊部隊レッドキャップス。
キースのARMS“グリフォン”の最終形態……まだこれで全体の四分の一というのだから、この話はいったいどこまで行くのでしょう……

ところで気になるのは、ARMS適合者って四人しかいないはずじゃなかったんでしょうか。
キース一人が年齢合わないあたり、そこらへんにもまだいろいろ秘められたものがあるんでしょうね。なんか十年前の記憶が怪しいとか、意味ありげな伏線が張られてますし。
エグリゴリのトップなど、まだシルエットすら出てきてないあたり、ほんとに先は長そうです。

……あ、それと前々から彼ら ―― 特に隼人は、怪我の回復早過ぎるだろう。ARMSが移植されてる部分以外は生身なのに、ボコボコにされてもあっという間に復活しとる……とか思っていたのですが。
やはりナノマシンの影響で、生身の部分の修復力も上がってるんですね。おおいに納得したのでした(笑)
No.6925 (読書)


 2015年06月30日の読書
2015年06月30日(Tue) 
本日の初読図書:
409162720XARMS 1(覚醒編) (My First WIDE)
皆川 亮二
小学館 2011-08-27

by G-Tools
父親に付き合わされて、子供の頃から遊び半分でアウトドア技術や格闘技を教えられてきた男子高校生、高槻涼。ごく普通の感性を持ち、ごく当たり前の日々を過ごしてきた彼の日常は、謎の転校生がやってきたことで、いっきに現実離れしてゆくこととなった。転校生 新宮隼人は、初対面の涼に対し何故か敵意をむき出しにし、好戦的に襲い掛かってくる。その左腕は奇妙に変形し、すさまじい力とスピードで、人間を容易く吹き飛ばしてみせた。父親仕込みのサバイバル技術でなんとか事なきを得た涼だったが、隼人はあきらめようとしなかった。涼の幼馴染の少女赤木カツミを誘拐し、廃墟になったビルへと呼び出しをかけてくる。
そうして彼は、己の左腕を巨大な刃に変え、本気で涼を殺そうとしてきた。家族と友人の仇だと叫ぶ隼人の誤解を解こうとするが、彼の攻撃を避ける涼の右腕もまた異変を生じる。
更に二人の戦いに水を注す存在が現れた。“エグリゴリ”と名乗るその組織は、隼人と涼を“ARMSアームズ”と呼んだ。そうして彼ら二人はこの世に四人しかいない「神の腕を持つ子供」であり、同種の存在なのだと告げる。
しかも十年前、隼人の家族と友人達を殺したその相手こそ、体内に謎の金属生命ナノマシンを移植されたARMS達を手に入れ研究材料にしようとする、彼らエグリゴリであった。
己が勘違いしていたことに気付いた隼人と共闘し、涼とカツミはいったん危機を脱する。
しかし世界規模で軍事産業と各国の諜報機関をバックに持つ巨大組織エグリゴリは、涼と隼人を生け捕りにするべく、日本政府にすら手をまわし、さまざまな生体兵器を送り込んでくるなど、手段を選ばない暴挙に出てきて……


皆川先生の代表作、ですかね。
今まで読みたいとは思いつつも手が出せずにいたのを、コンビニ廉価版で見つけて手を伸ばしてしまいました。
本文634ページあります。単行本だと3冊分ぐらいになるのでしょうか。
ある日突然、謎の組織に狙われるようになった少年が、最初は敵だった相手を仲間にし、さらに少しずつ味方を増やし、己の能力や出生の謎に迫りつつ……友人が炎に呑まれるのを見て逆上、暴走、覚醒に至るまでが収録されています。
学校などではむしろおとなしくヘタレに近い普通の少年が、ここ一番というところでは驚くほどの冷静さと有能さを見せる。スプリガンの御神苗優やD−LIVEの斑鳩悟にも通ずる、まさに皆川作品お約束の主人公像でした。
そして最初に敵対した隼人少年は、ジャンっぽいですね。口は悪いし喧嘩っ早いけど実は情に厚く、女子供や仲間は身を挺してでも守るのが当たり前という、すっごく良いヤツです。涼を殺そうとしたのも、目の前で殺された家族や友人の仇だと信じていたから。誤解が解けてからは親友と書いてマブダチ状態vv

環境や肉体の突然の変化に戸惑い、己は化け物になったのではと悩み、いつか人を殺してしまうのではないか、心そのものが現実に戻れなくなってしまうのではないかと迷い苦しむARMS達の姿は、とても等身大です。けして他人にない能力を得て「オレTUEEEE、ヒャッハー」なんてかましたりはしません。
大切な人達を失い、復讐にとらわれていた隼人。過酷な非日常に押し潰されそうになりながら、それでも仲間を支えつつ人間であろうと念じ続ける涼。そして化け物だと嫌悪していた自分を、隼人と涼のお陰でようやく受け入れられた武士くん。
突出した才能を持っていたが故に周囲から排斥され、両親にすら受け入れてもらえなかった子供に、戦場に巻き込まれ瀕死の重傷を追ったあげくサイボーグ化された兄妹達。
……敵ですら切なく、辛い過去とある種の信念を感じさせるあたり、読んでいて惹きこまれました。

流し読みしてしまうのはもったいないので、これも一冊ずつじっくりめくりたいと思います。
ああ、また積読の山が(ry
No.6918 (読書)


 2015年06月27日の読書
2015年06月27日(Sat) 
本日の初読図書:
4534039719<鉱物の魅力がわかる> 天然石と宝石の図鑑
塚田 真弘
日本実業出版社 2005-09-29

by G-Tools
今回は小説ではなく、図鑑というか、解説本。
タイトル通り、天然石や鉱物について、フルカラー写真(もっぱら原石)付きでさらさらっと説明されています。パワーストーンとか石言葉的なお話よりも、成分組成の違いとか結晶構造とか、あと歴史や豆知識に重点が置かれている感じでした。でもそんなに堅苦しくもなく、文字数もページ数も控えめ。初心者向けの入門書ってところでしょうか。

