よしなしことを、日々徒然に……



 2015年07月23日の読書
2015年07月23日(Thr) 
本日の初読図書:
4072981982薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)
日向 夏 しの とうこ
主婦の友社 2014-08-29

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あらすじについては、以前単行本版を読んだ時に(以下略)
ざくっと言えば、古代中国っぽい大国の後宮を舞台に、マッドサイエンティスト体質の元薬師の下女が、謎めいた美貌の宦官に目をつけられ、皇帝の寵妃の毒味役というある意味天職に転職。その豊富な専門知識を駆使して、陰謀渦巻く宮廷内で起こる大小様々な事件の謎解きをしていくお話です。
あと本気の相手には途端に奥手になる不器用者と、自分の恋愛方面には激ニブによるすれ違いまくった恋模様(未満)も入ってるかな。

文庫版で出直した時、イラストが綺麗だった&コンパクト&安くなったことで「しまったこっちを買いたかった!」と思ったものでした。その後さらに続編が出版され始め、それでもまだ我慢していたのを、ついうっかり勢いでポチッとな。

「単行本に比べて大幅改稿」とあったものの……正直、どこが変わってるかよく判りませんでした(苦笑)
壬氏がちょっと人間らしく ―― というか、歳相応の青少年っぽくなってたかなあ、って印象でしょうか。
あ、阿多妃が後宮を出る前の晩の、壬氏と猫猫とのエピソードが足されてたのは良い感じでした。壬氏と「あの人」が、夜中にお酒を酌み交わせる間柄だったというのも、ちょっと嬉しい。
そしてイラストが表紙だけだった単行本版とは異なり、ヒーロー文庫はカラー口絵もモノクロ挿絵もいっぱいなので、それが一番楽しめました。高順もモノクロ一枚だけどあったし。できればヅカ的な男装の似合う麗人、阿多妃のイラストも見たかった……ああでも続刊があることを思えば、2巻目以降で期待できるのかも(わっくわっく)

なお、帯とか煽り文句では「ミステリー」と称されているこの作品ですが、猫猫は基本的にトリックを解明するだけで、事件そのものにはほぼ関与しません。一部例外はあっても、おおむねは安楽椅子探偵的な?
下手すると犯人の名前どころか、被害者の身元すら知らない始末。こういう事件が起きた、なにか心当たりはないかと問われて、猫猫がこういう可能性がありますとか話すと、それを元にあとは壬氏さんらが事件を始末。でもこの話はほぼ9割猫猫視点で進んでいくため、彼らが誰に対して何をやってどういう手を打ったのか、詳細については読者に対してすら謎のままです(苦笑)

前にも書きましたが、WEB版未読の状態でこの1巻目を読むだけだと、よっぽどライトノベルに慣れた人じゃなきゃ、壬氏の立場とか正体とかを察するのは厳しいんじゃないかとか。
まあそこらへんは、文庫化に伴い続編が出てる訳ですから、そこで詳しく語られるんでしょうが。

ところで私がどうしても読み解けないのが、風明は果たして十六年前に死んだ赤子の素性を知っていたのか否かです。彼女は秘密の共有者だったのか、それとも違うのか。
当時、阿多妃が伏せっていたことを思えば、実行犯として動けたのは彼女だけだろうと思うけれど、でもそれ以降に彼女がやったあれこれを思うと、やっぱり知らなかったとしか思えないんだよなあ……むむむ……(悩)

あ、なおWEB版の方は、削除されずに残っています。
というか、書籍化後に大幅改訂されたらしいのですが、そちらはなんだかんだで読めてません。どれぐらい変わったのかな……?

購入前に雰囲気を知りたい方は、参考にしてみられるのもいいのでは。

■薬屋のひとりごと
 http://ncode.syosetu.com/n9636x/

「後宮編」までが、この1巻目に相当します。
No.6963 (読書)


 2015年07月22日の読書
2015年07月22日(Wed) 
本日の初読図書:
4907203209霊感動物探偵社6 (LGAコミックス)
山内 規子
青泉社 2014-11-20

by G-Tools
立夏がシキの散歩中に出会った、ミニチュア・ピンシャーの霊をつれた女の子 万里絵。彼女はその存在を感じ取っており、時折り姿も見えているとのことだった。しかし兄も養父母もそれを信じてくれず、ピッピはもう死んだ、馬鹿なことは口にするな、気持ち悪いなどとたしなめられているという。彼女の境遇に己の幼い頃を重ねてしまった立夏は、万里絵のことを放っておけず、何度か言葉を交わすうちに懐かれていった。ピッピが死んだのは四年前、強盗により万里絵の両親が殺され、家に放火された事件の時だった。万里絵の兄である千尋や、生き残った二人を引き取った叔父夫婦は、なにやら立夏のことを警戒しているようで。これ以上万里絵にかかわるなと釘を刺されてしまうのだが……「ユーフォリア」
童話に出てくるお菓子の家のような可愛らしい邸宅の前で、立夏はリスザルの霊と出会った。お菓子の家に住んでいるのは、近所の人々から魔女ババアと気味悪がられる、黒ずくめの老女ただ一人。そしてその近くでは、二ヶ月ほど前に子供が川に落ちて行方不明になる事件が起きていた。行方不明になった子供の友人だという自称太郎少年は、泳げない彼が川に近づくはずがない、あの魔女に捕まって家の中に閉じこめられているのだと主張する。そうしてなんとか内部に忍び込もうと画策していて……「お菓子の家の魔女」
ルリが突然、見知らぬ人間から追いまわされるようになった。原因はネットに掲載された、迷い猫の広告。賞金100万円がかけられたその猫の写真は、ルリにそっくりだったのだ。目撃情報を聞いて現れた広告主は、運転手付きの車に乗ったお金持ちの若奥様。なんでも病床にある夫の飼い猫が行方不明になってしまい、それが知れたら夫の生きる気力をも奪ってしまうのではないかと心配しているらしい。彼女は本物が見つかるまでの時間稼ぎにと、ルリに身代わりをさせて欲しいと頼んできて……「いなくなった猫」
立夏が取っている講義の担当である松沢準教授は、かなりきつい性格の女性だった。直属上司である小早川教授に近づく女学生には、あからさまな牽制を向けているという。しかし教授の方はただの部下としか思っておらず、おまけに彼は妻子持ち。片思いをこじらせた結果のイライラだろうともっぱらの噂だった。立夏もまたちょっと立ち話をしていただけで、教授に近付かないでとはっきり言い切られる。そんなおりもおり、立夏は大学裏手の雑木林で、首吊り姿の幽霊を見つけてしまった。小早川教授の教え子だったという女学生の霊は、『先生』に殺されたのだと呟いており……「夕暮れの未確認飛行物体」


