よしなしことを、日々徒然に……



 2015年07月28日の読書
2015年07月28日(Tue) 
本日の初読図書:
407401176X薬屋のひとりごと 3 (ヒーロー文庫)
日向夏 しのとうこ
主婦の友社 2015-06-29

by G-Tools
玉葉妃に懐妊の兆候が見られたことで、猫猫は再び毒味役として後宮の翡翠宮に戻った。
以前に公主(ひめ)を妊娠した時も毒殺などを仕掛けられたため、妊娠については厳重に伏せられている。しかし年に一度外部からやってくる隊商達がやけに妊婦向けの衣装を取り揃えていたり、どこにでもあるものだが、大量に摂取すると妊婦に悪影響を与える香油や香辛料が女官達の間で流行したりと、きな臭いことが続く。
さらには異国からやってきた特使が、無理難題をふっかけてきた。なんでも特使の曽祖父が数十年前同じようにこの国を訪れた際、真珠の涙を持つ絶世の妓女によってもてなされたのだという。幼い頃からその話を聞かされてきた特使は、自分も是非そのような佳人に会ってみたいと要求する。しかしどんな美女に饗応させても満足しないどころか、むしろ鼻で笑うありさまで。どうやらその背景には、異国側から皇帝一族へと、もっと美人を、すなわち自国の女を娶らせたいという思惑があるようだった。饗応役に泣きつかれた壬氏が、ひとまずかの曽祖父とやらが『月女神』と呼んだ妓女について心当たりはないかと猫猫に尋ねてみると、それは意外な人物で……


……壬氏…… ヾ(´A`*)ゲンキダセヨー
ラストから二枚目の挿絵で、おおおついに!! と思ったら、よりにもよって蛙(しかも「そこそこ」)呼ばわりされ、さらに夜の廊下で雰囲気出していざって瞬間、貴重な薬種に心を奪われた猫猫にガンスルーされる。
あ、気の毒すぎて涙が……(ほろり) ってか、猫猫にそのタイミングで牛黄渡しちゃダメだってぐらい、いい加減学習しようよ>壬氏

まったく、なまじラス2枚目の挿絵がすっごい格好良いだけに、次のページめくるのにうっかり期待しちゃったじゃありませんか。
壬氏さんが、歳相応のしかもしっかり男の子に見える貴重な一枚なのに、本文で台無しだよwww<普通逆だろ(笑)

そんな薬屋〜3巻目。
お話的には、かなり進みました。
今回は旧蛇足編の原型はほぼなく、完全書き下ろしと言っても良かったんじゃないでしょうか。WEB旧版では猫猫視点がほとんどで、語られずにすまされていた宮廷内のあれこれやら、他の人がその時どんなことを考えていたのかなども、かなり詳しく盛り込まれています。
いろんな意味でのサービスシーンあり、アクションシーンもあり。そして相変わらず短編連作形式で、エグいのから日常のほのぼのまで、さまざまな雑学が関わる事件を次々と惜しみなく絡めていきつつ、それらを積み上げることで少しずつ先帝時代の裏事情やら歴史やらを明らかにしていき、ついに壬氏さんの正体が!! で、以下続く。
ううう、続きが気になる……いっそ完結してるWEB改訂版を読んじゃおうかなあ。ああでも、書籍版とはだいぶ改変があるみたいだし、今読んじゃうとかえって混乱するかもしれない〜〜(悩)

なお表紙右側の美人は、「性別が違ったら、いやそのままでも十分、国の一つや二つは傾ける」と言われるあのお方です(笑)
前巻、ちょっと紅さしてみただけで「どんなに素晴らしかろうと世の中に出してはいけないものがある」とか称されちゃったくせに、思い切り気合入れてやらかしちゃったよ。いやまあ、できるだけ見る人間を少なくした上、特殊効果エフェクトまでかけて、この世のものならぬ存在演出はしてましたけどvv
ってか、舞台裏考えるとこれもまた当人が気の毒過ぎる……(苦笑)

細かい雑学も、相変わらず非常に面白いです。
特に、血液検査とかDNA鑑定など存在しないその時代に、女系の血を確実に残すため、あえてそれを利用するか! というその発想に感嘆しました。ある程度の現代知識さえあれば、読んでいて早い内に気がつけるでしょうが、まず最初にそれを思いつける作者さんを心底尊敬します。
ああ、こういう話が私も書けたらなあ……(嘆息)

でもって。
3巻目にしてようやく、国の名前が出てきましたね。なんでも茘(リー)というそうです。そして皇弟(帝にあらず)殿下のお名前は華瑞月(かずいげつ)。
……ここらへん、なんか気分と雰囲気で、中国読みと日本語読みが混じってるような(苦笑)
羅漢は「らかん」なのに、羅門は「ルォメン」。馬閃だって、「馬(マー)の一族は」とか言いながら、名前の読みが「ばせん」だし。細かいところは気にしちゃ駄目??

そして新キャラにして虫好きの女官、子翠がひそかに気になるというか、なんか彼女が怖くてならんのは私の勘ぐり過ぎなのでしょうか。でもなあ、「翠」ですしねえ。やっぱり関係あるか、あるいはメイク変えた本人じゃないかとか思っちゃうんですよ。
ああもうほんとに、早く続刊出てくれ〜〜〜 《o(><)o》
No.6972 (読書)


 2015年07月26日の読書
2015年07月26日(Sun) 
本日の初読図書:
4074108216薬屋のひとりごと 2 (ヒーロー文庫)
日向 夏 しの とうこ
主婦の友社 2015-01-31

by G-Tools
一度後宮を辞し、実家の妓楼で借金返済のため短期就労をしていた猫猫は、壬氏に身柄を買い取られ再び宮中へ出仕することとなった。しかし一度後宮から出た者を、そう簡単に戻すことはできず。猫猫は外廷で壬氏付きの下女となる。
無駄に整った美貌で老若男女を虜にする壬氏の私的空間には、五十路を越えたやり手の侍女 水蓮しか出入りしていない状態だった。その他の者達は、軒並み見とれて動きが止まるか、良からぬ真似をしでかそうとするので使いものにならないらしい。その点、猫猫は壬氏に恋心を抱くどころか、干からびたミミズを見るような目を向けるので、水蓮としてはようやく鍛えがいのある人材が来たと歓迎しているようだ。
基本的な仕事は、掃除にゴミ捨て、洗濯物の受け渡しに毒味と、後宮にいた頃とほぼ変わらない。
仕事ついでに宮中を歩きまわっては、気になった事柄に首を突っ込んでみたり、壬氏が持ってくる変わった事件の話について意見を述べたりといった日々が続く。
ところがひとつひとつは無関係かに思われた事件や事故に、なにやら関連性のようなものが見えてきた。どうも何者かが、さまざまな事件の種をひそかに蒔いているようなのだ。
さらには変人と評判の武官、軍師の羅漢という男が、最近何かと壬氏にちょっかいをかけてくる。一癖も二癖もある扱いにくい彼の目的は、どうやら壬氏が身請けしたと噂になっている妓女こと、猫猫のようで……