以前、日月堂シリーズで薀蓄をかました尖晶石スピネルについてのあれこれとかも、しっかり載っていました(笑)
他にもキャッツアイ(一般的なの)とアレキサンドライトは、どっちも同じ金緑石クリソベリルだとか、こまごまと面白知識が。なるほど、だからアレキサンドライト・キャッツアイなんて、色変わりする上に光条の入った石なんかも存在するんですねえ……(納得)

B00EC4009Gアレキサンドライトキャッツアイ・ルース1.20CT
Jewel climb (ジュエルクライム)

by G-Tools

そして今回この本を読んで一番の収穫だったのは、青琥珀ブルーアンバーという石の存在を知ったことでしょうか。
……通常はとろんとした蜂蜜っぽいいわゆるコハク色なのが、太陽光(紫外線)下ではブルーに変わるって、それめっちゃロッドに似合いそう……ッッッ<そっちか

↓こんなのです(※上が蛍光灯、下がブラックライト照射時)



【ブレスレット】天然ブルーアンバー (最高級) (メキシコ産)
石流通センター

by G-Tools

今までロッドのイメージ石は、銀針水晶シルバールチルとか菫青石アイオライトとか虎目石タイガーアイだったんですけど、怒涛の勢いでこのブルーアンバーがランクインしてきましたvv

やっべえ、これでなんか一本書きたい……
だけどあの世界観、基本的に夜は蛍光灯でも電球でもなく、ランプとか蝋燭なんですよね。すなわち通常状態こそが太陽光。
むむむ……普段が青くて日が暮れてから琥珀色ってのは、いまいち話が作りにくいなあ。
夜会の時に身につけてて、周囲から「また地味な物を……」とかって陰口叩かれていたら、実は昼の光の下でこそ真価を見せる、最高級のレア青琥珀だったとかって展開はどうだろう。もちろん、プレゼントするのはフェシリアで★

夜にしれっと普通の琥珀のふりして手渡して、これぐらいなら……とロッドも気軽に受け取ったら、夜が明けてからアーティルトに青く変化してることを指摘され、そこで初めて超高級品だったと気づき、あの女……と毒づくとかどうだろう?

……って、これ既に読書感想じゃねえ(苦笑)
でも素敵なものを見聞きするとつい話を書きたくなるのが私クォリティだから、これはこれで正しいのか……?

ええと、あと意外だったのはローズクォーツは水晶じゃなくて石英(六角形に結晶してない)だとか、虎目石も石英の一種だとか、個人的に大好きなインカローズは長期保存時には乾燥剤を入れとかないと黒く変色する場合があるとか。
さらに樹木の化石がオパール化するウッドオパールは、条件次第で数ヶ月でできる場合もあるなど、いろいろ新たな知識を仕入れられたかと。
こうして欠片だけでもキーワードに触れておくと、いざ実際に小説とかでネタとして使おうと思った時に、「確か何かがあったよな……」と正確なところを調べる取っ掛かりになるので、便利なのです。

ただ私が読んだ初版では、数ヶ所誤字脱字が気になりました。
特に菫青石アイオライトの別名を「ウォーターファイア」と紹介していたのは、個人的に許しがたい。
正確には「ウォーターファイア」ですよ。角度によって透明にも濃蒼にも見える、不思議な石なんです。
これ、私は知ってたから気付きましたけど、知らなかったらそうなんだと信じこんじゃいますよね。
……他のところにも、私が気付かずに鵜呑みにしちゃった間違いがあったりないだろうな……(汗)
No.6912 (読書)


 2015年06月26日の読書
2015年06月26日(Fri) 
本日の初読図書:
「北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし(小説家になろう)
 http://ncode.syosetu.com/n7855ck/