作者買いしている山内規子さんのシリーズ。
この方の連載作品というだけでも珍しいのに、6冊も続いているのはこれだけだと思います。
幼少時から理解者を得られなかったが故に、ルリ・シキ・クロハの三匹にしか心を開かずにきた立夏も、高倉という仲間を得、さまざまな経験を繰り返すことで、だんだん世界を広げてきています。
事件で関わった人々も増え、中には二度三度と再登場する人達も。
今回の「ユーフォリア」などは、ただ霊に懐かれて巻き込まれるのではなく、むしろ立夏の方からかつての自分を思わせる少女を助けてあげたくて、積極的に関わって行ってます。成長したなあ、立夏。
お話の結末も、ある種お約束というか、パターン化されてきていたこれまでと少し変わった話が混じってきてました。
すべてを暴けばそれで良いのか。真相を明らかにすることで起きてくる影響は、本当に正しいのか。深いです。
「いなくなった猫」も、ちょっとタイプが違いましたね。年の離れた資産家の夫に心を砕くけなげな若妻と、彼女を財産目当ての悪女だと告発し、立夏のやったことは大恩ある旦那様を騙す共犯だとなじる運転手。どちらの言葉を信じるべきか、悩み揺れる立夏が切ないです。
そんな彼女をしっかり支え、立夏を騙した相手にきっちり落とし前をつけた高倉は、久しぶりに男を上げたぞ!!
……それ以外では、いつもにもまして影が薄かったですが(苦笑)
この二人の仲がちっとも進展しないのは、ほんとにもうお約束で諦めてもいますけど、270ページでキスひとつしないって、お前らほんとに付き合ってる成人男女かと小一時間。画面に描かれない場面でいちゃついてる訳でもないんですよ? 下手すりゃこいつら、手もろくに握ってねえよ……
まあ、この巻は特に、これまで動物と高倉と幽霊しかいなかった立夏の世界が、主に大学内とかの同年代あたりで広がっていく感じですから、大人の高倉さんはどうしても見守るスタンスになっちゃうんでしょうけど。
でも高倉、油断してて立夏を若い男に取られちゃっても知らねえぞ〜〜
No.6962 (読書)


 2015年07月21日の読書
2015年07月21日(Tue) 
本日の初読図書:
「月が導く異世界道中(小説家になろう)」〜次の一手
 http://ncode.syosetu.com/n0942bb/

弓と時代劇を趣味とする、ごく普通の男子高校生 深澄真(みすみまこと)。
そんな彼は、ある日突然、異世界へ召喚されることになった。なんでも真の両親はもともとその異世界の出身であり、そこの女神に頼んでこの地球 ―― 原初の世界へと転移してもらったのだという。その時に交わされた契約が、「いつか大切なものを一つ捧げよ」だったらしい。
そして、ちょっと眠っている間に自分の世界でヒューマンと魔族が戦争を始めていたと知った女神は、かつての契約を思い出し、真を勇者として召喚することにしたのだという。女神は直接原初の世界には介入できないため、仲介に立ってくれた三貴子の一柱 月読様は、真にとても心を砕いてくれた。丁寧な説明と残してゆく家族へのフォロー、そして少しでも足しになればと力まで分け与えてくれた月読様に感謝しつつ、真は女神の元へと召喚される。
ところが真を一目見た女神がのたまったのは、「あんた不細工ね〜」という言葉だった。
「あんたに力与えるとかマジ無理だから。悪いけどさっさと視界から消えてくれる? 存在がもうキモイし」「私の世界のサーガに相応しい勇者を、もう別に手配したから。あんたは精々私に迷惑掛けないように世界の果てでじっとしてなさい」「言っとくけど。私の美しい世界の住民たちにあんたの醜い胤をばらまくんじゃないわよ? 結婚も勘弁してね、世界が汚れるから」
散々な暴言をぶつけてきたあげく、女神ははるかな上空へと真を放り出した。普通のヒューマンであれば、墜落死間違いなしの高さから。
しかし、真は原初の世界で育った存在であった。魔力を体外に出すことすらできず、神の祝福すらまともに届かない、あらゆる世界の中でも屈指の過酷な環境が、原初の世界の地球なのだという。その中で生まれ育ってきた真は、本来この世界のヒューマンが持ち得ないほどに頑強な肉体を得ていた。
さらに女神の暴挙を見ていた月読様が、力を貸してくれる。
彼もまた、一連の女神の身勝手ぶりに腹を立てていたのだ。
“このような事態だ。勇者の役割もあの女神自ら剥奪しおったし。もう遠慮はいらぬ。月読の名において許す。汝、深澄真よ。新たなる世界においての自由を認める。好きにせよ!”
そうして月読様の加護を受け、亜人や魔獣達の棲む最果ての荒野に落とされた真は、さまざまな人外の存在達と出会い、交流しながら、我が侭な女神の趣味により美しいヒューマンのみが存在を許されるという、いびつな世界を力任せに生き抜いてゆく ――