旧蛇足編の「11 鳳仙花と片喰」あたりまでを下敷きに、かなりの加筆修正がなされています。
改訂後の宮廷編以降は未読なので、そちらとはどれぐらい変わってるのか良くわかりませんが。
物語的には、あんまり進まなかったような。印象的には、大きく話が動くだろう以降へ続く、前段階の下準備ってところでしょうか。
今回の内容をざっくりまとめると、宮廷の中で何やら陰謀が動いている。一応、当座の計画はギリギリで防いだけれど、黒幕は逃がしちゃった。あと猫猫と緑青館の過去のあれこれが明らかに、という感じ。
壬氏の正体も相変わらずはっきりとは明言されないままですし、猫猫との仲もまったく進展してません。
……いや、壬氏の方ははっきり自覚しただけ、進歩はあるのかな? ただ猫猫がとぼけている訳ではなく、心底から気付いてない……というか、彼女の場合は諸々の事情から、あるいは恋愛そのものを自分とは無縁のものだと無意識レベルで定義しているのかもしれません。清々しいまでに壬氏のアプローチをスルーしまくり曲解しまくりなので、さすがに壬氏が気の毒過ぎる……(苦笑)
ってか、WEB旧版だと、最後まで壬氏の扱い変わってなかったんだけど、書籍版でもそうなんだろうか……(汗)

ひとつひとつのエピソードに出てくるトリックとかは、すごく面白いです。
文化水準が低い設定の世界観に、はたしてどこまで科学技術を持ち込むのか、さじ加減ってすごく難しいと思うのですよ。
粉塵爆発はまあお約束ですけど、他にも複数金属を合金化することによる融点の低下(いわゆるハンダ)とか、冬に青いバラを咲かせるにはとか、唾液が混じることによりでんぷん糊の粘度が下がるとか、そういったあたりをうまく事件に仕立てあげているその手腕に尊敬させられつつ、雑学好きにはたまらない楽しみを味わわせてもらっております。

あと高順の家庭事情が追加されてたのが嬉しかったですねvv
李白もずいぶん出番が増えたような。
そして変人と『彼女』とのラストエピソード。
良かったです。小姐にはちょっと気の毒だったけど、でもあの変人はあの変人で、心底から『彼女』を想っていたんだなあと思うと、もう(涙)

でもって。
猫猫が身を挺して壬氏を助ける場面しかも挿絵付きに、思わずニマニマとvv<猫猫はあくまで報酬(貴重な薬種)目当て
壬氏がすっかり、猫猫の前では素を見せるようになってきてるのがまた楽しいのですよ( ̄ー ̄)
この巻ではイラストもギャグ調のものが含まれていて、特に壬氏を変装させる場面で猫々がちょっとしたいたずら心を出した結果とか、ラストシーンの二人とかが秀逸です。カラー見開き口絵の美しいあの場面の直後にああきてるのかとかもう、あの二人楽しすぎるvv ……もっともラストのあれは、予想外のこと言われてうっかり頭が落ちだだけだと私は解釈してるんですが(苦笑)
ギャグ調を雰囲気壊さずに描くのも、挿絵師さんの腕の見せどころですよねえ(しみじみ)

……ところでちょっと気になってるのですが。
壬氏さん(の中の人)の年齢が、19歳と明記されていたのですよ。
あれ……? 計算、あわなくね?? 私がなんか記憶違いしてたか、それとも書籍化にあたってなにか変更されたのか。
それとも2巻目では既に1巻から一年が過ぎてて、でもって年齢が数え計算だから、19歳だと生まれたのは17年前ってことでいいのかな……?
No.6968 (読書)


 2015年07月24日の読書
2015年07月24日(Fri) 
本日の初読図書:
「1パーティーに1人、俺オススメです。 改稿版(小説家になろう)」〜初心者講座1日目
 http://ncode.syosetu.com/n0616cr/
「1パーティーに1人、俺オススメです。(小説家になろう)」〜考察
 http://ncode.syosetu.com/n9345cj/