他の土地に住む人々からは、口を揃えて「人間の住む場所じゃない」と評されるほど、過酷な北国ラップルランド。一年の半分は深い雪に覆われ、真冬には太陽すら昇ることない極夜が二ヶ月も続く。そんな辺境の土地を領地に持つレヴァントレット伯爵領の領主は、深刻に結婚相手を探していた。かつてはトナカイを引き連れて遊牧をしていた狩猟民族を先祖に持つ彼らは、異民族に迫害された過去を持つが故に外部の者を受け入れようとせず、長らく近親婚を繰り返してきた。その結果、寿命の短く病気がちな子供や、子供の出来難い体質の者が増えてきている。伯爵家の一人息子である彼、リツハルド・サロネン・レヴァントレットも、どうにかして子孫を増やさねばならぬと考えて、外部の血を持つ結婚相手を欲していたのだ。
いやそれ以前になによりも、あの寒く厳しく暗い冬を、たった一人で過ごす寂しさにはもう耐えられない。子供など生まれなくてもいいから、誰か自分の家族になってほしいのだ、と。
そう考えた彼は、やはり異国人であった父方の祖父を頼り、何年も前から遠い異国の地を訪れていた。年に一度だけ開催される各国の人々を招待する夜会は、上流階級の人々が結婚相手を探す場でもあったからだ。
しかしこれはと思う女性と出会い、婚約までこぎつけても、故郷へ招待した途端に逃げられること数えきれず。いつしか社交界にも「辺境の国の雪男」という悪名が広まってしまっていた。
そして十年目の今年。
二十八になったリツハルドは、運命的な出会いをした。
華やかな夜会でドレス姿の女性陣に囲まれていたのは、胸に多くの勲章を飾った鋭い眼差しの軍人だった。橙色の赤毛を短く切り揃え、きっちりと整髪剤で撫でつけている。猛禽類を思わせる灰色の目をした、背が高く肩幅も広い、がっちりと凛々しい姿の ―― 男装の、女性。
聞けば彼女は『紅蓮の鷲』と異名を取る、有名な軍人なのだという。昨年戦争が終わったので、伴侶探しにと今年の夜会に参加したらしい。
その溢れんばかりの生命力に魅了されたリツハルドは、引き寄せられるように、その場で彼女に求婚していた。悪名高い「辺境の国の雪男」の暴挙に、周囲を囲んでいた取り巻きの女性達などは、口々に非難してくる。
しかし彼女 ―― ジークリンデ・フォン・ヴァッティンは、驚くことに初対面の相手からの求婚を受け入れてくれた。
なんでも彼女は彼女で、早く結婚しなければならない事情があったのだという。しかし今さら普通の淑女のような振る舞いもできないし、貴族女性としての嗜みもない。それに長年軍人として男と対等にやってきたのに、この年になって夫を頼りながら生きるというのも、ちっぽけな矜持が許さない。
だがリツハルドの語るような、生きるためには男女の区別なく日々働かねばならぬ厳しい土地であれば、新しい自分の在り方を見つけられるのではないかと思ったのだと。
だからまずは、仮の夫婦として一年を共に過ごしてみないかとジークリンデは提案してきた。共同生活をしていれば、互いの嫌な所も良い所も見えてくる。それを知り尽くしてから、改めて本当の夫婦になるか、あるいは新たな領民のひとりとして友となるかを決めようではないかと。
かくしてジークリンデは、レヴァントレット伯爵夫人として、辺境へやってくることになった。
貴族とは名ばかりの田舎領主の青年と、軍人上がりの年上の妻。
契約で結ばれた彼らは、厳しい寒さに包まれた北欧の辺境で、狩りをしたり保存食や伝統工芸品を作ったり、閉鎖的な領民達と少しずつ歩み寄ったりしながら、共に日々を過ごしてゆくのである ――


契約結婚から始まる、対等な相棒かつ熟年夫婦な二人のほのぼのスローライフ的恋物語。
どうやらドイツあたりと北極圏ぎりぎりの北ヨーロッパ近辺をモデルにしたらしい世界観で、銃や蒸気機関は存在するけれど、モンスターや魔法は出てきません。あくまでどっしりと地に足ついた、日常を描いたお話です。
どうやら近いうちに書籍化される模様。本編完結済で、後日談的なあれこれもちょうどキリが良いところなので、読むならイマでしょ!

ちなみにかなりの頻度で飯テロ入りまーす(笑) あと脳内校正機能をフル回転必須なのが玉に瑕(苦笑)
そして狩った獲物の解体場面とかが普通に出てくるので、そこらへん苦手な人も要注意です。<R15>残酷描写も、たぶんそこの部分のために付けられている指定なんでしょうねえ。お話の内容自体は至極ほのぼのしてるんですが。

でもって。
どこぞの赤ゴジラ紫ゴジラな怪獣夫婦を思わせるこの二人。
奥さんことジークは軍人上がりでいかにもな女丈夫なんですけど、旦那も旦那でたいがいです。
見た目は三十過ぎても素で「雪の妖精」とか言われるぐらいの幻想的な美形らしいんですが、基本的には彼の一人称で話が進むので、そのあたりはあんまり描写も自覚もありません。むしろ自分では筋肉つきにくいとかってしょぼんとしてます。
しかしそこは腐っても生まれながらの狩猟民族の領主様。走ってる橇の上からでもトナカイ相手に銃を撃つし、がんがん獲物を狩ってきて捌きまくるわ畑仕事もこなすわと、きっちり厳しい雪国で一家を支える男の役割を果たしています。しかも家族がいないからと、本来なら女性の仕事である家事とかベリー摘みとかまで完璧にできるし、男勝りの奥さんを丸ごと受け入れて銃の撃ち方とかの助言も素直に聞くし、穏やかにしゃべりながら料理とか作ってあげつつ、要所要所ではごく自然に女性として扱いエスコートしてみせる。
いつも柔らかに微笑み、辺境に左遷されてきた素行の悪い兵士に殴られても怒らずさらっと流していた彼が、森を荒らす密猟者達に向けて見せた、たった一度の本気の怒り。それがまた格好良くて格好良くて……

おのれ、ヘタレ有能スキーを萌え殺す気か!!

しかも奥さんに対してはぞっこんなのがまた、微笑ましい。
本編は、ほとんど気の合う友人同士の共同生活だった契約結婚が、本当の結婚に変わるまでを描かれていますが、その後の番外編ではもう甘々です。ジークもすっかり奥さんが身についたというか、男言葉で狩りとか一緒にやるのは変わらないものの、キスされて頬を染めたりとかしてますし。
ってか、里帰りしたジークリンデの実家で、義理の家族達から「さぞ尻に敷かれて虐げられているのだろう」と同情されまくっているのをよそに、「……やだ、うちの奥さん可愛い」とかニマニマしてるリツって大物すぎるvv

なお活動報告に、小話が30KB分ほど投下されているので、そちらも必読です★
義理の姪っ子達に本気で妖精だと信じられている、ナイフ一本で獣を解体できるアラサー男って……(笑)
No.6910 (読書)


 2015年06月23日の読書
2015年06月23日(Tue) 
本日の初読図書:
「王立辺境警備隊ノエリア支部宿舎前、にがお絵屋へようこそ!(小説家になろう)」〜小話 カズハと鬼の攪乱
 http://ncode.syosetu.com/n7839br/