10日ちょいかかって、ようやく最新話まで到達しました(苦笑)
番外編まで含めると、実にトータル4MB超。ラノベの文庫換算で、ざっと13〜5冊ぐらいにはなるでしょうか。しかもまだ連載中。さすがに疲れた……
なお既に三章の途中までが、書籍化されてダイジェストに差し替えられています。そのダイジェストはダイジェストで、該当部分を別視点から書いたような形で1冊分ぐらいはあり、元を知っていると非常に面白くはあるのですが……やはり元の話が降ろされちゃうのは切ないですねえ。
とりあえず、書籍化の情報(特に某出版社)を目にしたら、できるだけ保存しとくように心がけつつも、なかなか手がまわりきらなかったり、その時点ではあまり興味を持ってなくてスルーしちゃって、あとから悔やみまくることが多かったりします(しょぼん)

今回テキストを読み始めたきっかけは、WEBコミック版の連載が始まったので、試しに読んでみたら月読様が素敵だった★ の一言に尽きるのですが(笑)<むやみに美形
読み進めていく内に、いい意味でいろいろと裏切られたり振り回されたりで、すっごく長い上にそれぞれの番外編を読むタイミングを見計らうのとか非常に面倒だったのに、結局最新話まで読みきっちゃいました。

最初は巻き込まれ型のごく平凡な高校生が、異世界の感性&チートで無敵にやらかす話だと思っていたら……いやそれはあながち間違いでもないんですが、どうしてどうして。
ただちょっと弓が上手いだけの、ごく普通の男の子かと思われた真少年、話が進む内にどんどん常軌を逸していきます。しかも本人には、ほぼ最新話近くまでその自覚がありません。
平和ボケとも言える道徳観念を叩きこまれた現代日本人の感覚と、敵意を向けられたら誰に対してでも容赦をしない冷酷さ ―― いや、身内以外の『他者』に対する無関心さが、絶妙なバランスで同居している。その危うさが読んでいてハラハラさせられつつ、目を離させません。
彼に忠誠を誓う従者たちも、根底では主人最優先でありながら、けっこうそれぞれの思惑で動いている。
巴なんかは従者だけど、どちらかと言うと主に試練を与えつつ成長を導こうとしていくスタンスだし、澪は逆に真が望むなら己はもちろん世界すべてを滅ぼすことすら厭わない。そして識は……彼はなんだろう。研究者として、知識を探求する者として、真が成し遂げる予想もできない『未来』を見てみたいが故に、あえていろいろなことを伝えずに伏せていたりする。
それでもこの三人の全ては、真のためにある。ビバ主従vv
特に識に関しては、見た目がイケメンなこと、甘党かつけっこうヘタレなこと、一見常識人のように見えて実際には比較対象が悪いだけで、めちゃめちゃハイスペックなワーカーホリックかつ超絶人でなしなところとか、いろいろツボをつきすぎててたまりません。
真がランサー達に負傷させられた時も、冷静に事情を聞いていたようでいて、その実内心で激怒してたあげく、後日ランサー達の痕跡(?)を見つけた途端、「我が主に血を流させた事、懺悔しながら死んでもらわなくては」って豹変するとか楽しすぎるvv

ただお話的には、けっこう風呂敷が広がりまくってるというか。
最初は勘違い要素を含みつつ最強チートな冒険者になるのかと思えば、商会を立ち上げて店をやり始めたり、ほのぼの建国要素もありつつ、いきなり学園モノに移行して……魔族との戦争や各国及び別に召喚された他の勇者との高度に政治的なあれこれも混じったかと思えば、諸国漫遊してみたり。
あれ? このキャラ重要になるんじゃないの? あのアイテムはどうした?? 意味ありげに持っていったアレは結局どうなったの??? などなど、けっこうあっさり放置されるエピソードとか、相当あとになってようやく回収される伏線とか、かなりあります。今はアベリアがどうなってるのかと、ソフィアの死体の行方、真の本来の才能は何だったのかとか、ルトの目的あたりが気になるかなあ……

なお前述の通り、主役はかなりいろいろやらかします。
現代日本人の感覚で「戦争は良くない。関わるつもりはない」と口では繰り返しながら、同時に「冒険者になったり戦場に出ている以上、殺される覚悟はできているはずだ」と、罪悪感もなくあっさり大量虐殺かましたりします。
そこらあたり、読む人をかなり選ぶかもですねえ。個人的には、いつまでも状況を受け入れず、地に足付かない理想を空回りさせた結果、大事なものを守りきれない甘ちゃんよりも、こっちの方が好みなんですが。

四章目終盤あたりからの、四人目の従者の真意とか、月読様にいろいろ頼まれた地球その他の神々たちが、真の行動をどう評価するかがまた気になって気になって……これでバッドエンドになったら泣くぞ……?
No.6958 (読書)


 2015年07月06日の読書
2015年07月06日(Mon) 
本日の初読図書:
「公爵様と仲良くなるだけの簡単なお仕事(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n2721co/

貴族とは名ばかりの貧乏子爵プリマロロ家の娘ユードラは、気がつけばすっかり行き遅れてしまっていた。
通常の貴族であれば、遅くとも18歳で婚約、19には結婚しているのが普通だというのに、彼女はすでに22歳。早くから王宮で下働きを続け、早十年が過ぎている。鏡に映る顔は、さながら人生に疲れた三人の子持ち主婦のようだった。
このままではいけないと、今さらながらに思う。家族の為と思って頑張って来たが、これでは働き詰めで何も楽しい事を知らず、箒を握り締めたまま人生の終わりを迎えてしまう、と。
大恋愛をしたいとか、そんなことまでは望まない。それでもせめて、キラキラしたお綺麗な顔の王子様とか、生真面目で融通の聞かない騎士様とかを、木陰から愛でるだけならば許されるだろう。
そう考え、下働きから侍女への配置転換を願い出た彼女に、上司は助かったという顔で人事異動の話を持ち出してきた。
いわく、
・高貴な方にお仕えするお仕事です。
・主な仕事は軽いお世話等。
・秘密厳守。
王宮で働き始める時にも示された、特におかしな就労条件ではない。だが何やら不穏な気配を嗅ぎとったユードラは、この件は断ったほうが良いと判断した。ところが上司は手首を掴み、無理やり契約書類へと署名させてしまう。
かくして彼女が配属されたのは、国内唯一の公爵である、ユースティティア家の屋敷であった。
住み込みで衣食住は保証の上、給料はこれまでの倍以上。あてがわれた部屋は召使い用とはとても思えない、立派な個室。そしてユードラが専属で世話をするお相手は、今年で三十二歳になる公爵家の跡取り息子レグルスだった。現国王の甥でもある彼は、去年開催された御前武道会で準優勝という素晴らしい結果を残したという。しかも王族の皆様は揃いも揃って美形なのだから、きっと毎日目が洗われるような良い思いが出来るのではと、開き直ることにした。
しかし仕事着とは思えない上等な衣服を着せられてレグルスの執務室を訪れたユードラに対し、仕事中だった彼は瞠目した次の瞬間、机の下へと身を隠してしまった。覗きこんでみると、一瞬にして涙目になる。
なんでもレグルス様は、極度の人見知りだということだった。見た目は極上の美丈夫なのにもかかわらず、家族や使用人達にも怯え、人前ではしゃべることも飲食もいっさいしないらしい。世話係となったユードラに対しても、口をきくどころか目すら合わせてくれない始末。
一ヶ月が過ぎてもまるで変わらないその関係に、困り果てたユードラは、まずは手紙という手段で意思疎通を図ることから始めてみようと思い立って……