勇者召喚に巻き込まれ、イケメン同級生とともに異世界へ召喚された佐藤慶明、17歳。勇者の職業“聖剣の勇者”に対し、彼のそれは前代未聞の“脇役A”だった。補助職系スキルの習得率が10倍な代わり、攻撃職および攻撃系スキルが習得不可能という代物だ。
魔獣の跋扈するこの世界で、いったいどうやって生きていけば良いのかと頭を抱えた慶明に、勇者たる天原優斗は「僕と一緒にこない? 必ず守ってあげるから」と言ってくれた。
……それから、三年。
勇者は順調にパーティーメンバーを増やしていった。召喚した国の王女、隣国にいた不遇の剣士、優秀な魔術士、元魔王の配下の吸血鬼。ちなみに全員、女性。ハーレムメンバーだ。
そしてついに、邪神がいるらしい巨大迷宮に一番近い街ジェナスにて、その時はやってきた。
「おはよう慶明君。あ、この人はね、新しく仲間になった淫魔族のリリスさんだよ」
勇者の恩恵が行き渡るのは、当人を含めて6人まで。故に勇者パーティーは6人と決まっている。
「みんなと相談して、慶明君はこの街で待っていてもらおうということになったんだ」
申し訳なさ気な優斗をよそに、他のメンバーたちは遠慮なく口を開く。
「これからは邪神を倒しに行くだけなの! なら、いたら便利ぐらいの人よりも戦力になる人を入れるに決まってるでしょ!」「そうですわ。男なら潔く身をひいてこの街で待っていなさいな」「キリアの言っていることは妥当。サトーはこのパーティーから外れるべき」
散々に言われた。どうやらこれまでに、アピールを潰したり良い雰囲気を壊したりしてきたことで、よほど恨まれていたようだ。
でもな、優斗が特定の女の子とくっつくと、このパーティー崩壊するの分かってます?
とは口にせず、慶明はおとなしくパーティーから外れることにした。
この三年間、従者としてこき使われてきた代わりに、勇者の恩恵(パーティーメンバーも含め取得経験値と熟練度が5倍)を受けて、メイン職業“脇役A”のレベルは856にまで上がっている。
サブ職業、調理師・裁縫師・罠師・解体師・薬剤師・斥候に至ってはカンスト999。
これからはパーティー仲間から白い目で見られることもなく、自由を謳歌できる。とりあえず冒険者として活動しつつ、人生のパートナーを捜すとしますか、と。
従魔師スキル・レベル1の習得と、孵化させる方法が不明かつ労力が必要な代わり、生まれる従魔も一線を画すというロマンある卵を入手した慶明は、見どころのある将来有望な冒険者として新たな一歩を踏み出し始める。
一方で、野営の準備に夜間の見張り番やポーション類の調合及び在庫管理、装備の手入れから日々の食事の支度、はては獲物を解体して素材化、持ち運ぶところまで慶明の支援スキルに頼りきりだった、勇者のパーティーはというと……


巻き込まれたと思われた方が、実はよっぽど有能でした系。見返しザマァ展開の異世界召喚モノ。
一見ヘタレな平凡のようでいて、実はめっちゃハイスペックな優良物件が好みな私としては、なかなか好みな話運びなのですが。
……惜しむらくは、最初の連載がめっちゃ中途半端ところでいきなり休載。
そして改稿版の方は開始して10日、やはりキリの悪いところで前触れもなく更新停止。
作者のプロフィールページは公開されていないため、活動報告とかもなし。
感想欄の雰囲気も正直あまりよろしくない感じで、これは作者様のモチベーションが潰されたかなあ……と。
まってくもって、もったいないことです。
No.6965 (読書)


 2015年07月23日の読書
2015年07月23日(Thr) 
本日の初読図書:
4072981982薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)
日向 夏 しの とうこ
主婦の友社 2014-08-29

by G-Tools
あらすじについては、以前単行本版を読んだ時に(以下略)
ざくっと言えば、古代中国っぽい大国の後宮を舞台に、マッドサイエンティスト体質の元薬師の下女が、謎めいた美貌の宦官に目をつけられ、皇帝の寵妃の毒味役というある意味天職に転職。その豊富な専門知識を駆使して、陰謀渦巻く宮廷内で起こる大小様々な事件の謎解きをしていくお話です。
あと本気の相手には途端に奥手になる不器用者と、自分の恋愛方面には激ニブによるすれ違いまくった恋模様(未満)も入ってるかな。

文庫版で出直した時、イラストが綺麗だった&コンパクト&安くなったことで「しまったこっちを買いたかった!」と思ったものでした。その後さらに続編が出版され始め、それでもまだ我慢していたのを、ついうっかり勢いでポチッとな。

「単行本に比べて大幅改稿」とあったものの……正直、どこが変わってるかよく判りませんでした(苦笑)
壬氏がちょっと人間らしく ―― というか、歳相応の青少年っぽくなってたかなあ、って印象でしょうか。
あ、阿多妃が後宮を出る前の晩の、壬氏と猫猫とのエピソードが足されてたのは良い感じでした。壬氏と「あの人」が、夜中にお酒を酌み交わせる間柄だったというのも、ちょっと嬉しい。
そしてイラストが表紙だけだった単行本版とは異なり、ヒーロー文庫はカラー口絵もモノクロ挿絵もいっぱいなので、それが一番楽しめました。高順もモノクロ一枚だけどあったし。できればヅカ的な男装の似合う麗人、阿多妃のイラストも見たかった……ああでも続刊があることを思えば、2巻目以降で期待できるのかも(わっくわっく)

なお、帯とか煽り文句では「ミステリー」と称されているこの作品ですが、猫猫は基本的にトリックを解明するだけで、事件そのものにはほぼ関与しません。一部例外はあっても、おおむねは安楽椅子探偵的な?
下手すると犯人の名前どころか、被害者の身元すら知らない始末。こういう事件が起きた、なにか心当たりはないかと問われて、猫猫がこういう可能性がありますとか話すと、それを元にあとは壬氏さんらが事件を始末。でもこの話はほぼ9割猫猫視点で進んでいくため、彼らが誰に対して何をやってどういう手を打ったのか、詳細については読者に対してすら謎のままです(苦笑)

前にも書きましたが、WEB版未読の状態でこの1巻目を読むだけだと、よっぽどライトノベルに慣れた人じゃなきゃ、壬氏の立場とか正体とかを察するのは厳しいんじゃないかとか。
まあそこらへんは、文庫化に伴い続編が出てる訳ですから、そこで詳しく語られるんでしょうが。

ところで私がどうしても読み解けないのが、風明は果たして十六年前に死んだ赤子の素性を知っていたのか否かです。彼女は秘密の共有者だったのか、それとも違うのか。
当時、阿多妃が伏せっていたことを思えば、実行犯として動けたのは彼女だけだろうと思うけれど、でもそれ以降に彼女がやったあれこれを思うと、やっぱり知らなかったとしか思えないんだよなあ……むむむ……(悩)

あ、なおWEB版の方は、削除されずに残っています。
というか、書籍化後に大幅改訂されたらしいのですが、そちらはなんだかんだで読めてません。どれぐらい変わったのかな……?