遠野和葉は、気が付くと落下していた。
踏みしめたはずのマンホールの蓋が存在せず、延々と落ち続けること数分。真っ暗だった景色が一転したと思った次の瞬間、視界を埋めたのは、目にも鮮やかな大空の青だった。
突然放り出されたはるかな上空。このまま墜落死するのかと悲鳴を上げた彼女を受け止めてくれたのは、鋭くも美しい大海のあおの瞳を持つ、精悍な顔立ちをした騎士だった。翼を持つ生き物にまたがり鎧をまとったその男は、和葉に問いかける。
「私は王立辺境警備隊ノエリア支部部隊長、アルベリック・レヴィナスだ。お前は何者だ?」
「わ、私は成都美術大学、油彩科二回生、遠野和葉」
かろうじてそれだけ答えた彼女は、もろもろのショックからそのまま気絶してしまう。
目を覚ますと、宿屋の一室に寝かされていた。なんでもそこは辺境警備隊詰め所の真向かいで、ひとまず警備隊預かりとなった彼女を、男所帯に泊まらせる訳にも行かないからという処置だったらしい。
そうして様々な聞き取りや説明を受けた結果、和葉は『落ち人』との認定を受けた。
なんでもこの世界には、時おり世界の壁を越えて、人や物がこぼれ落ちてくるのだという。めったにあることではないが、お伽話扱いされるほど稀でもない。おそらく今でも王都に行けば、一人ぐらいは会えるだろうとのことだった。
落ち人は、加護と呼ばれる不思議な力を備えていたり、この世界の常識にとらわれない知識を持つことから、監視・保護の対象となっているそうで。和葉もまた、当分の間この王立辺境警備隊ノエリア支部で保護されることに決まった。
彼女を上空で受け止めてくれたグリフィン・ライダー、アルベリック・レヴィナス隊長は、その強すぎる眼光とほとんど表情を変えない鉄面皮、そして堅物な性格から、町の人々に一歩遠巻きにされている存在だった。兵士としては優秀すぎるほど優秀で人柄も良く、部下や町の人々もそれは理解しているのだが、どうにも近寄りがたいらしい。
そんな彼が和葉を相手にする時には、どこかその表情を和らげるようで。
それに気付いた周囲の人々は、ここぞとばかりに二人を近づけようとするものの、いかんせんアルベリックはひたすら奥手で、和葉はどこまでも鈍い。
そうこうするうちに、にがお絵屋を始めた和葉の描いた絵が、加護の力によって異変を起こして ――

異世界トリップFTでラブコメ系。
書籍化が決まり、6月27日付で第三章までダイジェスト化されるとのことで、急いで読んでみました。
本編は完結済。第五章は番外編だし、最新話をちら見したらキリの良い所で終わってるみたいだと安心していたら、二部的な展開のお話が、かなり中途半端なところまでしか進んでおらず、最新二話は息抜き(?)に挟まれた小話でした(しょぼん)

基本的には勢いまかせの女子大生が、マイペースに動き回る一人称。
かなり個性的なキャラ&軽い文章で、心の声が外に駄々漏れだったり一人ボケツッコミとか多いせいか、話に入り込むまでにちょっと時間がかかりました。
落ち人の扱いとか、隣国との戦争とか、すぐ身近にある盗賊や魔獣の恐怖など、シリアスかつ高度に政治的な内容も関わってるはずなんですが、基本的にカズハちゃんにはほとんど知らされないまま進んでいきます。
……まあ彼女は彼女で、根っこのところではちゃんといろいろ考えているし、自分ができることを無理ない範囲で前向きかつアグレッシブにこなしつつ、それでも隠れて涙する繊細なところも持ってたりするんですがね。
でもやっぱり、カズハちゃんは本当に運が良かったなあと思います。拾ってくれた相手も、周囲の人々にも恵まれてた。
余所者として発言を信じてもらえない洗礼を受けても、それを跳ね返しつつ頑張ったら、きちんと報われてくれましたし。
本編完結後の第五章から登場する別の落ち人 結衣さんが、どれだけ酷い目にあってきたのかは、未だ具体的には語られていないけれど……彼女は彼女で苦労したんだろうなあというか、むしろこっちが普通のパターンだろうと思ってしまいます。 まあ、化粧品とか今でも失くさず持ってるあたり、そこまで追い詰められた訳でもないという可能性もありますが(苦笑)

ともあれ。
強面堅物鉄面皮な有能騎士(部下の忠誠度MAX)が、唯一を見つけて片思いこじらせつつ振り回されまくる展開は正義です。
ふたりきりの野営で日を過ごすたび、黙ってどんどん料理を豪勢にしていくあたりに、レヴィナス隊長の保護者オカン属性を見た……ッ!

あと個人的に、カズハに救われた結果ノエリアに配属されて、いろいろこき使われるソランさんがけっこう好きです。こういう、細かいところで気をまわせる、隠れ有能な下っ端キャラって良いですよねvv
No.6902 (読書)


 2015年06月13日の読書
2015年06月13日(Sat) 
本日の初読図書:
4063806863悪夢の棲む家 ゴーストハント(2) (KCx)
いなだ 詩穂 小野 不由美
講談社 2014-04-07

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翠さんが洗面所で血まみれ男を幻視。やっぱり心霊現象か?
より詳しい情報を収集するため真砂子を呼ぶ。
ブチ切れた広田さんが身分を明かし、ナルを殺人者呼ばわり。
広田さんが浴室で幻視体験。
サイコメトリ発動。浮かばれたはずのジーンの登場に麻衣が動揺。
ナルとぼーさんによる霊能力の定義についてレクチャー。
ジョンがやって来て、とりあえずお母さんの憑依霊を落とす。 ←イマココ