北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし」を書かれた江本マシメサさんの別作品。主従関係から始まるドタバタラブコメ、完結済。
どうやら世界観を同じくする作品が他にも複数あるようですが、北欧〜とのリンクはないみたいです。たぶん。
ハイスペックなくせに自分にまったく自信がなく、他人どころか家族とさえまともに会話や食事ができない公爵家の跡取りさま。被り物をかぶって筆談でのやりとりができるようになるまですら、数ヶ月を要したというのに、終盤の「え? そうくるの??」展開あたりからの彼は、一生懸命がんばっています。被り物こそ復活しちゃったけど、口数はびっくりするほど増えました。
っていうか、これ、ぜひレグルス視点の番外編が読みたい……(笑)
特に隠密機動局の仕事のため、夫婦設定で帝国(ロシアがモデルなのかな?)に潜入した際の挙動不審ぶりとか、寝ぼけてやらかしちゃったあれこれとか、ユードラはさらーっと「潜入のための役作り」と解釈して流しちゃってますけど、いやいやいや、違うから! 旦那様すでにこの段階でめっちゃ貴女を意識してますから!!
帝都到着後たったの一泊二日で任務達成とか、よっぽ貴女の身を案じたんじゃなきゃ不可能だからっっっ!!

途中で怖気づいたというか、最初は鈍感なふりをして周囲の状況や自身の感情に気付かないようにし、目を背けきれなくなった後は、常識を考えて身を引こうとしたユードラの思考は、読者的にはイラつくかもしれないけれど、ごくまっとうな感性を持つ普通の女性の当たり前の反応だと思いました。
ってか、マリリンさんが後押しするつもりで薦めた本のチョイスが悪いよ、これは(苦笑)
知らない内に外堀を埋められまくって、逃げ道全部ふさがれた彼女は、冷静に考えるとかなりお気の毒。
でもまあ、レグルスさん本人との絆は紛れもなく本物かつ真摯なものなので、結果オーライ的に幸せになれたのは良かったんですけどね。 ある意味これ、周りからヤンデレルートを強制されたっていうか……

……ただこの方の作品は、微妙に文章が荒いのが気になる……誤字脱字変換ミスに単語飛ばしまではまだしも、今回なんてキャラクターの名前まで間違ってるってのがなあ……二つ名『虹の道化師』さんは、結局ジョクラトルさんなのかジョクトラルさんなのか、それともジョラクトルさんなのか。あまりに混在しすぎていて、どれが正解なのか判らないよ……(−ー;)
No.6935 (読書)


 2015年07月05日の読書
2015年07月05日(Sun) 
本日の初読図書:
4063714578Q.E.D.証明終了(50) (講談社コミックス月刊マガジン)
加藤 元浩
講談社 2015-02-17

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燈馬の大学時代の友人で、しかも同い年。計算の達人と称されていた燈馬と並ぶ「実験物理の天才」サリー・ブライス。彼女が起業した実験観測装置の会社で、製品に関するトラブルが連続して起きた。世界各地のさまざまな実験施設において、ブライス社が納入した冷却装置が何者かによって停止させられたのだ。果たしてこれは、ブライス社を狙った犯行なのか。ならば犯人は、と。サリーは燈馬に相談を持ちかけてきて……「観測」
加奈の元へと差出人不明の謎の手紙が送られてきた。指定した廃ビルに、設計図の通りのエスケープゲーム会場を設営してほしいというのだ。謝礼として20万の現金も届けられたため、加奈は依頼人本人にそれを返却するべく、燈馬を巻き込んで会場を準備する。しかし開催日当日になっても依頼人は姿を現さず、代わりにやってきたのは「賞金100万円」と書かれた招待状を手にした五人の男女だった。しかたなく彼らと共にエスケープゲームを開始した燈馬と加奈だったが、会場には二人が気付かぬうちに様々な改造が施されていた。爆弾付きの扉で閉じ込められてしまった一同は、やむなくゲームを先へと進めてゆく。参加者の一人である元刑事によると、どうやらこのゲームは16年前に起きたある未解決事件に関わりがあるようで……「脱出」


長らくコンスタントに続けられたハイクォリティな推理コミックの名作も、ついに最終巻!
……と、思わせておいて、すでに新章「Q.E.D.iff」が始まってたりするんですが(笑)
あと話の内容的にも、区切りを匂わせるような特別めいたものなど、いっさいありません。

まあ、それはさておき。
今回もある意味安定した話運びでした。
最初の話は、事件の規模が国をまたぐ大規模なそれの割に、その根底に流れるのはある種、読者たちにもとても共感しやすいだろう、ありがちな対立の構造でした。最初に犯人はこいつしかないだろうと思わせておいての、もしかしてこっち? いやいや、実はこっちでしたというどんでん返しが効いております。
……たとえ年若き天才と呼ばれようとも、彼ら彼女らにだって歳相応の悩みや苦しみが存在するのだと、しみじみ思わせられるお話でした。
そして暗黒物質ダークマターとか聞くと、なんか一昔前のSFファンタジー的作品のたぐいを思い浮かべてしまう私。あれってちゃんとした物理用語だったんですね……