購入前に雰囲気を知りたい方は、参考にしてみられるのもいいのでは。

■薬屋のひとりごと
 http://ncode.syosetu.com/n9636x/

「後宮編」までが、この1巻目に相当します。
No.6963 (読書)


 2015年07月22日の読書
2015年07月22日(Wed) 
本日の初読図書:
4907203209霊感動物探偵社6 (LGAコミックス)
山内 規子
青泉社 2014-11-20

by G-Tools
立夏がシキの散歩中に出会った、ミニチュア・ピンシャーの霊をつれた女の子 万里絵。彼女はその存在を感じ取っており、時折り姿も見えているとのことだった。しかし兄も養父母もそれを信じてくれず、ピッピはもう死んだ、馬鹿なことは口にするな、気持ち悪いなどとたしなめられているという。彼女の境遇に己の幼い頃を重ねてしまった立夏は、万里絵のことを放っておけず、何度か言葉を交わすうちに懐かれていった。ピッピが死んだのは四年前、強盗により万里絵の両親が殺され、家に放火された事件の時だった。万里絵の兄である千尋や、生き残った二人を引き取った叔父夫婦は、なにやら立夏のことを警戒しているようで。これ以上万里絵にかかわるなと釘を刺されてしまうのだが……「ユーフォリア」
童話に出てくるお菓子の家のような可愛らしい邸宅の前で、立夏はリスザルの霊と出会った。お菓子の家に住んでいるのは、近所の人々から魔女ババアと気味悪がられる、黒ずくめの老女ただ一人。そしてその近くでは、二ヶ月ほど前に子供が川に落ちて行方不明になる事件が起きていた。行方不明になった子供の友人だという自称太郎少年は、泳げない彼が川に近づくはずがない、あの魔女に捕まって家の中に閉じこめられているのだと主張する。そうしてなんとか内部に忍び込もうと画策していて……「お菓子の家の魔女」
ルリが突然、見知らぬ人間から追いまわされるようになった。原因はネットに掲載された、迷い猫の広告。賞金100万円がかけられたその猫の写真は、ルリにそっくりだったのだ。目撃情報を聞いて現れた広告主は、運転手付きの車に乗ったお金持ちの若奥様。なんでも病床にある夫の飼い猫が行方不明になってしまい、それが知れたら夫の生きる気力をも奪ってしまうのではないかと心配しているらしい。彼女は本物が見つかるまでの時間稼ぎにと、ルリに身代わりをさせて欲しいと頼んできて……「いなくなった猫」
立夏が取っている講義の担当である松沢準教授は、かなりきつい性格の女性だった。直属上司である小早川教授に近づく女学生には、あからさまな牽制を向けているという。しかし教授の方はただの部下としか思っておらず、おまけに彼は妻子持ち。片思いをこじらせた結果のイライラだろうともっぱらの噂だった。立夏もまたちょっと立ち話をしていただけで、教授に近付かないでとはっきり言い切られる。そんなおりもおり、立夏は大学裏手の雑木林で、首吊り姿の幽霊を見つけてしまった。小早川教授の教え子だったという女学生の霊は、『先生』に殺されたのだと呟いており……「夕暮れの未確認飛行物体」


作者買いしている山内規子さんのシリーズ。
この方の連載作品というだけでも珍しいのに、6冊も続いているのはこれだけだと思います。
幼少時から理解者を得られなかったが故に、ルリ・シキ・クロハの三匹にしか心を開かずにきた立夏も、高倉という仲間を得、さまざまな経験を繰り返すことで、だんだん世界を広げてきています。
事件で関わった人々も増え、中には二度三度と再登場する人達も。
今回の「ユーフォリア」などは、ただ霊に懐かれて巻き込まれるのではなく、むしろ立夏の方からかつての自分を思わせる少女を助けてあげたくて、積極的に関わって行ってます。成長したなあ、立夏。
お話の結末も、ある種お約束というか、パターン化されてきていたこれまでと少し変わった話が混じってきてました。
すべてを暴けばそれで良いのか。真相を明らかにすることで起きてくる影響は、本当に正しいのか。深いです。
「いなくなった猫」も、ちょっとタイプが違いましたね。年の離れた資産家の夫に心を砕くけなげな若妻と、彼女を財産目当ての悪女だと告発し、立夏のやったことは大恩ある旦那様を騙す共犯だとなじる運転手。どちらの言葉を信じるべきか、悩み揺れる立夏が切ないです。
そんな彼女をしっかり支え、立夏を騙した相手にきっちり落とし前をつけた高倉は、久しぶりに男を上げたぞ!!
……それ以外では、いつもにもまして影が薄かったですが(苦笑)
この二人の仲がちっとも進展しないのは、ほんとにもうお約束で諦めてもいますけど、270ページでキスひとつしないって、お前らほんとに付き合ってる成人男女かと小一時間。画面に描かれない場面でいちゃついてる訳でもないんですよ? 下手すりゃこいつら、手もろくに握ってねえよ……
まあ、この巻は特に、これまで動物と高倉と幽霊しかいなかった立夏の世界が、主に大学内とかの同年代あたりで広がっていく感じですから、大人の高倉さんはどうしても見守るスタンスになっちゃうんでしょうけど。
でも高倉、油断してて立夏を若い男に取られちゃっても知らねえぞ〜〜
No.6962 (読書)


 2015年07月21日の読書
2015年07月21日(Tue) 
本日の初読図書:
「月が導く異世界道中(小説家になろう)」〜次の一手
 http://ncode.syosetu.com/n0942bb/