とりあえず、押さえておいて欲しかったポイントは、おおむね拾われていたと思います。
「見つかったのは腐乱して屍蝋化したミイラ同然の死体。解剖もできなかった!!」「……ナルの前でだけは死にたくない」の会話もあったし、リンさんがしれっと「なにか来たようなので、温度計を置いてみました」とか発言する場面もあった。そして広田さんが風呂場であれこれ見聞きして、どこからが幻覚だ……? と揺らぐエピソードからの、「今のが幻覚なら、今までのもそうじゃないか。つまり俺はそもそも正気じゃないんじゃないかと怖くなる」への流れはやはり、この話の重要な部分だと思うのですよ。 ……もっともシリーズ初期では綾子とか、けっこういい加減に見当違いの霊視を放言しまくってるけどね(苦笑)

……それにしても、こうしてマンガでいっきに読むと、ぼーさんの兄貴っぷりに惚れ惚れとしますな(笑)
誰かが悲鳴を上げたり不自然な物音をたてると、必ずすっ飛んでくるぼーさんマジ頼れる男。
ナルとも対等に討論できるし、揉めてればまあまあと仲裁に入る。あと原作にはなかった、地検と警察がどう違うかを判りやすく説明してくれたのもありがたかった。
期待していた「鬱陶しい前髪」からの「それ本人に言ったら馬鹿者だからな」「俺達にもな、いろいろあんだよ」もバッチリですvv ……そう言えばぼーさんが仕事にとりかかる前、後ろひとくくりから前髪を上げたハーフアップに結び直すシーンがあったんですよ。しゃべりながらのさりげない仕草だったんですが、もしかしてあれも「前髪が鬱陶しい」に繋がる伏線だったんでしょうか……?

若いとはいえ、SPRメンバーの中でただ二人の成人男子で、しかももう一人のリンさんがアレですからねえ。ぼーさんいなかったら、このチーム絶対、途中で依頼人と修復不可能なまでにトラブルぞ……(笑)

そして巻末に2015年初春に3巻刊行予定って書いてあるんですが、まだ出てませんよね。何か予定外のことでもあったのかな??
No.6884 (読書)


 2015年06月12日の読書
2015年06月12日(Fri) 
本日の初読図書:
4063806359悪夢の棲む家 ゴーストハント(1) (KCx)
いなだ 詩穂 小野 不由美
講談社 2013-06-07

by G-Tools
ジーンの事件が片付いても、ナルは渋谷サイキックリサーチを続けるとのことで、麻衣は変わらず日々をバイトに勤しんでいる。
そんなSPRにやって来た新たな依頼人は、買ったばかりのマイホームで異変が続くという女性 阿川翠だった。母と二人暮らしの彼女は、築20年ほどの家を購入して引越したのだが、それから半年ほどの間に電化製品が故障したり雑音だらけの奇妙な電話がかかってきたり、目を離した隙に物が移動するなどの現象が立て続けに起きているのだという。最近では母親の様子もおかしくなり、精神的にほとほと参り果てているのだと。
話を聞いたナル達は、自分達はあくまで心霊現象について調査するだけで、場合によっては自然現象や人為的なものである場合も有り得ると説明した。しかし翠に同行してきた広田という青年は、心霊現象や超能力などペテンだ、それを商売の種にする者も詐欺師だと事あるごとに力説してはばからない。
阿川家で調査を始めてからも、用心棒として泊まりこんでいる広田が、何かと口を挟んできた。ナルによってバッサリ一刀両断されてはいるものの、うっとおしいこときわまりない。
阿川家には、確かに奇妙なことが存在した。家の窓ガラスがすべて鏡に交換されていたり、人が入れるスペースのない家の外からノックの音が聞こえてきたりする。
おまけに隣の笹倉家の住人が、特に親しいという訳でもないのに、しきりと首を突っ込んでこようとした。親切ごかしに聞かせてくる内容によると、この家では以前に自殺者が出ているのだという。そのせいで何かとおかしなことが起き、住人が居着かないのだという話で ――


ティーンズハート版の頃から追っかけている悪霊シリーズ。
もちろんCDも揃えました。リライト版の新装単行本も持ってます。アニメも視聴したし、なかよし版のコミカライズもバッチリです★
そんな悪霊シリーズの後日談的続編が、なかよし版と同じ いなだ さんの作画でマンガ化です。
原作はホワイトハート文庫で上下2巻。こちらはリライト版に含まれておらず、文庫の方は絶版になっているので、今回のコミカライズで初めて読まれる方も多いでしょう。
……まあ、文庫版の古本も、一時よりはだいぶ値下がりしているようですが(苦笑)

406255156X悪夢の棲む家 (上) ゴースト・ハント (講談社X文庫―ホワイトハート)
小野 不由美 小林 瑞代
講談社 1994-03

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4062551640悪夢の棲む家 (下) ゴースト・ハント (講談社X文庫―ホワイトハート)
小野 不由美 小林 瑞代
講談社 1994-04

by G-Tools

で、内容はというと。
すっかりナルに対する恋愛感情が消え、持ち前の負けん気の強さを発揮して逆に(ある程度)振りまわせるようになった麻衣が楽しいですね。……リンさんも、原作だともう少し柔らかくなってた気がするんですが、さすがにページが足りなかったのか、ほとんど出番がなかったのが残念至極(しょぼん)

そう言えば掲載誌が変わったせいでしょうか。なかよし版に比べて、絵柄もだいぶ変わっています。ちょっと劇画っぽいというか、以前よりさらに凄みがUP。 ただ背景がやけに少ないような気も……?
特に隣家のBBAの話の通じなさっぷりが、クリーチャーっぽいキャラデザと相まって怖い怖い。

そしてこれは原作でもそうなんですが、広田さんがすげえうぜえ_| ̄|○

今まで買ったはいいけど積んでいたのも、もう少し話が進んで、広田さんが協力的になってからじゃないと読めないと思ったからなんですよね。同僚の心霊現象肯定派の女性が出てこないだけまだマシですけど、とにかくやかましい。彼には彼の仕事があるんでしょうが、それにしたって自分こそ翠さん達を利用するだけ利用しておいて、てめえが一番阿川家にストレスかけてんじゃねえか!? って言いたくなります(苦笑)

お話は、ひとまず異変の原因が人為的なものだと判明して、笹倉家のBBAに釘を刺したところまで。
翠さんがホッとして洗面所で髪を整えていたら、鏡に血まみれの影が ―― というところで、以下続く。
上巻のラスト一章を残すあたりまで進んでますかね。この配分だと全3巻ぐらいになるのかな?