後半の話は、私も最近あちこちで無料公開されている脱出ゲームとかプレイするので、「よし自力で謎を解いてやるぜ!」と意気込んだんですが……あえなく敗れ去りました。かろうじて「2つの四角の色」だけ、なんとかクリア。過去の事件の犯人は、まあ、あの人の言動はなんかおかしいな、程度には思いましたけど、まさか黒幕がそっちの人だったとは。これもやっぱりどんでん返し。
こちらの方は、殺人事件関わってる割には、なんか雰囲気が穏やかだったです。
……ただ、いくら犯人をあぶりだすためとはいえ、まったく罪のない他の二人を結果的に監禁脅迫、しかも爆弾(偽物でしょうが)で下手すりゃトラウマレベルの恐怖を味わわせるのはどうなのかと。
燈馬と加奈だって、場合によっては共犯のレッテル貼られかねんぞこれ、とか思っちゃうのはやはり野暮なんでしょうかねえ……(苦笑)
ともあれ、
こちらのお話は、一度読んで裏事情を知ってから、もう一度読むと二度楽しめる内容だったと思います。
No.6934 (読書)


 祝★完結
2015年07月04日(Sat) 
商業作家諸口正巳さんのヤク退スピンオフ毎メリのさらにスピンオフ「明日廃」が、ついに完結なされました!

「明日は廃墟でふたりきり(ムーンライトノベルズ)」
 http://novel18.syosetu.com/n4735cr/

今回もまた、内臓事変の他にもR18要素ありにつき、お月様に掲載。
あらすじその他については、連載開始間もない頃に書いているのでそちらの方で。
いやあ、いつもながら素晴らしい作品でした。満足ですvv

ちなみに同人誌化がすでに決定されている模様。

■モロクっちさんはTwitterを使っています
 https://twitter.com/m_molockchi/status/617276651185901568/photo/1

この「カバーイラスト/マタジロウ」って、もしかしてWEB版「辺境の老騎士」に、超絶渋格好良いイラストを何枚も寄贈されていた、あのマタジロウ氏でしょうか??
諸口さんご自身が描かれた死神とヤスのツーショットも素敵でしたが、この死神に抱きしめられる香澄ちゃんもまた美しいですvv


そして話は全然違いますが、昨日見つけたやり方でかんざしを使うと、かなり尻尾が奔放に跳ねまくります。
しかも昨夜寝る前にきつく三つ編みして髪に癖をつけた上で、Uピンで尻尾を押さえたりとかしてみたものの、昼にはもうすっかり癖が取れて緩むようになり、何度もほどいては挿し直すはめに。
特に外出して歩きまわるとダメダメですね。あっという間にぐずぐずになる(−ー;)
これはやっぱり、家の中以外ではシニヨンネット使わなきゃだなあ……せっかく作ったりプレゼントしてもらったあれこれを、うっかり落として失くしたり壊したりしたら目も当てられぬ(しょぼん)
そしていま手持ちにUピンが一本しかないんですが、こういうのってどこで売ってるんでしょう?? 地元スーパーのヘアアクセサリ売り場や百均、手芸品店をまわったんですが、どこにも置いてない……頼りの Amazon さんや楽天さんにあるのも飾りつきとかばっかりだし。目立たないシンプルな黒い奴で丈夫なのの10本ぐらい入りが欲しいッス……
No.6933 (読書)


 2015年07月04日の読書
2015年07月04日(Sat) 
本日の初読図書:
4091627323ARMS 3(第2部「邂逅編」2) (My First WIDE)
皆川 亮二
小学館 2011-10-27

by G-Tools
川に囲まれた三角州という立地にある藍空市。キース・レッドとガウス大佐率いる特殊部隊レッドキャップスは、橋をすべて爆破し、各種ライフラインを切断。さらに妨害電波を流すことで藍空市を孤立させた。
そうして市民達に向けて涼達の写真を公開し、制限時間までに彼らを引き渡さなければ、市内数百箇所にしかけた爆弾をいっせいに爆破、無差別虐殺を実行するとの声明を流す。その証拠にと幾人かの人々が路上で公開処刑されてゆくのを見て、隼人はとっさに飛び出し人質を救っていた。しかし異形の腕と返り血で染まったその姿を見た市民達は、隼人をバケモノと呼び恐れおののく。さらにガウス大佐は、彼らこそが危険な武器を隠し持つ人体兵器であり、人殺しの怪物なのだと煽り立てた。このように非人道的な作戦を遂行するのも、危険極まりない存在を捕らえるための止むに止まれぬ措置なのだ、と。
涼達を捕らえれば殺さないと約束された市民達は、まんまと踊らされ、暴徒と化して彼らを狩りたてにかかった。
罪なき一般市民を手に掛ける訳にもいかない涼達は、ひとまず三手に別れることとする。
面の割れた隼人とその祖父、さらにアルとキャロルは囮として目を引き付ける。戦闘能力の高い涼は、情報収集に長ける恵やユーゴーと共に敵の司令部を探す。そして元凄腕の傭兵だった涼の義母 美沙と武士は、市の中心部にある高層ビルに向かった。
このような作戦「スナーク狩り」においては、後顧の憂いを断つために、結果の如何に関わらず市民すべてを殲滅するのが常なのだと美沙は語る。そのために使用される小型核を設置するのに、あのビルこそがもっとも向いているのだと。
それぞれがそれぞれに為すべきことを為し、それぞれの形で懸命に戦ってゆく。これまで利用されるばかりだった警察組織もまた、自身の仕事を果たすべく活動を始めた。
苦しい戦いが続く中で、かつて義父を殺し己の左腕を奪ったキースに邂逅した隼人は、今こそ復讐を果たす時だと攻撃を向ける。しかし彼我の力の差は、あまりに大きく。胸を貫かれ死へと向かう隼人の前で、キースは祖父やアル、キャロル達へとその刃を向ける。またしても目の前で大切な人達が殺されようとする光景に、隼人は己の無力さを嘆いた。
もう復讐なんてどうでもいい。大事な人を守る力が欲しい。
死の淵で絶望する隼人へと、何者かが問いかけてくる。
「力が欲しいか!」と
その、モノとは……