弓と時代劇を趣味とする、ごく普通の男子高校生 深澄真(みすみまこと)。
そんな彼は、ある日突然、異世界へ召喚されることになった。なんでも真の両親はもともとその異世界の出身であり、そこの女神に頼んでこの地球 ―― 原初の世界へと転移してもらったのだという。その時に交わされた契約が、「いつか大切なものを一つ捧げよ」だったらしい。
そして、ちょっと眠っている間に自分の世界でヒューマンと魔族が戦争を始めていたと知った女神は、かつての契約を思い出し、真を勇者として召喚することにしたのだという。女神は直接原初の世界には介入できないため、仲介に立ってくれた三貴子の一柱 月読様は、真にとても心を砕いてくれた。丁寧な説明と残してゆく家族へのフォロー、そして少しでも足しになればと力まで分け与えてくれた月読様に感謝しつつ、真は女神の元へと召喚される。
ところが真を一目見た女神がのたまったのは、「あんた不細工ね〜」という言葉だった。
「あんたに力与えるとかマジ無理だから。悪いけどさっさと視界から消えてくれる? 存在がもうキモイし」「私の世界のサーガに相応しい勇者を、もう別に手配したから。あんたは精々私に迷惑掛けないように世界の果てでじっとしてなさい」「言っとくけど。私の美しい世界の住民たちにあんたの醜い胤をばらまくんじゃないわよ? 結婚も勘弁してね、世界が汚れるから」
散々な暴言をぶつけてきたあげく、女神ははるかな上空へと真を放り出した。普通のヒューマンであれば、墜落死間違いなしの高さから。
しかし、真は原初の世界で育った存在であった。魔力を体外に出すことすらできず、神の祝福すらまともに届かない、あらゆる世界の中でも屈指の過酷な環境が、原初の世界の地球なのだという。その中で生まれ育ってきた真は、本来この世界のヒューマンが持ち得ないほどに頑強な肉体を得ていた。
さらに女神の暴挙を見ていた月読様が、力を貸してくれる。
彼もまた、一連の女神の身勝手ぶりに腹を立てていたのだ。
“このような事態だ。勇者の役割もあの女神自ら剥奪しおったし。もう遠慮はいらぬ。月読の名において許す。汝、深澄真よ。新たなる世界においての自由を認める。好きにせよ!”
そうして月読様の加護を受け、亜人や魔獣達の棲む最果ての荒野に落とされた真は、さまざまな人外の存在達と出会い、交流しながら、我が侭な女神の趣味により美しいヒューマンのみが存在を許されるという、いびつな世界を力任せに生き抜いてゆく ――


10日ちょいかかって、ようやく最新話まで到達しました(苦笑)
番外編まで含めると、実にトータル4MB超。ラノベの文庫換算で、ざっと13〜5冊ぐらいにはなるでしょうか。しかもまだ連載中。さすがに疲れた……
なお既に三章の途中までが、書籍化されてダイジェストに差し替えられています。そのダイジェストはダイジェストで、該当部分を別視点から書いたような形で1冊分ぐらいはあり、元を知っていると非常に面白くはあるのですが……やはり元の話が降ろされちゃうのは切ないですねえ。
とりあえず、書籍化の情報(特に某出版社)を目にしたら、できるだけ保存しとくように心がけつつも、なかなか手がまわりきらなかったり、その時点ではあまり興味を持ってなくてスルーしちゃって、あとから悔やみまくることが多かったりします(しょぼん)

今回テキストを読み始めたきっかけは、WEBコミック版の連載が始まったので、試しに読んでみたら月読様が素敵だった★ の一言に尽きるのですが(笑)<むやみに美形
読み進めていく内に、いい意味でいろいろと裏切られたり振り回されたりで、すっごく長い上にそれぞれの番外編を読むタイミングを見計らうのとか非常に面倒だったのに、結局最新話まで読みきっちゃいました。

最初は巻き込まれ型のごく平凡な高校生が、異世界の感性&チートで無敵にやらかす話だと思っていたら……いやそれはあながち間違いでもないんですが、どうしてどうして。
ただちょっと弓が上手いだけの、ごく普通の男の子かと思われた真少年、話が進む内にどんどん常軌を逸していきます。しかも本人には、ほぼ最新話近くまでその自覚がありません。
平和ボケとも言える道徳観念を叩きこまれた現代日本人の感覚と、敵意を向けられたら誰に対してでも容赦をしない冷酷さ ―― いや、身内以外の『他者』に対する無関心さが、絶妙なバランスで同居している。その危うさが読んでいてハラハラさせられつつ、目を離させません。
彼に忠誠を誓う従者たちも、根底では主人最優先でありながら、けっこうそれぞれの思惑で動いている。
巴なんかは従者だけど、どちらかと言うと主に試練を与えつつ成長を導こうとしていくスタンスだし、澪は逆に真が望むなら己はもちろん世界すべてを滅ぼすことすら厭わない。そして識は……彼はなんだろう。研究者として、知識を探求する者として、真が成し遂げる予想もできない『未来』を見てみたいが故に、あえていろいろなことを伝えずに伏せていたりする。
それでもこの三人の全ては、真のためにある。ビバ主従vv
特に識に関しては、見た目がイケメンなこと、甘党かつけっこうヘタレなこと、一見常識人のように見えて実際には比較対象が悪いだけで、めちゃめちゃハイスペックなワーカーホリックかつ超絶人でなしなところとか、いろいろツボをつきすぎててたまりません。
真がランサー達に負傷させられた時も、冷静に事情を聞いていたようでいて、その実内心で激怒してたあげく、後日ランサー達の痕跡(?)を見つけた途端、「我が主に血を流させた事、懺悔しながら死んでもらわなくては」って豹変するとか楽しすぎるvv

ただお話的には、けっこう風呂敷が広がりまくってるというか。
最初は勘違い要素を含みつつ最強チートな冒険者になるのかと思えば、商会を立ち上げて店をやり始めたり、ほのぼの建国要素もありつつ、いきなり学園モノに移行して……魔族との戦争や各国及び別に召喚された他の勇者との高度に政治的なあれこれも混じったかと思えば、諸国漫遊してみたり。
あれ? このキャラ重要になるんじゃないの? あのアイテムはどうした?? 意味ありげに持っていったアレは結局どうなったの??? などなど、けっこうあっさり放置されるエピソードとか、相当あとになってようやく回収される伏線とか、かなりあります。今はアベリアがどうなってるのかと、ソフィアの死体の行方、真の本来の才能は何だったのかとか、ルトの目的あたりが気になるかなあ……

なお前述の通り、主役はかなりいろいろやらかします。
現代日本人の感覚で「戦争は良くない。関わるつもりはない」と口では繰り返しながら、同時に「冒険者になったり戦場に出ている以上、殺される覚悟はできているはずだ」と、罪悪感もなくあっさり大量虐殺かましたりします。
そこらあたり、読む人をかなり選ぶかもですねえ。個人的には、いつまでも状況を受け入れず、地に足付かない理想を空回りさせた結果、大事なものを守りきれない甘ちゃんよりも、こっちの方が好みなんですが。

四章目終盤あたりからの、四人目の従者の真意とか、月読様にいろいろ頼まれた地球その他の神々たちが、真の行動をどう評価するかがまた気になって気になって……これでバッドエンドになったら泣くぞ……?
No.6958 (読書)