とりあえず、広田さんが麻衣に「若い女の子はわからんな。そんなに金(バイト代)がほしいもんかね」と無神経発言して、さらっと返しに凹まされるシーンがちゃんとあったのが嬉しかったです。その調子でぼーさんに「お前もリンも、前髪、うっとおしい」っつって「それリンに言ったら馬鹿者だからな」の会話もきっちり入れて欲しいところです。

あと、風呂場で窓の外を見て『目』が合うシーン。
小説版では何度読んでも鳥肌が立つ、あれをうまいこと表現してくれてると良いなあ……
No.6881 (読書)


 2015年06月11日の読書
2015年06月11日(Thr) 
本日の初読図書:
「異世界で『黒の癒し手』って呼ばれています(小説家になろう)」〜幕間 第71.5話  シアン
 http://ncode.syosetu.com/n4353bc/

間もなく大学卒業を控えた女子大生 神崎美鈴は、女子会帰りに冬の夜道を歩いているところを、いきなり暗黒に包み込まれた。闇の向こうから伸びてくる、ミイラのように干からびた何本もの手。必死にそれらを振り払って ―― 気が付くと、大自然のただ中にある暖かな草原に座り込んでいた。
見慣れない草花をぼーっと眺めていると、ふいに頭の中へその名前や効能が浮かび上がってくる。
やあ、まあ……うん。これって……うん。ゲームの世界にでも迷いこんじゃったのかな。っていうか、異世界トリップ系?
小説とゲームが大好きなオタク気質の美鈴は、思わず笑ってしまった。試しにメニュー? ステイタス? と呟いてみると、自分の現在の状態も浮かんでくる。
称号:『異世界の旅人』
どうやらここは異世界で間違いないようだ。
それからいろいろと検証してみた結果、イメージをしっかり持ちつつ何らかの言葉を口にすることで、アニメやマンガなどで出てくるような魔法をだいたい使うことができた。お約束の「アイテムボックス」も使えたので、なくしたら困るものを入れておく。
そうして元の世界に戻る方法を探すためにも、まずはこの世界の住人と接触しなければと考えた彼女は、先の見えない街道をゆくよりも、脇道が向かう森の中へ入ってみることにした。時おり現れる魔獣を相手に魔法を練習しつつ、辿り着いたのは無人の小屋。すでに日も暮れかけていたので、無断侵入を詫びながらもベッドを借りて眠りにつく。
翌朝目覚めてみると、気付かぬうちに二人の男が小屋を訪れていた。いかにもな騎士の鎧を着た男達は、それぞれヴァンとシアンと名乗る。なんでもこの小屋は、貴重な薬草の群生地を保護する管理人が住んでいる場所で、彼らは危険な任務を前にその薬草を補充しにやって来たのだという。ところが小屋の様子を確認する限り、管理人は数日帰ってきていないようで。
あるいは森の中で遭難でもしているのでは……と探しに行こうとする二人に、美鈴も同行を申し出た。昨日の実験で回復魔法も使えると判っていたので、何か役に立てればと思ったのだ。
すると二人は、強い驚きを見せた。どうやらこの世界では、癒しの術を使える存在は貴重らしい。これはマズッたかと焦る美鈴だったが、言ってしまったものはもう取り返しがつかない。
案の定、骨折で動けなくなっていた管理人を治療する美鈴の手際を見た二人は、彼女に次の任務 ―― 凶暴な魔獣討伐に同行してくれないかと願ってくる。
「お前の安全は俺たちが命をかけて守ると誓う。だから、力を貸してくれ」
正直を言えば、危険な場所になど行きたくない。下手に目立って、巫女ルートや監禁ルート、あるいは生贄ルートや政略結婚ルートをたどるのもまっぴらゴメンだ。
けれど、たった一日の付き合いでも、この二人がとてもいい人だというのはよく判った。もしも自分が手伝わなかったことで、ヴァンとシアンが負傷したりあるいは死んだりする可能性を考えると、行かないという選択肢は考えられない。
かくして美鈴 ―― 改め、リィーン・カンザックは、二人とともに魔獣の討伐へと向かうことにした。だがそれは、この先、彼女が巻き込まれていくさまざまな出来事の、ほんの始まりに過ぎなくて……


アルファポリスで無料公開されているwebコミカライズの連載を読んで、最初はうーんと思っていたものの、だんだん面白くなってきたので、以前DLだけしていたテキストをようやく読んでみました。
……あいにく手持ちは第一部と幕間だけしかないんですが、まあこれはこれでキリの良い所で終わっているから、かえって良かったかもしれません。第一部だけで、文庫三冊分ぐらいありましたし。

いきなり異世界召喚され、オタク気質ですぐに大体の現状を把握。同じくゲームの要領で魔法を即座にハイレベルに使いこなし、ハンサムさん達に守ってもらいながら無自覚に成り上がり〜〜的な御都合主義満載なお話です。
それでも随所で重い部分もあり、ある程度猟奇描写もあるので、どっち方向でも苦手な方は要注意。