3巻目も引き続き424ページ。孤立させられた藍空市でのスナーク狩りの顛末。ジャバウォックに引き続き、隼人の騎士ナイト、武士の白兎ホワイトラビットの覚醒を経て、涼とジャバウォックの和解(?)、キースシリーズの登場。そして反エグリゴリ組織ブルーメンのリーダーの正体が明かされ、今度こそ旅立つところまででした。あまりにもみっちり詰まってて、密度高すぎ、お腹いっぱいですよ(苦笑)

……しかしキースシリーズの存在はなんとなく想像してましたが、ブルーメンのリーダーについては、キースシリーズの会話を読むまでまったく予想できてませんでしたね。
なるほどなあ、そういう経緯があっての、義憤に駆られた敵対組織なのに何故か行ってる人体実験だったのか、と。
そして「殺したければ殺すがいい。この審判を受けるために君たちの前に現れたのだから」と告げるリーダーへと、他でもない隼人が向けた、その言葉。
彼がそんなふうに言えるようになるまでに、どれほど苦悩し辛酸を舐め、そして成長してきたことかと思うと、もう……(泣)

そう、隼人のARMSは“騎士”なんですよね。
けして剣士でも戦士でもなく、彼は“騎士”。守るべきものを守ることこそが、その存在意義。
もし十年前にエグリゴリの襲撃を受けていなければ、きっと彼はもっと早くにその資質に目覚めていたんだと思います。だって一巻読んだ段階ですでに言ってますが、隼人って基本的に『女子供や仲間は身を挺してでも守るのが当たり前』って男なんですもの。たとえ復讐のため涼を殺そうとした時でさえ、カツミのことを誘拐はしても傷つけはしなかった。誤解で巻き込んでしまったと知った次の瞬間には、代わりにその身に刃を受けすらした。そういう彼だからこそ、“騎士”の主として認められたのでしょう。
それは研究所で兵器としてARMSを移植されたのでは、けして得ることのできない結果です。
ああ、本当に隼人って、いい男だ……

そして今回は、武士くんも大活躍でしたね。
ワイヤーロープ1本で戦闘ヘリを撃墜する、その手腕に痺れました。
ある意味では、彼こそが一番、ARMS達の中で「少年マンガの主役」っぽいんじゃないかと。
涼は幼い頃から無自覚に英才教育を受けてきた隠れ有能キャラですし、隼人もまた復讐のため六歳の時からいろいろ鍛えまくってます。恵ちゃんは言わずもがな、最初から戦闘要員として訓練を受けてきたわけで。
そんな中、彼はまったく裏事情を知らない両親の手で育てられきた、ごく普通の……むしろある意味、逆方向に突き抜けた元いじめられっ子。それがいきなりARMSをめぐる戦いに巻き込まれ、腕っ節も脳みそも人並みだったのが、少しずつ成長を遂げていく。恐怖に震え、涙を流し、それでも仲間達のために勇気を振り絞る……まさにこれぞ王道主人公(笑)

初登場時には、いかにも鼻持ちならない嫌味な子だった恵ちゃんも、あっという間に仲間になっちゃったし★

……そう考えると、涼の人たらし技術ってすげえな……今回はついにあのジャバウォックすら(遠い目)

ラストページは飛んでゆくアマツバメ。
アマツバメのヒナを観察しているところから始まったこのシリーズの、まさに大きな区切りとなりましたね。
次回からのアメリカ編がどのような展開になるのか、否が応でも期待が高まります。


……ところで20年前にブルーメンを立ち上げたという、リーダーさん。ちっとも年をとっていないように見えるんですが、やはり不老処置が施されているのでしょうか。だとしたらそのリミットはいったいいつ来るのだろうとか、心配になってみたり。
あとキース・レッドの頬の傷がちょくちょく消えてるので、実はもう他のシリーズと入れ変わってたりして……? なんてドキドキしながら読み進めていたら、単に描き忘れ(?)なだけだったとか(苦笑)
よく見ると、けっこうその手のミスが、直されもせずにそのままなんですよね、この作品。ARMSのついてる腕とか、銃持ってる手とか、かなり頻繁に左右が間違われてる……
No.6932 (読書)


 2015年07月02日の読書
2015年07月02日(Thr) 
本日の初読図書:
4091627250ARMS 2(第2部「邂逅編」1) (My First WIDE)
皆川 亮二
小学館 2011-09-27

by G-Tools
カスミを失ったことで、ARMSを覚醒させた涼。“ジャバウォック”のコードネームを持つ彼のARMSは、開発した“エグリゴリ”ですらその能力を把握しきれておらぬ、制御不能とまで評された異色の存在であった。
無力感と憎しみに苛まれた涼は、人が変わったかのように“エグリゴリ”への復讐を目的としてすさんでゆく。隼人や武士、アルらはそんな涼を何とか止めようとするが、涼自身が己の内にある憎しみや虚無を抑えきれないのだ。
『力が欲しいか』『ならばくれてやろう』
そんな囁きとともに、涼の肉体も精神もジャバウォックに侵食されてゆく。
このままではいけないと焦る彼らの前に、ついに四人目のARMSが現れた。カツミと瓜二つの容姿を持つ彼女は、久留間恵と名乗る。反エグリゴリ組織“ブルーメン”に所属するという恵は、涼達へとブルーメンに加入するよう力ずくで強制してきた。しかしそもそも彼らの意志を無視し、勝手にARMSを移植したのはブルーメン達だ。そんな組織になど協力できるかと、三人はつっぱねる。
ところがブルーメンは、カツミについての重要な情報を持っていると告げた。罠かもしれないと危ぶみながらも本拠地へ同行した涼達にもたらされたのは、カツミが生きてエグリゴリに囚われている可能性があるという知らせであった。
罠でも良い、百万分の1でも生存の可能性があるのであれば、助けるために動かなければならない。
希望を得て復讐の妄執から解き放たれた涼は、やはり自分は「世界のため」「世の中を良くするため」などという“大義”では動けないと、ブルーメンを後にする。キースへの復讐を目的とする隼人や、彼らをサポートしたいと願う武士もそれに続いた。
そうしてカスミを探すべく旅立とうとする彼らだったが、敵の手は一歩先をゆく。
隼人、武士の家が襲撃され、二人はあえなく拉致されてしまった。恵もまた逃れられず。超人部隊X−ARMYエグザミイを名乗る敵は、高槻家をも襲ってきた。目の前で母を人質に取られた涼は……