 2015年07月06日の読書
2015年07月06日(Mon) 
本日の初読図書:
「公爵様と仲良くなるだけの簡単なお仕事(小説家になろう)」
 http://ncode.syosetu.com/n2721co/

貴族とは名ばかりの貧乏子爵プリマロロ家の娘ユードラは、気がつけばすっかり行き遅れてしまっていた。
通常の貴族であれば、遅くとも18歳で婚約、19には結婚しているのが普通だというのに、彼女はすでに22歳。早くから王宮で下働きを続け、早十年が過ぎている。鏡に映る顔は、さながら人生に疲れた三人の子持ち主婦のようだった。
このままではいけないと、今さらながらに思う。家族の為と思って頑張って来たが、これでは働き詰めで何も楽しい事を知らず、箒を握り締めたまま人生の終わりを迎えてしまう、と。
大恋愛をしたいとか、そんなことまでは望まない。それでもせめて、キラキラしたお綺麗な顔の王子様とか、生真面目で融通の聞かない騎士様とかを、木陰から愛でるだけならば許されるだろう。
そう考え、下働きから侍女への配置転換を願い出た彼女に、上司は助かったという顔で人事異動の話を持ち出してきた。
いわく、
・高貴な方にお仕えするお仕事です。
・主な仕事は軽いお世話等。
・秘密厳守。
王宮で働き始める時にも示された、特におかしな就労条件ではない。だが何やら不穏な気配を嗅ぎとったユードラは、この件は断ったほうが良いと判断した。ところが上司は手首を掴み、無理やり契約書類へと署名させてしまう。
かくして彼女が配属されたのは、国内唯一の公爵である、ユースティティア家の屋敷であった。
住み込みで衣食住は保証の上、給料はこれまでの倍以上。あてがわれた部屋は召使い用とはとても思えない、立派な個室。そしてユードラが専属で世話をするお相手は、今年で三十二歳になる公爵家の跡取り息子レグルスだった。現国王の甥でもある彼は、去年開催された御前武道会で準優勝という素晴らしい結果を残したという。しかも王族の皆様は揃いも揃って美形なのだから、きっと毎日目が洗われるような良い思いが出来るのではと、開き直ることにした。
しかし仕事着とは思えない上等な衣服を着せられてレグルスの執務室を訪れたユードラに対し、仕事中だった彼は瞠目した次の瞬間、机の下へと身を隠してしまった。覗きこんでみると、一瞬にして涙目になる。
なんでもレグルス様は、極度の人見知りだということだった。見た目は極上の美丈夫なのにもかかわらず、家族や使用人達にも怯え、人前ではしゃべることも飲食もいっさいしないらしい。世話係となったユードラに対しても、口をきくどころか目すら合わせてくれない始末。
一ヶ月が過ぎてもまるで変わらないその関係に、困り果てたユードラは、まずは手紙という手段で意思疎通を図ることから始めてみようと思い立って……


北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし」を書かれた江本マシメサさんの別作品。主従関係から始まるドタバタラブコメ、完結済。
どうやら世界観を同じくする作品が他にも複数あるようですが、北欧〜とのリンクはないみたいです。たぶん。
ハイスペックなくせに自分にまったく自信がなく、他人どころか家族とさえまともに会話や食事ができない公爵家の跡取りさま。被り物をかぶって筆談でのやりとりができるようになるまですら、数ヶ月を要したというのに、終盤の「え? そうくるの??」展開あたりからの彼は、一生懸命がんばっています。被り物こそ復活しちゃったけど、口数はびっくりするほど増えました。
っていうか、これ、ぜひレグルス視点の番外編が読みたい……(笑)
特に隠密機動局の仕事のため、夫婦設定で帝国(ロシアがモデルなのかな?)に潜入した際の挙動不審ぶりとか、寝ぼけてやらかしちゃったあれこれとか、ユードラはさらーっと「潜入のための役作り」と解釈して流しちゃってますけど、いやいやいや、違うから! 旦那様すでにこの段階でめっちゃ貴女を意識してますから!!
帝都到着後たったの一泊二日で任務達成とか、よっぽ貴女の身を案じたんじゃなきゃ不可能だからっっっ!!

途中で怖気づいたというか、最初は鈍感なふりをして周囲の状況や自身の感情に気付かないようにし、目を背けきれなくなった後は、常識を考えて身を引こうとしたユードラの思考は、読者的にはイラつくかもしれないけれど、ごくまっとうな感性を持つ普通の女性の当たり前の反応だと思いました。
ってか、マリリンさんが後押しするつもりで薦めた本のチョイスが悪いよ、これは(苦笑)
知らない内に外堀を埋められまくって、逃げ道全部ふさがれた彼女は、冷静に考えるとかなりお気の毒。
でもまあ、レグルスさん本人との絆は紛れもなく本物かつ真摯なものなので、結果オーライ的に幸せになれたのは良かったんですけどね。 ある意味これ、周りからヤンデレルートを強制されたっていうか……

……ただこの方の作品は、微妙に文章が荒いのが気になる……誤字脱字変換ミスに単語飛ばしまではまだしも、今回なんてキャラクターの名前まで間違ってるってのがなあ……二つ名『虹の道化師』さんは、結局ジョクラトルさんなのかジョクトラルさんなのか、それともジョラクトルさんなのか。あまりに混在しすぎていて、どれが正解なのか判らないよ……(−ー;)
No.6935 (読書)


 2015年07月05日の読書
2015年07月05日(Sun) 
本日の初読図書:
4063714578Q.E.D.証明終了(50) (講談社コミックス月刊マガジン)
加藤 元浩
講談社 2015-02-17

by G-Tools
燈馬の大学時代の友人で、しかも同い年。計算の達人と称されていた燈馬と並ぶ「実験物理の天才」サリー・ブライス。彼女が起業した実験観測装置の会社で、製品に関するトラブルが連続して起きた。世界各地のさまざまな実験施設において、ブライス社が納入した冷却装置が何者かによって停止させられたのだ。果たしてこれは、ブライス社を狙った犯行なのか。ならば犯人は、と。サリーは燈馬に相談を持ちかけてきて……「観測」
加奈の元へと差出人不明の謎の手紙が送られてきた。指定した廃ビルに、設計図の通りのエスケープゲーム会場を設営してほしいというのだ。謝礼として20万の現金も届けられたため、加奈は依頼人本人にそれを返却するべく、燈馬を巻き込んで会場を準備する。しかし開催日当日になっても依頼人は姿を現さず、代わりにやってきたのは「賞金100万円」と書かれた招待状を手にした五人の男女だった。しかたなく彼らと共にエスケープゲームを開始した燈馬と加奈だったが、会場には二人が気付かぬうちに様々な改造が施されていた。爆弾付きの扉で閉じ込められてしまった一同は、やむなくゲームを先へと進めてゆく。参加者の一人である元刑事によると、どうやらこのゲームは16年前に起きたある未解決事件に関わりがあるようで……「脱出」