後見人になってくれるキラキライケメン王子様との関係も、けっして一方的に好意にもたれかかるのではなく、お互いにお互いの背景を考えた上で、判った上での利用をしあってるというのは、好みが分かれるところでしょう。私はギブ・アンド・テイクがはっきりしていて良いと思いましたが。
ヴァンさんもシアンさんも、忠誠はあくまで王子様にあり、もしリィーンが主君に不利益をもたらすようであれば、責任をもって自分が殺す、と誓うんですよ。安易に情には流されない。でも殺す時は自分がと宣言するぐらいには、強く思ってもらえてるし、その根底にきちんと信頼がある。
その上で、リィーンを『力が及ぶ限り』守る。それは肉体的な意味だけではなくて、たとえば貴重な癒し手であるリィーンは、ときにヴァンやシアンを見殺しにすることになっても、けして死んではいけない。それはこの先に救えるだろう、もっと多くの人々を見捨てることになるからだと、厳しくもはっきり言い諭す。
ヴァンさん、マジ兄貴。そしてシアンさんまじオカンやvv

ハイスペックかつ誠実なイケメンがガンガン出てきまくるのに、恋愛色が全然絡んでこないのも、この手の話では珍しいですね。まあリィーンが恋愛に疎いのはそれなりに理由があることが、終わりの方で明かされる訳なんですが。
webコミックの方はなろう版と異なり、かなり最初から『ラスボス』が関わってきています。なろう版だと確かにちょっと唐突感が否めなかったので、これはありでしょうね。っていうか、商業出版された小説版でも、あらすじ紹介見る感じ、そこらへんがだいぶ書き足されているようで。

個人的には、小説版の挿絵よりマンガ版の絵柄のほうが好みですな。
ただシアンさんの表情が、ちょっと優しすぎるかなあ。氷の貴公子が初対面から笑顔浮かべまくってるし。リィーン以外にどんな態度を見せてるのか、コミカライズの絵柄で見てみたいものです。
No.6880 (読書)


 2015年06月08日の読書
2015年06月08日(Mon) 
本日の初読図書:
「私の次の仕事は小説家の妻らしい。(小説家になろう)」〜番外編 集合 若葉目線。
 http://ncode.syosetu.com/n1295cp/

本当に好きなのはお前だけだとか言いながら、浮気を繰り返すダメ男の彼。おかげで面倒な女がとっかえひっかえ何度も会社に押しかけてきては、平手打ちをくらったり水をかけられるのももう慣れっこ。その日もヒステリックに叫ぶ女に頭から珈琲をぶちまけられて、岸元若葉はついに切れた。
人事部の部長から、次に同じような事があれば対処を考えなければならないと、宣告されていたこともある。彼が好きなのは私なの! と泣きじゃくる女にあんな男くれてやると言い捨てて、若葉はそのまま人事部へ向かい、会社を退職した。
そうして実家に戻って見合いでもしようと、会社の寮を出て荷物片手に駅へ向かっていた途中のこと。ダメ男から携帯に連絡が入る。本気じゃないだろう? お前はいつも許してくれた。別れたくないから結婚しよう! などとほざく男に、思わず殺意が芽生えた。
「ふざけんな! あんたと結婚するぐらいなら、見ず知らずの行きずりの男と結婚した方がましだ! 死ね!」
そう叫んで電話を切った途端、いきなりその腕を掴まれた。まさかダメ男かとふり返った先にいたのは、どこか不安そうで必死な面持ちをした……見知らぬイケメンだった。
「あ、あの、お、俺と……俺と結婚してください」
「………はい?」
なんでも、もともと海外小説の翻訳をしていた彼、中里葉瑠は、最近自分でも小説を書くようになったところ、それなりに売れてくれたのだという。すると途端に親戚の娘がつきまとってきて、勝手に婚約者を自称して留守中の自宅に上がりこむなど、完全にストーカー化。その親もすっかり乗り気で結婚しろ、式場も手配するからと言い出し、このままでは本気で押しかけられかねない状態らしい。
とても耐えられなくなった彼は、他に結婚を考えている女性がいるからと嘘をついたものの、実際にはそんな相手どころか、恋人のふりをしてくれるような女友達すら存在しておらず。
「さっき、電話で貴女が喋っていたのが聞こえて………貴女なら俺を助けてくれるんじゃって思ってしまって………」
もちろん、あなたに他に好きな男ができたら別れるし、戸籍にバツをつけてしまうことに対しての慰謝料も払う。生活費に加えて、月に十万ぐらいなら小遣いだって出せるから、と。
懸命にそう訴える葉瑠は、イケメンなのに気弱そうで、それでいてそばにいるとどこか癒やされる、穏やかな空気をまとっていた。若葉がいくつか出した条件にも、できるだけ応えたいと、心よい返事をしてくれる。
ちょうど仕事も住むところもなくしたばかりだ。これはこれで助かると、若葉はその場で婚姻届に署名した。
かくして若葉は、小説家の妻という、新たな仕事に就くこととなって ――