2巻目はちょっと少なめの424ページ。X−ARMYとの戦いが終了したと思ったら、橋を落とされて藍空市が孤立したところまで収録されています。
えー……実は購入のさい、最終巻まで揃っているかと8巻目のラストを数ページ確認してしまった私は、いろいろとネタバレされてしまっていて、ちょっぴりしょぼんなのですが(苦笑)

ともあれ、1巻目ラストで暴走からの覚醒を果たした涼は、しょっぱなから底辺まで落ち込んでいます。
非日常の中でもいつも前向きに仲間達を励ましていた彼が、過酷な現実に押し潰されそうになっています。そんな涼を懸命に支えようとするのが、これまで彼によって救われてきた、隼人や武士。アルだって素直じゃありませんが、やっぱり彼を気にかけています。
それに彼らは判ってるんですよね。この先に待ち受ける戦いの中で、涼という要が存在しなければ、自分たちもまたいずれ潰れてしまうだろうということが。

しかし隼人ってほんとに良いやつだと思いました。
憎しみに振りまわされ、復讐に駆り立てられようとする涼に対し、彼はただの一言も「大切な相手を殺されたのは、お前だけじゃない」とは言いませんでした。
「俺が復讐のため殺そうとした時は止めたお前が、自分が同じ立場になった時は殺すのか」なんて、責めるような台詞などまったく口にしませんでした。
あいつには復讐なんて似合わねえ。たとえ罠や幻でも良い、復讐ではなくカツミを探すために生きる、そんな前向きなありかたのほうが涼らしい。……自分と違って。
そう言い切る彼が、切なくて切なくて……(泣)

そして今回もまた、敵すらもが切ない……X−ARMYたちとの戦いと、その結末。そして彼らの過去と行く末は、涙なくして読めません。

ついにシルエットでなく姿を表したガウスと、彼に率いられる特殊部隊レッドキャップス。
キースのARMS“グリフォン”の最終形態……まだこれで全体の四分の一というのだから、この話はいったいどこまで行くのでしょう……

ところで気になるのは、ARMS適合者って四人しかいないはずじゃなかったんでしょうか。
キース一人が年齢合わないあたり、そこらへんにもまだいろいろ秘められたものがあるんでしょうね。なんか十年前の記憶が怪しいとか、意味ありげな伏線が張られてますし。
エグリゴリのトップなど、まだシルエットすら出てきてないあたり、ほんとに先は長そうです。

……あ、それと前々から彼ら ―― 特に隼人は、怪我の回復早過ぎるだろう。ARMSが移植されてる部分以外は生身なのに、ボコボコにされてもあっという間に復活しとる……とか思っていたのですが。
やはりナノマシンの影響で、生身の部分の修復力も上がってるんですね。おおいに納得したのでした(笑)
No.6925 (読書)


 2015年06月30日の読書
2015年06月30日(Tue) 
本日の初読図書:
409162720XARMS 1(覚醒編) (My First WIDE)
皆川 亮二
小学館 2011-08-27

by G-Tools
父親に付き合わされて、子供の頃から遊び半分でアウトドア技術や格闘技を教えられてきた男子高校生、高槻涼。ごく普通の感性を持ち、ごく当たり前の日々を過ごしてきた彼の日常は、謎の転校生がやってきたことで、いっきに現実離れしてゆくこととなった。転校生 新宮隼人は、初対面の涼に対し何故か敵意をむき出しにし、好戦的に襲い掛かってくる。その左腕は奇妙に変形し、すさまじい力とスピードで、人間を容易く吹き飛ばしてみせた。父親仕込みのサバイバル技術でなんとか事なきを得た涼だったが、隼人はあきらめようとしなかった。涼の幼馴染の少女赤木カツミを誘拐し、廃墟になったビルへと呼び出しをかけてくる。
そうして彼は、己の左腕を巨大な刃に変え、本気で涼を殺そうとしてきた。家族と友人の仇だと叫ぶ隼人の誤解を解こうとするが、彼の攻撃を避ける涼の右腕もまた異変を生じる。
更に二人の戦いに水を注す存在が現れた。“エグリゴリ”と名乗るその組織は、隼人と涼を“ARMSアームズ”と呼んだ。そうして彼ら二人はこの世に四人しかいない「神の腕を持つ子供」であり、同種の存在なのだと告げる。
しかも十年前、隼人の家族と友人達を殺したその相手こそ、体内に謎の金属生命ナノマシンを移植されたARMS達を手に入れ研究材料にしようとする、彼らエグリゴリであった。
己が勘違いしていたことに気付いた隼人と共闘し、涼とカツミはいったん危機を脱する。
しかし世界規模で軍事産業と各国の諜報機関をバックに持つ巨大組織エグリゴリは、涼と隼人を生け捕りにするべく、日本政府にすら手をまわし、さまざまな生体兵器を送り込んでくるなど、手段を選ばない暴挙に出てきて……