長らくコンスタントに続けられたハイクォリティな推理コミックの名作も、ついに最終巻!
……と、思わせておいて、すでに新章「Q.E.D.iff」が始まってたりするんですが(笑)
あと話の内容的にも、区切りを匂わせるような特別めいたものなど、いっさいありません。

まあ、それはさておき。
今回もある意味安定した話運びでした。
最初の話は、事件の規模が国をまたぐ大規模なそれの割に、その根底に流れるのはある種、読者たちにもとても共感しやすいだろう、ありがちな対立の構造でした。最初に犯人はこいつしかないだろうと思わせておいての、もしかしてこっち? いやいや、実はこっちでしたというどんでん返しが効いております。
……たとえ年若き天才と呼ばれようとも、彼ら彼女らにだって歳相応の悩みや苦しみが存在するのだと、しみじみ思わせられるお話でした。
そして暗黒物質ダークマターとか聞くと、なんか一昔前のSFファンタジー的作品のたぐいを思い浮かべてしまう私。あれってちゃんとした物理用語だったんですね……

後半の話は、私も最近あちこちで無料公開されている脱出ゲームとかプレイするので、「よし自力で謎を解いてやるぜ!」と意気込んだんですが……あえなく敗れ去りました。かろうじて「2つの四角の色」だけ、なんとかクリア。過去の事件の犯人は、まあ、あの人の言動はなんかおかしいな、程度には思いましたけど、まさか黒幕がそっちの人だったとは。これもやっぱりどんでん返し。
こちらの方は、殺人事件関わってる割には、なんか雰囲気が穏やかだったです。
……ただ、いくら犯人をあぶりだすためとはいえ、まったく罪のない他の二人を結果的に監禁脅迫、しかも爆弾(偽物でしょうが)で下手すりゃトラウマレベルの恐怖を味わわせるのはどうなのかと。
燈馬と加奈だって、場合によっては共犯のレッテル貼られかねんぞこれ、とか思っちゃうのはやはり野暮なんでしょうかねえ……(苦笑)
ともあれ、
こちらのお話は、一度読んで裏事情を知ってから、もう一度読むと二度楽しめる内容だったと思います。
No.6934 (読書)


 祝★完結
2015年07月04日(Sat) 
商業作家諸口正巳さんのヤク退スピンオフ毎メリのさらにスピンオフ「明日廃」が、ついに完結なされました!

「明日は廃墟でふたりきり(ムーンライトノベルズ)」
 http://novel18.syosetu.com/n4735cr/

今回もまた、内臓事変の他にもR18要素ありにつき、お月様に掲載。
あらすじその他については、連載開始間もない頃に書いているのでそちらの方で。
いやあ、いつもながら素晴らしい作品でした。満足ですvv

ちなみに同人誌化がすでに決定されている模様。

■モロクっちさんはTwitterを使っています
 https://twitter.com/m_molockchi/status/617276651185901568/photo/1

この「カバーイラスト/マタジロウ」って、もしかしてWEB版「辺境の老騎士」に、超絶渋格好良いイラストを何枚も寄贈されていた、あのマタジロウ氏でしょうか??
諸口さんご自身が描かれた死神とヤスのツーショットも素敵でしたが、この死神に抱きしめられる香澄ちゃんもまた美しいですvv


そして話は全然違いますが、昨日見つけたやり方でかんざしを使うと、かなり尻尾が奔放に跳ねまくります。
しかも昨夜寝る前にきつく三つ編みして髪に癖をつけた上で、Uピンで尻尾を押さえたりとかしてみたものの、昼にはもうすっかり癖が取れて緩むようになり、何度もほどいては挿し直すはめに。
特に外出して歩きまわるとダメダメですね。あっという間にぐずぐずになる(−ー;)
これはやっぱり、家の中以外ではシニヨンネット使わなきゃだなあ……せっかく作ったりプレゼントしてもらったあれこれを、うっかり落として失くしたり壊したりしたら目も当てられぬ(しょぼん)
そしていま手持ちにUピンが一本しかないんですが、こういうのってどこで売ってるんでしょう?? 地元スーパーのヘアアクセサリ売り場や百均、手芸品店をまわったんですが、どこにも置いてない……頼りの Amazon さんや楽天さんにあるのも飾りつきとかばっかりだし。目立たないシンプルな黒い奴で丈夫なのの10本ぐらい入りが欲しいッス……
No.6933 (読書)


 2015年07月04日の読書
2015年07月04日(Sat) 
本日の初読図書:
4091627323ARMS 3(第2部「邂逅編」2) (My First WIDE)
皆川 亮二
小学館 2011-10-27