ば く は つ し ろ !!
……としか言いようがない、契約結婚から始まる両片思いなのにイチャラブな、美男美女ハイスペック砂吐きカップルのお話。
完結済みで、現在、後日談的番外編をちょこちょこUPされています。
実力できっちり稼ぐイケメンのくせに超草食系で、人付き合いが大の苦手。歴代の押しかけ彼女にはねだられない限りキスすらしなかった葉瑠さんが、どんどんどんどん普通の男 ―― というよりむしろ、待てのできない犬になっていくあたりが微笑ましいやら、若葉ちゃんが気の毒やら。
葉瑠さんの家族を含めた周囲の人物たちも、なんというかキャラが濃すぎ(褒め言葉)
みんな葉瑠さんが大好きで、ほとんどコミュ障の引き籠もりに近いうえ女性運が悪い葉瑠さんを心配していたので、彼を幸せにしてくれそうな若葉ちゃんを、諸手を上げて歓迎してくれてます。
若葉ちゃんが若葉ちゃんで、また男運が悪いというか、裏でめちゃめちゃモテていたのに、なぜそれに気付かずアレに引っかかってた……という有り様。
そんな二人の新婚生活は、まるで熟年夫婦のような穏やかさ。
両片思いですれ違ってるうえにどちらも辛い過去持ちなのに、でもいっこうに暗い雰囲気にならないあたり、ポイント高かったです。
そして前彼カス男はしっかり見返され、二人はこれから幸せに暮らしますという、お約束的展開が安心して読めました。
番外編は、葉瑠さんや若葉ちゃんの友人たちを中心にあれこれと。
個人的には、上杉さんにも早く幸せになって欲しいものなのですが(笑)
幼馴染でざっかけない口をきける、でも心の中ではすっごく案じてくれてる同性の親友ポジションって良いですよね……
No.6875 (読書)


 2015年06月07日の読書
2015年06月07日(Sun) 
本日の初読図書:
4125013217トゥルークの海賊4 (C・NOVELSファンタジア)
茅田 砂胡 鈴木 理華
中央公論新社 2014-11-29

by G-Tools
結婚し還俗していたライジャの両親が、再び僧侶として迎えられることとなった。しかも惑星全体でも百人と存在しない、最高位ドルガン・ドガールという階位でだ。
二人は夫婦のまま、俗世間での仕事も続ける在宅出家という形をとる。男女が触れ合うことについての戒律も大幅に見直され、家族の絆は尊重するという方針に向かっていた。その先駆けとなった二人の叙任式は、誇張ではなく、トゥルークの歴史と宗教のありかたに大きな影響を与える、世紀の大イベントである。
ジャスミンは数少ない対等な女友達であるエルヴァリータの晴れ舞台に駆けつけたいし、かの夫婦もまた、自分達が昇格するきっかけとなったルゥに、ぜひ参列してほしいと招待状を送ってくる。
しかし先日の大潮やトゥルークの僧侶たちに散々な目に合わされたダイアナは、二度とあの星には降りたくないと、断固拒否する。行く先々で、感応力の強い高僧たちに拝まれまくるルゥも、まったく同じ意見だ。
また一方で、宇宙に何の興味もないリィ達がトゥルークで貴重な経験をしてきた事を知ったジェームズは、自分が素人にも劣る『子供』であると感じて強い不満を覚えていた。『あの』辺境最速の船長ダン・マクスウェルの息子でありながら、お前はトゥルークについてすら何も知らないのかと。周囲からそんなふうに言われて反発した彼は、進学せず中学卒業と同時に宇宙へ出る。そうして現場叩き上げの船長になるのだと言い出す。
周囲の大人たちは口を酸っぱくして止めようとするが、ジェームズはまったく耳を貸さなかった。特にダンなどは、自分もかつては同じことをして成功を収めているだけに、いくら今は時代が違うのだと言っても、まるで説得力がない。
一同、頭を抱える中、いっこうに理解を得られないとすねまくったダイアナとルゥは、手に手(?)を取って、駆け落ちを決行して ―― !?


微妙にラストが駆け足だった、「トゥルークの海賊」全3巻の後日談。
あちらこちらで生じたこまごまとした波紋が、どんなふうに収められていったかが補足されています。
目次こそ分かれていないものの、小ネタ短篇集といった雰囲気が強かったかな。
大潮の時に、ケリー@パラス・アテナが必死な割に余裕をかましているように見えた《アルベルティーナ》船内が、実はけっこう洒落になっていなかった光景&無事着陸してからの一同取り揃った宴会シーンとか。
ダイアナとビーティの感応頭脳同士の会話と、それに参加するブライアンとリーヴス博士(ランバルトの息子とその母)とか。
ティラ・ボーンに帰ったあと、リィとシェラがトゥルークについてのレポート発表を行った結果、聴衆たちは阿鼻叫喚、そしてジェームズが厨二病をこじらせて家出寸前になるとか。
『駆け落ち』したルゥとダイアナを追って、怪獣夫婦がピグマリオン II とミニヨン星系に行ったりとか。
一番の見どころはもちろん、ダレスティーヤとエルヴァリータの叙任式なんでしょうが、ラストのラストでまたもランバルトに持って行かれたりとか(笑)

まあそんな感じで、よくも悪くも同人誌っぽかったです。
イラストも遊び心満載。表紙も表紙だけど(裏表紙がまた笑えるんだvv)、子供っぽい我がまま言うジェームズを物陰から見ながら「ゴゴゴゴゴッッ」ってなってるジャスミンと必死で止める金銀天使とか、どんだけ楽しんで描かれたんだかvv
あと叙任式の衣装は、なんというかやり過ぎ(褒め言葉)

ランバルトがうねうねしてるルゥの髪をワシっと掴んで三つ編みしたら、なぜか髪がおとなしくなるというエピソードに萌えました。
リィがやると余計に止まらなくなるという話でしたけど、ケリーも総帥時代にやってましたよね。三つ編みにしてもビッタンバッタン暴れるから、ベッドに括りつけたんだったか。
そこらへんでも、ケリーはまだまだランバルトにかなわないんだなあとか(苦笑)
ビバ、最強爺ってことですな。

ところで今回もちょっくら気になった点が。
ダイアナはケリーの義眼を通しても、相手の位置が把握できるだけで、具体的に何をやっているかは判らない。プライベート上の問題もあるからという描写があったんですが。
……義眼を通して長年その記憶と経験と思考パターンをデータとして記録してきたからこそ、ケリーはクローン体に人格を移植するという技術を実行段階に持って行けたって設定じゃなかったですっけ??
No.6874 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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