皆川先生の代表作、ですかね。
今まで読みたいとは思いつつも手が出せずにいたのを、コンビニ廉価版で見つけて手を伸ばしてしまいました。
本文634ページあります。単行本だと3冊分ぐらいになるのでしょうか。
ある日突然、謎の組織に狙われるようになった少年が、最初は敵だった相手を仲間にし、さらに少しずつ味方を増やし、己の能力や出生の謎に迫りつつ……友人が炎に呑まれるのを見て逆上、暴走、覚醒に至るまでが収録されています。
学校などではむしろおとなしくヘタレに近い普通の少年が、ここ一番というところでは驚くほどの冷静さと有能さを見せる。スプリガンの御神苗優やD−LIVEの斑鳩悟にも通ずる、まさに皆川作品お約束の主人公像でした。
そして最初に敵対した隼人少年は、ジャンっぽいですね。口は悪いし喧嘩っ早いけど実は情に厚く、女子供や仲間は身を挺してでも守るのが当たり前という、すっごく良いヤツです。涼を殺そうとしたのも、目の前で殺された家族や友人の仇だと信じていたから。誤解が解けてからは親友と書いてマブダチ状態vv

環境や肉体の突然の変化に戸惑い、己は化け物になったのではと悩み、いつか人を殺してしまうのではないか、心そのものが現実に戻れなくなってしまうのではないかと迷い苦しむARMS達の姿は、とても等身大です。けして他人にない能力を得て「オレTUEEEE、ヒャッハー」なんてかましたりはしません。
大切な人達を失い、復讐にとらわれていた隼人。過酷な非日常に押し潰されそうになりながら、それでも仲間を支えつつ人間であろうと念じ続ける涼。そして化け物だと嫌悪していた自分を、隼人と涼のお陰でようやく受け入れられた武士くん。
突出した才能を持っていたが故に周囲から排斥され、両親にすら受け入れてもらえなかった子供に、戦場に巻き込まれ瀕死の重傷を追ったあげくサイボーグ化された兄妹達。
……敵ですら切なく、辛い過去とある種の信念を感じさせるあたり、読んでいて惹きこまれました。

流し読みしてしまうのはもったいないので、これも一冊ずつじっくりめくりたいと思います。
ああ、また積読の山が(ry
No.6918 (読書)


 2015年06月27日の読書
2015年06月27日(Sat) 
本日の初読図書:
4534039719<鉱物の魅力がわかる> 天然石と宝石の図鑑
塚田 真弘
日本実業出版社 2005-09-29

by G-Tools
今回は小説ではなく、図鑑というか、解説本。
タイトル通り、天然石や鉱物について、フルカラー写真(もっぱら原石)付きでさらさらっと説明されています。パワーストーンとか石言葉的なお話よりも、成分組成の違いとか結晶構造とか、あと歴史や豆知識に重点が置かれている感じでした。でもそんなに堅苦しくもなく、文字数もページ数も控えめ。初心者向けの入門書ってところでしょうか。

以前、日月堂シリーズで薀蓄をかました尖晶石スピネルについてのあれこれとかも、しっかり載っていました(笑)
他にもキャッツアイ(一般的なの)とアレキサンドライトは、どっちも同じ金緑石クリソベリルだとか、こまごまと面白知識が。なるほど、だからアレキサンドライト・キャッツアイなんて、色変わりする上に光条の入った石なんかも存在するんですねえ……(納得)

B00EC4009Gアレキサンドライトキャッツアイ・ルース1.20CT
Jewel climb (ジュエルクライム)

by G-Tools

そして今回この本を読んで一番の収穫だったのは、青琥珀ブルーアンバーという石の存在を知ったことでしょうか。
……通常はとろんとした蜂蜜っぽいいわゆるコハク色なのが、太陽光(紫外線)下ではブルーに変わるって、それめっちゃロッドに似合いそう……ッッッ<そっちか

↓こんなのです(※上が蛍光灯、下がブラックライト照射時)



【ブレスレット】天然ブルーアンバー (最高級) (メキシコ産)
石流通センター

by G-Tools

今までロッドのイメージ石は、銀針水晶シルバールチルとか菫青石アイオライトとか虎目石タイガーアイだったんですけど、怒涛の勢いでこのブルーアンバーがランクインしてきましたvv

やっべえ、これでなんか一本書きたい……
だけどあの世界観、基本的に夜は蛍光灯でも電球でもなく、ランプとか蝋燭なんですよね。すなわち通常状態こそが太陽光。
むむむ……普段が青くて日が暮れてから琥珀色ってのは、いまいち話が作りにくいなあ。
夜会の時に身につけてて、周囲から「また地味な物を……」とかって陰口叩かれていたら、実は昼の光の下でこそ真価を見せる、最高級のレア青琥珀だったとかって展開はどうだろう。もちろん、プレゼントするのはフェシリアで★

夜にしれっと普通の琥珀のふりして手渡して、これぐらいなら……とロッドも気軽に受け取ったら、夜が明けてからアーティルトに青く変化してることを指摘され、そこで初めて超高級品だったと気づき、あの女……と毒づくとかどうだろう?

……って、これ既に読書感想じゃねえ(苦笑)
でも素敵なものを見聞きするとつい話を書きたくなるのが私クォリティだから、これはこれで正しいのか……?

ええと、あと意外だったのはローズクォーツは水晶じゃなくて石英(六角形に結晶してない)だとか、虎目石も石英の一種だとか、個人的に大好きなインカローズは長期保存時には乾燥剤を入れとかないと黒く変色する場合があるとか。
さらに樹木の化石がオパール化するウッドオパールは、条件次第で数ヶ月でできる場合もあるなど、いろいろ新たな知識を仕入れられたかと。
こうして欠片だけでもキーワードに触れておくと、いざ実際に小説とかでネタとして使おうと思った時に、「確か何かがあったよな……」と正確なところを調べる取っ掛かりになるので、便利なのです。

ただ私が読んだ初版では、数ヶ所誤字脱字が気になりました。
特に菫青石アイオライトの別名を「ウォーターファイア」と紹介していたのは、個人的に許しがたい。
正確には「ウォーターファイア」ですよ。角度によって透明にも濃蒼にも見える、不思議な石なんです。
これ、私は知ってたから気付きましたけど、知らなかったらそうなんだと信じこんじゃいますよね。
……他のところにも、私が気付かずに鵜呑みにしちゃった間違いがあったりないだろうな……(汗)
No.6912 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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