by G-Tools
川に囲まれた三角州という立地にある藍空市。キース・レッドとガウス大佐率いる特殊部隊レッドキャップスは、橋をすべて爆破し、各種ライフラインを切断。さらに妨害電波を流すことで藍空市を孤立させた。
そうして市民達に向けて涼達の写真を公開し、制限時間までに彼らを引き渡さなければ、市内数百箇所にしかけた爆弾をいっせいに爆破、無差別虐殺を実行するとの声明を流す。その証拠にと幾人かの人々が路上で公開処刑されてゆくのを見て、隼人はとっさに飛び出し人質を救っていた。しかし異形の腕と返り血で染まったその姿を見た市民達は、隼人をバケモノと呼び恐れおののく。さらにガウス大佐は、彼らこそが危険な武器を隠し持つ人体兵器であり、人殺しの怪物なのだと煽り立てた。このように非人道的な作戦を遂行するのも、危険極まりない存在を捕らえるための止むに止まれぬ措置なのだ、と。
涼達を捕らえれば殺さないと約束された市民達は、まんまと踊らされ、暴徒と化して彼らを狩りたてにかかった。
罪なき一般市民を手に掛ける訳にもいかない涼達は、ひとまず三手に別れることとする。
面の割れた隼人とその祖父、さらにアルとキャロルは囮として目を引き付ける。戦闘能力の高い涼は、情報収集に長ける恵やユーゴーと共に敵の司令部を探す。そして元凄腕の傭兵だった涼の義母 美沙と武士は、市の中心部にある高層ビルに向かった。
このような作戦「スナーク狩り」においては、後顧の憂いを断つために、結果の如何に関わらず市民すべてを殲滅するのが常なのだと美沙は語る。そのために使用される小型核を設置するのに、あのビルこそがもっとも向いているのだと。
それぞれがそれぞれに為すべきことを為し、それぞれの形で懸命に戦ってゆく。これまで利用されるばかりだった警察組織もまた、自身の仕事を果たすべく活動を始めた。
苦しい戦いが続く中で、かつて義父を殺し己の左腕を奪ったキースに邂逅した隼人は、今こそ復讐を果たす時だと攻撃を向ける。しかし彼我の力の差は、あまりに大きく。胸を貫かれ死へと向かう隼人の前で、キースは祖父やアル、キャロル達へとその刃を向ける。またしても目の前で大切な人達が殺されようとする光景に、隼人は己の無力さを嘆いた。
もう復讐なんてどうでもいい。大事な人を守る力が欲しい。
死の淵で絶望する隼人へと、何者かが問いかけてくる。
「力が欲しいか!」と
その、モノとは……


3巻目も引き続き424ページ。孤立させられた藍空市でのスナーク狩りの顛末。ジャバウォックに引き続き、隼人の騎士ナイト、武士の白兎ホワイトラビットの覚醒を経て、涼とジャバウォックの和解(?)、キースシリーズの登場。そして反エグリゴリ組織ブルーメンのリーダーの正体が明かされ、今度こそ旅立つところまででした。あまりにもみっちり詰まってて、密度高すぎ、お腹いっぱいですよ(苦笑)

……しかしキースシリーズの存在はなんとなく想像してましたが、ブルーメンのリーダーについては、キースシリーズの会話を読むまでまったく予想できてませんでしたね。
なるほどなあ、そういう経緯があっての、義憤に駆られた敵対組織なのに何故か行ってる人体実験だったのか、と。
そして「殺したければ殺すがいい。この審判を受けるために君たちの前に現れたのだから」と告げるリーダーへと、他でもない隼人が向けた、その言葉。
彼がそんなふうに言えるようになるまでに、どれほど苦悩し辛酸を舐め、そして成長してきたことかと思うと、もう……(泣)

そう、隼人のARMSは“騎士”なんですよね。
けして剣士でも戦士でもなく、彼は“騎士”。守るべきものを守ることこそが、その存在意義。
もし十年前にエグリゴリの襲撃を受けていなければ、きっと彼はもっと早くにその資質に目覚めていたんだと思います。だって一巻読んだ段階ですでに言ってますが、隼人って基本的に『女子供や仲間は身を挺してでも守るのが当たり前』って男なんですもの。たとえ復讐のため涼を殺そうとした時でさえ、カツミのことを誘拐はしても傷つけはしなかった。誤解で巻き込んでしまったと知った次の瞬間には、代わりにその身に刃を受けすらした。そういう彼だからこそ、“騎士”の主として認められたのでしょう。
それは研究所で兵器としてARMSを移植されたのでは、けして得ることのできない結果です。
ああ、本当に隼人って、いい男だ……

そして今回は、武士くんも大活躍でしたね。
ワイヤーロープ1本で戦闘ヘリを撃墜する、その手腕に痺れました。
ある意味では、彼こそが一番、ARMS達の中で「少年マンガの主役」っぽいんじゃないかと。
涼は幼い頃から無自覚に英才教育を受けてきた隠れ有能キャラですし、隼人もまた復讐のため六歳の時からいろいろ鍛えまくってます。恵ちゃんは言わずもがな、最初から戦闘要員として訓練を受けてきたわけで。
そんな中、彼はまったく裏事情を知らない両親の手で育てられきた、ごく普通の……むしろある意味、逆方向に突き抜けた元いじめられっ子。それがいきなりARMSをめぐる戦いに巻き込まれ、腕っ節も脳みそも人並みだったのが、少しずつ成長を遂げていく。恐怖に震え、涙を流し、それでも仲間達のために勇気を振り絞る……まさにこれぞ王道主人公(笑)

初登場時には、いかにも鼻持ちならない嫌味な子だった恵ちゃんも、あっという間に仲間になっちゃったし★

……そう考えると、涼の人たらし技術ってすげえな……今回はついにあのジャバウォックすら(遠い目)

ラストページは飛んでゆくアマツバメ。
アマツバメのヒナを観察しているところから始まったこのシリーズの、まさに大きな区切りとなりましたね。
次回からのアメリカ編がどのような展開になるのか、否が応でも期待が高まります。


……ところで20年前にブルーメンを立ち上げたという、リーダーさん。ちっとも年をとっていないように見えるんですが、やはり不老処置が施されているのでしょうか。だとしたらそのリミットはいったいいつ来るのだろうとか、心配になってみたり。
あとキース・レッドの頬の傷がちょくちょく消えてるので、実はもう他のシリーズと入れ変わってたりして……? なんてドキドキしながら読み進めていたら、単に描き忘れ(?)なだけだったとか(苦笑)
よく見ると、けっこうその手のミスが、直されもせずにそのままなんですよね、この作品。ARMSのついてる腕とか、銃持ってる手とか、かなり頻繁に左右が間違われてる……
No.6932 (読書)


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 プロフィール
神崎 真(かんざき まこと)
小説とマンガと電子小物をこよなく愛する、昭和生まれのネットジャンキー。
ちなみに当覚え書きでは、
ゼロさん= W-ZERO3(WS004)
スマホ= 003P(Android端末)
シグ3= SigmarionIII です。

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